JP2721024B2 - 金属洗浄液の分析方法及び装置 - Google Patents

金属洗浄液の分析方法及び装置

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JP2721024B2 JP2052497A JP5249790A JP2721024B2 JP 2721024 B2 JP2721024 B2 JP 2721024B2 JP 2052497 A JP2052497 A JP 2052497A JP 5249790 A JP5249790 A JP 5249790A JP 2721024 B2 JP2721024 B2 JP 2721024B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、金属洗浄液を分析するための方法と装置に
関し、特に、特殊鋼の製造の際の酸洗浄工程(以下、
「連続溶出ライン」ともいう)において生じ、かつ混合
金属イオンを含む洗浄液に反応試薬を加えることにより
化学反応を進め、該反応に伴う吸熱ないし発熱現象によ
る温度変化の情報と、反応に伴う生成物のイオン解離特
性を示す電気伝導度変化の情報との2量を同時に測定
し、該測定値を連続的にコンピューターに取り込んで演
算処理を行うことで、連続溶出ラインにおける金属洗浄
液中の多種の溶解金属のイオン状態を分析するための方
法と装置に関する。この連続溶出ライン系は自動的に操
作、制御される。連続溶出ラインは硝酸、フッ酸などの
酸が用いられ、処理される鋼材より複数の金属イオンが
溶出する。
従来の技術 近年の特殊鋼等の製造系統における金属洗浄液の監視
システムには、この金属洗浄液の浴組成の管理を必要と
する場合が多い。そのために数々の分析手法が取り入れ
られており、一般的にpHメーター、電気伝導度計、電位
差滴定計、蛍光X線法による簡易モニター計など数多く
利用されている。なかでも、蛍光X線法と酸化還元滴定
を用いた遊離酸、金属類の分別定量法による浴組成管理
とが実用化されている。
ところで、これらの方法は、多種の金属の濃度を精度
よく測定することはできるが、各金属のイオン状態を決
定することはできない。また、遊離酸量および全酸量を
測定することはできるが、その場合はオフラインでモデ
ル液との比較によって求める必要があり、極めて煩雑で
ある。さらに、蛍光X線法によって多種の溶解金属イオ
ンの分析を行うには設備費が高価になる欠点があり、X
線取り扱いに関する責任者を置く必要も生じる。このよ
うに公知の方法には多くの問題があり、産業界では金属
洗浄液に混合した遊離酸根および溶解金属イオンの定量
を行うに際し、操作および管理が容易で、自動的、連続
的かつ正確に行うことができる分析の方法と装置が切望
されていた。
本発明者は、上記課題に鑑みて、先に特開昭62−2144
号公報に温度滴定の方法及び装置を提案した。この方法
は、連続的に流れている金属洗浄液をある設定量だけ採
取し、この採取された液中に反応試薬を連続的に所定量
注入添加し、液中に含まれる多種の元素イオンの中和
熱、希釈熱等による熱的変化の速度と量的な大きさとを
温度滴定によって同時に測定し、かつ得られたデータに
演算を加えて各イオンの反応の終了点を決定すること
で、イオン連続溶出ライン系における金属洗浄液中の多
種の溶解金属のイオン状態を分析するものである。
発明が解決しようとする課題 しかし、この方法では、分析操作のための金属洗浄液
のサンプルを希釈操作する際の希釈液の温度や、滴定用
の反応試薬である注入アルカリの液温度に差があると、
硝酸根とフッ酸根への移行分別変化点が不明確になり、
さらに注入した反応試薬の温度が高いと検出が不能にな
る場合があり、毎回の分析値の再現性の安定性に欠けて
いた。また反応試薬としてのアルカリ液の温度と希釈液
の温度とが等しければ、反応の終了点は平衡値を示す
が、通常は両液の温度を同一に保つことが難しく、全酸
根の定量検出点の判定の安定性に欠けるところがあっ
た。
本発明の目的は、熱的解析の基本原理である温度滴定
法と、電気滴定法の一種であってイオン解離性を示す電
気伝導度変化法とをともに応用し、測定設備の管理の複
雑さがなく、被測定溶液である金属洗浄液の持つ共存物
質の干渉効果等の問題に影響されることのない分析方法
及び装置を提供することにある。
課題を解決するための手段 上記目的を達成するため本発明の方法は、一つの反応
試薬に対する温度変化および電気伝導度変化がそれぞれ
互いに異なる既知の溶存物質を複数種類含む金属洗浄液
に該反応試薬を用いて温度滴定と反応生成物のイオン解
離変化を分析する方法であって、上記反応試薬にて上記
溶存物質の滴定を行うに際し、前記反応試薬を前記金属
洗浄液に定量ずつ注入し、互いに一体化された示差温度
測定センサーと電気伝導度測定センサーとを用いて示差
温度曲線と電気伝導度曲線とを実質的に同時にとり、示
差温度曲線上の最大ピーク点を遊離酸の総合的な当量点
と判断し、電気伝導度曲線上のピーク点を各溶存物質の
当量点と判断してこのピーク点から物質種を同定すると
ともに、最後のピーク点を反応の終了点とみなし、前記
示差温度曲線上の最大ピーク点と電気伝導度曲線上のピ
ーク点とのうちの相隣接する任意の二つのピーク点どう
しの間の時間からそれぞれの物質の量を求め、かくして
前記金属洗浄液中に溶存する前記既知の物質の種別とそ
れぞれの物質に対応する濃度とを分析するものである。
また本発明の装置は、一つの反応試薬に対する温度変
化および電気伝導度変化がそれぞれ互いに異なる既知の
溶存物質を複数種類含む金属洗浄液に該反応試薬を用い
て温度滴定と反応生成物のイオン解離変化を分析するた
めの、金属洗浄液の分析装置であって、 所定量の前記金属洗浄液を反応槽に導くための手段
と、 予め調整された前記反応試薬を任意の時間間隔で前記
反応槽に定量ずつ注入して金属洗浄液に添加する定量注
入ポンプと、 この反応槽内で前記金属洗浄液と反応試薬液とを混合
する手段と、 反応槽中で反応した液の示差温度の変化を測定して示
差温度曲線を求めるための示差温度測定センサーと、 前記示差温度測定センサーと互いに一体化された構成
であるとともに、反応槽中で反応した液の電気伝導度の
変化を測定して電気伝導度曲線を求めるための電気伝導
度測定センサーと、 前記示差温度曲線上の最大ピーク点を遊離酸の総合的
な当量点と判断する手段と、 前記電気伝導度曲線上のピーク点を各溶存物質の当量
点と判断してこのピーク点から物質種を同定するととも
に、最後のピーク点を反応の終了点とみなす手段と、 前記示差温度曲線上の最大ピーク点と電気伝導度曲線
上のピーク点とのうちの相隣接する任意の二つのピーク
点どうしの間の時間からそれぞれの物質の量を求める手
段と、 を備えたものである。
本発明の基本思想である温度変化と電気伝導度変化と
を第1図により説明する。
金属洗浄液と反応試薬との反応液すなわち試料溶液24
の温度変化に関し、反応槽1では滴定時間が短く、かつ
断熱系に保たれているため、反応熱以外の熱の出入りは
ほとんど考慮する必要がない。第1図の一対の感熱抵抗
素子2、3は、後述する示差温度を測定するための示差
温度測定センサーであり、滴定する際に、溶解イオンの
化学反応による温度変化を高感度で検出できるように、
熱応答速度に差を有した構成とされている。この感熱抵
抗素子2及び3からなる示差温度測定センサーでは、反
応槽1の中で一定の短時間(数10msec程度の時間)内に
化学反応で生じた吸熱あるいは発熱による指示温度の
差、ΔT=T1−T2(T1……熱応答速度の速い感熱抵抗素
子の温度指示値、T2……熱応答速度の遅い感熱抵抗素子
の温度指示値)が検出される。以下、この温度差を「示
差温度」と称する。このような検出方法を用いること
で、温度変化曲線は見掛け上、一次微分曲線となる。以
下、この温度差の検出方法を「示差法」と称す。この示
差法による温度変化曲線(以下、「示差温度曲線」と称
する)は、非常に微小な温度変化にも鋭敏に応答する。
この示差法において温度によって引き起こされる電気抵
抗の変化は非常に微小であるため、信号は直流安定化電
源6が内蔵されたブリッジ回路7の不平衡化で電流に変
換され、増幅回路8を経てdE/dtの電圧勾配(dE:電圧変
化量、dt:微小時間)の信号に変換され、検出器切替回
路11、切替用信号発生部12およびA/D変換回路13を経て
コンピューター14に取り込まれ、演算、制御の対象とさ
れる。
一方、電気伝導度の変化曲線は、溶液中の電気伝導度
の経時変化から求められ、この電気伝導度は、一対の電
極を有した電気伝導度測定センサー4によって検出され
る。以下、この変化曲線を「電気伝導度曲線」と称す
る。
この電気伝導度測定センサー4は、第2図〜第4図に
詳細に示される。21は支持体で、緩衝性を有するととも
に化学的に安定な樹脂によって円柱状に形成されてい
る。22は一対の電極で、支持体21を縦方向に貫通すると
ともに、その先端部が支持体21から外方へ突出してい
る。これら一対の電極22は互いに一定距離をおいて設置
された白金電極にて構成され、かつ長径aと短径bとの
比がa:b=0.5:1.0〜0.8:1.0となるような横断面楕円
形、あるいは横断面円形に形成されている。この横断面
形状は、支持体21の部分から電極22の先端までにわたっ
て一様に形成されている。
反応槽1の内部には撹拌装置23が設けられて、試料溶
液24を撹拌する。撹拌操作の際に生じる気泡や滴定反応
によって生じる生成浮遊物が電極22の表面に付着する
と、電極表面積が変化し、電気伝導度の指示値のばらつ
きやノイズの形で測定結果に影響を及ぼす。電極表面へ
の異物の付着を防止するためには、強い撹拌を行えばよ
いのであるが、強い撹拌にすると、試料溶液24の中への
気泡の巻込みが増えて、安定した測定データが得にく
い。これに対し、第2図〜第4図に示したような楕円形
の横断面形状とすることで、弱い撹拌でも電極22の表面
への異物の付着が防止される。
第2図および第3図に示すように、示差温度測定セン
サーを構成する感熱抵抗素子2,3は、電気伝導度測定セ
ンサー4と一体化されている。図示のように感熱抵抗素
子2,3を支持体21の中に収納することで、反応槽1の中
での同一条件下での測定値を実質的な時間ずれを伴なう
ことなしに得ることができる。この結果、データ解析の
ずれか少なくなって、正確を期することができる。感熱
抵抗素子2,3も、電極22と同様に横断面を楕円形とされ
て、測定値に安定度を増すようにされている。
第2図〜第4図に示された横断面楕円形の電極(複
数)によれば、広く一般的に、滴定反応槽内に電極を設
置し、試料液に含有される物質に応じ、滴定用の反応試
薬の種類によって反応槽内に不溶性分散物を生成する系
において、その生成物が電極面に付着しやすい場合に、
この付着を防止するうえで有用である。
このような特殊形状の電極22を用いることで得られた
信号は、電気伝導度変化を電圧変化として捕らえるため
電気伝導度測定用の交流電流(6a)が内蔵されたブリッ
ジ回路9の不平衡化で電流に変換され、増幅回路10を経
てdE/dtの電圧勾配(dE:電圧変化量、dt:微小時間)の
信号に変化され、検出器切替回路11、切替用の信号発生
部12およびA/D変換回路13を経てコンピューター14に取
り込まれ、演算、制御される。このようにして滴定開始
から反応槽1の化学反応が終了し、滴定終了までの電気
伝導度変化が連続的に検出され、滴定中全体の電気伝導
度曲線が得られる。この方式は電気滴定の一種であり、
以下、本方式を「電気伝導度変化法」という。
このようにして示差法及び電気伝導度変化法で得たそ
れぞれの変化曲線は時系列的にコンピューター14に蓄え
られ、演算され、両変化曲線の解析が行なわれ、化学反
応を起こした試料溶液中の各溶質イオン成分毎の濃度、
全酸量等の諸因子が決定されるものである。
以下ではこの示差法と電気伝導度変化法の2つの検出
方法および検出機構を連続溶出ラインに組み込んだ装置
およびその操作方法の概要について述べる。
この装置は、含有イオン種が既知である連続溶出ライ
ンにおける金属洗浄液を一定溶出量毎、あるいは一定時
間毎に予め設定した量だけ反応槽に自動的に入れ、該反
応槽に連続的に一定速度で滴定用の反応試薬を注入添加
し、金属洗浄液中の溶解状態にある多種のイオン成分を
短時間の内に自動的かつ連続的に分離定量するものであ
る。その基本構成を第5図により説明する。第5図に示
すように、少なくとも一系列以上の「連続溶出ラインの
条件設定手段」により、弁a,弁b,弁cのいずれか1つを
開き、一定量の金属洗浄液を反応槽に導き、「採取・排
液切替弁の制御手段」および「量又は時間の設定手段」
により滴定槽の弁dを開き、予め調整された滴定用の反
応試薬を一定速度で自動的に金属洗浄液に連続注入添加
して反応を起こさせ、この化学反応に基づく微小な温度
変化と電気伝導度変化を特徴的な2つの信号値により連
続的に検出して、反応を解析する。この解析と本装置の
操作制御のために「データストア及び解析操作制御手
段」を設ける。この解析操作制御手段には、連続溶出ラ
インの全酸量等の決定手段を包含する。
本発明によれば、金属洗浄液と反応試薬との反応液の
温度変化および電気伝導度変化を連続的に検出し、溶解
状態にあるイオン成分を分離定量することができる。必
要ならば、反応槽中に導かれる金属洗浄液の液量を制御
するためのプログラム、あるいは多数の「連続溶出ライ
ンの条件設定手段」のプログラム、反応槽の弁fを開く
「採取・排液切替弁制御手段」のプログラムおよび駆動
機構を備えていてもよい。例えば、反応槽内の温度変化
および電気伝導度変化の測定を必要としない場合は「前
以て定められた制御見通し」をコンピューターに入力
し、弁fの制御により反応槽中の液を排液すればよい。
また、例えば金属洗浄液の溶液成分の濃度が異常に高
く、充分に撹拌ができないような場合には、希釈液を貯
留した希釈槽内の弁eを開いて希釈液を注入添加し、反
応条件を最適値に合わせることができる「反応条件の最
適値決定手段」を備えていてもよい。また、本装置の演
算、制御にはデジタル式のコンピューターが好適である
が、アナログ式の演算、制御器を用いてもよい。
作 用 本発明によれば、金属洗浄液に含まれる既知のイオン
種の濃度の測定が容易であり、特に金属洗浄液中にある
多種の成分のイオンを、1回だけの測定のみによって高
精度に分離定量することが可能になる。かつ分離定量の
結果を用いて、連続溶出ラインの自動制御を簡単かつ短
時間に行いうる。
実施例 次に、本発明装置の実施例を、第6図によって具体的
に説明する。
なお、この図面は説明のために本発明の一実施態様を
示したものであって、本発明がこれに限定されるもので
はない。実施例の図面の装置は、多種のイオン成分の分
離定量に利用される場合を例として説明するものであ
る。
実施例1 第6図において、ステンレス合金線材の酸洗浄を行う
浴槽31より、HNO3、HFからなる酸洗液すなわち金属洗浄
液を試料槽32に導き、ポンプ33で所定量を冷却槽34に自
動的に抜き取り、冷却槽34の中で微小浮遊物を濾過し、
濾液を濾過槽35に入れる。次に、濾過された試料液を計
量槽37に導き、予め恒温槽55で温度制御された希釈水38
により計量槽37の計量計37aを洗浄しながら0.5ccの試料
を希釈水10ccとともに内容積18ccの反応槽36へ送入す
る。反応槽36はポリテトラフルオロエチレン製の耐腐蝕
性の材料からなる。反応槽36は、そこにポリテトラフル
オロエチレン製の撹拌機50が設置されており、しかも外
部との熱の授受を最小にするように断熱されているもの
である。
反応槽36に希釈液を流入後、約80秒経過後に、予め調
整された2規定の苛性ソーダ水溶液からなる滴定後すな
わち反応試薬を槽48より反応試薬供給部46を経て定量注
入ポンプ47にて反応槽36内に注入を開始し、この反応槽
36内で中和反応を起こさせる。この反応槽36内での中和
反応によって生ずる経時的な反応液の変化の様子は、示
差法と電気伝導度変化法の各々のセンサーの温度検出部
39および電気伝導度検出部40によって連続的な信号に変
換され、この信号は信号変換回路41を経てコンピュータ
ー42に入力され、データ収録およびデータ解析が行なわ
れる。
第6図において、43は反応試薬の温度制御管で、恒温
槽45に連通されている。44は恒温槽45の温度調節部であ
る。51,53は、それぞれ反応試薬供給部46および定量注
入ポンプ47のための駆動モータである。49,52は、それ
ぞれ試料槽32および恒温槽45のための撹拌機である。54
は試料計量のために貯留した液のための排液受け槽であ
る。
滴定用の反応試薬としての2規定の苛性ソーダ水溶液
の定量注入を、120〜180秒前後の時間で反応の終了点に
到達するような速度で行うと、示差温度変化および電気
伝導度変化の解析が容易であった。また、滴定に用いる
反応試薬の液量は希釈液の1/10〜1/20前後が最適であっ
た。
本発明の実施態様をさらに詳細に説明するため、第6
図の装置および機構と関連する第7図のプログラムの流
れ図の概要を以下に示す。
本発明に従うプロセスは、測定および制御するための
定数の初期値ならびに測定条件、特にその最適化条件の
設定などを外部より入力し、予め定められた浴槽より試
料としての金属洗浄液を反応層に入れ、反応試薬を添加
することで化学反応を生じさせ、該化学反応の過程の温
度変化とイオン解離特性とを、示差法と電気伝導度変化
法との2つの方法で検出するものである。
これらの2つの信号検出は、温度検出及び電気伝導度
検出のI/Oのプログラムより測定および制御の開始プロ
グラムを経由して実行される仕組になっている。
この2つの信号検出に際しては、ともにS/N比の改善
のため平滑化処理が実行され、所定のS/N比に到達する
と、それぞれの信号とその時のそれぞれの時間を決定し
た後、それらに対応したそれぞれの信号値として記憶さ
れる。
この流れのなかで示差法による示差温度曲線からは、
ピーク点を探し求める補助プログラムにより各反応段階
で生じた反応の当量点の位置を計算して求める。
示差温度曲線と電気伝導度曲線とは、コンピューター
の端末装置のCRT上で連続的に監視するとともに、測定
は反応の終了点に達するまで行われ、その測定点が記録
される。測定終了後、得られた温度と電気伝導度の変化
の信号値を記憶素子から取り出し、編集用プログラムに
より両信号値の加工、例えば曲線でのピーク点へのマー
キング操作、を自動的に行う。第8図に示差温度変化お
よび電気伝導度の測定結果を示す。滴定開始時間T0
り、先ず、電気伝導度曲線上に見られる最大のピーク点
を遊離酸根のうち硝酸根の当量点T1とし、次に、示差温
度曲線上に見られる最大ピーク点T2を遊離酸の総合的な
当量点と判断する。次に、電気伝導度曲線上で見られる
ピーク点T3を求める。このT3は金属塩の当量点で、さら
にT4を求める。反応の終了点は、次のようにして求め
る。すなわち、示差温度曲線上でピーク点を見出すこと
ができなくなった時点以降で、電気伝導度曲線上で認め
られる最後のピーク点を反応の終了点とみなす。このよ
うにして電気伝導度による変化曲線から化学反応系全体
の反応の終了点T4を決定し、これにより全酸量を求め、
さらに示差法で予め決定したそれぞれの当量点と電気伝
導度曲線のピーク点から補助プログラムで各組成比を演
算して決定するものである。
以上のピーク点の解析より、各成分の組成の算出は、
次のようにして行われる。すなわち、遊離硝酸根量はT1
−T0で、遊離フッ酸根量はT2−T1で、金属の3価イオン
成分はT3−T2で、金属の2価イオン成分はT4−T3で求め
られる。したがって、全遊離酸根はT2−T0で求められ、
全金属成分はT4−T2で求められる。
化学反応の解析終了後の結果をプリンターに打ち出
し、あるいはファイル化のために記憶媒体に入力する。
また、必要によって過去のファイルの検索により制御を
再現させることも可能である。その他、測定条件の変更
が生じた際に対処するために割り込み可能な補助プログ
ラムが備えつけられている。
本実施例によると、示差法および電気伝導度法を併用
して2種の変化曲線を得ることによって、反応槽内で生
じた温度変化と電気伝導度変化を鋭敏かつ高精度で捉え
ることができた。すなわち、示差温度曲線および電気伝
導度曲線は各段階の反応当量点で敏感に変化するため当
量点の存在を確実に示し、かつ当量点までの滴定量を高
精度で示すことができた。
示差法は、各遊離酸の当量検出に敏感に対応する。一
方、電気伝導度変化法は、HNO3と2価金属と反応の終了
点との変化を、示差法よりも明確に表わす。この2つの
検出方法を相補的に用いることで、示差温度曲線だけで
は判定しにくいものであっても、電気伝導度曲線も合わ
せて検討することで妥当かつ確実に検出判定することが
でき、また、検出のための手法は簡素化される。反応の
途中に外部より受ける熱の影響および反応により生成す
る浮遊物による感熱抵抗素子の検出感度のずれは、電気
伝導度曲線の測定によって相補される。
第8図の曲線のうち、示差法から得たピーク点と電気
伝導度変化法から得たピーク点より、全遊離酸および遊
離の硝酸イオン量およびフッ素イオン量を算出し、さら
に電気伝導度変化法のピーク点より、2価および3価の
鉄イオンの濃度をコンピューターを使用し、算出した。
このようにして求めた各成分の濃度を以下に示す。
( )内の記号は、第8図中に記した示差温度曲線およ
び電気伝導度曲線の各イオンに対応するピーク点の記号
である。HNO3(T1)0.97N、HF(T2)0.51N、Fe3+(T3
0.2N、Fe2+(T4)1.2N、全体で4.4Nであった。
この方法および装置によって決定された各種イオン成
分の種別および濃度の信憑性は、各イオンの標準液を同
一装置内に入れ、滴定液としての反応試薬を注入し、化
学反応を進め、示差温度曲線と電気伝導度曲線とを得、
これを解析することによって確認した。
その結果、本発明の実施例の各イオン成分の種類は全
てグラフ上に示されており、各イオン濃度の測定の誤差
率は±2.5%に収まることが判った。これにより、本発
明の方法および装置により、金属洗浄液の各イオン成分
の同定と定量が正しくできることが認められた。第1表
は、前述の特開昭62−2144号公報に開示された方法と、
本発明の方法とにもとづく滴定条件の変化と測定結果と
を示す。
さらに、本発明によると、反応熱量およびイオン解離
特性の差のある化合物の混合物を分析する場合にも優れ
ている。また、解離しにくい化合物を含有した混合物の
場合でも、第3の錯体形成をし易い物質として共存させ
ることで、混合物質問の反応速度に差を生じさせること
により分別が可能となる。
実施例2 実施例1で用いた手法により、HNO3,NCl組成を有する
金属洗浄液の分析を行った。
第9図に示すように、HNO3(T2),HCl(T5)の遊離酸
の検出、3価の鉄イオン(T3)の検出が可能であった。
発明の効果 以上述べたように本発明によると、金属洗浄液に含ま
れる既知のイオン種の濃度の測定に適し、特に金属洗浄
液中にある多種の成分のイオンを、1回の測定だけで高
精度に分離定量することが可能である。かつ分離定量の
結果を用いて、連続溶出ラインの自動制御を簡単かつ短
時間に行うことができる。
また、この方法を連続溶出ラインに組み込むことによ
り、金属洗浄液中の溶解成分の分析操作に要する時間と
労力を大幅に節減することができ、反応試薬のコストも
低減される。さらに、有効に組み合わされた2つの検出
手段により、化学反応の終了点が鋭敏に検出され、この
反応の終了点をもとに経時的にイオン状態の各反応ステ
ップを連続的に分離できる。このため、例えば遊離の単
独酸、共存酸、塩基、有機酸、無機酸の分離定量および
全酸根、重金属イオンの分析定量を簡単な分析操作で実
施することが可能となる。そして、この分析結果をもと
に製造ラインにフィードバックできるため、連続的に浴
管理を行うことが可能となる。
また、示差温度測定センサーと電気伝導度測定センサ
ーとを互いに一体化して設けたため、反応槽の中での同
一条件下での測定値を実質的な時間ずれを伴うことなし
に得ることができ、この結果、データ解析のずれが少な
くなって、正確を期することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に関した装置における示差温
度変化および電気伝導度の検出部の構成を示す図、第2
図は第1図における感熱測定素子と電気伝導度測定セン
サーとを一体化したセンサーの正面図、第3図は第2図
のセンサーの底面図、第4図は第2図および第3図のセ
ンサーにおける電極の断面形状を示す図、第5図は本発
明に基づく基本的な制御装置の概略構成を示す図、第6
図は示差温度変化および電気伝導度測定のための装置を
示す図、第7図は第6図の装置に対応するフローチャー
ト、第8図および第9図は示差温度変化および電気伝導
度の測定結果を示す図である。 1……反応槽、2,3……感熱抵抗素子、4……電子伝導
度測定センサー、11……検出器切換回路、14……コンピ
ューター、21……支持体、22……電極、24……試料溶
液。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一つの反応試薬に対する温度変化および電
    気伝導度変化がそれぞれ互いに異なる既知の溶存物質を
    複数種類含む金属洗浄液に該反応試薬を用いて温度滴定
    と反応生成物のイオン解離変化を分析する方法であっ
    て、上記反応試薬にて上記溶存物質の滴定を行うに際
    し、前記反応試薬を前記金属洗浄液に定量ずつ注入し、
    互いに一体化された示差温度測定センサーと電気伝導度
    測定センサーとを用いて示差温度曲線と電気伝導度曲線
    とを実質的に同時にとり、示差温度曲線上の最大ピーク
    点を遊離酸の総合的な当量点と判断し、電気伝導度曲線
    上のピーク点を各溶存物質の当量点と判断してこのピー
    ク点から物質種を同定するとともに、最後のピーク点を
    反応の終了点とみなし、前記示差温度曲線上の最大ピー
    ク点と電気伝導度曲線上のピーク点とのうちの相隣接す
    る任意の二つのピーク点どうしの間の時間からそれぞれ
    の物質の量を求め、かくして前記金属洗浄液中に溶存す
    る前記既知の物質の種別とそれぞれの物質に対応する濃
    度とを分析することを特徴とする金属洗浄液の分析方
    法。
  2. 【請求項2】示差温度測定センサーとして、熱応答速度
    が相違なる2個の感熱抵抗素子を用いることを特徴とす
    る請求項1記載の金属洗浄液の分析方法。
  3. 【請求項3】一つの反応試薬に対する温度変化および電
    気伝導度変化がそれぞれ互いに異なる既知の溶存物質を
    複数種類含む金属洗浄液に該反応試薬を用いて温度滴定
    と反応生成物のイオン解離変化を分析するための、金属
    洗浄液の分析装置であって、 所定量の前記金属洗浄液を反応槽に導くための手段と、 予め調整された前記反応試薬を任意の時間間隔で前記反
    応槽に定量ずつ注入して金属洗浄液に添加する定量注入
    ポンプと、 この反応槽内で前記金属洗浄液と反応試薬液とを混合す
    る手段と、 反応槽中で反応した液の示差温度の変化を測定して示差
    温度曲線を求めるための示差温度測定センサーと、 前記示差温度測定センサーと互いに一体化された構成で
    あるとともに、反応槽中で反応した液の電気伝導度の変
    化を測定して電気伝導度曲線を求めるための電気伝導度
    測定センサーと、 前記示差温度曲線上の最大ピーク点を遊離酸の総合的な
    当量点と判断する手段と、 前記電気伝導度曲線上のピーク点を各溶存物質の当量点
    と判断してこのピーク点から物質種を同定するととも
    に、最後のピーク点を反応の終了点とみなす手段と、 前記示差温度曲線上の最大ピーク点と電気伝導度曲線上
    のピーク点とのうち相隣接する任意の二つのピーク点ど
    うしの間の時間からそれぞれの物質の量を求める手段
    と、 を備えたことを特徴とする金属洗浄液の分析装置。
  4. 【請求項4】電気伝導度測定センサーは一対の電極を備
    え、各電極はその横断面が楕円形に形成されていること
    を特徴とする請求項3記載の金属洗浄液の分析装置。
  5. 【請求項5】両電極は絶縁性を有する支持体に取り付け
    られ、かつこの支持体に示差温度測定センサーが設けら
    れていることを特徴とする請求項4記載の金属洗浄液の
    分析装置。
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