JP2706002B2 - 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法 - Google Patents

易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

Info

Publication number
JP2706002B2
JP2706002B2 JP3042385A JP4238591A JP2706002B2 JP 2706002 B2 JP2706002 B2 JP 2706002B2 JP 3042385 A JP3042385 A JP 3042385A JP 4238591 A JP4238591 A JP 4238591A JP 2706002 B2 JP2706002 B2 JP 2706002B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
acid
polyester
polyester film
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3042385A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04261848A (ja
Inventor
輝雄 松永
定美 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP3042385A priority Critical patent/JP2706002B2/ja
Publication of JPH04261848A publication Critical patent/JPH04261848A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2706002B2 publication Critical patent/JP2706002B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体用平坦易接
着性ポリエステルフイルム及びその製造方法に関し、さ
らに詳しくは非常に平坦でかつ滑り性に優れ、しかも磁
性層の接着性に優れビデオテープ、オーディオテープ等
の磁気記録媒体の基材として有用なポリエステルフイル
ム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートからなる二軸延伸フイルムは、優れた
機械的特性、耐熱性、耐薬品性、表面の平坦性等を有す
るため、各種分野で使用されている。特にビデオテー
プ、オーディオテープ等の磁気記録媒体の基材としての
需要の伸びは、近年、目覚ましいものがある。
【0003】一般に磁気記録媒体は、ポリエステルフイ
ルム等の非磁性体(ベースフイルム)上に磁性粉末やバ
インダーと称される樹脂結合剤、分散剤、潤滑剤等を有
機溶剤に分散・混練してなる磁性塗料を塗布・乾燥して
記録層となる磁性層を形成することにより作製されてい
る。
【0004】しかるに、近年、特にビデオテープ等にみ
られるように、電磁気特性の向上、記録密度の向上のた
め、磁性粉末の微粒子化、高充填化とともに磁性層表面
の平坦化がはかられつつある。
【0005】従来磁気記録媒体にあって、ベースフイル
ムと磁性層との間の接着性を高めることにより、テープ
スリット時の歩留り向上、テープ走行時の耐久性改善等
に効果があることが知られているが、特に最近の磁性粉
末の高充填化の場合、磁性層のベースに対する接着性が
著しく悪くなることから、何らかの接着性改善策が必要
不可欠なものとなっている。
【0006】一方、電磁気特性向上のためには、さらに
磁性層表面の平坦化をはかる必要があるが、このために
は、磁性層そのものの平坦化とともに基材となるポリエ
ステルフイルムの表面の平坦化が必須となっている。
【0007】しかしながら、このような平坦なフイルム
は、滑り性が劣ったり捲き取り時の空気の逃げが悪い等
のため、例えば捲き取り、捲き返し、塗布、あるいはス
リット等の作業に重大な支障を及ぼし、例えば捲きじわ
の発生、ロール端面の不揃い、あるいは発生した静電気
による塵埃の吸着等の好ましからざる現象をもたらす。
このような現象はフイルムが薄くなる程顕著となり、更
に捲き取りについてはフイルムが広巾、長尺になる程顕
著となる。
【0008】ところでポリエステルフイルムの接着性を
改善する方法として、物理処理例えばコロナ処理、紫外
線処理、プラズマ処理、EB処理あるいは火焔処理等あ
るいは処理剤例えば、アルカリ、アミン水溶液、トリク
ロル酢酸フェノール類等の薬剤による処理が知られてい
る。しかしながら、これらの方法は接着力の経時劣化や
薬剤の揮散による作業環境の汚染等の実用上不利な問題
がある。
【0009】もう一つの手段としては通常のポリエステ
ルフイルムの製膜工程以外のプロセスでフイルム表面に
易接着性塗剤を塗布してプライマー層を設ける方法が知
られている。しかし、この方法では、通常塗剤の溶剤と
して有機溶剤を用い、またコーティング雰囲気が十分に
クリーンであるとは言い難いので、塵埃の付着による磁
気記録媒体の表面欠陥の多発、あるいは有機溶剤による
環境の悪化等の安全、衛生上の問題がある。
【0010】そこで、このプライマー処理を水系塗剤を
用いてポリエステルの製膜工程中で行なえば、クリーン
な環境の中で塵埃の付着もなく、また水系溶媒のため爆
発の恐れや環境の悪化もなくフイルムの性能、経済面、
安全上の点で有利であることから、プライマーとして水
溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはポ
リウレタン樹脂等を用いることが提案されている。
【0011】しかしながら、かかるプライマー用樹脂材
料にあっては、接着性を高めるために柔らかいものを使
用すると、プライマー層を有するフイルムは保管中の温
度や湿度の変化によってフイルム同士がブロッキング
(貼り付き)してしまうという欠点がある。またこのよ
うなプライマーでは平坦ベースの滑り性、捲き取り等の
取扱い性を改善することは困難である。
【0012】この耐ブロッキング性、滑り性、取扱い性
を解決するため、多少接着性を犠牲にして、ヤング率の
高い樹脂を使用することも考えられるが、この場合には
プライマー層の表面平滑性が損なわれたり、磁気塗料の
塗布工程やカレンダー工程でプライマー層が削れるとい
う問題が生じ易い。
【0013】
【発明の目的】本発明の目的は、磁性層とベースフイル
ムとの接着性を改善するとともに、平坦なベースフイル
ムの滑り性、取扱い性を改良した磁気記録媒体用平坦易
接着性ポリエステルフイルムを提供することにある。
【0014】本発明の他の目的はかかる平坦易接着性ポ
リエステルフイルムを製造する好ましい方法を提供する
ことにある。
【0015】
【発明の構成】本発明は、かかる目的を達成するため
に、次の構成からなる。 1.中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm以下でかつ
十点平均粗さ(Rz)が0.1μm以下であり、厚みが
20μm以下のポリエステルフイルムの少くとも片面に
ガラス転移温度(Tg)が10℃以上のエステル・アク
リルコポリマー(A)及びアニオン性基を有するポリウ
レタン(B)からなるプライマー層を設けていることを
特徴とする磁気記録媒体用平坦易接着性ポリエステルフ
イルム。 2.結晶配向が完了する前のポリエステルフイルムの少
くとも片面にガラス転移温度(Tg)が10℃以上のエ
ステル・アクリルコポリマー(A)とアニオン性基を有
するポリウレタン(B)を含む水性プライマー液を塗布
し、次いで乾燥・延伸・熱処理を施して結晶配向を完了
させることを特徴とする、上記1記載の磁気記録媒体用
平坦易接着性ポリエステルフイルムを製造する方法。
【0016】本発明においてポリエステルとは、芳香族
二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールま
たはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽
和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例と
して、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,
4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等
が例示でき、これらの共重合体またはこれらと小割合の
他樹脂とのブレンド物なども含まれる。
【0017】かかる線状飽和ポリエステル樹脂を溶融押
出し、常法でフイルム状となし、配向結晶化および熱処
理結晶化せしめたものが本発明のポリエステルフイルム
である。このポリエステルフイルムとしては、結晶融解
熱として走査型熱量計によって窒素気流中[10℃/分
の昇温速度において]で測定した値が通常4cal /g以
上を呈する程度に結晶配向したものが好ましい。
【0018】本発明において、結晶配向が完了する前の
ポリエステルフイルムとは、該ポリマーを熱溶融してそ
のままフイルム状となした未延伸状フイルム;未延伸フ
イルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめ
た一軸延伸フイルム;さらには縦方向および横方向の二
方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向ま
たは横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる
前の二軸延伸フイルム)等を含むものである。
【0019】本発明においてポリエステルフイルムは、
中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm以下でかつ十点
平均粗さ(Rz)が0.1μm以下である必要がある。
好ましくは中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜0.0
01μmの範囲内でかつ十点平均粗さ(Rz)が0.1
〜0.01μmの範囲内にある。
【0020】このような表面粗さは、ポリエステル中に
微細フィラー例えば酸化ケイ素、カオリン、タルク、炭
酸カルシウム、アルミナ等を含有させ、この粒径、含有
量を調整することで達成できる。好ましいフィラーの粒
径は0.02〜1μmの範囲にある。特に0.02〜
0.2μmの小粒径フィラーと0.2〜1μmの大粒径
フィラーとを組合せることが好ましい。好ましい含有量
は0.005〜0.5重量%である。
【0021】本発明においてプライマー層を形成する成
分のエステル・アクリルコポリマー(A)は水性ポリマ
ーであり、例えば水性ポリエステル・ポリアクリルブロ
ックポリマー、幹ポリマーがポリエステルでありこれに
ポリアクリルをグラフトさせた水性ポリエステル・ポリ
アクリルグラフトコポリマー、幹ポリマーがポリアクリ
ルでありこれにポリエステルをグラフトさせた水性ポリ
アクリル・ポリエステルグラフトコポリマー等を挙げる
ことができる。これらの中幹ポリマーがポリエステルで
ありこれにポリアクリルをグラフトさせた水性ポリエス
テル・ポリアクリルグラフトコポリマーが最も好まし
い。
【0022】この水性ポリエステル・ポリアクリルグラ
フトコポリマーの幹ポリマーになるポリエステルは、多
塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とポリオールま
たはそのエステル形成性誘導体とから合成される実質的
に線状のポリマーである。このポリマーの多塩基酸成分
としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無
水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸等を
例示することができる。これら成分は二種以上を用いる
ことができる。更に、これら成分と共にマレイン酸、フ
マール酸、イタコン酸等の如き不飽和多塩基酸やp−ヒ
ドロキシ安息香酸、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安
息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を小割合用いるこ
とができる。不飽和多塩基酸成分やヒドロキシカルボン
酸成分の割合は高々10モル%、好ましくは5モル%以
下である。
【0023】また、ポリオール成分としてはエチレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロール
プロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、
ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメ
チレンオキシド)グリコール等を例示することができ
る。これらは二種以上を用いることができる。
【0024】幹ポリマーは水性ポリエステルが好まし
く、例えば分子内に有機スルホン酸塩、カルボン酸塩、
ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ
テトラメチレングリコール等の如き親水性基含有化合物
を共重合したものが水分散液を作るのに有利となり、好
ましい。このカルボン酸塩の導入には、通常三官能以上
のカルボン酸を用いるが、このカルボン酸は重合の工程
で分岐が起り、ゲル化しやすいのでその共重合割合を小
さくすることが望ましい。この点、スルホン酸塩、ジエ
チレングリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール
等による親水基の導入はカルボン酸塩のときの問題が生
ぜず、より有利である。
【0025】スルホン酸塩の基をポリエステル分子内に
導入するためには、例えば5−Naスルホイソフタル
酸、5−アンモニウムスルホイソフタル酸、4−Naス
ルホイソフタル酸、4−メチルアンモニウムスルホイソ
フタル酸、2−Naスルホテレフタル酸、5−Kスルホ
イソフタル酸、4−Kスルホイソフタル酸、2−Kスル
ホテレフタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸ア
ルカリ金属塩系またはスルホン酸アミン塩系化合物等を
用いることが好ましい。スルホン酸塩の基を有する多価
カルボン酸または多価アルコールは全多価カルボン酸成
分または全多価アルコール成分中0.5〜20モル%、
更には1〜18モル%を占めることが好ましい。
【0026】また、カルボン酸塩基をポリエステル分子
内に導入するためには、例えば無水トリメリット酸、ト
リメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、
トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチ
ロールプロピオン酸等の化合物を用いることができる。
また、カルボン酸塩はカルボン酸をアミノ化合物、アン
モニア、アルカリ金属等で中和することによって得るこ
とができる。
【0027】親水基含有化合物をポリエステル分子内に
導入する場合には公知の種々な方法を採用することがで
きる。カルボン酸塩や有機スルホン酸塩の基を導入する
場合について更に説明すると、例えば 分子内にカル
ボン酸塩または有機スルホン酸塩の基を有する化合物を
出発原料の一成分としてポリエステルを合成する方法、
分子内にカルボン酸塩を3個以上有する化合物を出
発原料に一成分としてポリエステルを合成した後に該ポ
リエステル中の遊離のカルボキシル基をアンモニア、ア
ミン、アルカリ金属化合物等で媒体中で中和させる方法
等の方法がある。
【0028】の方法を更に説明すると、例えば無水ト
リメリット酸をポリエステル原料の一成分として用いて
側鎖に遊離のカルボキシル基を有するポリマーを造り、
反応終了後にアンモニア水を添加して中和し、水性ポリ
エステルを造ることができる。ポリエステルは溶融重合
法で製造することが好ましい。
【0029】水性ポリエステル・ポリアクリルグラフト
コポリマーの枝ポリマーはポリアクリルであり、該ポリ
アクリルの製造に用いるモノマーとして例えばアルキル
アクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基と
してはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、
2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル
基、ベンジル基、フェニルエチル基等);2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モ
ノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチ
ルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−
メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリル
アミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メ
トキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタ
クリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド
基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチルアクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
等のアミノ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、
グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマ
ー;アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの塩(ナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキ
シル基またはその塩を含有するモノマー等が挙げられ
る。これらは他種モノマーと併用することができる。他
種モノマーとしては例えばアリルグリシジルエーテル等
のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニ
ルスルホン酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基またはその
塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレ
イン酸、フマール酸およびそれらの塩(ナトリウム塩、
カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基ま
たはその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水
イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイ
ソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニ
ルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリ
スアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステ
ル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエス
テル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙
げられる。上述のモノマーは一種もしくは二種以上を用
いて共重合させることができる。アクリル系重合体への
親水性付与、水性液の分散安定性、ポリエステルフイル
ムとの密着性等の点から、水酸基、アミド基やカルボキ
シル基またはその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩等)等の官能基を有するものが好ましい。
【0030】ポリアクリルをポリエステル(幹ポリマ
ー)にグラフトさせる方法は、公知のグラフト重合法を
用いることができる。大別して次の3つの方法が挙げら
れる。 (A)幹ポリマーにラジカル、カチオンあるいはアニオ
ン等の反応開始点を発生させ、アクリル系モノマーをグ
ラフト重合する方法。 (B)幹ポリマーの存在下、該ポリマーへの連鎖移動反
応を利用して、アクリル系モノマーをグラフト重合する
方法。 (C)側鎖に官能基を有する幹ポリマーと末端に前記官
能基と反応する基を有する枝ポリマーとを反応させる方
法。
【0031】上記(A)の更に具体的方法としては、例
えば光、熱あるいは放射線によって幹ポリマーにラジカ
ルを発生させてからモノマーをグラフト重合させるラジ
カル重合法;AlCl3 、TiCl4 等の如き触媒を用
いて幹ポリマーにカチオン基を発生させ、あるいは金属
Na、金属Li等を用いて幹ポリマーにアニオン基を発
生させてからモノマーをグラフト重合させるカチオン重
合あるいはアニオン重合法等が挙げられる。
【0032】また、上記(B)の更に具体的方法として
は、例えばカルボキシル基や水酸基を側鎖に持ったポリ
エステルにグリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシ
エチルアクリレート、アクリル酸等を反応させて該ポリ
エステルの側鎖に不飽和基を導入し、これとモノマーと
を重合させる方法;合成原料の一成分としてフマール酸
の如き不飽和化合物を用いてポリマー主鎖に不飽和基を
導入したポリエステルとアクリル系モノマーとを反応さ
せる方法等が挙げられる。
【0033】更にまた、上記(C)の具体的方法として
は、例えば側鎖に水素供与基例えば−OH、−SH、−
NH2 、−COOH、−CONH2 等を有するポリエス
テル(幹ポリマー)と、片末端が水素受容基例えば
【0034】
【化1】 等であるアクリル系重合体(枝ポリマー)とを反応させ
る方法;側鎖に水素受容基を有するポリエステル(幹ポ
リマー)と片末端が水素供与基であるアクリル系重合体
(枝ポリマー)とを反応させる方法等が挙げられる。こ
れ以外の官能基の組合せとしては、−COOHと−CO
Cl、−COOHと−OH、−COOHとNH2 、−N
2 と−OH等の組合せが例示できる。
【0035】グラフトコポリマーにおける幹ポリマー
(ポリエステル)と枝ポリマーの割合は、重量比で、
5:95〜95:5、更には10:90〜90:10で
あることが好ましい。幹ポリマーの分子量は5,000
〜20万、更には1万〜10万が好ましく、また枝ポリ
マーの分子量は500〜5万、更には1,000〜1万
が好ましい。
【0036】次に、幹ポリマーがポリアクリルである水
性ポリアクリル・ポリエステルグラフトコポリマーのポ
リエステルおよびアクリルポリマーの成分は、上述した
水性ポリエステル・ポリアクリルグラフトコポリマーと
同じものを用いることができる。かかるコポリマーはポ
リアクリルを幹ポリマーとし、これにポリエステルを枝
ポリマーとしてグラフトさせることによって造ることが
できるが、この製造法は特に限定されない。この製造法
のいくつかを例示すると、ポリエステル片末端に不飽和
基を導入し、アクリル系モノマーと共重合させる方法、
ポリアクリルの側鎖にカルボキシル基、水酸基、メチロ
ール基等の官能基を導入し、一方片末端に上記官能基と
反応するエポキシ基、イソシアネート基、水酸基、メチ
ロール基等を導入したポリエステルを反応させる高分子
反応を用いる方法等がある。
【0037】このグラフトコポリマーにおける幹ポリマ
ー(ポリアクリル)の分子量は5,000〜20万、更
には1万〜10万が好ましく、また枝ポリマーの分子量
は500〜5万、更には1,000〜1万が好ましい。
幹ポリマーと枝ポリマーの割合は、重量比で、5:95
〜95:5、更には10:90〜90:10が好まし
い。
【0038】更に、水性ポリエステル・ポリアクリルブ
ロックコポリマーの各成分は上述した水性ポリアクリル
・ポリエステルグラフトコポリマーと同じものを用いる
ことができる。
【0039】かかるブロックコポリマーは公知の製法で
合成できる。例えば、ポリエステル両末端にアクリル系
不飽和基を導入し、これとポリアクリルとをブロック化
重合する方法、またポリアクリルの末端に高分子反応可
能な基(例えば、イソシアネート基、エポキシ基、水酸
基、カルボキシル基等)を導入し、これとポリエステル
末端の水酸基、カルボキシル基とを反応させて合成する
方法があり、更にまたポリオールとポリカルボン酸エス
テルとをエステル交換反応させた後250〜300℃の
温度下で常圧下で重縮合反応を開始し、最終的に真空下
でこの反応を進めて所定重合度のポリエステルを得、該
ポリエステルとポリアクリルとを有機溶剤に溶解後高分
子反応等でブロックコポリマー液を造る方法がある。ブ
ロックコポリマーにおけるポリアクリルの分子量は1,
000〜5万、更には2,000〜1万が好ましく、ま
たポリエステルの分子量は2,000〜5万、更には
3,000〜1万が好ましく、全体の分子量は5,00
0〜20万が好ましい。上記ポリアクリルとポリエステ
ルとの割合は、重合比で95:5〜5:95、更には8
0:20〜20:80が好ましい。
【0040】これらのエステル・アクリルコポリマー
は、ガラス転移温度(Tg)が10℃以上のものであ
り、さらに好ましくは20℃以上のものである。Tgが
低すぎると滑り性の改良効果が認められなくなり、耐ブ
ロッキング性の面でも劣る。
【0041】本発明においてプライマー層を形成する成
分として用いるウレタン(B)はアニオン性基を有する
ポリウレタンであり、特にカルボン酸塩基、スルホン酸
塩基、または硫酸半エステル塩基を有するポリウレタン
が好ましく、更にはカルボン酸のアンモニウム塩または
アミン塩の基を有することが好ましい。
【0042】通常、このような水親和性付与基は、ポリ
ウレタン合成時ないしは合成後に導入される。
【0043】例えば、カルボン酸塩基の導入は、ポリウ
レタン合成時、原料ポリヒドロキシ化合物の1つとして
カルボン酸基を有するポリヒドロキシ化合物を用いるほ
か、未反応イソシアネート基を有するポリウレタンの該
イソシアネート基に水酸基を有するカルボン酸やアミノ
基を有するカルボン酸を反応させ、次いで反応生成物を
高速攪拌下でアルカリ水溶液中に添加し、中和する等に
よって行なうことができる。また、スルホン酸塩基また
は硫酸半エステル塩基の導入は、通常ポリヒドロキシ化
合物、ポリイソシアネートおよび鎖延長剤からプレポリ
マーを生成させ、これに末端イソシアネート基と反応し
うるアミノ基または水酸基とスルホン酸塩基または硫酸
半エステル塩基とを分子内に有する化合物を添加、反応
させ、最終的に分子内にスルホン酸塩基または硫酸半エ
ステル塩基を有する水性ポリウレタンを得ることで行な
うことができる。その際生成反応は有機溶剤中で行な
い、次いで水を加えてから該溶剤を除去することが好ま
しい。
【0044】また、他の方法としては、スルホン酸基を
有する化合物を原料の一つとして使用してスルホン酸基
を有するポリウレタンを合成し、次いで該ポリウレタン
を高速攪拌下でアルカリ水溶液中に添加し、中和する方
法、ポリウレタンの主鎖または側鎖の1級または2級ア
ミノ基にアルカリの存在下で下記サルトン化合物を付加
してスルホン酸アルカリ塩(例えば−SO3 Na等)を
導入する方法等が挙げられる。アルカリ水溶液としては
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アル
キルアミン等の水溶液を用いることが好ましいが、該ア
ルカリが被覆膜(下塗り膜)中に残留しないアンモニ
ア、乾固条件で揮発するアミンが特に好ましい。カルボ
ン酸塩基、スルホン酸塩基、硫酸半エステル塩基等の塩
基の量は0.5〜15重量%が好ましい。塩基の割合が
少なすぎるとポリウレタンの水親和性が不足して塗布液
の調製が難しくなり、また多すぎるとポリウレタン本来
の特性が損われるので、好ましくない。かかる水性ポリ
ウレタンは、所望により分散助剤を用いて、安定な水分
散液を形成するものないし水溶液を形成するものであ
る。
【0045】ポリウレタンの合成に用いるポリヒドロキ
シ化合物としては、例えばポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−
ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレ
ンアジペート、ポリヘキサメチレンセパケート、ポリテ
トラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケー
ト、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
ペンタエリスリトール、グリセリン等を挙げることがで
きる。ポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキ
サメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソ
シアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチ
ロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートとトリメチロールエタンの付加物等を挙げることが
できる。カルボン酸含有ポリオールとしては、例えばジ
メチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロ
ール吉草酸、トリメリット酸ビス(エチレングリコー
ル)エステル等を挙げることができる。
【0046】アミノ基を有するカルボン酸としては、例
えばβ−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、P−ア
ミノ安息香酸等を挙げることができる。水酸基を有する
カルボン酸としては、例えば3−ヒドロキシプロピオン
酸、γ−ヒドロキシ酪酸、P−(2−ヒドロキシエチ
ル)安息香酸、リンゴ酸等を挙げることができる。アミ
ノ基または水酸基とスルホン基を有する化合物として
は、例えばアミノメタンスルホン酸、2−アミノエタン
スルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−2−ス
ルホン酸、β−ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウ
ム、脂肪族ジ第1級アミン化合物のプロパンサルトン、
ブタンサルトン付加生成物等が挙げられ、好ましくは脂
肪族ジ第1級アミン化合物のプロパンサルトン付加物が
挙げられる。更にアミノ基または水酸基と硫酸半エステ
ル基を有する化合物としては、例えばアミノエタノール
硫酸、エチレンジアミンエタノール硫酸、アミノブタノ
ール硫酸、ヒドロキシエタノール硫酸、γ−ヒドロキシ
プロパノール硫酸、α−ヒドロキシブタノール硫酸等が
挙げられる。
【0047】これら化合物を用いてのポリウレタンの合
成は、従来からよく知られている方法で合成することが
できる。
【0048】本発明におけるエステル・アクリルコポリ
マー(A)とポリウレタン(B)との混合割合は、
[A]/[B]=99/1〜10/90の範囲が好まし
く、さらには98/2〜20/80の範囲が好ましい。
ポリウレタン(B)の量が多すぎると、フイルムの滑り
が悪くなり、取扱い性が悪化する。一方ポリウレタン
(B)の量があまり少なすぎると、接着性が低下する。
【0049】本発明におけるプライマー層は、該層の形
成成分を含有する塗液、好ましくは水性液をポリエステ
ルフイルムの上に塗布し、乾燥させることで形成でき
る。塗液は水性液例えば水溶液、水エマルジョン液等が
好ましい。この水性液は固形成分の分散安定化のために
若干量の有機溶剤を含有してもよい。この水性プライマ
ー塗布液は水媒体中にエステル・アクリルコポリマー
(A)およびポリウレタン(B)を分散または溶解させ
たものであるが、必要に応じて架橋剤、触媒、濡れ剤等
を加える。この濡れ剤としては、アニオン型、カチオン
型およびノニオン型の界面活性剤が挙げられる。かかる
界面活性剤は、水性液の表面張力を40dyne/cm以下に
し、ポリエステルフイルムへの濡れを促進するものが好
ましい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂
肪酸金属石鹸、アルキルスルホン酸塩、第4級アミン
塩、ベタイン型界面活性剤等が好ましく挙げられる。ま
た、本発明の目的を阻害しないかぎり、帯電防止剤、紫
外線吸収剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー、潤滑
剤、ブロッキング防止剤等を併用してもよい。
【0050】このプライマー塗布液を塗工するのは、結
晶配向が完了する前のポリエステルフイルム、例えばポ
リエステルを溶融押出して、キャスティングした直後、
あるいは縦または横のどちらか一方向に延伸を行った直
後のポリエステルフイルム表面に行うのが好ましい。通
常に行われる方法として、縦方向に延伸した一軸延伸ポ
リエステルフイルム上にプライマー層を塗布し、続いて
加熱しながら横延伸し、更に高温でフイルムを熱固定す
るとともにプライマー層の固化を完了させる方法があ
る。ポリエステルフイルム上にプライマー層を塗工する
方法としては、公知の方法が適用できる。例えばスプレ
ーコート法、エアーナイフ法、リバースコート法、キス
コート法、グラビヤコート法、マイヤーバー法、ロール
ブラッシュ法等が適用できる。適用される塗液の濃度は
コーティング方法によって異なるが、一般には0.5〜
50重量%である。プライマー層の最終的な厚みは0.
01〜1μmであることが好ましい。
【0051】ポリエステルフイルムの配向結晶化条件、
例えば延伸、熱固定等の条件は、従来から当業界に蓄積
された条件で行うことができる。
【0052】
【発明の効果】本発明のプライマー層を有するポリエス
テルフイルムは、磁気記録媒体の磁性層との接着性に優
れ、さらに平坦性に優れるため、8m/mビデオ等の高
級ホームビデオテープ用、高い信頼性と高性能が要求さ
れる業務用ビデオテープ用等の基材として好適に用いら
れる。また、本発明のプライマー層を有するポリエステ
ルフイルムは、平坦であるにもかかわらず、滑り性、取
扱い性に優れており、ポリエステルフイルム製造時の捲
き取り、その後のスリット時の捲き取り性に優れてお
り、更に磁気塗料塗工時のコーターでの搬送性に優れて
いる。
【0053】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に説明す
る。なお、例中の「部」は重量部を意味する。またフイ
ルムの各特性は次の方法で測定した。
【0054】 1.磁気塗料接着性 強磁性メタル磁性粉(BET値50m2 /gr) 100部 ポリウレタン樹脂(東洋紡UR8300) 8部 塩ビ系共重合体(日本ゼオンMR110) 12部 α−Al2 3 (平均粒径0.20μm) 5部 カーボンブラック(平均粒径25mμ) 2部 ステアリン酸−m−ブチル 3部 レシチン 4部 溶剤 MEK 130部 トルエン 130部 シクロヘキサノン 60部 上記の組成物を通常の方法により混練・分散して磁性塗
料とした。次に硬化剤(日本ポリウレタン社コロネート
L)5部を添加し、ディスパーで攪拌した。平均目開1
μmのフィルターで濾過した後ポリエステルフイルム上
に塗布し、配向、乾燥、カレンダー処理を行った。該サ
ンプルを8m/m巾にスリットし、磁性層の上にスコッ
チテープNo.56(3M社製)を気泡の入らないよう
に粘着し、この上を荷重2kgの手動式荷重ロールでなら
し密着させた後、剥離速度200m/m/分で剥離強度
を測定した(剥離角度180°)。
【0055】2.表面粗さ (1)中心線平均粗さ(Ra) JIS B0601に準じ、(株)小坂研究所製の高精
度表面粗さ計SE−3FATを使用して、針の半径2μ
m、荷重30mgで拡大倍率20万倍、カットオフ0.0
8mmの条件下にチャートをかかせ、フイルム表面粗さ曲
線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取
り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向を
Y軸として、粗さ曲線をY=f(x)で表わした時、次
の式で与えられた値をμm単位で表わす。
【0056】
【数1】 この測定は基準長を1.25mmとして4個測定し、平均
値で表わす。
【0057】(2)十点平均粗さ(Rz) JIS B0601に準じ、Raと同様の方法でチャー
トをかかせ、断面曲線から基準長さだけ抜き取った部分
において、平均線に平行かつ、断面曲線を横切らない直
線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山
頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の
平均値との差の値をマイクロメートル(μm)で表わ
す。この測定は基準長を1.25m/mとして4個測定
し平均値で表わす。
【0058】3.フイルム摩擦係数 ASTM D1894−63に準じ、東洋テスター社製
のスリッパリー測定器を使用し、プライマー塗設面とポ
リエステルフイルム(非塗設面)との静摩擦係数(μ
s)を測定した。但し、スレッド板はガラス板とし、荷
重は1kgとした。
【0059】4.捲き取り性 二軸延伸機で製膜した巾4000m/mのポリエステル
フイルムロールをスリット機を使用して、1200m/
m巾×10000m巻きのロール3本にスリットした。
捲き上った製品のロールの表面状態、ロール端面を観察
しランク付けした。
【0060】 ○:端面ズレ・表面欠陥(しわ、突起等)が見られない △:幾分ズレ・表面欠陥(しわ、突起等)が見られる ×:端面ズレ・表面欠陥がひどい。
【0061】5.耐ブロッキング性 ポリエステルフイルムのプライマー塗設面と裏面の非塗
設面とを重ね合わせてから10cm×15cm角に切り、こ
れを50℃×70%RHの雰囲気中で17hrs、6kg
/cm2 の荷重をかけ、次いでこの10cm巾の剥離強度を
測定する。この時の剥離速度は100m/m/分であ
る。
【0062】
【実施例1〜3および比較例1,2】酸成分がテレフタ
ル酸(50モル%)、イソフタル酸(45モル%)およ
びトリメリット酸(5モル%)からなり、グリコール成
分がエチレングリコール(80モル%)およびエチレン
グリコール(20モル%)からなるポリエステル(25
℃のO−クロロフェノール中で測定した固有粘度=0.
28)3部にメチルメタクリレート(48モル%)、エ
チルアクリレート(47モル%)および2−ヒドロエチ
ルアクリレート(5モル%)のアクリル系共重合体6部
を高分子反応させて得たガラス転移温度が52℃のグラ
フトポリマー9部をテトラヒドロフラン90部に溶解
し、これにノニオン系界面活性剤[HLB12.8]1
部を添加した。
【0063】この溶液に水490部を高速攪拌しながら
徐々に添加した後加熱蒸留し、テトラヒドロフランを脱
溶媒し、水性液を得た。更にこの液にカルボキシル基を
有するポリウレタン水分散液[東洋ポリマー(株)製;
商品名メルシ545]を表1に示す割合になるよう添加
し、塗布用の水性プライマー液を得た。
【0064】次に、平均粒子径が0.5μの炭酸カルシ
ウム0.03重量%を含有し、25℃のO−クロロフェ
ノール中で測定した固有粘度が0.65のポリエチレン
テレフタレートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に
溶融押出して厚み140μmの未延伸フイルムを得、次
に機械軸方向に5.0倍延伸したのち、上記水性プライ
マー液をキスコート法にて、一軸延伸フイルムの片面に
塗布した。この時の平均塗布量は固形分換算で20mg/
2 であった。引き続き105℃で横方向に3.9倍延
伸し、更に210℃で熱処理し、厚み7.0μmのプラ
イマー被覆二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0065】
【比較例3】比較のためにプライマー処理しない厚さ7
μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフイルムを
用いて各種評価を行った。該フイルムのRzは0.05
μmであった。
【0066】上記実施例および比較例で得たポリエステ
ルフイルム、プライマー被覆二軸配向ポリエステルフイ
ルムの性能を評価した。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】 表1から明らかな如く、本発明のプライマー被覆ポリエ
ステルフイルムは接着性、平坦性、滑り性、取扱い性、
耐ブロッキング性共に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 9:00 (56)参考文献 特開 昭63−37937(JP,A) 特開 平4−261825(JP,A) 特開 昭62−32048(JP,A) 特開 平2−161613(JP,A) 特開 平3−248323(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心線平均粗さ(Ra)が0.01μm
    以下でかつ十点平均粗さ(Rz)が0.1μm以下であ
    り、厚みが20μm以下のポリエステルフイルムの少く
    とも片面にガラス転位温度(Tg)が10℃以上のエス
    テル・アクリルコポリマー(A)とアニオン性基を有す
    るポリウレタン(B)からなるプライマー層を設けてい
    ることを特徴とする磁気記録媒体用平坦易接着性ポリエ
    ステルフイルム。
  2. 【請求項2】 エステル・アクリルコポリマー(A)
    が、幹ポリマーがポリエステルであり枝ポリマーがアク
    リル系重合体である水性エステル・アクリルグラフトコ
    ポリマーである請求項1記載の磁気記録媒体用平坦易接
    着性ポリエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 アニオン性基を有するポリウレタン
    (B)がカルボン酸塩基、スルホン酸塩基及び硫酸半エ
    ステル塩基の少くとも一種を有するポリウレタンである
    請求項1記載の磁気記録媒体用平坦易接着性ポリエステ
    ルフイルム。
  4. 【請求項4】 結晶配向が完了する前のポリエステルフ
    イルムの少くとも片面にガラス転位温度(Tg)が10
    ℃以上のエステル・アクリルコポリマー(A)とアニオ
    ン性基を有するポリウレタン(B)を含む水性プライマ
    ー液を塗布し、次いで乾燥、延伸、熱処理を施して結晶
    配向を完了させることを特徴とする、請求項1記載の磁
    気記録媒体用平坦易接着性ポリエステルフイルムを製造
    する方法。
JP3042385A 1991-02-15 1991-02-15 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2706002B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3042385A JP2706002B2 (ja) 1991-02-15 1991-02-15 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3042385A JP2706002B2 (ja) 1991-02-15 1991-02-15 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04261848A JPH04261848A (ja) 1992-09-17
JP2706002B2 true JP2706002B2 (ja) 1998-01-28

Family

ID=12634603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3042385A Expired - Fee Related JP2706002B2 (ja) 1991-02-15 1991-02-15 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2706002B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4605844B2 (ja) * 2000-01-12 2011-01-05 大日本印刷株式会社 床材用化粧材の製造方法
JP2005194457A (ja) * 2004-01-09 2005-07-21 Mitsubishi Polyester Film Copp ポリエステルフィルム
JP5541937B2 (ja) * 2010-01-29 2014-07-09 帝人デュポンフィルム株式会社 離型ポリエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04261848A (ja) 1992-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5718860A (en) Process for the preparation of polyester base film for magnetic recording media
JP3615324B2 (ja) ポリエステル水分散体及びこれを塗布したポリエステルフイルム
US5811197A (en) Polyester film having low electrostatic and high adhesion properties
JP3774982B2 (ja) 離型フィルム
JP2000296595A (ja) 光学用易接着フィルム及びその製造方法
JP2856993B2 (ja) ポリエステル水分散体及びこれを塗布した易接着性ポリエステルフイルム
JP2706002B2 (ja) 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP2886024B2 (ja) コーティング剤及び該剤を塗布した易接着性ポリエステルフイルム
JPH1029288A (ja) 離型フィルム
JPH0367626B2 (ja)
JP2746786B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
WO2022176744A1 (ja) 空洞含有ポリエステル系フィルム
JPH04261825A (ja) 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP3160203B2 (ja) ポリエステル水分散体及びこれを塗布したポリエステルフイルム
JPS63309533A (ja) 平坦・易滑性ポリエステルフイルム
JP2593247B2 (ja) 易接着性高強度ポリエステルフイルムの製造方法
JPS63194948A (ja) 平担・易滑性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP3522777B2 (ja) ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP2781301B2 (ja) 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JPH0578511A (ja) ポリエステルフイルム
JPH06346019A (ja) 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法
JP2938548B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステル系フィルム
JPH08187822A (ja) 積層フィルム
JP2859467B2 (ja) 磁気記録媒体用ポリエステルフイルム
JP3024585B2 (ja) ポリエステル複合フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees