JP2793969B2 - ステンレス鋼フラックス入りワイヤ - Google Patents
ステンレス鋼フラックス入りワイヤInfo
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Description
溶接に使用されるフラックス入りワイヤにおいて、特
に、CO2又はAr−CO2混合ガスシールドアーク溶接
において、アークの安定性が優れ、スパッタの発生が少
なく、極めて高品質な溶着金属が得られるステンレス鋼
フラックス入りワイヤに関する。
は、CO2又はAr−CO2混合ガスシールドアーク溶接
に使用されており、高溶着速度が得られると共に能率的
であること、適正溶接条件範囲が広くて使いやすいこ
と、ビード形状及び外観が良好であること等の優れた特
徴を有する。このため、従来の被覆アーク溶接棒又はM
IG溶接用ソリッドワイヤ等に替わって、フラックス入
りワイヤは近時ステンレス鋼の溶接に広く適用されるに
至っている。
しており、こうした溶接を取り巻く社会環境の変化を反
映して、ステンレス鋼のフラックス入りワイヤに要求さ
れる特性も、溶接金属の機械的性質及び耐食性などの健
全性のみならず、アークの安定性及びスパッタ発生が少
ない等の使いやすさに重点がおかれている。特に、スパ
ッタの発生は溶接部の外観を損ねるのみならず、腐食の
原因になることから、最も避けなければならない重要な
課題である。フラックス入りワイヤにおいてもスパッタ
の発生を防止する観点から、種々の技術が提案されてい
る。例えば、特開昭62−006797号又は特開昭6
2−068696号等では、ワイヤ中に充填するフラッ
クスの配合組成を改善し、安定したアーク状態を得て低
スパッタを達成している。また、ワイヤの送給性が劣る
とアークが不安定となり、スパッタの発生に影響を及ぼ
すとして、ワイヤの送給性の改善等も図られている。
ようなワイヤ中に充填するフラックスの種類及び配合比
率の改善又はワイヤの送給性の改善だけでは、スパッタ
の発生は全般的には低減するものの、なお、部分的に発
生するアークの不安定性を伴うスパッタの発生は防止で
きていない。このため、スパッタの防止のために、更に
一層の根本的な対策が必要となっている。
のであって、アークの安定性が優れ、スパッタの発生を
十分に防止することができ、高品質な溶着金属が得られ
るステンレス鋼フラックス入りワイヤを提供することを
目的とする。
鋼フラックス入りワイヤは、ステンレス鋼からなる外皮
にワイヤ全重量に対して10〜30%のフラックスを含
有してなるフラックス入りワイヤであって、このワイヤ
の300mm〜1000mm離れた任意の2点に通電し
て、ワイヤを500〜1000℃に加熱したときに、こ
の通電区間内における最高温度と最低温度の差が20℃
以下であることを特徴とする。
クス入りワイヤにおいて生じるスパッタの原因を詳細に
調査したところ、ワイヤの長手方向における不均質性に
よるものが大きいことを見出した。
アークの発生位置及びスパッタの発生状況を高速度ビデ
オ撮影によって観察した結果を示す模式図である。図1
(a)に示すようにアークが生成すると、(b)に示す
ように溶滴が成長し、次いで、(c)に示すように、溶
滴が溶融プールに移行する。そして、このときに、
(d)に示すように、スパッタが発生する。
則になっており、アークの発生位置か変動し、特に大き
く成長した溶滴が溶融プールに移行するときにスパッタ
となって飛び散る様子が多く認められた。このときのア
ーク電圧の変動は、微小ではあるが安定部と比較すると
いくぶん大きいものが観察された。
脱して溶融プールへ移行するときの時間間隔と、スパッ
タの発生傾向を調査すると、同一溶接条件の下では両者
の間には図2に示すように相関関係が認められた。即
ち、図2は横軸に平均溶滴移行時間をとり、縦軸に付着
スパッタ個数をとって両者の関係を示すグラフ図であ
る。この図2に示すように、移行時間が長くなるにつれ
て付着するスパッタ数が増大する。
す図である。この方法においては、捕集板1を水平に載
置し、試験板2を垂直にして、捕集板1の上に重ねる。
この突合わせ部をトーチ3を水平に対して45°傾斜し
てフラックス入りワイヤ4によりすみ肉溶接する。な
お、試験板2及び捕集板1はSUS304鋼である。ま
た、図3中の数値の単位はmmであり、この形状の捕集
板1の長さは600mm、試験板2の長さは370m
m、溶接長は300mmである。そして、試験板2及び
捕集板1に付着したスパッタの個数によって、スパッタ
発生量を評価した。
のは、溶滴が大きく成長することを意味し、このように
大きく成長する溶滴が多い場合は、アーク発生点の微小
変動を伴う不均一な現象が生じていることを意味するも
のである。従って、この試験から、平均離脱時間が短い
ほどアーク電圧の変動も少なく、スパッタ発生量が少な
いことが明らかとなった。
かつスパッタ発生量を低減するには、ワイヤが溶融して
ワイヤ先端に形成され、その後溶融プールに移行する溶
滴の大きさが一定であり、更にこの溶滴移行の時間間隔
が常に一定であることが必要であり、それに伴ってアー
ク発生位置が一定で電圧変動が少ないことが重要であ
る。
溶滴の離脱時間を変動させている要因を調査したとこ
ろ、ワイヤを通電加熱したときの温度のばらつきが大き
いワイヤの場合に、その傾向が顕著であることが明らか
になった。そこで、本発明においては、アークの安定性
を高め、スパッタ発生量を低減させるために、ステンレ
ス鋼からなる外皮にワイヤ全重量に対して10〜30%
のフラックスを充填したフラックス入りワイヤであっ
て、ワイヤの300mm〜1000mm離れた任意の2
点に通電してワイヤを500〜1000℃に加熱したと
きに、その2点間の区間におけるワイヤの温度差が20
℃以下になるフラックス入りワイヤを使用してアーク溶
接する。
通電過熱することにより、そのスパッタの発生を前述の
如くして事前に評価し、この新規な評価方法により、ス
パッタの発生がないワイヤを得、これにより、高品質な
溶着金属を得ようとするものである。本願発明者等は溶
接作業中に部分的に発生するスパッタの原因がフラック
スの不均一性、伸線加工のばらつき、外皮の厚さのばら
つき等の僅かな変動であるとの観点に立ち、その有力な
評価方法を開発して本発明を完成したものである。
する。 (1)フラックス率:10〜30% フラックス率が10%未満では、高溶着性及び高溶接作
業性等のフラックス入りワイヤとしての利点を活かすこ
とができない。また、フラックス率が30%を超える
と、伸線性が著しく損なわれ、軟化のための焼鈍を何回
も繰り返す必要がある等、加工コストが著しく増大して
好ましくない。 (2)通電加熱温度:500〜1000℃ 通電加熱温度が500℃未満では、いずれのワイヤにお
いても顕著な温度差が現れず、本発明にてスパッタの発
生の評価をすることができず、本発明の目的を達成でき
ない。一方、1000℃を超える温度は本来必要でな
く、また1000℃を超える温度に加熱する場合は、温
度制御を厳密にしないとワイヤの溶融等のトラブルの発
生を引き起こしやすくなる。このため、このような温度
制御の必要上、複雑でかつ高価な設備が必要になり、実
際的でない。 (3)通電区間内の温度差:20℃以下 図4はワイヤの通電加熱による温度差と、溶接時のアー
ク電圧変動及びスパッタ発生量の関係を示すグラフ図で
ある。温度差が±10℃以下では、アーク安定性及びス
パッタの発生状況が極めて良好になっていることが分
る。これに対し、温度差が20℃を超えると、スパッタ
の発生量が多くなると共に、アーク電圧の変動が大きく
なる。 (4)通電加熱区間の距離(通電加熱点間の距離):3
00〜1000mm 通電するワイヤの2点間の距離については、300mm
未満では温度差が明瞭に現れず、一方1000mmを超
える距離では試験が煩雑になるとともに、本来必要とす
る情報以外の外乱因子が多くなり適切な評価が行えない
場合が生じる。なお、通電する時間は特に制約はない
が、ワイヤ表面に発生する酸化膜により、温度測定手
段、例えば赤外線温度計に誤差が出る場合があり、通
常、通電開始後1分以内にワイヤ長手方向の全長を測定
することが好ましい。
較して説明する。表1に示すステンレス鋼帯の外皮に、
表2に示すフラックスを充填してなるJIS Z332
3に相当するフラックス入りワイヤを製作し、ワイヤの
通電加熱試験及び溶接試験を行った。
す。架台11上に支持台12が立設されており、その垂
直な前面に2本の支持棒13が固定されており、この各
支持棒13の上端にはリール14が回転自在に取り付け
られている。そして、試験対象のワイヤ10の一端が固
定部9に固定され、途中をリール14により係止され、
他端に重り8が取り付けられて、リール14間に張設さ
れている。この一定の張力で水平に真直に張ったワイヤ
10に対して、銅製のローラ等の給電部15を接触さ
せ、この給電部15に対して電源16から直流電流を供
給して、ワイヤ10に通電し、ワイヤ10を所定の温度
(500〜1000℃)に加熱する。
ワイヤ10に平行に設置された定速移動台20上に赤外
線温度計21を設置し、この定速移動台20に沿って、
赤外線温度計21を定速で移動させて、ワイヤをその長
手方向にスキャニングしながら、赤外線温度計21によ
りワイヤ温度を測定することにより行った。この測定範
囲は、ワイヤの水平部分の500mm長の部分である。
そして、その平均値と、測定値の最大値と最小値との差
を求め、電源16内に設けた記録計に記録した。
(厚さ:9mm、長さ:50mm、幅:350mm)の
水平すみ肉溶接を炭酸ガスアーク溶接法により、表3に
示す溶接条件で行い、その際、アーク電圧をサンプリン
グタイム200msecにて記録計に記録した。得られ
たアーク電圧測定値からその平均値と標準偏差(σ)を
求め、3σをアーク電圧変動とした。また、スパッタ発
生量は、試験板に付着したスパッタの数を測定すること
により求めた。
明の実施例及び比較例と比較して示す。実施例No.1
〜9は本発明例であり、通電加熱試験によるワイヤ中の
温度差が20℃以内であり、アーク溶接中の電圧変動が
4V未満であり、スパッタ発生量も30個以下と極めて
少なく、良好な溶接性が得られている。
試験で温度差が20℃を超えるワイヤであり、溶接中の
アーク電圧変動も大きく、またスパッタの発生量が多
い。これらの原因としては、例えば比較例No.10,
11,15,16,17は、フラックス充填時の均一性が
劣っており、比較例No.11,12,14,15では、
伸線ダイススケジュールが適切でなく、ワイヤに局部的
な伸線加工のばらつきが生じ、外皮の厚みに大きな変動
が生じたことによる。更に、比較例No.13,17で
は、成形時に型が安定せず、ワイヤに微小な凹凸が生じ
たため、成形における縮径が生じたか、又は伸線加工中
にフラックスが部分的に移動することにより、ワイヤが
不均一になったものと考えられる。
いて、予め通電試験することにより、そのスパッタの発
生及び電圧変動を予測することができ、スパッタが少な
く、電圧の変動が少ないフラックス入りワイヤを選択し
てアーク溶接することにより、溶接作業を向上させるこ
とができる。
身については、その流動性及び混合の均一性が優れてい
るものを使用すると共に、その成形から伸線、更には焼
鈍、巻替にいたるすべての工程中において、均一な加工
を施すことで容易に製造することができる。
アークの安定性が優れ、スパッタの発生を防止できると
共に、高品質の溶着金属を得ることができるステンレス
鋼フラックス入りワイヤを得ることができる。
を示すグラフ図である。
の関係を示すグラフ図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 ステンレス鋼からなる外皮にワイヤ全重
量に対して10〜30%のフラックスを含有してなるフ
ラックス入りワイヤであって、このワイヤの300mm
〜1000mm離れた任意の2点に通電して、ワイヤを
500〜1000℃に加熱したときに、この通電区間内
における最高温度と最低温度の差が20℃以下であるこ
とを特徴とするステンレス鋼フラックス入りワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3741295A JP2793969B2 (ja) | 1995-02-24 | 1995-02-24 | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3741295A JP2793969B2 (ja) | 1995-02-24 | 1995-02-24 | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08229694A JPH08229694A (ja) | 1996-09-10 |
JP2793969B2 true JP2793969B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=12496817
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3741295A Expired - Fee Related JP2793969B2 (ja) | 1995-02-24 | 1995-02-24 | ステンレス鋼フラックス入りワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2793969B2 (ja) |
-
1995
- 1995-02-24 JP JP3741295A patent/JP2793969B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08229694A (ja) | 1996-09-10 |
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