JP2732966B2 - 布団の位置決め装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、布団の位置決め装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】上掛け布団などを縫製するために、コン
フォータマシンなどと称される自動縫製装置が用いられ
る場合がある。この縫製装置は、保持枠体に取付けられ
た布団を、Ｘ−Ｙテーブル上で予め設定されたプログラ
ムに従う縫製位置に沿って縫い針を移動させながら自動
的に縫製するように構成されている。前記保持枠体は、
Ｘ−Ｙテーブルに設けられる案内レールにその保持枠体
に設けられるローラが嵌り込んでＸ−Ｙテーブル上で正
確に位置決めすることができるように構成されているけ
れども、前記保持枠体に布団を取付ける際には、保持枠
体に対する布団の位置決めを行うために作業者が寸法を
計りながら、手作業によって布団の位置を修正して、正
確に位置決めしなければならず、極めて手間と労力とを
要し産性が悪いという問題を有する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、布団の保持枠体に対する位置決め作業の迅速化を
図り、生産性を向上することができるようにした布団の
位置決め装置を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、平坦な基板
と、基板上に設けられる支持枠体と、支持枠体に設けら
れ、前記基板に近接／離反変位する駆動軸を有する変位
駆動手段と、前記駆動軸に連結され、透光性を有する材
料から成る平坦な板状体と、透光性を有する材料から成
り、任意の図柄が形成され、前記板状体に載置される位
置決め部材と、布団の周縁部を着脱可能に挟持する複数
の挟持片が設けられ、前記基板上に位置決めされた状態
で乗載される保持枠体とを含むことを特徴とする布団の
位置決め装置である。

【０００５】また本発明は、平坦な基板と、基板上に設
けられる支持枠体と、支持枠体に設けられ、前記基板に
向けて任意の図柄の画像を投影する投影手段と、布団の
周縁部を着脱可能に挟持する複数の挟持片が設けられ、
前記基板上に位置決めされた状態で乗載される保持枠体
とを含むことを特徴とする布団の位置決め装置である。

【０００６】

【作用】本発明に従えば、基板には支持枠体が設けら
れ、この支持枠体には駆動手段が設けられる。駆動手段
の駆動軸には透光性を有する平坦な板状体が固定され、
この板状体には位置決め部材が載置される。布団は保持
枠体に複数の挟持片によって着脱可能に挟持されて取付
けられ、この保持枠体は前記布団とともに基板上に乗載
されて、位置決めされる。前記駆動手段の駆動軸が基板
に近接する方向に変位駆動されると、板状体は前記位置
決め部材が載置された状態で同一方向に変位し、布団上
に重なって配置される。この状態において、作業者は前
記位置決め部材および板状体を通してその下方に配置さ
れている布団を前記位置決め部材に形成されている図柄
と重ねて視認することができるので、前記挟持片の挟持
状態を解除して、布団を、前記図柄が対応する位置に配
置されるように保持枠体に対して変位させ、再び前記挟
持片によって布団の周縁部を挟持し、その布団が正確に
位置決めされた状態で保持枠体に取付けられる。このよ
うにして作業者が寸法などを計ることなしに正確に布団
を位置決めして迅速に保持枠体に取付けることができ
る。

【０００７】また本発明に従えば、基板には支持枠体が
設けられて、この支持枠体には投影手段が設けられる。
布団は保持枠体に複数の挟持片によって着脱可能に挟持
されて取付けられ、この保持枠体は前記布団とともに基
板上に乗載される。基板上に前記保持枠体とともに乗載
された布団には、前記投影手段によって任意の図柄の画
像が投影される。作業者はこの画像の図柄を見ながら布
団を容易に位置決めすることができ、位置決め作業の手
間を削減することができる。

【０００８】

【実施例】図１は本発明の一実施例の位置決め装置１を
示す斜視図であり、図２はその位置決め装置１の断面図
である。基台２には平坦な基板３が水平に固定され、基
板３上には支持枠体４が設けられる。この支持枠体４
は、前記基板３上に立設される４つの脚部５と、各脚部
５の上端部に固定される矩形状の枠部６と、枠部６のほ
ぼ中央に固定される枠状の支持部７とを有する。これら
の脚部５、枠部６および支持部７は、複数のＬ形鋼ある
いは山形鋼などによって構成されている。この支持枠体
４は、基板３上に設けられる構成に限らず、その他の取
付け位置、たとえば天井、床あるいは後述する縫製装置
２１の機体から延びるアームなどに取付けるようにして
もよい。

【０００９】前記支持部７には、駆動手段である複動空
気圧シリンダ８が固定される。この複動空気圧シリンダ
８は、下方に向けて伸長／縮退する駆動軸９を有し、駆
動軸９の先端部には枠組みされた昇降体１０が固定され
る。この昇降体１０の角部には、ボルト１１がそれぞれ
ナット１２によって抜け止めされた状態で挿通されてお
り、これらのボルト１１によってたとえばアクリルなど
の透光性を有する材料から成る平坦な板状体１３がほぼ
水平に着脱可能に吊下げられる。これによって位置決め
されるべき布団の大きさが変化しても、その大きさに応
じて前記板状体１３を容易に交換することができる。こ
の板状体１３上には、たとえば塩化ビニルなどの透光性
を有する材料から成り、任意の図柄がマジックペンなど
によって形成された可撓性を有するシート状位置決め部
材１４が乗載される。

【００１０】前記基板３上には、矩形状に枠組みされた
保持枠体１５が設けられる。この保持枠体１５には、周
方向に間隔をあけて挟持片であるクリップ１６が設けら
れ、これらのクリップ１６によって布団１７の周縁部が
着脱可能に挟持される。保持枠体１５にはまた、複数の
ローラ１８が設けられる。各ローラ１８は、たとえばＬ
形鋼などである一対の平行な案内レール１９間に嵌り込
んで案内される。各案内レール１９は、前記基板３に相
互の間隔を変位調整自在なようにして固定されている。
前記保持枠体１５は、図示しない係止手段によって各案
内レール１９に沿って移動しないように予め定める位置
で係止することができる。前記係止手段は、たとえばロ
ーラ１８の走行経路に基板３から突出するボルトなどの
金具などであってもよい。また前記予め定める位置は、
保持枠体１５の中心と板状体１３の中心とが一致するよ
うに選ばれる。

【００１１】前記複動空気圧シリンダ８が図示しない空
気圧源からの加圧空気によって圧力付勢されると、駆動
軸９が伸長して昇降体１０は下降し、それに伴って位置
決め部材１４は板状体１３とともに下降して、図２の仮
想線２０で示されるように、布団１７上に載置される。
このとき、板状体１３上の位置決め部材１４と昇降体１
０との鉛直方向の間隔ａは、前記ボルト１１が昇降体１
０に挿通されているので、板状体１３が布団１７に当接
したときにその板状体１３および位置決め部材１４は昇
降体１０に近接する方向に変位自在であり、したがって
前記間隔ａは可変である。これによって布団１７がむや
みに大きな力によって押圧されることを防止している。
図２の仮想線２０で示されるように、位置決め部材１４
が布団１７の直上に配置された状態では、作業者は上方
からその位置決め部材１４および板状体１３を通してそ
の下方にある布団１７を視認することができる。したが
って前記位置決め部材１４に記載されている図柄などに
合わせて布団１７を保持枠１５上でずらし、前記クリッ
プ１６を止め直して正確に位置決めすることができる。

【００１２】図３は保持枠体１５に位置決めされた布団
１７を縫製するための縫製装置２１を簡略化して示す斜
視図である。枠状のＸ−Ｙテーブル２３上をＹ方向に沿
って走行駆動する逆Ｕ字状の走行体２５には、縫い針２
６を備えた縫製手段２７が設けられる。この縫製手段２
７はＸ方向に変位駆動される。前記走行体２５は、Ｘ方
向にに沿って水平に伸びる水平部２８と、水平部２８の
長手方向両端部に下方に屈曲して連なる脚部２９ａ，２
９ｂとを有する。各脚部２９ａ，２９ｂは、Ｙ方向に沿
って伸びる一対の走行駆動手段３０ａ，３０ｂの図示し
ないタイミングベルトに連結されて、Ｙ方向に沿って走
行駆動される。これらの走行駆動手段３０ａ，３０ｂ
と、前記縫製手段２７とは、図示しない制御手段からの
制御信号に基づいてＸ方向およびＹ方向にそれぞれ変位
駆動される。Ｘ−Ｙテーブル２３上に載置された前記保
持枠体１５上の布団１７は、予め定める縫製位置に沿っ
て変位駆動される前記縫製手段２７の縫い針２６によっ
て縫製される。このとき前記保持枠体１５は、Ｘ−Ｙテ
ーブル２３上で予め定める位置に位置決めして配置され
るように構成されている。したがって、前述したように
保持枠体１５に布団１７が正確に位置決めして取付けら
れていないと、誤った縫製位置を縫製してしまうことに
なり、これを防止するために、予め保持枠体１５に正確
に布団１７を位置決めして取付けておく必要がある。

【００１３】図４は、昇降体１０、板状体１３および位
置決め部材１４の一部の斜視図である。前記昇降体１０
は、軸直角断面が矩形であるたとえばコラムなどである
外枠部材３１と、外枠部材３１の内方で対角線上に伸び
る連結部材３２とを有し、連結部材３２の交差位置付近
には前記複動空気圧シリンダ８の駆動軸９が固定される
取付片３３が設けられる。外枠部材３１にはまた、上方
に伸びる複数の案内軸３４が立設され、この案内軸３４
は、図１および図２に示されるように、前記支持部７を
構成する外枠部材３５を挿通して上方に突出している。
このような案内軸３４を設けることによって、昇降体１
０が駆動軸９の軸線まわりに回転してしまうことを防止
している。

【００１４】前記位置決め部材１４には、各サイズの布
団に対応した４つの角部付近に対応する位置に図柄であ
るマーク３８が形成される。この位置決め部材１４には
また、板状体１３上から着脱交換するために側縁部から
ボルト１１が挿通する挿通孔３９にわたって切欠き４０
が形成されており、この切欠き４０を介してボルト１１
から位置決め部材１４を抜取って、異なる図柄が形成さ
れた位置決め部材と交換することができる。

【００１５】図５は、保持枠体１５の一部の斜視図であ
る。前記保持枠体１５は、木製の枠部材４１と、枠部材
４１の上面に枠部材４１の長手方向に間隔をあけて固定
される複数の前記クリップ１６とを有する。クリップ１
６は、枠部材４１に固定される取付部材４２と、この取
付部材４２と対向する挟持部材４３とを有し、各部材４
２，４３は相互に近接する方向に屈曲した屈曲部４４，
４５を有する。挟持部材４３は、前記屈曲部４５が屈曲
部４４に近接する方向に図示しないばねによって弾発的
に付勢されており、これらの屈曲部４４，４５によって
布団の周縁部を着脱自在に挟持することができるように
構成されている。

【００１６】図６は、位置決め装置１による布団１７の
位置決め動作を説明するための図である。前記縫製装置
２１のＸ−Ｙテーブル２３上に、布団１７を乗載するに
あたって、まず位置決め装置１によって保持枠体１５に
対する布団１７の位置決め作業が行われる。保持枠体１
５に布団１７が前記クリップ１６によって仮り止めされ
た状態で、その保持枠体１５を基板３上に乗載する。こ
のとき保持枠体１５は、前記一対の案内レール１９間に
配置されて、これらの案内レール１９間の中心に、前記
位置決め部材１４の中心が配置されるように、予め位置
決めされている。このような状態で、図２の仮想線２０
で示されるように、複動空気圧シリンダ１８を圧力付勢
して駆動軸９が下降すると、布団１７上には板状体１３
が重なった状態で配置される。この状態では、図６
（１）に示されるように、各マーク３８から保持枠体１
５上の布団１７がずれた位置にあり、布団１７の中心位
置Ｐ１は、各マーク３８を対角線上に結んだ中心位置Ｐ
２からずれた位置に配置されている。

【００１７】この位置決め部材１４には、前記マーク３
８の他に、たとえば図柄４６が形成されている。次に作
業者が保持枠体１５を基板３上で変位させることなく布
団１７だけを中心位置Ｐ１が位置決め部材１４の中心位
置Ｐ２に一致するように移動させて、図６（２）に示さ
れるように、各マーク３８に布団１７の４つの角部付近
が一致するように位置決めする。こうして布団１７の中
心位置Ｐ１と位置決め部材１４の中心位置Ｐ２とが重な
った状態となり、こうして前記クリップ１６を止め直
し、正確に位置決めされた状態で布団１７が保持枠体１
５に取付けられる。したがって作業者は、布団１７を保
持枠体１５に位置決めして取付けるために寸法などを計
る必要はなく、迅速かつ正確に配置することができる。

【００１８】このようにして保持枠体１５に取付けられ
た布団１７は、その保持枠体１５とともに、前記縫製装
置２１のＸ−Ｙテーブル２３上に載置され、縫製手段２
７の縫い針２６によって予め定める縫製位置に沿って縫
製される。縫製装置２１によって縫製される縫い目は、
布団１７が前記位置決め装置１によって保持枠体１５に
正確に位置決めされ、その保持枠体１５はＸ−Ｙテーブ
ル２３上に位置決めした状態で配置されるので、ずれた
位置に縫い目が形成されてしまうおそれはなく、予め定
める縫製位置に沿って正確に縫い目を形成することがで
きる。

【００１９】図７は、本発明の他の実施例の位置決め部
材１４ａを示す斜視図である。なお、前述の実施例と対
応する部分には同一の数字に添字ａを付す。板状体１３
ａ上にはロール状に巻回された位置決め部材１４ａが設
けられる。この位置決め部材１４ａの長手方向一端部
は、供給軸５０に巻回され、また位置決め部材１４ａの
長手方向他端部は巻取軸５１に巻回される。各軸５０，
５１の両端部は、前記板状体１３上に立設される各対を
成すブラケット５２，５３によって支持されている。前
記位置決め部材１４ａには、その長手方向に沿って布団
一枚分毎に形状の異なる図柄が形成されており、位置決
め部材１４ａを矢符Ａ１，Ａ２方向に移動させることに
よって希望する図柄を板状体１３ａ上に配置することが
できる。このような構成によれば、図柄が異なる毎に板
状体１３ａ上の位置決め部材１４ａを交換する必要がな
く、交換作業の手間を削減することができる。

【００２０】図８は、本発明のさらに他の実施例の断面
図である。本実施例の位置決め装置１ａは、支持枠体４
の支持部７には水平に伸びる支持板５５が架け渡されて
おり、この支持板５５上には投影手段である映写機５６
が設けられる。この映写機５６は、異なる図柄の映写画
像が撮像された複数のスライドフィルム５７が収納され
る収納ケース５８を備え、この収納ケース５８内のスラ
イドフィルム５７を布団１７の上面に映写することがで
きるように構成されている。このような構成を用いるこ
とによって、布団１７までの距離ｂが変化しても、ピン
トを調整することによって容易にその布団のサイズに応
じた図柄を投影することができ、構成が簡単で、枠部６
と布団１７との間の作業空間を確保することができる。

【００２１】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、基板上の
保持枠体に乗載された布団上に位置決め部材を配置し
て、容易に位置決め作業を行うことができるので、前記
先行技術に関連して述べたように、作業者が手作業によ
って寸法などを測定する必要はなく、位置決め作業の手
間を削減して、迅速に位置決め作業を行うことができ
る。

【００２２】また本発明によれば、投影手段によって基
板上の保持枠体に乗載された布団に図柄などの画像を投
影して、その図柄に一致するように布団を位置決めする
ことができるので、簡単な構成で大きな作業空間を確保
して、布団の位置決め作業を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の位置決め装置１を示す斜視
図である。

【図２】その位置決め装置１の断面図である。

【図３】縫製装置２１を簡略化して示す斜視図である。

【図４】昇降体１０、板状体１３および位置決め部材１
４の一部の斜視図である。

【図５】保持枠体１５の一部の斜視図である。

【図６】位置決め装置１による布団１７の位置決め動作
を説明するための図である。

【図７】本発明の他の実施例の位置決め部材１４ａを示
す斜視図である。

【図８】本発明のさらに他の実施例の位置決め装置１ａ
を示す断面図である。

【符号の説明】

１，１ａ 位置決め装置 ２ 基台 ３ 基板 ４ 支持枠体 ８ 複動空気圧シリンダ ９ 駆動軸 １０ 昇降体 １３，１３ａ 板状体 １４，１４ａ 位置決め部材 １５ 保持枠体 １６ クリップ １７ 布団 ２１ 縫製装置 ２３ Ｘ−Ｙテーブル ３８ マーク ４６ 図柄 ５６ 映写機 ５７ スライドフィルム

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平坦な基板と、 基板上に設けられる支持枠体と、 支持枠体に設けられ、前記基板に近接／離反変位する駆
   動軸を有する変位駆動手段と、 前記駆動軸に連結され、透光性を有する材料から成る平
   坦な板状体と、 透光性を有する材料から成り、任意の図柄が形成され、
   前記板状体に載置される位置決め部材と、 布団の周縁部を着脱可能に挟持する複数の挟持片が設け
   られ、前記基板上に位置決めされた状態で乗載される保
   持枠体とを含むことを特徴とする布団の位置決め装置。
2. 【請求項２】 平坦な基板と、 基板上に設けられる支持枠体と、 支持枠体に設けられ、前記基板に向けて任意の図柄の画
   像を投影する投影手段と、 布団の周縁部を着脱可能に挟持する複数の挟持片が設け
   られ、前記基板上に位置決めされた状態で乗載される保
   持枠体とを含むことを特徴とする布団の位置決め装置。