JP2789684B2 - 水中防汚被覆剤 - Google Patents

水中防汚被覆剤

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JP2789684B2 JP17004689A JP17004689A JP2789684B2 JP 2789684 B2 JP2789684 B2 JP 2789684B2 JP 17004689 A JP17004689 A JP 17004689A JP 17004689 A JP17004689 A JP 17004689A JP 2789684 B2 JP2789684 B2 JP 2789684B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は水中に浸漬される各種物体への水中生物の付
着を防止する水中防汚被覆剤に関する。
〔従来の技術〕
水中に浸漬されている船底、ブイ、漁網(ハマチやホ
タテ貝などの養殖網、サケの定置網など)、水中汚濁防
止シート、冷却のための各種吸排水管などの水中物体の
表面には、フジツボ、セルプラ、イガイ、藻類などの付
着によつて種々の支障が起こる。それらの生物による汚
損を防止するために、水中浸漬物の表面に水中防汚染被
覆剤が塗布されることはよく知られている。
この種の水中防汚染被覆剤としては、生物に対して付
着防止効果を持つ化合物や亜酸化銅などの防汚剤を使用
したものが、代表的なものとして挙げられる。たとえ
ば、有機錫化合物を防汚剤として使用した水中防汚被覆
剤については、特公昭40−21426号公報、特公昭44−957
9号公報、特公昭46−13392号公報、特公昭49−20491号
公報、特公昭51−11647号公報、特公昭52−48170号公報
などに開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかるに、これら公知の水中防汚被覆剤には、以下に
記述する如き欠点があり、これの改良が強く望まれてい
た。
公知の水中防汚被覆剤は、つぎのふたつの型に大別さ
れる。ひとつは、被膜を形成する樹脂は水中へは溶解せ
ず、防汚剤だけが水中へ溶解することによつて水中生物
の付着を防止する型の水中防汚被覆剤である。この型の
防汚被膜は初期の防汚効果は良い。しかし、被膜表面の
防汚剤が溶出して失われたのちには、次第に被膜深部の
防汚剤が溶出することになるが、防汚剤の溶出速度とし
ては被膜深部になるにつれて遅いため、長期には防汚効
果が不足していく欠点があつた。
いまひとつは、被膜を形成する樹脂および防汚剤のい
ずれもが水中に溶解する型の水中防汚被覆剤である。こ
の被覆剤の防汚効果は防汚剤のみによる場合と防汚剤お
よび樹脂成分(有機錫共重合体など)の双方による場合
とがあるが、いずれにおいても被膜表面が溶出するた
め、常に活性な防汚被膜表面が維持されることになり、
前者よりも防汚効果の持続性は認められる。しかしなが
ら、この場合でも、被膜の消耗などに限界があつたり、
逆に消耗しすぎたりして、充分に満足できる効果は得ら
れていないのが現状である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、以上の点につき鋭意研究した結果、前
記した従来公知の水中防汚被覆剤の持つている種々の欠
点を改め、さらに良好な防汚性を期待できる溶剤揮発型
の重合体と防汚剤、またはこれらにさらに表面滑性剤を
組み合わせた新規タイプの水中防汚被覆剤を得ることに
成功した。
すなわち、本発明は、つぎの一般式(I); {ただし、式中、Zは水素原子またはメチル基であ
り、mは1以上の実数、nは0以上の実数である。ま
た、Xはつぎの式(a); −CpH2pO− …(a) (ただし、式中、pは2〜4の実数である)で表され
る基であり、Yはつぎの式(b); 〔ただし、式中、R4,R5はいずれもアルキル基、アル
コキシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシ
ル基、置換フエノキシル基またはつぎの式(c); (ただし、式中、R6〜R8はいずれもアルキル基、アル
コキシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエキキシ
ル基、置換フエノキシル基または式(c)で表されるオ
ルガノシロキサン基の中から選ばれた基であつて、互い
に同一の基であつても異なる基であつてもよい) で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
あつては、互いに同一の基であつても異なる基であつて
もよい〕 で表される基である。さらに、R1〜R3はいずれもアルキ
ル基、アルコキシル基、フエニル基、置換フエニル基、
フエノキシル基または置換フエノキシル基の中から選ば
れた基であつて、互いに同一の基であつても異なる基で
あつてもよい。} で示される単量体Aの一種または二種以上の重合体、お
よび/または上記単量体Aの一種または二種以上とこれ
と共重合しうるビニル重合性単量体Bの一種または二種
以上とからなる共重合体と、防汚剤とを必須成分として
含有することを特徴とする水中防汚被覆剤に係るもので
ある。
また、本発明では、上記の重合体および/または共重
合体と防汚剤とのほかに、さらに表面滑性剤を必須成分
として含有させることにより、防汚効果の持続性にさら
に一段とすぐれた水中防汚被覆剤を提供できるものであ
る。
本発明の水中防汚被覆剤においては、上記の重合体な
いし共重合体より形成される被膜が水中で表面から徐々
に加水分解を起こすセルフポリツシング性を持つ、つま
り樹脂が被膜表層から徐々に加水分解して溶解し、これ
と同時に樹脂に分散された防汚剤が水中へ溶解していく
機構を取ることにより、非常にすぐれた防汚効果を長期
間発揮する。また、表面滑性剤の併用により、樹脂被膜
の加水分解性が適宜に抑制されて、被膜および防汚剤の
溶解性が適正に維持され、結果として防汚効果が向上す
ると同時に、この表面滑性剤自体も防汚効果を発揮する
ものである。
〔発明の構成〕
本発明の水中防汚被覆剤においては、必須成分のひと
つとして、上記の一般式(I)で示される単量体Aの一
種または二種以上の重合体つまり単独重合体または共重
合体(以下、これを重合体Aという)を用いるか、ある
いは上記単量体Aの一種または二種以上とこれと共重合
可能なビニル重合性単量体Bの一種または二種以上との
共重合体(以下、これを共重合体ABという)を使用す
る。また、上記の重合体Aと共重合体ABを必要に応じて
併用してもよい。
このような重合体Aおよび共重合体ABは、いずれも側
鎖に単量体Aに由来する、オルガノシリル基またはオル
ガノシロキサン基と、アルキレンオキシドまたはポリア
ルキレンオキシドからなるエーテル結合とを有するた
め、これら基ないし結合が水中で適宜加水分解し、これ
に伴い残存樹脂が溶解する。これと同時に、防汚剤や表
面滑性剤も水中に徐々に放出されることによつて、水中
物体表面への生物付着を効果的にかつ持続的に防止す
る。本発明者らは、このような付着防止効果が後述する
実施例にて示されるように、前記従来の水中防汚被覆剤
よりも顕著に発現されるものであることを知つた。
また、上記の重合体Aおよび共重合体ABは、有機溶剤
に易溶解性であるため、これと防汚剤および表面滑性剤
を含む水中防汚被覆剤の溶解溶液を水中に浸漬されるべ
き物体の表面に塗布し乾燥することによつて、容易に均
一に被膜化することができる。
このような重合体Aおよび共重合体ABを得るための単
量体Aは、前記の一般式(I)で示されるように、分子
内にオルガノシリル基またはオルガノシロキサン基とと
もにアルキレンオキシドまたはポリアルキレンオキシド
を有するものであつて、この式(I)中、Zは水素原子
またはメチル基であり、Xはつぎの式(a); −CpH2pO− …(a) で表される基である。
上記の式(a)において、pは2〜4の実数であり、
p=2で示されるエチレンオキシド、p=3で示される
プロピレンオキシド、p=4で示されるプチレンオキシ
ドのほかに、これらオキシドの一種または二種以上が1
分子中に混在して繰り返されるものも含まれる。また、
これらアルキレンオキシドの繰り返し単位を表すmは1
以上の実数をとりうるが、通常5,000程度迄であるのが
よい。なお、アルキレンオキシド基は脱水縮合などによ
つて導入されるため、単量体Aとしては、通常アルキレ
ンオキシド基の繰り返し数の異なる混合物となつてい
る。したがつて、上記m値はこれらの平均値()とし
て表されるべきであり、前記実数と表現しているのもこ
の理由によるものである。この観点から、後記の実施例
では上記ので表している。
また、一般式(I)中、R1〜R3はいずれもアルキル
記、アルコキシル記、フエニル基、置換フエニル基、フ
エノキシル基または置換フエノキシル基の中から選ばれ
た基であり、上記のアルキル基およびアルコキシル基の
炭素数は通常30程度迄、好ましくは18程度迄であるのが
よい。また、上記の置換フエニル基および置換フエノキ
シル基の置換基としては、ハロゲン、炭素数が5程度迄
のアルキル基、アルコキシル基、アシル基などが挙げら
れる。これらR1〜R3は互いに同一の基であつても異なる
基であつてもよい。
さらに、一般式(I)中、Yはつぎの式(b); で表される基である。ここで、R4,R5は上記のR1〜R3
同様の基またはつぎの式(c); で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
あり、n個のR4,R5は互いに同一の基であつても異なる
基であつてもよい。なお、R4,R5が前記のR1〜R3と同様
の基である場合に、これら基とR1〜R3の基とが同一であ
つても異なつていてもよいことはもちろんである。
上記の式(c)において、R6〜R8はいずれもアルキル
基、アルコキシル基、フエニル基、置換フエニル基、フ
エノキシル基、置換フエノキシル基または式(c)で表
されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基であ
り、上記のアルキル基およびアルコキシル基の炭素数は
通常30程度迄、好ましくは18程度迄であるのがよい。ま
た、上記の置換フエニル基および置換フエノキシル基の
置換基としては、ハロゲン、炭素数が5程度迄のアルキ
ル基、アルコキシル基、アシル基などが挙げられる。こ
れらR6〜R8は互いに同一の基であつても異なる基であつ
てもよい。
このような式(b)で表される基、つまりオルガノシ
ロキサン基の繰り返し数nは、0以上の実数をとりうる
が、通常は10,000程度迄であるのがよい。なお、オルガ
ノシロキサン基は脱水縮合や付加反応によつて導入され
るため、単量体Aとしては、通常オルガノシロキサン基
の繰り返し数の異なる混合物となつている。したがつ
て、上記n値はこれらの平均値()として表されるべ
きであり、前記実数と表現しているのもこの理由による
ものである。この観点から、後記の実施例では上記の
で表している。
このような単量体Aは、市販品として容易に入手可能
である。合成例としては、たとえば、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、
アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−
ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシブチ
ル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポ
リエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリ
コール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、メタク
リル酸ポリプロピレングリコール、アクリル酸ポリブチ
レングリコール、メタクリル酸ポリブチレングリコール
などと、片末端にジ−置換・モノヒドロキシシラン基を
有するオルガノシロキサン、トリ置換・モノヒドロキシ
シランなどからなる、分子内に前記R1〜R3を有するオル
ガノシリル化合物や分子内に前記R1〜R5を有するオルガ
ノシロキサン化合物とを、脱水縮合させる方法や、上記
同様の不飽和酸と対応するクロロシラン類とを塩基(た
とえば、トリエチルアミン、イミタゾールなど)の存在
下で脱塩化水素反応させる方法などがある。
このような単量体Aの具体例としては、2−(トリメ
チルシロキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ト
リイソプロピルシロキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコール−モノ(トリイソプロピルシ
リル)エーテル(メタ)アクリレート、トリエチレング
リコール−モノ(t−ブチル,ジメチルシリル)エーテ
ル((メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−
モノ(オルガノシリル)エーテル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール−モノ(オルガノポリシロ
キサン)エーテル(メタ)アクリレート、2−(トリメ
チルシロキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ト
リイソプロピルシロキシ)プロピル(メタ)アクリレー
ト、ジプロプレングリコール−モノ(トリイソプロピル
シリル)エーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコール−モノ(t−ブチル,ジメチルシリル)エ
ーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ル−モノ(オルガノシリル)エーテル(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコール−モノ(オルガノポリ
シロキサン)エーテル(メタ)アクリレート、2−(ト
リメチルシロキシ)ブチル(メタ)アクリレート、2−
(トリイソプロピルシロキシ)ブチル(メタ)アクリレ
ート、ジブチレングリコール−モノ(トリイソプロピル
シリル)エーテル(メタ)アクリレート、トリブチレン
グリコール−モノ(t−ブチル,ジメチルシリル)エー
テル(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール−
モノ(オルガノシリル)エーテル(メタ)アクリレー
ト、ポリブチレングリコール−モノ(オルガノポリシロ
キサン)エーテル(メタ)アクリレート、モノオキシエ
チレン・モノオキシプロピレングリコール−モノ(トリ
メチルシリル)エーテル(メタ)アクリレート、モノオ
キシエチレン・モノオキシプロピレングリコール−モノ
(トリイソプロピルシリル)エーテル(メタ)アクリレ
ート、、モノオキシエチレン・モノオキシプロピレン・
モノオキシブチレングリコール−モノ(オルガノシリ
ル)エーテル(メタ)アクリレート、モノオキシエチレ
ン・モノオキシプロピレン・モノオキシブチレングリコ
ール−モノ(オルガノシロキサン)エーテル(メタ)ア
クリレート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレ
ングリコール−モノ(オルガノシリル)エーテル(メ
タ)アクリレート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプ
ロピレングリコール−モノ(オルガノシロキサン)エー
テル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン・ポリ
オキブチレングリコール−モノ(オルガノシリル)エー
テル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン・ポリ
オキシブチレングリコール−モノ(オルガノシロキサ
ン)エーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピ
レン・ポリオキシブチレングリコール−モノ(オルガノ
シリル)エーテル(メタ)アクリレート、ポリオキシプ
ロピレン・ポリオキシブチレングリコール−モノ(オル
ガノシロキサン)エーテル(メタ)アクリレート、ポリ
オキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ポリオキシブ
チレングリコール−モノ(オルガノシリル)エーテル
(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン・ポリオキ
シプロピレン・ポリオキシブチレングリコール−モノ
(オルガノシロキサン)エーテル(メタ)アクリレート
などが挙げられる。
また、共重合体ABを得るために上記の単量体Aととも
に用いられるビニル重合性単量体Bとしては、たとえば
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸2−ヒドロキシエチルなどのメタクリル酸エステル
類、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル
などのアクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マ
レイン酸ジエチルなどのマレイン酸エステル類、フマー
ル酸ジメチル、フマール酸ジエチルなどのフマール酸エ
ステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル
アミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル
酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、クロトン酸
エステル、イタコン酸、イタコン酸エステルなどが挙げ
られる。
このようなビニル重合性単量体Bは、防汚被膜に用途
目的に応じた種々の性能を付与するための改質成分とし
て作用し、また単量体A単独に比しより高分子量の重合
体を得るのにも好都合な成分である。この単量体Bの使
用量は、上記性能と単量体Aに基づく防汚効果とを勘案
して、適宜の範囲に設定される。一般的には、単量体A
との合計量中に占める単量体Bの割合が95重量%以下、
好ましくは90重量%以下であるのがよい。すなわち、共
重合体ABを構成する単量体Aの割合が少なくとも5重量
%、好ましくは少なくとも10重量%であれば、この単量
体Aに基づく防汚効果を充分に発揮できるから、上記範
囲内で単量体Bの使用量を適宜設定すればよい。
重合体Aおよび共重合体ABは、上述の如き単量体Aま
たはこれと単量体Bとを、ビニル重合開始剤の存在下、
常法に準じて溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合
などの各種方法で重合させることにより、得ることがで
きる。上記のビニル重合開始剤としては、アゾビスイソ
ブチロニトリル、トリフエニルメチルアゾベンゼンのよ
うなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−
ブチルパーオキサイドなどの過酸化物などが挙げられ
る。
上記の方法にて得られる重合体Aおよび共重合体ABの
重量平均分子量は、一般に1,000〜1,500,000の範囲にあ
るのが望ましい。分子量が低すぎては、使用に耐える被
膜の形成が難くし、またあまりに高くなりすぎると被覆
剤としたときの粘度が高く、樹脂固型分が低いため1回
の塗装によつて薄い被膜しか得られず、一定以上の乾燥
被膜を得るには数回の塗装を要するという不具合が出て
くる。
本発明において必須成分の他のひとつとして使用する
防汚剤には、金属を含む有機化合物、金属を含まない有
機化合物および無機化合物などからなる従来公知のもの
が広く包含される。
金属を含む有機化合物には、有機錫系化合物、有機銅
系化合物、有機ニツケル系化合物および有機亜鉛系化合
物などがあり、その他マンネブ、マンセブ、プロピネブ
なども挙げられる。また、金属を含まない有機化合物に
は、N−トリハロメチルオフタルイミド、ジチオカルバ
ミン酸、N−アリ−ルマレイミド、3−置換アミノ−1
・3−チアゾリジン−2・4−ジオン、ジチオシアノ系
化合物、トリアジン系化合物などがある。さらに、無機
化合物としては、亜酸化銅、銅粉、チオシアン酸銅、炭
酸銅、塩化銅、硫酸銅などの銅化合物、硫酸亜鉛、酸化
亜鉛、硫酸ニツケルなどが挙げられる。
なお、上記の金属を含む有機化合物のうちの有機錫系
化合物としては、トリフエニル錫クロリド、トリフエニ
ル錫フルオリドなどのトリフエニル錫ハライド、トリシ
クロヘキシル錫クロリド、トリシクロヘキシル錫フルオ
リドなどのトリシクロヘキシル錫ハライド、トリブチル
錫クロリド、トリブチル錫フルオリドなどのトリブチル
錫ハライド、トリフエニル錫ヒドロオキシド、トリシク
ロヘキシル錫ヒドロオキシド、ビス(トリフエニル錫)
−α・α′−ジブロモサクシネート、ビス(トリシクロ
ヘキシル錫)−α・α′−ジブロモサクシネート、ビス
(トリブチル錫)−α・α′−ジブロモサクシネート、
ビス−(トリフエニル錫)オキシド、ビス−(トリシク
ロヘキシル錫)オキシド、ビス−(トリブチル錫)オキ
シド、トリフエニル錫アセテート、トリシクロヘキシル
錫アセテート、トリブチル錫アセテート、トリフエニル
錫モノクロロアセテート、トリフエニル錫バーサチツク
酸エステル、トリフエニル錫ジメチルジチオカーバメー
ト、トリフエニル錫ニコチン酸エステルなどがある。
また、有機銅系化合物としては、オキシン銅、ノニル
フエノールスルホン酸銅、カツパ−ビス(エチレンジア
ミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネート)、酢酸
銅、ナフテン酸銅、ビス(ペンタクロロフエノール酸)
銅などがある。さらに、有機ニツケル系化合物として
は、酢酸ニツケル、ジメチルジチオカルバミン酸ニツケ
ルなどが、有機亜鉛系化合物としては、酢酸亜鉛、カル
バジン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などが
ある。
なおまた、上記の金属を含まない有機化合物のうちの
N−トリハロメチルオフタルイミドとしては、N−トリ
クロロメチルチオフタルイミド、N−フルオロジクロロ
メチルチオフタルイミドなどが、ジチオカルバミン酸と
しては、ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフイ
ド、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム、エチ
レンビス(ジオチカルバミン酸)アンモニウム、ミルネ
ブなどが、N−アリールマレイミドとしては、N−(2
・4・6−トリクロロフエニル)マレイミド、N−4−
トリルマレイミド、N−3−クロロフエニルマレイミ
ド、N−(4−n−ブチルフエニル)マレイミド、N−
(アニリノフエニル)マレイミド、N−(2・3−キシ
リル)マレイミドなどが、それぞれ挙げられる。
また、3−置換アミノ−1・3−チアゾリジン−2・
4−ジオンとしては、3−ベンジリデンアミノ−1・3
−チアゾリジン−2・4−ジオン、3−(4−メチルベ
ンジリデンアミノ)−1・3−チアゾリジン−2・4−
ジオン、3−(2−ヒドロキシベンジリデンアミノ)−
1・3−チアゾリジン−2・4−ジオン、3−(4−ジ
メチルアミノベンジリデンアミノ)−1・3−チアゾリ
ン−2・4−ジオン、3−(2・4−ジクロロベンジリ
デンアミノ)−1・3−チアゾリジン−2・4−ジオン
などが、ジチオシアノ系化合物としては、ジチオシアノ
メタン、ジチオシアノエタン、2・5−ジチオシアノチ
オフエンなどが、トリアジン系化合物としては、2−メ
チルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピル
アミノ−s−トリアジンなどが、それぞれ挙げられる。
金属を含まない有機化合物としては、その他に2−ア
ミノ−3−クロロ−1・4−ナフトキノン、2・3−ジ
クロロ−1・4−ナフトキノン、5・10−ジヒドロ−5
・10−ジオキサナフト〔2・3−b〕−1・4−ジチイ
ン−2・3−ジカルボニトリルなどがある。
本発明においては、上述の如き各種の防汚剤の中から
その一種または二種以上を選択使用するが、その使用量
は、重合体Aおよび/または共重合体ABの被膜が有する
加水分解性による防汚効果と防汚剤の化学的な防汚効果
との相乗効果を勘案して適宜の範囲に設定される。一般
的には、重合体Aおよび/または共重合体ABとの合計量
中に占める防汚剤の割合が0.1〜80重量%であるのが望
ましい。防汚剤が過少では前記の相乗効果を期待でき
ず、過多では形成される水中防汚被膜にクラツク,剥離
などの被膜欠陥が生じやすくなり、効果的な防汚性が得
られにくくなる。
本発明においては、上記の重合体Aおよび/または共
重合体ABと防汚剤とに加えて、表面滑性剤を適宜併用す
ることにより、防汚効果をより一段と向上させることが
できる。この表面滑性剤には、被膜表面に滑り性を付与
するものとして知られる種々の物質が広く包含される。
代表的な例としては、JISK2235に規定される石油ワツ
クス、JISK2231で規定されるが流動パラフイン、25
℃において55,000センチストークス以下の動粘度を有す
るシリコーンオイル、−5℃以上の融点を有する炭素
数8以上の脂肪酸およびそのエステル、炭素数12〜20
のアルキル基またはアルケニル基を有する有機アミン、
25℃において60,000センチストークス以下の動粘度を
有するポリブテンなどを挙げることができる。
上記の具体例としては、パラフインワツクス、マイ
クロクリスタリンワツクス、ペトロラタムなどが、上記
の具体例としては、ISOVG10、ISOVG15、ISOVG32、ISO
VG68、ISOVG100の各相当品が、上記の具体例として
は、信越化学工業(株)製の商品名KF96L−0.65、KF96L
−2.0、KF96−30、KF96H−50,000、KF965、KF50、KF5
4、KF69、東芝シリコーン(株)製の商品名TSF440、TSF
410、TSF440、TSF431、TSF433、TSF404、TFA4200、YF38
60、YF3818、YF3841、YF3953、TSF451、東レシリコーン
(株)製の商品名SH200、SH510、SH3531、SH230、FS126
5などが挙げられる。
上記のシリコーンオイルは、ジメチルシリコーンオ
イルが最も一般的であるが、その他メチルフエニルシリ
コーンオイル、ポリエーテルシリコーンオイル、環状ポ
リシロキサンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、
メチル塩素化フエニルシリコーンオイル、高級脂肪酸変
性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイルなどの他
のものであつてもよい。
また、上記の具体例としては、カプリル酸、カプリ
ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラウ
ロレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、
鯨油酸、鮫油酸、ジユニペリン酸などが挙げられる。ま
た、これらカルボン酸のエステルとしては、ステアリル
ステアレート、ブチルラウレート、オクチルパルミテー
ト、ブチルステアレート、イソプロピルステアレート、
セチルパルミテート、セリルセロテート、ミリシルパル
ミテート、メリシルメリセート、鯨ろう、密ろう、カル
ナウバろう、モンタンろう、蟲ろう、トリステアリン、
トルパルミチン、トリオレイン、ミリストジラウリン、
カプリロラウロミリスチン、ステアロパルミトオレイ
ン、モノステアリン、モノパルミチン、ジステアリン、
ジパルミチン、牛脂、豚脂、馬脂、羊脂、鱈肝油、ヤシ
油、パーム油、木ろう、カプツク油、カカオ脂、支那
脂、イリツペ脂などが挙げられる。
さらに、上記の具体例としては、トデシルアミン、
テトラドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデ
シルアミン、オレイルアミン、牛脂、アルキルアミン、
ココアルキルアミン、大豆油アルキルアミン、ジドデシ
ルアミン、ジ牛脂水素化アルキルアミン、ドデシルジメ
チルアミン、ココアルキルジメチルアミン、テトラデシ
ルジメチルアミン、ヘキサメチルジメチルアミン、オク
タデシルジメチルアミンなどが、上記の具体例として
は、日本油脂(株)製の商品名ニツサンポリブテン0N、
06N、015N、3N、5N、10N、30N、200N、0SH、06SH、015S
H、3SH、5SH、10SH、30SH、200SHなどが挙げられる。
本発明においては、上述の如き各種の表面滑性剤の中
からその一種または二種以上を選択使用するが、その使
用量としては、前記の重合体Aおよび/または共重合体
ABと防汚剤とに基づく乾燥性,密着性などの性能とさら
に防汚性能とを勘案して、適宜の範囲に設定される。一
般的には、重合体Aおよび/または共重合体ABと表面滑
性剤との合計量中に占める表面滑性剤の割合が0.1〜70
重量%、好ましくは0.5〜50重量%であるのがよい。
本発明の水中防汚被覆剤は、既述のとおり、前記の重
合体Aおよび/または共重合体ABと防汚剤、またはこれ
らとさらに上記の表面滑性剤とを必須成分として含ませ
てなるものであり、通常は有機溶剤にて希釈して用いら
れる。このため、前記の重合体Aおよび/または共重合
体ABを得るにあたつての重合法としては、特に溶液重合
法または塊状重合法を採用するのが望ましい。溶液重合
法では重合後の反応溶液をそのままあるいは溶剤で希釈
して使用に供することができるし、塊状重合法では重合
後の反応物に溶剤を加えて使用に供しうる。
上記目的で使用する有機溶剤としては、キシレン、ト
ルエンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタ
ンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチ
ルなどのエステル系溶剤、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコールなどのアルコール系溶剤、ジオキサン、
ジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤の
単独もしくはこれらの混合溶剤が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、溶液中の重合体Aおよび/また
は共重合体ABの濃度が通常5〜90重量%、好ましくは15
〜85重量%の範囲となるようにするのがよい。このとき
の溶液の粘度は、被膜化が容易となる一般に150ポイズ
以下/25℃であるのがよい。
このように構成される本発明の水中防汚被覆剤には、
必要に応じて弁柄、二酸化チタンなどの顔料や染料など
の着色剤を配合してもよい。また、通常のタレ止め剤、
色分れ防止剤、沈降防止剤、消泡剤などを加えてもよ
い。
さらに、本発明で用いる重合体Aおよび/または共重
合体ABは、水の存在によつて加水分解するので、被覆剤
を調製する際、防汚剤や顔料中に含まれる水分を捕捉す
るための、いわゆる水結合剤を系中に添加することが望
ましい。このような水結合剤の例としては、オルトギ酸
トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリブ
チルなどのオルトギ酸トリアルキル類、オルト酢酸トリ
メチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリブチル
などのオルト酢酸トリアルキル類、オルトほう酸トリメ
チル、オルトほう酸トリエチル、オルトほう酸トリブチ
ルなどのオルトほう酸トリアルキル類、テトラメチルシ
リケート、テトラエチルシリケート、テトラブチルシリ
ケート、テトラ(2−メトキシエチル)シリケート、テ
トラ(2−クロロエチル)シリケートなどのテトラ(置
換)アルキルシリケート類、テトラフエニルシリケー
ト、テトラベンジルシリケートなどのテトラ(置換)ア
リールシリケート類、また上記のテトラ(置換)アルキ
ルシリケート類やテトラ(置換)アリールシリケート類
の縮合物(ダイマー、トリマー、テトラマー、ヘキサマ
ーなど)などの加水分解性エステル化合物類、フエニル
イソシアネート、ベンゼンスルフオニルイソシアネート
などのイソシアネート基を有する化合物などがある。
本発明の水中防汚被覆剤を用いて水中に浸漬されるべ
き物体の表面に防汚被膜を形成するには、たとえば溶液
としての上記被覆剤を上記物体の表面に適宜の手段で塗
布し、常温下ないし加熱下で乾燥して溶剤を揮散除去す
るだけでよい。
〔作用〕
本発明に用いられる前記の重合体Aおよび/または共
重合体ABは、いずれも単量体Aに由来するオルガノシリ
ル基またはオルガノシロキサン基とアルキレンオキシド
基またはポリアルキレンオキシド基とを有するため、形
成される被膜に加水分解性を付与するものである。ま
た、ビニル重合性単量体Bは、共重合体ABの被膜に必要
により程度の加水分解性を付与するため、また単量体A
単独に比較してより高分子量の重合体を得るための好都
合な調節成分として作用するものである。
本発明に用いられる防汚剤は、水中生物の付着を化学
的に防止するものであつて、重合体Aおよび/または共
重合体ABから得られる被膜が適宜加水分解し、溶解する
と同時に、防汚剤や表面滑性剤も水中に徐々に溶出され
ることによつて防汚効果を長時間持続させることができ
る。また、本発明に用いられる表面滑性剤は、被膜の加
水分解調整機能および物理的防汚機能としての作用を有
しており、防汚性の向上に大きな役割を果たしている。
上記の如く、本発明における重合体Aおよび/または
共重合体ABと防汚剤、またはこれらと表面滑性剤との併
用系によれば、重合体Aおよび/または共重合体ABが防
汚剤の過度の溶出および溶出不足を適度に調節する機能
を持ち、被膜の防汚性能は中期にわたつて安定に維持さ
れていると考えられる。
〔発明の効果〕
本発明の水中防汚被覆剤は、以上述べてきたような特
徴ある性質を有しているため、水中生物汚損の防止が必
要な船底部、魚網や冷却水管などの水中構造物、さらに
は海洋土木工事の汚泥拡散防止に用いられる海洋汚濁防
止膜などに適用した場合に、著しい防汚効果を示し、水
中没水基材の生物付着汚損を効果的に防止することがで
きる。
〔実施例〕
つぎに、本発明を重合体の製造例、実施例および比較
例によつて具体的に説明する。例中の部は重量部、粘度
は25℃における泡粘度測定値、分子量はGPCによる重量
平均分子量を表す。
製造例1〜8 攪拌機付きのフラスコに、第2表(の1,2)の配合に
準じて溶剤aを仕込み、所定の反応温度に昇温させ、攪
拌しながら単量体A、単量体Bおよび重合触媒aの混合
液をフラスコの中へ6時間で滴下し、滴下終了後同温度
で30分間保持した。ついで、溶剤bと重合触媒bとの混
合物を20分間で滴下し、さらに同温度で5時間攪拌を続
けて重合反応を完結させた。最後に、希釈溶剤を加えて
希釈し、各重合体溶液I〜VIIIを得た。
製造例9 耐熱耐圧の容器に、第2表(の1,2)の配合に準じて
単量体A、単量体Bおよび重合触媒aを仕込み、完全に
密封して振蕩しながら所定の反応温度に昇温させ、この
温度で8時間振蕩を続けて反応を完結させた。つぎに、
希釈溶剤を加えて3時間振蕩して溶解し、重合体溶液IX
を得た。
製造例10 攪拌機付きのフラスコに、第2表(の1,2)の配合に
準じて溶剤a、単量体Aおよび重合触媒aを仕込み、攪
拌しながら所定の反応温度に昇温させ、この温度で6時
間攪拌を続けて、重合体溶液Xを得た。
なお、上記の製造例1〜10で用いた単量体A(A1〜A
10)は、前記の一般式(I)中のZ,X〔式(a)におけ
るp〕、m()、Y〔式(b)におけるR4,R5〕、n
()、R1〜R3が下記の第1表に示されるとおりの構造
を有するものである。
実施例1〜56 重合体溶液I〜Xを用いて、つぎの第3〜5表に示す
配合組成(表中の数値は重量%)により、2,000rpmのホ
モミキサーで混合分散して、56種の水中防汚被覆剤を調
製した。
なお、配合成分中、パラフインワツクス120Pおよびペ
トロラタム1号はJIS K2235の石油ワツクス、ISOVG−10
はJIS K2231の流動パラフインである。また、KF−69は
信越化学工業(株)製のシリコーンオイル、ニツサンポ
リブデン06Nは日本油脂(株)製のポリブテンである。
これらはいずれも表面滑性剤の1種として用いたもので
ある。
なおまた、オイルブルー2N〔オリエント化学(株)製
の商品名〕は染料、デイスパロン6900−20X〔楠本化成
(株)製の商品名〕およびアエロジール300〔日本アエ
ロジール(株)製の商品名」はいずれもタレ止め用添加
剤である。
比較例1〜4 重合体液体I〜Xに代わりに、有機錫共重合体溶液を
用いた以外は、実施例1〜56と同様にして、つぎの第6
表に示す配合組成からなる4種の水中防汚被覆剤を調製
した。
なお、上記の有機錫共重合体溶液とは、メタクリル酸
メチル40部、アクリル酸オクチル20部、メタクリル酸ト
リブチル錫40部を用いて重合した共重合体溶液で、共重
合体の重量平均分子量が90,000の透明なキシレン50重量
%溶液である。
比較例5〜7 重合体溶液I〜Xの代わりに、加水分解性有機ケイ素
共重合体溶液を用いた以外は、実施例1〜56と同様にし
て、つぎの第6表に示す配合組成からなる3種の水中防
汚被覆剤を調製した。
なお、上記の加水分解性有機ケイ素共重合体溶液と
は、トリメチルシリルメタクリレート35部、メタクリル
酸メチル45部、アクリル酸n−ブチル20部を用いて重合
した共重合体溶液で、共重合体の重量平均分子量が7,00
0の透明なキシレン50重量%溶液である。
以上の実施例1〜56および比較例1〜7の各水中防汚
被覆剤につき、以下の各試験を行つた。その結果は、後
記の第7,8表に示されるとおりであつた。
<性能試験> 各水中防汚被覆剤の貯蔵安定性、乾燥性および密着性
を下記方法にて測定した。
A)貯蔵安定性 各水中防汚被覆剤を容量250ccのマヨネーズビンに200
cc入れ、蓋をして密封した。これを温度70℃,湿度75%
の恒温恒湿器中に保存して、2週間後の各試料の増粘度
により、貯蔵安定性を判定した。初期粘度(KU:約70)
より増加率が10%未満のときを○、10%以上100%未満
のときを△、100%以上のときを×と評価した。
B)乾燥性 JIS K5400.5.8の方法に準じて行つた。すなわち、各
水中防汚被覆剤をフイルムアプリケーターにてウエツト
膜厚100μmの厚さでガラス板に塗布したものについて
測定を行った。半硬化乾燥時間が1時間未満を○、1時
間以上3時間未満を△、3時間以上を×と評価した。な
お、各試験板は温度20℃,湿度75%の恒温恒湿室にて乾
燥を行つた。
C)密着性 各水中防汚被覆剤をフイルムアプリケーターにてウエ
ツト膜厚100μmの厚さで磨き銅板(150×70×1mm)に
塗布し、1週間、温度20℃,湿度75%の恒温恒湿室にて
乾燥させた被膜に、カツターナイフで20mmの長さに×字
型に下地まで達する切り傷をつけた。その中心を試験板
裏面よりエリクセン試験機にて10mmの押し出しを行つ
た。その際、被膜表面の×字型切り傷部の中心より剥離
した長さによつて密着性を判定した。剥離のないときを
○、5mm未満のときを△、5mm以上のときを×と評価し
た。
<防汚性能試験> 各水中防汚被覆剤を、サンドブラスト処理鋼板に予め
タールビニル系防錆塗料を塗布してなる塗装板(100×2
00×1mm)の両面に、乾燥膜厚が片面120μmとなるよう
にスプレー塗りにより2回塗装し、20℃,75%相対湿度
の恒温恒湿室にて1週間乾燥させて、試験板を作製し
た。
この試験板につき、生物付着の激しい海域である兵庫
県相生市相生湾にて、24ケ月の海水浸漬を行い、試験被
膜上の付着生物の占有面積(付着面積)の割合を経時的
に測定した。
上記の第7,8表の結果から明らかなように、実施例1
〜56の本発明の水中防汚被覆剤は、貯蔵安定性、乾燥
性、密着性のいずれも良好であり、防汚性能試験におけ
る生物の付着は24ケ月経過後まで全く認められなかつ
た。
これに対し、比較例1〜4は有機錫共重合体系の水中
防汚被覆剤であるが、貯蔵安定性および防汚性において
やや劣つていた。また、比較例5〜7の被覆剤では、加
水分解および樹脂の溶解がかなり速いためか、防汚剤の
溶解も速くなり、防汚性能の持続性に劣つていた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】つぎの一般式(I): {ただし、式中、Zは水素原子またはメチル基であり、
    mは1以上の実数、nは0以上の実数である。また、X
    はつぎの式(a); −CpH2pO− …(a) (ただし、式中、pは2〜4の実数である)で表される
    基であり、Yはつぎの式(b); 〔ただし、式中、R4,R5はいずれもアルキル基、アルコ
    キシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル
    基、置換フエノキシル基またはつぎの式(c); (ただし、式中、R6〜R8はいずれもアルキル基、アルコ
    キシル基、フエニル基、置換フエニル基、フエノキシル
    基、置換フエノキシル基または式(c)で表されるオル
    ガノシロキサン基の中から選ばれた基であつて、互いに
    同一の基であつても異なる基であつてもよい) で表されるオルガノシロキサン基の中から選ばれた基で
    あつて、互いに同一の基であつても異なる基であつても
    よい〕 で表される基である。さらに、R1〜R3はいずれもアルキ
    ル基、アルコキシル基、フエニル基、置換フエニル基、
    フエノキシル基または置換フエノキシル基の中から選ば
    れた基であつて、互いに同一の基であつても異なる基で
    あつてもよい。} で示される単量体Aの一種または二種以上の重合体、お
    よび/または上記単量体Aの一種または二種以上とこれ
    と共重合しうるビニル重合性単量体Bの一種または二種
    以上とからなる共重合体と、防汚剤とを必須成分として
    含有することを特徴とする水中防汚被覆剤。
  2. 【請求項2】上記の重合体および/または共重合体と防
    汚剤とのほかに、さらに表面滑性剤を必須成分として含
    有することを特徴とする請求項(1)に記載の水中防汚
    被覆剤。
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