JP2776992B2 - 酸素濃縮装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、空気中から酸素濃縮気
体を得るための酸素濃縮装置に関するもので、特に医療
用に適した酸素濃縮装置を提供する。

【０００２】

【従来の技術】医療用酸素濃縮装置は家庭・病院などで
患者の枕もと近くで夜間でも使用するため、低騒音であ
ることが必須の条件となっている。酸素濃縮装置として
は、酸素選択透過膜を用いた膜型酸素濃縮装置と、酸素
又は窒素を選択的に吸着する吸着剤を用いた吸着型酸素
濃縮装置の２種類のものが開発されている。一般に真空
ポンプ等を用いる膜型酸素濃縮装置に比較して、圧縮機
等を用いる吸着型酸素濃縮装置の方が発生する騒音のレ
ベルが高い傾向にあり、その騒音対策が望まれていた。

【０００３】一般に騒音を低減する方策としては、騒音
源を遮音壁で密閉する方法や騒音源の振動を防止して固
体伝播音を減少させる方法、内壁面に吸音材を貼付けて
音の減衰を図る方法等が知られている。

【０００４】しかしながら圧力変動吸着型酸素濃縮装置
においては、圧縮機等の大きな騒音の発生源を有するこ
と、それに付随した電動機と共にそれを冷却するために
必要な冷却風量が比較的大きくその冷却風の開放された
流路が不可欠であること、脱着工程において圧縮された
酸素ひんか空気の排出音が発生すること等のために、通
常用いられる騒音低減の方策では充分な効果をあげるこ
とが非常に困難であった。

【０００５】例えば騒音源を完全に密閉することは困難
であり、その遮音壁について遮音性を高めるには遮音壁
の質量を増加させる必要があるが、必要以上に壁の肉厚
を大きくすると装置の重量寸法が増加して好ましくな
い。又、空気の流入口・流出口から出る音が壁を透過す
る音よりも大きくなれば、装置全体の騒音レベルは冷却
用空気流路から出る音が律速になるため、遮音の効果が
出ない。

【０００６】又空気流路の内壁に吸音材を貼りつけるこ
とについても、流路の断面積を絞りすぎて、流動抵抗が
増加し過ぎると、流れる空気量が減少して、ポンプの冷
却不足等の不都合を生じることがある。そのため特に圧
力変動吸着式酸素濃縮装置では所定の酸素濃縮性能を維
持しつつ、かつ寸法を増大させないで充分な騒音対策を
とることが非常に困難であった。

【０００７】

【発明の目的】本発明の目的は上記の従来技術の欠点を
是正し、従来の酸素濃縮装置と比べ寸法をほとんど増加
させることなく、又、濃縮装置の機能を減じることなく
従来より騒音の小さい圧力変動吸着型酸素濃縮装置を提
供することにある。

【０００８】

【発明の構成】本発明者は、かかる目的を達成するため
に鋭意研究を行なった結果、圧力変動吸着型酸素濃縮装
置におけるコンプレッサー等の圧縮空気供給手段の空気
吸入側導管手段に、騒音が発生したりまた騒音が導管手
段の外にもれるのを防止するための特定の機能を具備さ
せることが装置全体の騒音低下にとって非常に有効であ
ることを見い出し、本発明に到達したものである。

【０００９】即ち本発明は、吸着床と、該吸着床に圧縮
空気を供給するための電動機の動力により駆動される圧
縮空気供給手段を具備した圧力変動吸着型の酸素濃縮装
置において、該圧縮空気供給手段の吸入側導管手段に逆
流防止手段を具備せしめたことを特徴とする酸素濃縮装
置を提供するものである。

【００１０】かかる本発明の酸素濃縮装置には、該吸着
床が一基であり、該圧縮空気供給手段がコンプレッサー
手段であって、該コンプレッサー手段が該吸着床へ圧縮
空気を供給する機能と該吸着床から気体を排出するため
の機能の両機能を兼ねるようにしたものが含まれる。

【００１１】また本発明は、吸着床と、該吸着床に圧縮
空気を供給するための電動機の動力により駆動される圧
縮空気供給手段を具備した圧力変動吸着型の酸素濃縮装
置において、該圧縮空気供給手段の吸入側導管手段の先
端部周辺の管側部に開口部を備えたことを特徴とする酸
素濃縮装置を提供するものである。

【００１２】さらに本発明には、吸着床と、該吸着床に
圧縮空気を供給するための電動機の動力により駆動され
る圧縮空気供給手段を具備した圧力変動吸着型の酸素濃
縮装置において、該圧縮空気供給手段の吸入側導管手段
に逆流防止手段を具備せしめ、かつ該吸入側導管手段に
サイレンサー手段を具備せしめたことを特徴とする酸素
濃縮装置が含まれる。

【００１３】かかる本発明には、該サイレンサー手段
が、該吸入側導管手段の先端部周辺の管側部に開口部を
備えたものであるか、又は該吸入側導管手段の先端部に
フィルターを備えたものである酸素濃縮装置が含まれ
る。

【００１４】以下、本発明について必要に応じて図を用
いながらさらに詳細に説明する。本発明の酸素濃縮装置
は、圧力変動吸着型（以下略してＰＳＡ型と記すことも
ある）のものであって、酸素又は窒素を選択的に吸着し
得る吸着剤を充填した吸着床に加圧された空気を供給し
特定成分を選択的に吸着せしめた後、吸着床の圧力を低
減させて脱着を行なわせることによって酸素濃度の高め
られた気体を得る装置である。かかる酸素濃縮装置は通
常、吸着床、電動機により駆動される圧縮空気供給手
段、この電動機と圧縮空気供給手段を冷却するための大
気の流れを生じさせるファン手段、及び該吸着床と圧縮
空気供給手段を連結して吸着床に圧縮空気を流入せしめ
るための導管手段とそれに具備されて吸着・脱着の圧力
変動をコントロールする自動弁手段を主要な構成要素と
するものである。

【００１５】ここで吸着床は１個又は２個以上のいずれ
であってもよいが、医療用の小型の酸素濃縮装置の場合
には２個以下が好ましく、特に１個の場合が望ましい。
また圧縮空気供給手段としては通常圧縮機が用いられる
が、場合によってはブロアー形式のものであってもよ
い。またファン手段としては、通常圧縮機自体に取付け
られたファンの他にさらに別のファン手段を用いる方が
圧縮機等の冷却が確実に行ない得るので好ましい。さら
に該自動弁手段としては、吸着床の吸脱着サイクルをコ
ントロールするためのものであって、二方式，三方式あ
るいは四方式等のものが用いられる。かかる自動弁手段
は直流励磁型電磁弁、交流励磁式電磁弁、空気作動式自
動弁、パイロット作動型電磁弁等が好ましく、中でもち
ょくりゅく励磁型電磁弁、空気作動式自動弁、及びパイ
ロット作動型電磁弁等が鉄芯等の動きがゆるやかでライ
フが長く且つ作動時の発生音が小さく低騒音化の対策上
更に好ましく、特に直流励磁型電磁弁が実用的である。

【００１６】本発明の酸素濃縮装置の特徴は、圧縮機等
の圧縮空気供給手段の空気吸入側導管手段に騒音発生防
止又は騒音低下のための特定の機能部を具備せしめたこ
とにある。

【００１７】その機能部の１例として、空気吸入側導管
手段に逆流防止手段を具備せしめた態様があげられる。
かかる逆流防止手段の好ましい具体例とし、逆止弁手段
がある。また他の具体例としては、空気吸入側導管手段
において空気の逆流が発生するような場合に、それが発
生しないようにあらかじめその直前に閉じるように制御
された自動開閉弁手段があげられる。

【００１８】かかる本発明の酸素濃縮装置の例として、
例えば図１に示す如き１塔式の圧力があげられる。即ち
図１において、吸着床１へ圧縮機３により加圧した空気
を送り吸着床１で窒素を選択的に吸着して酸素濃度が９
０％程度に高められた酸素の濃縮気体がクッションタン
ク２に貯留され、調圧弁９により減圧調整され、除菌フ
ィルター１０で細菌が除かれた後、流量設定器１１で所
定の流量に調整され、さらに加湿器１２で加湿された酸
素濃縮気体が導管手段や鼻カニューラ（便宜上図示せ
ず）を介して患者に供給される。所定の時間の吸着工程
を終えた後、電磁弁８を閉じると同時に電磁弁４，５の
流路を切り換えることによって、図１に示した如き流路
を形成して圧縮機３を真空ポンプ手段として用いること
によって吸着床１内を減圧して脱着操作を所定時間行な
う。この様に電磁弁４，５，８をマイクロコンピュータ
ー等の制御手段（便宜上図示せず）によって制御しなが
ら、これらの一連の圧力変動吸着操作を繰り返し行なう
ようしたものである。

【００１９】かかる図１に示した如き酸素濃縮装置にお
いて、電磁式切換弁４，５として、異物のかみ込み等に
よるトラブルが少なく耐久性に優れると考えられるポペ
ット型電磁弁を用いた場合には、電磁弁４，５が吸着工
程から脱着工程に切換えるための、流路切り換えを行な
う際に一時的に吸入側導管手段７と高圧側、即ち吸着床
１とが導通して、高圧側から空気が吸入側導管手段７の
方に逆流する現象が生じてしまい、その一時的な空気の
逆流現象によって定期的な特有の騒音が発生し、酸素濃
縮装置を使用する患者に不快感を与えることがわかっ
た。

【００２０】本発明は、この様に本来生ずることが予定
されておらず、特別の騒音対策が取られていなかった圧
縮機の空気流入側導管手段において、逆流による騒音に
ついての特別の対策を施したものである。図１の例で
は、その特別の騒音対策として、吸入側導管手段７の途
中に逆止弁６が具備されている。

【００２１】また排気側導管手段１３には必要に応じ
て、サイレンサー手段を具備することが好ましい。さら
には、この圧縮機を冷却するためにファン１４が用いら
れるが、その冷却風の流路に仕切り板を備えたり、騒音
の発生源である圧縮機やファンを消音のためのボックス
内に収納する等の騒音の低減策を施すことが望ましい。
尚この消音のためのボックスは、通常厚さ１mm程度の鉄
板を用いその内側に吸音材をはった形で構成されるが、
鉄板の厚さを０．４mm程度に薄くしても充分消音効果が
得られることがわかったので、この様な薄い鉄板等の金
属板を用いて低騒音化と共に軽量化も図ることが望まし
い。

【００２２】図１以外でも、本来気体の流れることを予
定していない圧縮機の吸入側導管手段への逆流現象が生
ずるような場合には、本発明が騒音低減策として有効に
機能し得る。

【００２３】またかかる圧縮機の吸入側導管手段への気
体の逆流は一時的なパルス状のものであることから、そ
の吸入側導管手段に、パルス状の流れによる騒音発生を
防止するのに有効なようなサイレンサー手段を特別に具
備させることもその騒音低減策として有用である。

【００２４】その特別なサイレンサー手段の具体例とし
て、吸入側導管手段の先端部において、先端部近くの管
の側面に１個、好ましくは複数の開口部を設けて、さら
に好ましくは先端部を封止してパルス状の気体の流れが
そのまま流出するのを防ぎ、空気の吸入口とする方策が
あげられる。例えば先端部封止と管側部に２個以上の開
口部を組合せた場合や先端部開口と管側部に１個以上の
開口部の組合せがあげられる。尚、先端の封止部の内側
にはパルス状の気体の流れがあたった時に、そのエネル
ギーの吸収をよくするための吸音材を具備させることが
望ましい。

【００２５】他のサイレンサー手段の具体例として、吸
入側導管手段の先端部にフィルター手段を設置する方策
があげられる。かかるフィルター手段としては、吸入す
る空気中の異物を除去して電磁弁やコンプレッサーの寿
命を長くするための機能をも兼ね備えるようにしたもの
が好ましい。

【００２６】本発明の酸素濃縮装置としては、前記の如
き逆流防止手段と共に、かかる特別のサイレンサー手段
を圧縮機の吸入側導管手段に具備させることによって、
より騒音低減効果を高めたものが好ましい態様としてあ
げられる。

【００２７】

【発明の効果】本発明によれば、圧縮機の圧縮空気供給
手段を用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置において、圧
縮機の吸入側導管手段に気体の逆流が生ずる場合にも低
騒音型の酸素濃縮装置が提供できる優れた効果が得られ
る。特に逆流防止手段を具備させた場合が、騒音低下に
大きな効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の酸素濃縮装置の好ましい態様例の模式
的フローチャート。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】吸着床と、該吸着床に圧縮空気を供給する
   ための電動機の動力により駆動される圧縮空気供給手段
   を具備した圧力変動吸着型の酸素濃縮装置において、該
   圧縮空気供給手段の吸入側導管手段に逆流防止手段を具
   備せしめたことを特徴とする酸素濃縮装置。
2. 【請求項２】該吸着床が一基であり、該圧縮空気供給手
   段がコンプレッサー手段であって、該コンプレッサー手
   段が該吸着床へ圧縮空気を供給する機能と該吸着床から
   気体を排出するための機能の両機能を兼ねるようにした
   請求項１の酸素濃縮装置。
3. 【請求項３】吸着床と、該吸着床に圧縮空気を供給する
   ための電動機の動力により駆動される圧縮空気供給手段
   を具備した圧力変動吸着型の酸素濃縮装置において、該
   圧縮空気供給手段の吸入側導管手段に逆流防止手段を具
   備せしめ、かつ該吸入側導管手段にサイレンサー手段を
   具備せしめたことを特徴とする酸素濃縮装置。
4. 【請求項４】該サイレンサー手段が、該吸入側導管手段
   の先端部周辺の管側部に開口部を備えたものであるか、
   又は該吸入側導管手段の先端部にフィルターを備えたも
   のである請求項４の酸素濃縮装置。