JP2764199B2 - アルミニウムとアルミニウム合金へのメッキ方法及び電解液 - Google Patents

アルミニウムとアルミニウム合金へのメッキ方法及び電解液

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JP2764199B2 JP6078144A JP7814494A JP2764199B2 JP 2764199 B2 JP2764199 B2 JP 2764199B2 JP 6078144 A JP6078144 A JP 6078144A JP 7814494 A JP7814494 A JP 7814494A JP 2764199 B2 JP2764199 B2 JP 2764199B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金上へ安価且つ奇麗に直接メッキする様にし
たアルミニウムとアルミニウム合金へのメッキ方法及び
電解液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、1000番〜7000番台で展伸
材と称されたり、鋳物材のADC ACと称される各種
のアルミニウム、アルミニウム合金(鋳物用アルミニウ
ム合金、ダイカスト用アルミニウム合金)(以下、アル
ミニウムと称する)上へのメッキ方法として、他の金属
の場合と同様なメッキ方法では密着性のある析出物は得
られず、その理由中、主要なものは大気中でアルミニウ
ムの素地表面に自然酸化膜が生成し易いからであり、こ
の困難を克服するために前処理法として亜鉛置換法と陽
極酸化法がある。
【0003】先ず、下地金属を付着させる亜鉛置換法に
おいては、亜鉛の置換を均一にするためには先ず素地を
清浄にし、表面を活性化して亜鉛が析出し易い状態にす
ることが大切であり、腐食作用の弱い液を使用して浸漬
脱脂し、次に生成している素地表面の自然酸化膜の除去
と、亜鉛層の析出を妨害する様な微少成分を除去し、次
に亜鉛置換液(アルカリ溶液)中で30〜60秒間浸漬
し、この操作で表面の酸化膜が除去されると同時に薄い
密着性の亜鉛層を被覆し、かかる亜鉛皮膜を次工程のメ
ッキの足がかりと成す。
【0004】又、脱脂等の前処理における他の方法とし
ては亜鉛の二重置換法があり、最初の亜鉛層を硝酸に浸
漬して除去し再び亜鉛を被覆する方法であり、最初の置
換によって自然酸化膜は除去され、亜鉛層を硝酸によっ
て除けば素地の表面は第2次亜鉛層を生成させるのに適
した状態になり、第2次亜鉛層は上記と同様なメッキの
足がかりとなり、この様な亜鉛置換法は高温、高湿度の
中で長時間置くとアルミニウム素材のピンホールの中の
残留液が亜鉛層を破壊して膨れが発生して密着性が完璧
でなく、又置換液が高価であり、且つ電気メッキ及び無
電解メッキした時にメッキ液の寿命が短くなる欠点を有
していた。
【0005】又、一般的にアルミニウム上に自然に形成
される酸化膜はメッキの密着性を阻害するが、ある種の
陽極酸化膜はメッキ下地として最適であり、かかる酸化
膜は素地に対して充分に喰い込んでいる上に多孔性に富
んでいて適当な足がかりと成るが、この様な陽極酸化法
では電気メッキしか出来ない欠点があり、又品物をプラ
ス極とするためにアルミニウムが溶解し、溶存アルミニ
ウム、銅、シリコン等の不純物が増加すると液抵抗が大
きくなって悪化し、電解液の更新が頻繁に必要となり、
特に不純物が多いアルミニウム合金では顕著であり、且
つ電解電圧を上昇させねばならない欠点を有し、又陽極
酸化膜の多孔質のポアを大きく均一に形成することが実
用上困難なため実際にはライン例が少ない。
【0006】尚、上述した亜鉛置換法、二重亜鉛置換法
においても、不純物の多いアルミニウムに対しては陽極
酸化法と同様の電解液の更新が頻繁に必要となる欠点も
併せて存在していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電解液の更
新頻度を極端に低下させ補充管理だけ行えば良く、又無
電解メッキを可能と成したり、不純物の多いアルミニウ
ムに対してもメッキ出来る様にし、且つ安価、奇麗にア
ルミニウム上へ直接メッキする様にしたアルミニウムと
アルミニウム合金へのメッキ方法及び電解液を提供せん
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術
に基づく、アルミニウム上へのメッキに際して亜鉛置換
法では密着性が完璧でなくメッキ液に悪影響を及ぼす課
題、又陽極酸化法では素地が溶解して電解液の更新が必
要となったり、製造ラインでの実用化例が少ない課題に
鑑み、芳香族スルホン酸を添加した特殊な電解液で、陰
極時間が長い電流を通電して酸電解する事により水素還
元活性化を行って、芳香族スルホン酸で素地表面を均一
に活性化すると共に、素地表面に形成されるイオウ化合
の保護膜を薄く均一に形成することによって、メッキ
液中で瞬間的に一呼吸でかかる保護膜を除去すると共
に、活性化された素地表面にメッキを析出する様にし、
又溶存アルミニウムになる硫酸アルミニウム或いは硫酸
銅の追添加により密着性を向上する様にして、上記課題
を解決せんとしたものである。
【0009】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づいて説明
すると、下記の様にアルミニウムに対して脱脂、エッチ
ング、スマット除去等の予備処理を行い、後述する特殊
な電解液(硫酸にサーファX−B剤と称する物質を添加
したもの)で後述する酸電解(前処理)、即ち品物(ア
ルミニウム又はアルミニウム合金)がマイナス極となる
陰極電解、且つ短時間プラス極となる陽極電解の状態
で、酸電解を行ってサーファX−B剤の作用により、ア
ルミニウム素材を活性化すると共にイオウ化合物の保護
膜で被覆し、その後メッキ(通常の電気メッキ又は無電
解メッキ)を行う。
【0010】上記した脱脂等の予備処理、酸電解処理
(前処理)の具体的工程及び処理条件、目的等を説明す
ると、浸漬脱脂、エッチング、スマット除去、
酸電解を行った後、通常のメッキ処理を行う。
【0011】 浸漬脱脂 (条件) 10〜20%v/l、サーファX−A剤、温
度20〜50℃、時間5分以下。 サーファX−A剤とは汎用水性エマルジヨン型脱脂洗浄
剤である。 (目的) 素地表面の油脂分を除去する。
【0012】 エッチング (条件) カセイソーダ(水酸化ナトリウム)10〜2
00g/l、温度30〜60℃、浸漬時間5分以下。 (目的) 品物表面の自然酸化膜及び加工変質層の除
去。
【0013】 スマット除去 −1 図4乃至図6の材質種類 (条件) 10〜50%硝酸、温度30℃以下、浸漬時
間5〜120秒、例えば50%硝酸とは62%硝酸4に
対して水1の割合の浴を言う。 −2 図7乃至図10の材質種類 (条件) フッ酸、硝酸の混合浴、温度30℃以下、浸
漬時間5〜120秒、例えばフッ酸4:硝酸2:水4の
割合の浴。 (目的) 自然酸化膜及び加工変質層をエッチングによ
り除去するため発生するスマット(アルミニウム以外の
不純物でスス状の微小成分)を除去。
【0014】上記した脱脂等の予備処理の具体的工程及
び処理条件である浸漬脱脂、エッチング、スマッ
ト除去は上記のものに限らず、即ち上記予備処理工程を
浸漬法と称することに対して、下記条件で電解して浸
漬脱脂及びエッチングを1工程で行う電解法でも良
い。
【0015】、 脱脂及び電解研摩 (条件) 炭酸ナトリウム又はリン酸三ナトリウム50
〜100g/l、水酸化ナトリウム5〜10g/l、品
物がプラス極となる直流又は反転電源により、電流密度
3〜6A/cm、温度35〜70℃、時間3〜6分。 (目的) 素地表面の油脂分を除去すると共に、電解研
摩である表面付着した不純物を除去する。 尚、品物がマイナス極の時には、電解研摩は行われず脱
脂だけを行う。 スマット除去 上記−1の条件で行う。
【0016】 酸電解 (条件) 硫酸10〜35%wt/l、後述するサーフ
ァX−B剤を添加した水溶液を圧縮空気にて撹拌、電解
温度20℃以下に冷却、電流密度1〜10A/cm
解時間1/10分。高速反転電源の反転比率(Duty
比)15:2、材質によりDuty比は異なる。 (目的) 活性化及びその保持(素地の水素還元活性化
及び薄い均一なイオ ウ化合物の保護膜形成)。 尚、硫酸は工業用硫酸と精製硫酸に区分されるが、どち
らの硫酸でも良い。
【0017】上記のサーファX−B剤における主要成分
は、硫酸10〜35%wt/lに対して、芳香族スルホ
ン酸を0.1〜40%wt/lを添加するものであり、
上記比率で硫酸にサーファX−B剤の主要成分を添加し
た水溶液を電解液の源液と成し、芳香族スルホン酸の
加剤の作用は、電解液の電流分布を均一にして均一電解
を行うと共に、イオウ化合物の析出(保護膜形成)スピ
ードの抑制を行う。
【0018】次に、サーファX−B剤における微少成分
は、上記水溶液全量に対して、アルミニウムの種類に応
じて変化する溶存アルミニウムの溶解量に対応すべく、
硫酸アルミニウム0.1〜10g/lを添加したり、ア
ルミニウムの種類に応じて硫酸銅0.01〜1g/lを
追添加するものである。
【0019】添加された硫酸アルミニウムは水溶液中で
溶解して溶存アルミニウムと成り、添加物自体としては
硫酸アルミニウム粉末、アルミニウムを硫酸に溶解した
硫酸アルミニウム溶液等の形態があり、水溶液中の溶存
アルミニウムは硫酸アルミニウムの形態で溶解し、反転
電解のプラス極の時、水酸化アルミニウムとなって均一
電解作用で密着力を向上させる。
【0020】そして、硫酸における下限の10%wt/
lについて、10%未満の場合には電解液の液抵抗が高
くなって電解効果が低くなり、上限の35%wt/lは
硫酸の液抵抗が最小となる限界値であり、且つ35%超
過の時には両性金属のアルミニウムは元来硫酸に浴して
いるだけで溶解するために、素地の溶解現象が発生して
イオウ化合物の皮膜生成スピードと素地の溶解スピード
の関係で皮膜形成出来ず、活性化されたアルミニウム素
地表面に保護膜形成が出来ない。
【0021】又、芳香族スルホン酸(サーファX−B剤
の主要成分)における0.1〜40%wt/lについて
は、サーファX−B剤が40%wt/lの高濃度の時に
は素地に対する保護膜であるイオウ化合物の析出が無く
なり、水洗時に自然酸化膜が形成されてメッキの密着力
が悪化し、又0.2%wt/lの低濃度にすると単位時
間当りのイオウ化合物の析出は薄くなって電解時間が必
要となり、かかるマイナス電解時間により還元活性化を
充分に行って密着力の向上を図ることが出来る。
【0022】そして、0.1%未満の時にはサーファX
−B剤の必要成分が希少となりイオウ化合物の析出が膨
大となりメッキの析出反応が遅く、密着が悪く、中間の
例えば15%wt/lの時には若干早く析出する傾向が
あって短時間処理が可能であるがメッキの密着性は低下
し、又上限の40%wt/lは飽和量であって40%超
過は硫酸水溶液に溶解しない。
【0023】尚、サーファX−B剤を未添加の時には、
上述の様に、イオウ化合物の析出が膨大で、後工程のメ
ッキ液中で保護膜の除去が一呼吸で行われず、メッキの
析出性は悪化するとしても所期の目的は達成出来る。
【0024】上記電解液における溶存アルミニウム自体
の作用は芳香族スルホン酸と同様で、その添加量は多種
類のアルミニウムに応じて変化させ、電解液内には種々
の金属が溶解していることも関係して、下限の0.1g
/lは純アルミニウムに対する添加量であり、0.1g
/l未満の場合には芳香族スルホン酸と同様に溶存アル
ミニウムが希少となりイオウ化合物の析出が膨大でメッ
キの析出反応が遅く、密着が悪く、又不純物含有量が多
量の時に溶存アルミニウムとなる硫酸アルミニウムの添
加量を増加し、上限の10g/lは液抵抗が上昇して電
解電圧が高騰する。
【0025】又、上記電解液における硫酸銅の添加の有
無及び添加量は、メッキされるアルミニウムの成分中に
銅を含有しない時又は低量含有の時に添加し、硫酸銅の
添加下限の0.01g/lについて、0.01g/l未
満の場合には銅成分が希少となり、エッチング又はソフ
トエッチングされ微少凹凸が露出形成された素地に対
し、微少凹部に銅イオンを充分に付着させることが出来
ない。
【0026】又、上限の1g/lは素地に対する銅成分
の付着が微少凹部に止まらず素地全面に対して析出し、
即ち素地に対する不要な銅メッキ状態となり、その後の
本来のメッキ操作時に銅メッキが取れず、銅メッキ素地
に対し所望のメッキを行うこととなり、その結果、素地
から銅メッキが剥離し易く素地に対して直接メッキする
ことが出来ず密着性が阻害される。
【0027】又、両性金属のアルミニウムは硫酸浴で表
面発熱して溶解する場合があることは上述したが、溶解
作用は常温時及び高温時に発生し易く、20℃以下の冷
却温度とすれば、アルミニウムの硫酸浴の状態において
低温度の時には溶解スピードが低下し、保護膜形成が良
好となる20℃以下は実用的な温度限界である。
【0028】上記の酸電解は高速反転電源又は交直切換
電源の様な陰極時間が長い電源を使用して行い、高速反
転電源による図2に示した反転電流波形の場合には、マ
イナス極15に対してプラス極2の反転比率(Duty
比)である。
【0029】尚、この反転比率はマイナス極の時間が長
く種々に変更可能であり、例えばマイナス極が13〜2
3、プラス極が1〜11に夫々変更出来、一例として反
転比率15:2の場合を詳細に説明する。
【0030】理論計算式T=1/F=1000/(60
×6)≒3、1山約3msecで、例えば60HZ地区
では周波数が計算式にて15.7HZになる。マイナス
側時間 図2に示す参考波形の反転比率(Duty比)15:2
とは、1サイクルにおいて上記時間のマイナスとプラス
が1秒間に15.7回繰り返し出力される特殊波形であ
り、この様な高速反転電源による特殊波形にて電解する
事を高速電流反転電解と称する。
【0031】次に交直切換電源においては、図3
(a)、(b)に示す様な直流と交流を切換える交直切
換電源、或いは図3(c)に示す様な直流に交流を併用
する交直併用又は交流併用電源を使用し、これらを陰極
時間が長い交直切換電源と称し、又陰極時間が長い電源
としては、上述の高速反転電源又は交直切換電源以外の
電源、例えば単相不完全整流波電源等の使用も可能であ
り、又交流は単相でなく三相のものでも良い。
【0032】そして、上記の交直切換電源の図示した波
形の場合に、直流用と交流用の個別タイマーを各1個ず
つ装備すると共に、全体的な酸電解時間用のトータルタ
イマーの合計3個を装備し、スイッチオンにより、先ず
品物側にマイナス極の直流電流を5〜40秒通電し、次
にマイナス極とプラス極が50、60HZ等で変換する
交流電流を5〜20秒通電し、具体例の一例としては陰
極時間を10秒間、交流時間を5秒間夫々通電する。
【0033】次に本発明に係るアルミニウムとアルミニ
ウム合金へのメッキ方法について説明すると、本願(ア
イコート法と称する)における前処理では、サーファX
−B剤を添加した特殊電解液と電流反転電源等の陰極時
間が長い電源を使用して酸電解を行っているが、かかる
電源では高速周期的にプラス極とマイナス極が反転、繰
り返したり、固定のマイナス極時間を挟んで同様に繰り
返しており、長時間の品物がマイナス極の時に素地表面
から水素が発生して、素地は還元されて活性化されると
共に、イオウ化合物及び銅成分を付着させている。
【0034】他方、短時間の周期的なプラス極の時に、
プラス極とマイナス極の通電時間に応じて、上記付着分
の所定量を除去すると共に、素地表面から酸素が発生し
て、素地表面はソフトエッチングされる。
【0035】上記プラス極とマイナス極の反転による
オウ化合物の付着、除去作用において、両極性の同一時
間当りの付着量と除去量の比較は、同一物質の理論値は
同一であるが、電流効率が相違する電気化学的傾向によ
り、析出量より溶解量が多く、電流反転電源における陰
陽両極1波形ずつ、又は交流電源における1サイクル波
形において、マイナス極の付着量よりプラス極の除去量
が多く、同一時間の電源ではイオウ化合物及び銅成分は
減少する。
【0036】そこで、品物のマイナス時間を第1回目に
設定すると共に、その後は長く設定することにより、
オウ化合物の保護膜は形成、増加し、詳しくは1回目の
マイナス極時に形成される保護膜の厚さをW1、1回目
のプラス極又は交流時に減少した残留厚さをW2、2回
目のマイナス極時に増加した合計厚さをW3、2回目の
プラス極又は交流時のものをW4とすれば、 W1>W2で0<W2と成し、 W2<W3でW1<W3と成し、 W3>W4でW2<W4と成し、 これらの順次増減を繰り返して、保護膜の厚さWを所定
厚さとなる様に、増加減少のサイクルを繰り返す。
【0037】又、プラス極の時に付着分を除去させる
が、かかる除去される付着分中、マクロ的にはイオウ化
合物は表面側が除去され、又銅成分は表地表面から除去
され、ミクロ的には素地表面から酸素が発生し、かかる
小さな気泡により保護膜は破壊されながら厚さが減少す
る。
【0038】尚、マイナス極時における保護膜のミクロ
的付着作用においても、同様な作用が発生し、素地表面
から発生した小さな水素気泡により保護膜は破壊されな
がら増加する。
【0039】更に、プラス極時の付着分除去作用におい
て、素地表面には酸化作用が発生して素地表面に対して
軽い表面粗度化であるソフトエッチングを行い、酸素気
泡と共に保護膜を破壊して外部へ放出される。
【0040】上記した2種類の電源において、高速反転
電源の反転比率は上述の如く設定変更可能で、保護膜の
所望厚さWと成る様に、1個のトータルタイマーで管理
可能である。
【0041】そして、保護膜の厚さWとソフトエッチン
グ量の設定において、保護膜の厚さWは後工程のメッキ
エ程に関して設定され、ソフトエッチング量は被メッキ
材の材質により決定し、例えば鋳物材であるAC、AD
Cの表面粗度は元々粗いために絶対必要ではなく、10
00番台の純アルミニウム、2000番台の銅含有のア
ルミニウム合金、5000番台のマグネシウム含有のア
ルミニウム合金等の表面は比較的円滑であるために、メ
ッキ工程における足がかりとして必要である。
【0042】又、保護膜の付着とソフトエッチングは相
違する極性で行うと共に、ソフトエッチング時に発生す
る保護膜の除去は付着より早く進行するために、陰極時
間を長くすることは上述の如くであるが、ソフトエッチ
ングを必要とする材質については、極性毎の通電時間の
管理が特に必要となる。
【0043】即ち、所定の活性化及び保護膜形成を主目
的とする場合には、どちらの電源でも達成可能である
が、所定のソフトエッチングも行う時には、高速反転電
源では限界がある。
【0044】例えば、高速反転電源で行う場合には、陰
陽極通電時間を同一時間とすれば保護膜付着は不可能と
なるので、1サイクル中のソフトエッチングを行う陽極
時間は自ずと制限され、即ち、1サイクルにおけるソフ
トエッチング量及び保護膜の付着量は僅少とならざるを
得ず、所定量を確保するためには、サイクルの回数、即
ち、酸電解の全体時間を長く必要とする。
【0045】これに対して、交直切換電源では、交直通
電時に付着量は減少するとしても、ソフトエッチング量
は陰陽極1:1の通電比率であるために多く、ソフトエ
ッチング時間を短時間と成すことが出来、一方減少付着
量への対応は、付着量を増加させる直流時間で対応すれ
ば良く、その結果、交直切換電源ではトータルのソフト
エッチング量と保護膜の付着量を単独で調整可能な部分
が存在して、酸電解の短い全体時間で必要量の確保を行
う。
【0046】これら酸電解の結果、マイナス時(還
元)、プラス時(酸化)を繰り返す事により、素材の表
面は保護膜増加に応じて白色から黄色系に変化し、マイ
ナス時間が長いため活性化をしつつ所定厚さWの保護膜
を均一に生成させ、更にソフトエッチングを行い、且つ
均一生成に関しては例えば凸部1点に集中形成されても
電流反転による陽極時の電解作用により均一性が確保さ
れる。
【0047】そして、通常の電気メッキ又は無電解メッ
キ中における酸性のメッキ液内では、素地に付着した
オウ化合物の保護膜はディッピング(浸漬)した瞬間に
一呼吸で取り去られ、この様な保護膜除去状態では素地
全体は活性化され、且つ銅成分を足がかりとしてメッキ
を析出させる。
【0048】尚、上記の活性化(還元及び保護膜形成)
において、直流電源だけでは均一な保護膜形成は不可能
であり、又6/1000秒間等のプラス極においては短
時間であるため素地の溶解や酸化膜は発生せず、又活性
化後に水洗を行っても素地の表面に薄い保護膜が存在し
ているために素地の活性化状態は維持されている。
【0049】そして、本願のメッキ方法(アイコート
法)でメッキした場合、メッキした皮膜の密着性は図4
乃至図10のいずれのアルミニウム材料においても、メ
ッキ後400℃加熱水冷、90度折り曲げ及びテープ剥
離テストの結果、全て皮膜の剥離等は生じない。
【0050】
【発明の効果】本発明の基本的な効果としては、脱脂等
の予備処理を行い、硫酸を10〜35%wt/lを添加
した水溶液から成る低温度の電解液で、陰極時間が長い
電流により酸電解を行って、その後メッキを行うことに
より、陰極時に素地の水素還元活性化を行うと共に、保
護膜の付着形成を行い、又陽極時に素地のソフトエッチ
ングを行い、同時に素地に大きな凹凸が存在した場合に
極間距離が短い凸部の電解を行ったり、特定個所に凸部
状又は異常厚さの保護膜が形成された時には、電解研摩
作用に類似すると共に、付着除去量でかかる特定個所の
保護膜を優先的に除去して均一な保護膜を形成し、メッ
キの密着性を向上することが出来、又イオウ化合物はメ
ッキ液中で一呼吸で除去され、且つイオウ化合物は酸性
であるためにメッキ液に悪影響を与えず、従来必要であ
った亜鉛置換皮膜、陽極酸化皮膜等の中間膜層を必要と
しない。
【0051】 又、基本的に硫酸を電解液とした場合に比
して、 硫酸を10〜35%wt/lと、芳香族スルホン
酸を0.1〜40%wt/lを添加した水溶液の電解液
で、陰極時間が長い電流により酸電解を行って、その後
メッキを行う様にしたので、芳香族スルホン酸の添加剤
の作用で均一電解を行うことが出来、又素地が陰極時に
還元されて活性化すると共に、素材表面にイオウ化合物
の保護膜形成を行うことが出来、従来必要であった亜鉛
置換皮膜、陽極酸化皮膜等の中間膜層を必要とせず、電
気メッキ又は無電解メッキによりアルミニウム上へ直接
メッキが可能となり、工程の簡略化、コストダウンが出
来、又水素還元活性化によりメッキの密着性、メッキ後
の光沢を優良にすることが出来、又電解中に品物がマイ
ナス極であるために素地の溶解が発生しないために電解
液を清浄に維持して電解液の更新頻度を極端に低下させ
補充管理だけにしたり、アルミニウムに不純物が多く入
っていても電解液の更新頻度を低下させることが出来、
又予備処理及びメッキ処理は既設のラインを応用するこ
とが出来る。
【0052】 又、電解液に硫酸アルミニウム0.1〜1
0g/lを添加したので、芳香族スルホン酸と同様に均
一電解により、適度な保護膜形成を行ってメッキの密着
性を向上することが出来、又同様な作用効果を有する
香族スルホン酸と硫酸アルミニウムの両添加剤の関係に
おいて、両者は有機物と無機物等の性状が全く相違し、
夫々の物質には溶解限度、最適添加量等の種々な要因が
あり、一方だけでは良好なメッキを得ることが出来なく
ても、両物質は夫々の作用を単独、別個で行って常時安
定的な均一電解作用を行って、両物質の併用により所望
の作用を達成することが出来る。
【0053】 又、電解液に硫酸銅0.01〜1g/lを
添加したので、アルミニウムにおいて銅成分を未含有又
は低量含有の時に、メッキエ程の予備処理中における露
出した素地表面に対して適量の銅を析出させることが出
来、即ちメッキ析出が良好な銅含有のアルミニウム合金
は予備処理中に素地表面に銅成分を露出させており、各
種アルミニウムの素地表面も銅含有のアルミニウム合金
と同様な銅成分を露出、析出状態とすることが出来る。
【0054】 そして、素地表面の微少凹部に密着した銅
成分は元来、析出が非常に良好な成分であるために、酸
電解後のメッキ時に銅成分を足がかりとすることが出来
て、メッキ成分と銅成分が密着してメッキ成分を素地表
面に強固に析出、メッキすることが出来る。
【0055】 又、陰極と陽極が周期的に反転し陰極時間
が長い電流反転により酸電解を行う様にしたので、陰極
と陽極の反転比率が設定されれば、全体の酸電解時間を
管理する1個のトータルタイマーを操作するだけである
ために、3個のタイマー操作を必要として機能上のコン
トロールが複雑な交直切換電源に比して、簡単なワンコ
ントロールで行うことが出来る。
【0056】 又、直流と交流を併用するか、直流と交流
を切換えて陰極時間が長い電流により酸電解を行う様に
したので、材質によっては、多量のソフトエッチングを
必要とすることに対して、付着分の除去、減少を同時に
発生する陽極時間に対して、付着作用させる陰極時間を
別個に設定出来て、特殊な材質に対して、通電調整を容
易と成したり、全体の酸電解時間を短縮することが出来
等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るメッキ方法の工程図である。
【図2】反転電流の波形図である。
【図3】切換電流の波形図である。
【図4】アルミニウム合金の一例を示す図である。
【図5】アルミニウム合金の一例を示す図である。
【図6】アルミニウム合金の一例を示す図である。
【図7】鋳物用合金の一例を示す図である。
【図8】鋳物用合金の一例を示す図である。
【図9】鋳物用合金の一例を示す図である。
【図10】ダイカスト用合金の一例を示す図である。
【図11】酸電解時の保護膜形成スピードの傾向を示す
概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−33835(JP,A) 特開 昭47−38638(JP,A) 特開 昭62−297492(JP,A) 特開 昭51−64429(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 5/00 - 9/12 C25D 11/06 C25F 1/00 - 7/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム又はアルミニウム合金へメ
    ッキを行う前に、陰極時間が長い電流により電解するた
    めに用いる電解液であって、 硫酸を10〜35%wt/l及び硫酸アルミニウム
    0.1〜10g/lと、芳香族スルホン酸を0.1〜4
    0%wt/lを添加した水溶液と成したことを特徴とす
    る電解液。
  2. 【請求項2】 アルミニウム又はアルミニウム合金へメ
    ッキを行う前に、陰極時間が長い電流により電解するた
    めに用いる電解液であって、 硫酸を10〜35%wt/l及び硫酸アルミニウム
    0.1〜10g/lと、芳香族スルホン酸を0.1〜4
    0%wt/lと、硫酸銅を0.01〜1g/lを添加し
    た水溶液と成したことを特徴とする電解液。
  3. 【請求項3】 アルミニウム又はアルミニウム合金へメ
    ッキを行う前に、陰極時間が長い電流により電解するた
    めに用いる電解液であって、 硫酸を10〜35%wt/lと、芳香族スルホン酸を
    0.1〜40%wt/lと、硫酸銅を0.01〜1g/
    lを添加した水溶液と成したことを特徴とする電解液。
  4. 【請求項4】 アルミニウム又はアルミニウム合金への
    メッキ方法であって、 脱脂等の予備処理を行い、請求項1、2又は3の電解液
    で、陰極時間が長い電流により酸電解を行って、その後
    メッキを行う様にしたことを特徴とするメッキ方法。
  5. 【請求項5】 陰極と陽極が周期的に反転し陰極時間が
    長い電流反転により酸電解を行う様にしたことを特徴と
    する請求項4のメッキ方法。
  6. 【請求項6】 直流と交流を併用するか、直流と交流を
    切換えて陰極時間が長い電流により酸電解を行う様にし
    たことを特徴とする請求項4のメッキ方法。
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