JP2708095B2 - アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法 - Google Patents

アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法

Info

Publication number
JP2708095B2
JP2708095B2 JP26815395A JP26815395A JP2708095B2 JP 2708095 B2 JP2708095 B2 JP 2708095B2 JP 26815395 A JP26815395 A JP 26815395A JP 26815395 A JP26815395 A JP 26815395A JP 2708095 B2 JP2708095 B2 JP 2708095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silica sol
alcoholic silica
coating
coating film
plastic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP26815395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09111120A (ja
Inventor
信助 山崎
Original Assignee
工業技術院長
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=17454639&utm_source=***_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2708095(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by 工業技術院長 filed Critical 工業技術院長
Priority to JP26815395A priority Critical patent/JP2708095B2/ja
Publication of JPH09111120A publication Critical patent/JPH09111120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2708095B2 publication Critical patent/JP2708095B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネー
ト、ポリメタクリル酸メチルなどのプラスチック材料の
表面の耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性等を向上
せしめるために塗布できるアルコール性シリカゾル組成
物とそれを用いたプラスチック基材のハードコーティン
グに関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック材料は、一般に軽量で成形
が容易であり耐衝撃性や透明性に優れているため広範囲
の用途があるが、大きな欠点として表面硬度の不足のた
めにチリやゴミ等を取り除く拭掃作業や、摩擦、引っか
き等により傷が付きやすく、そのため使用中に光沢や透
明性が失われやすい。また、有機溶剤に侵されやすく、
耐候性、耐熱性、耐燃焼性に問題がある。
【0003】これらの欠点は、硬度の高い材料を基材表
面に被覆することによってかなりカバーすることができ
る。例えば、従来知られている方法として、メラミン樹
脂などの熱硬化性樹脂を直接塗布し焼き付け硬化する方
法(特公昭40−7392、特公昭46−109)やア
ルカンジオールのジメタクレートなどの多官能性アクリ
ル樹脂を鋳型の内面に重合形成した硬化膜をメタクリル
樹脂のキャスト重合時に転写する方法(特公昭35−1
7847、特公昭37−9827)、高真空下でSiO
2 や低融点ガラスを蒸着する方法(G.Kienel:Kunststof
fe 59,76(1969))などがある。とりわけ、ハードコート
剤を塗布処理する方法はコストが安く工業的には有利な
方法で、例えばメラミン樹脂やオルガノシラン系の熱硬
化(例えば特公昭52−39691)やジエチレングリ
コールジメタクレート、ホスフアーゼン誘導体などの紫
外線照射重合(UV硬化)を利用する方法などが行われ
ている(石川:強化プラスチック32,58-62、倉橋:塗装
と塗料:'91/11(No.485)39-47 )。
【0004】しかし、メラミン樹脂系のハードコート
は、廉価であるが硬化に時間がかかり、また、耐候性が
悪く、最近では酸性雨の影響が問題となっている。ジエ
チレングリコールジメタクレートなどの多官能のアクリ
ル系モノマーの熱硬化は長時間を要し、硬化時間の著し
く短いUV硬化や電子線硬化が利用されているが、不活
性な雰囲気中で高エネルギーの照射を行うための設備や
処理方法に高度な技術を必要とするため高コストになる
という問題点がある。
【0005】一方、オルガノシラン系のハードコーティ
ングは、一般に加熱硬化時間が著しく長く、また、原材
料が高価格であるが、耐候性に優れ、硬度の非常に高い
ハードコーティングが簡単な方法で得られることから種
々のものが提案されている。オルガノシラン系はアルコ
キシシランの加水分解によるシラノール生成を経て縮合
によってオルガノポリシロキサンとなり硬化するもの
で、オルガノポリシロキサンを構成するオルガノシラン
の構造単位は、1官能性のものから4官能性のものまで
ある。4官能性のテトラエトキシシランからの硬化膜
は、造膜性が悪く、また密着性も無いために、そのまま
では用いられず、有機ポリマー材料との複合化や600
℃以上で生成シリカ粒子を融着させる方法がとられる。
実用化された事例としては、du Pont社の特許が
古くから公知で4官能性のアルキルアルコキシシランの
加水分解・重縮合物とポリ酢酸ビニル、ヒドロキシアル
キルビニルエーテルなどとテトラフルオロエチレンなど
のフッ化オレフィンとの共重合物からなる有機ポリマー
との複合体が広く知られている(米国特許第3,42
9,845号明細書、同3,429,846号明細書
(いずれも1969年))。また、最近ではテトラエト
キシシランを用いたゾル−ゲル法を利用した有機・無機
ハイブリッドポリマーが多数研究されている。これらの
4官能性のアルコキシシランを用いたハードコーティン
グでは、有機ポリマーを用いるため塗料を構成する有機
溶剤やポリマー組成、硬化触媒、界面活性剤、コーティ
ング条件等が複雑になる。
【0006】一方、3官能性のアルキルアルコキシシラ
ンを用いる方法の場合はOwens−Illinois
社の特許が古くから知られている(米国特許第3,45
1,838号明細書(1969年)、同3,554,6
98号明細書(1971年))。しかし、乾燥硬化速度
が遅いため(メチルトリエトキシシランの場合は130
℃で2時間以上加熱してもタッキーで硬化には18時間
の加熱を要する。)前記特許では初めに80〜300℃
に熱して一部縮合したキュア可能な樹脂を得た後、溶剤
に溶かして、更にキュア触媒を加えて通常の方法で塗布
し硬化する方法が採られている。また、メチルトリエト
キシシランの加水分解・重縮合によるアルコール性シリ
カゾルはガラス板にはよく濡れ、密着性のある膜を形成
するが、ポリカーボネートなどプラスチック基材には濡
れ性が悪く、界面活性剤を併用しても形成されたコーテ
ィング膜は基材との密着性に欠け、亀裂、剥離を生じや
すく、このため耐擦傷性に欠ける問題点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてオルガノアルコキシシラン系のハードコーテ
ィングの改良によって、より一層の高性能化をはかり、
ポリカーボネートなどの透明性プラスチックに密着性の
優れた硬度の高い耐擦傷性の優れた塗膜を簡単な通常の
塗装方法によって与えることのできるアルコール性シリ
カゾル組成物を提供することを目的とする。さらに本発
明は、上記のアルコール性シリカゾル組成物をポリカー
ボネートなどのプラスチック材料に塗布することによ
り、プラスチック成形品の無機ガラスへの代替及び表面
特性向上による製品寿命の延長など実用価値を大きく高
める表面改質方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべくオルガノポリシロキサン系ハードコーティン
グの改良法として、硬化時間の短縮とコーティング膜の
硬度の向上及び基材のプラスチックとの密着性改善につ
いて鋭意種々の検討を行った。その結果、3官能性のメ
チルトリエトキシシランに、重量比で1/3から1/1
5倍量の4官能性のテトラメトキシシランを予め混合し
たものを、水を加えて酸触媒の存在下、加水分解・重縮
合させて生成させたアルコール性シリカゾルがガラス板
などに通常の方法で塗布し乾燥すると予想外に硬化が速
く、120℃で加熱乾燥すると数分くらいで硬化し(メ
チルトリエトキシシランだけを加水分解・重縮合した場
合は、120℃で2時間以上加熱硬化を行っても硬化が
不十分でタッキーである)、堅い密着性の良いコーティ
ング膜が形成されることを見いだした。
【0009】また、上述の様にある限定された量のテト
ラメトキシシランなどの4官能性アルコキシシランを混
合して得られたメチルトリエトキシシランの加水分解・
重縮合物からなるアルコール性シリカゾル組成物のコー
ティングは、ポリカーボネートなどのプラスチックには
濡れ性が悪いが、アクリル系の反応性ミクロゲルなどの
水分散系の、特定の高分子ミクロスフエアをプライマー
として、予めポリカーボネート表面に塗布した場合に
は、濡れ性も良く、透明性と密着性の非常に良いコーテ
ィング膜が形成されること、このコーティング膜をプラ
イマー層として、上述のアルコール性シリカゾル組成物
を塗布すると、意外にも濡れ性と親和性が非常に良く、
室温でも乾燥硬化するが、とりわけホットプレート上で
120℃で乾燥硬化させると、急速に乾燥硬化して密着
性の非常に良い無色透明性で高光沢性の耐擦傷性に優れ
た高硬度でありながら予想外に剛性のある耐衝撃性のコ
ーティング膜が形成されることを見いだした。本発明は
この知見に基づきなされたものである。
【0010】即ち本発明は、(1)トリアルコキシシラ
ンとテトラアルコキシシランとを重量比3:1〜15:
1で含有するアルコキシシランに対し重量比で1/6倍
から2倍量の水を添加し、酸触媒の存在下で加水分解・
重縮合して得られる無色透明低粘性のアルコール性シリ
カゾル組成物、及び(2)請求項1に記載のアルコール
性シリカゾル組成物をプラスチック基材に塗布するに当
って、官能基を共重合成分中に含むアクリル系の微粒子
高分子ミクロスフエアをプライマーとしてプラスチック
表面に、予め塗布乾燥後、前記のアルコール性シリカゾ
ル組成物を塗布し、乾燥硬化させることを特徴とするプ
ラスチック基材の表面改質方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる加水分解性の
アルキルアルコキシシランとしては、各種市販の3官能
性の低級アルコキシシランで、例えばメチルトリエトキ
シシランやメチルトリメトキシシラン、フエニルトリエ
トキシシランなどが挙げられるが、適宜混合して用いて
も良い。これらのアルキルアルコキシシランに混合して
用いる4官能性のアルコキシシランとしては、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシランやテトラメトキシ
シランの縮合物として工業用に広く使用されているメチ
ルシリケート51、テトラエトキシシランの縮合物のエ
チルシリケート40などが挙げられる。
【0012】4官能性のアルコキシシランを3官能性の
アルキルアルコキシシランの重量比で1/3倍を越えて
多く混合した場合、加水分解・重縮合によって生成する
アルコール性シリカゾルからのコーティング膜は、多数
のスジや亀裂を生じ、また剥離しやすくなるなど造膜性
を損なうので、その混合比はアルキルアルコキシシラン
の種類、プライマーの高分子ミクロスフエアの種類と組
成、硬化温度や塗装方法などのコーティング条件などを
勘案して決める必要がある。好ましくは3官能性のアル
コキシシランに対し、重量比で1/4〜1/7倍量の4
官能性アルコキシシランを混合して用いる。また、4官
能性のアルコキシシランを1/15倍より少なく混合し
た場合は、3官能性のメチルトリエトキシシランのみを
用いた場合と変わらなくなって、生成したアルコール性
シリカゾルの乾燥硬化が著しく遅くなり、また耐擦傷性
も不十分になった。
【0013】本発明においては、アルキルアルコキシシ
ラン類の加水分解・重縮合は等倍量の水を添加して酢
酸、0.1Nの塩酸水溶液などの酸触媒の存在下で室温
でかき混ぜながら行うのが良く、30分位で無色透明性
の均一なアルコール性シリカゾルが形成されるようにす
る。生成したアルコール性シリカゾルは、1週間位は見
かけ上の変化はなく、その後徐々に半透明性の沈殿など
を生じる。コーティング膜の硬度、耐擦傷性は、アルコ
ール性シリカゾルが得られた直後が最も良く、経時的
に、生成コーティング膜の硬度が低下する傾向がみられ
た。水の量は2倍量までは許容されるが元々粘度が低い
ので、等倍以上にする必要はない。好ましくは等倍量で
ある。また、水の量をアルコキシシランの1/6倍量と
した場合も、無色透明性の均一なアルコール性シリカゾ
ルが形成されたが、このアルコール性シリカゾル組成物
から生成されたコーティング膜の硬化はかなり遅くなっ
た。しかし、アルコール性シリカゾルの安定性は向上す
る。
【0014】アルコキシシラン類の加水分解・重縮合に
は、酸触媒が好適に使用される。酸触媒としては、0.
1Nの塩酸水溶液、氷酢酸、クエン酸などをアルコキシ
シランの1〜5%程度適宜添加して10〜60分位で均
一なアルコール性シリカゾルが形成できるようにすると
良い。触媒量が多くなるとアルコール性シリカゾルの形
成が早くなるが、ゾルの安定性が悪くなり、すぐに半透
明性のゲルを生成し望ましくない。反応温度は通常5〜
60℃、好ましくは10〜30℃である。またアンモニ
ア水などのアルカリ触媒は、ゾルが半透明性となり、ま
たゲル化を促進してゾルの安定性を悪くするので望まし
くない。
【0015】次に本発明のアルコール性シリカゾル組成
物を用いて行う、プラスチックの表面改質について説明
する。当該アルコール性シリカゾル組成は、ガラス板な
どには密着性の良い堅いコーティング膜を形成するが、
ポリカーボネートなどのプラスチックには濡れ性が悪い
ので、プラスチックに塗布するに当たっては、濡れ性と
密着性の改善のために、予めプラスチック表面にプライ
マーをコーティングすることが必要である。プライマー
としては、プラスチックに対する密着性はもとより当該
アルコール性シリカゾル組成物と親和性のあることが必
要であった。本発明においては、ヒドロキシル基、グリ
シジル基、アミド基などの官能基を有し、室温で造膜性
のあるアクリル系の超微粒子の水分散系高分子ミクロス
フエアがプライマーとして好適に用いられる。このもの
は、プラスチック基材に対して濡れ性も良く、またレベ
リング性が自由に調製でき塗工作業性に優れ、ディップ
コート、ロールコート、カーテンフローコートをはじめ
通常の種々の塗装方法が採用でき好適である。プライマ
ーのコーティングの厚さは常法と特に異なるものではな
い。好ましくは5〜20μmである。
【0016】プライマーとしてヒドロキシル基などの官
能基を有しない高分子ミクロスフエアを用いた場合は、
アルコール性シリカゾルをその上にコーティングした際
にコーティング膜が白化したり、剥離しやすくなるなど
不適切であった。本発明に用いられる高分子ミクロスフ
エアとしては、ヒドロキシル基などの官能基を有するア
クリル系ポリマーラテックスも用いられるが、より望ま
しいのは、超微粒子で且つ粒子内が適度に架橋された構
造でありながら、それ自体でも造膜性のある低架橋度の
反応性ミクロゲルをプライマーとして用いた場合であ
る。反応性ミクロゲルは、乾燥によって耐水、耐溶剤性
に優れた高光沢性のコーティング膜を形成するため、上
述のアルコール性シリカゾルをこのコーティング膜の上
に塗布した場合塗面に変化を生ぜず、また塗面が架橋構
造のため相互浸透が抑制され、表面ほどポリシロキサン
結合に富んだ構造をとるからである。このような反応ミ
クロゲルとしては特公平7−80971号、「塗装工
学」Vol.22,No.9, 384(1987)に
記載されているものを用いることができる。
【0017】本発明において、基材上にアルコール性シ
リカゾル組成物を塗布、乾燥硬化後の膜厚は通常1〜5
0μmの厚さであるが密着性、硬度の点から下限は5μ
m以上が良く上限は20μm以下が好ましい。アルコー
ル性シリカゾルの塗布後、乾燥硬化させるがこれは常温
でもよいが、好ましくは60〜180℃、より好ましく
は100〜150℃で行う。硬化時間は通常100℃以
上ならば3分以上、好ましくは15〜30分である。本
発明においては、室温で造膜性のある高分子ミクロスフ
エアで水素結合する官能基を有するアクリル系の反応性
ミクロゲルなどの高分子ミクロスフエアをプライマーに
用いることによって、オルガノシロキサンとプラスチッ
クとの密着性が大きく改善されるが、興味あることに、
塗膜の表面硬度が高く、耐擦傷性があるにもかかわらず
塗膜にフレキシビリティーがあり、若干の曲げには亀裂
も生ぜず、基板をかなり曲げても塗膜面が剥離しないと
いう好ましい特性を示すことが認められた。塗膜は、鉛
筆硬度で7H以上あり0番のスチールウール(中心径2
5μm)擦ると僅かに傷が付くが、0000番のスチー
ルウールでは全く傷は付かなかった。
【0018】本発明によって得られたハードコーティン
グ膜は耐水性が良好で、長期間水中においても全く変化
はみられない。また、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸メチルなどは有機溶剤に容易に侵されるが当該ハー
ドコーティングによって基材の耐溶剤性も著しく改善さ
れ、アルコール、ケトン、ベンゼン、ヘキサンを含有す
る布でラビングしても変化はみられない。本発明におけ
る塗膜形成法としては、粘性が低く、また粘度の調整も
容易であることからディッピング、スプレー、ロール、
フロー、スピン、バーコートなどの通常の塗装方法が採
用できる。本発明は透明性プラスチックに対する無色透
明、高光沢性のハードコーティングとして好適であるが
着色剤を配合して各種色相のものを塗装することもでき
る。本発明の方法は、ポリカーボネート、ポリメタクリ
ル酸メチル、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、
塩化ビニル樹脂板など各種のプラスチックの表面改質に
好適であり、特に透明性のプラスチック、とりわけポリ
カーボネートの表面の耐スクラッチ性、耐磨耗性、耐候
性、耐溶剤性に極めて有用である。特に透明プラスチッ
クの表面特性の向上による製品の寿命の延長は大きなニ
ーズがあり、各種成形品、例えば雑貨、日用品をはじめ
航空機の窓やドア材、オートバイの風防、ヘッドライト
や各種照明器具カバー、看板、ディスプレーなどの大型
の材料やメーターパネル、機器カバーなどへのコーティ
ング法として有用である。
【0019】
【実施例】次に本発明を参考例、実施例に基づいてさら
に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定され
るものではない。なお、例中、部及び比はそれぞれ重量
部及び重量比を示す。
【0020】参考例1 ガス導入管、還流冷却器、pH測定用複合ガラス電極及
びかき混ぜ装置を備えた1000mlの4つ口フラスコ
を用い、蒸留水400ml中に乳化剤として系中濃度が
5.0(g/100ml)の市販の反応性乳化剤ニュー
フロンテアA−229E(商品名、第一工業製薬社製
品、リン酸エステル系乳化剤)を溶解し50〜60℃に
保つ。重合単量体としてアクリル酸エチルとメタクリル
酸メチルにさらに2−ヒドロキシエチルメタクリレート
を重量混合比で60/40/5の割合で混合した混合モ
ノマー300gを用意し、最初そのうち50gを重合フ
ラスコ中に分散乳化させ、一定のかき混ぜ状を保ちなが
ら微量の硫酸銅水溶液(系中濃度5.0×10-7mol
/リットル)を添加した後、過硫酸カリウム−チオ硫酸
ナトリウムの等モル量からなるレドックス重合開始剤
(系中濃度3.0×10-3mol/リットル)で50〜
60℃、pH4〜7で重合を開始させる。ついで、残り
の単量体混合物250gを徐々に滴下しつつ重合熱によ
る昇温を防ぎながら重合を行った。重合は15〜30分
程で終了し、反射光では青白色に、透過光では黄赤色に
見える透明性のある超微粒子の反応性ミクロゲルが得ら
れた。得られた高分子ミクロスフエアの平均粒子径は5
2±11nmであり、粒子内がゆるい架橋構造のミクロ
ゲル(生成皮膜のベンゼンに対する膨潤比は16)であ
るが、室温で造膜性がありガラス板、ポリカーボネート
などに塗布すると無色透明性で高光沢性の密着性の良い
皮膜が形成された。
【0021】参考例2 参考例1と同様の方法で高分子ミクロスフエアの作製に
当たり重合単量体としてアクリル酸エチルとメタクリル
酸メチルに反応性モノマーとしてグリシジルメタクリレ
ートを混合比60/40/2の割合になるよう混合して
参考例1と同じ方法で重合を行い、粒子径57±9nm
の半透明で粘稠な反応性ミクロゲルが得られた。粒子内
の架橋度合いがやや高く(生成皮膜のベンゼンに対する
膨潤比は5)、室温では造膜性が劣るが、120℃のホ
ットプレート上で乾燥させると無色透明高光沢性の平滑
な膜が形成された。
【0022】参考例3 参考例1と同様な方法と重合条件で、ただ重合単量体に
アクリル酸エチルに2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トを混合比100/2として重合して得られた反応性ミ
クロゲルは、メタクリル酸メチルを含まないためにガラ
ス転移温度Tgが低く、柔らかい皮膜を形成した。
【0023】実施例1 メチルトリエトキシシラン5部にテトラメトキシシラン
1部を混合したアルコキシシラン(混合比5:1)に水
を6部(アルコキシシランと水の混合比は1:1)と酸
触媒(酢酸なら0.1部あるいは0.1Nの塩酸なら
0.1部、クエン酸結晶なら0.025部)を混合して
室温で10〜20分マグネットスタラーでかき混ぜる
と、最初油滴状に分散していたアルコキシシランが加水
分解・重縮合して無色透明性の均一なアルコール性シリ
カゾル溶液が形成された。このアルコール性シリカゾル
は1週間くらいは外観上は変化がなく、その後徐々に半
透明性に濁って粘着性のある固形物の沈殿を生じた。こ
の場合、酸触媒は少ないほどアルコール性シリカゾルの
保存安定性は増すが、酸触媒が多いほど調製直後の生成
皮膜の硬度は増加する。
【0024】実施例2 メチルトリエトキシシランとテトラメトキシシランとの
混合比を3:1に変えた以外は実施例1と同様にして加
水分解・重縮合を行わせたところ、10〜20分で無色
透明性のアルコール性シリカゾルが得られた。
【0025】実施例3 メチルトリエトキシシランとテトラメトキシシランとの
混合比は5:1のアルコキシシランの混合液としたが、
このアルコキシシランに水の量を等倍でなく6倍量添加
した以外は実施例1と同様に加水分解・重縮合を行わせ
たところ、10〜30分のかき混ぜによって無色透明性
のアルコール性シリカゾルが得られた。
【0026】実施例4 ポリカーボネートシート(日本ジーイープラスチックス
株式会社製、レキサン;厚さ0.5mm、両面保護膜付
き)の保護膜をはがした試験片に、参考例1で作製した
水分散系高分子ミクロスフエア(アクリル系反応性ミク
ロゲル)を流延し、あるいは、ヨシミツ精機株式会社製
YBA型ベーカーアプリケータ(塗工の隙間150μ
m)を用いてコーティング後、表面温度130℃のホッ
トプレート上で数分乾燥した。ついで実施例1で作製し
たアルコール性シリカゾルを、その上に流延し、直ちに
130℃のホットプレート上で10〜15分程乾燥する
と高光沢性で密着性の良い表面が堅いコーティング膜が
形成された。コーティング膜は無色透明平滑で、爪で強
く引っかいても傷が付かず、0番の家庭用品のスチール
ウール(中心径25μm)で強く擦ると少し傷が付いた
が、000番のスチールウールの場合はほとんど傷が付
かなかった。塗膜の密着性は非常に良く、Xカット・テ
ープテストの評価点は、はがれが全くない10点であ
り、碁盤目カットのテープ剥離試験は100/100
で、シートを若干曲げてもコーティング膜に変化がみら
れなかった。コーティング膜の耐水性は良好で、水中に
1週間以上浸漬しても表面に全く変化がみられず、ま
た、各種の有機溶剤(アルコール、ケトン、テトラヒド
ロフラン、ベンゼン)を含ませた布で擦っても変化がみ
られなかった。
【0027】実施例5 実施例4において、参考例1で作製した反応性ミクロゲ
ルの代わりに、参考例2で作製した反応性ミクロゲルを
用いた以外は全く同様にしてコーティングを行ったとこ
ろ、実施例1の場合と同様の物性を示した。また、コー
ティング膜を自然乾燥硬化させた場合も120℃で加熱
乾燥硬化した場合と同様に、耐擦傷性のある耐水性、耐
薬品性に優れた膜が形成された。
【0028】比較例1 実施例4において、水分散系高分子ミクロスフエアをプ
ライマーとしてポリカーボネートにコーティングするこ
となく、ポリカーボネートシートに実施例1で作製した
アルコール性シリカゾルを直接コーティングし120℃
のホットプレート上で乾燥硬化した。濡れ性が若干悪か
ったが数分程度で無色透明性の堅いコーティング膜が形
成された。しかし、コーティング膜とポリカーボネート
シートとの密着性が悪く、爪で引っかくとすぐ剥離し、
また、スチールウールで擦ると容易に剥離し実用に耐え
なかった。
【0029】実施例6 実施例1において参考例1のアクリル系反応性ミクロゲ
ルを用いる代わりに、参考例3で作製したガラス転移温
度がより低い軟質の反応性ミクロゲルをプライマーとし
て用いた場合で、実施例1で作製したアルコール性シリ
カゾルを、当該プライマー層の上にコーティングした場
合は、密着性の良い透明なコーティング膜が形成され
た。しかし、爪で引っかくと容易に傷が付き、また、耐
擦傷性が全くなかった。しかし、アルコール性シリカゾ
ルのコーティングを繰り返して3回以上行った場合は、
爪で強く引っかいても全く傷が付かなくなり、耐擦傷性
に優れた密着性の良い良好なコーティング膜が形成され
た。
【0030】比較例2 実施例4において、参考例1のアクリル系反応性ミクロ
ゲルを用いる代わりに、市販の各種のポリマーラテック
スや水素結合に関与する官能基を有しないアクリル系の
ポリマーラテックスをプライマーとして用いた場合は、
アルコール性シリカゾルをコーティングする際に、プラ
イマー層のコーティング膜が白化したり、膨潤して透明
性を損なう場合が認められた。また、アルコール性シリ
カゾルが下地のプライマー層に相互浸透しやすく、生成
したコーティング膜は軟化して爪で引っかくと容易に傷
が付くなど望ましくなかった。
【0031】実施例7 実施例4と同様の方法でポリカーボネートの表面に実施
例2で作製したメチルトリエトキシシランとテトラメト
キシシランの混合比が3:1のアルコキシシランから作
られたアルコール性シリカゾルをコーティングした場合
は、わずかながら薄いスジを生じたが、堅く密着性の良
いコーティング膜を形成した。
【0032】
【発明の効果】本発明の無色透明性低粘性のアルコール
性シリカゾル組成物は、これをプラスチック材にコーテ
ィングすることにより、特に、ポリカーボネート、メタ
クリル樹脂などの透明プラスチック材に本発明の方法で
コーティングすることにより、その表面の耐擦傷性、耐
磨耗性、耐薬品性、耐候性など著しく向上させることが
できる。しかも通常の塗装方法を用いるだけで改質でき
ることからコスト的にも有利で、窓ガラス、ドア材、看
板、風防、各種照明器具カバーなどの大型のプラスチッ
ク製品の表面特性向上によるプラスチック製品の寿命の
延長など実用上の意義が極めて大きい。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリアルコキシシランとテトラアルコキ
    シシランとを重量比3:1〜15:1で含有するアルコ
    キシシランに対し重量比で1/6倍から2倍量の水を添
    加し、酸触媒の存在下で加水分解・重縮合して得られる
    無色透明低粘性のアルコール性シリカゾル組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアルコール性シリカゾ
    ル組成物をプラスチック基材に塗布するに当って、官能
    基を共重合成分中に含むアクリル系の微粒子高分子ミク
    ロスフエアをプライマーとしてプラスチック表面に、予
    め塗布後、前記のアルコール性シリカゾル組成物を塗布
    し、乾燥硬化させることを特徴とするプラスチック基材
    の表面改質方法。
JP26815395A 1995-10-17 1995-10-17 アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法 Expired - Lifetime JP2708095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26815395A JP2708095B2 (ja) 1995-10-17 1995-10-17 アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26815395A JP2708095B2 (ja) 1995-10-17 1995-10-17 アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09111120A JPH09111120A (ja) 1997-04-28
JP2708095B2 true JP2708095B2 (ja) 1998-02-04

Family

ID=17454639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26815395A Expired - Lifetime JP2708095B2 (ja) 1995-10-17 1995-10-17 アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2708095B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11131020A (ja) * 1997-10-29 1999-05-18 Daikin Ind Ltd 塗料用組成物
CN112760030B (zh) * 2021-02-01 2023-08-18 湖南湘龙建材有限公司 耐磨高强型涂料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09111120A (ja) 1997-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5840428A (en) Organically-modified, radiation-curable siloxane resin and method of making the same
CA1315450C (en) Compositions and processes for producing scratch resistant polysiloxane coatings
JPH0218048A (ja) 防曇性被膜
JPS6312106B2 (ja)
JPH0516002B2 (ja)
JPH036282A (ja) プライマー組成物
EP1232219B1 (en) Coating materials
JP3772524B2 (ja) 水系コーティング樹脂組成物およびそれを用いた塗装品
JP3783453B2 (ja) エポキシ樹脂−ケイ素系ハイブリッド材料用組成物、コーティング剤およびプラスチックの表面コーティング方法
JP4759780B2 (ja) 低屈折率組成物、低屈折率膜、光学多層膜および反射防止膜
JP2708095B2 (ja) アルコール性シリカゾル組成物とそれを用いたプラスチック基材の表面改質方法
JP3225859B2 (ja) シリコーン転写フィルム、及びその転写構成体
JP2913013B2 (ja) プラスチック成形品の表面改質方法及びそれに用いるアルコール性シリカゾル組成物
JPH07247447A (ja) コーティング用組成物、その製造方法、塗膜形成方法および塗膜
JP3467994B2 (ja) シリコーン転写フィルム、及びその転写構成体
JP2945950B2 (ja) 含フッ素共重合体ワニス組成物と塗布膜の形成方法
JP4378817B2 (ja) 着色層付き透明樹脂板、および着色層付き透明樹脂板を用いて作製した遮音板と自動車用窓板
JP3298247B2 (ja) 表面性状が改良された合成樹脂成形品及びその製造方法
JP3091119B2 (ja) 着色層付き透明樹脂板
JPH11302528A (ja) フェノキシ樹脂―ケイ素系ハイブリッド材料用溶液組成物、基材の表面改質剤、その使用方法および表面改質基材
JPS62250017A (ja) シリコン樹脂組成物
JPH05271549A (ja) ポリシロキサン複合重合体の製造法およびコーティング組成物
JPS6332092B2 (ja)
JP3309472B2 (ja) 共重合体樹脂
JP2000327954A (ja) 熱硬化性コーティング組成物

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term