JP2774667B2 - 混合器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、混合器に関する。更に詳述すると、本発明
は狭空間における燃料と空気との予混合に好適な混合器
に関する。

（従来の技術） 従来の混合器としては、空気をノズルから噴出させて
その噴流のもつ運動エネルギによりガスを吸引し混合す
るベンチュリミキサが一般的である。この混合器は予混
合ガスバーナ用の混合器として各種工業用ガスバーナに
使われている。

一方、本発明者らは低NOxのガスタービン用燃焼器を
開発するにあたって、工業的に実用化された小型の触媒
燃焼部と予混合気供給部とをセグメント化して組合せ、
１つの大型バーナを構成して触媒燃焼と気相燃焼との複
合燃焼によって触媒温度を触媒の耐熱温度以下に保って
触媒の劣化を防ぎつつ燃焼器出口の燃焼ガス温度を高く
することを考えた。しかし、この燃焼器にあっては触媒
燃焼部における圧力損失が大きいことから、燃焼器の実
用化に際しては小型でかつ圧力損失を大きくせずに予混
合可能な混合器が必要とされる。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、例えば圧力損失の低減を目的としたベ
ンチュリミキサは、均一な混合を得るためにはベンチュ
リ部を多く設けなければならず構造が複雑となって製造
上高価となる問題がある。また、他の方法では圧力損失
がかなり大きくなり、ガスタービン用燃焼器のように圧
縮器からの圧力空気によって混合しようとするような場
合には好ましくない。また、装置も大型化してしまう
し、高価となるが問題がある。

即ち、従来の混合器では小型の触媒燃焼部の予混合器
として適用することが製作上の問題並びに圧損の問題か
ら難しいものである。

本発明は圧力損失が少なく簡単な構造で安価な混合器
を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） かかる目的を達成するため、本発明の混合器は、第１
の流体を流す内筒と、この内筒を囲繞して第２の流体を
流す流路を前記内筒との間に形成する外筒とから成り、
前記内筒の外形部に周方向に山部と谷部とを交互に連続
して設けて成る凹凸を前記内筒自体で形成し、かつ前記
山部は前記第２の流体の流れ方向の下流に向かって前記
山部の外径を緩やかに増加させ、かつ前記内筒の山部と
谷部とを交互に連続して設けて成る凹凸部の終端には前
記内筒の凹凸部の出口を塞ぐ壁面を設けると共に該壁面
の各山部に対応した位置に前記第１の流体の噴射口を開
口するようにしている。

また、本発明の混合器は、前記内筒の半径方向の中央
部に点火器を貫通させて配設し、前記壁面の下流の位置
で、前記壁面の下流で混合される第１の流体と第２の流
体との混合流体を着火させるバーナ機能を備えるように
している。

また、本発明の混合器は、前記内筒の半径方向の中央
部に、前記第２の流体を流す流路を形成すると共に前記
内筒の壁面にその出口を形成し、前記内筒の壁面を貫通
して前記壁面の直ぐ下流に前記第２の流体を吹き出すよ
うにしている。

また、本発明の混合器は、１本の外筒の中に複数本の
内筒を設けるようにしている。

（作用） したがって、山部の後即ち下流に生ずる負圧部分に谷
部から第２の流体が回り込み、山部の壁面から噴出され
る第１の流体と衝突し混合される。この際第２の流体は
流れ方向に漸増する山部によって次第に分割されるた
め、圧力損失を大きく増加させることなしに増速して山
部の下流に形成される負圧によって第１の流体の噴射口
の前に容易に回り込み、第１の流体と第２の流体とを混
合拡散させる。

（実施例） 以下、本発明の構成を図面に示す実施例詠に基づいて
詳細に説明する。尚、本実施例は触媒燃焼と気相燃焼と
を組合せた燃焼器の予混合器として実施したものであ
る。

第１図に本発明の混合器を適用した触媒燃焼式ガスタ
ービン用燃焼器の概略図を示す。この実施例の触媒燃焼
式ガスタービン用燃焼器は、予混合気供給部４と、触媒
燃焼部３とを並列に配置して成るバーナ部１と、それら
の下流に形成された予混合燃焼部２とから主に成り、触
媒燃焼部３からの触媒燃焼ガスを保炎源として予混合気
供給部４からの予混合気を希薄予混合燃焼させるように
している。

燃焼器は、図示していないが、通常、ケーシング（図
示省略）とライナ11との２重筒構造が採られ、ライナと
ケーシングとの間に形成された空気流路にガスタービン
側から供給される圧縮空気を導入して、予混合気供給部
４と触媒燃焼部３の集合から成るバーナ部１と、ライナ
11の冷却空気孔（図示省略）及びバイパス通路（図示省
略）を経てライナ11の内側の予混合燃焼部２に供給する
ように設けられている。

また、予混合燃焼部２はセラミックスによって包囲さ
れ、冷却の必要性がほとんどない高温壁の存在によっ
て、気相燃焼が起き難い状態の予混合燃焼部２の熱ロス
を小さく抑えて均一かつ完全燃焼させるように設けられ
ている。例えば、図のように金属筒11aを構造材とし、
内壁11bをセラミックスとすることで、より温度が均一
で安定性のある燃焼場を得ることができる。この場合、
セラミックスはタイルのようなものでも、繊維状のもの
でも良い。また、ライナ全体をセラミックスで成形する
ことも可能である。

予混合気供給部４は、例えばケーシング内に開口され
る空気供給管20と燃料ノズル21とによって構成されてお
り、開口面積比に従って分配される圧縮空気及び燃料ノ
ズル21から噴出した燃料により所定濃度の予混合気を得
るように設けられている。また、予混合気供給部４を構
成する空気供給管20の出口にはスワラ22が設置されてお
り、予混合気を触媒燃焼ガスの流れに向けて噴射させ触
媒燃焼ガスとある程度拡散混合するように設けられてい
る。

触媒燃焼部３は、好ましくはチューブセグメントに触
媒18を充填して成り、その上流側に予混合器30を備える
ようにしている。例えば、触媒18とバッフルプレート40
を内蔵したセラミックス製触媒筒19と、空気供給管31と
燃焼ノズル32によって構成される予混合器30とから成
る。

予混合器30は、第２図に示すように、第１の流体例え
ば燃料を流す内筒即ち燃料ノズル32と、第２の流体例え
ば空気を流す流路を内筒32との間に形成する外筒即ち空
気供給管31とから成り、空気の流れ方向に緩やかに外径
を増す山部34と空気の流れ方向に平行な谷部33とを一定
間隔置きに交互に周方向に設けた花弁状の燃料ノズル32
と、それを囲繞する空気供給管31とにより構成され、谷
部33を流れる空気が山部34の下流に形成される負圧部に
流入することによって空気と燃料とを混合するようにし
ている。燃料ノズル32の燃料噴射口35は空気の流れと交
差する山部34の壁面36に開口され、空気の流れと同方向
に噴射される。

第２の流体たる空気は燃料ノズル32の谷部33即ち山部
34の側壁面と空気供給管31とに囲まれた流路を流れる。
また、山部34はその外径を漸増させ、空気流路を分断す
るかのように谷部33を形成している。そのため、空気流
は圧力損失を大きく増加させずに緩やかに加速し、燃料
ノズル32の外周面に従い分断されていく。そして、空気
供給管31と燃料ノズル32との間を流れる空気が山部34の
下流側に達した時に、この燃料ノズル32の下流側にでき
る負圧及びこれに起因する流れの干渉効果により、燃料
ノズル32の全面、即ち燃料噴出口35の下流に巻き込まれ
るように流れる。この結果、燃料と空気は均一に混合さ
れる。この場合、燃料噴出口35の径及び燃料ノズル32の
全面の面積を調整することにより混合の強さを調整でき
る。

尚、燃料ノズル32の中央には開口38を設け点火トーチ
37が配置され、予混合器30にバーナとしての機能をも併
せ持たせるよういにしている。

触媒18の下流即ち触媒燃焼部３の出口にはバッフルプ
レート40が設けられている。このバッフルプレート40
は、例えば触媒燃焼ガスの流れを塞ぐ十字型の板から成
り、半径方向に突出する各片の間の切欠きから中心の負
圧部分に向けて互いに衝突しない緩やかな旋回流を発生
させる。この緩やかな旋回流は周囲の予混合気供給部４
から噴射される希薄予混合ガスの一部を巻き込み適度な
混合を達成する。

尚、上述の実施例は本発明の好適な実施の一例ではあ
るがこれに限定されるのではなく本発明の要旨を逸脱し
ない範囲において種々変形実施可能である。例えば、第
１図では燃料供給部中心部に点火トーチ37を設置し、均
一燃焼が可能な低NOxバーナとしての機能を持たせる適
用例としているが、混合だけを目的とする場合には前記
点火トーチ37は必ぜしも必要がなく、点火トーチ37のス
ペースに空気供給管31と燃料ノズル32との間の空気流路
から分流した空気を流す管路を設け、更に混合性を良好
にすることもできる。

また、第１図は軸対称空気流中での適用例を示してい
るが、特に軸対称形状にこだわる必要はなく流路の形状
に合わせて燃料ノズル（内筒）32の外形及び必要であれ
ば空気供給管（外筒）31の内形状を変化させても良い。
この場合に重要なのは流れの下流方向に向かって外径を
緩やかに増加させることと、流路を分断するように外形
に山部34と谷部33を設けることである。

更に、流路の大きさにもこだわる必要がない。この場
合には燃料ノズル32を１本の空気供給管31の中に複数個
配置して混合性を良くすることもできる。

また、本発明では外筒と内筒とは円筒感で構成してい
るが、これに特に限定されるものではなく、断面短形、
三角形等に構成しても良い。

更に、混合する流体は本実施例の場合、燃料と燃料用
空気にしているが、他の流体でも良いし、内筒側に空気
を外筒側に燃料を流すようにしても良い。

（発明の効果） 以上の説明より明らかなように、本発明は、第１の流
体を流す内筒と、この内筒を囲繞して第２の流体を流す
流路を前記内筒との間に形成する外筒とから成り、前記
内筒の外形部に周方向に山部と谷部とを交互に連続して
設けて成る凹凸を前記内筒自体で形成し、かつ前記山部
は前記第２の流体の流れ方向の下流に向かって前記山部
の外径を緩やかに増加させ、かつ前記内筒の山部と谷部
とを交互に連続して設けて成る凹凸部の終端には前記内
筒の凹凸部の出口を塞ぐ壁面を設けると共に該壁面の各
山部に対応した位置に前記第１の流体の噴射口を開口し
ているので、空気流の圧力損失を大きく増加させること
なしに燃料供給部を空気流中に拡散させることができ
る。また、外筒と内筒との間の空気流路を分断するよう
に外形に山部と谷部を設けるようにしているので、より
一層の圧力損失の低減が図られると共に空気が燃料供給
部前面に容易に回り込むことができる。

これらの効果によって、燃料と空気は圧力損失を増大
させることなく均一に混合される。

また、構造は拡管作業と溶接作業によって簡単かつ安
価に製造できる。

更に、中央部に点火器を設けることにより燃料と空気
の均一に混合された状態での燃焼が得られ、低NOxバー
ナとしての役割を持たせることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の混合器を適用した触媒燃焼式ガスター
ビン用燃焼器のバーナ部分の一具体例を示す中央縦断面
図である。 第２図（Ａ），（Ｂ）は予混合器の一実施例を示す中央
縦断面図及び一部切欠き正面図である。 30……予混合器、31……空気供給管（外筒）、 32……燃焼ノズル（内筒）、33……谷部、 34……山部、35……噴射口、36……壁面。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久松 暢 神奈川県横須賀市芦名２―24―41 (72)発明者 石川 浩 神奈川県座間市ひばりが丘１―5336―３ (72)発明者 山中 亨 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 雑賀 幹人 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 岡畑 征弘 大阪府大阪市北区中之島３丁目３番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 長谷川 敏明 神奈川県横浜市鶴見区尻手２丁目１番53 号 日本ファーネス工業株式会社内 (72)発明者 星野 俊文 神奈川県横浜市鶴見区尻手２丁目１番53 号 日本ファーネス工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23R 3/20 F23R 3/30 F23R 3/40

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１の流体を流す内筒と、この内筒を囲繞
   して第２の流体を流す流路を前記内筒との間に形成する
   外筒とから成り、前記内筒の外形部に周方向に山部と谷
   部とを交互に連続して設けて成る凹凸を前記内筒自体で
   形成し、かつ前記山部は前記第２の流体の流れ方向の下
   流に向かって前記山部の外径を緩やかに増加させ、かつ
   前記内筒の山部と谷部とを交互に連続して設けて成る凹
   凸部の終端には前記内筒の凹凸部の出口を塞ぐ壁面を設
   けると共に該壁面の各山部に対応した位置に前記第１の
   流体の噴射口を開口したことを特徴とする混合器。
2. 【請求項２】前記内筒の半径方向の中央部に点火器を貫
   通させて配設し、前記壁面の下流の位置で、前記壁面の
   下流で混合される第１の流体と第２の流体との混合流体
   を着火させるバーナ機能を備えることを特徴とする請求
   項１記載の混合器。
3. 【請求項３】前記内筒の半径方向の中央部に、前記第２
   の流体を流す流路を形成すると共に前記内筒の壁面にそ
   の出口を形成し、前記内筒の壁面を貫通して前記壁面の
   直ぐ下流に前記第２の流体を吹き出すことを特徴とする
   請求項１記載の混合器。
4. 【請求項４】１本の外筒の中に複数本の内筒を設けたこ
   とを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載の混合
   器。