JP2704581B2 - 画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置

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JP2704581B2
JP2704581B2 JP4275414A JP27541492A JP2704581B2 JP 2704581 B2 JP2704581 B2 JP 2704581B2 JP 4275414 A JP4275414 A JP 4275414A JP 27541492 A JP27541492 A JP 27541492A JP 2704581 B2 JP2704581 B2 JP 2704581B2
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舜平 山崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はもしくはその他の電気光
学効果を利用して2次元マトリクス上で光学スイッチン
グ動作をおこなう装置(2次元光学スイッチ装置)と、
投影用光源を有する投影型画像表示装置と、その装置に
おいて使用される画像表示方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電気的な画像表示装置としてはブ
ラウン管等の陰極線管(CRT)が知られていた。CR
Tは、電子銃から放射された電子ビームを電場や磁場等
の作用によって任意の方向に偏向せしめ、それによって
画像を表示するものである。この方法は極めて簡単であ
り、かつ、明瞭な画像が得られるために、その発明から
70年以上経過した現在でも表示装置の主要な部分を占
めている。
【0003】近年は、映像ソフトの発達とともに、より
大画面で画像の品質の高い表示装置が求められる傾向が
ある。この点で、CRTは優れているとは言い難い。と
いうのは、電子線の走査によって画像を得るために真空
装置が必要であり、その耐久性を考慮すると、CRTは
かなりの大型のものが要求される。例えば、対角30イ
ンチのものでは、CRTのガラスの厚みも1cmを超え
るようになり、全体の重量も100kgを優に超える。
【0004】この困難を解決するために、近年、投影型
の表示装置(プロジェクションディスプレー)が提案さ
れ、普及している。そもそも、投影型の表示装置の基本
は、エジソン他によって19世紀末に発明された映画で
あり、通常の映画が銀塩フィルムに光を透過させ、これ
を拡大させることによって大画面の画像を得るのに対
し、近年の投影型表示装置(プロジェクションディスプ
レー)は、銀塩フィルムの代わりに液晶ディスプレーパ
ネル等の2次元光学スイッチ装置を用いることを特徴と
している。
【0005】これによって、例えば100インチ以上の
大画面を得ることができ、装置の重量もCRTに比べる
と格段に小さい。現在、市販されている液晶パネルを使
用したプロジェクションディスプレー装置では、図4に
示すように、通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の光
の3原色に対応した専用の3枚の液晶パネルを使用し、
光学系にて1つの画面に合成して拡大表示される。その
ために、この3枚の液晶パネルおよびそれに付随する光
学系は高精度の位置合わせ精度を要求され、具体的には
1μm程度の精度が要求される。
【0006】このようなプロジェクションディスプレー
装置では、対角3インチ程度の液晶パネルを透過した光
を4〜5m離れたスクリーン上に約100インチの画面
に拡大して表示する。このため、100インチの表示画
面が粗く、ぼやけた表示とならないように拡大する前の
表示用の液晶パネルは高精細のものが用いられる。
【0007】図4をもとに、このプロジェクションディ
スプレー装置の画像表示について説明する。まず、光源
(通常はメタル・ハライドランプが用いられる)401
から光が光学装置402に導入され、ここで、3分割さ
れる。そして、各々の光はミラー等の光学装置403、
404を経由して、R、G、B3色のフィルター405
〜407を経て、液晶パネル(通常はTN液晶パネル
で、画素に印加する電圧を加減することによって階調表
示をおこなう)408〜410を通過する。そして、光
学系411、412を経由して、光学装置413で統合
され、映像としてスクリーンに投影される。
【0008】この方式の最大の問題点は、光源のスペク
トルがほとんど白色光であるので、そこから、RGBの
3色を抽出するという構成を有しているために光の多く
が映像に用いられないまま、熱となってしまうことであ
る。このため、既存のプロジェクションディスプレー装
置の画面は暗く、通常の室内照明のもとでは映像を表示
することが出来ないので、映像表示時には部屋を暗くす
る必要がある。
【0009】より、明るい画面を得ようとするには光源
をより強力なものとすることや、色フィルターの透過ス
ペクトル幅を拡げることが考えられるが、前者の方式
は、さらなる装置の発熱をもたらし、消費電力の増加
と、冷却のための装置の負担の増加のために経済的でな
い。一方、後者の方法では、得られる色彩の範囲が狭め
られる。
【0010】一般に、液晶ディスプレー装置では、カラ
ー表示をおこなう場合に、色フィルターを使用するた
め、画面の明るさとの兼ね合いから、表示される色の範
囲は従来のCRTに比較して狭い。図6は各種表示装置
で得られる色の多彩さを示したものである。中央の*印
は白色光を表す。白色光は全ての波長の光がて混合され
た光である。そして、周囲にゆくにしたがって、光の単
色性が強まり、鮮やかな光となる。最外周の曲線は単色
光を示す。この曲線の内部の各3角形が各表示装置で得
られる色の範囲を表す。図から明らかなように、従来の
液晶パネル(カラーフィルターLCDと書かれたもの)
は、CRTに比べて小さな3角形である。これは、RG
B3色の各フィルターを透過する光がスペクトル幅の広
い光であることに由来する。RGB3色によって表現さ
れる光は、その3色を頂点とする3角形の内部に限られ
る。また、色彩を豊かにしようと、フィルターの帯域幅
を狭めるとフィルターを通過する光量自体が減り、画像
が暗くなってしまう。
【0011】これに対し、CRTは図中の点線の3角形
で示されるが、液晶パネルよりもかなり大きい。これ
は、CRTでは電子線によって励起した発光材料中のd
軌道やf軌道の内殻電子の光学遷移によって発光するも
のであり、この発光が極めて鋭い線スペクトルであるた
めである。このように、色彩の表現の自由度、および画
面の明るさという点でプロジェクションディスプレーを
はじめとする液晶ディスプレー装置(LCD)はCRT
に劣っている。
【0012】一方、光源を理想的なスペクトル幅の狭い
3原色を含むもの、例えば、直視型のLCDで用いられ
るような3色冷陰極管を用いることも考えられるが、プ
ロジェクションディスプレー装置においては、光源は点
光源であることが要求されるので、現実には適切な光源
がない。
【0013】この困難を解決するためには、本発明人ら
の発明である特願平3−77314に記述される如く、
光源として3色のレーザー光を用いる方法が提案されて
いる。すなわち、レーザー光は、極めて理想的な単色光
であり、点光源であるからである。
【0014】その構成例を図5に示す。まず、3色のレ
ーザー光発生装置512〜514から放射されたレーザ
ー光は、次にビームエキスパンダー等の光学装置509
〜511によって、適当な断面積を有する光線とし、こ
れをミラー等の光学装置507、508を経て、各3色
に対応する液晶パネル504〜506に入射される。そ
して、その後は、従来のプロジェクションディスプレー
装置と同様に3色が光学装置503で合成され、別な光
学装置502によって拡大し、スクリーン501上に投
影するものである。
【0015】この方式では、RGBの原色として極めて
理想的な単色光であるレーザー光を利用するために、極
めて豊富な色彩再現性を有する。その様子は図6に『レ
ーザーLCD』として示されるが、これは、Rとして、
He−Neレーザー、Gとして、Nd:YAGレーザー
の第2高調波、BとしてAr+ レーザーを利用した場合
を示している。図から明らかなように、従来のLCDは
もちろん、CRTをもしのぐ色再現性を有している。特
に、従来のCRTでは困難であった、緑系統の色の再現
性に格段に優れている。また、フィルターでの光の吸収
がないので画面は明るく、冷却はレーザー装置のみで、
それも近年の小型レーザー装置ではほとんど日常の家電
製品と同じ程度あるいはそれ以下の冷却で十分である。
また、例えば、固体レーザーの代表であるNd:YAG
レーザーや気体レーザーの典型であるHe−Neレーザ
ー、Ar+ レーザーでは、保守も容易であり、ほとんど
メンテナンスフリーである。
【0016】しかしながら、RGBの3色の画面を最終
的に合成するという点では従来のプロジェクションディ
スプレー装置と同様に、高い精度が要求され、保守・整
備・調整に極めて手間がかかる。特に、湿度や気温によ
ってセッティングは微妙に変化するものであるので、大
きな需要が見込まれる温帯では、逆にその気温・湿度の
変化の大きさのために実際に使用するに際して多大な問
題を抱えている。
【0017】特に、この方式は、レーザーを単なる単色
光の光源として利用したに過ぎず、レーザー光の特徴で
ある平行度の良さと、それによって得られる光軸あわせ
の容易さという点に対しては何ら考慮されていない。図
5からも明らかなように、本来のレーザー光はビームの
幅が極めて狭いのにも関わらず、わざわざ、それを拡大
して液晶パネルに入射するようになっている。そのた
め、光軸が液晶パネルと同じ3インチ程度のものが3本
も装置の中を走り、装置の小型化の最大のネックとなっ
ている。また、RGB各レーザー光のビームの平行度は
同じに保たれる必要があるので、従来のプロジェクショ
ンディスプレー装置に比べれば容易とはいえ、保守・調
整に手間がかかる。特に、液晶パネル通過後の光の平行
度を全て同じにするということはとてつもなく難しく、
実際、100インチ以上の映像を得ることはほとんど困
難である。
【0018】さらに、いずれの方法にしても最低3枚の
液晶パネルを使用するが、液晶パネルの価格は歩留りが
低いこともあって高く、コストアップの要因となる。さ
らに、液晶パネル以上に、3本もの光軸を分離し、統合
するための光学系の価格はべらぼうで、装置の価格の半
分を占めるようになる。また、その保守・点検はプロ級
の技術が要求され、一般の消費者はもちろん、家電販売
要員ですら困難である。したがって、低価格のプロジェ
クションディスプレーを製造するには、液晶パネル等の
2次元光学スイッチのパネルを減らし、光学系も簡単で
調整の容易なものにする必要がある。
【0019】また、従来のプロジェクション型表示装置
では、2次元光学スイッチ装置として、TN液晶を用い
たアクティブマトリクス型液晶表示装置を採用していた
が、この方式の表示装置で階調表示をおこなうには、画
素に印加する電圧を加減する方法(アナログ階調方式)
によって、液晶の光透過性を制御するという方式を使用
していた。この方式では、例えば、64階調の表示をお
こなうには20mVもの細かな電圧制御が必要であっ
た。しかしながら、使用されるアクティブマトリクスの
TFT間のばらつきや、TFTや液晶による保持電荷の
リーク等によって、現実的には100mVの電圧制御、
すなわち16階調が精一杯であった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のべた
ようなプロジェクションディスプレー装置の問題点を解
決するためになされたものである。すなわち、本発明で
は、保守・点検・調整が容易なプロジェクション装置を
提案する。また、それは価格の低いものであることが望
ましい。より、好ましくは、それは小型のもので、設置
に問題の無いようなものが望ましい。例えば、多大な発
熱を伴うものでは、設置する場所に多くの制約が加わ
る。
【0021】本発明の他の目的は、このような装置の駆
動方法・表示方法を提案することである。特に、豊富な
色彩再現性を十分に引き出すには、従来にも増して、階
調表示技術が要求される。本発明では、優れた階調表示
技術を提案する。
【0022】
【問題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明では、RGB各色に対応する画面を時間的
に分割し1つの画面でおこなわせることを提案する。す
なわち、ある特定の時間では、赤(R)の画面を投影
し、次の時間では、緑(G)の画面を投影し、次の時間
では青(B)の画面を投影する。これを繰り返すことに
よって、視覚的にはカラー映像を得るのである。
【0023】そのためには、光源である各色レーザー
と、液晶パネルあるいはその他の電気的な手法によって
光の透過率、散乱率を変化させることによって光学的な
スイッチングをおこなうマトリクス状の装置(2次元光
学スイッチ装置)とは緊密に連携しなければならない。
【0024】本発明の画像表示装置の概念図を図1に示
す。図1では本発明の根幹となる構成が示されている
が、実際に動作させるにあたってはそれ以外にさまざま
な装置を付加しなければならない。以下、本発明の技術
思想を説明する目的で図1に示された装置を説明する。
【0025】まず、図5の場合と同様に本発明でも3色
のレーザー光源104〜106を用意する。このレーザ
ー光源は、パルス的にレーザー光あるいはそれと同等な
平行度を有する単色光を発生させることが要求される。
したがって、この光源としては、単なるレーザー発振装
置だけに限らず、レーザー発振装置にレーザー増幅装置
が組み合わされた装置であってもよい。また、レーザー
発振装置に、非線型光学装置等の波長変換装置が組み合
わされたものであってもよい。この場合には、レーザー
発振周波数の2倍、3倍、あるいは4倍の周波数のコヒ
ーレント光(それぞれ、第2高調波、第3高調波、第4
高調波)が取り出される。同様に、非線型光学効果を利
用して、1つ以上のレーザー発振装置を用いて発生させ
た2つの異なる波長のレーザー光を合成することによっ
て、その周波数の和、あるいは差を取り出すことも可能
である。
【0026】このような装置によって放射された極めて
平行度の高く、細いビームは、ミラー等の光学装置10
2、103によって、1軸上に合わされる。この光軸を
合わせる作業は比較的容易におこなわれる。というの
は、この段階では、これらのレーザー光は画像情報を何
ら含んでいないので、光は極めて平行度が高く、また、
ビームも細いからである。従来のプロジェクションディ
スプレー装置では、液晶パネルを透過した光を1軸上に
合わせでいたが、その場合には、画像情報による光の回
折等の理由のためにビームの平行度は極めて悪く、ま
た、光軸自体も大きかったので、光軸合わせは非常に難
しかった。
【0027】ついで、1軸となった光軸は光学装置11
4によって、適当な大きさに光線が拡大される。この光
学装置114は従来、使用されたような高価なビームエ
キスパンダーを用いる必要はなく、単レンズであっても
よい。というのは、この段階においては、既に、ビーム
は1軸に合わせられており、以後はその平行度は必要と
されないからである。したがって、例えば、極めて色収
差の大きなレンズであっても構わない。
【0028】その後、ビームは液晶パネル等の2次元光
学スイッチ装置101を透過する。映像はこのまま、ス
クリーンに投影されてもよい。また、図1に示すように
さらに拡大のための光学装置113を通してもよい。こ
の場合には、光学装置は、色収差や樽状収差の少ない上
質なレンズを用いる必要があるが、これは従来の映写機
の場合と同じである。
【0029】2次元光学スイッチ装置として、液晶パネ
ルを用いる場合には、レーザーの偏光方向を予め1方向
に揃えておけば、液晶パネルのレーザー入射側の偏光板
を不要とすることができる。従来の非コヒーレントな光
源(白色光源)を用いる場合には、液晶パネルに入射す
る光の偏光方向はばらばらであり、したがって、偏光を
えるために偏光板をその前に置いていた。そのため、入
射した光の大半が利用されないまま熱として放出され、
偏光板を通すため光量は減少した。
【0030】本発明において、特にレーザーのようなコ
ヒーレントな光源を利用することの利点はまさにこの部
分にあると言える。もっとも、光の散乱を利用する分散
型液晶(ポリマー液晶ともいう)では、偏光を必要とし
ないので、その点ではコヒーレント光であっても、非コ
ヒーレント光であっても変わらない。
【0031】また、本発明においては、後述するように
光学スイッチのON状態とOFF状態の時間等の組み合
わせによって階調表示を得るという方式(デジタル階調
方式)を採用するため、高速で液晶のスイッチングをお
こなう必要があり、また、その際のON/OFFの応答
は完全に1/0である必要がある。すなわち、電圧の時
間平均に応答することや、中途半端な透過率を示すこと
は避けなければならない。
【0032】この目的には強誘電性液晶もしくは反強誘
電性液晶が適している。例えば、強誘電性液晶では、印
加電圧±8Vで光学応答時間が50μsecであり、し
かも、一定電圧が印加されている状態では、ON状態、
OFF状態での透過率は、印加電圧に依存しない。具体
的には強誘電性液晶を用いて、従来のTNアクティブマ
トリクスと同様なTFTマトリクスを形成した場合に
は、強誘電性液晶にはほぼ一定の電圧が印加されるの
で、その間の光学特性は少々の電圧変化には応答せず、
一定の状態を保つこととなる。
【0033】強誘電性液晶以外にも反強誘電性液晶でも
同じ効果が得られ、また、強誘電性液晶あるいは反強誘
電性液晶を高分子材料中に分散せしめた、ポリマー液晶
を使用しても同様な効果が得られる。さらには、液晶以
外にも、ポッケルスセルに使用するような電場の印加に
よって光学応答特性が変動し、しかもその応答速度が1
msec以下、好ましくは100μsec以下の材料で
あれば、有機、無機を問わず利用することができる。た
だし、材料によっては光学応答性能が小さすぎて、十分
なコントラストが得られない場合もある。
【0034】さて、先述の通り、本発明では、1枚の2
次元光学スイッチ装置で時分割動作させて、RGB各色
の映像を表示するので、2次元光学スイッチ装置と各レ
ーザー装置は緊密に連携して動作しなければならない。
そこで、これらはケーブル107〜110によって画像
制御用装置に接続されている。従来では、液晶パネルの
みがこの画像制御装置に接続されていた。
【0035】次に、本発明による表示方法について説明
する。図2(A)は本発明の基本的な動作を示したもの
である。この例では、液晶材料として強誘電性液晶を用
いたアクティブマトリクスを使用した例を示している。
各画素には、正もしくは負の電圧が印加され、1フレー
ムをRGB3色に対応する3つの色フレーム(Rフレー
ム、Gフレーム、Bフレーム)に分割し、かつ、各色フ
レームを4つのサブフレームに分割し、すなわち4階調
の表示が可能である。もちろん、カラー映像において
は、16階調、32階調というように、より高い階調度
が要求されるが、煩雑さを避けるためにここでは4階調
に留める。より高い階調表示であっても、TFT等のス
イッチング素子の能力が許せば、同様に動作することは
明らかであろう。
【0036】また、各画素はいわゆる線準次モードで、
各サブフレームごとに上の行から下の行に順に走査され
てゆくものとし、画素Aは画素Bよりも上にあるとす
る。画素の電圧状態は、『画素Aの電圧』、『画素Bの
電圧』に示されるが、この様子は従来の液晶パネルの場
合と同様である。したがって、ここでは、その詳細は省
略する。一方、レーザーのパルス発振の様子は図中の
『レーザーG』(緑の発光レーザー)、『レーザーB』
(青の発光レーザー)、『レーザーR』(赤の発光レー
ザー)に示されている。図から明らかなように、各レー
ザーは間隔を開けて順にパルス状に発光する。
【0037】例えば、赤のレーザーが発光している状態
に注目すると、その期間は極めて短い。例えば1フレー
ムが30msecであると、その理論的な最長期間は
2.5msecであり、実際には1msec以下である
ことが望ましい。この制限は主に、画像処理上の問題か
ら生じる。すなわち、液晶パネルとして、各種半導体に
よってできたアクティブマトリクス装置を使用した場合
には、1サブフレームあたりに残された時間は、 30〔msec/フレーム〕÷3〔色フレーム〕÷4
〔サブフレーム〕=2.5msec であるが、もし、各レーザーの発光パルス幅が1mse
cであったとすると、各色フレームにおいて画像の処理
に残された時間は1.5msecであり、走査線数を5
00として、線準次モードで画像表示をおこなった場合
に、1行を処理するのに残された時間は、 1.5msec÷500=3μsec である。もちろん、より高速で動作する半導体材料を使
用すれば、レーザーパルスの幅を画像の処理時間に比し
て大きく取ることも可能である。
【0038】パルス状のレーザー光を取り出すには、連
続発振レーザー光を光学シャッター装置によって、パル
ス状に取り出してもよいし、パルス状にレーザーを励起
することによっておこなってもよい。あるいはQスイッ
チによって、レーザーの発振状態をパルス状に制御して
もよい。後述する階調方法においてはレーザーのパルス
幅を制御する必要が生じることがある。一般にパルス励
起やQスイッチ法ではパルス幅を制御することはほとん
ど不可能であるので、機械的あるいは電気的な光学シャ
ッタを用いると良い。
【0039】図2(A)の例では、緑のレーザーの4つ
のパルスが連続して照射されたときには、画素Aは、全
て正の電圧状態にあり、画素Bは、2回は正の電圧状態
で、他の2回は負の電圧状態にある。さらに、青のレー
ザーが照射された時には、画素Aは1回だけ正の電圧状
態であり、他は負の電圧状態であり、一方、画素Bは3
回が正の電圧状態であり、1回だけ負の電圧状態にあ
る。このときの各画素の透過率は図に示すようになって
おり、結果的に、画素Aでは緑は4/4、青が1/4、
画素Bでは緑は2/4、青が3/4の表示ができる。こ
のように、液晶のON状態の時間とOFF状態の時間を
組み合わせることによって、中間的な色調を表示するこ
とができる。
【0040】実際には、画素の電圧は図に示すように、
時間とともにさまざまな理由によって降下してゆくもの
であり、従来のTN液晶を用いた場合には電圧降下によ
って画素の透過率を一定に維持することは困難であっ
た。例えば、レーザー光が照射されるまでの時間を考え
た場合、画面の上の方にある画素Aの方が、画素Bより
も時間が長いわけであるので、レーザーが照射されたと
き(図2(A)の時間t1 のとき)には放電によって画
素Aの方が電圧の低下が大きい。
【0041】しかしながら、液晶材料として、強誘電性
液晶等を使用した場合には、それ自信が十分なメモリー
性を有しておれば、このような電圧降下が影響すること
はなく、また、メモリー性が不十分でも、あるいは究極
的にはメモリー性が全く無くても、一定の正もしくは負
の電圧が印加されていれば、常に同じ透過率を維持し続
けることができる。典型的には強誘電性液晶において
は、常に+5V以上の電圧もしくは−5V以下の電圧の
いずれかの状態にあるようにすることが望ましい。その
中間的な状態では液晶中にドメインが生成して、完全な
ON/OFFの切替えが困難となる。
【0042】この方法で、例えば、16階調の表示をお
こなおうとすれば、行数500のマトリクスで1フレー
ムを30msecとしても、1行の処理に許される時間
は1.25μsecであり、もはやアモリファスシリコ
ンTFTでは駆動することができないので、結晶性シリ
コンTFTやCdSeTFT等のTFTを使用する必要
が生じる。
【0043】図2(B)は、同じ方式の階調表示方法で
あるが、同じく4階調表示をおこなう際に、1フレーム
を4つのサブフレームに分割し、各サブフレームにRG
B3色に対応する色フレームを有していることを特徴と
する。レーザー光の照射を最初のサブフレーム(1/4
フレーム)の間にG、B、Rを一通り照射して、以下、
これをさらに3回繰り返す方式を示している。やはり、
図に示すような電圧を印加することによって、階調表示
をおこなうことが可能である。
【0044】図3もやはりデジタル階調方式に関するも
のであるが、以上とは別な方式に関するものである。こ
こでは、照射するレーザーのパルスの幅、あるいはパル
スの波高を複数用意し、その組合せによって、明るさを
変化させようとするものである。図3では、いずれも8
階調表示の例が示されている。図3(A)では、3つ連
続するレーザーパルスの幅が、順に倍々に増加してゆ
く。また、図3(B)では、3つ連続するレーザーパル
スの波高が、順に倍々に増加してゆく。このようにし
て、例えば、画素Aには、G、B、Rが、それぞれ、
“5”、“3”、“2”、画素Bにはそれぞれ、
“1”、“3”、“6”の階調表示をおこなうことがで
きる。
【0045】一般に、通常のレーザーの動作において、
パルスの幅を変えることや、パルスの波高を変えること
は容易なことではなく、したがって、レーザー発振装置
に何らかの装置を付加することによっておこなわなけれ
ばならない。
【0046】例えば、電気的に光学特性の変化する素子
をレーザー発振装置の内部あるいは外部に装着すること
によってパルスの幅や波高を変化させることができる。
このような素子としては液晶を利用することもできる。
しかしながら、このような素子を具備する場合には十分
に気をつけなければならない。例えば、レーザーのパル
ス幅を変えようとして、レーザー発振装置の内部(共振
器の間)にこのような素子を具備した場合、不透明な状
態では発光は増幅されず、レーザー発振はおこらない
が、透明な状態になった場合にはレーザー発振が起こ
り、いったん発振が開始するとそのエネルギーは急激に
増加する。例えば、レーザー光が1回共振器を往復する
間の利得は10以上となることも珍しくない。その場合
には、共振器の内部の光学スイッチ素子の透明度が高く
ないと、光の一部を吸収して焼損する場合がある。
【0047】したがって、レーザーのパルス幅を変化さ
せる場合には、光学シャッターは共振器の外部に取りつ
けることが望ましい。また、このような場合には、レー
ザーをパルス発振で用いることは動作原理上、困難であ
るので連続発振(CW)状態で使用することになるが、
その場合には、光シャッターがOFF状態であると、レ
ーザー光は画像に使用されないまま熱となってしまい、
ロスが生じる。このロスを減らすには、レーザー光の照
射されている時間を、2次元光学スイッチ装置において
画像の書換えに費やされる時間に比して大きくすると良
いが、先述の通り、画像処理に要する時間は、画素のア
クティブ素子の性能に関わる問題であるので、簡単に変
更することはできない。
【0048】一方、レーザーパルスの波高を可変させる
場合には、共振器の内部に電気光学装置を具備すること
によって、制御することはほとんど不可能で、共振器の
外部に共学装置を設けて制御をおこなうことが望まれ
る。例えば、ON状態ではOFF状態の2倍の透過率を
有する電気光学素子を6枚設けることによって、6段階
(1、2分の1、4分の1、8分の1、16分の1、3
2分の1)の光量の調節が可能であり、結果、64階調
の階調表示が可能である。この場合には、液晶のような
比較的透明度の低い材料を用いることも出来る。また、
レーザーをパルス励起やQスイッチ法などの方法によっ
て発振させた場合には、発光は、電気光学素子によって
利用されない部分を除けば、極めて効率的に利用され
る。
【0049】
【実施例】
〔実施例1〕 青の光源としてAr+ レーザー、緑の光
源としてNd:YAGレーザーの第2高調波、赤の光源
としてHe−Neレーザーの発光を利用した本発明の実
施例を以下に記述する。図7において、704はArガ
スの封入された放電管、705はNd:YAGの結晶ロ
ッド、707はHe−Ne放電官である。Nd:YAG
のロッドの延長上にはKDP、KTPあるいはLiNb
3 等の非線型光学素子706が挿入され、Nd:YA
Gの1.06μmの発振レーザー光の第2高調波(53
2nm)を生じるようになっている。この非線型素子は
有機非線型光学材料であってもよい。Nd:YAGの励
起には、クリプトンアークランプによる励起を用いても
よいが、半導体レーザーの近赤外光を励起光源として用
いれば、小型で、冷却も容易である。
【0050】これらの発光体の長軸方向の両端には反射
鏡が設けられ、共振器を構成している。また、図には示
されていないが、各発光体の側面は発光を効率良く反射
して、レーザー発振をおこなうように、反射材で覆われ
ている。この鏡のうち、701〜703は全反射鏡であ
り、711と713はハーフミラーである。また、71
2は、赤外光に対しては全反射であり、可視光に対して
は透明もしくは半透明な材料で構成されている。そし
て、本発明では、各レーザーの発振をパルス的にしか
も、電気的に制御しておこなう必要があることから、各
共振器の内部にはポッケルスセル708〜710が設け
られ、電気的にスイッチングをおこなうような構成にな
っている。
【0051】Ar+ レーザーでは、発振波長は476.
5nm、488nm、514.5nmの3つがある。3
つの発振光が混合された状態では、色の再現性がよくな
いので、不要な波長の光を削除することが望まれる。そ
のため、図には示されていないが、共振器の外部に色フ
ィルターを設けて、出力光を選択したり、あるいは共振
器の内部にエタロンのように光学的な干渉効果によって
波長選択性を示す素子によって、不要な波長の発振その
ものをなくしてしまうことが望まれる。
【0052】このように、3つの発振装置から出力され
た各色光は、プリズムやハーフミラー等の光学素子71
4〜717によって、1軸上に1本の光線として集めら
れる。各レーザー発振装置内のポッケルスセルが同時に
ONとなれば、3色の混じった光(白色光)が出力され
るのであるが、本発明では、各ポッケルスセルは別々に
ONとなるので、厳密には各色は別々に出力される。
【0053】本実施例では、2次元光学スイッチ装置と
して、薄膜トランジスタを使用したマトリクス回路を使
用した。これは従来の液晶表示装置として用いられてい
たアクティブマトリクスと回路的には同じである。ただ
し、TFTに対する負担を軽減する目的から補助容量は
設けていない。また、液晶材料としては強誘電性液晶を
用いた。
【0054】強誘電性液晶もしくは反強誘電性液晶はそ
れ自体メモリー性を有しているので、従来のアクティブ
マトリクスに必要とされたような補助容量(画素容量に
並列に挿入される容量)がなく、画素電極が放電した場
合でもON状態を持続することは可能である。しかしな
がら、このような強誘電性(もしくは反強誘電性)が強
い材料は、いわゆる『焼け』という現象が発生しやす
く、信頼性に欠ける面があった。これに対し、強誘電性
(もしくは反強誘電性)が小さい材料は、『焼け』等の
表示に関する欠陥は少ないが、画素容量の放電が激し
く、表示を持続するのに十分な電圧が維持できない場合
にはON状態(もしくはOFF状態)を持続することが
難しくなる。したがって、従来通りに補助容量が必要と
される。
【0055】もちろん、画素の放電が充分に小さけれ
ば、補助容量はなくても構わない。特に、過大な補助容
量の存在は、充電あるいは放電の動作に時間がかかり、
本発明を実施するにおいて望ましいものではない。画素
の放電を小さくするには、例えば、薄膜トランジスタの
OFF抵抗を充分大きくし、リーク電流を減らすこと
と、液晶等の画素自身の電極間抵抗を充分大きくするこ
とが必要である。特に後者の目的のためには、画素電極
を、窒化珪素、あるいは酸化珪素等、酸化タンタル、酸
化アルミニウムの絶縁性材料で被覆してしまうことが有
効である。
【0056】このような回路において、各薄膜トランジ
スタのゲイト電圧やソース・ドレイン間電圧をコントロ
ールすることによって、画素に印加される電圧のON/
OFFを制御することが可能である。この例では、マト
リクスは640×480ドットとした。また、駆動方式
は図2(A)に示したものと同様におこない、本実施例
では1つの色フレームを32のサブフレームに分割し
て、32階調の表示をおこなった。1サブフレームの時
間は312.5μsecであった。また、アクティブマ
トリクスの走査パルスの幅は、500nsecとし、走
査パルスの間隔を100nsecとした。この結果、1
サブフレームの間に300μsecが画面の走査(書換
え)に使用され、残りの12.5μsecの間にレーザ
ーが照射されるようにして動作をおこなった。
【0057】各画素の電位は、TFTのゲイト電極と画
素電極の寄生容量と自然放電によって変動し、時間の経
過とともに0に近づく。しかし、画素の透過率に注目す
ると図2(A)に示すように、画素電位が降下してゆく
にも関わらず、透過率は一定に保たれる。自発分極の大
きな液晶材料であれば、画素電位の降下はさほど問題と
ならない。しかし、自発分極が小さく、メモリー性の良
くない液晶材料を用いる場合には画素電位の低下が許容
できるように他のパラメータ(データ電位等)を設定し
なければならない。
【0058】設計上のポイントとしては、最も特性の悪
いTFTを基準として駆動信号電位(走査電位、データ
電位)を設定すればよい。例えば、最も電荷の保持特性
の悪い画素において、サブフレームの持続時間の間に電
位が+3V以上、好ましくは+5V以上あるように、デ
ータ電位を設定する。そして、左記データ電位を駆動す
るのに適切なゲイト電位を設定する。
【0059】本実施例では、マトリクスに印加する走査
信号パルスの波高は+15V、データ信号は±10Vと
した。液晶材料は強誘電性液晶のフェニルピリミジン系
強誘電性液晶を使用し、液晶セルの厚さは2.5μmと
した。セルの一方の基板には上記アクティブマトリクス
基板を使用し、他の基板としては全面にITO膜を形成
し、その上にショート防止用の酸化珪素膜を形成した基
板を用いた。なお、液晶に印加される電圧が5V以下で
は液晶中にドメイン構造が生成しているのが確認され
た。このようなドメイン構造はデジタル階調表示をおこ
なう上で特性を悪化することになるので、ドメインが発
生しないように、印加する電圧を高めにすることが望ま
れる。
【0060】以上の動作において、サブフレームの持続
時間の決定は重要である。既に述べたように、強誘電性
(もしくは反強誘電性)液晶の光学応答時間は印加され
る電圧に依存する。上記のように8V程度の電圧であれ
ば50μsecの応答時間である。一般に光学応答時間
は、印加電圧に反比例する。ところで、1フレームは動
画の表示特性やフリッカーの防止の目的で1フレームは
100msec以下、好ましくは30msec以下であ
る必要がある。したがって、1色フレームは、その1/
3になる。例えば1フレームを30msecとすれば、
1色フレームは10msecであり、最大の階調度数
は、10msecを50μsecで除した200階調が
限度であるが、実際には、光学応答が完全に行われるた
めには上記光学応答時間の数倍が必要であるので、50
階調程度の階調が限度となる。このような制約は、液晶
に印加する電圧(あるいは電場)の大きさを大きくし、
光学応答時間を短縮することによって改善されるが、T
FTの耐圧がそれに伴って向上することが必要である。
【0061】〔実施例2〕 色素レーザーを用いて本発
明を実施する装置の例を図8示す。また、液晶光シャッ
ターによって、出力パルスの波高を可変させる機構に付
いても記述する。
【0062】色素レーザーは、各種紫外レーザーやフラ
ッシュランプ等の励起によって発振する波長可変レーザ
ーとして知られており、また、色素を変えることによっ
て、各色の発振をえることが容易にできることでも極め
て利用価値が高い。例えば実施例1の例では各色を発振
させるために、あるものは放電励起を、あるものはラン
プ励起をおこなわなければならなかった。しかしなが
ら、色素レーザーでは、青色から赤色に到るまで、全て
同じ方式で発振させることができるので装置の構造が簡
単である。色素としては、赤はローダミンB(605〜
635nm)、緑はソディウム・フルオレセイン(53
0〜560nm)、青は7−ヒドロキシクマリン(45
0〜470nm)を用いればよい。もちろん、その他に
も各種色素を利用することができる。
【0063】これらの色素を光励起して、共振させる
と、かなりブロードなスペクトルの発光が生じるが、そ
のままでは本発明で使用するには不十分であるので、共
振器の中に回折格子やプリズム、エタロン等の波長選択
素子を挿入し、発振波長を選択するようにする。分光用
の波長可変レーザーとして用いる場合には、発振波長幅
も狭く、分光性もよい回折格子が用いられるが、本発明
ではそのような分光に比べると発振波長幅は10倍以上
ブロードでよく、さらに、発振波長は可変である必要は
なく、むしろメンテナンスの容易さが要求されるので、
エタロンが適している。
【0064】本実施例では、色素レーザーの励起光源と
しては、比較的小型の装置の得られる窒素レーザー80
1を用いた。窒素レーザーは通常、パルス放電によって
パルス幅10nsec程度、波長330nm程度の紫外
光を発振させることができる。したがって、パルス放電
のタイミングを各色の発振のタイミング、さらには液晶
パネルの画像処理のタイミングに合わせる。したがっ
て、窒素レーザーの繰り返し周波数は、画像情報に合わ
せて決定される。例えば、図3(B)の方法によって、
毎秒30フレーム、8階調の表示をおこなおうとすれ
ば、窒素レーザーの発振繰り返し周波数は、270Hz
(=30フレーム/秒×3色×3パルス/色)が必要で
ある。
【0065】色素レーザーは、図に示すように色素セル
805、エタロン(波長選択素子)とポッケルス素子の
複合した光学シャッター816、全反射鏡815、ハー
フミラー814という構成を、それぞれ有する。
【0066】窒素レーザーから得られた紫外光は、シリ
ンドリカルレンズ(図示せず)等の光学装置によって、
細長い形状に加工され、ミラー802〜804によっ
て、各色素レーザー805(B)、806(G)、80
7(R)の色素セルに照射される。そして、各色素レー
ザーから出力される光は、ミラー808〜812によっ
て、1軸上に集められる。
【0067】さらに、図8の下に図示するように、1軸
上に合わせられたレーザー光は、3つの光学シャッター
が重ね合わせられた光学素子を透過する。この光学素子
には液晶光シャッターを用いてもよい。ただし、各光学
シャッターは、OFF状態であっても、半分の光を透過
するような構造を有していることが求められる。そのた
めには、各光シャッターに微細加工を施して、全体の5
0%の面積に窓を形成してやればよい。例えば、3つの
光学シャッターが全てON状態であるときの透過光量を
1とすれば、1つのシャッターがOFFになったときの
透過光量は、半分であり、2つのシャッターがOFFに
なったときの透過光量は、4分の1である。3つの光学
シャッターとのOFFになった場合には、透過光量は8
分の1になる。このように、光量を可変することによっ
て、図3に示したような階調表示が可能となる。その
後、レーザービームはレンズ818を透過して、液晶パ
ネルに照射される。液晶光学シャッターには、特願平4
−131512(平成4年4月24日出願)に記述され
ているものを用いた。
【0068】以上の場合においては、光学スイッチ素子
817の透明度には十分な注意を払わなくてはならな
い。レーザーのビームは強力なパルス光であるので、部
分的に不透明な箇所が存在するとその部分から焼損等に
よる破壊が拡がり、素子全体に及ぶ。したがって、レー
ザーの強度(パワー密度やエネルギー密度)と光学スイ
ッチ素子の耐性を十分考慮しなければならない。
【0069】例えば、レーザーのビーム径を1mmとし
て、これを1mの画面に拡大投影する場合には、レーザ
ーのビームのエネルギー密度は、従来のプロジェクショ
ンディスプレー装置(ビーム径は〜1cm)の少なくと
も100倍であり、また、それが、100nsec程度
のパルスであれば、その尖頭出力は、cw的な光源の照
射による従来のプロジェクションディスプレー装置の1
0億倍ものパワー密度である。
【0070】したがって、このような強い光を直接、光
学スイッチ素子に入れることが問題である場合には、そ
の前段にレンズ等の光学系を挿入して、ビームのエネル
ギー密度を低くしておくとよい。例えば、ビーム径を1
0倍拡げると、エネルギー密度は100分の1に低下す
る。また、本発明では、この段階では各レーザーから放
射されたレーザー光は1軸上に合わせられ、かつ、何の
映像情報も含んでいないので、その光軸を合わせる作業
は極めて容易である上、光学系も簡単なものでよい。例
えば、図8において、レンズ818と光学スイッチ素子
817の順番を入れ替えるだけでもよい。ただ、その際
には、光学スイッチに照射されるレーザービームの面積
は大きいので、光学スイッチに欠陥がある場合には、そ
れを避けることが難しくなる。
【0071】本実施例は図3(B)に示されたように1
フレームを3つの色フレームに分割し、さらに各色フレ
ームを3つのサブフレームによって構成し、各サブフレ
ームにおいて照射されるレーザー光の強度比を1:2:
4とすることによって、8階調のデジタル階調表示をお
こなったものである。各サブフレームの持続時間を3.
5msecとし、1フレームは31.5msecとし
た。
【0072】石英基板上に形成した結晶性シリコンTF
Tを用いたアクティブマトリクスの規模は640×48
0とし、実施例1と同様に補助容量を設けなかった。T
FTはシングルゲイトのPMOSを用いたが、これはリ
ーク電流が小さく、ON/OFFが大きくとれるためで
ある。典型的にはリーク電流は1pA以下(ゲイト電圧
+15V、ドレイン電圧−10V)以下、ON/OFF
比7.5桁以上(ゲイト電圧−15V/+15V、ドレ
イン電圧−10V)であった。
【0073】画素の大きさは20μm×60μmとし
た。各画素の電荷保持特性を調べたところ、データ信号
として、−10Vを印加した時の最も悪いものは3.5
msec(1サブフレーム持続時間)後の電圧は約−
5.5Vであった。
【0074】マトリクスに印加する走査信号パルスの幅
は5μsecとし、パルスの波高は−15V、データ信
号は±10Vとした。1サブフレームの期間において、
2.4msecが走査(書換え)に使用され、残りの
1.1msecの間にパルス状のレーザー光が照射され
るようにした。液晶材料はフェニルピリミジン系強誘電
性液晶を使用し、液晶セルの厚さは2.5μmとした。
セルの一方の基板には上記アクティブマトリクス基板を
使用し、他の基板としては全面にITO膜を形成し、そ
の上にショート防止用の酸化珪素膜を形成した基板を用
いた。なお、液晶に印加される電圧が5V以下では液晶
中にドメイン構造が生成しているのが確認された。この
ようなドメイン構造はデジタル階調表示をおこなう上で
特性を悪化することになるので、ドメインが発生しない
ように、印加する電圧を高めにすることが望まれる。以
上の液晶表示装置によって、最大コントラスト比18
0、8階調の表示を得ることができた。
【0075】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によって、全く新しいプロジェクションディスプレー装
置が作製される。従来のプロジェクショディスプレー装
置が、画像情報を付加したのちに、光軸を合わせるとい
う構成を有していたのに対し、本発明のプロジェクショ
ンディスプレー装置は、光軸を合わせたのちに、画像情
報が付加されるという構成を有しているため、画面のぼ
けが少なく、極めて鮮明な画像が得られることを特徴と
している。しかも、振動や温度サイクル等によって、光
軸がずれた場合においても、その調整は容易であり、一
般の家庭で使用するに適している。また、本発明の技術
思想から、本発明でのプロジェクションディスプレー装
置は、前方投影型であっても後方投影型であっても構わ
ないことは明らかである。
【0076】また、本発明のプロジェクションディスプ
レー装置は、理想的な単色光であるレーザー光を使用す
るため色再現性に優れ、また、その輝度が強いことか
ら、通常の明るさの室内において画像を表示するには何
ら問題はない。
【0077】また、本発明のプロジェクショディスプレ
ー装置では、従来のアナログ階調表示方式に代わって、
従来にはない新しいデジタル階調方式を採用するが、こ
の方式は、従来のいかなる階調表示方式に対しても劣る
ものではない。また、本発明では、ことにカラー表示を
目的としたが、この階調表示方式はカラー映像のみなら
ず、単色表示においてもデジタル階調表示方式として利
用できるものである。
【0078】このように、本発明は、従来のプロジェク
ションディスプレー装置にはない数々の新しい概念を伴
った画期的な発明である。本発明では使用する2次元光
学スイッチ装置が重要である。強誘電性液晶や反強誘電
性液晶、それらのポリマー液晶を用いたアクティブマト
リクスは理想的であるが、それ以外にも、有機もしくは
無機の各種光学応答材料を使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプロジェクショディスプレー装置の
基本構成を示す。
【図2】 本発明における階調表示方式(デジタル階調
方式)の例を示す。
【図3】 本発明における階調表示方式(デジタル階調
方式)の例を示す。
【図4】 従来のプロジェクショディスプレー装置の例
を示す。
【図5】 従来のプロジェクショディスプレー装置の例
を示す。
【図6】 各種表示方法における色再現性を示す。
【図7】 本発明における光学系の例を示す。
【図8】 本発明における光学系の例を示す。 101・・・2次元光学スイッチ装置 102、103・・・ミラー 104、105、106・・・レーザー発光装置 107、108、109、110・・・信号ケーブル 111・・・制御用装置 112・・・スクリーン 113、114・・・光学系
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−109596(JP,A) 特開 昭63−113426(JP,A) 特開 昭62−262822(JP,A) 特開 平2−102588(JP,A)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】異なる色のレーザー光を出力する複数のレ
    ーザー発振装置と、 前記複数のレーザー発振装置から出力されるレーザー光
    を同一光軸とする光学系と、 前記光学系により同一光軸とされたレーザー光を拡大す
    る拡大手段と、 前記拡大手段によって拡大された前記レーザー光が入射
    される2次元光学スイッチ装置と、 前記2次元光学スイッチ装置を透過した前記レーザー光
    が照射されるスクリーンと、 を有すること を特徴とする画像表示装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記光学系は複数のハ
    ーフミラーを有することを特徴とする画像表示装置。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記2次元光学スイッ
    チ装置は、前記スクリーン側にのみ偏光板が設けられた
    液晶表示装置であり、 前記液晶表示装置に入射されるレーザー光は、一方向に
    偏光していること を特徴とする画像表示装置。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記液晶表示装置は、
    液晶材料として強誘電性もしくは反強誘電性を有する材
    料を用いていることを特徴とする画像表示装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3において、前記2次元光学
    スイッチ装置に入射されるレーザー光はパルス光であ
    り、該パルス光のパルス幅を周期的に変化させることに
    よって階調表示されることを特徴とする画像表示装置
  6. 【請求項6】請求項1乃至3において、前記2次元光学
    スイッチ装置に入射されるレーザー光はパルス光であ
    り、該パルス光のパルス波高を周期的に変化させること
    によっ て階調表示されることを特徴とする画像表示装
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