JP2762187B2 - 液晶用照明装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示装置のバツク
ライト部に用いられ、光源を発光面の背後に配置してな
る照明装置に関し、特に発光面上で均一な輝度となる照
明装置に係る。

【０００２】

【従来の技術】従来の光源を発光面の背後に配置してな
る直下型照明装置の一例を図７に示す（従来例１）。図
中、１は管状光源、２は光源１からの後方への光を前方
に反射する反射板、３は光源１からの光を均一にするポ
リカーボネイト製のライテイングカーテン、４はライテ
イングカーテンにアルミニウム蒸着され網目状にエツチ
ングされて光源１からの直射光を遮蔽吸収する遮蔽パタ
ーン、５は拡散剤を混入したアクリルの拡散板である。

【０００３】また、従来の他の例を図８に示す（従来例
２）。本例は、発光面の高輝度化を達成せしめんとした
例で、従来例１と同じ管状光源１、反射板２、ライテイ
ングカーテン３および拡散板５に加え、拡散板５面上の
各方向の光を集光して発光面に垂直方向の輝度を上げる
ポリカーボネイト製のプリズム板６を設けている。さら
に、プリズム板６のプリズムのピツチと液晶パネルの絵
素ピツチとが干渉して干渉稿（モアレ）ができるため、
これを防ぐ目的で、ポリカーボネイト製光拡散シート７
を設けている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来例１，２の照明装
置における各部材通過時の輝度分布測定結果を図９，１
０に示す。ここで、図９は従来例１に、図１０は従来例
２に夫々対応しており、図中、Ｌ１は光がライテイング
カーテン３を通過した際の輝度分布、Ｌ２は光が拡散板
５および液晶表示板を通過した際の輝度分布、Ｌ３はさ
らにプリズム板６を通過した際の輝度分布、Ｌ４はさら
に光拡散シート７を通過した際の輝度分布を示してい
る。

【０００５】従来例１，２のライテイングカーテン３で
は、ある程度の輝度を確保するため、図１１に示すよう
に遮蔽パターン４の隙間から多くの光を直接通過させる
必要があり、図９，１０のように輝度ピークが飛び出た
分布となる。

【０００６】このため、従来例１では、拡散板５上、す
なわち発光面の輝度分布をある程度均一化しようとする
と、拡散板５の光透過率を下げて拡散率を上げる必要が
ある。そうすると、図９のＬ２で示すように高輝度が得
られない。

【０００７】また、従来例２では、従来例１の低輝度を
改善するために、拡散板５上の各方向の光を集光するプ
リズム板６を付加しており、これにより発光面に対して
垂直方向から見た輝度は向上するが、その分、垂直方向
以外の方向の輝度（角度特性）が悪くなり、表示面の視
界が狭まる（図５，６参照）。

【０００８】また、従来例２では、光拡散シート７を付
加しているため、図１０の如く、これを用いない場合に
比べて輝度が低下してしまう。

【０００９】ここで、従来例１，２において、輝度むら
を防ぐ目的で、図１１に示す、ライテイングカーテン３
の遮蔽パターン４を濃くすると、ここでの光損失が大き
くなり、発光面全体の輝度が低下するという欠点があつ
た。

【００１０】本発明は、上記課題に鑑み、発光面上ほぼ
均一な輝度の光を高輝度でかつ広角度範囲で得ることが
できる液晶用照明装置の提供を目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明請求項１による課
題解決手段は、図１，２の如く、液晶表示板１１を後方
から照明する光源１２と、該光源１２からの後方への照
射光を液晶表示板１１へ反射させる反射板１３と、前記
光源１２の前方に配され光源１２からの直接光および前
記反射板１３からの反射光を液晶表示板１１に拡散する
拡散板１４とを備えた液晶用照明装置において、前記拡
散板１４の後方に、斜めに入射した光を液晶表示板１１
に対して平行方向に導く透光性の導光板２１が設けら
れ、該導光板２１の後面に、光源１２からの光を透過さ
せながら散乱させて前記導光板２１に入射させる透光散
乱膜２２が形成され、前記拡散板１４の前方に、該拡散
板１４からの光を前方に集光してその干渉を防ぐ光拡散
シート２３が設けられたものである。

【００１２】本発明請求項２による課題解決手段は、請
求項１記載の光拡散シート２３の表面は、散乱性を高め
るよう皺形状とされたものである。

【００１３】

【作用】上記請求項１による課題解決手段において、光
源１２からの光は、導光板２１の内部に入射する。この
際、光は透光散乱膜２２により散乱され、導光板２１に
斜め方向に進入する。導光板２１内の光は、全反射を繰
り返して液晶表示板１１に対して平行方向に広範囲に導
かれ、その輝度むらが緩和される。その後、光は導光板
２１から前方へ出射し、拡散板１４および光拡散シート
２３を通過した後、液晶表示板１１を後方から照明す
る。

【００１４】そうすると、光は発光面に対して広範囲に
拡散され、従来例１，２のように光を遮らなくても輝度
むらが低減する。

【００１５】請求項２では、光が表面皺形状の光拡散シ
ート２３を通過する際、従来のプリズム板ほど規則的に
集光せず、ある程度散乱性を有するため、導光板２１や
拡散板１４で散乱された光の輝度角度特性を広範囲に維
持できる。

【００１６】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す液晶用照明装
置の断面図、図２は導光板および透光散乱膜を示す拡大
断面図、図３は各部材通過時の輝度分布を示す図、図４
は発光面での輝度分布についての従来例１，２との比較
図、図５は上下方向の輝度角度特性の従来例２との比較
図、図６は左右方向の輝度角度特性の従来例２との比較
図である。

【００１７】図示の如く、本実施例の液晶表示装置は、
ラツプトツプ型パーソナルコンピユータ等に用いられる
ものであり、液晶表示板１１を後方から照明する光源１
２と、該光源１２からの後方への照射光を液晶表示板１
１へ反射させる反射板１３と、前記光源１２の前方に配
され光源１２からの直接光および前記反射板１３からの
反射光を液晶表示板１１に拡散する拡散板１４とを備
え、前記拡散板１４の後方に、光源１２からの光を液晶
表示板１１に対して平行方向に導く透光性の導光板２１
が設けられ、前記拡散板１４の前方に、該拡散板１４か
らの光を前方に集光してその干渉を防ぐ光拡散シート２
３が設けられたものである。

【００１８】前記光源１２は、図１の如く、例えば半径
６．５ｍｍの熱陰極Ｕ字管が使用され、管輝度が９，０
００ｎｔとされている。該光源１２は、液晶表示板１１
の直下方向に配される。

【００１９】前記反射板１３は、反射率の高い金属板が
用いられている。該反射板１３の中央部には、前記両光
源１２からの側方内側への光を液晶表示板１１側へ反射
させる中間反射体１７が、一対の傾斜面を有する逆Ｖ字
形に前方へ突出形成されている。

【００２０】前記拡散板１４は、例えば全光線透過率５
６％で拡散率９２％の乳白色の半透明アクリルが用いら
れ、１．５ｍｍ厚の長方形の平板状に形成され、表示板
の後方に表示板と平行に配される。

【００２１】前記導光板２１は、例えば全光線透過率９
３％で拡散率５％の透明アクリル板が用いられ、１．０
ｍｍ厚の長方形の平板状に形成され、前記拡散板１４の
後面に接着される。

【００２２】該導光板２１の後面には、光源１２からの
光を透過させながら散乱する透光散乱膜２２が形成され
ている。該透光散乱膜２２は、ポリカーボネイトなどに
透光性白色顔料（白インク）を加え、シルクスクリーン
法などにより所定のパターンに形成したもので、特に光
源１２の直前方に重点的に塗布される。これにより、該
透光性散乱膜２２は、光散乱性を強く有せしめられ、光
源１２からの光を吸収して減光するのを防ぐ。

【００２３】該光拡散シート２３は、例えば透光性の
０．２ｍｍ厚のアクリルシートが用いられ、その表面
は、散乱性を高めるようプレスやローラ等により皺形状
とされ、これにより前方（発光面に対して垂直方向）へ
の集光率が１１６％とされている。

【００２４】上記構成の液晶用照明装置において、使用
時に光源１２を発光させると、光源１２からの内側前方
への光は直接、また光源１２からの内側後方への光は反
射板１３にて一旦反射された後、導光板２１側に照射さ
れる。

【００２５】このとき、光は導光板２１への進入前に透
光散乱膜２２内を通過し、散乱されてから導光板２１に
斜めに入射する。

【００２６】入射された光は、斜めに入射しているた
め、外部との屈折率の差によりさらに導光板２１の内部
で全反射を繰り返し、液晶表示板１１に対して平行方向
に広範囲に導かれる。そして、導光板２１から前方へ出
射する際には、その光量は発光面に対してかなり平準化
される。

【００２７】導光板２１からの出射光は、拡散板１４で
拡散された後、前方へ出射され、光拡散シート２３に入
射する。そして、ここで前方に集光され、液晶表示板１
１を後方から照射する。

【００２８】このように、各部材２１，２２，２３で光
を散乱させることにより、従来直接通過していた光を散
乱方向に多く通過させ、また導光板２１の入出時の屈折
効果もあるため、ピーク輝度値を下げたなだらかな分布
とすることができる。このため、拡散板１４に高透過率
材料を使用しても、拡散板１４上の輝度を均一とするこ
とが可能となる。

【００２９】ここで、図３中、Ｌａ１は光が透光散乱膜
２２および導光板２１を通過した際の輝度分布、Ｌａ２
はその後拡散板１４を通過した際の輝度分布、Ｌａ３は
さらに光拡散シート２３を通過した際の輝度分布を示し
ている。このように、最前線での輝度分布Ｌａ３は、透
光散乱膜２２および導光板２１を通過した際の輝度分布
Ｌａ１よりも均一となり、かつ、拡散板１４に高透過率
材料を使用した分、全体の輝度も良好であることがわか
る。

【００３０】しかも、従来例１，２のように、ライテイ
ングカーテン透過時の輝度高低差を押さえるために、低
透過率の拡散板を使用したり、ライテイングカーテンの
遮蔽パターンで遮蔽しなくても輝度を均一にできる。す
なわち、強い光を遮つて弱くすることにより輝度を均一
にするのではなく、その光を暗い所へ案内または散乱す
ることにより輝度を均一にすることができる。したがつ
て、光を有効に活用でき、従来例１，２に比べて、発光
面全体を高輝度にできると同時に、輝度むらによるラン
プすじをなくすことができ、液晶表示面の表示品位を向
上させ得る。

【００３１】図４中、Ｌｂ１は本実施例の輝度分布、Ｌ
ｂ２は従来例１の輝度分布、Ｌｂ３は従来例２の輝度分
布である。これから明らかなように、本実施例の全体の
輝度は実施例１，２に対して向上していることがわか
る。

【００３２】さらに、集光効果のある表面皺形状の光拡
散シート２３は、それ自体散乱性を有しているため、従
来例２のプリズム板ほど規則的に集光力を発揮し得ず、
故にその集光率は従来ほど大きくない。したがつて、導
光板２１や拡散板１４で散乱された光の輝度角度特性も
阻害することなく、広角度で液晶表示板１１を照射でき
る。

【００３３】ここで、図５中、Ｌｃ１は本実施例の上下
方向の輝度角度特性、Ｌｃ２は従来例２の上下方向の輝
度角度特性を夫々示し、図６中、Ｌｄ１は本実施例の左
右方向の輝度角度特性、Ｌｄ２は従来例２の左右方向の
輝度角度特性を夫々示している。なお、一般的に液晶の
コントラスト反転視角（正常に画像を認識できる角度範
囲）は、上下３０°、左右４５°である。この角度での
輝度は、図５，６の如く、従来例２における対ピーク値
が上下５０％、左右５５％に対して、本実施例では上下
９０％、左右８０％と、従来よりかなり優れていること
がわかる。したがつて、従来例２よりも表示面の視界角
度が広がることがわかる。

【００３４】また、反射板１３の中央部に中間反射体１
７を突出形成しているので、各光源１２から逆側の光源
方向（側方内側）へ発せられた光を、前方へ有効に導く
ことができる。

【００３５】以上のことから、液晶用照明装置の高輝度
化、輝度の均一化を図り得、かつ、表示品位を向上させ
ることができる。

【００３６】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。

【００３７】

【発明の効果】以上の説明から明らかな通り、本発明請
求項１によると、拡散板の後方に導光板を設け、導光板
の後面に透光散乱膜を形成しているので、透光散乱膜で
散乱した光を導光板へ斜めに進入させ、導光板により発
光面に対して広範囲に導くことができ、導光板から拡散
板に出射する際には光量を発光面に対して平準化でき
る。そうすると、光を遮蔽しなくてもピーク輝度値を下
げたなだらかな分布とすることができ、拡散板に高透過
率材料を使用しても拡散板上均一な輝度とすることが可
能となる。したがつて、輝度均一化と同時に全体的な輝
度向上を図り得る。

【００３８】請求項２によると、光拡散シートの表面を
皺形状としているので、従来のプリズム板を用いた場合
に比べて散乱性を持たせることができ、輝度角度特性を
広範囲に維持できる。したがつて、従来より表示面の視
界角度が広がるといつた優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す液晶用照明装置の断面
図

【図２】導光板および透光散乱膜を示す拡大断面図

【図３】各部材通過時の輝度分布を示す図

【図４】発光面での輝度分布についての従来例１，２と
の比較図

【図５】上下方向の輝度角度特性の従来例２との比較図

【図６】左右方向の輝度角度特性の従来例２との比較図

【図７】従来例１の断面図

【図８】従来例２の断面図

【図９】従来例１の各部材通過時の輝度分布

【図１０】従来例２の各部材通過時の輝度分布

【図１１】従来例１，２の導光板および透光散乱膜を示
す拡大断面図

【符号の説明】

１１ 液晶表示板 １２ 光源 １３ 反射板 １４ 拡散板 ２１ 導光板 ２２ 透光散乱膜 ２３ 光拡散シート

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−213824（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−48281（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−234822（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G02F 1/1335 F21V 13/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液晶表示板を後方から照明する光源と、
   該光源からの後方への照射光を液晶表示板へ反射させる
   反射板と、前記光源の前方に配され光源からの直接光お
   よび前記反射板からの反射光を液晶表示板に拡散する拡
   散板とを備えた液晶用照明装置において、前記拡散板の
   後方に、斜めに入射した光を液晶表示板に対して平行方
   向に導く透光性の導光板が設けられ、該導光板の後面
   に、光源からの光を透過させながら散乱させて前記導光
   板に入射させる透光散乱膜が形成され、前記拡散板の前
   方に、該拡散板からの光を前方に集光してその干渉を防
   ぐ光拡散シートが設けられたことを特徴とする液晶用照
   明装置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の光拡散シートの表面は、
   散乱性を高めるよう皺形状とされたことを特徴とする液
   晶用照明装置。