JP2764348B2 - 携帯装置用アンテナ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は携帯装置特に携帯電話用アンテナ装置に関す
るものである。

移動電話機用アンテナは例外はあるが主に、1/4波長
及び半波長アンテナの２つに分けられる。

1/4波長アンテナの特性は； １）放射に有効な長さは１波長の1/4である（放射部分
の長さは900MHz帯域用で8cmである）。

２）入力インピーダンスが低いのでインピーダンスを変
換せずに一般的な出力インピーダンス50オーム（Ohm）
の無線電話機回路に直接接続することが可能である。

３）アンテナの長さが短いので900MHzの電話機等では使
用者には邪魔になることがない。

４）アンテナ性能が接地板に依存する。

である。

一方、半波長アンテナの特性は； １）放射に有効な長さは１波長の半分である（放射部の
長さは900MHz帯域で約16cmとなる）。

２）入力インピーダンスが高いので出力インピーダンス
50オーム（Ohm）の無線電話機回路にはインピーダンス
を変換しなければならない。

３）コネクターを含むアンテナの長さが18乃至20cmと長
いので小型の無線電話機には適していない。

４）アンテナ性能が接地板の影響を受けず独立してい
る。

である。

本明細書中及び特許請求の範囲における半波長アンテ
ナ及び1/4波長アンテナとはそれぞれ実質的に上記の特
性を有するアンテナを意味するものとする。

接地板にその性能が依存してしまう1/4波長アンテナ
を使用する場合、携帯電話に使用できる接地板は殆どの
場合、アンテナの接続点から半径方向に１波長より小さ
いという点で不利である。即ち、接地板が共振し、従っ
て接地板を最適化するために調節しなければならない。
しかも接地板の特性は（従ってアンテナの性能も）電話
機が置かれたり、手で保持されたり、使用者の発汗作
用、電話機を耳に当てたりすることなどによって変化す
る。

携帯電話機に1/4波長アンテナを使用することは長さ
が短いという点で別な不利な点もある。アンテナが短い
と通話中、使用者の頭によって特定な方向においてアン
テナ機能が著しく妨害され強い指向性が生じる。

上述の不利な点にも拘らず携帯またはポケット電話機
には小型のアンテナが必要とされるので、このような携
帯電話機用には1/4波長アンテナが最も普及している。
最近では延伸可能な半波長アンテナが設けられた小型携
帯電話機もある。この選択はアンテナは後退位置では場
所を取らないので取扱の点では充分な解決策となるが、
縮めた状態（後退位置）ではアンテナ性能が低下するの
で受信するのが困難な場合もあるという問題点がある。

他の公知の移動電話では受信用アンテナとして1/4波
長型のさらに小型のヘリカルアンテナと通話中に延伸し
て使用される半波長アンテナを組み合わせたものを採用
している。しかしながら、このような構成はヘリカルア
ンテナの性能が接地板特性に依存していること及び何れ
か一方のアンテナのみが接続されるようになっているの
でヘリカルアンテナと半波長アンテナ間の切り替え機構
が複雑であるという点で充分ではない。またヘリカルア
ンテナ接続時には例えばロッドアンテナよりも低効率と
なってしまう。

本発明によるアンテナ装置は上述の全ての欠点を解消
できる。

この携帯装置用の新しいアンテナ装置は携帯装置の本
体の外側に配された半波長型ヘリカルアンテナ、延伸可
能な半波長アンテナ及びインピーダンス変換器を使用す
る。従ってアンテナ機能用の接地板を必要としない。さ
らに半波長アンテナの充分な長さにより使用者の頭によ
るアンテナ特性の妨害という問題点も実質的に減少す
る。またさらにヘリカルアンテナと半波長アンテナは共
通のインピーダンス変換器を使用していて切り替え機構
は非常に簡単ですむ。即ち、使用時には半波長アンテナ
はインピーダンスの違い（充分に低い）ことからヘリカ
ルアンテナと並列に接続して良い。本発明ではこのこと
を利用し非常に簡単な切り替え装置を用いてある。この
切り替え装置はアンテナの延伸によって機能し半波長ア
ンテナを並列接続し、後退によって切離される。

後退位置においては（図3a参照）半波長アンテナはイ
ンピーダンス変換器には動電的にも静電的にも連結され
ない。この位置においてアンテナ機能はヘリカルアンテ
ナだけで達成される。なお、このヘリカルアンテナはイ
ンピーダンス変換器と常に接続されている。後退位置で
は半波長アンテナは下端部の電気的性質も上端部では高
インピーダンスに変換される結果、アンテナ全体の特性
には影響を与えない。

延伸位置ではヘリカルアンテナと半波長アンテナは並
列にインピーダンス変換器に接続される。半波長アンテ
ナのインピーダンスはヘリカルアンテナのインピーダン
スと比較して小さいので、この位置でのアンテナ性能は
実質的に半波長アンテナ単独の性能と等しくなる。

従って上述の本発明装置では携帯電話機用としてのア
ンテナのサイズ、通話時のアンテナ性能及び半波長アン
テナが後退位置にある際の電話機の受信性能などの要求
が満たされる。

上述の特性は例えば半波長アンテナとヘリカルアンテ
ナ／インピーダンス変換器間またはヘリカルアンテナ／
半波長アンテナとインピーダンス変換器間のRF信号伝送
が導電的または非導電的結合のいずれの場合でも得られ
る。

添付の図面を参照し本発明の２つの実施態様について
詳述する。

図１は本発明によるアンテナ装置を示す。

図２は図１のアンテナ装置の個々の構成部品を示す。

図3aは図１のアンテナ装置の切り替え装置を詳細に示
す。

図3b及び3cは図１のアンテナ装置のインピーダンス変
換器を詳細に示す。図4a及び4bは本発明のアンテナ装置
を構成するヘリカルアンテナ、半波長アンテナ及びイン
ピーダンス変換器間の接続形態を示す。

図1,2,3a及び3bに示す好ましい実施態様におけるアン
テナ装置は３つの主要構成部材からなる。

その内の第１の構成部材は半波長アンテナ（ロッドア
ンテナ）であって、その導電下端部分（２）は導電的結
合を促進するために露出しそれ以外の部分には絶縁ケー
スが設けられており、上方端部には絶縁材からなる上部
絶縁体（４）が取り付けられている。半波長アンテナ
（１）と上部絶縁体（４）は合わせてアンテナロッドを
形成し、このロッドにはその上端部に頭部つまみ（５）
を設けるのが好ましい。

第２の構成部材は半波長型のヘリカルアンテナ（６）
であり、このアンテナは保護絶縁材からなるケーシング
（７）内に成型され、このケーシングはその下方端部に
導電性材からなる筒状の導電性締結スリーブ（12）を有
する。締結スリーブ（12）は機械的且つ導電的にヘリカ
ルアンテナ（６）に接合・接続されており且つ内側に弾
性接触部（13）が配されている。上述の各部（ヘリカル
アンテナ，締結スリーブ，弾性接触部）はアンテナロッ
ドの中央長手軸に対して同軸状（点対照）に配設されて
いる。

第３の構成部材はインピーダンス変換器（８）であ
り、これは回路板（11）に取り付けられた誘電性部品か
らなり、そのキャパシタンスは状況に応じて調節され
る。このインピーダンス変換器（８）は同軸ケーブルを
介して電話機の送受信回路に接続され且つ連結ループ
（10）を介して締結スリーブ（12）に導電的に接続して
ある。締結スリーブ（12）はアンテナ装置を支持すると
同時に小型携帯電話に電気的に接続する手段でもある。
保護絶縁管（16）を締結スリーブ（12）の下側に取り付
けるのが好ましく、アンテナロッドが締結スリーブ（1
2）を介して後退する際には前記保護絶縁管内をアンテ
ナロッドが移動する。

半波長アンテナとヘリカルアンテナ／インピーダンス
変換器間またはヘリカルアンテナ／半波長アンテナとイ
ンピーダンス変換器間のRF信号伝送経路では非導電的に
接続する（静電結合）ことも可能である。この場合もア
ンテナの性能は実質的に変わらない。

この様にした図4aに示す別の実施態様ではヘリカルア
ンテナと相互に接続された締結スリーブ（12）と回路基
板（11）間は導電性弾性リード（45）によって接続され
てインピーダンス変換器につながり、また締結スリーブ
の下方部分に近接して配置されており、当該下方部分に
は最外層に薄い絶縁層（47）が設けられている。この場
合は静電容量的に接続がなされ、この接続部分の信号伝
送に寄与するキャパシタンス値は絶縁層（47）の厚さに
反比例し、且つ前記絶縁層の誘電率及び締結スリーブ
（12）の下方部分と弾性リードの対向する領域の面積に
それぞれに正比例する。前記結合の所望のキャパシタン
スは上記の要件を適切に決定することによって得られ
る。上記静電結合例の等価回路図は図4a中に示され、同
図ではコンデンサー成分を符号（46）で、締結スリーブ
（12）をブロック（42）で、またインピーダンス変換器
への接続点をポイント（43）で示す。

移動電話機では通話を行なっていない場合でも送信及
び受信は行なわれている。この場合では通常はアンテナ
ロッドは完全に後退位置にあり、この状態にては上方の
上部絶縁部材（４）がヘリカルアンテナの内側に位置し
ている。つまり半波長アンテナが導電的にも静電容量的
にも実質的にヘリカルアンテナ（６）から離隔した状態
となっており、この場合、アンテナ装置は全体としては
ヘリカルアンテナとして機能する。

通話中あるいは高感度のアンテナ性能を必要とする場
合、半波長アンテナは延伸され、対応してその導電下端
部分（２）は弾性接触部（13）を介してヘリカルアンテ
ナと並列に導電的に（または静電容量的に）インピーダ
ンス変換器（８）に接続される。半波長アンテナ（１）
のインピーダンスはヘリカルアンテナのインピーダンス
と比較して低いのでこの場合アンテナ装置は全体として
実質的に半波長アンテナ単独の特性を呈することにな
る。

このように半波長アンテナの結合及び非結合はアンテ
ナロッド（１）の延伸及び後退によって行なわれる。ア
ンテナロッドの延伸操作は弾性接触部（13）及び締結ス
リーブ（12）に当接して停止する半波長アンテナの下方
部分によって制限される。弾性接触部（13）はアンテナ
ロッドを延伸位置で機械的に係止する役割をも果たして
いる。アンテナロッドの収納移動は例えば頭部つまみ
（５）または絶縁管（16）の底部が対応部分に当接する
ことによって制限される。

図4bに示す実施例では延伸位置にある半波長アンテナ
（１）と締結スリーブ（12）間は半波長アンテナ（１）
の下方端部に設けられた薄い絶縁層（40）を介して接続
される。この場合の半波長アンテナ（１）とスリーブ
（12）間は静電容量的に結合している。対応するキャパ
シタンスは絶縁層（40）の厚さに反比例し且つ絶縁層の
誘電率及び締結スリーブ（12）と下方部分（２）の隣接
対向する領域の面積のそれぞれに正比例する。図4b中で
上記接続を示す等価回路図においてコンデンサーを符号
（41）で締結スリーブ（12）をブロック（42）でヘリカ
ルアンテナと半波長アンテナを符号６及び１で、インピ
ーダンス変換器への接続部は点43で示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−271701（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−176003（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−102717（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−343907（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−216630（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−318810（ＪＰ，Ａ) 特公 昭62−28604（ＪＰ，Ｂ２) 欧州公開467822（ＥＰ，Ａ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01Q 1/24 H01Q 9/30 H01Q 11/08

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】実質的に半波長アンテナの特性を有するヘ
   リカルアンテナ（６）、半波長アンテナ（１）及びイン
   ピーダンス変換器（８）からなり、ヘリカルアンテナ
   （６）、半波長アンテナ（１）及びインピーダンス変換
   器（８）は異なるアンテナ機能を奏するように少なくと
   も２通りの組合せで相互に連結するラジオ信号を送受信
   するための携帯装置のアンテナ装置において、 前記ヘリカルアンテナ（６）は外ケース外面に取り付け
   られていて常に前記インピーダンス変換器（８）に接続
   されており、 前記半波長アンテナ（１）が、外ケースの内部に収容あ
   るいは前記ヘリカルアンテナ（６）を貫通して外ケース
   の外部に引き出し可能になっており、 前記半波長アンテナ（１）が規定位置に引き出された場
   合にのみ弾性接触部（13）を介して前記インピーダンス
   変換器（８）へと導電接続させてこの半波長アンテナ
   （１）と前記ヘリカルアンテナ（６）とを互いに並列に
   前記インピーダンス変換器（８）に導電接続する導電結
   合手段（2,12）を具備したことを特徴とするアンテナ装
   置。
2. 【請求項２】前記半波長アンテナ（１）がロッドアンテ
   ナである請求項１に記載のアンテナ装置。
3. 【請求項３】前記弾性接触部（13）は、前記半波長アン
   テナ（１）下端に具備された導電下端部分（２）及び前
   記ヘリカルアンテナ（６）を支持するとともにこのヘリ
   カルアンテナ（６）並びに前記インピーダンス変換器の
   双方に接続されている導電性締結スリーブ（12）とで形
   成され、前記半波長アンテナ（１）が引き出された状態
   では前記導電下端部分（２）が前記導電性締結スリーブ
   （12）に係合して導電接続が達成されることを特徴とす
   る請求項１または請求項２に記載のアンテナ装置。
4. 【請求項４】前記半波長アンテナ（１）をくるみ覆う絶
   縁層（47）と、該半波長アンテナ（１）の上端部より突
   出する延長部分とを具備したことを特徴とする請求項３
   に記載のアンテナ装置。
5. 【請求項５】前記延長部分の長さ寸法を前記ヘリカルア
   ンテナ（６）の軸方向長さ寸法よりも長くした請求項４
   に記載のアンテナ装置。
6. 【請求項６】前記前記半波長アンテナ（１）が引き込ま
   れた状態においても、前記ヘリカルアンテナ（６）が単
   独で充分なアンテナ特性を呈するようにした請求項１乃
   至請求項５のいずれか１項に記載のアンテナ装置。