JP2789364B2 - 耐酸化性の優れた永久磁石合金の製造方法 - Google Patents

耐酸化性の優れた永久磁石合金の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,耐酸化性の優れた希土類(R)−鉄(Fe)
−硼素(B)−炭素(C)からなる永久磁石合金の製造
法に関する。
〔従来の技術〕
近年,Sm−Co系磁石の磁力を凌ぐ次世代の永久磁石と
してR−Fe−B系磁石が佐川等によって開示されて以
来,多くの報告がなされてきた。しかしながら,該磁石
はSm−Co系磁石に比べて磁石では優れるものの,その磁
気特性の熱安定性及び耐酸化性が著しく劣り,例えば特
開昭59−46008号公報で開示された永久磁石材料では実
用上耐え得ることは困難である。
事実,上述報告の多くは耐酸化性に対する欠点を指摘
しその改善に関するものを開示している。この耐酸化性
の改善法としては,合金組成による方法と,磁石の表面
を耐酸化性の保護皮膜で覆う方法に大別される。
前者の例として,例えば特開昭59−64733号公報はFe
の一部をCoで置き換えることにより磁石に耐食性を付与
できると教示し,また特開昭63−114939公報はマトリッ
クス相へAl,Zn,Sn等の低融点金属元素若しくはFe,Co,Ni
等の高融点金属元素を含有せしめることにより耐酸化性
が改善されると教示する。更には特開昭62−133040号公
報及び特開昭63−77103号公報では,磁石中のCが酸化
を促進するとし,このCの含有量を所定以下にすること
により耐酸化性が改善されると教示する。
しかしながら,これはの合金組成による耐酸化性改善
法だけではその効果に限界があり,実用に耐える得るこ
と実際には困難である。このようなことから実用に際し
ては前出の特開昭63−114939号公報に示されるような複
雑かつ多数の工程を経て磁石の表面(磁石品の最外露出
表面)を耐酸化性の保護皮膜で被覆することが必要とな
る。
この磁石品表面への耐酸化性保護皮膜の形式に関して
は,メッキ法,スパッタ法,蒸着法,有機物被膜法等に
よって耐酸化性物質を被覆することが提案されている。
しかし,いずれの場合も磁石の外表面に数十μm以上も
の強固且つ均質な保護膜相を形成させることが必要とさ
れるので,その操作は複雑且つ多数工程からなることを
余儀なくされ,これにより,剥離性,寸法精度,更には
コストアップの問題を避けることはできなかった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように,従来のR−Fe−B系,R−Fe−Co−B系お
よびP−Fe−Co−B−C系磁石では,耐酸化性において
抜本的な改善効果を得るには至っておらず,Sm−Co系に
比べて優れた磁気特性を有し且つ豊富な資源を背景に安
定供給という大きなメリットを有するにも拘らず,実用
レベルでは磁石表面を雰囲気から遮断するための耐酸化
性保護皮膜の形成が余儀なくされ,これによるコストア
ップ及び寸法精度の変動等から上記メリットが大きく損
なわれるという問題があった。
一般にR−Fe−B系磁石は,磁性結晶粒子とBリッチ
相及びNdリッチ相を含む非磁性相とから構成され,その
酸化機構については,先ず磁石表面又は表面に近いBリ
ッチ相から酸化が進行し,次いでNdリッチ相へと移行す
ると言われている。このことから,耐酸化性を改善する
にはBを可能な限り低減すること,およびNdリッチ相へ
の耐酸化性付与が必要となるが,従来技術では実用レベ
ルの高い磁性特性を得るためにBの含有量を高くせざる
を得ないのが実情であり,またNdリッチ相への耐酸化性
付与も著しい成果を上げていない。
例えば前摘の特開昭59−64733号公報ではFeの一部をC
oで置き換えることにより耐食性を付与することを提案
しているが,耐酸化性に対するBの含有量については一
切言及しておらず,1KOe以上の保磁力(iHc)を確保する
ためにB含有量を2〜28原子%としており,iHcを3KOeに
するためにはB含有量は少なくとも4原子%必要である
とし,さらに実用レベルの高iHcを得るためにはBの含
有量を更に高くすることを教示している。このように,B
を多く含有させて高い磁気特性を確保する場合には,Co
添加で耐食性を付与しても耐酸化性が十分に発揮させる
ことは実際には困難であり,したがって,かようなを多
く含有する磁石を実用化するには,該公報の発明者等が
述べているように磁石表面(磁石品の最外露出表面)に
強固な耐酸化性保護皮膜の形成が必須となる。
また,前出の特開昭63−114939号公報ではマトリック
ス相へA1,Zn,Sn等の低融点金属元素またはFe,Co,Ni等の
高融点金属を含有せしめることにより活性なNdリッチ相
の耐酸化性を改善することを教示し,例えば該公報に記
載された実施例によれば,焼結体の耐候性試験(60℃×
90%RH)の結果では,磁石表面に赤錆が認められる放置
時間は,比較例の25時間に対して100時間まで改善され
たと記されている。しかしながら,このような状態では
実用レベルでの使用は困難であり,実際には磁石表面へ
の強固な耐酸化性保護膜の形成が必要となる。したがっ
て,この場合にも磁石自身の抜本的な耐酸化性の改善は
困難である。なお,この公報も耐酸化性に対するBの含
有量については一切言及しておらず,実施例で示された
Bの含有量は3.5〜6.7原子%であることから前出の特開
昭59−46008号公報で開示する2〜28原子%の範囲内の
Bの含有を意図しているものと考えてよい。
本発明の目的は,このようなR−Fe−B−系永久磁石
の問題,とりわけ耐酸化性の問題を解決することにあ
り,従来材のように磁石品の最外露出表面に保護膜を形
成しなくても,高い磁気特性を保持しながら該磁石自身
に優れた耐酸化性を付与することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は,これらの問題を解決するため,磁石表
面を耐酸化性保護膜で被覆するという従来の巨視的な観
念ではなく,微視的な観念による抜本的な耐酸化性の改
善を鋭意検討した結果,磁石中の磁性結晶粒の各々を耐
酸化性に優れた保護膜で被覆する新規技術を見出すに至
り,耐酸化性が画期的に高められた新規な永久磁石合金
を製造することができた。
すなわち本発明者らは,粗合金の溶湯を溶製する程
度,この溶湯から直接粉末とするか若しくは該溶湯を合
金塊に鋳造したうえこれを粉砕して該合金の粉末を製造
する工程,得られた粉末を成形する工程,そして該成形
品を焼結する程度,を経てR−Fe−B−C系永久磁石合
金(但し,RはYを含む希土類元素が少なくとも1種)を
製造するさいに適切な操作を加えると,焼結磁石中の磁
性結晶粒の各々を耐酸化性保護膜で被覆することができ
ることを思い出したものであり,その操作の要部は, (1)成形工程前の合金魂または粉末を500〜1100℃の
温度で0.5時間以上熱処理すること, (2)溶製工程後成形工程前の段階でC原料の一部また
は全部を配合すること, (3)前記の(1)と(2)を組合せること, にあり,これによって,磁性結晶粒よりもC濃度の高
い耐酸化性保護膜が磁性結晶粒の周囲に生成し,耐酸化
性の著しく優れたR−Fe−B−C系永久磁石合金が製造
できたものである。なお,本願の特許請求の範囲は前記
(2)と(3)の操作を規定するので、前記の(1)単
独の操作については参考例として記述する。
ここで,焼結磁石中の磁性結晶粒の各々を覆う前記の
耐酸化性保護膜は,磁性結晶粒を構成している合金元素
の実質上全てを含み且つその0.1〜16重量%がCからな
る。耐酸化性保護膜の厚みは,磁性結晶粒の粒径が0.5
〜50μmの場合,0.001〜15μmである。
本発明によれば,磁性結晶粒と耐酸化性保護膜とを併
せた全体の組成が,原子百分比で,R:10〜30%,B2%未満
(0原子%含まず),C:0.5〜20%,残部がFeおよび製造
上不可避な不純物からなる永久磁石合金が得られ,耐酸
化性保護膜が磁性結晶粒の各々を覆っていることに加
え,Bが2%未満でも優れた磁気特性が付与され得る点で
も従来品とは区別される新規な永久磁石合金が提供され
る。
〔作用〕
前記(1)の合金塊または粉末の熱処理操作を行う
と,合金塊または粉末中の固溶Cが粒界に濃縮または析
出し,このCが焼結時に磁性結晶粒を覆う粒界相に濃縮
される結果,磁性結晶粒の周囲に耐酸化性保護膜が形成
されると考えられる。また前記(2)の操作では成形焼
結前の粉末にC原料を外部から付与するので,このCが
同じく焼結時に磁性結晶粒を覆う粒界相に濃縮され,磁
性結晶粒の周囲に耐酸化性保護膜が形成されると考えら
れる。
本発明による永久磁石は,従来のように磁石の最外表
面を耐酸化性の保護皮膜で被覆しなくても,磁石自身が
極めて優れた耐酸化性を有するので,例えば前出の60℃
×90%RHの恒温恒湿下で5040時間,磁石表面を露出した
まま放置してもBrおよびiHcの減磁は各々0.3〜10%,0〜
10%と極めて少ない。したがって,このような環境下で
も磁石表面を被覆する保護膜の形成は不要となる。かよ
うな本発明磁石の耐酸化特性ひいては耐減磁性は従来の
ものでは達成し得なかったものであり,この点で全く新
規な永久磁石であると言える。
一方,本発明磁石の磁気特性については,等方性焼結
磁石ではBr≧4000(G),iHc≧4000(Oe),(BH)max
≧4M・G・Oe,異方性結晶磁石ではBr≧7000(G),iHc
≧4000(Oe),(BH)max≧10M・G・Oeであり,従来の
Nd−Fe−B系永久磁石と同等以上の値を有する。
このような特性は,本発明磁石を構成している各磁性
結晶粒の各々を適切なC含有量をもつ非磁性膜で覆った
ことによって得られたものである。すなわち,非磁性相
である粒界相にCの所定量を含有せしめることにより,
この非磁性相に著しい耐酸化性機能を付与することがで
きると共に,該C含有保護膜の形成はB量の低減を可能
とし,これにより2原子%未満のBでも磁気特性は従来
と同等レベル以上が確保できる。
〔発明の態様の説明〕
本発明においては,磁性結晶粒よりもC濃度が高い非
磁性相で磁性結晶粒の各々を包囲するという特徴的な組
織をもつR−Fe−B−C系永久磁石合金の製造法を提供
するものであり,Cの挙動が重要なポイントである。そこ
で,まずこのCについて説明する。
「Cの挙動」 従来,この系統の磁石のCについては,例えば前出特
開昭59−46008号公報では磁石中のBの含有量を2〜28
原子%と規定し,2原子%未満では保磁力iHcが1KOe未満
になることを指摘したうえ,多量のBを用いる場合には
コストダウンのメリットからBの一部をCで置換するこ
とが可能であることを開示している。また特開昭59−16
3803号公報では,R−Fe−Co−B−C系磁石を開示し,磁
石中のBの含有量を2〜28原子%,Cの含有量を4原子%
以下としている。ここではBとCの具体的な併用が開示
されているが,Cの併用にも拘らずBの含有量を2原子%
以上を必須とし,2原子%未満のBでは上記特開昭59−46
008号公報と同様にiHcが1KOe未満となると指摘してい
る。このことは,該公報にも指摘あるように,Cは磁気特
性を低下させる不純物であるが,例えば粉末の成形時に
用いる滑剤等からのCの混入は不可避であること,また
これを完全に取り除く操作はコストアップを招くという
理由から,ハードフエライト磁石相当のBr4000Gまでな
らCの含有量として4原子%以下を含有してもよいと提
案するものであり,磁気特性に対してはむしろ有害に作
用する消極的元素として把握されていたのである。ま
た,特開昭62−13304号公報ではR−Fe−Co−B−C系
磁石において耐酸化性を改善するためにはCの含有量を
0.05重量%(原子百分比で約0.3%)以下に抑制するこ
とを提案し,更に他の出願人による特開昭63−77103号
公報でも同じ目的から,Cを1000ppm以下にすることを教
示している。これらのことからCの含有は耐酸化性に対
しても有害に作用すると考えられていたのである。
本発明は,このように磁気特性および耐酸化性につい
て消極的な元素とされていたCを,積極的に粒界相に含
有せしめるものであり,これによって磁性結晶粒表面へ
の耐酸化性保護膜の形成を可能としただけでなく磁気特
性の向上が図れることを見出したものである。すなわち
Cを粒界相に含有させるとBの含有量が公知な範囲であ
っても従来に比べて耐酸化性が改善され,特に2原子%
未満ではその効果が更に著しいものになる。また磁気特
性についても,従来ではBの含有量が2原子%未満では
iHcが1KOe以下になるとされていたが,本発明の場合に
は2原子%未満であってもiHcは4KOe以上を示すように
なる。このような新規な効果はC含有耐酸化性保護膜の
形成によりもたらされる。
このCを粒界相に積極的に含有せしめ個々の磁性結晶
粒の表面をこれら均質且つ強固な耐酸化性保護膜によっ
て被覆する方法として,この合金の製造過程で前記の
(1),(2)または(3)の操作を加える。
前記(1)の熱処理の操作,すなわち成形工程前の合
金塊または粉末を500〜1100℃の温度で0.5時間以上熱処
理する操作は,粒界へのCの偏析を促進させるものであ
る。成形・焼結前の合金魂または粉末を500〜1100℃の
温度範囲,好ましくは700〜1050℃の温度範囲に加熱す
るとCが粒界に移動しCの偏析が起こる。この点,例え
ば特開昭61−143553号公報では,R−Fe−B系の鋳造合金
組成の偏析を解消することを目的として熱処理すること
を提案しているが,本発明は偏析を解消するのではなく
Cの偏析を積極的に起こさせるために熱処理するのであ
り,熱処理の目的とその利用の仕方は,該従来例の場合
とは全く相反するものである。また本発明において
(1)の熱処理操作を行うことにより磁気特性も改善さ
れるという利点もある。
この熱処理操作によって粒界にCを偏析させるには粗
合金中にCが存在することが必要であるが,これは粗合
金の溶製工程において原材料中から不可避的に混入した
ものであってもよいが,積極的に溶製時にC原料を積極
添加するのが実際的である。
一方,前記(2)の操作,すなわち溶製工程後成形工
程前の段階でC原料を配合する操作は,粗合金にC原料
を二次添加するものであり,実際には成形前の粗合金粉
末にカーボンブラックのような微粉を混合することによ
って行うのがよい。この粗合金粉末と炭素粉末との混合
粉を成形・焼結することにより,より効果的に焼結製品
磁石の非磁性相にCを含有させることができる。
いずれの操作による場合にも,最終の焼結製品磁石の
各磁性結晶粒を包囲する耐酸化性保護膜中のC濃度が16
重量%を超えると磁石のBr値の低下が著しくなるので,1
6重量%以下となるようにするのがよい。また,前記
(1)と(2)の操作の組合せによって,意図するC濃
度の高い耐酸化性保護膜を形成することも勿論可能であ
り,これによれば,更に均質且つ強固な耐酸化性保護膜
を磁性結晶粒表面に形成させることができる。
次に本発明が対象とする永久磁石合金の成分組成につ
いて説明する。
「合金の成分組成」 本発明法による磁石合金の組成(磁性結晶粒と耐酸化
性保護膜とを併せた全体の組成)は,原子百分比で,好
ましくは,R:10〜30%,B:28%まで(0原子%を含まず。
ただし2%未満でも十分な磁気特性を示す),C:0.5〜20
%,残部がFeおよび製造上不可避な不純物からなる。
まず,本発明合金を構成する必須元素のRは希土類元
素であってY,La,Ce,Nd,Pr,Tb,Dy,Ho,Er,Sm,Gd,Eu,Pm,T
m,YbおよびLuのうちの一種または二種以上である。二種
以上の混合物であるミッシュメタル,ジジム等も原料と
することができる。ここでRを好ましくは10〜30原子%
とするのは,この範囲内ではBrが実用上非常に優れてい
るためである。
Bは,公知範囲の2原子%を超えて28原子%までの含
有量とすることもでき,この場合にも従来合金に比べて
耐酸化性は著しく改善され,本発明の前記目的が達成さ
れるのであるが,Bが2原子%未満,更に好ましくは1.8
原子%以下においてより一層の効果がある。他方,B無添
加では耐酸化性は良好となるものの,iHcが極端に低下す
る。B原料としては,純ボロン又はフエロボロンを用い
ることができ,フエロボロンとしてA1,Si等の不純物を
含有するものでも用いることができる。
磁石中の総C含有量としては好ましくは0.5〜20原子
%とするが,特に耐酸化性保護膜中のCは耐酸化性を付
与するだけでなく,Bの減少に伴うiHcの低下を制御する
効果をもたらすことから,その含有量は非磁性相の耐酸
化性保護膜の組成において.好ましくは0.1〜16重量
%,更に好ましくは0.2〜12重量%を必須とする。該保
護膜中のCの含有量が0.1重量%未満では耐酸化性を付
与することができず,そのさいBの含有量が少ない場合
にはiHcが4KOe未満となる。一方該保護膜中のC量が16
重量%を超えるとBrの低下が著しくもはや実用が困難と
なる。なお,耐酸化性保護膜の組成としては磁性結晶粒
を構成している合金元素の実質上全てを含む。
磁石の総C含有量については,これが20原子%を超え
てもBrの低下が著しく,また0.5原子%未満ではもはや
耐酸化性を付与することは困難となり,実用上0.5〜20
原子%が好ましい。Cの原料としてはカーボンブラッ
ク,高純度カーボンまたはNd−C,Fe−C等の合金を用い
ることができる。
以上のような成分組成の永久磁石合金を,本発明によ
れば,次のような製造工程によって製造する。
「製造法の各工程」 ・粗合金の製造工程 上記所定範囲の組成によるように秤量・配合された原
料混合物(但し前記(2)の操作を行う場合には二次添
加のC量を減じた原料混合物)を真空ないし不活性ガス
雰囲気中で高周波溶解炉またはアーク溶解炉を用いて溶
解する。得られた溶湯を水冷銅鋳型法を用いて合金塊に
鋳造するか,或いは該溶湯からアトマイズ法や回転デス
ク法等の粉化法を適用して粗合金の粉末とする。
・粗合金の熱処理工程(前記(1)の操作) 前記工程で得られた該合金塊または合金粉末を熱処理
して既述のようにCを偏析させるのであるが,この熱処
理は,不活性ガス雰囲気中,加熱温度500〜1100℃,好
ましくは700〜1050℃で0.5〜時間以上保持した後冷却す
る。ここで,加熱温度が500℃未満ではCが粒界相に偏
析する効果が小さくまた磁気特性の改善も小さい。一方
1100℃でその効果は飽和する。保持時間については0.5
時間未満ではその効果が小さく,0.5時間以上で効果的と
なるが,極端に長時間となると経済的にも不利であり,2
4時間以内が好ましい。熱処理後の冷却速度については
特に限定されない。この熱処理後において,ジョークラ
ッシャー,ロールクラッシャー,スタンプミル等を用い
て不活性ガス雰囲気中で32mesh以下好ましくは100mesh
以下に粗粉砕する。
・C原料の二次添加操作(前記(2)の操作) 溶製工程で添加しなかったC,若しくは溶製工程で添加
はしたが不足するCを二次添加して意図する量のCを配
合するのであるが,この二次添加の時期は,粗合金の製
造後であって後続の粉末成形工程の前で行う。前記のC
偏析のための熱処理工程の前に添加して,この二次添加
したCをもつ材料を前記の熱処理に供することもでき
る。この場合にはよりCの偏った粒界相を形成すること
ができる。C原料の二次添加量は,溶解時に配合されな
かった分に相当する量となる。粗合金が合金塊であろう
と粉末であろうと,これにC原料を二次添加したあと
は,その混合物をボールミルや振動ミル等で微粉砕する
のが好ましい。また,粗合金の合金塊または粉末を微粉
砕したあと,これを成形工程に付すまえに微粉状のC原
料を混配合してもよい。いずれにしても,C原料としては
1mm以下,好ましくは200μm以下の粉末が好適である。
・成形工程 前記の工程で得られた微粉状の材料は,所望の形状に
圧粉成形する。この成形に供する前に,微粉に粉砕する
工程が通常は存在するが,この微粉砕工程は不活性ガス
雰囲気中で行う乾式粉砕法,若しくはトルエン等の有機
溶媒中で行う湿式法のいずれかを採用するのがよく,粉
末の平均粒度としては1〜50μm,好ましくは1〜20μm
に調整する。そのさい,Cを二次添加した材料ではこの微
粉砕のさいにCが粉砕助剤として機能する。この微粉砕
によって得られる粉砕の平均粒度が1μm未満になる
と,粉末の活性化が著しく酸化の影響を受けやすくなり
磁気特性の低下を招く原因となり,他方,50μmを超え
ると磁石製品において高い保磁力が得られなくなる。な
お,粗合金の溶湯からアトマイズ法により平均粒径を1
〜50μmの微粉末を製造した場合には,前記(1)の熱
処理後または前記(2)のC二次添加後,粉砕工程を省
略して成形に供することができる。
このようにして得た微粉末を成形するのであるが,成
形圧力としては0.5〜5t/cm2の範囲がよい。また高い磁
気特性を目的とする場合には磁界中(5〜20KOe)での
成形を行う。この成形操作はトルエン等の有機溶媒中
で,または乾式においてはステリアン酸等の滑剤を用い
て,行うことができるが,Cを二次添加した材料の場合に
はこのCが成形時の滑剤としても機能する。
・焼結工程 次いで前記の成形体は焼結処理に供されるが,この焼
結は真空中または不活性ガス若しくは還元性雰囲気中で
実施する。焼結温度としては950〜1150℃の範囲,その
温度での保持時間は0.5〜4時間の範囲が好適である。
焼結温度が950℃未満では十分な焼結が得られず,また1
150℃を超えると磁性結晶粒の粗大化が進みBr,iHcの低
下が著しくなる。また保持時間が0.5時間未満では均質
な焼結体が得られず,4時間を超えても効果は少ない。
焼結処理のあとの冷却過程では急冷,もしくは徐冷と
急冷との組合せを行うのがよい。急冷法としては,ガス
急冷,油中急冷等を用いることができ,徐冷は炉内徐冷
が適用できる。徐冷と急冷を組み合わせる方法は特に好
ましく,この場合には,焼結終了後,0.5〜20℃/分の速
度で冷却し,次いで温度が600〜1050℃に達した後,直
ちに急冷するのがよい。これによって磁性結晶粒を被覆
する耐酸化性保護膜を均質且つ強固なものとすることが
できる。徐冷帯域での冷却速度が0.5〜20℃/分の範囲
外では均質化が不十分となり,また急冷開始温度が600
〜1050℃の範囲外であると,上記保護膜の均質化が不十
分となる。
・最終熱処理工程 得られた焼結体は,さらに400〜1100℃,好ましくは5
00〜1050℃の温度で0.5〜24時間の後熱処理を施すこと
により,磁気特性を改善することができる。最終熱処理
温度が400℃未満では磁気特性を改善する効果は小さ
く,また1100℃を超えると焼結を伴うようになり,磁性
結晶粒が粗大化しBr,iHcが低下する。該温度域での保持
時間は0.5時間未満では磁気特性を改善する効果は小さ
くまた24時間を超えてもその効果は小さい。
以上の諸工程を経て製造された本発明の永久磁石合金
は,この磁性結晶粒の粒径が0.5〜50μm,好ましくは1
〜30μmの範囲にあり,また耐酸化性保護膜の厚みが0.
001〜15μm,好ましくは0.005〜50μmの範囲にある。磁
性結晶粒の粒径が0.5μm未満になるとiHcが4KOe未満と
なり,また50μmを超えてもiHcの低下が著しく本発明
を満足しなくなる。耐酸化性保護膜の厚みについては個
々の磁性結晶粒を均一に被覆しておればその厚みに依存
せず耐酸化性は保持されるが,0.001μm未満ではiHcの
低下が著しく15μmを超えるとBrがもはや本発明を満足
しなくなる。なお,この耐酸化性保護膜の厚みは粒界三
重点を含む。
また,本発明磁石合金の組成分析はEPMAを用いて,磁
性結晶粒の粒径はSEMを用いて,また耐酸化性保護膜の
厚みはTEMを用いて測定することができる(後記の実施
例でもこの測定によった)。
このように本発明による永久磁石合金は従来のものに
比べて耐酸化性が著しく優れ錆にくく,また良好な磁気
特性を有することから,種々の磁石応用製品に好適に用
いられる。磁石応用製品としては,例えば,次の製品が
挙げらる。
DCブラシレスモーター,サーボモーター等の各種モー
ター類;駆動用アクチュエーター,光学ビックアップ用
F/Tアクチュエーター等の各種アクチュエーター類;ス
ピーカー,ヘッドホン,イヤホン等の各種音響機器;回
転センサー,磁気センサー等の各種センサー類;MRI等の
電磁石代替製品,リードリレー,有極リレー等の各種リ
レー類;ブレーキ,クラッチ等の各種磁気カップリン
グ;ブザー,チャイム等の各種振動発振機:マグネット
セパレーター,マグネットチャック等の各種吸着用機
器;電磁開閉器,マイクロスイッチ,ロッドレスエアー
シリンダー等の各種開閉制御機器;光アイソレーター,
クライストロン,マグネトロン等の各種マイクロ波機
器;マグネット発電機;健康器具,玩具等。
なお,上記磁石応用製品は一例であり,これらに限定
されるものではない。また,本発明による永久磁石合金
の特徴は錆にくいことであり,従来材のように磁石品の
最外露出表面に耐酸化性保護被膜を形成しなくても高い
磁気特性を保持しながら該磁石自身に優れた耐酸化性が
付与されていることから保護被膜が不要となることはも
とより,特殊な環境用として保護被膜の必要が生じた場
合でも,磁石内部からの錆の発生がないので保護被膜を
形成するさいの接着性が良好であると共に,被膜の剥離
や被膜厚みの変動による寸法精度の問題等が解消され,
耐酸化性を必要とする用途には最適な永久磁石を提供で
きる。
以下に本発明法の代表的な実施例を挙げ,本発明の効
果を示す。
〔参考例1〕 原料として純度99.9%の電解鉄,ボロン含有量19.32
%のフエロボロン合金,純度99.5%のカーボンブラック
および純度98.5%(不純物として他の希土類金属を含有
する)のネオジウム金属を使用し,組成比として18Nd−
76Fe−3B−3Cとなるように計量,配合し,高周波誘導炉
で真空中で溶解した後,その溶湯を水冷銅鋳型中に鋳込
み,合金塊を得た。
このようにして得られた合金塊を800℃で15時間の熱
処理に供した後,炉内放冷した。
次いで該合金塊をジョークラッシャーで破砕した後,
アルゴンガス中でスタンプミルを用いて−100meshまで
粗砕し,さらに振動ミルを用いて平均粒子径5μmまで
粉砕した。このようにして得られた合金粉砕を10KOeの
磁界中,1ton/cm2の圧力で成形した。
得られた成形体をアルゴンガス中で1100℃で1時間保
持の焼結処理に供した後,急冷し,焼結体を得た。
(比較例1) 合金塊の熱処理を行わなかった以外は参考例1と全く
同一操作を繰り返して焼結体を得た。
参考例1および比較例1の焼結体の耐酸化性の評価
(耐候性試験)を実施した。該試験は,温度60℃,湿度
90%の恒温・恒湿下に7ケ月間(5040時間)放置した時
のBr,iHc減磁率を測定することによって行った。その結
果を表1および第1図に示した。
第1図および表1から明らかのように,参考例1の焼
結体では,7ケ月後の減磁率がBr;−0.98%,iHc;−0.56%
と極めて小さく,耐酸化性が著しく向上していることが
認められる。これに対して比較例1では,Br;−3.27%,i
Hc;−5.8%であり,参考例1に比べて減磁率の低下が大
きい。
なお,第1図には後記実施例で得られた焼結体の数例
の減磁率も併せて示した。
また,参考例1の焼結体の組織をSEMで観察した結果
を第2図の写真に,さらにEPMAを用いたFe,CおよびNd元
素のライン分析結果を第3図の写真に示した。なお第4
図は,第3図の写真中のライン分析線を写し取った各元
素のライン線を示したものである。これらの写真から磁
性結晶粒はCを含有する耐酸化性保護膜で被覆されてお
り,且つ大部分のCはNdリッチの該保護膜に存在してい
ることがわかる。なお,保護膜におけるC含有量は4.7
重量%であった。また磁性結晶粒の粒径を,焼結組織の
SEM写真から100個測定して調べたところ,その範囲は1.
8〜21μmであった。一方TEMで測定した保護膜の厚みは
0.013〜5.8μmであった。これらの値を後記の表1に示
した。また磁気特性としてVSMを用いて測定したBr,iHc
および(BH)maxの値を表1に示した。
このように参考例による永久磁石合金は比較例のもの
に比べて耐酸化性が著しく優れ,また磁石特性も同等以
上であることがわかる。
〔参考例2〜4〕 合金塊の熱処理温度および保持時間を600℃×24時間
(参考例2),1000℃×0.5時間(参考例3),1100℃×
0.5時間(参考例4)とした以外は,全て参考例1と同
一の操作を行って焼結体を得た。
このようにして得られた焼結体の耐酸化性,保護膜に
おけるC量,磁性結晶粒径,保護膜の厚みおよび磁気特
性も参考例1と同一の方法で評価しその結果を表1に示
した。
〔実施例5〕 原料として,純度99.9%の電解鉄,ボロン含有量19.3
2%のフエロボロン合金,純度99.5%のカーボンブラッ
クおよび純度98.5%(不純物として他の希土類金属を含
有する)のネオジウム金属を使用し,組成比として18Nd
−76Fe−3B−1Cとなるように計量,配合し,高周波誘導
炉で真空中で溶解した後,水冷銅鋳型中に鋳込み,合金
塊を得た。
このようにして得られた合金塊をジョークラッシャー
で破砕し,次いで該合金塊をアルゴンガス中でスタンプ
ミルを用いて−100meshまで粗砕した後,組成比が18Nd
−76Fe−3B−3Cとなるように更に純度99.5%のカーボン
ブラックを該粗粉砕に添加し,次いで振動ミルを用いて
平均粒子径5μmまで粉砕した。
このようにして得られた合金粉末を10KOeの磁界中1to
n/cm2の圧力で成形し,次いで該成形体を,アルゴンガ
ス中1100℃で1時間保持した後急冷し焼結体を得た。得
られた焼結体の耐酸化性保護膜におけるC量,磁性結晶
粒径,保護膜の厚み及び磁気特性を参考例1と同一の方
法で評価し,その結果を表2に示した。
〔実施例6〜7〕 溶解時に一次添加するカーボン量および粗砕又は微粉
砕工程で二次添加するカーボン量を表2に示すように変
化させた以外は実施例5と同一の操作を行い焼結体を得
た。
得られた各焼結体の耐酸化性,保護膜におけるC量,
磁性結晶粒径,保護膜の厚み及び磁気特性も参考例1と
同一の方法で評価し,その結果を表2に示した。表2中
の一次組成は溶解時のもの,二次組成は焼結体のもので
ある。
〔実施例8〕 合金塊700℃で18時間の熱処理に供する操作を加えた
以外は全て実施例5と同一の操作を行って焼結体を得
た。得られた焼結体の耐酸化性,保護膜におけるC量,
磁性結晶粒径,保護膜の厚み,および磁気特性も参考例
1と同一の方法で評価しその結果を表2に示した。
〔参考例9〜15〕 焼結温度,焼結保持時間,焼結後の徐冷速度および急
冷開始温度を表3に示すように変化させた以外は,参考
例1と同一の操作を行って焼結体を得た。得られた各焼
結体の耐酸化性,保護膜におけるC量,磁性結晶粒径,
保護膜の厚み及び磁気特性を参考例1と同一の方法で評
価し,その結果を表3に示した。
〔参考例16〜18〕 焼結体を表4に示す条件で最終熱処理した以外は参考
例1と同一の操作を行った。得られた焼結体の耐酸化
性,保護膜におけるC量,磁性結晶粒径,保護膜の厚
み,および磁気特性を参考例1と同一の方法で評価し,
その結果を表4に示した。
〔参考例19〜28〕 組成を表5に示すように変化させた以外は参考例1と
同一の操作を行って焼結体を得た。得られた各焼結体の
体酸化性,保護膜におけるC量,磁性結晶粒径,保護膜
の厚み,および磁気特性を参考例1と同一の方法で評価
し,その結果を表5に示した。
〔参考例29〕 合金微粉末の成形を無磁場中で実施した以外は参考例
1と同一の操作を行って焼結体を得た。得られた焼結体
の耐酸化性,保護膜におけるC量,磁性結晶粒径,保護
膜の厚み,および磁気特性を参考例1と同一の方法で評
価し,その結果を表5に示した。
〔参考例30〕 溶解した粗合金の溶湯をアルゴン雰囲気中でアトマイ
ズし,得られた合金粉末を800℃で15時間の熱処理に供
して冷却し,この粉末を無磁場中で成形した以外は参考
例1と同一の操作を行って焼結体を得た。得られた焼結
体の耐酸化性,保護膜におけるC量,磁性結晶粒径,保
護膜の厚み,及び磁気特性を参考例1と同一の方法で評
価しその結果を表5に示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は,本発明に従うC含有耐酸化性保護膜で各磁性
結晶粒を被覆してなる焼結体磁石を,その磁石表面を露
出したまま60℃×RH90%の雰囲気中で放置したさいの放
置時間とBr,iHcの減磁率との関係を比較例と対比して示
した図, 第2図は,参考例1の焼結磁石の金属組織を示す写真, 第3図は,第2図の金属組織におけるNd,Fe,C元素のラ
イン分析結果を示した写真, 第4図は,第3図のライン分析線を写しとった図であ
り,各ライン線の元素名を表示するためのものである。
フロントページの続き (72)発明者 磯山 誠治 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同和鉱業株式会社内 (72)発明者 久野 誠一 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 同和鉱業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−177101(JP,A) 特開 平2−71506(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 33/02,1/04 B22F 1/00 - 3/26 H01F 1/04 - 1/08

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粗合金の溶湯を溶製する工程,この溶湯か
    ら直接粉末とするか若しくは該溶湯を合金塊に鋳造した
    うえこれを粉砕して該合金の粉末を製造する工程,得ら
    れた粉末を成形する工程,そして該成形品を焼結する工
    程,からなるR−Fe−B−C系永久磁石合金(但し,Rは
    Yを含む希土類元素の少なくとも1種)の製造法におい
    て,該溶製工程後成形工程前の段階でC原料の一部また
    は全部を配合することを特徴とする,磁性結晶粒の各々
    が該磁性結晶粒よりもC濃度の高い耐酸化性保護膜で覆
    われているR−Fe−B−C系永久磁石合金の製造法。
  2. 【請求項2】粗合金の溶湯を溶製する工程,この溶湯か
    ら直接粉末とするか若しくは該溶湯を合金魂に鋳造した
    うえこれを粉砕して該合金の粉末を製造する工程,得ら
    れた粉末を成形する工程,そして該成形品を焼結する工
    程,からなるR−Fe−B−C系永久磁石合金(但し,Rは
    Yを含む希土類元素の少なくとも1種)の製造法におい
    て,該溶製工程後成形工程前の段階でC原料の一部また
    は全部を配合すること,および成形工程前の合金塊また
    は粉末を500〜1100℃の温度で0.5時間以上熱処理するこ
    とを特徴とする,磁性結晶粒の各々が該磁性結晶粒より
    もC濃度の高い耐酸化性保護膜で覆われているR−Fe−
    B−C系永久磁石合金の製造法。
  3. 【請求項3】焼結工程のあと,さらに400〜1100℃の温
    度で最終熱処理する工程を含む請求項1または2に記載
    の永久磁石合金の製造法。
  4. 【請求項4】耐酸化性保護膜は磁性結晶粒を構成してい
    る合金元素の実質上全てを含み且つその0.1〜16重量%
    がCである請求項1,2または3に記載の永久磁石合金の
    製造法。
  5. 【請求項5】磁性結晶粒は,粒径が0.5〜50μmの範囲
    にあり,耐酸化性保護膜の厚みが0.001〜15μmの範囲
    にある請求項1,2,3または4に記載の永久磁石合金の製
    造法。
  6. 【請求項6】該磁石合金の組成(磁性結晶粒と耐酸化性
    保護膜とを併せた全体の組成)が,原子百分比で,R:10
    〜30%,B:2%未満(0原子%を含まず),C:0.5〜20%,
    残部がFeおよび製造上不可避な不純物からなる請求項1,
    2,3,4または5に記載の永久磁石合金の製造法。
  7. 【請求項7】焼結工程は,950〜1150℃の温度に0.5〜4
    時間保持し,この温度から0.5〜20℃/分の速度で徐冷
    し,600〜1050℃の温度域から急冷する請求項1,2,3,4,5
    または6に記載の永久磁石合金の製造法。
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