JP2755800B2 - 電気絶縁等に適する高分子材料 - Google Patents

電気絶縁等に適する高分子材料

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は主として電気絶縁等に用いられる高分子材料
に関するものである。
従来の技術及び発明が解決しようとする課題 近年の電気機器,電力ケーブルなどの高電圧化,小型
化などにより、その絶縁物に加わる電界が強くなり,絶
縁物内部あるいは表面に接して局部的な放電すなわち部
分放電が発生する。特に絶縁物の内部には極めて多くの
微小なボイド(空隙)があり、このボイドで部分放電が
発生する。この部分放電により絶縁物の局部は酸化ある
いは燃焼し、これにより絶縁物の特性が低下する。この
部分放電が続くとボイドは拡大し、トリ一状放電に移行
してやがて機器,ケーブル等には絶縁寿命の低下により
絶縁破壊する。
特に交流機器においては、交流電圧のサイクルに対応
して部分放電が同期的,定常的に発生し、直流機器に比
べて大きな問題となる。
この部分放電の発生機構としては、ボイド内部は気体
でありそのキャパシタンスは小さく、これに加わる電圧
はボイド周囲の絶縁体の大きなキャパシタンスに逆比例
して分圧するため、ボイドの電界強度は極めて大きくな
り容易に放電する。
ボイドに蓄積された電荷の放電によりパルス状の電流
が発生する。
このパルス的な放電が生じた後は、再び電源電圧の瞬
時値の上昇によりボイドは充電され放電電圧に達すると
第二のパルス放電が生じる。このように電源電圧の上昇
に従い第3,第4……のパルス放電が続く。やがて電源電
圧の瞬時値がその波高値を過ぎるとボイドに加わる電圧
は逆向きとなり、再び逆向きの放電パルスが発生する。
この放電パルスは印加電圧の時間に対する変化の傾きが
大きい領域で発生し、半サイクル毎に逆向きのパルスと
なる。絶縁物には極めて多数のボイドがあり、従って絶
縁物に通ずる電流は、第9図(イ)に示すように多数の
パルスを含む交流となる。
機器絶縁物からの部分放電を抑制する方法としては、
低粘度の油,電圧安定剤などの含浸によるボイドの埋め
込み、各種無機物の添加などが挙げられる。この無機物
添加による方法は従来から行なわれており、半導電性の
無機物をボイド表面に析出させボイドの表面抵抗を低下
し放電を抑制するものである(例えば特開昭61−253711
号公報参照)。
しかし、上記のような低粘度の油,電圧安定剤などを
含浸させてボイドを埋め込むようにしたもの又は半導電
性の無機物をボイド表面に析出させて放電を抑制するよ
うにしたものはボイドそのものを消滅させるものではな
いので、必ずしも満足すべき結果を得ることはできな
い。
本発明は、上記のような背景の下になされたもので、
添加すべき無機物の選択により絶縁物に悪影響を与える
ボイドの発生を除去し得るようにした主として電気絶縁
等に適する高分子材料を提供することを目的とするもの
である。
課題を解決するための手段 上記のような課題を解決するためになされた本発明
は、溶融状態のポリエチレン樹脂に少量(具体的には1.
4重量%以下、更に具体的には重量比約1パーセント)
の炭酸リチウム微粉末を添加し冷却して所定の形状に成
型するか、或は触媒作用をなす炭酸リチウムの存在下に
おいて、ポリエチレン主鎖の一部をゴーシュ鎖に移転処
理後冷却したことを要旨とするものである。
即ち、本発明者は、上記ボイドの発生を防止するため
の一連の研究の過程で、炭酸リチウムの添加によりボイ
ド発生の原因となるポリエチレン樹脂中の球結晶の成長
が阻止されることを見出し、本発明に到達し、さらにそ
の改善を計ったものである。
以下本発明を附図を参照して詳細に説明する。
ポリエチレン樹脂(例えば旭ダウM6545ポリエチレン
樹脂ペレットのような比重0.91〜0.93の低密度ポリエチ
レン樹脂および比重0.94〜0.97の中,高密度ポリエチレ
ン樹脂)は の線状の高分子主鎖が多く集まったものである(この主
鎖の一部にCH3[メチル基]のような側鎖を多くもつも
のを低密度ポリエチレン樹脂といい、側鎖が少ないもの
を中,高密度ポリエチレン樹脂という)が、主鎖が取り
得る空間的な立体配座は第1図(イ),(ロ),(ハ)
で示される三つの安定な立体配座がある。図の黒丸は炭
素原子を示すもので、第1図(イ)は1と4の炭素原子
が2,3の炭素結合の鎖に対し互いに反対方向を向いてい
る最も安定な立体配座で、これをトランス結合といい常
温でのポリエチレン樹脂の結晶は全てこの結合を取って
いる。しかしポリエチレン樹脂を加熱した高温状態では
その一部が第1図(ロ),(ハ)に示すようなゴーシュ
結合といわれる準安定な立体配座を取る。これは、1,4
の炭素原子が2,3の炭素結合の鎖に対し±120゜ねじれて
いる状態である、尚第1図(イ),(ロ),(ハ)にお
いて白丸は、黒丸の炭素原子がとり得る他の立体配座の
位置を示す。
このゴーシュ結合の形態をとる主鎖(ゴーシュ鎖)の
判定は赤外分光光度計の1078cm-1および1352cm-1の赤外
吸収の吸光度から容易に判定できる。本発明者は特に炭
酸リチウムを添加したときはこのゴーシュ結合の吸収が
常温において強く表われ、ポリエチレンの主鎖の一部は
ねじれており次に述べる球晶の成長が阻止されることを
見出したものである。
ポリエチレン樹脂の結晶はその主鎖はトランス結合に
よりねじれることなくジグザグ平面構造であり、この高
分子鎖が互いに規則正しく配列し、第2図(イ),
(ロ)に示す結晶構造となる。ここで大丸は炭素原子を
示し小丸は水素原子を示している。
尚a,b,cは単位格子の3つの軸の長さを示す格子常数
でポリエチレン樹脂の場合、a=7.40Å,b=4.93Å,c=
2.534Åである。
この平行主鎖は第3図に示すように長さl=100〜150
Åで折れ曲り、第4図に示すようなラメラ状微結晶とな
る。この結晶はキシレン希薄溶液(キシレン重量に対し
0.1%程度のポリエチレン樹脂を加えた溶液)から析出
したものである。これに対して低密度ポリエチレン樹脂
では融点105℃以上、中,高密度ポリエチレン樹脂では
融点125℃以上の高温度での溶融状態または僅かな溶剤
添加による濃厚溶液からつくられた固体では、このラメ
ラ状微結晶は一つの核を中心とした半径方向に微結晶が
積み重なり、球対称的に生成した第5図のような結晶が
生成する。この球晶の生成は瞬時に終了する。
一般に溶融状態からつくられたポリエチレン樹脂は、
X線回折法ではそのほぼ80%(重量比)が全て球晶状態
で結晶している。これを結晶性高分子といい、本発明に
おいて使用した低密度ポリエチレン樹脂の結晶化度は8
6.6%である。ただしこの球晶状態での結晶はその主鎖
がトランス結合である場合に限られる。
ここで溶融状態のポリエチレン樹脂に炭酸リチウム
(Li2CO3)を添加すると、重量比3〜4%程度(後述の
ゲル分率より判定)の主鎖は非晶性のゴーシュ結合とな
り、このゴーシュ鎖の生成により球晶への生成過程が抑
制される効果を持っている。この結果、添加試料では鋭
いゴーシュ結合の赤外吸収を示す。
この球晶は偏光顕微鏡により黒十字の暗線をもつ物体
として観察され、比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂に
ついての写真を第6図(イ),(ロ),(ハ),
(ニ),(ホ)に示す。第6図(イ)はポリエチレン樹
脂の球晶で、その直径は20〜30μm程度である。第6図
(ロ)は重量比1%の炭酸リチウムをポリエチレン樹脂
に添加した試料で白く見えるのが炭酸リチウムであり、
直径5μm程度の球晶がかすかに見られるが大きな球晶
は消滅している。
第6図(ハ),(ニ),(ホ)は比較のためのもの
で、それぞれ炭酸コバルト(CoCO3)(黒いもの),石
英,炭酸カルシゥム(CaCO3)(白い大きいもの)を1
%添加した場合で、これらの場合球晶は崩れているが極
めて多数存在している。さらにリチウム系のしゅう酸リ
チウム,フッ化リチウム等を添加した場合も球晶は存在
することを確かめた。
この他、比重0.955の低圧法高密度ポリエチレン樹脂
についての写真を第6図(ヘ),(ト)に示す。
第6図(ヘ)はこの樹脂の球晶で、その直径は90μm
の大きい明瞭なものである。
第6図(ト)は炭酸リチウムを添加して加熱処理した
試料で、球晶は消滅している。
以上により球晶の成長抑制は炭酸リチウムの添加が最
も効果的である。
第7図は上記の各種無機物を0.5〜5%低密度ポリエ
チレン樹脂に添加した試料の赤外吸収1078cm-1のゴーシ
ュ結合の吸光度の特性で吸光度が大きいほどゴーシュ鎖
が多いことを示す。石英添加の場合の吸光度は最も大き
いが、これは1078cm-1も含まれる幅広い1080cm-1のSiO2
の強い吸収によるためで、ゴーシュ結合の吸収でなく球
晶の生成阻止は前述のように特に見られない。
特に炭酸リチウムは炭酸カルシュウム,炭酸コバルト
に比べて大きなゴーシュ結合の吸収が表われている。な
お、この種の無機物においてこのゴーシュ結合の赤外吸
収に相当する1078cm-1の赤外吸収を示すものは唯一つ炭
酸リチウムのみであり、錠剤状に固めた炭酸リチウムの
みで約0.05の吸光度を示す。これにより僅か添加した無
機物の炭酸リチウムの分子振動が有機物のポリエチレン
樹脂のゴーシュ結合の分子振動を誘起し、ポリエチレン
主鎖のトランス鎖はゴーシュ結合に移転し、ついで折れ
曲りによる隣接の主鎖は誘導効果によりゴーシュ鎖とな
り、順次この誘導効果の伝播により、多数のゴーシュ結
合の分子鎖が生成されるものと考える。
炭酸リチウムの添加によりゴーシュ鎖が形成されたポ
リエチレン樹脂の場合、結晶部の一部がゴーシュ鎖にな
ったもので、これにより大きな球晶の生成が抑制される
ものである。
つぎに各種無機物添加試料の耐部分放電特性の測定法
について述べる。
無機物を添加した溶融材料を190℃の加熱ロール延伸
機により0.1mm厚のフイルム試料とし第8図に示すよう
な両電極間に配置し、電極端部からの放電を防ぐためシ
リコンオイル等の油中に浸し電界強度50KV/mmの電界を
印加し、無機物添加量に対する電荷量10pc(pc;10-12
ローン)以上のパルス発生頻度(例えば第9図(ロ)に
示すように多数のパルスを含む交流をフイルタ処理しパ
ルス成分のみとしたものの発生速度で、1秒間当りのカ
ウント数をCPSで表す)をコロナ測定機により求めた結
果を第10図に示す。
図より炭酸コバルトを除きいずれも添加量1%の場合
は発生頻度は最小値を示し、無添加のポリエチレン樹脂
の1/4程度に低下しており耐部分放電特性の向上を示し
ている。
ここで石英添加試料は放電パルス発生頻度が最小であ
るが、これはボイド表面抵抗の低下によるものである。
しかしこの石英添加試料は次に述べるようにその部分放
電による酸化劣化という極めて著しい欠点を持ってい
る。
フイルム試料を部分放電により均一に変質し酸化劣化
させる電極として1mm厚のギャップを持つ平行平板形電
極が望ましく、このギャップ内に試料を配置し、50Hz,6
KVrmsの交流電圧を印加するとギャップには強い部分放
電により多量のオゾンが発生し、試料はオゾン酸化によ
り特にケトン性の有機酸が多量に生じその絶縁特性は低
下し劣化する。
この部分放電による劣化は1715cm-1のケトンの赤外吸
光度よりその程度を知ることができる。
第11図は各種無機物1%添加試料の放電時間に対する
ケトン性有機酸の吸光度特性で、これより炭酸コバル
ト,石英の添加は無添加よりも激しく劣化しており、劣
化が最も小さいものは炭酸リチウムの場合で部分放電に
対する耐劣化特性を有している。
以上よりポリエチレン樹脂の部分放電の発生を低減
し、かつ部分放電による酸化劣化を最小とし優れた耐部
分放電特性を向上するためには、炭酸リチウムの微粉末
を重量比1.4%以下、好ましくは0.8〜1.4%)添加する
ことが最適であることが分かった。これによりポリエチ
レンの球晶の生成は阻止され、球晶間のボイドの消滅に
より部分放電およびトリー状放電の発生を抑制すること
ができる。この他、ポリエチレン主鎖がゴーシュ結合の
立体配座をとり得るということは、樹脂成型時に生じる
ボイドの埋め込み効果を持つことになり、ボイドは消滅
することになる。
上記のようにポリエチレン樹脂の球晶間のボイドおよ
び成型時に生じるボイドを消滅させる効果をもつ炭酸リ
チウムはポリエチレン樹脂に添加したままでもその量が
1.4%程度であればその電気的絶縁特性に殆ど影響はあ
たえないものであるが、機械的強度などの点からポリエ
チレン主鎖のゴーシュ鎖への転移処理後において炭酸リ
チウムを除去することが望ましい。このような観点に基
づき実験を行ったところ炭酸リチウム添加により一旦転
移したポリエチレン樹脂のゴーシュ鎖は、炭酸リチウム
除去後においてもトランス鎖への再転移は認められず、
ゴーシュ鎖を含む熱的,電気的,化学的特性に優れた機
能を有する新しいポリエチレン樹脂となることが判明し
た。この場合、添加した炭酸リチウムはポリエチレン樹
脂に対し触媒的に作用したものと言える。
第12図(イ)は溶融状態のポリエチレン樹脂に65メッ
シュ(210μm)より大きい粒度の炭酸リチウムを重量
比10%添加し、ポリエチレン主鎖の一部をゴーシュ鎖に
転移処理後、重量比10%のパラフィン(融点60〜62℃)
を添加し、試料の粘度を低下させ、300メッシュ(46μ
m)のフィルタにより炭酸リチウムを除去した試料の偏
光顕微鏡写真である。この写真では球晶は全く観察され
ず、添加した炭酸リチウムは試料には含まれずポリエチ
レン樹脂に対し単に触媒的に作用したものである。
第12図(ロ)は大きさ100μm径の炭酸リチウム1個
だけをポリエチレン樹脂に配置し、加熱処理後、配置し
た炭酸リチウムを除去し、その後再加熱処理した試料の
偏光顕微鏡写真で、右端の暗部が炭酸リチウムを除去し
た痕跡である。
この場合、配置した炭酸リチウムの周辺200μmまで
は球晶の生成は阻止されたままで、炭酸リチウム除去後
の再加熱処理によっても球晶は容易に再生成しないこと
が観察されている。なお第12図(ロ)に示す写真の左側
に隣接する部分を示す第12図(ハ)の中央および左側に
見られる球晶は配置した炭酸リチウムから離れておりゴ
ーシュ鎖は生成せず炭酸リチウム配置の影響が及ばなか
った領域である。
以上により炭酸リチウムを除去しても、生成されたゴ
ーシュ鎖は熱的に安定しており、加熱により容易に溶解
せず、炭酸リチウムの球晶生成阻止の効果を持続するこ
とが確かめられた。
一般に高分子のゴーシュ鎖はトランス鎖に比べ約500
〜600Cal/mol大きいエネルギをもつものといわれてお
り、それだけ熱的に安定しているものである(高分子の
物性と分子構造;化学同人;64頁;1973年5月参照)。高
分子樹脂の耐熱分解性試験として、試料の加熱分解によ
る重量減少によるハーフライフ温度を熱分解温度とする
表現法がある(プラスチックの耐久性;工業調査会;65
頁;1975年3月発行)。
この方法は例えば試料10mg程度を室温および100℃,20
0℃,300℃……(試料の加熱分解による重量減が0mgまで
100℃づつ上昇)の各温度に5分間等温加熱し、各温度
での試料重量の減量特性を求め、これより重量減量率が
50%に相当する温度をハーフライフ温度とし、これを熱
分解温度とするものである。
この方法により求めた各試料の熱分解温度は低密度ポ
リエチレン樹脂では365℃、該低密度ポリエチレン樹脂
に重量比0.5%の炭酸リチウムを添加し加熱処理した試
料では430℃,重量比1.0%,10%および20%の炭酸リチ
ウムを添加し加熱処理した試料では470℃および第12図
(イ)の重量比10%のパラフィンを添加し、フイルタに
より炭酸リチウムを除去した試料では430℃であり、い
ずれも炭酸リチウム添加処理により熱分解温度は65〜10
5℃上昇し、耐熱性は著しく向上することがわかった。
次に高分子樹脂は架橋剤により活性化した分子鎖同士
が反応結合により架橋化(橋がけ化cross−lsnking)が
行われ、溶剤に不溶成分のゲル(gel)となることが知
られている。この架橋化の程度は例えば低密度ポリエチ
レン樹脂では重量比で試料の10倍のキシレンにより100
℃,10分間溶融処理し、フイルタにより不溶性の樹脂成
分を分離秤量し、重量比によりゲル分率として表示する
ことができる。
低密度ポリエチレン樹脂の上記キシレン処理によるゲ
ル分率は0%であるが、重量比1%の炭酸リチウムをポ
リエチレン樹脂に添加し加熱処理した試料では3.5%で
ある。この場合、炭酸リチウムにより生成したゴーシュ
鎖は樹脂全体に配在しており分子鎖同士の架橋化による
反応ではないが、キシレン等の溶剤に不溶性のゲル化が
生じるものと考えられ、このことは耐溶剤性を向上させ
ることを意味している。
第13図(イ)は上記のゲル分率0%のキシレン処理溶
液を乾燥後加熱溶融処理した試料の偏光顕微鏡写真であ
る。この場合の球晶は直径10μm程度の小さなもので、
くずれた形態となっている。この場合ポリエチレン樹脂
の分子鎖はキシレン処理により分断され、その分子量の
低下のため小さな球晶となる。
第13図(ロ)は炭酸リチウム添加試料の上記ゲル分率
3.5%のキシレン溶液のみを乾燥後、加熱溶融した試料
の偏光顕微鏡写真で、第13図(イ)と異なり球晶は観察
されない。
以上により、キシレンの溶剤処理後、紙フイルタに
より炭酸リチウムを除去した場合でも生成したゴーシュ
鎖の溶剤による分解はなく、球晶の生成を阻止する機能
を有することが分った。
第13図(ハ)は第13図(ロ)の試料を架橋剤ジクミル
パーオキサイドにより化学的に架橋化した写真で、この
場合も球晶の生成は観察されない。
高度の電気的絶縁特性を期待する場合は、その試料は
単一種類の純粋なものがより望ましく、このためゴーシ
ュ鎖生成に用いた炭酸リチウムは除去されることが望ま
しい。このためには重量比5%程度以下のパラフィン系
炭化水素や塩素化炭化水素系の四塩化炭素,キシレン,
パークレン,テトラリンなどの溶剤の添加あるいは溶剤
は添加せず加熱溶融により試料の粘度を低下させ、フイ
ルタ或は遠心分離機などにより炭酸リチウムを分離除去
しても一旦生成したゴーシュ鎖のトランス鎖への再転移
はなく、球晶間のボイド消滅によるパルス放電抑制効果
を維持しつつ、配合添加剤のない均質なポリエチレン樹
脂を得ることができるので、所定の重量比で炭酸リチウ
ムを配合添加した請求項1、および3、に記載のポリエ
チレン樹脂に比べさらに電気的,機械的に優れた樹脂を
作成することができる。
尚、上記のように触媒作用をなす炭酸リチウムを添加
してポリエチレン主鎖の一部をゴーシュ鎖に転移処理
後、これを取除く代りに、例えば結合剤を用いてペレッ
ト状、ブロック状などに成型した炭酸リチウムで溶融状
態にあるポリエチレン樹脂を所定時間かきまわすように
してもよいことは勿論である。
この場合、用いた炭酸リチウムの機能は触媒として作
用したもので、炭酸リチウムの粒度,添加量には関係な
く、炭酸リチウムとの反応面積,反応時間の増大により
その機能は促進されることになる。又請求項1、および
3、に記載したポリエチレン樹脂のように残存炭酸リチ
ウムによると思われるパルス発生頻度特性の劣化はな
い。
尚上記の実施例では通常のポリエチレン樹脂に適用し
た例を述べたが、基本となるポリエチレン樹脂に架橋剤
などにより橋がけし、耐熱性をもたせた架橋ポリエチレ
ン樹脂にも適用し得ることは勿論である。
上記のように溶融状態のポリエチレン樹脂に添加剤と
して重量比1.4パーセント以下の炭酸リチウム微粉末を
配合添加し所定の形状に成型するか或は触媒としての炭
酸リチウムによりポリエチレン主鎖の一部をゴーシュ鎖
に転移処理しその後にこの炭酸リチウムを除去したもの
を所定の形状に成型することにより得られた電気絶縁等
に適する高分子材料は、球晶間のボイドおよび成型時に
生じるボイドの消滅により部分放電およびトリー状放電
の発生を抑制できるすぐれた耐部分放電特性を有してい
るので、例えば該電気絶縁等に適する高分子材料にて導
体を被覆絶縁した電力ケーブルでは絶縁寿命の低下を抑
制することができる。
尚上記電気絶縁等に適する高分子材料は電力ケーブル
だけに限らず電気機器の絶縁物その他例えば各種容器,
パッキング,内張り材,包装フイルム,繊維,塗料,圧
電性フイルム等の用途にも用いられることはいうまでも
ない。
さらにポリエチレン樹脂としては高圧法低密度ポリエ
チレン樹脂の他、中低圧法高密度ポリエチレン樹脂にも
適応できるものである。
次に本発明についての試料作成の実施例ならびに比較
例について説明する。
低密度および中,高密度ポチエチレン樹脂は熱可塑性
樹脂であり、加熱により任意の形状に成型可能で極めて
多くの成型品がある。例えば加熱ロール延伸機によるフ
イルム,押出機による電線絶縁用被覆,加熱含浸による
電力ケーブル絶縁の注形などが挙げられる。
これらの成型用樹脂の形態は容易に加熱成型可能とな
るよう一般にペレット状(粒状)として製造されてい
る。
本発明について説明用の各種試料は上記のペレット状
又は塊状樹脂をはじめに作成し、つぎにこれを所定の形
状に成型し試験用試料としたものである。
赤外吸光度特性(第7図),部分放電によるパルス発
生頻度特性(第10図)および平行平板電極による放電酸
化劣化特性(第11図)を測定するための各試料として
は、添加物を加えない場合は比重0.91の低密度ポリエチ
レン樹脂ペレット(旭ダウM6545)をそのまま用い、添
加物を加える場合は上記比重0.91の低密度ポリエチレン
樹脂を硬質ガラスビーカに入れてデジケータ内に配置
し、窒素雰囲気中で電熱ヒータにより190℃に加熱して
溶融状態とし、これに300メッシュ(46μm)より小さ
い粒度の炭酸リチウム等の各種添加物の微粉末を添加
し、肉眼にて十分に混合するまで約5分間撹拌し、その
後テフロンビーカに移しペレット状とし室温まで徐冷し
たものを用い、このようにして得られた各種ペレット状
樹脂を190℃の加熱ロール延伸機により0.1mm厚のフイル
ム状試料としたものである。
次に本発明について説明用の偏光顕微鏡写真(第6図
(イ),(ロ),(ハ),(ニ),(ホ),(ヘ),
(ト),第12図(イ),(ロ),(ハ)および第13図
(イ),(ロ),(ハ))の各試料は各種ペレット状樹
脂の少量(数mg)を顕微鏡用カバーガラス上に採取し、
190℃,10秒間程度加熱し写真用試料とした。
さらに熱分解温度測定のための10mgの試料も上記ペレ
ット状樹脂より採取したものである。
これら各種ペレット状樹脂の原料は比重0.91の低密度
ポリエチレン樹脂ペレット(旭ダウM6545)および高密
度ポリエチレン樹脂(三井ポリケミカルHZ7000F)を用
いた。
次に本発明についての各種ペレット状樹脂の作成実施
例について述べる。
実施例1 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂を硬質ガラスビー
カに入れてデジケータ内に配置し、窒素雰囲気中で電熱
ヒータにより190℃に加熱して溶融状態とし、これに300
メッシュ(46μm)より小さい粒度の炭酸リチウムの微
粉末を重量比1%添加し、肉眼にて十分に混合するまで
約5分間撹拌し、その後テフロンビーカに移しペレット
状とし室温まで徐冷して試料を作成した。該試料は第10
図に示す部分放電によるパルス発生頻度ならびに第11図
に示す平行板電極による放電酸化劣化はいずれも極小で
あり、特に第6図(ロ)に示すように大きい球晶は消滅
している。このものは柔軟であり、電力ケーブル絶縁物
に適している。
実施例2 比重0.955の高密度ポリエチレン樹脂を実施例1と同
じ加熱方法により210℃に加熱して溶融状態とし、これ
に300メッシュ(46μm)より小さい粒度の炭酸リチウ
ムを重量比1%添加し、その後実施例1と同様の処理に
よりペレット状の試料を作成した。該試料は第6図
(ト)に示すように球晶は全く消滅している。
実施例3 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂を実施例1と同じ
加熱方法により190℃に加熱して溶融状態とし、これに6
5メッシュ(210μm)より大きい粒度の炭酸リチウムを
重量比10%添加し、さらに粘度低下のため重量比10%の
パラフィンを添加して約20分間混合撹拌し、その後パレ
ット状とし室温まで徐冷した。次にこのペレット状樹脂
を窒素雰囲気中で210℃,25分間加熱して溶融状態とし、
300メッシュ(46μm)のフイルタにより炭酸リチウム
を除去し、その後ペレット状とし室温まで徐冷して試料
を作成した。該試料は炭酸リチウムを触媒として作用さ
せたものであり、第12図(イ)に示すように大きい球晶
は消滅している。
実施例4 実施例1で作成した重量比1%の炭酸リチウムを添加
したペレット状樹脂を重量比で試料樹脂の10倍の純キシ
レンにより100℃,10分間溶融処理し、紙フイルタによ
り炭酸リチウムを含むキシレン不溶成分を除去し、フイ
ルタした溶液のみを自然乾燥し、試料を作成した。その
試料を190℃で1分間加熱溶融したものは第13図(ロ)
に示すように球晶の生成は観察されず、この場合も炭酸
リチウムは触媒として作用したものである。
実施例5 実施例4で得られた試料を重量比2%のジクミルパー
オキサイドの架橋剤により130℃,10分間加熱処理し、化
学的に架橋化した試料を作成した。該試料は第13図
(ハ)に示すように球晶は観察されない。
比較例1 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂に添加物を加えな
い場合は、第6図(イ)に示すように直径20〜30μm程
度の球晶が観察される。
比較例2 比重0.955の高密度ポリエチレン樹脂に添加物を加え
ない場合は、第6図(ヘ)に示すように直径90μm程度
の大きく明瞭な球晶が観察される。
比較例3 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂を実施例1と同じ
加熱法により190℃に加熱して溶融状態とし、これに300
メッシュ(46μm)より小さい粒度の炭酸コバルトを重
量比1%添加し、その後実施例1と同様の処理によりペ
レット状の試料を作成した。該試料は第6図(ハ)に示
すように崩れているが極めて多数の球晶が観察される。
比較例4 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂を実施例1と同じ
加熱法により190℃に加熱して溶融状態とし、これに300
メッシュ(46μm)より小さい粒度の石英を重量比1%
添加し、その後実施例1と同様の処理によりペレット状
の試料を作成した。該試料は第6図(ニ)に示すように
崩れているが極めて多数の球晶が観察される。
比較例5 比重0.91の低密度ポリエチレン樹脂を実施例1と同じ
加熱法により190℃に加熱して溶融状態とし、これに300
メッシュ(46μm)より小さい粒度の炭酸カルシウムを
重量比1%添加し、その後実施例1と同様の処理により
ペレット状の試料を作成した。該試料は第6図(ホ)に
示すように崩れているが極めて多数の球晶が観察され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ),(ロ),(ハ)はそれぞれポリエチレン
樹脂の主鎖が取り得る空間的な立体配座を示すもので、
(イ)はトランス結合といわれる安定な立体配座、
(ロ),(ハ)はそれぞれゴーシュ結合といわれる互い
に異なる2種類の準安定な立体配座、第2図(イ),
(ロ)はそれぞれポリエチレン樹脂の結晶構造を示す側
面図,平面図、第3図はポリエチレン鎖の折れ曲り状況
を示す斜視図、第4図はラメラ微結晶の結晶構造を示す
顕微鏡写真、第5図はポリエチレン樹脂の球晶の結晶構
造を示す偏光顕微鏡写真、第6図(イ),(ロ),
(ハ),(ニ),(ホ),(ヘ),(ト)のうち
(イ),(ロ),(ハ),(ニ),(ホ)はそれぞれ低
密度ポリエチレン樹脂について添加物がない場合及び各
種の添加物を加えたときのポリエチレン樹脂の球晶の結
晶構造を示す偏光顕微鏡写真で、(イ)は添加物がない
場合、(ロ)は重量比1%の炭酸リチウムを添加した場
合、(ハ)は重量比1%の炭酸コバルトを添加した場
合、(ニ)は重量比1%の石英を添加した場合、(ホ)
は重量比1%の炭酸カルシウムを添加した場合を示すも
のであり、(ヘ),(ト)はそれぞれ高密度ポリエチレ
ン樹脂について添加物がない場合及び炭酸リチウムを加
えたときの球晶の結晶構造を示す偏光顕微鏡写真で、
(ヘ)は添加物がない場合、(ト)は重量比1%の炭酸
リチウムを添加した場合を示すものである。第7図は添
加物がない場合及び炭酸リチウム,炭酸カルシウム,炭
酸コバルト,石英を添加した場合のゴーシュ鎖の吸光度
特性図、第8図は部分放電測定用電極の側面図、第9図
(イ),(ロ)はそれぞれ放電電流の波形を示すタイム
チャートで、(イ)は多数のパルスを含む交流波形図、
(ロ)はフイルタ処理後のパルス波形図、第10図は添加
物がない場合及び炭酸リチウム,炭酸カルシウム,炭酸
コバルト,石英を添加した場合の放電パルスの発生頻度
特性図、第11図は添加物がない場合及び炭酸リチウム,
炭酸カルシウム,炭酸コバルト,石英を添加した場合の
部分放電によるケトン性有機物の吸光度特性図、第12図
(イ),(ロ),(ハ)はそれぞれポリエチレン樹脂の
球晶の結晶構造を示す偏光顕微鏡写真で、(イ)はポリ
エチレン樹脂に重量比各10%の炭酸リチウムと粘度低下
のためのパラフィンとを添加加熱し、その後フイルタに
より添加した炭酸リチウムを除去した場合、(ロ)は10
0μmの炭酸リチウム1個を配置したポリエチレン樹脂
を加熱溶解しその後配置した炭酸リチウムを除去し再び
加熱溶融した場合、(ハ)は(ロ)に示す部分の左側に
隣接する部分を示すものである。第13図(イ),
(ロ),(ハ)はそれぞれキシレンによる加熱溶融処理
後のポリエチレン樹脂の球晶の結晶構造を示す偏光顕微
鏡写真で、(イ)はポリエチレン樹脂を100℃のキシレ
ンにより10分間溶融処理した試料を乾燥後加熱溶融した
場合、(ロ)はポリエチレン樹脂に重量比1%の炭酸リ
チウムを添加し、加熱処理した試料を100℃のキシレン
により10分間溶融処理し紙フイルタにより炭酸リチウ
ムを含むキシレン不溶物を除去し、これを自然乾燥した
試料を加熱処理した場合、(ハ)は(ロ)に示す方法に
より処理した試料をジクミルパーオキサイドの架橋剤で
化学的に架橋化した場合を示すものである。 1,2,3,4……炭素原子、l……ポリエチレン樹脂の平行
主鎖の折れ曲り長さ(単位Å)、a,b,c……単位格子を
構成する3つの軸の長さを示す格子常数。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の通りに定義されることを特徴とす
    る、ポリエチレン樹脂からなる、電気絶縁性にすぐれた
    固体高分子材料。 (1) このポリエチレン樹脂は、溶融時に炭酸リチウ
    ムと接触させて球晶含量を低下させたものであること、 (2) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、1078cm-1および1352cm-1での赤外吸収を有し、球
    晶に起因する空隙を実質的に含まないこと、 (3) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、添加された炭酸リチウムを、実質的に炭酸リチウ
    ムとして、微粉状で、少量含有していること、 (4) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、使用ポリエチレン固有の機械的性質を実質的に保
    持していること。
  2. 【請求項2】下記の通りに定義されることを特徴とす
    る、ポリエチレン樹脂からなる、電気絶縁性にすぐれた
    固体高分子材料。 (1) このポリエチレン樹脂は、溶融時に炭酸リチウ
    ムと接触させて球晶含量を低下させたものであること、 (2) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、1078cm-1および1352cm-1での赤外吸収を有し、球
    晶に起因する空隙を実質的に含まないこと、 (3) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、該ポリエチレン樹脂中の炭酸リチウムがその後に
    溶融ポリエチレン樹脂の固体化の前か後かで除去された
    ものであること、 (4) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、使用ポリエチレン固有の機械的性質を実質的に保
    持していること。
  3. 【請求項3】下記の通りに定義されることを特徴とす
    る、ポリエチレン樹脂からなる電気絶縁性にすぐれた固
    体高分子材料からなる電気絶縁体で被覆された導体から
    なる、電気ワイヤーあるいはケーブル。 (1) このポリエチレン樹脂は、溶融時に炭酸リチウ
    ムと接触させて球晶含量を低下させたものであること、 (2) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、1078cm-1および1352cm-1での赤外吸収を有し、球
    晶に起因する空隙を実質的に含まないこと、 (3) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、添加された炭酸リチウムを、実質的に炭酸リチウ
    ムとして、微粉状で、少量含有していること、 (4) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、使用ポリエチレン固有の機械的性質を実質的に保
    持していること。
  4. 【請求項4】下記の通りに定義されることを特徴とす
    る、ポリエチレン樹脂からなる電気絶縁性にすぐれた固
    体高分子材料からなる電気絶縁体で被覆された導体から
    なる、電気ワイヤーあるいはケーブル。 (1) このポリエチレン樹脂は、溶融時に炭酸リチウ
    ムと接触させて球晶含量を低下させたものであること、 (2) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、1078cm-1および1352cm-1での赤外吸収を有し、球
    晶に起因する空隙を実質的に含まないこと、 (3) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、該ポリエチレン樹脂中の炭酸リチウムがその後に
    溶融ポリエチレン樹脂の固体化の前か後かで除去された
    ものであること、 (4) この炭酸リチウムと接触させたポリエチレン樹
    脂は、使用ポリエチレン固有の機械的性質を実質的に保
    持していること。
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