JP2748328B2 - コークス炉耐火物への熱間塗布用釉薬および釉層の形成方法 - Google Patents

コークス炉耐火物への熱間塗布用釉薬および釉層の形成方法

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JP2748328B2
JP2748328B2 JP52951395A JP52951395A JP2748328B2 JP 2748328 B2 JP2748328 B2 JP 2748328B2 JP 52951395 A JP52951395 A JP 52951395A JP 52951395 A JP52951395 A JP 52951395A JP 2748328 B2 JP2748328 B2 JP 2748328B2
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誠一 坂口
光俊 村瀬
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Asahi Kagaku Kogyo Co Ltd
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Asahi Kagaku Kogyo Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、コークス炉の壁面である煉瓦、不定形耐火
物、目地などの部位に熱間で施工し、壁面を保護し、石
炭乾留中に生成するタール等から発生するカーボンが付
着するのを防止する釉層をその表面に形成する釉薬およ
びコークス炉内壁面上に釉層を形成する方法に関する。
背景技術 コークス炉は、石炭を乾留してコークスを生産すると
同時に、発生するガス、タールなどを回収する。石炭乾
留中のガス、タールなどの一部は、コークス炉中の高温
によって分解してカーボンを発生する。このカーボン
は、コークス炉の炉壁に強固に付着し成長する。またコ
ークス炉は、長時間の使用で損傷したりするなどのトラ
ブルが発生する。このため炉の耐火物の表面をより緻密
な層でコーティングしてカーボンの付着を防止したり、
あるいは損傷部に耐火物材料を埋め込み補修することが
必要となる。
小型炉では、このような場合、炉を止めてしかるべき
措置をすることが容易であるが、コークス炉のような大
型炉の場合は長時間にわたり連続運転をすることが多
く、炉を冷却しないで熱間で措置することが必要なケー
スが多い。
炉の耐火物の表面を熱間でコーティングする方法とし
ては、不定形耐火物の吹き付け、あるいはプラズマまた
はアーク溶射などの方法がある。前者の方法は比較的安
価な方法であるが、緻密なコート層を形成するのが難し
いこと、またコート層の強度があまりなく剥離しやすい
ことなどの欠点を有する。後者の方法は比較的強度の高
い膜が形成可能であるが、施工コストが高価で、経済性
に難点があるという欠点を有する。
コークス炉は石炭を約1100℃で20〜25時間蒸焼するこ
とによってコークスを製造する。この石炭の乾留過程で
タール状物質や炭化水素のガスが発生する。これらはコ
ークス炉内壁、炉蓋、石炭投入口等の隙間や、炉体耐火
物の開口気孔に侵入、熱分解炭化して強固なカーボンの
付着物を形成する。
このカーボン付着物は耐火物の融点を低下させ、かつ
耐火物の脆化の原因となる。また堆積するカーボン付着
物のために炉蓋の開閉が困難になり、かつ炉蓋のコーク
ス炉に対する密封性を悪くする。このため付着したカー
ボンを機械的に除去することも行われているが、付着が
強固なため、除去作業に時間がかかり、作業環境も劣悪
である。さらに除去作業中に、耐火物自体の表面が削り
とられることもある。別の方法として、空気または酸素
ガスを吹き込んで焼き落としを行っているが、この方法
では作業範囲は炉口近傍に限られてしまう。炉の全域を
清掃するためには、炉の操業を中断し、炉を空窯状態に
して焼き落とさねばならない。しかし焼き落とし作業自
体苛酷な高温作業であるとともに、焼き落とし時の燃焼
熱は炉体の耐火物に対して局部的な高温状態をもたら
し、炉体損傷の原因ともなる。
このような状況に対し、従来よりカーボンの付着しに
くい耐火物や耐火物表面をコーティング膜で被覆し保護
する方法について種々検討されてきた。
たとえば、 特公昭62−19477:炭化珪素、窒化珪素または黒鉛粒子
と無機結合剤とから成る組成物をコークス炉内の内張り
煉瓦上に塗布する。
特開昭62−197371:炭化珪素、窒化珪素などから成る
耐熱性およびタール性物質浸透防止性付与剤と、燐酸
塩、酸化イットリウムなどから成るバインダーと、チタ
ン酸カリウム繊維から成る断熱性付与剤とをコークス炉
の内壁面に塗布する。
特公昭63−40463:黒鉛粉末とコロイダルシリカ、アル
ミナゾルなどの無機バインダーをコークス炉のドア用内
張り耐火物に塗布する。
特開昭63−236783:釉薬と煉瓦を同時焼成し釉層が形
成されたコークス炉用耐火物煉瓦を製造する。
前記の方法のうち、炭化珪素、窒化珪素または黒鉛な
どを使用する,,の方法は、これらの粒子とバイ
ンダーの馴染みが悪く、密着強度が不充分で、操業中被
覆層が剥離脱落するという問題がある。
の釉層を形成した煉瓦を用いる方法は、密着性が良
好で操業中脱落することもない。また釉層被膜中の気孔
も殆どないため、カーボンが浸透することもなく非常に
効果的な方法である。しかしながら、コークス炉又は炉
蓋などを新たに製作する場合にこの方法が適用可能であ
るが、炉を操業しながら熱間で、炉の耐火物表面に釉層
を形成することは不可能である。
本発明は、前記の問題点に鑑みて成されたものであ
り、コークス炉内に熱間で施工できる釉薬を提供するこ
とを第1の目的とし、この釉薬をコークス炉の壁面を形
成する煉瓦、目地、不定形耐火物の表面に熱間で塗布し
て、カーボンの付着防止、あるいはカーボンが付着して
も容易に剥離することができる釉層を形成する方法を提
供することを第2の目的とする。
発明の開示 本発明は、特定の金属酸化物の組合せから成り、炉内
壁面に施工すると炉の実炉温度付近あるいはそれ以下の
温度で一旦、溶融し釉層を形成するが、施工後、釉の融
点が次第に上昇し釉層を堅持するような釉薬を要旨とす
る。
釉層が炉内耐火物表面に溶着形成された後、炉の操業
状態で溶融、または軟化しないため、強固な釉層が形成
されるし、また、これによりカーボンが付着しにくく、
あるいは付着しても容易に剥離させることができるので
前記の目的を達成することができる。
本発明は、釉層を形成する組成として、酸化物基準
で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
(RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下であることを特徴
とするコークス炉耐火物への熱間塗布用釉薬またはカー
ボン付着防止のためのコークス炉耐火物への熱間塗布用
釉薬である。
また本発明は、釉層を形成する組成として、酸化物基
準で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
(RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下である釉薬100重量
部に対し、熱膨張率調整剤を100重量部以下添加して成
ることを特徴とする。
また本発明は、熱膨張率調整剤がAl2O3、MgO、CaO、Z
rO2およびTiO2から成る群より選ばれることを特徴とす
る。
また本発明は、Li2Oを0.2〜10重量%含むことを特徴
とする。
また本発明は、B2O3を0.5〜10重量%含むことを特徴
とする。
また本発明は、SiO2を形成する化合物が珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウムおよび珪酸リチウムから成る群より選
ばれる一種以上ならびにアルカリシリコネートから成る
ことを特徴とする。
また本発明は、アルカリシリコネートがナトリウムメ
チルシリコネートでかつCH3SiO1.5基準で2重量%〜30
重量%であることを特徴とする。
また本発明は、コークス炉の耐火物が煉瓦、目地およ
び不定形耐火物から成る群より選ばれることを特徴とす
る。
また本発明は、釉層を形成する組成として、酸化物換
算で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
(RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下である釉薬をコー
クス炉内壁面に熱間施工し、釉層を溶着形成することを
特徴とする釉層の形成方法である。
本発明者らは、多様な金属酸化物の組合せについて釉
薬としての利用可能性を試験し、特に高温(コークス炉
等の実炉温度付近)での溶融挙動に着目し、最適組合せ
を求めた結果、本発明組成物をみつけ、さらに熱膨張率
とのかねあいから、改善された組成物をみつけ、炉内壁
面へ効果的な釉薬の施工を可能にし、本発明を完成し
た。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
本明細書中、「釉薬」とは、焼成された釉を指す場合
もあるし、施工前の釉薬用組成物(いわゆるプレミック
ス)を指す場合もある。釉の場合、成分として前記の酸
化物を定義された範囲で含むものである。釉薬用組成物
の場合、施工後、釉層を形成する釉の組成として、前記
の酸化物を定義した範囲で含むように成分調整した組成
物である。したがって、釉用組成物は、施工後各々酸化
物に変換される金属塩あるいは金属化合物を含有すれば
よく、必ずしも前記酸化物を施工前から含む必要はな
い。
いずれにしろ、釉薬は基本成分として、R2O(Na2Oま
たはK2O)と、SiO2を含むことを特徴とするが、これら
にLi2Oそして/またはB2O3が配合されて成ることが好ま
しい。
R2OはNa2OそしてK2Oのいずれか一方あるいは両者の混
合物を意味する。
前記酸化物に変換される適当な前駆体として、同一の
金属の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、燐酸塩、硫酸塩、塩
化物等が挙げられる。前駆体は施工後、好ましくは約60
0℃以上の温度で酸化物に変換されるものであればよ
い。
Li2Oの前駆体としては、水酸化リチウム、炭酸リチウ
ム、炭酸水素リチウム、硝酸リチウム、燐酸リチウム、
硫酸リチウム、塩化リチウム、珪酸リチウムなどが好ま
しい。
Na2Oの前駆体としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、燐酸ナ
トリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、珪酸ナト
リウムなどが好ましい。
K2Oの前駆体としては、水酸化カリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸水素カリウム、硝酸カリウム、燐酸カリウム、
硫酸カリウム、塩化カリウム、珪酸カリウムなどが好ま
しい。
B2O3の前駆体としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、
ホウ酸カリウムなどが好ましい。
SiO2の前駆体としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウ
ム、珪酸リチウム、シリカゾルおよび水溶性アルカリメ
チルシリコネートが好ましい。
アルカリシリコネートとしてはナトリウムシリコネー
ト、カリウムシリコネート、リチウムシリコネートなど
を挙げることができる。この中で、現在量産されていて
コスト的に安価なものとして特にナトリウムメチルシリ
コネートが好ましい。さらにナトリウムメチルシリコネ
ートを使用するとき、CH3SiO1.5基準で2重量%〜30重
量%であることが好ましい。
アルカリシリコネートの作用としては珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等と併用した場合、垂
直壁面に熱間施工するとき、タレが生じにくく、溶着施
工が良好で均一な釉層が形成されるためこのような用途
には特に好ましい。添加量としては2重量%〜30重量%
の範囲が好ましく、量が少なすぎるとこれらの効果が少
なく、量が多すぎるとコストアップになること、密着性
が落ちるため好ましくない。
なお、アルカリシリコネートは施工後はメチル基など
の有機基は分解し消失しSiO2となる。
本発明の釉薬をコークス炉内壁面を構成する耐火物表
面に施工するためには、組成物を所定面に塗布(ハケ塗
り、コテ塗り)、吹付け等の標準的なコーティング方法
を用いる。したがって、均一に施工するには、組成物を
水溶液あるいは水溶液に近いスラリー状で提供すること
が望ましい。前記の金属塩および金属化合物は、ほとん
ど水溶液であり、金属を所望の組成比に、水溶液中で容
易に調製できる。しかしながら、不溶性あるいは難溶性
金属塩および金属化合物を用いて、これらを水中に分散
したスラリーを使用することもできる。勿論、水溶性お
よび非水溶性前駆体を両者、併用することも可能であ
る。
施工する水溶液中の金属酸化物換算の固形分濃度は通
常約5〜約50重量%、好ましくは約10〜約40重量%に調
整する。濃度が約50重量%以上になると、施工時熱によ
りゲル化が起こりやすく、吹付けノズルの目詰まりが発
生する。また約5重量%以下になると、充分な被膜を形
成するには大量の組成物水溶液が必要になり施工の効率
が悪くなる。被膜(すなわち、釉層)の厚みに制限はな
いが、実用的には約3mm以下でよい。
本発明の釉薬の特徴は、炉内壁面に施工するとコーク
ス炉の実炉温度(約1100℃)付近あるいはそれ以下の温
度で、一旦溶融し、施工された耐火物表面に均一、緻密
なガラス質釉層の被膜を形成するが、釉層は時間の経過
とともに融点が上昇し炉の操業温度では再び溶融しない
ので、堅固な被膜が保持されることである。
本発明の釉薬の融点は、実炉温度以下で、炉内壁耐火
物の周辺部を考慮して約900℃以下に設定する必要があ
る。融点を設定値以下になるように、組成物の成分比を
適宜調整することも本発明の一態様である。具体的に
は、Li2O−Na2O−SiO2の三成分系の場合、その状態図
(たとえば、F.C.Kracek,J.Am.Chem.Soc.,61,2871(193
9)を参照)から融点900℃以下の適当な領域で各成分の
重量%を求め、所望の成分比を与えるよう、Li2O,Na
2O,SiO2の前駆体を各々規定量混合し、本発明の釉薬を
得ることができる。
本発明において、釉薬の融点が施工後、上昇する理由
は、組成物中の成分の一部が時間とともに揮散または拡
散するためと考えられる。この機構の詳細は、本発明を
限定するものではないが、たとえばLi2OまたはR2OがSiO
2と共存すると、融点(SiO2単独ならば1728℃)を著し
く降下させる。これらアルカリ金属酸化物は拡散係数が
大きくまた蒸気圧も比較的高いため、施工後、時間の経
過とともに拡散、揮散し釉層の組成がSiO2膜に近づき、
その結果融点が上昇する。B2O3も融点降下に効果があり
揮散しやすいので、Li2O、R2Oと同様にSiO2と併用する
ことができる。
本発明に従えば、釉薬の組成は、釉として酸化物換算
で、Li2O、0〜約10重量%、B2O3、0〜約10重量%、R2
O、約10〜40重量%および残部がSiO2から成ることが好
ましい。Li2O、0.2〜約10重量%および/またはB2O3
0.5〜約10重量%を含むことが特に好ましい。
したがって、1の好適な釉薬組成物として、R2O、約1
0〜約40重量%および残部がSiO2から成るものである。
第2の好適な釉薬組成物として、Li2O、約0.2〜約10
重量%、R2O、約10〜約40重量%および残部がSiO2から
成るものである。
第3の好適な釉薬組成物として、B2O3、約0.5〜約10
重量%、R2O、約10〜約40重量%および残部がSiO2から
成るものである。
第4の好適な釉薬組成物として、Li2O、約0.2〜約10
重量%、B2O3、約0.5〜約10重量%、R2O、約10〜約40重
量%および残部がSiO2から成るものである。
釉薬中、各成分が前記の範囲をはずれると、融点が高
くなるか、さらにコーティングしたとき、成膜性も劣る
ので好ましくない。
先行技術において、種々の釉薬は知られているが、融
点を考慮した組成となっていないため、施工後、釉層が
溶融して流れ、耐火物を露出させたり、釉層がガラス状
を保ち得ず水飴のようになり、カーボンの付着を促進す
る。またカーボン粒子により釉層が削り取られることも
あり、満足な結果を得られていない。
本発明には、前記の釉薬に適当な熱膨張率調整剤を加
えて成ることを特徴とする改善された釉薬も含まれる。
コークス炉の炉内温度は操業によって上下する場合があ
り、耐火物と釉層との熱膨張率差が大きいと釉層にクラ
ック等が発生し、被膜のカーボン付着防止効果が劣化す
ることがしばしば起こる。そこで、釉層と耐火物の馴染
みをよくするため、熱膨張率調整剤としては、耐火物と
同一または同種のものがよく、特に好ましくはAl2O3、M
gO、CaO、ZrO2およびTiO2から成る群より選ばれる1種
または2種以上が使用できる。使用量は、釉薬100重量
部に対し、熱膨張率調整剤約100重量%以下である。熱
膨張率調整剤が釉薬を施工したとき、釉層の中で一体化
し良好な被膜を形成するためには、前記の範囲が好まし
い。
施工に際しては、本発明の釉薬組成物に熱膨張率調整
剤(通常固体粉末)を添加し、スラリー状にし、組成物
と同様に常法に従い耐火物表面に施工する。
熱膨張率調整剤は概して融点が高く、全体が速やかに
一体化すると組成物が高融点化し、900℃以下の温度で
釉層の被膜形成が困難となる。しかし、一方高融点のた
め、熱膨張率調整剤の自己拡散係数が小さい。このため
固体粉末で添加しておくとまず固体粉末以外の部分が溶
融し、固体粉末自身が釉層の中に包み込まれた形で被膜
が形成する。その後時間とともに固体粉末の成分が拡散
し全体として一体化した被膜となり、熱膨張係数が調整
された釉層を得ることができる。この改善された釉薬を
使用すると釉層の剥離がおこりにくく、カーボン付着防
止効果も一段と助長される。
本発明において、釉薬組成物中の構成粒子の粒径は特
に制限はないが、粒径が大きくなりすぎると施工しにく
く、また小さくなりすぎると施工後、収縮が大きく被膜
の亀裂が起こる。したがって、実用的には、約0.5〜約5
0μm程度の範囲が好ましい。
本発明を実施するとき、釉薬組成物をコークス炉内壁
面に前記の方法でコーティングする。施工は、熱間施工
するか、または低温施工後、加熱処理をするが、前者の
方が炉の操業を停止せずに行えるので好ましい。被膜
は、運転の際に炉内熱によって乾燥、溶融、焼結された
釉層を形成する。こうして形成された緻密、高性能な釉
層は、前記のように耐火物表面との適合性もよく、炉操
業中、剥離したりせずカーボン付着を防止しつづける。
したがって、釉薬を施工し、カーボン付着を防止する方
法、釉層を形成する方法および施工された釉層そのもの
も本発明の一部を構成する。
発明を実施するための最良の形態 以下本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、
本発明はこれらによって制限されるものではない。実施
例中「%」は全て重量%を表す。
<実施例1> 3号水ガラス(Na2O 8.7%、SiO2 27.8%、水63.5
%)100重量部、珪酸リチウム(Li2O 2.2%、SiO2 20
%)50重量部を混合し、完全な透明液となるまで撹拌し
た。これをA液とする。
水959重量部に水酸化リチウム(LiOH)96重量部を添
加し、溶解した。次いでホウ酸粉末(H3BO3)318重量部
を添加し、撹拌し完全に透明液にした。これをB液とす
る。
ナトリウムメチルシリコーネート(Na2O 10.7%、CH3
SiO1.5 20%:SiO2として17.9%)100重量部にB液を1
2.5重量部添加し透明液となるまで撹拌した。これをC
液とする。
A液100重量部にC液30重量部を添加し、透明液とな
るまで撹拌した。これをD液とする。
なおこれらの調合に際し、速度を速めるため70〜80℃
で加熱しても特に結果は変わらなかった。
得られた釉薬組成物は酸化物となったときの釉薬組成
としてはNa2O 21.7%、Li2O 2.2%、B2O3 1.1%、SiO2
75.0%であった。SiO2 36%、Al2O3 54%を含む市販の
キャスタブルレンガを100×100×40mmに切断し、試験耐
火物片を作成した。
この試験片を900℃の炉入れ加熱した。レンガの温度
が900℃に上がったのを確認した後、レンガを取り出す
と同時にスプレーガンにてD液をレンガ面に噴霧した。
最初レンガが発泡するが約1分くらいの後、溶融し均
一、強固なガラス被膜が形成された。これを再び900℃
の炉に入れ、2時間保持した。
このようにして釉層被膜を形成したレンガ上に石炭粉
5部、コールタール3部から成るスラリーを塗り、不活
性雰囲気下(たとえば、窒素下)800℃で3時間加熱保
持した。冷却後、接着テープを用いて付着カーボンの剥
がれ易さを評価したところ、カーボンは簡単に剥離し
た。
一方、本発明の釉薬組成物を塗布しなかった試料は、
レンガ表面に強固にカーボンが付着し、機械的な力を加
えても完全に除去できなかった。
<実施例2> 3号水ガラス(Na2O 9.6%、SiO2 27.8%、水62.6
%)100%、珪酸リチウム(Li2O 2.2%、SiO2 20%、水
77.8%)4.4重量部を混合し、完全な透明液となるまで
撹拌し、これをA液とした。
A液100重量部に水10.1重量部添加し、ついで実施例
1と同一組成のB液を2.7重量部添加し、最後にナトリ
ウムメチルシリコネート(Na2O 10.7%、CH3SiO1.5 20.
0%:SiO2として17.9%)を10.5%添加し、透明液とな
るまで撹拌した。これをD液とする。
得られた釉薬組成物は酸化物となったときの釉薬組成
としてはNa2O 25.8%、Li2O 0.4%、B2O3 1.0%、SiO2
72.8%であった。
なおナトリウムメチルシリコネートのメチル基が消失
する前の組成としてはSiO2 67.8%、Li2O 0.4%、Na2O
25.6%、B2O3 1.0%、CH3SiO1.5 5.2%であった。
実施例1と同様の試験耐火物片を作成した。
この試験片を900℃の炉に入れ加熱した。レンガの温
度が900℃に上がったのを確認した後、レンガを取出す
と同時にスプレーガンにてD液をレンガ面に噴霧した。
最初レンガが発泡するが、1分くらいの後、溶融し均
一、強固なガラス皮膜が形成された。
なお、上記のナトリウムメチルシリコネートの量を1/
5にした他は、ほぼ同様の組成としたものをE液とし
た。
得られたE液は酸化物となったときの釉薬組成として
Na2O 25.0%、Li2O 0.5%、B2O3 1.1%、SiO2 73.5%で
あった。
またナトリウムメチルシリコネートのメチル基が消失
する前の組成としてはSiO2 72.4%、Li2O 0.5%、Na2O
24.9%、B2O3 1.3%、CH3SiO1.5 1.1%であった。
このものを実施例1と同様の方法でテストした結果、
均一強固なガラス皮膜が形成されたが、レンガの垂直面
に塗布した場合には、かなりの部分タレが生じた。
<実施例3〜6> 釉の組成が表1に示すものになるように、実施例1と
同様な方法で釉薬組成物を調製し、得られた釉層につい
て被膜形成と付着カーボンの剥離の評価を行った。それ
ぞれ組成と評価結果を表1に示す。
<実施例7> 前記実施例1の釉薬組成物のD液を100重量部と、平
均粒径〜5μmのアルミナ粉末20重量部とを混合しスラ
リー状とし、改善された釉薬組成物を得た。
このスラリーを実施例1と同様な方法でレンガに噴霧
した。形成された被膜は透明ではないが表面は光沢があ
り、ガラス状であった。
<比較例1〜2> 釉の組成が表1に示すものになるように、実施例1と
同様な方法で組成物を調製し、さらに得られた釉層につ
いて評価を行った。それぞれの組成と評価結果を表1に
示す。
融点は600℃,700℃,800℃,900℃,1000℃で熱処理した
際、釉薬が溶融、釉層を形成するかどうか肉眼で観察し
て推定した。
表1の試験結果より、実施例の釉薬は、被膜形成に優
れ、カーボン付着防止効果も顕著であるが、比較例の釉
薬は両者において劣ることが明らかになった。
<高温保持テスト> 実施例1で得られた釉層で被覆したレンガを900℃の
温度で約5時間保持し、焼成レンガの釉層被膜中の成分
を分析するとSiO2/Na2Oのモル比は3.5で当初の3.0に比
べNa2Oが減少傾向にあった。
さらに1100℃で1時間保持するとモル比は7.5でNa2O
の減少が顕著に認められた。なおこのときB2O3、Li2Oは
検出されなかった。この釉層の融点は1300℃以上であ
り、初期の800℃以下の融点から顕著な融点上昇効果が
認められた。
産業上の利用可能性 本発明による釉薬をコークス炉の炉内壁面に熱間で施
工することによって、壁面に緻密であって耐久性を有す
る釉層が形成される。これによってタールなどの熱分解
で発生するカーボンの付着を大幅に低減でき、またカー
ボンが付着しても容易に剥離でき、コークス炉の寿命延
長が図れる。本発明による釉薬は、簡単に熱間施工でき
るので、コークス炉の通常の稼動を妨げることなく行わ
れ、人手、資材、費用の面で有効であり、工業上本発明
はきわめて利用価値がある。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
    (RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
    O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下であることを特徴
    とするコークス炉耐火物への熱間塗布用釉薬またはカー
    ボン付着防止のためのコークス炉耐火物への熱間塗布用
    釉薬。
  2. 【請求項2】釉層を形成する組成として、酸化物基準
    で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
    (RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
    O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下である釉薬100重量
    部に対し、熱膨張率調整剤を100重量部以下添加して成
    ることを特徴とするコークス炉耐火物への熱間塗布用釉
    薬またはカーボン付着防止のためのコークス炉耐火物へ
    の熱間塗布用釉薬。
  3. 【請求項3】熱膨張率調整剤がAl2O3、MgO、CaO、ZrO2
    およびTiO2から成る群より選ばれる請求項2記載の釉
    薬。
  4. 【請求項4】Li2Oを0.2〜10重量%含む請求項1〜3い
    ずれかに記載の釉薬。
  5. 【請求項5】B2O3を0.5〜10重量%含む請求項1〜4い
    ずれかに記載の釉薬。
  6. 【請求項6】SiO2を形成する化合物が珪酸ナトリウム、
    珪酸カリウムおよび珪酸リチウムから成る群より選ばれ
    る一種以上ならびにアルカリシリコネートから成る請求
    項1〜5いずれかに記載の釉薬。
  7. 【請求項7】アルカリシリコネートがナトリウムメチル
    シリコネートでかつCH3SiO1.5基準で2重量%〜30重量
    %である請求項6記載の釉薬。
  8. 【請求項8】コークス炉の耐火物が煉瓦、目地および不
    定形耐火物から成る群より選ばれる請求項1〜7いずれ
    かに記載の釉薬。
  9. 【請求項9】釉層を形成する組成として、酸化物換算
    で、Li2Oが0〜10重量%、B2O3が0〜10重量%、R2O
    (RはNaまたはKを表す)が10〜40重量%と、残部にSi
    O2を含み、かつ釉の融点が900℃以下である釉薬をコー
    クス炉内壁面に熱間施工し、釉層を溶着形成することを
    特徴とする釉層の形成方法。
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