JP2773493B2 - 高圧殺菌用インジケーター - Google Patents

高圧殺菌用インジケーター

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JP2773493B2
JP2773493B2 JP3286365A JP28636591A JP2773493B2 JP 2773493 B2 JP2773493 B2 JP 2773493B2 JP 3286365 A JP3286365 A JP 3286365A JP 28636591 A JP28636591 A JP 28636591A JP 2773493 B2 JP2773493 B2 JP 2773493B2
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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、1000気圧以上の静
水圧力を被処理物に加えて行う、高圧殺菌に用いるイン
ジケーターに関するものであり、特にpHが4.5以下
の食品の高圧殺菌に使用する、高圧殺菌用インジケータ
ーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、食品、医薬品あるいは医療用具等
を殺菌する場合、殺菌が確実に行われたかどうかを確認
するため、インジケーターが用いられている。
【0003】そのような殺菌インジケーターとしては、
所定の殺菌条件に達した時に変色等により殺菌できたこ
とを知らせる化学的インジケーターと、実際に微生物を
用いて、完全に殺菌できたかどうかを確認する生物的イ
ンジケーターがあり、レトルト殺菌等の高温加熱殺菌、
あるいはエチレンオキサイドガス等の殺菌性を有するガ
スを用いたガス殺菌、γ線等の放射線を用いた放射線殺
菌などで使用されている。
【0004】例えば、特開昭62−228147号公
報、特開平1−107765号公報、特開平2−195
898号公報には、微生物を用いた生物的インジケータ
ーが開示されている。
【0005】他方、化学的インジケーターは古くから知
られているが、特開平1−166759号公報、特開平
2−180973号公報、特開平2−211162号公
報等が知られている。
【0006】生物的インジケーターの場合、対象となる
殺菌方法に対して最も耐性を有している微生物を使用す
る必要があり、現在のところ実用的なものとして、加熱
殺菌用インジケーターとしては、湿熱殺菌にはバチルス
・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophil
us)が、乾熱殺菌にはバチルス・ズブチリス(Bacillus s
ubtilis) が用いられているに過ぎない。
【0007】ところで、最近、1,000〜10,00
0気圧のきわめて高い静水圧力を被処理物に加え、食品
などの加工や殺菌を行なう技術が開発され、既に一部実
用化されているが、この技術を用いた高圧殺菌に使用で
きるインジーケーターは、未だ開発されていない。
【0008】これは、高圧殺菌が比較的新しい技術であ
り、処理条件が加熱殺菌等のように確定しておらず、様
々な条件で処理されるため、広い条件範囲で使用可能な
インジケーターが必要であること、また、インジケータ
ーとして使用できる、高圧に対して耐性のある微生物
や、高圧で可視的に不可逆的に変化する化学物質が見出
されていないことによると考えられる。
【0009】特開平1−240831号公報には、圧力
に対して可逆的に変色する物質を用いた圧力インジケー
ターが開示されているが、可逆であり、本発明のような
高圧殺菌に適用することは不可能である。
【0010】ここで、殺菌に用いる生物的インジケータ
ーは、殺菌対象の食品等の中で増殖可能であり、かつ、
設定された殺菌条件に対し、最も高い耐性を有する菌を
見出し、用いれば、その目的が達成できるのものであ
る。そのため、高圧殺菌用インジケーターとしては、生
物的インジケーターであることが好ましい。そして、生
物的インジケーターであれば、菌種と菌量の組合せで種
々の条件に適合させることが可能である。
【0011】加熱殺菌の場合には、細菌胞子が最も耐性
のある菌であり、加熱殺菌用生物的インジケーターの指
標菌として使用できるが、高圧殺菌では細菌胞子は完全
には殺菌できない。そして、現在高圧殺菌の対象となっ
ているのは、細菌類が増殖できないpH4.5以下の食
品である。このような低pHで増殖可能な微生物は糸状
菌、酵母等の真菌であり、これら真菌の中で最も高圧に
耐性のある微生物をインジケーターとして使用すること
が必要である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、pHが4.
5以下の食品において増殖できる微生物を高圧殺菌によ
り殺菌する場合において、殺菌の確実性を確認するため
の微生物インジケーターの提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者は、カン
ジダ(Candida)属の酵母およびペニシリウム
(Penisillium)属の糸状菌の分生子が、他
の真菌に比べて著しく高い高耐圧生を有していることを
認め、高圧殺菌用インジケーターに用いることに想到し
た。中でも、カンジダ属では、カンジダ・クルゼイ(C
andida krusei)、カンジダ・トロピカリ
ス(Candida tropicalis)が、ペニ
シリウム属では、ペニシリウム・シトリヌム(Peni
cillium citrinum)、ペニシリウム・
ステッキー(Penicillium Stecki
i)の胞子、すなわち分生子が、特に高い耐性を有して
いることを認めている(以下、単に菌または真菌という
ことがある)。そこで本発明は上記課題を解決すべく考
えられたものであり、請求項1の発明は、指標菌とし
て、カンジダ(Candida)属の酵母を用いたこと
を特徴とする高圧殺菌用インジケーターである。請求項
2の発明は、カンジダ属の酵母が、カンジダ・クルゼイ
(Candida krusei)またはカンジダ・ト
ロピカリス(Candida tropicalis)
のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の高圧
殺菌用インジケーターである。請求項3の発明は、指標
菌として、ペニシリウム(Penicillium)属
の糸状菌の分生子を用いたことを特徴とする高圧殺菌用
インジケーターである。請求項4の発明は、ペニシリウ
ム糸状菌が、ペニシリウム・シトリヌム(Penici
llium citrinum)、ペニシリウム・ステ
ッキー(Penicillium steckii)の
いずれかであることを特徴とする請求項3記載の高圧殺
菌用インジケーターである。請求項5の発明は、指標菌
を、吸水性材料あるいは水不透過性材料、またはこれら
の複合体よりなる基材上に担持させたことを特徴とする
請求項1乃至請求項4記載のいずれかに記載の高圧殺菌
用インジケーターである。請求項6の発明は、指標菌
が、インジケーターあたり10個以上担持されている
ことを特徴とする請求項5記載の高圧殺菌用インジケー
ターである。
【0014】インジケーターとしては、菌懸濁液、ある
いは真空ないしは凍結乾燥して粉状ないしは顆粒状とし
た形態も可能ではあるが、吸水性材料あるいは水不透過
性材料、またはこれらの複合体よりなる基材上に前記真
菌を担持させたものとすることが、取扱いが容易とな
り、好ましい。
【0015】すなわち、粉末状や顆粒状、あるいは液状
のインジケーターでは、使用時に飛散するなどにより、
製品や操作者を汚染する恐れがある。
【0016】このような、基材上に前記真菌を担持させ
たインジケーターは、例えば以下の手順により作成する
ことができる。
【0017】指標菌としてカンジダ属の酵母を使用する
場合は、まず、カンジダ属酵母を定常期状態まで培養
し、集菌した後、各種糖類、脱脂乳、グルタミン酸ナト
リウム、血清、ペプトン、デキストリン等の各種乾燥保
護剤の入った分散媒中に高菌濃度で懸濁する。この菌懸
濁液を一定の菌数となるように各種基材に含浸あるいは
薄く滴下し、その後、自然乾燥(風乾)、凍結乾燥、L
−真空乾燥等の方法により乾燥し、菌を基材に担持(固
定)させることによりインジケーターとする。
【0018】指標菌としてペニシリウム属の糸状菌の分
生子を使用する場合は、ペニシリウム属の糸状菌を十分
分生子が形成されるまで培養し、その分生子を集め、各
種糖類、脱脂乳、グルタミン酸ナトリウム、血清、ペプ
トン、デキストリン等の各種乾燥保護剤の入った分散媒
中に高分生子濃度で懸濁する。この分生子懸濁液を一定
の分生子数となるように各種基材に含浸あるいは薄く滴
下し、その後、自然乾燥(風乾)、凍結乾燥、L−真空
乾燥等の方法により乾燥し、分生子を基材に担持(固
定)させることによりインジケーターとする。
【0019】インジケーター当りの菌数は、高圧殺菌の
処理条件によって異なるが、殺菌対象品の実際の最高汚
染度以上の菌数にする必要があり、保存・取扱い上の、
例えば乾燥による生残菌数の低下や、結果の信頼性を上
げるためにも、105 個以上とすることが望ましい。
【0020】インジケーターに使用する基材は、菌また
は分生子を担持できるものであれば特に限定されない
が、担持された菌または分生子の脱離が少なく、取扱い
が容易である等の理由から、特に紙、中でも濾紙が好ま
しい。
【0021】また、一定量の菌懸濁液または分生子懸濁
液を紙に含浸、担持させやすいように、紙の片面にポリ
エチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムや
アルミニウム箔等の水不透過性の材料を貼り合わせても
よい。
【0022】図1(a)、図1(b)にそのインジケー
ターの断面図を示す。
【0023】図1(a)は、基材(1)として濾紙を用
いたもので、基材(1)の中および表面に菌または分生
子(10)が担持されている。図1(b)は、濾紙(1
1)に水不透過性材料(12)を貼り合せた基材(1)
を使用したものである。
【0024】また、図1(c)のように、水不透過性材
料(12)を基材(1)として用い、この上に菌懸濁液
または分生子懸濁液を薄く拡げたのち、乾燥し、菌また
は分生子(10)を担持させたインジケーターも作成可
能である。この場合の基材(1)としては、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナ
イロン等のプラスチックのフィルムやシートが適してい
る。
【0025】上記実施例では、菌または分生子(10)
を全面に担持させているが、図2に示すように、基材
(1)の一部分に菌または分生子(10)を担持させ
て、他の部分を摘み部(2)としたり、必要な事項を印
刷あるいは使用者が記入する部分としてもよい。
【0026】なお、菌または分生子(10)の懸濁・分
散に用いる分散媒や、上記基材(1)は、予め滅菌して
おくことが好ましい。
【0027】また、インジケーターは、インジケーター
の湿潤を防止し、かつ他の微生物による汚染を防止する
ため、アルミニウム箔やポリ塩化ビニリデン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のバリヤー層を含む、
防湿性の包装材料で密封包装して保存することが好まし
い。
【0028】上述のようにして得られたインジケーター
を使用するに当たっては、インジケーターを殺菌対象と
なる食品、あるいは適当な培地と共に、例えばプラスチ
ックフィルム製の袋のような、柔軟性を有する容器に封
入して、所定の高圧処理を行なう。高圧処理後、インジ
ケーターを封入してある容器を、そのまま、あるいは無
菌的に取り出し、指標菌にとって好適な生育条件、例え
ば25〜30℃で培養し、微生物の生育の有無を観察
し、殺菌効果を判断することにより、殺菌対象が完全に
殺菌されたか、あるいは、必要な殺菌条件が与えられた
か否かを評価することができる。
【0029】
【作用】高圧に耐性を有している前記真菌をインジケー
ターとして用いることにより、pH4.5以下の食品に
おいては、インジケーター微生物が完全に殺菌されれ
ば、食品衛生上問題となる他の真菌も殺菌されるため、
高圧殺菌を確実に実施することができる。
【0030】
【実施例】
<実験1>微生物として、カンジダ・トロピカリス(Can
dida tropicalis):IFO 1400(菌1)、カンジ
ダ・クルゼイ(Candida krusei):IFO 0584(菌
2)、およびカンジダ・マルトサ(Candida maltosa) :
IFO 1977(菌3)、サッカロミセス・セレビシ
ェ(Saccharomyces cerevisiae):IFO 0251(菌
4)をそれぞれグルコース・ペプトン培地で3日間培養
した菌(酵母)を用いた。
【0031】この菌を、凍結乾燥保護剤として、脱脂粉
乳を10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1重量%含
む分散媒(他の成分は水)に、108 細胞/mlとなる
よう懸濁し(懸濁液1)、さらに同じ分散媒を用いて、
106 細胞/mlとなるように希釈した(懸濁液2)。
各菌の懸濁液1、懸濁液2をそれぞれ0.1mlずつ基
材上に滴下した後、凍結乾燥を行ない、サンプル当りの
菌数がそれぞれ107 、105 細胞となるサンプルを得
た。
【0032】基材としては、濾紙(東洋ろ紙、No.
6)、濾紙(東洋ろ紙、No.6)の片面に厚さ50μ
mの低密度ポリエチレンフィルム(PE)を貼り合せた
もの、および70μmのポリプロピレンフィルム(P
P)の3種類をそれぞれ5mm×20mmに裁断したも
のを用いた。すなわち、菌種4種、菌数2段階、基材3
種の合計24種類のサンプルを作成した。
【0033】これらのサンプルを、グルコース・ペプト
ン培地10mlと共に、延伸ナイロン/無延伸ポリプロ
ピレン製の袋状容器に1枚ずつ入れ、空気が残らないよ
うに密封後、3000、4000および5000気圧で
各5、10、20分の高圧処理を20℃で行なった。処
理後、サンプルを袋状容器のまま30℃で培養し、菌の
増殖の有無(濁りおよびガス発生)を5日後まで確認し
た。なお、各条件について同じサンプル5枚ずつを処理
した。
【0034】さらに、上記以外に、下記の酵母について
も同様の実験を行った。
【0035】 ・菌5:カンジダ・ウチルス (Candida utilis) :IFO 0988 ・菌6:カンジダ・サケ (Candida sake) :IFO 1981 ・菌7:チゴサッカロミセス・ルキシ(Zygosaccharomyces rouxii):IFO 0505 ・菌8:ハンゼヌラ・アノマラ (Hansenula anomola) :IFO 0122 ・菌9:ロードトルラ・グルチニス (Rhodotolula glutinis) :IFO 1125
【0036】表1に、濾紙を用いたサンプルで5日目ま
でに菌の増殖が認められた袋状容器の数を示す。なお、
濾紙/PE、あるいはPPを基材としたサンプルでも、
ほぼ同じ結果であった。
【0037】
【表1】
【0038】上記結果から、サッカロミセス・セレビシ
ェおよびハンゼヌラ・アノマラ、ロードトルラ・グルチ
ニスは、いずれの条件でも殺菌され、耐圧性が低いこと
が分かる。また、チゴサッカロミセス・ルキシ、カンジ
ダ・ウチルス、カンジダ・サケは、カンジダ・マルトサ
とサッカロミセス・セレビシェの中間の耐圧性を示すに
留まり、いずれも圧力に対する耐性は低かった。
【0039】これに対し、カンジダ・クルゼイ、カンジ
ダ・トロピカリスは、上記菌に比べ、低菌数、長時間処
理、あるいは高圧であっても、殺菌できない場合があ
り、十分にインジケーターとしての働きをしていること
が分かる。
【0040】以上の結果より、カンジダ・クルゼイ、カ
ンジダ・トロピカリスは耐性がきわめて高く、殺菌のた
めには少なくとも4000気圧以上必要であり、インジ
ケーターとして最適である。また、カンジダ・マルトサ
は、処理条件が3000気圧の場合には殺菌できない場
合があるため、カンジダ・マルトサが死滅したことを確
認することによって、少なくとも3000気圧がかかっ
たことを確認するためのインジケーターとして使用可能
である。
【0041】<実験2>微生物として、下記の糸状菌を
用い、それぞれポテト・デキストロース寒天培地で10
日間培養し、十分形成した胞子を集めた。 ・菌11:ペニシリウム・シトリヌム (Penicillium citrinum) :IFO 6352 ・菌12:ペニシリウム・ステッキー (Penicillium steckii) :IFO 6028 ・菌13:リゾプス・デレマー (Rhizopus delemar) :OUT 1150 ・菌14:ムコール・ジャバニクス (Mucor javanicus) :OUT 1056 ・菌15:トリコデレマ・ビリデ (Tricoderema viride) :IFO 30498 ・菌16:アスペルギラス・ニゲル (Aspergillus niger) :IAM 2020 ・菌17:ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiclosum) :IFO 6345
【0042】この胞子を、凍結乾燥保護剤として、脱脂
粉乳を10重量%、グルタミン酸ナトリウムを1重量
%、ポリオキシエチレン(20)−ソルビタンモノオレ
エート(界面活性剤、商品名Tween80、アイ・シ
ー・アイ社製)を0.01重量%含む分散媒(他の成分
は水)に、108 胞子/mlとなるよう懸濁し(懸濁液
11)、さらに同じ分散媒を用いて、106 胞子/ml
となるように希釈した(懸濁液12)。各胞子の懸濁液
11、懸濁液12をそれぞれ0.1mlずつ基材上に滴
下した後、凍結乾燥を行ない、サンプル当りの胞子数が
それぞれ107 、105 胞子となるサンプルを得た。
【0043】基材としては、濾紙(東洋ろ紙、No.
6)、濾紙(東洋ろ紙、No.6)の片面に厚さ50μ
mの低密度ポリエチレンフィルム(PE)を貼り合せた
もの、および70μmのポリプロピレンフィルム(P
P)の3種類をそれぞれ5mm×20mmに裁断したも
のを用いた。すなわち、糸状菌の種類7種、胞子数2段
階、基材3種の合計42種類のサンプルを作成した。
【0044】これらのサンプルを、オレンジジュース1
0mlと共に、延伸ナイロン/無延伸ポリプロピレン製
の袋状容器に1枚ずつ入れ、空気が残らないように密封
後、3000、4000および5000気圧で各5、1
0、15分の高圧処理を20℃で行なった。処理後、サ
ンプルと内容物と共に無菌的に滅菌済みフラスコに移替
え、25℃で7日間培養し、カビの増殖の有無を確認し
た。なお、各条件について同じサンプル5枚ずつを処理
した。
【0045】表2に、濾紙を用いたサンプルで7日目ま
でに糸状菌の増殖が認められたサンプルの数を示す。な
お、濾紙/PE、あるいはPPを基材としたサンプルで
も、ほぼ同じ結果であった。
【0046】
【表2】
【0047】上記結果から明らかなように、リゾプス・
デレマー、ムコール・ジャバニクス、トリコデレマ・ビ
リデは、比較的耐圧性が認められたが、ペニシリウム・
シトリヌム、ペニシリウム・ステッキーに比べるとやや
耐性が低かった。また、ペニシリウム・フニクロサム
は、これらよりも更に耐圧性が低かった。アスペルギラ
ス・ニゲルは上述の条件で全て殺菌され、耐圧性は低か
った。
【0048】これに対し、ペニシリウム・シトリヌム、
ペニシリウム・ステッキーは、上記糸状菌に比べ、低菌
数、長時間処理、あるいは高圧であっても、殺菌できな
い場合があり、十分にインジケーターとしての働きをし
ていることが分かる。
【0049】以上、実験1および実験2の結果より、カ
ンジダ・クルゼイ、カンジダ・トロピカリスおよびペニ
シリウム・シトリヌム、ペニシリウム・ステッキーは耐
圧性がきわめて高く、殺菌のためには少なくとも400
0気圧以上必要であり、インジケーターとして最適であ
ることが明らかとなった。
【0050】また、カンジダ・マルトサ、リゾプス・デ
レマー、ムコール・ジャバニクス、トリコデレマ・ビリ
デは、処理条件が3000気圧の場合には殺菌できない
場合があるため、少なくとも3000気圧〜4000気
圧がかかったことを確認するためのインジケーターとし
て使用可能である。
【0051】なお、加圧処理の温度を上げることによ
り、殺菌の効果が高まることが、一部報告されている
が、相対的な菌の耐圧性には影響がないものと考えられ
るので、これらカンジダ属の酵母、ペニシリウム属の糸
状菌の胞子のインジケーターへの使用については、加圧
処理の温度条件は影響しないものと考えられる。
【0052】
【発明の効果】本発明は、高圧に対する耐性がきわめて
高い真菌、特にカンジダ属の酵母、中でも、カンジダ・
クルゼイまたはカンジダ・トロピカリス、あるいはペニ
シリウム属の糸状菌の分生子、中でもペニシリウム・シ
トリヌム、ペニシリウム・ステッキーを用いた高圧殺菌
用インジケーターであるので、これをpH4.5以下の
食品の高圧殺菌処理に用いることにより、殺菌の効果が
確実に把握でき、殺菌処理に高い信頼を得ることができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧殺菌用インジケーターの実施例を
示す断面図で、(a)は菌を担持する基材として濾紙を
使用した場合、(b)は濾紙に水不透過性材料を貼り合
せた基材を用いた場合、(c)は水不透過性材料を使用
した場合を示す。
【図2】本発明の高圧殺菌用インジケーターの他の実施
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1……基材 10…菌 11…濾紙 12…水不透過性材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12Q 1/22 C12R 1:74) (C12Q 1/22 C12R 1:80) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12Q 1/22 A23L 3/015 A61L 2/26 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】指標菌として、カンジダ(Candid
    a)属の酵母を用いたことを特徴とする高圧殺菌用イン
    ジケーター。
  2. 【請求項2】カンジダ属の酵母が、カンジダ・クルゼイ
    (Candida krusei)またはカンジダ・ト
    ロピカリス(Candida tropicalis)
    のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の高圧
    殺菌用インジケーター。
  3. 【請求項3】指標菌として、ペニシリウム(Penic
    illium)属の糸状菌の分生子を用いたことを特徴
    とする高圧殺菌用インジケーター。
  4. 【請求項4】ペニシリウム糸状菌が、ペニシリウム・シ
    トリヌム(Penicillium citrinu
    m)、ペニシリウム・ステッキー(Penicilli
    um steckii)のいずれかであることを特徴と
    する請求項3記載の高圧殺菌用インジケーター。
  5. 【請求項5】指標菌を、吸水性材料あるいは水不透過性
    材料、またはこれらの複合体よりなる基材上に担持させ
    たことを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のいずれ
    かに記載の高圧殺菌用インジケーター。
  6. 【請求項6】指標菌が、インジケーターあたり10
    以上担持されていることを特徴とする請求項5記載の高
    圧殺菌用インジケーター。
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