JP2731505B2 - アーク溶接用ワイヤ - Google Patents
アーク溶接用ワイヤInfo
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Description
し、より詳しくは、溶接作業性に優れたソリッドワイヤ
及びフラックス入りワイヤで、アルミ用を除く軟鋼、高
張力鋼、低合金鋼、ステンレス鋼等の溶接に適し、特に
アーク安定性の良好な溶接ワイヤに関する。
の問題点である。その原因としては、通電点の変動や送
給性の不安定性さが挙げられる。
銅メッキを施したソリッドワイヤに関しては、通電点を
安定させるためにメッキ密着性向上やメッキ皮膜の均一
性向上を図ったワイヤ等が実施されてきた。また、送給
性安定のために粒界酸化ワイヤ(特開昭56−1448
92号)等の技術が開発された。
アーク不安定の改善方法として、通電点を安定させるた
めにフラックス入りワイヤにメッキを施す検討や、フラ
ックス中のアーク安定剤の検討等がなされてきた。ま
た、送給性を安定させるため、表面潤滑剤の改善、表面
粗さの検討及び塗布方法の技術開発がなされてきた(特
開昭57−32894号等)。
ドワイヤについてのアーク不安定の問題点は、粒界酸化
ワイヤ、メッキ密着性、つきまわり性の向上だけでは満
足し得る程度には改善されていない。
層に酸素富化層を形成させて、その上に銅メッキを行
い、伸線をすることにより、ワイヤ表面に横溝をつく
り、横溝中に保持される液体潤滑剤によりワイヤ送給性
を向上させるものであるが、アーク安定性については不
十分である。また、メッキ密着性やメッキ皮膜の均一性
を向上させ、チップ―ワイヤ間の通電点を安定させる試
みもなされてきたが、それらの因子を改善しても、アー
ク安定性については満足できる性能は得られていない。
従来技術のような検討だけでは、アーク安定性は改善で
きていない。
ヤの欠点を解消して、通電点の変動や送給性の不安定さ
がなく、アーク安定性の優れたソリッドワイヤ及びフラ
ックス入りワイヤを提供することを目的とするものであ
る。
に、本発明者らは、ソリッドワイヤについては、伸線方
法(潤滑剤、伸線速度、ワイヤ温度等)、メッキCu量の
増減、メッキサイズや焼鈍条件等を変化させたワイヤを
試作し、またコアードワイヤについても、従来技術の製
造条件やフラックス組成を変え、各種ワイヤを試作し、
アーク安定性を調査したところ、アーク安定性に差
(良、悪)が認められた。
点の変動が考えられたので、まず、初めに送給性不安定
とアーク安定性との相関について調査した。具体的に
は、電流を流さずワイヤ送給性を調査したが、アーク安
定性調査結果との良い相関関係は得られなかった。
電性と関係があると考え、ワイヤ表面の粗さをSEMや
触針法(JIS B0601、JIS B0651)で測定
し、作業性との関連をみた。触針法によりワイヤ長手方
向表面の粗さを測定した結果、及び円周方向の真円度計
の測定結果から、アーク安定性との関係を調査したが、
これらの2次元的測定方法からの結果では明確な相関関
係は認められなかった。
測定を通し、本発明の基礎となった2つの知見を見い出
すことができた。
観察から得られるワイヤ表面状況は必ずしも一致しな
い。第2に、触針法による粗さの結果は同一であって
も、ワイヤ通電性、アーク安定性に差がある。以上の理
由について、触針法についての検討をした結果、触針法
による粗さ測定法では、針先の曲率よりも小さな凹凸が
測定困難である(微細凹部は計測不可能、凸部は触針に
より破壊される)ことにより、SEMで観察した表面状
況と触針法により測定された結果と良好な一致は見られ
ていないとの結論に至った。
的定量化をする測定方法を用いた。この測定の結果、粗
さとアーク安定性との強い相関関係を認めることができ
た。従来の触針法では測定できない微細な凹凸及び3次
元的凹凸度(ワイヤ比表面積)がアーク安定性に大きく影
響していることがわかった。この理由は、必ずしも明確
ではないが、ワイヤ表面のワイヤ比表面積が大きい、す
なわち、ワイヤ表面の凹凸が大きくなるとチップとワイ
ヤの接触点(通電点)が不安定となり、その結果、電流が
不安定となり、アークが安定しないものと推定される。
従来の表面粗さ測定法では測定できないワイヤ表面の微
細な凹凸がアーク安定性に大きく影響するものと考えら
れる。
イヤに関しても、またメッキのないソリッドワイヤにお
いても同様である。更に、ソリッドワイヤがフラックス
入りワイヤに代わっても同様な傾向が得られた。
の実表面積を測定した測定部分の見掛け上の面積をSm
(mm2)、測定部分のワイヤ表面の実表面積をSa(mm2)と
した場合、下式で定義される(図1参照)。 ワイヤ比表面積=(Sa/Sm)−1
定部分を平面に展開した時の縦×横で表わされる面積で
ある。本発明では測定部分を平面に展開した後、500
μm×600μm(300000μm2)の部分の実表面積を
測定した。
の方法によって測定されるものである。 ・サンプリング方法:スプールに巻かれた製品ワイヤか
らできるだけ疵を付けないように約20mmを任意の3ヶ
所から採取し、金属表面を腐食させない石油エーテル、
アセトン、四塩化炭素、フロン等の有機溶媒中で、或い
は加工工程中で使用する潤滑剤の種類によってはそれを
除くために最も適当と思われる液(湯やその他の脱脂液)
で超音波洗浄することによりワイヤ表面に付着している
汚れや油脂分等の不純物を取り除く。超音波洗浄はワイ
ヤが互いに擦れあって疵を付けないように1本づつ行
う。なお、ワイヤの製造に当たっては、伸線によってダ
イスから受ける疵、設備各所や線同士の接触で生じるう
ち、疵や擦り疵などは可能な限り発生させないように留
意されているものであり、その意味では、比表面積値は
疵のない部分を選んで測定する。 ・測定位置:1サンプルの任意の1断面を120度ずら
した3ヶ所で測定し、3サンプルの合計9ヶ所の測定値
の単純平均とする。 ・測定倍率:150倍(ワイヤ径によらず一定)。測定装
置としては、例えば、エリオニクス社製ERA−800
0が挙げられる。
比表面積を0.05以下に抑制することにより、アーク
安定性に優れたアーク溶接用ソリッドワイヤ及びフラッ
クス入りワイヤが得られることを見い出したものであ
る。
面積はアーク安定性に影響し、ワイヤ比表面積が小さい
ほどアーク安定性は増す。しかし、実用上は0.05以
下までのワイヤは充分使用できるもので、ワイヤ比表面
積の上限は0.05とする。
するには更なる低ワイヤ比表面積値が要求されることか
ら、ワイヤ比表面積の上限は0.01が好ましい。前述
のERA−8000により測定した平均表面粗さ(Ra)
は0.4μm以下であることが望ましい。また、ワイヤ長
手方向における比表面積値のバラツキも±0.005以
内にすることが望ましい。
は、乾式伸線法よりも湿式伸線の方が小さくなり、伸線
速度の低速化、伸線ダイススケジュールを変えることに
よる減面率の細分化、メッキサイズの細径化等により、
ワイヤ比表面積を小さくすることが可能である。
の効果が得られる。
ある。
により表1に示す化学成分のワイヤ径1.2mmφのソリ
ッドワイヤを製作した。それらを表3に示す溶接条件に
より軟鋼母材上で一部は送給条件を2水準に変えて溶接
を行い、溶接作業性を評価した。一方、各ワイヤについ
て前述の測定方法により、ワイヤ比表面積及びRaを測
定した。それらの結果を表4にまとめて示す。
いずれも良好な作業性を示した。なお、過酷な送給条件
においてはワイヤ比表面積及びRaがより低いものが良
好な結果を示した。これに対し、比較例のワイヤNo.
6、No.7、並びに従来ワイヤA〜Cは、ワイヤ比表面
積が0.05を超えており、いずれも溶接作業性が劣っ
ている。なお、ワイヤNo.1(本発明例)及びNo.7(比
較例)についてワイヤ表面のSEM像及び3次元鳥瞰図
を図2、図3に示す。図2はワイヤNo.1、図3はワイ
ヤNo.7の場合である。
る。
てステンレスソリッドワイヤを試作した。ワイヤの化学
成分、製造工程、溶接条件を表5、表6、表7に示し、
従来ワイヤと試作ワイヤについてのワイヤ比表面積を表
8に示す。
ワイヤ3本とも、通常の送給条件で良好な作業性を示し
た。
例である。
す外皮を用いて、表12の製造工程により表11の諸元
の継ぎ目なしフラックス入りワイヤを試作した。それら
を表13に示すよう溶接条件により軟鋼母材上で溶接を
行い、溶接作業性を評価した。各ワイヤについて前述の
測定方法により、ワイヤ比表面積を測定した。それらの
結果を表14に示す。
作ワイヤは、いずれも、通常の送給条件で良好な作業性
を示した。
鋼、ステンレス鋼等に比較して、融点が低いため、チッ
プ内の通電点をより多くしなければならず、ワイヤ比表
面積が0.05以下では不充分のため、アルミ用のワイ
ヤは除く。
通電点の変動や送給性の不安定さがなく、アーク安定性
の優れたソリッドワイヤ及びフラックス入りワイヤを提
供することができる。アルミ用を除く軟鋼、高張力鋼、
低合金鋼、ステンレス鋼等の溶接に適している。
(金属組織)を示す写真で、(a)は凹凸状態を示し、
(b)はSEM像である。
(金属組織)を示す写真で、(a)は凹凸状態を示し、
(b)はSEM像である。
Claims (1)
- 【請求項1】 アーク溶接用ソリッドワイヤ及びフラッ
クス入りワイヤからなる群から選択されたアーク溶接用
ワイヤにおいて、下式で定義されるワイヤ表面の比表面
積値(以下、ワイヤ比表面積という)を0.05以下に
抑制したことを特徴とするアーク溶接用ワイヤ。 ワイヤ比表面積=(Sa/Sm)−1 ここで、 Sm:ワイヤ表面の実表面積を測定した測定部分の見掛
け上の面積(mm2) Sa:測定部分のワイヤ表面の実表面積(mm2)
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5200041A JP2731505B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | アーク溶接用ワイヤ |
TW083106537A TW251250B (en) | 1993-07-19 | 1994-07-18 | Wire solder club for arc welding |
KR1019940017395A KR0134857B1 (ko) | 1993-07-19 | 1994-07-19 | 아아크 용접용 와이어 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5200041A JP2731505B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | アーク溶接用ワイヤ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0732187A JPH0732187A (ja) | 1995-02-03 |
JP2731505B2 true JP2731505B2 (ja) | 1998-03-25 |
Family
ID=16417850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5200041A Expired - Lifetime JP2731505B2 (ja) | 1993-07-19 | 1993-07-19 | アーク溶接用ワイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2731505B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2682814B2 (ja) * | 1994-05-06 | 1997-11-26 | 株式会社神戸製鋼所 | アーク溶接用ワイヤ |
JP2002331384A (ja) * | 2001-05-10 | 2002-11-19 | Kobe Steel Ltd | ガスシールドアーク溶接用メタル系フラックス入りワイヤ |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01202391A (ja) * | 1988-02-08 | 1989-08-15 | Kawasaki Steel Corp | ワイヤ送給性の良好なフラックス入リワイヤ |
JP2672153B2 (ja) * | 1989-08-01 | 1997-11-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 溶接用ワイヤ |
-
1993
- 1993-07-19 JP JP5200041A patent/JP2731505B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0732187A (ja) | 1995-02-03 |
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