JP2727393B2 - 重合体スケール付着防止剤及びそれを使用する重合体製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤及びそれを使用する重合体製造方法

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JP2727393B2 JP8138293A JP8138293A JP2727393B2 JP 2727393 B2 JP2727393 B2 JP 2727393B2 JP 8138293 A JP8138293 A JP 8138293A JP 8138293 A JP8138293 A JP 8138293A JP 2727393 B2 JP2727393 B2 JP 2727393B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性不飽和二重
結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
剤、重合体スケールの付着防止に有効な重合器及びそれ
を利用する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン性不飽和二重結合を有す
る単量体の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合
法、溶液重合法、気相重合法、塊状重合法等が知られて
いる。これらの重合法においては、いずれの場合にも重
合器内壁、攪拌装置等の単量体が接触する部位に重合体
スケールの付着が起こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、この重合体スケ
ールが剥離して重合体中に混入し、重合体を成形するこ
とにより得られる成形物の品位を低下させるという不利
がもたらされる。また、付着した重合体スケールを除去
するためには、過大な労力と時間を要するのみならず、
この重合体スケール中に未反応の単量体が含まれている
ので、近年きわめて重大な問題となっている単量体によ
る人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物からなる重合体スケール付着防止剤を重合器内壁等に
塗布する方法、及びそれらの化合物を水性媒体中に添加
する方法が公知である(特公昭45−30343 公報)。
【0005】しかし、これらの方法は5〜6バッチ程度
までの重合の繰り返しには重合体スケール付着防止効果
を示すが、重合バッチ数がそれよりも多くなると防止効
果がなくなってくる(持続性に劣る)という不利があ
る。この点は、水溶性触媒を使用した場合に特に影響が
著しく、工業的には満足できるものではない。
【0006】この不利を克服すべく、特開昭53−13689
号公報において芳香族アミン化合物の縮合生成物を重合
体スケール付着防止剤として使用することが提案されて
いる。この芳香族アミン化合物の縮合生成物を含有する
塗膜を重合器内壁等の単量体が接触する部分に形成する
と、重合を 100〜200 バッチ程度繰り返し行っても、重
合器内液相部への重合体スケール付着は生じない。また
水溶性触媒を使用した場合においても同様に液相部での
重合体スケール付着は防止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、重合器内の上
層部に位置する気相部と液相部との界面付近には重合体
スケールが付着するという欠点がある。
【0008】気相部と液相部との界面付近に一旦重合体
スケールが付着すると、重合を繰り返していくにしたが
って付着した重合体スケールが徐々に成長していき、つ
いには剥離して、重合体中に混入することがある。この
ように重合体スケールが重合体中に混入すると、その重
合体をシート等の成形物に加工した場合、得られる成形
物に多くのフィッシュアイが発生し、成形物の品質が著
しく低下してしまうことになる。
【0009】また、重合により得られる重合体をシート
等の成形物に加工した場合、得られる成形物には高い白
色性が求められる。即ち、重合体を着色剤を何ら添加せ
ずにシート等に成形しても、得られる成形物は多少着色
される。この着色は初期着色と称され、できる限り少な
いことが望まれる。ところが、前記の芳香族アミン化合
物の縮合生成物からなる塗膜が剥離ないしは溶解して重
合体に混入することがあるため、成形物の白色度が低
下、即ち初期着色性が悪化する。
【0010】従って、本発明の課題は、エチレン性不飽
和二重結合を有する単量体を重合する際に、重合器内の
液相部ばかりでなく気相部と液相部との界面付近におい
ても効果的に重合体スケールの付着を防止することがで
きる上、シート等に成形した場合、フィッシュアイが極
めて少なく、かつ、初期着色性が良好である成形物が得
られる重合体を製造することができる重合体スケール付
着防止剤、該防止剤を利用する重合器及び重合体の製造
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A) アミノ基
を少なくとも2個有する芳香族アミン化合物と、(B) 芳
香族テトラカルボン酸無水物との縮合生成物を含有する
アルカリ性溶液からなる、エチレン性不飽和二重結合を
有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤を提
供する。
【0012】また、本発明は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体の重合器内における重合により重合体
を製造する方法であって、内壁面に、(A) アミノ基を少
なくとも2個有する芳香族アミン化合物と、(B) 芳香族
テトラカルボン酸無水物との縮合生成物を含有するアル
カリ性溶液を塗布し、乾燥して形成された塗膜を有する
重合器内で、前記重合を行う工程を有し、これにより重
合体スケールの付着が防止される製造方法を提供する。
【0013】本発明の重合体スケール付着防止剤の必須
成分である前記の縮合生成物は、 (A)アミノ基を少なく
とも2個有する芳香族アミン化合物と (B)芳香族テトラ
カルボン酸無水物とを縮合することにより得られる化合
物である。以下、原料及び合成について説明する。
【0014】(A) アミノ基を少なくとも2個有する芳香
族アミン化合物 (A) 成分は、アミノ基を少なくとも2個有する芳香族ア
ミン化合物であり、例えば、下記のような一般式(1) 〜
(13)で表される化合物である。
【0015】
【化1】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、それぞ
れ-H、 -NH2 、-Cl 、 -OH、 -NO2 、 -COCH3 、-OC
H3 、 -N(CH3 ) 2 、-COOH 、 -SO3 H 及び炭素原子数
1〜3のアルキル基からなる群から選ばれる基であ
る。)
【0016】具体的には、o-, m-及びp-ジアミノベンゼ
ン、3,4-及び3,5-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノベン
ゼンスルホン酸、3,4-ジアミノクロロベンゼン、3,4-ジ
アミノフェノール、1,2-ジアミノ-4- ニトロベンゼン、
2,4-ジアミノ-1- ニトロベンゼン、2,4-,2,5- 及び2,6-
ジアミノトルエン、2,5-及び2,6-ジアミノ-m- キシレ
ン、2,5-及び2,6-ジアミノ-p- キシレン等が例示され
る。
【0017】
【化2】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、複数のR2 は同一でも異なってもよく、
炭素原子数1〜10のアミノ基含有アルキル基である。)
【0018】具体的には、2,4-ビス (β- アミノ-t- ブ
チル) トルエン、p-ビス(2- メチル-4- アミノペンチ
ル) ベンゼン、p-ビス(1,1- ジメチル-5- アミノペンチ
ル) ベンゼン等が例示される。
【0019】
【化3】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nは1〜2の整数である。)
【0020】具体的には、4,4'- ジアミノ-3,3'-ビフェ
ニルジオール、3,3'- ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニ
ル、3,3'- ジメトキシ-4,4'-ジアミノビフェニル、4,4'
- ジアミノビフェニル等が例示される。
【0021】
【化4】 〔式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりであり、Xは炭素原子
数1〜5の2価のアルキレン基、-CH=CH- 、-N=N- 、-N
H-、 -N(CH3 )-、-CONH-、-P(=O)H-、 -SO2 - 、-O- 、
-S- 、-Si(R)2 -(ここで、R は炭素原子数1〜10のアル
キル基である。) 、及び式:
【化5】 で表される基からなる群から選ばれる基である。〕
【0022】具体的には、2,4-ジアミノアゾベンゼン、
4,4'- ジアミノジフェニルエーテル、4,4'- ジアミノジ
フェニルアミン、4,4'- ジアミノジフェニルメタン、3,
3'-及び4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,4'- ジ
アミノベンズアニリド、4,4'- ジアミノスチルベン、4,
4'- ジアミノスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、9,10-ビ
ス(4- アミノフェニル) アントラセン、4,4'- ジアミノ
ジフェニルサルファイド、4,4'- ジアミノジフェニルプ
ロパン、ビス(4- アミノフェニル) ジエチルシラン、ビ
ス(4- アミノフェニル) ホスフィンオキシド、ビス(4-
アミノフェニル)-N-メチルアミン等が例示される。
【0023】
【化6】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0024】具体的には、1,5-及び1,8-ジアミノナフタ
レン等が例示される。
【0025】
【化7】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0026】具体的には、1,4-及び1,5-ジアミノアント
ラセン等が例示される。
【0027】
【化8】 (各式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、nも前記のとおりである。)
【0028】具体的には、1,6-,1,8-,3,5-及び5,10- ジ
アミノピレン等が例示される。
【0029】
【化9】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりである。)
【0030】具体的には、2,3-,3,4- 及び2,6-ジアミノ
ピリジン等が例示される。
【0031】
【化10】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0032】具体的には、3,6-ジアミノアクリジン等が
例示される。
【0033】
【化11】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0034】具体的には、1,2-,1,4- 及び2,6-ジアミノ
アントラキノン等が例示される。
【0035】
【化12】 (式中、複数のR1 は同一でも異なってもよく、前記の
とおりであり、nも前記のとおりである。)
【0036】具体的には、2,3-及び2,7-ジアミノフルオ
レン等が例示される。
【0037】上記のアミノ基を少なくとも2個有する芳
香族アミン化合物の中で好ましいものは、4,4'- ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4'- ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,4'- ジアミ
ノベンズアニリド、4,4'- ジアミノジフェニルサルファ
イド、4,4'- ジアミノジフェニルプロパン、p-ジアミノ
ベンゼン、3,3'- ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニル、
4,4'- ジアミノジフェニルアミン、4,4'- ジアミノ-3,
3'-ビフェニルジオール、3,5-ジアミノ安息香酸、2,5-
ジアミノベンゼンスルホン酸、4,4'- ジアミノスチルベ
ン-2,2'-ジスルホン酸である。特に好ましいものは、4,
4'- ジアミノジフェニルメタン、4,4'- ジアミノジフェ
ニルエーテル、4,4'- ジアミノジフェニルスルホン、4,
4'- ジアミノベンズアニリド、4,4'- ジアミノジフェニ
ルサルファイド、3,5-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ
ベンゼンスルホン酸及び4,4'- ジアミノスチルベン-2,
2'-ジスルホン酸である。
【0038】上記のアミノ基を少なくとも2個有する芳
香族アミン化合物は、単独でも2種以上を組み合わせて
も使用可能である。
【0039】(B) 芳香族テトラカルボン酸無水物 芳香族テトラカルボン酸無水物(B) としては、例えば、
ピロメリット酸無水物、2,2'- ビス(3,4- ジカルボキシ
フェニル)プロパン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフェ
ニル)スルホン二酸無水物、3,4,3',4'-ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物、3,4,9,10- ペリレンテトラカル
ボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)エーテル
二酸無水物、2,3,2',3'-ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物、3,4,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二
無水物、2,3,4,5-チオフェノンテトラカルボン酸二無水
物、2,6,2',6'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等
が挙げられる。これらの中で好ましいものは、ピロメリ
ット酸無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,4,3',4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
及び、2,6,2',6'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
である。
【0040】上記の芳香族テトラカルボン酸無水物は、
単独でも2種以上を組み合わせても使用可能である。
【0041】縮合生成物 本発明の重合体スケールの有効成分である、前記アミノ
基を少なくとも2個有する芳香族アミン化合物(A) と芳
香族テトラカルボン酸無水物(B) との縮合生成物は、
(A) 成分及び(B) 成分を、適当な有機溶媒系媒体中、通
常、室温〜100 ℃で 0.5〜300 時間、好ましくは、室温
〜50℃で1〜100 時間反応することにより製造すること
ができる。
【0042】縮合反応の媒体としては、一般に、有機溶
媒を使用する。有機溶媒としては、、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-ブタノ
ール、2-メチル-1- プロパノール、2-メチル-2- プロパ
ノール、3-メチル-1- ブタノール、2-メチル-2- ブタノ
ール、2-ペンタノール等のアルコール系溶媒;例えば、
アセトン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン等のケトン系溶媒;例えば、ギ酸メチ
ル、ギ酸エチル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等のエ
ステル系溶媒;例えば、4-メチルジオキソラン、ジエチ
ルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等の
エーテル系溶媒;例えば、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチ
レン等の塩素化物系溶媒;例えば、n-ヘプタン、n-ヘキ
サン等の炭化水素系溶媒;例えば、テトラヒドロフラン
等のフラン類;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセト
アミド;ジメチルスルホキシド;ジメチルスルホン;ア
セトニトリル;ピリジン;N-メチルピロリドン;m-クレ
ゾール等の溶媒が例示される。これらは、適宜単独で又
は2種以上の混合溶媒として使用される。
【0043】縮合反応を行う際のアミノ基を少なくとも
2個有する芳香族アミン化合物(A)と芳香族テトラカル
ボン酸無水物(B) の割合は、使用するアミノ基を少なく
とも2個有する芳香族アミン化合物、芳香族テトラカル
ボン酸無水物及び溶媒の種類、反応温度、反応時間等に
影響されるが、通常、アミノ基を少なくとも2個有する
芳香族アミン化合物(A) 1重量部当り、芳香族テトラカ
ルボン酸無水物(B) を0.01〜5重量部とするのが好まし
く、更に、 0.1〜3重量部とするのが好ましい。芳香族
テトラカルボン酸無水物(B) が多すぎても少なすぎて
も、得られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効果
が低下する。
【0044】縮合反応終了後、生成した縮合生成物が析
出している場合には、そのまま該縮合生成物を濾別すれ
ばよい。また、生成した縮合生成物が溶解している場合
には、例えば、水等の貧溶媒中に滴下して該縮合生成物
を析出させ、該縮合生成物を濾別すればよい。
【0045】(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物を含有
するアルカリ性溶液からなる重合体スケール付着防止剤 本発明の重合体スケール付着防止剤は、上記(A) 成分と
(B) 成分との縮合生成物を含有するアルカリ性溶液から
なる。前記重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面な
どに塗布し、乾燥して塗膜を形成することにより重合器
内壁面などへの重合体スケールの付着を防止することが
できる。
【0046】本発明の重合体スケール付着防止剤は、例
えば、上記の(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物を適当
な水性溶媒に混合・分散した後、得られた混合物をアル
カリ性に調節して均一な溶液とすることにより調製され
る。
【0047】本発明の重合体スケール付着防止剤はアル
カリ性であることから、(A) 成分と(B) 成分との縮合生
成物の水性媒体に対する溶解性が向上し、均一な溶液と
して重合体スケール付着防止剤が得られる。従って、本
発明の重合体スケール付着防止剤を重合器内壁などに塗
布する際、均一に塗布することができるので、重合体ス
ケール付着防止効果が向上するものと推定される。
【0048】重合体スケール付着防止剤の調製に使用す
る水性溶媒としては、水及び水と混和性を有する有機溶
媒と水との混合溶媒が挙げられる。水と混和性を有する
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、
プロパノール等のアルコール類;例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類;例えば、酢酸メチル、
酢酸エチル等のエステル類が例示される。水と混和性を
有する有機溶媒と水との混合溶媒を使用する場合の有機
溶媒の含有量は、引火、爆発等の危険が少なく、毒性等
の取扱い上の安全に問題がない量とするのが好ましく、
具体的には、有機溶媒が50重量%以下であることが好ま
しく、更に、30重量%以下であることが好ましい。
【0049】重合体スケール付着防止剤のpHはアルカリ
性であり、好ましくは、 7.5〜13.5であり、更に好まし
くは、 9.5〜12.5である。重合体スケール付着防止剤の
pHを調整するアルカリ性化合物としては、例えば、LiO
H、NaOH、KOH 、Na2 CO3 、Na2 SiO 3 、Na2 HPO 4 、N
H4 OH等のアルカリ金属化合物及びアンモニウム化合
物、並びに、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン
等の有機アミン化合物が例示される。
【0050】重合体スケール付着防止剤中の (A)成分と
(B)成分との縮合生成物の濃度は、後記の総塗布量が得
られる限り特に制限されないが、通常 0.005〜10重量%
であり、好ましくは0.01〜5重量%である。
【0051】また、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合体スケール付着防止効果を害しない限り、カチ
オン性、ノニオン性及びアニオン性の界面活性剤等を添
加することができる。更に、必要に応じて、カチオン性
高分子化合物、アニオン性高分子化合物、両性高分子化
合物等の水溶性高分子化合物を添加することができる。
【0052】カチオン性高分子化合物としては、例え
ば、ポリビニルアミン、ポリエチレンアミン、ポリエチ
レンイミン、ポリアクリルアミド、N−ビニル−2−ピ
ロリドン−アクリルアミド共重合体、ジメチルジアミル
アンモニウムクロライドの環化重合体、ジメチルジエチ
ルアンモニウムブロマイドの環化重合体、ジアリルアミ
ン塩酸塩の環化重合体、ジメチルジアリルアンモニウム
クロライドと二酸化イオウとの環化共重合体、ポリビニ
ルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルイミダゾリン、ポリジメチルアミノ
エチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタク
リレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポ
リジエチルアミノエチルメタクリレート等の側鎖に窒素
原子を有し、その窒素原子が正の荷電を帯びたカチオン
性高分子電解質等が挙げられる。
【0053】アニオン性高分子化合物としては、例え
ば、ポリアクリルアミドのスルホメチル化物;ポリアク
リル酸;アルギン酸、アクリルアミド−ビニルスルホン
酸共重合体、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン
酸等、並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム
塩;カルボキシメチルセルロースのような側鎖にカルボ
キシル基又はスルホン酸基を有するアニオン性高分子化
合物が挙げられる。
【0054】両性高分子化合物としては、例えば、にか
わ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等の両性高分子化
合物が挙げられる。
【0055】更に、本発明の重合体スケール付着防止剤
には、その重合体スケール付着防止作用を害しない限
り、無機化合物を適宜必要に応じて添加することもでき
る。添加できる無機化合物としては、例えば、オルトケ
イ酸、メタケイ酸、メソ二ケイ酸、メソ三ケイ酸、メソ
四ケイ酸、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリ
ウム、二ケイ酸ナトリウム、四ケイ酸ナトリウム、水ガ
ラス等のケイ酸類及びケイ酸塩;例えば、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛
等の亜鉛族金属、アルミニウム等のアルミニウム族金
属、白金等の白金族金属から選択される金属の酸素酸
塩、酢酸塩、硝酸塩、水酸化物及びハロゲン化物等の金
属塩;例えば、水酸化第二鉄コロイド、ケイ酸コロイ
ド、硫酸バリウムコロイド、水酸化アルミニウムコロイ
ド等の無機コロイドが例示される。上記の無機コロイド
は、例えば、機械的粉砕、超音波の照射、電気的分散及
び化学的方法によって調製されたものでよい。
【0056】塗膜の形成 上記のようにして調製される重合体スケール付着防止剤
を用いて重合器内壁面に塗膜を形成するには、まず、重
合体スケール付着防止剤を重合器内壁面に塗布し、次い
で、例えば室温から 100℃までの温度範囲で充分に乾燥
させた後、さらに必要に応じて水洗する。
【0057】また、前記重合体スケール付着防止剤は、
重合器内壁面だけでなく、重合中に単量体が接触する他
の部位にも塗布することが好ましい。例えば、攪拌翼、
攪拌軸、バッフル、コンデンサ、ヘッダ、サーチコイ
ル、ボルト、ナット等が挙げられる。
【0058】更に好ましくは、前記重合体スケール付着
防止剤は重合中に単量体が接触する部位以外であって
も、重合体スケールが付着する恐れのある部位、例えば
未反応単量体の回収系統の機器及び配管の内面等には、
前記塗膜を形成した方がよい。具体的には、モノマー蒸
留塔、コンデンサ、モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内
面が挙げられる。
【0059】なお、重合体スケール付着防止剤を重合器
内壁面に塗布する方法は、特に限定されず、例えばハケ
塗り、スプレー塗布、重合体スケール付着防止剤で重合
器を満たした後に抜き出す方法等を始めとして、そのほ
か特開昭57−61001 号、同55−36288 号、特公表昭56−
501116号、同56−501117号、特開昭59−11303 号等に記
載の自動塗布方法を用いることもできる。
【0060】また、重合体スケール付着防止剤が塗布さ
れたことにより、濡れた状態の表面を乾燥する方法も限
定されることはなく、例えば次のような方法を使用する
ことができる。すなわち、重合体スケール付着防止剤の
塗布後、適当に昇温した温風を塗布面に当てる方法、あ
るいは重合体スケール付着防止剤を塗布すべき重合器内
壁面及びその他の表面を予め、例えば30〜80℃に加熱し
ておき、その加熱した表面に重合体スケール付着防止剤
を直接塗布する方法等を使用することができる。そして
塗布面の乾燥後は、その塗布面を必要に応じて水洗す
る。
【0061】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001〜5g/m2 であり、特に0.
05〜2g/m2 であることが好ましい。
【0062】以上の塗布作業は、1〜10数バッチの重合
ごとに行えばよい。形成された塗膜は高い耐久性を有
し、重合体スケールの付着防止作用が持続するので、必
ずしも1バッチの重合ごとに行う必要はない。このた
め、製品重合体の生産性が向上する。
【0063】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有する単量
体及び重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等
の重合媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、ア
ニオン性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法に
より重合を行う。
【0064】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、
塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;例えば、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル
酸、メタクリル酸、並びにこれらのエステル及び塩;マ
レイン酸、フマル酸、並びにこれらのエステル及び無水
物;例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等
のジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ハロ
ゲン化ビニリデン;ビニルエーテル等が例示される。こ
れらは1種単独で、又は2種以上の組合せで用いられ
る。
【0065】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。
【0066】以下、懸濁重合及び乳化重合の場合を例に
挙げて、一般的な重合方法を具体的に説明する。まず、
水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を
仕込む。次に、重合器内を排気して 0.1〜760 mmHgに減
圧した後、単量体を仕込み(この時、重合器の内圧は、
通常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる)、その後、30〜150
℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、
水、分散剤及び重合開始剤の一種又は二種以上を添加す
る。また、重合時の反応温度は、重合される単量体の種
類によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合に
は30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50
〜150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備
されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温
度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち重合
反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断さ
れる。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開始剤
は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500 重量
部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部
である。
【0067】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重合につ
いての重合条件と同様である。
【0068】塊状重合の場合には、重合器内を約0.01〜
760 mmHgの圧力に排気した後、その重合器内に単量体及
び重合開始剤を仕込み、−10〜250 ℃の反応温度で重合
する。例えば、塩化ビニルの重合の場合には30〜80℃
で、スチレンの重合の場合には50〜150 ℃で実施され
る。
【0069】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等で重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0070】また、重合系に添加されるものは、何ら制
約なく使用することができる。すなわち、例えば、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチル
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、 3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイト、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシ
ジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、 2,4−ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−ア
ゾビス− 2,4−ジメチルバレロニトリル、ベルオキソ二
硫酸カリウム、ベルオキソ二硫酸アンモニウム、p−メ
ンタンハイドロパーオキサイド等の重合開始剤;例え
ば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、酢酸ビニルと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼ
ラチン等の天然、合成高分子化合物等の懸濁剤;例え
ば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の固体
分散剤;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタ
ントリオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
等のノニオン性乳化剤;例えば、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;例えば、炭酸
カルシウム、酸化チタン等の充填剤;例えば、三塩基性
硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチル錫ジラウレ
ート、ジオクチル錫メルカプチド等の安定剤;例えば、
ライスワックス、ステアリン酸、セチルアルコール等の
滑剤;例えば、DDP、DBP等の可塑剤;例えば、t
−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、トリクロ
ロエチレン等の連鎖移動剤;pH調節剤等が存在する重
合系においても、本発明の方法は重合体スケールの付着
を効果的に防止することができる。
【0071】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによって重合体スケ
ール付着防止効果を向上させることもできる。その場
合、重合体スケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる
単量体全重量に対して約10〜1000 ppm程度が適当であ
る。添加に際しては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分
布等の製品重合体の品質に影響を与えないように配慮す
る。
【0072】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明する。尚、以下の各表において*印を付した実
験No. は比較例であり、それ以外の実験No. は本発明の
実施例である。
【0073】製造例1 縮合生成物No.1の製造 4,4'- ジアミノジフェニルメタン 0.3モルにアセトンを
添加して、室温で攪拌して溶解した。また、ピロメリッ
ト酸無水物 0.3モルにアセトンを添加して、室温で攪拌
して溶解した。得られた4,4'- ジアミノジフェニルメタ
ンのアセトン溶液及びピロメリット酸無水物のアセトン
溶液を、3リットルの耐圧反応器に仕込み、混合した。
得られた混合液を室温 (20〜30℃) で10時間反応させ
た。反応終了後、析出した縮合生成物を濾別して、室温
で減圧乾燥した。こうして得られた縮合生成物を縮合生
成物No.1とした。
【0074】縮合生成物No.2〜14の製造 各製造において、表1に示したアミノ基を少なくとも2
個有する芳香族アミン化合物(A) 及び芳香族テトラカル
ボン酸無水物(B) 並びに表2に示した溶媒を用いて、縮
合生成物No.1と同様の方法で縮合生成物を製造した。表
2には、各製造における(A)+(B) 合計モル数、(A):(B)
比、反応温度及び反応時間を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】実施例1(実験No.101〜115) 内容積1000リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。
【0078】各実験において、表3に示した条件(溶媒
組成、縮合生成物濃度及びpH)になるように、表3に示
した縮合生成物、溶媒及びアルカリ性化合物を用いて重
合体スケール付着防止剤を調製した。各実験において、
上記のようにして調製した重合体スケール付着防止剤を
重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体
が接触する部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して
塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0079】その後、各実験において、上記のように塗
布処理して塗膜が形成された重合器中に、水 400kg、塩
化ビニル 200kg、部分ケン化ポリビニルアルコール 250
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース25g及び 3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド70gを仕
込み、攪拌しながら66℃で6時間重合した。重合終了
後、生成した重合体及び未反応単量体を回収し、重合器
内を水洗して残存樹脂を除去した。
【0080】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表4に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部の重合体スケール付着量、及び気相部
と液相部との界面付近のスケール付着量を各実験につい
て下記の方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0081】・重合体スケールの測定 重合器内壁の所定箇所の10×10cmの区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落とし、天秤で計量した。計量値を 1
00倍して1m2 当たりのスケール付着量を求めた。
【0082】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合のフィッシュアイの個数を、下記の方法で
測定した。その結果を表4に示す。
【0083】・フィッシュアイの測定 得られた重合体 100重量部、ジオクチルフタレート(DO
P )50重量部、ジブチル錫ジラウレート1重量部、セチ
ルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カーボ
ンブラック0.05重量部の配合割合で調製した混合物を6
インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚さ
0.2mmのシートに成形し、得られたシート 100cm2 当た
りに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調
べた。
【0084】更に、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表4に示
す。
【0085】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
−101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5
重量部及び可塑剤としてジオクチルフタレート50重量部
を2本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した後、
厚さ1mmのシートを成形する。次に成形したシートを4
×4×1.5cm の型枠に入れ、 160℃、65〜70kgf/cm2
0.2時間加熱、加圧成形して測定用試料を作成する。こ
の試料について、JIS Z 8730(1980)に記載のハンターの
色差式における明度指数Lを求め、L値が大きい程白色
度が高い、即ち初期着色性が良好であると評価した。
【0086】L値は次のようにして求める。JIS Z 8722
の記載に従って、標準光C、光電色彩計(日本電色工業
株式会社製、Z-1001DP型測色色差計)を用い、刺激値直
読方法により、XYZ 表色系の刺激値Yを求める。照明及
び受光の幾何学的条件としては、JIS Z 8722の4.3.1 項
に記載の条件dを採用した。求められた刺激値Yから、
JIS Z 8730(1980)に記載の式:L=10Y1/2 により、L
値が算出される。
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】実施例2(実験No.201〜210) 内容積20リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を使用
して次のようにして重合を行った。
【0090】各実験において、表5に示した条件(溶媒
組成、縮合生成物濃度及びpH)になるように、表5に示
した縮合生成物、溶媒及びアルカリ性化合物を用いて重
合体スケール付着防止剤を調製した。各実験において、
上記のようにして調製した重合体スケール付着防止剤を
重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体
が接触する部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して
塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0091】次に、各実験において、上記のように塗布
処理して塗膜が形成された重合器中に、水9kg、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム 225g、t−ドデシル
メルカプタン12g及びペルオキソ二硫酸カリウム13gを
仕込み、重合器内を窒素ガス置換した後、スチレン 1.3
kg及びブタジエン 3.8kgを仕込んで50℃で20時間重合さ
せた。重合終了後、生成した重合体及び未反応単量体を
回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去した。
【0092】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表6に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部の重合体スケール付着量、及び気相部
と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を各実験
について実施例1と同様の方法で求めた。その結果を表
6に示す。
【0093】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表6に示
す。
【0094】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体ラテックス1kgに2%硫酸マグネシウム
溶液を1kgを加え、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別
する。濾別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄
した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥して樹脂
を得た。得られた樹脂を9×9cm、厚さ 0.1cmの型枠に
入れ、 195℃、50〜60kgf/cm2で 0.2時間加熱し、最終
圧力80kgf/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製した。
この試料について、実施例1と同様にして明度指数Lを
求めた。
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部と液相部との界面付近においても効果的
に重合体スケールの付着を防止することができる。従っ
て、本発明を適用して重合を行った場合には、重合体ス
ケールの除去作業を、重合ごとに行う必要がなく、それ
によって生産性が向上する。また、本発明を適用して重
合を行った場合に得られる重合体をシート等に成形した
場合、フィッシュアイが極めて少ない成形物を得ること
ができる。更に、上記成形物は、初期着色性が良好であ
る。具体的には、JIS Z 8730(1980)に記載のハンター色
差式における明度指数 (L値) が、例えば、塩化ビニル
重合体の場合には70以上、SBRの場合には80以上であ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) アミノ基を少なくとも2個有する芳香
    族アミン化合物と、 (B) 芳香族テトラカルボン酸無水物との縮合生成物を含
    有するアルカリ性溶液からなる、エチレン性不飽和二重
    結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
    剤。
  2. 【請求項2】 エチレン性不飽和二重結合を有する単量
    体の重合器内における重合による重合体の製造方法であ
    って、内壁面に、 (A) アミノ基を少なくとも2個有する芳香族アミン化合
    物と、 (B) 芳香族テトラカルボン酸無水物との縮合生成物を含
    有するアルカリ性溶液を塗布し、乾燥して形成された塗
    膜を有する重合器内で、前記重合を行う工程を有し、こ
    れにより重合体スケールの付着が防止される製造方法。
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