JP2706546B2 - 内周面円筒状体のコーティング方法 - Google Patents

内周面円筒状体のコーティング方法

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JP2706546B2 JP5760290A JP5760290A JP2706546B2 JP 2706546 B2 JP2706546 B2 JP 2706546B2 JP 5760290 A JP5760290 A JP 5760290A JP 5760290 A JP5760290 A JP 5760290A JP 2706546 B2 JP2706546 B2 JP 2706546B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスパッタリング法による内周面円筒状体への
コーティング方法に係わり、特に比較的小径な円筒体の
内面ないし端面部のコーティングに適したコーティング
方法に関する。
〔従来の技術〕
スパッタリング法によるコーティング装置は知られて
おり、その一例として直流二極スパッタリング装置を挙
げることができる。その基本的構造は例えば第19図に示
したものであって、アースされた減圧密閉容器1内に負
電位金属電極(陰極)2を設け放電ガス導入装置3によ
って導入された放電ガス雰囲気下で陽極上に設定した被
コーティング加工材4をコーティングするものである。
この従来装置によれば陰極は陽イオンによって激しく叩
かれるので温度が上昇し、そのままにしておくと陰極が
融けるので冷却水により常時冷却していなければならな
い。上記従来装置はコーティング速度が真空蒸着法によ
る装置に比べると、1桁近く遅くきわめて非能率で決し
て経済的とは言えなかった。これを改良するために減圧
密閉容器内に磁場をかけて陰極から出た電子を直進させ
ず、電子を電極の近くに閉じ込めたり、螺線運動を行わ
せたりして気体分子と衝突する頻度を増し、多数のイオ
ンを生成して、スパッタリングを激しく行わせ、コーテ
ィング速度を早めたマグネトロン・スパッタリング法に
よる装置も採用されて来た。さらに高速の成膜を実現す
る方法として電子のサイクロトロン共鳴を利用して高密
度プラズマを生成できるECRスパッタリング法が開発さ
れている。
しかし、このECRスパッタリング法も欠点がないわけ
ではなく、通常使用されている導波管や空洞共振器では
マイクロ波の周波数により一意に決まる遮断波長がある
ため、被コーティング円筒体の口径(内径)がこの遮断
波長以下の小口径の管体、円筒体等である場合には、そ
れらの内面にコーティングを施すことができなかった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、従前のスパッタリング法では前述のように
狭隘な場所のコーティングが困難であった点に鑑み、小
口径の被コーティング材でも容易に内面等のコーティン
グができる内周面円筒状体のコーティング方法を提供す
ることを解決しようとする課題とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記課題を解決するために遮断波長のない同
軸モードを用いることに着目して所期の目的を達成する
もので、本発明の内周面円筒状体のコーティング方法
は、真空装置内に内周面円筒状体とこの内周面円筒状体
の内部に同軸上に設けられた中心電極(ターゲット)を
配設し、前記真空装置内を減圧して放電ガスを供給し、
前記内周面円筒状体の内部に磁場を印加するとともにマ
イクロ波を照射して電子サイクロトロン共鳴プラズマを
発生させ、前記中心電極を前記内周面円筒状体に対し負
電位としてスパッタリングを発生させ、前記内周面円筒
状体の内面をコーティングすることを特徴とする。
〔作 用〕
減圧下のアルゴンガスなどの放電ガス内に内周面円筒
状体を設置し、この内周面円筒状体の軸心上にターゲッ
トとなる中心電極(以下ターゲットという)を設けて同
軸導波管を形成し、この同軸導波管内にマイクロ波を照
射すると共にこのマイクロ波の周波数に対応した磁場を
印加すると、電子サイクロトロン共鳴プラズマが発生す
る。そしてターゲットを負電位とし、内周面円筒状体を
アースするとターゲットにプラズマ中の正イオンが衝突
し、ターゲットより原子や分子がスパッタリングされ内
周面円筒状体の内面にこれらの原子,分子による被膜が
形成される。セラミックスなどの絶縁体の内面にコーテ
ィングするときは、前記内周面円筒状体の内側に円筒状
の絶縁体を設置すれば、この絶縁体の内面に被膜が形成
される。
ターゲットを直流的に周囲から絶縁すると、ターゲッ
トはプラズマ中に浮いていることになり、この電位はプ
ラズマによって決定される。ターゲットにはプラズマの
電子と正イオンが入ってくるようになるが、ターゲット
が外部回路から遮断されているため電流が流れることは
できない。つまり、ターゲットに流入する正イオンと電
子の量をそれぞれIi=enivi,Ie=eneve、(ni,viはイオ
ンの密度と速度,ne,veは電子の密度と速度)とするとIi
=Ieとなる必要があるが、通常ni=ne,vi≪Veのため、I
i≪Ieとなり、この結果プラズマ中におかれたターゲッ
トは負の電位になってIi=Ieを満たそうとする(自己バ
イアス効果)。この効果により外部からターゲットに負
の電位を印加しなくても負の電位とすることができる。
プラズマ中の磁力線1本1本は独立に電位をもつこと
ができる。1本の磁力線上ではどこも同電位である。こ
れは同じ磁力線に電位差があると電子が移動して電位を
打ち消すからである。そこで内周面円筒状体とターゲッ
トで形成される同軸体の端面にこの同軸体と同心の円お
よび円環状の分割電極を設け、この電位を制御すると各
磁力線の電位を制御することができ、スパッタリングを
制御することができる。ターゲットと分割電極を同一素
材で形成すると分割電極もターゲットとなり、スパッタ
リングを生じ、内面円周状体の分割電極と対向する端面
にも被膜を形成することができる。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例を第1図〜第18図を用いて説明
する。
第1図(a)は本実施例を実施する装置の全体構成図
である。本装置はコーティング対象となるパイプ11の内
面に被膜を形成する成膜部10と、成膜部10へのマイクロ
波を導波管モードから同軸モードに変換する同軸変換器
20と、同軸変換器20にマイクロ波を伝播させるマイクロ
波導波路30と、成膜部10と同軸変換器20を内蔵し、真空
空間を形成する密閉管体40と、この密閉管体40内に磁場
を発生させる磁場コイル50と、前記マイクロ波導波管30
へマイクロ波を照射する図示しないマイクロ波発生装置
と、密閉管体40を真空にする真空ポンプと、密閉管体40
内に放電ガスを導入する放電ガス導入装置とによって構
成されている。なお真空ポンプと放電ガス導入装置は図
示されていない。密閉管体40は、内部の電子温度,電子
密度,イオン飽和電流などを計測するプローブ42′を取
り付けるプローブ取付座42と、マイクロ波導波路30を貫
通させる貫通座43と、真空ポンプとの接続部44と放電ガ
ス導入装置との接続部45とを主体部41および蓋部41′に
備え、密閉管体40の主体部41の中央部には、磁場コイル
50が数列巻回されている。第1図(b)は、密閉管体40
の軸方向の磁束密度Bの分布の一例を表わしたものであ
る。
第2図(a)は成膜部10と同軸変換器20の縦断面図で
あり、成膜部10は、内面や端面,ないし外面に被膜が形
成されるコーティング対象となる小口径のパイプ11と、
このパイプ11の中心軸上に配設される電極すなわちター
ゲット12を備えている。16はパイプ11を同軸変換器20に
取り付けるためのフランジ16である。
同軸変換器20は、密閉管体40の貫通座43によって密閉
管体40の内部の軸心上まで延在するマイクロ波導波路30
のための箱体21を備え、この箱体21にはその一側面に取
り付けられた同軸路部22に前記成膜部10のパイプを取り
付けるためのフランジ23と、マイクロ波導波路30を取り
付けるためのフランジ24とを備え、フランジ23はパイプ
11側のフランジ16を固定してパイプ11を水平に支持し、
フランジ24はマイクロ波導波路30を固定する。
ターゲット12は同軸変換器20の同軸路部22の中心導体
25に固定する。第2図(b)は第2図(a)のA−A断
面より矢印の方向に見た断面図を示す。
第3図はマイクロ波導波路30を示したもので、このマ
イクロ波導波路30は、前記箱体21と同じ断面形状を有
し、一端で前記フランジ24と接続し、密閉管体40の貫通
座43と貫通フランジ32で接続する貫通部31と、貫通座43
とフランジ32間にパッキングとして介在し、マイクロ波
は通すが前記密閉管体40への大気の侵入を阻止するふっ
素樹脂(商品名テフロン)製の隔壁33と、3本の金属棒
34の挿入量を調整しマイクロ波の電力をプラズマに最大
に供給するスタブチューナー35と、成膜部10で生成して
いるプラズマにマイクロ波を照射したときに生ずる反射
波が図示しないマイクロ波発生装置に逆戻りするのを防
止するアイソレータ36と、アイソレータ36と前記マイク
ロ波発生装置との中継部37とから構成されている。
第4図(b)はスタブチューナー35の構造を略図的に
示したもので、導波管内に3本の金属棒34を立てて並べ
ることにより形成されている。この3本の金属棒34の深
さ即ち、マイクロ波導波路30内への突出量を変えること
により負荷から反射して戻って来た波rと金属棒34で反
射した波r′の位相と振幅を調整し第4図(a)に示す
ように反射波r,r′を互いに干渉させて無反射状態とす
ることでマイクロ波の電力がすべて負荷に吸収されるよ
うに整合をとるものである。
第5図(a),(b),(c)は3種類のマイクロ波
の導波モードを表わしたもので、(a)は矩形断面の導
波管内を通過するマイクロ波による高周波電界を示す導
波管モードを表わしたものであり、第5図(b)は円形
断面の導波管内を通過するマイクロ波による高周波電界
を示す円形モードを表わしたものであり、第5図(c)
は同軸導波管内を通過するマイクロ波による高周波電界
を示す同軸モードを表わしたものである。
本装置ではマイクロ波発生装置で発生したマイクロ波
を伝送効率のよい導波管モード(第5図(a))で伝送
し、マイクロ波導波路30を通過した後は減圧管体40内に
設けた同軸変換器20で同軸モード(第5図(c))に変
換している。この変換方法を第6図を用いて説明する。
マイクロ波導波路30を通過したマイクロ波は第2図に
示す同軸変換器20の矩形断面部21において第6図に示す
ような定在波を発生する。マイクロ波の定在波は空間的
に進行しない波で、進行方向が互いに逆となる同一振動
数の進行波が重なり合うことにより、当該進行波が境界
で反射される場所に生ずるものであるが、同軸変換器20
はこの定在波の電界が最大となるいわゆる腹の場所に導
体25が設置されているので、マイクロ波はそのまま矩形
モードから同軸モードに変換される。
次にパイプ11の内面および端面に対する被膜形成法に
ついて説明する。
真空ポンプを作動させ、密閉管体40内を減圧し、放電
ガス導入装置より放電ガスを注入する。磁場コイル50に
電流を通すと共にマイクロ波発生装置よりマイクロ波導
波路30へマイクロ波を照射するとパイプ11内にはECRプ
ラズマが発生する。次にターゲット12に負の電位を印加
し、パイプ11はアース電位とする。これによりECRプラ
ズマ中のイオンが負の電位となったターゲット12に衝突
しターゲット12の原子または分子を放出するスパッタリ
ング法を生じ、この放出された原子,分子がパイプ11の
内面に被膜を形成する。
次に第1実施例の処理条件および結果について説明す
る。処理条件を次に示す。
放電ガス:N2+Ar(流量比でN2:10〜30%) ガス圧:10-3〜10-4torr 中心電極(ターゲット):外径×材質=8mm×Ti(99.99
9%) パイプ(基板):外径×内径×材質=19mm×17mm×鋼 磁束密度:875Gauss マイクロ波発生装置:マグネトロン,900W×2.45GHz,電
源として、60Hzの交流を半波整流して使用。
磁束密度Bは次のようにして決められる。ECRプラズ
マ中の電子のサイクロトロン周波数をfcとすると、マイ
クロ波の周波数をfとしてECR条件はf=fcで与えられ
る。またfc=2.8*B〔GHz〕(BはKGauss)の関係があ
るのでf=2.45GHzとすると、B=fc/2.8=2.45/2.8=
0.875KGauss=875Gaussとなる。
次に処理状態および結果について第7図〜第12図を用
いて説明する。
第7図〜第12図はECRプラズマの状態を示す図で、プ
ラズマパラメータの測定は平板ラングミュアプローブを
用いた深針法を採用した。
第7図は(a)がマイクロ波の反射波Prの時間展開,
(b)がイオン飽和電流Jisの時間展開を示す。マグネ
トロンの電源が60Hzの半波整流を用いているため1周期
約16msecのうち8msec間マイクロ波を発生する。縦軸は
(a)がワット(W)で(b)がアンペア(A)であ
る。(a),(b)よりマイクロ波印加後、1.8msec程
度遅れてイオン飽和電流が生成される。これはECRプラ
ズマ生成に関してマイクロ波パワーにしきい値があるた
めと考えられる。
第8図は第7図のイオン飽和電流JisがECR放電である
ことを確認するために行なった放電領域の磁場と圧力依
存性を示す図である。先に述べたようにマイクロ波周波
数f=2.45GHzに対応する共鳴磁密度Bは875Gaussであ
る。第8図の○点は放電領域の上限の磁束密度を表し、
△点は下限の磁束密度を表わす。これにより共鳴磁束密
度875Gauss付近でプラズマが生成していることからパイ
プ11内にはECRプラズマが生成していることがわかる。
通常圧力が高くなるとECR放電からマイクロ波放電に移
行し磁場の広い範囲でプラズマが生成されるようになる
が、本実施例では圧力が高くなっても放電領域は共鳴磁
場付近に局在している。これは非常に狭い領域にECRプ
ラズマを生成しているため、マイクロ波によって加速さ
れた電子は中性粒子に衝突することなく、パイプ11の内
壁で再結合する確率が大きく、このためマイクロ波放電
は起こり難く、極めて電離効率がよいECR放電のみが起
こるためである。第9図〜第11図はパイプ11の径方向の
プラズマパラメータの分布を示し、第9図は電子密度ne
の分布,第10図は電子温度Teの分布,第11図は空間電位
Vsの分布を示す。圧力は、いずれもp=2×10-4torrで
ある。第9図〜第11図において、r=4mmの位置の縦線
はターゲット12の外径を示し、r=8.5mmの位置の縦線
はパイプ11の内径を示す。電子密度neは第9図に示すよ
うにhill型の分布をしており、ピーク値で8×1010cm-3
の密度となっている。電子温度Teは第10図に示すように
r=4〜7mmの空間ではほぼ一定であり、値はTe=10eV
と高い値となっている。これはECRによって電子が十分
加熱されていることを示している。空間電位Vsも径方向
に一定に分布し、その値Vs=50Vという高い値が得られ
ている。プラズマ中に置かれたターゲット12にイオンは
ほぼVsのエネルギーを持って入射する。このため、Vsが
大きいほど高エネルギーのイオンがターゲットに入射し
大きなエネルギーのイオン程激しくスパッタリングを生
じ、パイプ11の内面に膜を形成する速度が上昇する。第
12図はイオン飽和電流Jisの径方向分布の時間発展を示
す図でありプラズマの形成過程を表わしている。プラズ
マはターゲット12に近傍の電界強度が強いところから生
成され始め(t=1.8msec)、その後急速に立ち上がり
定常状態(t=2.0msec)に達する。なお本実施例に使
用したマグネトロンには、電源として60Hzの交流を半波
整流して用いたため、約16msecの1サイクル中、半分の
8msecしかマイクロ波を発生せず、このためECRプラズマ
もこれに対応した時間発生するのみであるが、直流電源
を用いることによりマイクロ波を持続的に発振すること
ができるので成膜速度を倍増することができる。
前記プラズマパラメータを整理すると次のようにな
る。
電子密度ne=1010〜1012cm-3 電子温度Te=10eV〜100eV 空間電位Vs=数eV〜数十V これを他のスパッタリング方法によるデータと比較し
てみる。
直流又は高周波グロー放電スパッタリング方法の場
合、 ne=108〜1010cm-3 Te=≦10eV Vs=数eV〜数十eV 対向ターゲットのマグネトロンスパッタリング方法の
場合、 ne=109〜1012cm-3 Te≦10eV Vs=数eV〜数十eV なお、マグネトロンスパッタリング方法は高速成膜方
法として知られているが、本実施例のプラズマ密度は、
このマグネトロンスパッタリング方法によるプラズマ密
度と同等以上である。しかも放電ガス圧はマグネトロン
スパッタリング方法の1/10以下であるのでマグネトロン
スパッタリング方法よりも有利であると言える。
本実施例による成膜の一例を次に示す。
膜の種類:TiN膜 膜の性質 硬度:1200〜2000kg/mm2(ビッカース硬さHv) 比摩耗量:10-7〜10-8/mm2kgf(膜厚5μm) 次に第2実施例を第13図〜第16図を用いて説明する。
第13図と第14図は第2実施例を実施する場合の成膜部10
を示し、ターゲット12を浮遊電極とし、パイプ11とター
ゲット12の端部に分割電極14,15を設けたもので、ター
ゲット12に対応する部分には円板状の分割電極14を設け
て可変負電位を与え、パイプ11とターゲット12との間に
形成されるプラズマ空間部、すなわち同軸導波路11′の
端部には円環状の分割電極15を設けて可変電位を与え
る。ターゲット12は、パイプ11の中心軸上に配設され、
耐熱性絶縁体13で絶縁支持され浮遊電極となっている。
第13図においてターゲット12,12間の絶縁体13の厚みは
約1mmである。上記以外の条件は第1実施例の場合と同
じである。
次に第2実施例の特徴である分割電極の動作を主体と
して説明する。
第13図に示すようにパイプ11とターゲット12とで構成
される同軸導波路11′に磁束Bが印加されマイクロ波が
照射されるとECRプラズマが発生する。プラズマ内の電
子は第13図に示すように磁力線に巻きついて運動する。
この動作を第15図を用いて説明する。同図において磁束
B中の電子は水平の線で示した磁力線に巻きついて運動
する。プラズマ中の電位はイオンと電子の差で決まるが
イオンより質量の小さい電子の方が動きやすいので電位
は殆ど電子によって決定される。このため強磁場中では
ほぼ磁力線1本1本が独立に電位をもつことが可能とな
り、1本の磁力線上ではどこもほぼ同電位となる。この
ため点Q4に電位Vdを与えると同じ磁力線上の点P4も点Q4
と同電位のVdとなる。故に、S1面のQ1〜Q7のそれぞれ電
位分布を与えることによりS2面のP1〜P7の電位を制御す
ることができる。Rを浮遊電極とすると点Q5の電位を制
御することにより浮遊電極Rの電位を制御することがで
きる。これを利用し、ターゲット12の電位は分割電極14
の電位を制御することにより制御でき、プラズマの電位
は分割電極15の電位を制御することにより制御すること
ができる。これによりパイプ11内面に形成する被膜の形
成速度や厚みを容易に制御できるようになる。なお、分
割電極15を多くの円環電極に更に分割することによりプ
ラズマの電位を細かく制御することができる。また、上
記分割電極14,15は第16図に示すようにマイクロ波を反
射する役目もし、同軸導波路11′の端部からマイクロ波
が漏れるのを防ぎ、同軸導波路11′内のプラズマ密度を
密にする。この分割電極14,15にターゲット12と同じAl
またはTiなどのターゲット材を用いると、スパッタリン
グした粒子がパイプ11の端面にも作用し、端面のコーテ
ィングを可能にする。
次に第17図,第18図を用いて第3実施例を説明する。
第3実施例は、被コーティング材を絶縁体としたもの
であり、絶縁体としてセラミックスを用いたものであ
る。第17図は、第13図におけるパイプ11の内面にパイプ
11の内径より若干小さな外径を有する円筒状のセラミッ
クス17を配設したもので、他は第2実施例と同一であ
る。
本実施例により明らかのように、金属のみならず、半
導体,絶縁体を被コーティング材とすることができる。
なお、第1〜第3実施例では被コーティング材または被
コーティング材を内蔵するパイプ11の外形は円筒状であ
るが、内面のみ円筒状としターゲット12と共に同軸導波
路11′を形成するようにすれば、外形は円筒状である必
要はなく、例えば多角柱でもよい。
〔発明の効果〕
本発明は遮断波長のない同軸モードを用いて小口径円
筒体や管体内でECRプラズマを生成してスパッタリング
により、その小口径管等の内面にコーティング被膜を形
成するものであるから、成膜速度が早く緻密度の高い膜
を安価に作ることができる。
【図面の簡単な説明】 図面は本発明を実施する装置および発明の内容を説明す
るもので第1図(a)は装置の概略構成図、第1図
(b)は第1図(a)に示す減圧管体の内部に形成され
る磁場配置を当該減圧管体に対応させて示したグラフ、
第2図(a)は成膜部と同軸変換器を示す概略断面図、
第2図(b)は第2図(a)のA−A断面より矢印の方
向に見た断面図、第3図はマイクロ波導波路を同軸変換
器と共に示した正面図、第4図(a)はマイクロ波の反
射波が発生する模式図、第4図(b)は反射波の位相と
振幅をマイクロ波の振幅と逆位相に調整するスタブチュ
ーナーの模式図、第5図(a),(b)はマイクロ波の
導波管モード、第5図(c)は同軸モードをそれぞれ示
す模式図、第6図は同軸変換を示す模式図、第7図
(a)はマイクロ波の反射波の時間発展を示す図、第7
図(b)はイオン飽和電流の時間発展を示す図、第8図
は放電領域の磁場と圧力依存性を示す図、第9図は電子
密度の径方向の分布を示す図、第10図は電子温度の径方
向の分布を示す図、第11図は空間電位の径方向の分布を
示す図、第12図はイオン飽和電流の径方向分布の時間発
展を示す図、第13図は内周面円筒状体内面に生成された
プラズマ中で、ターゲットが浮遊電極を構成している状
態と磁力線の方向を示す説明図、第14図は内周面円筒状
体と中心電極に分割電極を対応させて示した説明図、第
15図は内周面円筒状体内に生成されたプラズマ中の磁力
線と電子の関係を示す説明図、第16図は浮遊電極と分割
電極の作用を示す図、第17図は円筒状絶縁体の内面およ
び端面をコーティングする場合の説明図、第18図は第17
図の部分外観図、第19図は従来の装置の一例を示す概略
図である。 10……成膜部 11……内周面円筒状体(パイプ) 12……中心電極(ターゲット) 14,15……分割電極 20……同軸変換器 30……マイクロ波導波路 40……密閉型減圧管体 50……磁場コイル

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空装置内に内周面円筒状体とこの内周面
    円筒状体の内部に同軸上に設けられた中心電極を配設
    し、前記真空装置内を減圧して放電ガスを供給し、前記
    内周面円筒状体の内部に磁場を印加するとともにマイク
    ロ波を照射して電子サイクロトロン共鳴プラズマを発生
    させ、前記中心電極を前記内周面円筒状体に対し負電位
    としてスパッタリングを発生させ、前記内周面円筒状体
    の内面をコーティングすることを特徴とする内周面円筒
    状体のコーティング方法。
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