JP2720988B2 - 過充電防止回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は電池の過充電防止回路に関する。

［従来の技術］ 一般に電池においては、適正な充電条件を越えて過充
電を行うと電解液の分解に伴なってガスが発生する。開
放型または排出型の電池においては、発生したガスを逃
がすことができるが、その結果電極は多少損傷を受け
る。

一方、密閉型の電池では、ガス圧が内部で高まり、爆
発事故を起す。なお、密閉型蓄電池においては過充電に
対して、安全弁を設けることによりガス圧の上昇に配慮
しているものがあるが、これらの安全弁を設けた電池に
あってはガス抜きを確実に行なえない場合も生じ、信頼
性の面で問題がある。しかも、安全弁の作動により腐食
性の高いガスが放出されるため、電池が組込まれた機器
を腐食させるという欠点がある。

それ故、電池を完全に充電し、安全に使用できる装置
が必要である。

［発明が解決しようとする課題］ カナダ特許第698,137号および米国特許第3,343,058号
では、電池にダイオードを並列に入れることにより、該
電池の適切な充電条件を越えて過充電された時、ダイオ
ード側に電流を放散させて電池側に電流をほとんど流さ
ないようにすることにより、以上のような問題を解決し
ようとしている。

しかし、これら２つの解決手段に伴なう問題として、
ダイオードを十分に大きくして全電流量を放散させる必
要があるため、物理的に大きな素子が必要となり、しか
もその際の発熱についても考慮が必要である。

本発明の目的は以上のような問題を解消した過充電防
止回路を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ このような目的を達成するために、本発明は、単電池
もしくは２個以上の単電池からなる組電池に組み込まれ
た過充電防止回路であって、前記電池と並列に接続した
200mW〜500mWのツェナーダイオードと、前記電池と直列
に接続した温度ヒューズとを有し、前記ツェナーダイオ
ードの温度を検知し得る位置に前記温度ヒューズが配置
されていることを特徴とする。

なお、本発明でいうツェナーダイオードとは一定電圧
以上の電圧が印加された場合に電流が流れ出す素子であ
り、通常かかる電流の流れ出す電圧（以下、ツェナー電
圧という。）は数Ｖ〜数百Ｖの物が各種市販されてお
り、目的の設定電圧の物を任意に選択することができ
る。すなわち正常な充電電圧が印加されている場合には
ツェナーダイオードには電流が流れず、一定電圧以上印
加された場合にツェナーダイオードに電流が流れること
が必要である。かかる目的はツェナーダイオードを電池
と並列に接続することにより達成される。本発明者ら
は、ツェナーダイオードの温度を検知し得る位置に例え
ば溶融温度50℃〜250℃の温度ヒューズを配置させるこ
とにより当該ツェナーダイオードにツェナー電圧以上の
電圧が印加されたときに発熱して、該温度ヒューズを極
めて精度よく溶断し得ることを見出した。温度ヒューズ
が電池と直列に接続されている場合には一定電圧以上印
加された場合に当該温度ヒューズの溶断により回路が開
放状態となり電池の過充電が防止される。

［作用］ 本発明によれば、電池への充電が完了して、ツェナー
ダイオードにツェナー電圧以上の電圧が印加されたとき
に、当該ツェナーダイオードが発熱し、もって温度ヒュ
ーズが溶断して充電回路が開放状態となる。

［実施例］ 前述の如く、本発明の保護回路は単電池もしくは２個
以上の単電池からなる組電池に組込むことが可能であ
り、その実施例を図面を参照して説明する。

第１図は単電池に適用した本発明実施例の回路例を示
す。

電池１には並列にツェナーダイオード２が接続され、
さらに電池１と直列に低融点合金からなる温度ヒューズ
３を接続し、充電時には、これら電池１およびヒューズ
３の直列回路を充電器４に接続する。温度ヒューズ３
は、ツェナーダイオード２の温度を検知しうる位置に配
置する。

このような構成によれば、充電完了後に過充電状態と
なった場合、ツェナーダイオード２に電流が流れて発熱
する。その結果、温度ヒューズが当該発熱によって溶断
し、充電回路は開放され、電池の過充電が防止され、以
後の発熱はない。

第２図に第１図の応用例として電池内部にツェナーダ
イオードと温度ヒューズを組込んだものを断面図で示
す。

第２図において、1Aは電池缶、1Bは正極、1Cは負極、
1Dはセパレータ、1Eは正極タブ、1Fは負極タブ、1Gは正
極であって、ツェナーダイオード２は正極タブ1Eおよび
負極タブ1F間に接続し、温度ヒューズ３は正極タブ1Eお
よび正極1G間に接続する。

第３図に第２図の要部を拡大して示す。

本発明の回路はツェナーダイオードを電池電圧検知と
低融点合金ヒューズの溶断に用いることに特徴を有する
ため、200mW〜500mWの小型のツェナーダイオードを用い
ることが可能であり、第２図のような電池内部への組込
み回路としても使用できる。なお上記実施例ではツェナ
ーダイオードに小電力用のものを用いて形成したが、こ
れに限定されない。

次に多数の電池からなる組電池への適用例を示す。第
４図は第１図の回路を直列に多数個接続したものであ
り、もしいずれか１つの単電池１において過充電状態に
到達すれば、該電池における温度ヒューズが溶断し、全
回路が開放状態となる。第５図，第６図は第４図の応用
例であり、第５図に示すものは、直列接続した複数個の
電池１の各々に、並列にツェナーダイオード２を接続
し、直列接続した複数個の電池１に直列に、ツェナーダ
イオード２に対応させた（つまり、各々がツェナーダイ
オード２の温度を検知し得るように対応させた）数の温
度ヒューズ３を接続したものであり、第６図に示すもの
は、直列接続した複数個の電池１の各々に並列にツェナ
ーダイオード２を接続し、直列接続した複数個の電池１
に直列に１個の温度ヒューズ30を接続したものである。

第５図および第６図のいずれも電池に直列に温度ヒュ
ーズが接続されているという点で作用効果は同じであ
る。また、第６図からわかるように、各ツェナーダイオ
ードの温度によって溶断されるならば温度ヒューズの数
は電池の数より少なくても構わない。

さらに第１図に示される本発明の基本回路についての
詳細な具体例を第７図（ａ），（ｂ），（ｃ）に示す。

第７図（ａ）はツェナーダイオード２に同程度の内径
の金属チューブ71をかぶせ、金属チューブ71の外側部分
に低融点合金からなる温度ヒューズ３によって接点を形
成し、当該接点にリード線72を配したものより構成され
る。

第７図（ｂ）はツェナーダイオード２に金属線73を巻
き付け、該ダイオード３の周面上であって、該金属線73
間に低融点合金からなる温度ヒューズ３を塗布し、該塗
布面上にリード線72を固着したものであり、第７図
（ｃ）は、ツェナーダイオード２のリード線上に低融点
合金からなる温度ヒューズ３を固着し、この温度ヒュー
ズ３上にリード線72を固着したものである。

小電力用ツェナーダイオードを用いると、この溶断に
必要な電流量は10mA〜100mAであり、適切なツェナー電
圧を有するツェナーダイオードを選ぶことにより回路の
作動電位を0.1V以内に制御できる。また、ツェナーダイ
オードを電池に並列に接続したことによる電池の漏れ電
流，自己放電は、ツェナーダイオードの漏れ電流は通常
μＡ以下の量であるので、該電池の適切な充電電位より
も少し高いツェナー電圧のツェナーダイオードを選ぶこ
とによりほとんど影響はない。

［発明の効果］ 以上詳述した如く、本発明によれば任意の電位で精度
よく動作する、小さく、安価な過充電防止回路を提供で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の回路図、 第２図は本発明実施例の具体的応用例の断面図、 第３図は第２図の要部拡大図、 第４図，第５図および第６図は本発明のそれぞれ別の実
施例の回路図、 第７図は第１図の実施例の具体例を示す図である。 １…電池、２…ツェナーダイオード、３…温度ヒュー
ズ。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】単電池もしくは２個以上の単電池からなる
   組電池に組み込まれた過充電防止回路であって、前記電
   池と並列に接続した200mW〜500mWのツェナーダイオード
   と、前記電池と直列に接続した温度ヒューズとを有し、
   前記ツェナーダイオードの温度を検知し得る位置に前記
   温度ヒューズが配置されていることを特徴とする過充電
   防止回路。