JP2796118B2 - インクジェットプリンタのインク供給ユニット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、インクジェットプリンタのインク供給ユニ
ットに関する。

従来技術 本発明に係る従来技術としては以下のものがある。ま
ず、キャレッジ搭載サブタンク方式のものとしては、特
公昭54−31898号公報、特開昭58−171965号公報、特開
昭59−207256号公報、特公昭60−9903号公報、実開昭54
−90135号公報などがある。特公昭54−31898号公報に
は、印字ヘッドが液体溜めを有し、該液体溜めは記録媒
体に沿って印刷ヘッドが移動する時に印刷ヘッドに従っ
て動くことが開示されており、時開昭58−171965号公報
には、インクヘッドへのインク補給を、印字ヘッドに設
けたインク受入口と排気口とを備えたサブタンクから行
うことが開示されており、また、特開昭59−207256号公
報には、大容量の第１の記録液貯蔵室と、小容量の第２
の記録液貯蔵室と、圧力発生手段とを設け、該圧力発生
手段の動作時に第１の記録液貯蔵室から第２の記録液貯
蔵室へ記録液を供給することが開示されており、特公昭
60−9903号公報には、インクジェットヘッドと共にヘッ
ドキャリッジに搭載されているインクタンクにインクを
補給することが開示されている。

次に、キャレッジ搭載インクカートリッジ方式のもの
としては、特開昭60−178061号公報がある。これは、キ
ャレッジに廃インク収納手段を着脱可能とし、吸引機構
から排出されたインクが廃インク収納手段に導入できる
ように構成したもので、１モータでキャッピングと負圧
吸引を一周期のカムで構成したクリーニング及びキャッ
プ装置が開示されている。

また、特開昭57−133076号公報には、LFモータを共用
して駆動源とし、２個の電磁弁（切換弁）により、供給
部の機能を達成する点が、特開昭59−59455号公報に
は、加圧エアーポンプとインク回収ポンプを同時駆動す
る点が、特開昭52−110633号公報及び特公昭59−32313
号公報には、排インクをインクカートリッジに戻す一体
化構成の点が、実開昭55−13065号公報には、ノズル部
のワイピングの点が、それぞれ開示されている。

プリンターを構成する上で、キャレッジハーネスにイ
ンク供給系のチューブを用いたくないという要求がある
が、チューブからの蒸発や気泡混入あるいはキャレッジ
往復による圧力変化、そしてインクダレや気泡吸込み等
の問題点がある。

また、往復するキャレッジ上には、高速化に伴う応答
性確保の観点から出来るだけ重量を軽減したいという要
求があるが、インクカートリッジ等を搭載すると立上り
特性が問題となる。

また、従来のカラー化ヘッドを展開するとき、４色分
のヘッドを配置するが、並列配置構成で設定すると、キ
ャレッジ往復により、印字幅に４色分並列配置幅の２倍
を加算したスペースが必要になる。そこで、コンパクト
化の問題が発生する。

以上の課題を開放する方法として、キャレッジ搭載の
ヘッド＋サブタンク方式がある。

上記方式を実現する上で以下の機能が必要である。

、インク供給を行なうためのインクカートリッジとサ
ブタンクに送り出す供給ポンプ。

、ヘッドクリーニングを行なうための吸引ポンプ及び
放置時対応とのキャッピング装置。

、ヘッドクリーニングに伴う排インクの処理。

上記〜の機能を構成するために、各機能のユニッ
トをバラバラに配置してチューブ等で接続すると、大型
化して部品点数も多くなり、チューブ接続箇所からのイ
ンク洩れ等信頼性の面も問題となる。また、吸引ポンプ
や供給ポンプも接続する為に、配管チューブが多用され
ることになる。

また、インクジェットの補助装置には数多くの機能が
必要であり、その機能を達成するためそれぞれ単独でユ
ニット化したり、別々に配置構成したりすることが従来
からあった。その為に複数のモータ類や電磁弁類や各種
ポンプ類、それらを接続するためのインク供給管とジョ
イント類が必要であり、大型化、複雑化、コスト高とな
っていた。

さらに、印字による跳返りミストがノズル周辺に付着
し、それが過度になると噴射性能品質（噴射方向変化
等）を低下させることになり、負圧吸引又は制御加圧に
よりヘッドのノズルより噴射流出させてノズルクリーニ
ングを実施した際に、ノズル面に残留インクが付着して
いることがある。

このような状態では、ゴミや紙粉の付着も重なって印
字不良が発生するため、従来のプリンターにおいては、
ワイピング部材及び装置を本体内に組込み構成としてい
た。

しかしながら、使用頻度が高くなると、インクや紙粉
等の汚れが蓄積し、初期のワイピングの品質が維持出来
ないばかりでなく、過度に汚れると、付着したゴミや紙
粉等で逆に目詰りの要因になりかねない。また、ノズル
目詰りは、ある期間ごとにサービスマンメンテにするか
ユーザーが交換することで処理出来るが、期間の管理や
部品の保管等でわずらわしいなどの欠点があった。

プリンターにおいて、印字終了したヘッドは、次の印
字指令までホームポジションに戻り、待機状態となる。
しかし、印字指令は電源ON後、数十分、数時間経過して
も来ない場合もある。このため、待機中はキャッピング
をして、ノズルよりインクの蒸発を押える必要がある。
また、長期放置をも考慮したキャップ部材は密閉シール
性能もよい。このため、待機中は特に電源の予熱等によ
り温度変動があり、キャッピングされたノズル部空間は
熱により圧力変化が発生する。圧力変化は、ノズル部よ
り負圧であればインクを吸し出し、“インクダレ”現象
をおこし、圧力が高いと気泡吸い込みのトラブルを発生
する要因となっていた。

目的 本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもの
で、１ブロックの供給ユニットで構成し、インクカート
リッジから排液インク処理までの、インク流路は、チュ
ービングポンプを中心に一体成形で構成して配管チュー
ブ等はなくし、これにより、部品点数の低減と接続個所
数の低減と、コンパクト化を図ることを目的としてい
る。

また、機能ユニットを集約して一体化構造の中に構成
し、最小限の駆動系（モータと電磁弁）の動作とシーケ
ンス制御を行うことを目的としている。

また、インクカートリッジごとに使い捨てにし、ワイ
ピングパットは汚れを蓄積しないようにすること、ワイ
ピング装置は、プリンター内に組込まれたキャップ装置
と係合し連動するように構成し、簡単な構成や構造を実
現することを目的としている。

さらに、印字終了したヘッドの待機時は、周期的に大
気開放を行ない密閉部の高湿度状態を保ちながら“圧力
抜き”又は大気平衡にしてインクダレ現象や気泡吸込み
トラブル発生を防止するようなインクジェットプリンタ
のインク供給ユニットを提供することを目的としてなさ
れたものである。

構成 本発明は、上記目的を達成するために、（１）ヘッド
部と、該ヘッド部にインクを供給するサブインクタンク
と、該サブインクタンクにインクの供給を受けるための
インク供給口を有するキャレッジと、該キャレッジにイ
ンクを供給するためのインク供給ユニットを有するイン
クジェットプリンタにおいて、前記インク供給ユニット
は、前記キャレッジのホームポジションに配設され、前
記キャレッジが該ホームポジションにある時に、前記ヘ
ッド部及びインク供給口に係合して、前記サブインクタ
ンクにインクを加圧供給し、前記ヘッド部を吸引して該
ヘッド部のインクを吸引し、吸引された排液インクを排
インク処理するインク供給ユニットであって、該インク
供給ユニットは、前記サブインクタンクにインクを加圧
供給するためのインク加圧供給手段と、前記ヘッド部の
排液インクを吸引するための排液インク吸引手段と、前
記ヘッド部より吸引した排液インクを吸着処理する排液
インク処理手段と、前記ヘッド部の排液インクを吸引す
る吸引通路中に配設され、該ヘッド部を時々大気に開放
するための大気開放弁手段とを一体構造的に有するこ
と、或いは、（２）ヘッド部と、該ヘッド部にインクを
供給するサブインクタンクと、該サブインクタンクにイ
ンクの供給を受けるためのインク供給口を有するキャレ
ッジと、該キャレッジにインクを供給するためのインク
供給ユニットを有するインクジェットプリンタにおい
て、前記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホー
ムポジションに配設され、前記キャレッジが該ホームポ
ジションにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に
係合して、前記サブインクタンクにインクを加圧供給
し、前記ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引
し、吸引された排液インクを排インク処理するインク供
給ユニットであって、該インク供給ユニットは、単一の
モータと、単一の電磁弁と、ワイピング機構とを一体構
造的に有し、該単一のモータをシーケンス制御すること
により、前記インクカートリッジから前記サブインクタ
ンクへのインクの加圧供給と、前記ヘッド部を負圧吸引
することによるノズルの洗浄とを行い、前記電磁弁をシ
ーケンス制御することにより前記ヘッド部を時々大気開
放して、長期的に放置した場合のノズルの目詰まりを防
止し、前記ワイピング機構によりノズルの前面を吸水用
クリーニング部材により清掃すること、或いは、（３）
ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給するサブインク
タンクと、該サブインクタンクにインクの供給を受ける
ためのインク供給口を有するキャレッジと、該キャレッ
ジにインクを供給するためのインク供給ユニットを有す
るインクジェットプリンタにおいて、前記インク供給ユ
ニットは、前記キャレッジのホームポジションに配設さ
れ、前記キャレッジが該ホームポジションにある時に、
前記ヘッド部及びインク供給口に係合して、前記サブイ
ンクタンクにインクを加圧供給し、前記ヘッド部を吸引
して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引された排液イン
クを排インク処理するインク供給ユニットであって、該
インク供給ユニットは、同肉厚の異径チューブを用いた
チュービングポンプを適用する容量差の異なる２連一体
のポンプ手段と、制御用電磁弁とを一体構造的に有し、
前記チュービングポンプの一方の連は、負厚吸引により
前記ヘッド部のインクの吸引を行い、他方の連は、吸引
した分のインクに相当するインクを前記インク供給口か
ら前記サブインクタンクへ供給し、前記制御電磁弁は、
前記吸引したインクの量と同量のインクを前記サブイン
クタンクへ補充する時間幅で制御されること、或いは、
（４）ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給するサブ
インクタンクと、該サブインクタンクにインクの供給を
受けるためのインク供給口を有するキャレッジと、該キ
ャレッジにインクを供給するためのインク供給ユニット
を有するインクジェットプリンタにおいて、前記インク
供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジションに
配設され、前記キャレッジが該ホームポジションにある
時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合して、前記
サブインクタンクにインクを加圧供給し、前記ヘッド部
を吸引して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引された排
液インクを排インク処理するインク供給ユニットであっ
て、該インク供給ユニットは、インクを前記サブインク
タンクへ供給するためのインク袋部材と、前記ヘッド部
からの排インクを吸収、収納するための排液インク吸収
部材と、前記ヘッド部のノズル面を洗浄、浄化するため
の吸い取り及びワイピング用の吸収パッド部材とから成
るインクカートリッジを着脱自在に有すること、或い
は、（５）ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給する
サブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの供
給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジと、
該キャレッジにインクを供給するためのインク供給ユニ
ットを有するインクジェットプリンタにおいて、前記イ
ンク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジショ
ンに配設され、前記キャレッジが該ホームポジションに
ある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合して、
前記サブインクタンクにインクを加圧供給する手段と、
前記ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引して
排出する手段と、吸引された排液インクを排インク処理
する手段とを一体構造的に有するインク供給ユニットで
あって、該インク供給ユニットは、前記ヘッド部を覆う
キャッピング装置と電磁弁とを一体構造的に有し、印字
待期時、該キャッピング装置で前記ヘッド部のノズル面
近傍を密閉し、時間周期で一時的に前記電磁弁を制御し
て前記密閉部を大気に開放し、該密閉部の温度変化に伴
う圧力変化を大気圧に戻すことを特徴としたものであ
る。以下、本発明の実施例に基づいて説明する。

第１図及び第２図は、本発明によるインクジェットプ
リンタのインク供給ユニットの一実施例を説明するため
の構成図で、第１図は一体化された供給ユニットを示
し、第２図は、カートリッジを除いた部分の分解構成図
を示す。図中、１はインクカートリッジ、２はメインモ
ータ、３はワイピング用パット、４はインク供給口、５
はヘッドキャップ部、６はフィルター（エアークリーナ
ー）、７は排液インク吸収パット、８はスプリング、９
はキャップ装置、10はカムローラー、11はカートリッジ
栓部、12は針、13はインク導出部、14は弁座、15は弁、
16は電磁石、17は電磁弁、18はカム、19はキャップ歯
車、20は揺動アーム、21はポンプ歯車、22はローラー、
23は負圧吸引用チューブ、24はインク供給用チューブで
ある。

負圧吸引用ポンプは、エアーでかつ強力な負圧を発生
させるため、大容量の負圧ポンプに構成する必要があ
る。それは、ノズル部より流出するインクの流速を高
め、洗浄効果を高めると共に残留または混入気泡を負圧
の強さで大きく膨張させて流出し易くするためである。
洗浄用（吸引された分）のインクは微量（0.5cm³以下）
でよいが、新たにインクをサブタンクに補充する必要が
ある。このインク補充動作のポンプは小容量ポンプでよ
い。

前記吸引ポンプとインク供給ポンプの容量差を持った
ものを一つの駆動源で同時駆動するには、肉厚は同じで
チューブ径の異なるパイプを用いて２重連のチュービン
グポンプで構成する。吸引負圧中ノズルよりインクが流
出し、同時にインクが送り込まれるが、流出インクと送
り込みインクの量が等しくすることが困難であると共に
時間が長く必要となる。そこで、制御電磁弁を働かせ、
前もって量を等しくし、かつ洗浄効果のよい時間を設定
しておけば解決できる。印字により、サブタンクのイン
ク残量がない時のインク供給は、制御電磁弁を働かせて
インク供給が実施出来る。

すなわち、１モータで一方向回転駆動を、制御用（大
気開放仕切弁）電磁弁で、負圧吸引によりヘッド部の
クリーニング動作とその消費したインクの補充動作と、
インク供給動作との２つの目的機能を３つの動作内容
で構成する。

また、容量差の異なるポンプを一つの回転駆動で達成
するための肉厚の等しい径の異なるチューブを適用し、
制御弁の時間を決めて働かすことにより、流出や送り込
みバランスをとる。

第３図は、カートリッジの分解構成図で、第４図はそ
のカートリッジの断面図である。図中、25は排液インク
取入口、26はキャップ装置係合部、27はパットホルダー
（スライド可能）、28はワイピング用パット（吸水
性）、29は排液インク吸収パット、30は保持用の孔、31
はカートリッジ栓（弾性体）、32はインク袋（薄膜溶
着）、33はカバーである。

インクカートリッジ１は、インク供給を目的としたイ
ンク袋32と、排液インクを収納する排液インク吸収パッ
ト29と、ノズル面を洗浄浄化する吸水性のワイピング用
パット28の３つの機能を備えている。インク袋32は従来
から公知の薄膜フィルムを溶着した袋にインクを収納す
る。弾性体のカートリッジ栓31からインン導出用の針を
介して、インクをヘッドに供給する。排液インク吸収パ
ット29は、ヘッドクリーニング後の流出排インク及び印
字中、開始前の試噴射インクを回収（吸引）ポンプによ
り送られたインクを収納する。該吸収パット29の材料
は、従来例にあるような高分子吸水性ポリマーを用い、
インク保持効果を利用してカートリッジ脱着時にボタ落
ちのないようにするのがよい。吸水性のあるワイピング
用パット28は、カートリッジのインク寿命に対応できる
容量（回数分）の容積分をパットホルダー27に収納させ
る。パットホルダー27は、ノズル面を圧接状態及び退避
状態の動作が必要であるが、プリンタ内組込みのキャッ
プ装置と連動し、この動作を行なう。連動するためにホ
ルダーに一部係合する凸又は凹部が設けられ、カートリ
ッジ装着時に係合状態となるように構成する。

第５図は、供給ユニットの側面図、第６図はその平面
図で、図中、34はプラテン、35はキャレッジ軸、36はイ
ンク供給路（管）、37はキャレッジカバー、38は液室、
39はブレーキ（駆動用）、40はサブタンクインク、41は
ローラー、42はヘッド、その他の第１図〜第３図の場合
と同様の作用をする部分は同一の参照番号を付してあ
る。

次に、第７図及び第８図に基づいて動作を説明する。

（１）パワーON時のウォーミングアップ キャッピング工程 まず、電源SWをONし、キャレッジがキャッピング装置
に来ているか、キャップ状態にあるかの信号を得る。

メインモータが逆転し、ポンプ歯車が噛み合ってチュ
ービングポンプを動かす。

カートリッジと継がれたチューブは、ポンプによりイ
ンクをサブタンクに送り出す。

これと並行して、負圧吸引用のポンプも働き始め、ノ
ズル部を負圧状態にし、ノズル周辺部のインクを外に吸
い出す。

チュービングポンプは、インク供給用と負圧吸引用の
２種類のチューブを同一のローラーで変形させる。

供給用と負圧吸引用は、径寸法を違えて配置し、同一
回転での吐出量又は吸引量を違えてある。

ノズルクリーニング工程（インク再溶解、気泡除去） これは、インク吸引力（負圧）を高めることにより、
ノズル部のインク流速を高められる。蒸発等により高粘
度になったインクを吸引するため、大きく設定した方が
よい。

吸い出したインク分は、供給ポンプで送り出しバラン
スさせる必要がある。

これはあらかじめ、供給ポンプ、吸引ポンプの特性を
求め、吸引用に設けられた大気開放用の電磁弁を時間を
定め、開くことにより設定できる。

吸引するインク量は0.1cm³以上で、ノズルエッジ部の
高粘度化したインクを再溶解させたり、ヘッド内部に発
生したり、吸い込んでしまった気泡を除去する効果があ
る。

排インク処理工程 吸引したインクは、吸引用チューブからインクカート
リッジの排液用吸収部材に導びかれる。

メインモータが正転し、ポンプ用歯車からキャップ歯
車に噛み合いが移る。

歯車伝達による回転モーメントによって行なわれ、回
転と同時にアーム上に設けられた固定用爪によって、ポ
ンプ歯車はロックされる。

キャップ歯車に設けられたカムの回転に伴ない、キャ
ップ部材は退避動作となる。

この時、キャップ部材がノズル面を離れるまで電磁弁
はON状態を保ち、負圧発生等のキャップ内圧力変動を大
気開放により影響しないようにする。

ヘッド搭載のキャレッジは、インクカートリッジに設
けられたクリーニング用パットと対向する位置までキャ
レッジモータにより移動する。

ノズル部残留インク吸い取り工程 キャップ歯車は１回転することにより、再び前進して
来るが、カートリッジのパット部材の一部と、キャップ
部材の一部が係合し、パットもキャップ部材と同じ動き
をとるため、ノズル面にパットが圧接される。

パットは吸水性の高い材料で構成されており、前工程
で終了したインク吸引後のノズル面の汚れや残留インク
等を吸い取ってしまう。

試噴射工程 この時、試噴射（全ノズルに対し数十滴分の動作）を
してもよい。

キャップ歯車は１回転するとシーケンスにより停止す
る。

ワイピング工程 キャレッジが僅か（数mm）に動くことにより、パット
にてノズル面をワイピング動作をする。

キャップ退避 上記までの行程が終了すると再びキャップ歯車は180
゜回転し、キャップ部材とパット部材共に退避する。

印字開始 以上の工程完了後、印字信号を受け、印字開始する。

（２）待機時 キャッピング工程 印字信号によりキャレッジは往復動し、紙に印写す
る。

印字信号の終了を受けると、キャレッジはホームポジ
ションに戻る。

メインモータが正回転をし、キャップ歯車が回転す
る。

キャップ歯車のカムにより、キャップ部材が前進し、
ヘッドを密閉状態にする。

キャップとヘッドが、接触圧着する際は、ノズル内に
気泡を混入させる様な圧力変動が発生する可能性が生じ
るため、電磁弁をONして、大気開放口でこの影響を解消
する。

待機時間が長い時は、その間キャップ内の温度変化の
影響を受け、圧力が上昇すれば気泡混入、圧力降下すれ
ば、ノズルよりインクダレが発生し、クリーニングかワ
イピング工程が必要となる。

上記課題は、電磁弁をONし、大気開放口を開いていれ
ばよい。しかし常時、電磁弁に通電しているとその自体
発熱し電力も消費するため、ある周期を定め、時々電磁
弁をONすることにより、この課題を解消する。

キャップ退避 印字信号を受けると、メインモータが正回転し、キャ
ッピング歯車が回転しキャップ部材が退避する。

試噴射工程 この時、長時間放置されていたので試噴射を行ない印
字準備をする。

印字開始 キャップ部材がヘッドから離れる際は必ず電磁弁がON
している。

印字中の試噴射 印字中、印字信号の内容により、使用しない印字ヘッ
ド（ノズル）が往復動作で放置されインク乾燥を加速す
るため、ある周期でホームポジションに戻り、全ノズル
数滴試噴射する。これにより印字の信頼性を維持する。

待機時のキャップされた状態では密閉状態となってい
るが、長時間放置されればノズル部も多少の蒸発が進
み、一滴目から正常に飛翔させられぬ時がある。

待機時の試噴射 待機時は、例えば10分間に１回程の試噴射を実施する
ことで噴射方向安定の信頼性が高まる。

（３）パワーOFF時 キャッピング工程 ホームポジションで待機状態となっている。

メインモータが回転しポンプ歯車が回る。

インクを補給し負圧吸引に入る。

ノズル浸漬工程 パワーON時は、0.1cm³以上のインクを吸引するが、停
止時は、その1/5程度のインクを吸引して電磁弁をONし
終了する。

インクはキャップ部材に形成されたスリット状溝にイ
ンクが充満し、ノズル開口部がインク液中に浸漬状態と
なって大気と完全に遮断される。

パワーOFF これにより、放置、停止時のキャップ内部は、スリッ
ト状に充満したインクがキャップ内にいく分蒸発し、飽
和状態となりノズルから吸い出されたインクが放置時の
環境ストレスにさらされるだけでノズル以前は保護され
る。

（４）インク補給とカートリッジ交換 サブタンクインクエンド サブタンクに設けたインク残量検知装置からインク無
しの信号が来る。

印字中であれば、一枚分の印字を終えホームポジショ
ンにキャレッジが戻る。

キャッピング工程 メインモータが正回転しキャップ歯車が回り、キャッ
プ部材が前進する。

インク補給工程 ヘッドに接触する際、電磁弁はONとなっている。

ノズル部上部に設けたインク供給受口と、キャップ部
材に対向配置されている吐出口とが密閉中継される。

メインモータが停止し、キャップ前進位置で固定され
る（半回転）。

メインモータが逆回転をし、ポンプ歯車と噛み合い回
転を始める。

供給チューブポンプが働き、インクがサブタンクに送
り込まれる。

負圧吸引ポンプもポンプ歯車の回転により働くが電磁
弁をON状態に保って、キャップ内の圧力は負圧にしな
い。

負圧吸引ポンプに吸い込まれた空気は、インクカート
リッジ部の排液吸収パッドに導びかれる。

インクの補給量は、メインモータの回転数を定めてお
けばよい。

サブタンクインクエンド インク残量検知でインク有の信号を得たときは、イン
ク補給がされたと判定する。

サブタンクインクエンド解除 信号が未だ無しの状態であったときは再度メインモー
タが回転し、インク補給サイクルを実施する。

カートリッジ交換 再度インク残量検知でインク無しの状態であれば、イ
ンクカートリッジにインクが無く、サブタンクに補給さ
れていないとして、カートリッジ交換の表示をして印字
ストップをする。

キャップ退避、印字開始 インク有の信号になった時は、メインモータが正転
し、キャップ部材が退避する。

以上でインク補給の行程は終了する。

効果 以上の説明から明らかなように、本発明によると、イ
ンクカートリッジから排液インク処理までインク流路を
一体成形で構成してあるので、配管チューブなどを必要
とせずに部品点数の低減や、コンパクト化が図れる。ま
た、機能ユニットを集約してあるのでシーケンス制御が
可能である。さらに、インクカートリッジごとに使い捨
てにして、ワイピングパットに汚れを蓄積しないように
でき、ワイピング装置も簡単な構成、構造のものが実現
できる。さらに、印字終了したヘッドの待期時は、周期
的に一時的に大気開放を行ない密閉部の高温度状態を保
ちつつ大気平衡にして、インクダレ現象や気泡吸込みト
ラブル発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明によるインクジェットプリンタのイン
ク供給ユニットの一実施例を説明するための構成図、第
２図は、カートリッジを除いた部分の分解構成図、第３
図は、カートリッジの分解構成図、第４図は、その断面
図、第５図は、供給ユニットの側面図、第６図はその平
面図、第７図及び第８図は、インク供給ユニットの動作
を説明するための図である。 １……インクカートリッジ、２……メインモータ、３…
…ワイピング用パット、４……インク供給口、５……ヘ
ッドキャップ部、６……フィルタ、7,29……排液インク
吸収パッド、９……キャップ装置、10……カートリッジ
栓部、12……針、13……インク導出部、17……電磁弁、
23……負圧吸引用チューブ、24……インク供給用チュー
ブ、27……パットホルダー、28……ワイピング用パッ
ト、32……インク袋。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給す
   るサブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの
   供給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジ
   と、該キャレッジにインクを供給するためのインク供給
   ユニットを有するインクジェットプリンタにおいて、前
   記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジ
   ションに配設され、前記キャレッジが該ホームポジショ
   ンにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合し
   て、前記サブインクタンクにインクを加圧供給し、前記
   ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引
   された排液インクを排インク処理するインク供給ユニッ
   トであって、該インク供給ユニットは、前記サブインク
   タンクにインクを加圧供給するためのインク加圧供給手
   段と、前記ヘッド部の排液インクを吸引するための排液
   インク吸引手段と、前記ヘッド部より吸引した排液イン
   クを吸着処理する排液インク処理手段と、前記ヘッド部
   の排液インクを吸引する吸引通路中に配設され、該ヘッ
   ド部を時々大気に開放するための大気開放弁手段とを一
   体構造的に有することを特徴とするインクジェットプリ
   ンタのインク供給ユニット。
2. 【請求項２】ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給す
   るサブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの
   供給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジ
   と、該キャレッジにインクを供給するためのインク供給
   ユニットを有するインクジェットプリンタにおいて、前
   記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジ
   ションに配設され、前記キャレッジが該ホームポジショ
   ンにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合し
   て、前記サブインクタンクにインクを加圧供給し、前記
   ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引
   された排液インクを排インク処理するインク供給ユニッ
   トであって、該インク供給ユニットは、単一のモータ
   と、単一の電磁弁と、ワイピング機構とを一体構造的に
   有し、該単一のモータをシーケンス制御することによ
   り、前記インクカートリッジから前記サブインクタンク
   へのインクの加圧供給と、前記ヘッド部を負圧吸引する
   ことによるノズルの洗浄とを行い、前記電磁弁をシーケ
   ンス制御することにより前記ヘッド部を時々大気開放し
   て、長期的に放置した場合のノズルの目詰まりを防止
   し、前記ワイピング機構によりノズルの前面を吸水用ク
   リーニング部材により清掃することを特徴とするインク
   ジェットプリンタのインク供給ユニット。
3. 【請求項３】ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給す
   るサブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの
   供給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジ
   と、該キャレッジにインクを供給するためのインク供給
   ユニットを有するインクジェットプリンタにおいて、前
   記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジ
   ションに配設され、前記キャレッジが該ホームポジショ
   ンにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合し
   て、前記サブインクタンクにインクを加圧供給し、前記
   ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引
   された排液インクを排インク処理するインク供給ユニッ
   トであって、該インク供給ユニットは、同肉厚の異径チ
   ューブを用いたチュービングポンプを適用する容量差の
   異なる２連一体ポンプ手段と、制御用電磁弁とを一体構
   造的に有し、前記チュービングポンプの一方の連は、負
   圧吸引により前記ヘッド部のインクの吸引を行い、他方
   の連は、吸引した分のインクに相当するインクを前記イ
   ンク供給口から前記サブインクタンクへ供給し、前記制
   御電磁弁は、前記吸引したインクの量と同量のインクを
   前記サブインクタンクへ補充する時間幅で制御されるこ
   とを特徴とするインクジェットプリンタのインク供給ユ
   ニット。
4. 【請求項４】ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給す
   るサブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの
   供給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジ
   と、該キャレッジにインクを供給するためのインク供給
   ユニットを有するインクジェットプリンタにおいて、前
   記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジ
   ションに配設され、前記キャレッジが該ホームポジショ
   ンにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合し
   て、前記サブインクタンクにインクを加圧供給し、前記
   ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引し、吸引
   された排液インクを排インク処理するインク供給ユニッ
   トであって、該インク供給ユニットは、インクを前記サ
   ブインクタンクへ供給するためのインク袋部材と、前記
   ヘッド部からの排インクを吸収、収納するための排液イ
   ンク吸収部材と、前記ヘッド部のノズル面を洗浄、浄化
   するための吸い取り及びワイピング用の吸収パット部材
   とから成るインクカートリッジを着脱自在に有すること
   を特徴とするインクジェットプリンタのインク供給ユニ
   ット。
5. 【請求項５】ヘッド部と、該ヘッド部にインクを供給す
   るサブインクタンクと、該サブインクタンクにインクの
   供給を受けるためのインク供給口を有するキャレッジ
   と、該キャレッジにインクを供給するためのインク供給
   ユニットを有するインクジェットプリンタにおいて、前
   記インク供給ユニットは、前記キャレッジのホームポジ
   ションに配設され、前記キャレッジが該ホームポジショ
   ンにある時に、前記ヘッド部及びインク供給口に係合し
   て、前記サブインクタンクにインクを加圧供給する手段
   と、前記ヘッド部を吸引して該ヘッド部のインクを吸引
   して排出する手段と、吸引された排液インクを排インク
   処理する手段とを一体構造的に有するインク供給ユニッ
   トであって、該インク供給ユニットは、前記ヘッド部を
   覆うキャッピング装置と電磁弁とを一体構造的に有し、
   印字待期時、該キャッピング装置で前記ヘッド部のノズ
   ル面近傍を密閉し、時間周期で一時的に前記電磁弁を制
   御して前記密閉部を大気に開放し、該密閉部の温度変化
   に伴う圧力変化を大気圧に戻すことを特徴とするインク
   ジェットプリンタのインク供給ユニット。