JP2717341B2 - 流体の充満確認機能を有するスプリンクラーヘッドとこれを使用した流体の充満確認方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は流体の充満確認機能を有
するスプリンクラーヘッドとこれを使用した流体の充満
確認方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種スプリンクラーヘッドとし
ては、例えば本件出願人による実開平2-109661号なるも
のが存在する。

【０００３】即ち、この従来のものは図４に示すよう
に、栓体４を下方側から押圧保持せしめてヘッドフレー
ム１の流出口５を閉鎖するように構成したものであり、
該ヘッドフレーム１内に消火用水を充満させた状態で火
災発生時等に作動すべく部屋の天井面等に取付けられ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のものに於ける栓体４は単にヘッドフレーム１の流出
口５を閉鎖するだけの機能しか持たず、実際にヘッドフ
レーム１内に消火用水が充満しているか否かを外部から
確認できないという難点があった。

【０００５】従って、配管に接続不良等があって消火用
水がヘッドフレーム１内に充満していない場合、これを
事前に発見することができずに、スプリンクラーヘッド
による消火作業に支障をきたすという大なる問題点を有
していたのである。

【０００６】それ故に、本発明は上記問題点を解決する
ためになされたものであり、スプリンクラーヘッドに消
火用水等が適切に充満されているか否かを外部から容易
に確認できるようにして、配管の接続不良等を事前に発
見しうるようにすることを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】即ち、上記課題を解決す
るために、本発明は常時はスプリンクラーヘッド本体27
内に位置し、該スプリンクラーヘッド本体27に消火用水
等が充満された際に、スプリンクラーヘッド本体27の外
部に裸出する可動棒11が該スプリンクラーヘッド本体27
の中心に設けられてなるスプリンクラーヘッドである。

【０００８】また、本発明に係るスプリンクラーヘッド
に於ける流体の充満確認方法の特徴は、常時はスプリン
クラーヘッド本体27内に位置させ、該スプリンクラーヘ
ッド本体27に消火用水等が充満した際に、スプリンクラ
ーヘッド本体27の中央に設けられて外部に裸出する可動
棒11を下方から目視することにより該スプリンクラーヘ
ッド本体27に消火用水等が充満しているか否かを確認す
る点にある。

【０００９】

【作用】従って、上記構成を特徴とするスプリンクラー
ヘッドに於いては、例えば消火用水がスプリンクラーヘ
ッド本体27内に充満している場合は、該消火用水の水圧
により可動棒11がスプリンクラーヘッド本体27の中心か
ら外方に裸出する一方、消火用水が充満していない場合
は可動棒11は裸出しない。即ち、かかる可動棒11の裸出
状態を下方から目視することにより消火用水がスプリン
クラーヘッド本体27内に充満しているか否かを容易に確
認できるのである。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図面に従っ
て説明する。

【００１１】図１に於いて、１は消火用水流入路２を形
成したヘッドフレームを示し、該ヘッドフレーム１の周
端縁下部に略円筒状のフレーム３が螺着されてなる。

【００１２】４はヘッドフレーム１の下部に形成した流
出口５を閉塞するための栓体で、該栓体４の下端部周縁
には鍔部６が形成されると共に、略中央には下方側内周
面にネジ部７を形成した貫通孔８が穿設されてなり、該
貫通孔８の上端は小径に形成されている。

【００１３】９は前記栓体４のネジ部７に螺着したネジ
体であり、該ネジ体９の中央には下部側が六角状に形成
された貫通孔10が前記栓体４の貫通孔８に連通して穿設
されてなる。尚、ネジ体９と栓体４のネジ部７間にはシ
ール（図示せず）が施されている。

【００１４】14は表面がフッ素樹脂コーティングされた
皿バネからなる弾発体であり、ヘッドフレーム１の流出
口５の下端部と栓体４の鍔部６の上面部間に一定の押圧
力を受けて緊張状態に介装されてなり、該弾発体14の内
周面は栓体４の鍔部６に形成された切欠6aに嵌合してい
る。

【００１５】15は栓体４の外周縁に複数本連結された屈
曲状のデフレクターで、その上端部にはヘッドフレーム
１の外周面に摺動自在なガイド部16ａを下向きに突設し
たガイドリング16が連結されてなり、栓体４が落下する
際のガイドとして機能する。

【００１６】17は一部切欠リング状に形成されてその直
径が拡縮する弾性変形自在な係止体を示す。

【００１７】18,19 は係止体17を挟装保持するための一
対の挟持体であり、上側の挟持体18の上面には前記ネジ
体９の下端部が嵌合可能な孔18ａが形成されると共に、
その筒状部18ｂの内周面にはネジ部18ｃが刻設されてな
り、下側の挟持体19の筒状部19ａには上側の挟持体18の
筒状部18ｂが摺動可能に挿入されている。

【００１８】20,21 は各挟持体18,19 の外周縁部に形成
されたテーパ面であり、その相互間に前記係止体17を拡
張状態で保持させるべく、その相互間の間隔が内側程狭
くなるように形成されてなり、該テーパ面20,21 とヘッ
ドフレーム１の下端部内周縁に形成された内向凸部22の
内周面間で係止体17が保持されている。

【００１９】23は上側の挾持体18のネジ部18ｃに螺着さ
れたロックネジを示し、その中央には貫通孔23ａが軸長
方向に穿設されてなる。24,25,26はロックネジ23の下端
に形成された鍔部23ｂと下側の挟持体19の下端との相互
間に介装された熱絶縁パッキン、感熱体、リング状の可
溶性の可溶体を夫々示す。以上の各部材からスプリンク
ラーヘッド本体27が構成されている。

【００２０】11は上端に前記栓体４の貫通孔10から突出
する棒状部11ａを有し且つ下端にピン11ｂを具備する可
動棒で、該可動棒11はコイルバネからなる弾性体12を介
してネジ体９に進退自在に挿入されてなり、常時は前記
弾性体12により上向きに押圧付勢されて、図１の如くピ
ン11ｂの先端はスプリンクラーヘッド本体27の下端面を
構成するロックネジ23の下面と面一となるように設定さ
れている。尚、可動棒11のピン11ｂの下端部外周面には
蛍光塗料が塗着されてなる。

【００２１】13はネジ体９と可動棒11間のシールを図る
べく該可動棒11の外周面に装着されたＯリングを示す。

【００２２】本実施例に係るスプリンクラーヘッドは以
上のスプリンクラーヘッド本体27と可動棒11とから構成
されてなり、次にこれを使用する場合について説明す
る。

【００２３】先ず、配水用管（図示せず）に接続配管
（図示せず）を介して天井面の所定位置にスプリンクラ
ーヘッドを固定した後、配水用管に消火用水を流通せし
めるのであるが、該消火用水がヘッドフレーム１に消火
用水が充満している場合には、図２のようにその水圧を
受けて可動棒11が弾性体12の付勢力に抗して下向きに押
圧され、可動棒11のピン11ｂがロックネジ23の下面から
外部に裸出する。

【００２４】一方、消火用水がヘッドフレーム１に充満
していない場合は、可動棒11のピン11ｂは外方に全く或
いは十分に裸出しない。

【００２５】このようにして、可動棒11のピン11ｂの裸
出状態を外部から目視することにより消火用水の充満の
有無を容易に確認できるのである。しかも、かかるピン
11ｂはスプリンクラーヘッド本体27の中心に設けられ、
且つその下端側周面には蛍光塗料が塗着されてなるため
に、夜間等であってもその裸出状態を確認できるという
利点がある。

【００２６】これにより、配管の接続不良等を事前に発
見することができて、消火用水が充満していない場合
は、配管の接続状態等を再点検した後、同様にして確認
を行えばよいのである。

【００２７】また、かかるスプリンクラーヘッドは極め
て簡易な構成からなるために、その製作が容易に且つ安
価に行えるという利点もある。

【００２８】そして、火災が発生して感熱板25に温度上
昇が生じれば、可溶体26が溶融又は軟化して下側の挟持
体19が下降するため、係止体17が収縮してフレーム３の
内向凸部22との係合状態が解除されることとなる。

【００２９】而して、弾発体14の弾発力により上側の挟
持体18，ネジ体９及び栓体４がヘッドフレーム１の下方
に落下し、開放された流出口５から流出した消火用水は
栓体４の上面に衝突した後、その四方に分散して放射状
に散水されるのである。

【００３０】尚、上記実施例に於いては、可動棒11が弾
性体12に付勢されて常時はそのピン11ｂがロックネジ23
の下面と面一となるように構成してなるが、最初からピ
ン11ｂを外部に若干裸出させておいたり、或いはロック
ネジ23内に没入させておいても構わない。要は、消火用
水等によりスプリンクラーヘッド本体27に消火用水等の
流体を充満させた際に、可動棒11が外部に裸出して消火
用水等の充満の有無を目視により確認できればよいので
ある。

【００３１】また、本発明が適用可能なスプリンクラー
ヘッドは決して上記実施例の如きものに限定されず、例
えば図３のように可動棒11の上端に当接させて可撓性を
有する有底ベローズ28を栓体４の貫通孔８に装着し、該
貫通孔８のネジ部７に貫通孔29を有する蓋体30を螺入し
て構成してもよく、さらにエア等の気体がスプリンクラ
ーヘッド本体27内に充満される構成からなる乾式スプリ
ンクラーヘッドにも勿論適用可能である。

【００３２】さらに、該実施例にあっては可溶体26をリ
ング状に形成してなるが、該可溶体26の形状はこれに限
定されず、棒状に形成してその中央部に可動棒11が挿通
可能な孔を穿設してもよい。

【００３３】その他、栓体４や可動棒11の形状等の具体
的な構成も全て本発明の意図する範囲内で任意に設計変
更自在である。

【００３４】

【発明の効果】叙上の様に、本発明はスプリンクラーヘ
ッド本体に消火用水等が充満された際には、可動棒が外
部に裸出する構成にてなるため、スプリンクラーヘッド
の配管施工後に於いて、可動棒の裸出状態を下方から目
視することにより消火用水等がスプリンクラーヘッド本
体内に充満しているか否かを容易に確認することができ
ることとなる。

【００３５】従って、従来のスプリンクラーヘッドでは
不可能であった配管の接続不良等を事前に発見できると
いう格別の効果を得るに至った。

【００３６】また、本発明に係るヘッドフレームは非常
に簡易な構成からなるため、容易に且つ安価にその製作
が行えるという実用的な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すヘッドフレームの正面
断面図。

【図２】作動状態を示す正面断面図。

【図３】他の実施例を示す正面断面図。

【図４】従来例を示す正面断面図。

【符号の説明】

１…ヘッドフレーム ４…栓体 ５…流出口 ８…貫通孔 11…可動棒 12…弾性体 27…スプリンクラーヘッド

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 常時はスプリンクラーヘッド本体(27)内
   に位置し、該スプリンクラーヘッド本体(27)に消火用水
   等が充満された際に、スプリンクラーヘッド本体(27)の
   外部に裸出する可動棒(11)が該スプリンクラーヘッド本
   体(27)の中心に設けられてなることを特徴とする流体の
   充満確認機能を有するスプリンクラーヘッド。
2. 【請求項２】 ヘッドフレーム(1) の流出口(5) を閉鎖
   するための栓体(4) に前記流出口(5) と連通する貫通孔
   (8) が穿設され、且つ該貫通孔(8) には弾性体(12)によ
   り常時は上向きに押圧付勢されてスプリンクラーヘッド
   本体(27)内に位置する可動棒(11)が内装されてなり、し
   かも該可動棒(11)は、前記ヘッドフレーム(1) に消火用
   水等が充満された際に、弾性体(12)の付勢力に抗してそ
   の一端が該スプリンクラーヘッド本体(27)から外部に裸
   出するように構成されてなることを特徴とする流体の充
   満確認機能を有するスプリンクラーヘッド。
3. 【請求項３】 前記可動棒(11)の下端部外周面に螢光塗
   料が塗着されてなる請求項１又は２記載の流体の充満確
   認機能を有するスプリンクラーヘッド。
4. 【請求項４】 常時はスプリンクラーヘッド本体(27)内
   に位置させ、該スプリンクラーヘッド本体(27)に消火用
   水等が充満した際に、スプリンクラーヘッド本体(27)の
   中心に設けられて外部に裸出する可動棒(11)を下方から
   目視することにより前記スプリンクラーヘッド本体(27)
   内に消火用水等が充満しているか否かを確認することを
   特徴とするスプリンクラーヘッドに於ける流体の充満確
   認方法。