JP2781352B2 - 灌水装置を有する植物栽培装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ハイドロボール（ハイ
ドロカルチャー）、土、ロックウール、水苔等の培地
（栽培地を云う。以下、ハイドロボールで説明する。）
を充填した植木鉢・集合鉢等の鉢に最適な灌水装置を有
する植物栽培装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知の如く、ハイドロボールを利用する
植木鉢、又は当該植木鉢への自動給水・排水装置が市販
され、好評を博している。またこれに類する技術文献も
多数散見される。その中で、本発明と関連性のある発明
として、下記のものが挙げられる。特開昭５５−１２７
９３０号の植木鉢の自動灌水装置がある。この発明は、
植木鉢の下方に設けた密封式の貯水槽内の水を加圧し、
植木鉢に自動給水する装置である。特開平５−４９３４
９号の植物自動給水鉢がある。この発明は、給水タンク
を有する円筒状の容器（自動給水鉢）の鉢部分に植木鉢
を収容し、給水タンクに連通した通水管を鉢部分に到ら
しめ、当該給水タンク内の水に対する加圧又は加圧解除
を介して、この給水タンクの水を鉢部分に上昇又は降下
させる構成となっている。そして、両先行技術ともに、
その要旨は、植木鉢の植物への自動給排水と、適度の給
排水を図ること及びこの適度の給排水を介して枯死、根
腐れ防止を図ること、等を目的とする構造である。

【０００３】従って、従来は、自動給水鉢（灌水装置）
と植木鉢、集合鉢等の鉢（以下、鉢とする。）を、シー
ル装置を利用して水密構造とした灌水装置を有する植物
栽培装置は見当らなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記先行技術の中で、
水槽（給水タンク）が一室で構成されている構造では、
加圧エリアーが広くなること、これに付随してエアポン
プ、モータ等の容量を大きくすること、場合により他の
機構及び設備を必要とすること、結果的には経済性、エ
アポンプ等の小容量化、保守管理面等において課題があ
る。

【０００５】又前記先行技術における容器内に植木鉢を
収容する構造では、当該容器の外形に限定される。従っ
て、植木鉢を随意に変更しようとしても不可能であり、
換言すれば、自由に他の植木鉢との組合せができず、植
木鉢の設置場所、雰囲気等の要望に対応できず、順応性
に欠ける課題がある。

【０００６】また前記先行技術の中を個別に考察する。
特開昭５５−１２７９３０号の発明では、単に貯留水を
加圧供給する構成であるので、例えば、所定量の水（定
量水）の供給が困難であり、例えば、植物に適する定量
水を確実に供給できないこと、及び植木鉢用の置台（載
台）は開放状態の構成を採用しており、溢水等の問題が
発生すること、等の課題がある。特開平５−４９３４９
号の発明は、自動制御にて給排水がなされる特徴を有す
る反面、構造が複雑であること、又は取り扱いが面倒で
あり、一般の人には不向きな面が多々あること、等の実
用面での課題がある。また前述の如く、従来は、自動給
水鉢（灌水装置）と各種鉢とを、主として多段式にセッ
トする構造は見当らなかったので、各セットにおける連
設部位のシール装置はなかった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、水槽を区画
し、かつ給排水システム等を内装する灌水装置にセット
される鉢との組合せ構造、及びこの灌水装置と鉢との水
密構造を図ることにより、各方面への設置が可能とな
り、植木鉢設置場所の広範囲化、又は汎用化を図るこ
と、等を目的に下記の構成を採用する。

【０００８】先ず、請求項１は、区画板で区画された貯
留室と灌水室を備えた水槽、この水槽の貯留室と灌水室
を連通する開閉自在の通水管、及び前記灌水室に充填す
る水を加圧するエア、ガス等の流体又はアクチューエー
タ等の作動手段、並びに前記水槽に設けた灌水兼流下管
でなる灌水装置と、この灌水装置とは別構造であって、
かつ当該灌水装置に重ね置きされる植木鉢・集合鉢等の
鉢と、この植木鉢・集合鉢等の鉢と前記灌水装置との連
設部位の水密を図るシール装置と、で構成されている灌
水装置を有する植物栽培装置である。

【０００９】また実施態様として、下記の構成を採用す
る。

【００１０】請求項２は、作動手段がエアで、当該エア
の制御を、エアポンプで行うことを特徴とする灌水装置
を有する植物栽培装置である。

【００１１】また請求項３は、灌水装置の水槽の上面
に、多数収容されたハイドロボール用の鉢を設け、この
鉢に灌水兼流下管を設ける構成とした灌水装置を有する
植物栽培装置である。

【００１２】

【作用】以下、本発明の作用を組合せ構成例を基に説明
する。

【００１３】先ず、図２に示す例は、左右方向（図面で
左右に対峙した状態で）に区画した灌水装置の一例であ
り、また同図は灌水装置に集合鉢を載置する一例であ
る。この集合鉢（植木鉢も同様である。）の植物に水を
供給する場合を説明する。水槽の貯留室に充填されてい
る水は、開放されている通水管を介して無加圧の灌水室
に導かれる。このようにして、通水管を介して灌水室に
定量水（勿論、本発明の定量水は、植物、温度等により
変更される。）が供給された段階で、当該通水管は閉塞
される（センサー、水位計等で定量水を貯留することも
有り得る。）。そして、通水管が閉塞された状況下にお
いて、当該灌水室に外気等のエアを供給し、この灌水室
の水を加圧する。この加圧により水は一本又は数本（本
数は限定されず）の灌水兼流下管を介して揚水され、鉢
の底面又は側面等の適所に導かれ、鉢の植物に供給され
る。尚、前記灌水室の水位は水位計で判断される。

【００１４】一方、鉢より流下した水は、灌水兼流下管
を介して灌水室に導かれる。また灌水室に戻された水は
開放された通水管を介して一部は貯留室にも到る。勿
論、貯留室の水位は水位計で判断される場合も有る。
尚、エアポンプ等の制御は電池、室内用電源等の電源を
介してなされる。そして、前述した、給排水は、通常タ
イマー等の制御機器を利用して行われる。

【００１５】次に図３に示す例は、上下方向（図面で上
下に対峙した状態で）に区画した灌水装置の一例であ
り、この例でも前述の例とほぼ同様であるが、灌水室が
貯留室の下方に設けられていることから、原則として、
エアはエア供給管を介して灌水室に導入され、この灌水
室に貯留されている定量水を加圧する。この加圧された
定量水は、一本又は数本の灌水兼流下管を介して、前述
の例と同様に鉢に供給される。一方、余剰水は灌水兼流
下管を介して灌水室に戻される。尚、この灌水室に戻さ
れた水の一部は、開放された通水管を介して貯留室にも
到る場合も有る。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照として
説明する。

【００１７】１は後述する集合鉢、植木鉢等の鉢と別構
造でなる灌水装置で、当該灌水装置１の主要部は次の構
成物品で構成される。即ち、縦方向に設けた区画板２を
介して区画された貯留室３と灌水室４でなる水槽５と、
この水槽５の貯留室３と灌水室４とを連通する開閉自在
の通水管６と、前記灌水室４に充填する水を加圧するエ
ア、ガス等の流体又はアクチューエータ等の作動手段７
と、前記灌水室４に設けた一本又は数本の灌水兼流下管
８と、灌水室４に設けたエア供給管９と、で構成されて
いる。そして、当該水槽５の天板５ａには、図示しない
ガード部材を介設してエア供給用のエアポンプ１１、電
磁弁１２又は通水管６の開閉弁１３等の制御を司る電池
１４（室内用電源等の電源の場合も有り得る。）、又は
灌水室４には水位計１５が設けられる。前記開閉弁１
３、及びエア排気用の開閉弁１０の開閉は電磁弁１２で
する。図中１６は制御基板を示す。このエアポンプ１１
にはエア供給管９が設けられており、当該エアポンプ１
１の作用によりエア供給管９を介して、灌水室４にエア
が供給されるが、この供給時には、エア排気用の開閉弁
１０及び通水管６の開閉弁１３は閉じている。従って、
当該灌水室４に貯留されていた水は加圧されるととも
に、この加圧により灌水室４の水は、灌水兼流下管８を
介して植木鉢Ａ又は集合鉢１７等の適所より植物Ｈに供
給される。図中Ｂはハイドロボールを示す。この集合鉢
１７には、集合鉢１７全体にハイドロボールＢを充填し
て植物Ｈを設ける構成、又は集合鉢１７に数個の植木鉢
Ａ１１、Ａ２１等を設ける構成、等の如く従来と同様な
方法が採用される。また図中１８は灌水装置１を収容又
は載架する外筒ケース、１９は灌水兼流下管８又は水位
計１５のガードを示す。また灌水兼流下管８を介して灌
水室４に水が戻される状況では、当該灌水室４内に滞留
するエアは、エア排気用の開閉弁１０の開放によりエア
排気部９ａを介して大気中等に排気される。尚、灌水装
置１は集合鉢１７とは別構造となっており、前述の如
く、灌水装置１に集合鉢１７が重ね置きされる（ 上下方
向においてセット）される（以下同じ）。

【００１８】また図３に示す例は、横方向に設けた区画
板２を介して水槽５を上下方向に区画し、上方に貯留室
３を下方に灌水室４を設けてなる構成であり、原則とし
て、前述の例と同様である。しかし、この例では、エア
供給管９の下端は灌水室４に達しており、エアポンプ１
１より送られたエアは、エア供給管９の下端の開口を介
して灌水室４に供給され、灌水室４内の水を加圧する。
勿論、この加圧時には、前記開閉弁１３は電磁弁１２の
作用により閉塞されている。以上のような操作により、
当該灌水室４に貯留されている定量水は加圧されるとと
もに、この加圧により灌水室４の水は、灌水兼流下管８
を介して、前述と同様に、植木鉢Ａ等の適所より植物Ｈ
に供給される。また灌水兼流下管８を介して灌水室４に
水が戻される状況では、当該灌水室４内に滞留するエア
は、例えば、通水管６を介して貯留室３に至り、当該貯
留室３に設けたエア排気部９ａを介して大気中等に排気
される。

【００１９】尚、図４〜図６は灌水装置１と植木鉢Ａと
の連設部位を水密に保持するシール装置を示しており
（集合鉢１７、又は外筒ケース１８等との連設部位を水
密に保持するシール装置の図示及び説明は省略するが、
ほぼ同様に利用できる。）、ゴムリング２０とネジ２１
との螺合、又はゴムリング２０とテーパー２２との嵌
合、等により前記連設部位の水密を図る構成である。例
えば、図４の例では、灌水装置１の天板５ａにゴムリン
グ２０を設け、連設部位にネジ２１を設けた構成となっ
ており、集合鉢１７の底面１７ａを利用して前記ゴムリ
ング２０をネジ嵌合の押圧を介してシールする構成とな
っている。また図５の例では、灌水装置１の上面をテー
パー２２とし、このテーパー２２にゴムリング２０を設
けるとともに、集合鉢１７の底面１７ａの側部をテーパ
ー１７ｂとする。そして、集合鉢１７の底面１７ａのテ
ーパー１７ｂを利用してテーパー嵌合及び前記ゴムリン
グ２０の押圧を介してシールする構成となっている。更
に図６はパッキン２３と止め具２４とでシールする構成
であり、灌水装置１の天板５ａにパッキン２３を設け、
連設部位に緊締する数本の止め具２４を介して、集合鉢
１７の底面１７ａと灌水装置１をシールする構成となっ
ている。勿論、前記のシール装置は一例であり、前記連
設部位を水密にする構造は本発明の範疇に含まれる。
尚、ゴムリング２０に替わり他の可撓性リング、又は可
撓性面体、植毛、その他シール部材等でも可能である。
また前記各装置は一例であり、同じ機能を発揮する装置
は本発明の範疇に含まれる。尚、灌水装置１は植木鉢Ａ
とは別構造となっており、前述の如く、灌水装置１に植
木鉢Ａが上下方向においてセットされる。

【００２０】

【発明の効果】本発明は、灌水装置の上方に、この灌水
装置とは、別構造の鉢を設け、かつ灌水装置と鉢とをシ
ール装置により水密構成とすること、又は灌水装置に外
筒ケース（外装部分）を設ける構成である。従って、灌
水装置を各種形態との鉢の自由な組合せにより、上下方
向で外観の異なる植物栽培装置を提供できる効果と、こ
の効果により、鉢の設置場所、雰囲気等に対応できる特
徴があり大変に重宝すること、又はこの順応性を利用し
て自由な美感、雰囲気を満喫できること、等の効果があ
る。また灌水装置と鉢との連設部位の水密性が確保され
ており、安心して屋内外等の各所に設置できる効果があ
る。

【００２１】本発明は、灌水装置の上方に鉢を設けると
ともに、この灌水装置に重ね置きされた鉢を、シール装
置により水密構造とする構成である。従って、装置の小
型化、簡略化等に役立つ特徴がある。

【００２２】本発明は、簡単な構造を採用する構成であ
る。従って、その操作及び取り扱いが簡便であること及
び故障がない特徴を有する。又はこの操作等の容易化、
簡略化等を介して、一般の人でも、簡易に利用かつ管理
できる灌水装置を有する植物栽培装置として重宝され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】灌水装置に重ね置きされた植木鉢との組み付け
状態の一例を示す全体図である。

【図２】灌水装置に重ね置きされた集合鉢との組み付け
状態の一例を示す全体図である。

【図３】灌水装置の他の一例を示す断面図である。

【図４】シール装置の一例を示す断面図である。

【図５】シール装置の他の一例を示す断面図である。

【図６】シール装置の更に他の一例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 灌水装置 ２ 区画板 ３ 貯留室 ４ 灌水室 ５ 水槽 ５ａ 天板 ６ 通水管 ７ 作動手段 ８ 灌水兼流下管 ９ エア供給管 ９ａ エア排気部 １０ エア排気用の開閉弁 １１ エアポンプ １２ 電磁弁 １３ 開閉弁 １４ 電池 １５ 水位計 １６ 制御基板 １７ 集合鉢 １７ａ 底面 １７ｂ テーパー １８ 外筒ケース １９ ガード ２０ ゴムリング ２１ ネジ ２２ テーパー ２３ パッキン ２４ 止め具 Ａ 植木鉢 Ａ１１ 植木鉢 Ａ２１ 植木鉢 Ｂ ハイドロボール Ｈ 植物

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 区画板で区画された貯留室と灌水室を備
   えた水槽、この水槽の貯留室と灌水室を連通する開閉自
   在の通水管、及び前記灌水室に充填する水を加圧するエ
   ア、ガス等の流体又はアクチューエータ等の作動手段、
   並びに前記水槽に設けた灌水兼流下管でなる灌水装置
   と、 この灌水装置とは別構造であって、かつ当該灌水装置に
   重ね置きされる植木鉢・集合鉢等の鉢と、この植木鉢・集合鉢等の鉢と前記灌水装置との連設部位
   の水密を図るシール装置と 、 で構成されている灌水装置を有する植物栽培装置。
2. 【請求項２】 上記の作動手段がエアで、当該エアの制
   御を、エアポンプで行うことを特徴とする請求項１の灌
   水装置を有する植物栽培装置。
3. 【請求項３】 上記の灌水装置の水槽の上面に、多数収
   容されたハイドロボール用の植木鉢・集合鉢等の鉢を設
   け、この植木鉢・集合鉢等の鉢に灌水兼流下管を設ける
   構成とした請求項１の灌水装置を有する植物栽培装置。