JP2778663B2 - 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents

印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法

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JP2778663B2
JP2778663B2 JP8085572A JP8557296A JP2778663B2 JP 2778663 B2 JP2778663 B2 JP 2778663B2 JP 8085572 A JP8085572 A JP 8085572A JP 8557296 A JP8557296 A JP 8557296A JP 2778663 B2 JP2778663 B2 JP 2778663B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷等
の支持体として使用される印刷版用アルミニウム合金板
に関し、特に均一な電解粗面化面を形成することができ
る印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より一般にオフセット印刷において
は、アルミニウム又はアルミニウム合金(以下、総称し
てアルミニウムという)板が支持体として使用されてい
る。この印刷版用アルミニウム板は、感光膜に対する密
着性及び非画像部の保水性を付与するために、アルミニ
ウム板の表面に粗面化処理を施して得られたものであ
る。この粗面化処理方法として、従来から、ボール研磨
法及びブラシ研磨法等の機械的処理法が使用されている
が、最近は、塩酸若しくは塩酸を主体とする電解液又は
硝酸を主体とする電解液を使用してアルミニウム板表面
を電気化学的に粗面化する電解粗面化処理法、更に前述
の機械的処理法とこの電解粗面化処理法とを組み合わせ
た処理方法が主に使用されるようになってきている。こ
れは、電解粗面化処理法によって得られた粗面板が製版
に適しており、また印刷性能も優れているからであり、
更に電解粗面化処理法では、アルミニウム合金板をコイ
ル状にして連続処理する場合に適しているからである。
【0003】前述のようにして、粗面化されるアルミニ
ウム合金板には、その粗面化処理によって均一な凹凸
(ピット)が形成されることが要求される。均一な凹凸
が形成された印刷版用アルミニウム合金板においては、
感光膜との密着性及び保水性が向上すると共に、優れた
画像鮮明性及び耐刷性を得ることができる。また、最近
では粗面化処理コストを低減させるため、より短時間又
は低通電量で均一な凹凸を形成することができる材料の
開発が強く求められている。
【0004】このような電気化学的粗面化処理に適する
アルミニウム板は、Fe、Cu及びその他の微量元素を
添加することにより得ることができ、例えば、Fe:
0.2乃至1.0重量%、Cu:0.1乃至2.0重量
%及びSn、In、Ga及びZnから選択された1種以
上の元素が0.05乃至0.1重量%添加されたアルミ
ニウム合金板が提案されている(特開昭58−2101
44号公報)。このアルミニウム合金板は、化学的なエ
ッチング処理に対して溶解速度が速いという特徴があ
る。
【0005】また、粗面均一性が優れたアルミニウム合
金板として、Fe:0.05乃至0.5重量%、Mg:
0.1乃至0.9重量%、Si:0.2重量%以下及び
Cu:0.05重量%以下を含有し、更にZr、V及び
Niからなる群から選択された1種以上の元素を0.0
1乃至0.3重量%含有し、残部がAl及び不可避的不
純物からなるアルミニウム合金板が提案されている(特
開昭62−230946号公報)。
【0006】更に、強度及びピットの均一性が良好なア
ルミニウム合金板として、Mg:0.30乃至3重量
%、Fe:0.15乃至0.50重量%、Ni:0.0
05乃至0.30重量%及びTi:0.01乃至0.1
0重量%を含有すると共に、Si、Cu及びMnを、夫
々、0.20重量%以下に規制し、残部がAl及び各元
素の含有量が、夫々、0.10重量%以下の不可避的不
純物からなるアルミニウム合金板が提案されている(特
開昭63−30294号公報)。
【0007】更にまた、均一な粗面を形成すると共に、
非画線部の汚れを防止して画線部の調子再現性及び色調
(明度)を良好にするアルミニウム合金板として、F
e:0.1乃至1.0重量%、Si:0.02乃至0.
15重量%及び不純物のCu:0.003重量%以下を
含有し、更に残部がAl及びCu以外の不可避的不純物
からなるアルミニウム合金板が提案されている(特公平
1−47545号公報)。
【0008】更にまた、Fe:0.1乃至0.5重量
%、Si:0.03乃至0.30重量%、Cu:0.0
01乃至0.03重量%、Ni:0.001乃至0.0
3重量%、Ti:0.002乃至0.05重量%及びG
a:0.005乃至0.020重量%を含有し、更にG
a及びTiの合計含有量が0.010乃至0.050重
量%であるアルミニウム合金板が提案されている(特開
平3−177528号公報)。このアルミニウム合金板
においては、筋状の粗面化ムラであるストリーク(スト
リークスともいう。以下、ストリークに統一する)及び
不規則な画質ムラを改善すると共に粗面が均一であるた
め、非画線部の汚れが防止されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近時、
コスト低減のために、電解処理速度の向上が要求されて
おり、短時間の電解粗面化処理で均一なピットが形成さ
れるアルミニウム板が要望されている。即ち、電解粗面
化処理時間が短く、形成されるピットが浅い場合であっ
ても、短時間で均一にエッチングされ、アルミニウム板
に未エッチング部(アルミニウム板表面のエッチングさ
れていない部分)が発生しないことが要望されている。
しかしながら、従来のアルミニウム板はこのような要望
を満足するものではなかった。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、粗面化ピットが均一に形成される印刷版用
アルミニウム合金板及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る印刷版用ア
ルミニウム合金板は、Fe:0.20乃至0.6重量
%、Si:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.0
05乃至0.05重量%及びNi:0.005乃至0.
20重量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物か
らなる印刷版用アルミニウム合金板であって、前記元素
の一部又は全部は金属間化合物を形成しており、前記金
属間化合物は0.5乃至2.0重量%であることを特徴
とする。
【0012】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法は、Fe:0.20乃至0.6重量%、S
i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
至0.05重量%及びNi:0.005乃至0.20重
量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる
アルミニウム合金鋳塊に、500乃至630℃の温度で
均質化処理を施し、次いで開始温度を400乃至450
℃として熱間圧延を施して、金属間化合物を析出させる
印刷版用アルミニウム合金板の製造方法であって、前記
アルミニウム合金板は前記金属間化合物を0.5乃至
2.0重量%含有することを特徴とする。この場合に、
更に、冷間圧延、中間焼鈍及び最終冷間圧延を順次施し
てもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、均一な粗面化ピ
ットが形成される印刷版用アルミニウム合金板を得るた
めに鋭意研究した結果、アルミニウム合金板が含有する
合金元素のうち、従来より添加されているFe及びSi
の含有量を管理することに加え、適量のNi及びTiを
添加することが有効であることを見出した。これらの添
加元素のうちの一部は、アルミニウムマトリクス中で、
例えば、Al−Fe、Al−Fe−Si及びAl−Fe
−Si−Ni系の金属間化合物を形成し、各金属間化合
物が電解粗面化時にイニシャルピットの開始点として機
能する。これにより、均一な粗面化ピットが形成される
ことを見出した。但し、金属間化合物の総量が過剰とな
ると、粗大なピットが形成され、ピットの均一性が損な
われる。このため、金属間化合物の含有量を適量に管理
することが極めて重要である。
【0014】上述の印刷版用アルミニウム合金板を製造
する場合は、化学成分を上記のものとすることに加え、
均質化処理温度及び熱間圧延開始温度を制御して、金属
間化合物の析出量を制御することが重要である。これに
より、得られたアルミニウム合金板に電解粗面化処理を
施した場合は、エッチングが電解粗面化面に均一に施さ
れると共に、ピットの大きさにバラツキが発生せず、均
一なものとなる。
【0015】先ず、本発明に係る印刷版用アルミニウム
合金板の化学組成の限定理由について説明する。
【0016】Fe(鉄):0.2乃至0.6重量% Feはアルミニウム合金の主要構成成分であり、アルミ
ニウム合金中においてAl−Fe系の金属間化合物を形
成する元素である。Feを添加することにより、再結晶
粒を微細化することができると共に、組織が均一化さ
れ、機械的な強度が向上する。また、FeはAl−Fe
系の金属間化合物を形成して、電解粗面化時のイニシャ
ルピットの開始点として機能する。Fe含有量が、0.
2重量%未満では、Al−Fe系の金属間化合物が不足
するため、電解粗面化時のイニシャルピットが不十分と
なる。また、Fe含有量が0.6重量%を超えると、粗
大化合物が形成され、電解粗面化面が不均一となる。従
って、Fe含有量は0.2乃至0.6重量%とする。
【0017】Si(シリコン):0.03乃至0.15
重量% SiはAl−Fe−Si系金属間化合物を形成して、イ
ニシャルピットの形成を促進すると共に、ピットの均一
性を向上させる。Si含有量が0.03重量%未満で
は、金属間化合物が不足するため、イニシャルピットの
形成が不十分となる。一方、Si含有量が0.15重量
%を超えると、粗大化合物が形成され、電解粗面化面が
不均一となる。従って、Si含有量は0.03乃至0.
15重量%とする。
【0018】Ti(チタン):0.005乃至0.05
重量% Tiは鋳造組織を微細化する元素である。Ti含有量が
0.005重量%未満では、微細化効果が不十分とな
る。一方、Ti含有量が0.05重量%を超えると、T
i含有による微細化効果が飽和してしまい、無駄である
ことに加え、粗大化合物が形成され、電解粗面化処理時
に不均一なピットが生成されやすくなってしまう。従っ
て、Ti含有量は、0.005乃至0.05重量%とす
る。
【0019】Ni(ニッケル):0.005乃至0.2
0重量% Niはアルミニウム合金板の化学溶解性を向上させて、
電解粗面化時のエッチング量を増加させる元素である。
また、Niはアルミニウム合金中において、Al−Fe
−Si−Ni系の金属間化合物を形成する。この化合物
はAl−Fe−Si系の金属間化合物より電気化学的な
電位が貴であるため、電解粗面化時におけるイニシャル
ピットの形成をより一層促進させて、短時間で均一な電
解粗面を形成することを可能にする。Ni含有量が0.
005重量%未満では、化学溶解性の向上が不十分であ
ると共に、イニシャルピットの形成能が不十分である。
一方、Ni含有量が0.20重量%を超えると、化学溶
解が過剰に促進されるため、電解粗面におけるピットの
均一性が損なわれてしまう。従って、Ni含有量は、
0.005乃至0.2重量%とする。
【0020】金属間化合物:0.5乃至2.0重量% 金属間化合物は電解粗面化時のイニシャルピットの起点
として作用し、粗面の均一性の向上に大きな役割を果た
す。金属間化合物の含有量が少ない場合には、イニシャ
ルピットの形成が不十分となり、エッチングが十分に行
き亘らず、未エッチング部が生じる。但し、金属間化合
物の含有量が多すぎると、かえって粗面の均一性を損な
う場合がある。以上の理由により、金属間化合物の含有
量を適正な範囲内に管理することは極めて重要である。
金属間化合物の含有量が0.5重量%未満では、前述の
ようにイニシャルピットの形成能が不十分である。一
方、金属間化合物の含有量が2.0重量%を超えると、
粗大なピットが形成されやすくなり、粗面の均一性が損
なわれてしまう。従って、金属間化合物の含有量は、
0.5乃至2.0重量%とする。
【0021】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法においては、上述の組成を有するアルミニウ
ム合金鋳塊に500乃至630℃の温度で均質化処理を
施した後、400乃至450℃の開始温度で熱間圧延を
施して、金属間化合物の含有量が0.5乃至2.0重量
%の印刷版用アルミニウム合金板を得る。この場合に、
熱間圧延の後に、更に冷間圧延、中間焼鈍及び最終冷間
圧延を順次実施してもよい。印刷版用アルミニウム合金
板の製造方法における均質化処理温度及び熱間圧延開始
温度の数値限定理由について説明する。
【0022】均質化処理温度:500乃至630℃ アルミニウム合金鋳塊からアルミニウム合金を圧延等に
より製造する場合に、この鋳塊を圧延する前に、所定温
度で均質化処理することが必要である。この均質化処理
により金属間化合物を析出させ、析出した化合物をイニ
シャルピットとして作用させることによって、均一な電
解粗面を得ることができる。均質化処理温度が500℃
未満では、均質化が不十分であることに加え、金属間化
合物の析出量が多すぎるため、電解粗面の均一性が損な
われる。一方、均質化処理温度が630℃を超えると、
金属間化合物の析出量が少なくなりすぎて、イニシャル
ピットが不足し、未エッチング部が増加する。従って、
均質化処理温度は500乃至630℃とする。
【0023】熱間圧延開始温度:400乃至450℃ 上述の均質化処理の後、アルミニウム合金鋳塊に所定の
開始温度で熱間圧延を施す。熱間圧延開始温度が400
℃未満では、圧延中の動的再結晶が不十分であり、圧延
板の結晶組織が不均一となる。また、金属間化合物の析
出量が過少となり、イニシャルピットが不足して、電解
粗面化時に未エッチング部の増加を招来する。一方、熱
間圧延開始温度が450℃を超えると、熱間圧延の各パ
ス間において、結晶粒が過剰に成長してしまうことに加
え、金属間化合物の析出量が多くなりすぎて、電解粗面
の均一性が損なわれる。従って、熱間圧延開始温度は4
00乃至450℃とする。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、
本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板の実施例(第
1実施例)について説明する。
【0025】第1実施例 下記表1に示す化学組成を有する各アルミニウム合金の
鋳塊(実施例1〜6及び比較例1〜10)を、面削して
厚さを470mmとし、590℃の温度で4時間の均質
化処理を施し、次いで開始温度を430℃に設定して熱
間圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び冷間圧延を順次
施して、板厚が0.3mmのアルミニウム合金板を得
た。なお、各アルミニウム合金板の化学成分を、発光分
光法を使用して測定した。また、金属間化合物の含有量
を、アルミニウム合金板をフェノールで溶解した後、溶
解液を濾過し、残さ(金属間化合物)を吸光度法及び原
子吸光度法で測定した。
【0026】
【表1】
【0027】次に、上述のようにして製造した各アルミ
ニウム合金板に、下記表2に示す処理条件1又は2にて
脱脂及び中和洗浄を施した後、交流電解粗面化処理を施
し、更に電解により形成された酸化物等を除去するデス
マット処理を施した。このデスマット処理の終了後、各
アルミニウム合金板を水洗及び乾燥させ、一定の大きさ
を切り取って、これを供試材とした。なお、表2中の1
dm2は0.01m2である。
【0028】
【表2】 各供試材の未エッチング部及び均一性を下記の試験によ
り評価した。
【0029】未エッチング部評価 各供試材の粗面化表面を、走査電子顕微鏡(SEM)を
使用して、350倍の倍率で表面観察し、視野の面積が
0.02mm2となるように写真を撮影した。得られた
写真から、下記数式1より未エッチング率を算出した。
【0030】
【数1】未エッチング率(%)=粗面化されていない部
分の面積/全体の面積×100
【0031】この算出結果から、未エッチング率が8.
0%以下の場合を○(良好)、そして未エッチング率が
8.0%を超える場合を×(不良)として、未エッチン
グ部を評価した。
【0032】均一性評価 各供試材の粗面化表面を走査電子顕微鏡を使用し、倍率
を500倍としてその表面を観察し、写真撮影した。得
られた観察写真上に全長が100cmの線を引き、線の
下のピットの大きさ(直径)を測定した。最小のピット
と最大のピットとの大きさの相異が、3μm以下のもの
を均一性が○(良好)、3μmよりも大きいものを均一
性が×(不良)と評価した。
【0033】下記表3に、処理条件並びに未エッチング
部及び均一性に対する評価を示す。なお、各実施例及び
比較例において、処理条件1における各評価と処理条件
2における各評価とはいずれも同一であった。
【0034】
【表3】
【0035】上記表3に示すように、実施例1〜6にお
いては、各元素の含有量が本発明にて規定した範囲内で
あるため、未エッチング部評価及び均一性評価のいずれ
もが良好であった。
【0036】一方、比較例1においては、Ni含有量が
0.004重量%と本発明にて規定した範囲より少ない
ため、イニシャルピット及び化学溶解性が不十分なもの
となった。このため、未エッチング部が多く残ったと共
に、ピットの大きさがバラツキ、均一性が劣化した。ま
た、比較例2では、Ni含有量が0.300重量%と本
発明にて規定した範囲より多いため、化学溶解性が過剰
に促進されて、均一性が不良となった。
【0037】比較例3においては、Si含有量が0.2
0重量%と多いため、粗大化合物が形成され、電解粗面
化面が不均一となって、未エッチング部評価及び均一性
評価のいずれもが不良となった。一方、比較例4では、
Si含有量が0.01重量%と少ないため、金属間化合
物が不足して、イニシャルピットの形成が不十分となっ
た。また、Ti含有量が0.003重量%と少ないた
め、鋳造組織の微細化が不十分であった。このため、均
一性評価が不良となった。
【0038】比較例5では、Fe含有量が0.15重量
%と少ないため、電解粗面化時のイニシャルピットが不
足して、未エッチング部評価及び均一性評価のいずれも
が不良となった。
【0039】比較例6では、Fe含有量が0.70重量
%と多いため、多数の金属間化合物が形成されて、金属
間化合物の含有量が2.33重量%と多くなった。この
ため、粗大化合物が形成され、電解粗面化面が不均一と
なった。
【0040】比較例7では、Ti含有量が0.003重
量%と少ないため、結晶粒の微細化が不十分であり、不
均一なピットが形成され、均一性評価が不良となった。
一方、比較例8では、Ti含有量が0.06重量%と多
いため、粗大化合物が形成され、ピットの大きさが不均
一となり、均一性評価が不良となった。
【0041】比較例9では、金属間化合物の含有量が
2.51重量%と多いため、粗大化ピットが形成され、
均一性が不良となった。
【0042】比較例10では、金属間化合物の含有量が
0.47重量%と少ないため、イニシャルピットが不足
してしまった。このため、未エッチング部が残って、未
エッチング部評価が不良となると共に、ピットの大きさ
にバラツキが生じて、均一性評価が不良となった。
【0043】次に、印刷版用アルミニウム合金板の製造
方法の実施例(第2実施例)について説明する。
【0044】第2実施例 上記表1に示す実施例1と同一の化学組成を有する各ア
ルミニウム合金の鋳塊を、面削して厚さを470mmと
し、次いで下記表4に示す条件で、均質化処理及び熱間
圧延し、更に冷間圧延、中間焼鈍及び冷間圧延して、板
厚が0.3mmのアルミニウム合金板(実施例7〜9、
比較例11〜14)を得た。なお、化学組成及び金属間
化合物の含有量は第1実施例と同一の測定法で測定し
た。
【0045】次に、各アルミニウム合金板に対して、上
記表2に示す処理条件にて、脱脂、中和洗浄、浸漬、交
流電解処理粗面化処理及びデスマット処理を順次施し
た。得られたアルミニウム合金板を水洗及び乾燥させた
後、一定の大きさに切り取って、供試材とした。各供試
材について、第1実施例と同様の試験法及び評価基準
で、未エッチング部及び均一性を評価した。得られた結
果を下記表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】上記表4に示すように、実施例7〜9にお
いては、未エッチング部及び均一性に対する評価は、い
ずれも良好であった。
【0048】一方、比較例11では、均質化処理温度が
488℃と本発明にて規定した温度よりも低いため、金
属間化合物が2.08重量%と多量に析出した。このた
め、電解粗面に粗大ピットが形成され、均一性評価が不
良となった。
【0049】比較例12では、均質化処理温度が640
℃と本発明にて規定した温度よりも高いため、金属間化
合物の含有量が0.46重量%と少量であった。このた
め、イニシャルピットが不足して、未エッチング部が多
く残ってしまった。
【0050】比較例13では、熱間圧延開始温度が37
5℃と本発明に規定した範囲よりも低いため、金属間化
合物の析出量が少なく、その含有量が0.48重量%と
少量であった。このため、イニシャルピットが不足し
て、未エッチング部評価が不良となった。
【0051】比較例14では、熱間圧延開始温度が47
3℃と本発明にて規定した範囲よりも高いため、金属間
化合物の析出量が2.03重量%と多量となった。この
ため、電解粗面の均一性が損なわれた。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る印刷
版用アルミニウム合金板は、所定の化学成分に加え、金
属間化合物を所定量含有しているので、粗面化ピットが
電解粗面に均一に形成されると共に、各ピットの大きさ
が略一定となる。
【0053】本発明に係る印刷版用アルミニウム合金板
の製造方法は、所定の化学成分を有するアルミニウム合
金鋳塊を所定の条件で均質化処理及び熱間圧延するの
で、金属間化合物を適量含有し、電解粗面化処理後に均
一な粗面化ピットが形成されると共に、各ピットの大き
さが略一定となる印刷版用アルミニウム合金板を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−177528(JP,A) 特開 平3−122241(JP,A) 特開 昭62−230946(JP,A) 特開 昭63−30294(JP,A) 特開 平3−177529(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 21/00 B41N 1/08 C22F 1/04

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
    至0.05重量%及びNi:0.005乃至0.20重
    量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる
    印刷版用アルミニウム合金板であって、前記元素の一部
    又は全部は金属間化合物を形成しており、前記金属間化
    合物は0.5乃至2.0重量%であることを特徴とする
    印刷版用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】 Fe:0.20乃至0.6重量%、S
    i:0.03乃至0.15重量%、Ti:0.005乃
    至0.05重量%及びNi:0.005乃至0.20重
    量%を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなる
    アルミニウム合金鋳塊に、500乃至630℃の温度で
    均質化処理を施し、次いで開始温度を400乃至450
    ℃として熱間圧延を施して、金属間化合物を析出させる
    印刷版用アルミニウム合金板の製造方法であって、前記
    アルミニウム合金板は前記金属間化合物を0.5乃至
    2.0重量%含有することを特徴とする印刷版用アルミ
    ニウム合金板の製造方法。
  3. 【請求項3】 更に、冷間圧延、中間焼鈍及び最終冷間
    圧延を順次施すことを特徴とする請求項2に記載の印刷
    版用アルミニウム合金板の製造方法。
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