JP2777199B2 - 真壁用断熱通気部材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、主に在来木造住宅に於いて、床及び壁を断
熱構造化する際に用いられる真壁用断熱通気部材に関す
るものである。

〈従来の技術〉 従来、在来木造住宅の真壁を断熱構造化する１つの方
法としては、床については隣接する根太間に、壁につい
ては隣接する柱と間柱又は間柱と間柱間に断熱材を嵌挿
配置する方法が一般に行われるが、この際、床と壁の断
熱材の取り合い部は、突き合わせた状態となっており、
この部分の隙間の発生を防ぐ適当な部材はなかった。

〈発明が解決しようとする課題〉 しかし、上述のように適当な部材がなく、床と壁の断
熱材の取り合い部が突き合わせられた状態では施工不良
等により突き合わせ部に隙間が生じ断熱不良となるだけ
でなく、結露が生じて土台に用いている木材の腐朽が進
行しやすいという問題点がある。

〈課題を解決するための手段〉 本発明は、前記問題点のない在来木造住宅の真壁の断
熱構造化を達成するために、種々の検討を重ねた結果完
成されたものであり、その主旨は、２つの平板部からな
る断面凸形のブロック状合成樹脂体の水平をなす平板部
の下面に凸形稜線に略直交する方向の複数の溝が形成さ
れてなることを特徴とする真壁用断熱通気部材にある。

〈作用〉 この真壁用断熱通気部材は上述の如く、合成樹脂体か
らなるので断熱性能を有し、かつ床及び壁断熱材の縁部
取り合い部の隙間を埋めるように配置することが出来、
これによって取り合い部に発生し易い隙間による断熱不
良を確実に防止し、断熱材の性能を確実に発揮すること
が出来る。又、水平をなす平板部下面に複数の溝がある
ので、この溝面を土台等に接し配置することにより、床
下と壁断熱材の外側空隙との間に空気の流動が可能とな
り、床下や壁内部の湿度の低下が促進出来、結露による
腐食が防止される。

施工に際しても、この真壁用断熱通気部材は、加工し
易く弾力性を有するので容易に建物の部材間に正確にか
つ密に嵌挿配置することが出来、更に壁、床断熱材の取
り付けに際し、位置決めのガイドとしての役割を果た
し、断熱材施工の精度及び施工性の向上を図ることが出
来る。

〈実施例〉 以下、図示する実施例により説明する。

第１図に於いて１はこの発明になる真壁用断熱通気部
材であり、２つの方形の平板部2,2′が直角に交差した
断面凸形のブロック状合成樹脂体の水平をなす平板部２
の下面に、平板部2,2′が交差した稜線に直交する方向
の複数の断面方形の溝３を設けて構成されている。

この真壁用断熱通気部材１は、例えばポリスチレンフ
ォーム，ポリエチレンフォーム，ポリウレタンフォーム
等の合成樹脂発泡体若しくはこれ等の合成樹脂を原料と
した成形品を用いる。凸形ブロック状とするには、予め
型枠を用意して樹脂又はビーズ状原料を注入発泡させて
凸形に成形するか、又はブロック状の合成樹脂発泡体を
凸形に切断加工して成形する。更に、２つの平板部材を
融着等により密着して貼り合わせて、凸形に加工しても
良い。溝３はグラインダー等により切削加工するか、又
は予め型枠に凸部を設けて、合成樹脂原料を注入して凸
形のブロック状合成樹脂体を成形する際に同時に溝を形
成する。溝３の形状は、通気効果があれば何ら限定され
る事はな、例えば第１図に示す断面方形の他に第２図に
示すような半円形の溝でも良い。

第３図は、この真壁用断熱通気部材１を在来の木造住
宅の真壁の床と壁の取り合い部に施工した実施例を示す
ものである。真壁用断熱通気部材１は所望の寸法に切断
し、土台４上の間柱５と柱６との間、又は隣合う間柱5,
5間に溝３を設けた平板部２面を下側にし、土台４上に
歪，間隙等を生じないよう納める。

第４図は、上記の如く配置した真壁用断熱通気部材
と、床及び壁の断熱材との取り合い部の実施例を示すも
のである。布基礎８上に設けた土台４上に溝３面を下に
して配置した真壁用断熱通気部材１の水平をなす平板部
２面上の室内側の入隅部に、根太7,7間に嵌挿配置した
床断熱材９（例えば厚さ30mmのポリエチレン発泡板）の
縁部を載置し、更に壁断熱材10（例えば厚さ40mmのポリ
エチレン発泡板）の下端縁部を真壁用断熱通気部材１の
水平をなす平板部２面上の室外側の入隅部に当接して配
置する。そして、外装板11,床板12,内装板13等を取り付
けて、この真壁用断熱通気部材を用いた断熱壁が施工さ
れる。

〈発明の効果〉 本発明に係る真壁用断熱通気部材は上述の如き構成と
作用とを有するので、次の如き多くの効果を奏すること
が出来る。

（１） 断熱材の取り合い部の断熱不良を防止し、断熱
材本来の性能を発揮することが出来る。

（２） 床下，壁内の湿度低下を図り、腐食を防止する
ことが出来る。

（３） 断熱材施工の作業性，施工精度の向上を可能と
することが出来る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示すものであり、第１図及び
第２図は夫々真壁用断熱通気部材の斜視図、第３図は真
壁用断熱通気部材を床と壁の断熱材の取り合い部に配置
した状態を示す斜視図、第４図は真壁用断熱通気部材を
配置し施工した床及び壁断熱材の取り合い部の縦断面図
である。 １は真壁用断熱通気部材、2,2′は平板部、３は溝、４
は土台、５は間柱、６は柱、７は根太、８は布基礎、９
は床断熱材、10は壁断熱材、11は外装板、12は床板、13
は内装板である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２つの平板部からなる断面凸形のブロック
   状合成樹脂体の水平をなす平板部の下面に凸形稜線に略
   直交する方向の複数の溝が形成されてなることを特徴と
   する真壁用断熱通気部材。