JP2702468B2 - 複合セラミックスとその製法 - Google Patents

複合セラミックスとその製法

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JP2702468B2 JP7317899A JP31789995A JP2702468B2 JP 2702468 B2 JP2702468 B2 JP 2702468B2 JP 7317899 A JP7317899 A JP 7317899A JP 31789995 A JP31789995 A JP 31789995A JP 2702468 B2 JP2702468 B2 JP 2702468B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス特に
炭化物セラミックスの脆さを克服した高靭性セラミック
スに係り、特に板状炭化珪素粒子を分散した複合セラミ
ックスとその製法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化物セラミックスは、高硬度,高耐摩
耗,高融点,化学的に安定,高耐食性などの利点を有す
るが、脆いという問題点がある。この脆さを克服するた
めに、焼結助剤に酸化アルミニウムを用いて炭化珪素粒
子の粒成長により強靱化を図る方法〔ジャーナル オブ
マテリアル リサーチ(J.Mater.Re
s.),第8巻,第7号,1635〜1643頁,19
93年〕、酸化アルミニウムや酸化イットリウムの焼結
助剤による液相焼結により、炭化珪素粒子を粒成長させ
る方法〔ジャーナル オブ アメリカン セラミックス
ソサイエティ(J.Am.Ceram.Soc.),
第77巻,第2号,519〜523頁,1944年〕な
どの方策がなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】セラミックスの粒成長
による強靱化は、組織全体が針状結晶あるいは柱状結晶
になるために靭性は若干向上するが、結晶粒径が大きく
なるため強度が低下すると云う問題がある。また、針状
または柱状結晶の炭化珪素粒子は、亀裂が粒内を通過し
易いために、靭性向上に大きく寄与しないと云う問題が
ある。
【0004】本発明の目的は、強度を下げることなく、
靭性を大幅に改善した複合セラミックスを提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め本発明者らは、針状または柱状結晶の炭化珪素粒子に
よる強靱化方法に関し、高靭性材料を種々検討した。そ
の結果、微細な炭化物マトリックス中に、硼化タングス
テンが固溶した板状炭化珪素粒子を分散させることによ
り高強度、かつ、高靭性の炭化物セラミックスを得るこ
とに成功した。
【0006】
【発明の実施の形態】硼化タングステンが固溶した板状
炭化珪素粒子は、Si粉末,C粉末,B粉末,W粉末か
らなる混合粉末をメカニカルアロイングにより合金化し
た粉末を焼結することにより得られる。メカニカルアロ
イング後の粉末は、1ミクロン以下の微細粉末であり、
粉末X線回折で分析した結果、回折ピークがブロードな
β−炭化珪素が生成していることが分かった。
【0007】そして、この粉末を2000℃まで加熱す
ると、硼化タングステンが固溶した板状の炭化珪素に変
化する。板状の炭化珪素表面には、ボタン形状の硼化タ
ングステンを観察することができる。
【0008】図1にその模式図を示すが、硼化タングス
テンが固溶した板状炭化珪素1の表面に、ボタン状の硼
化タングステン2が形成されている。このような板状の
炭化珪素粒子が生成するメカニズムは不明である。
【0009】本発明の硼化タングステンが固溶した板状
炭化珪素粒子は、硼化タングステンと炭化珪素を単純に
混合,焼結しただけでは得られず、また、Si,C,
B,Wの混合粉末を焼結しても得られないことから、メ
カニカルアロイングによりSiとCとが反応して炭化珪
素が生成する際に、WとBあるいはWとBの化合物が固
溶(反応)したものと考えられる。そして、硼化タング
ステンが、板状結晶の成長を促進する成長促進剤的な役
割を果しているものと考えられる。
【0010】ここで、メカニカルアロイングを行なう粉
末として、Si粉末とC粉末の混合モル比は1:1と
し、W粉末とB粉末の混合モル比は5:1〜1:5とす
ることにより、効率良く硼化タングステンが固溶した板
状炭化珪素粒子を得ることができる。
【0011】メカニカルアロイングは、タングステン容
器とタングステンボール、あるいは、炭化珪素容器とタ
ングステンボールで行なうことによっても合金粉末が得
られる。即ち、メカニカルアロイング原料粉末にW粉末
を用いなくても、容器あるいはボールからのW源を供
給,混入することも可能である。
【0012】メカニカルアロイングで得られた粉末に、
焼結助剤として炭化硼素を2mass%、成形バインダ
としてポリビニルブチラール(PVB)を1mass%
添加し、エタノールと一緒に混合した。得られた成形体
をAr雰囲気中、2000℃で1時間処理することによ
り、硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素の焼結体
を得ることができる。
【0013】ここで、焼結助剤量、焼結条件を制御する
ことにより、焼結体気孔率が0に近いものから40%の
多孔体まで作製可能である。
【0014】Si,Cr,Ti,Hf,B,Zr,M
o,Wの少なくとも1種からなる炭化物粉末にメカニカ
ルアロイングで得られた粉末を適量混合し、さらに焼結
助剤および成形バインダを混合して成形体形成し、高温
で焼結することより、微細な炭化物粒子の焼結体中に、
硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子を分散す
ることができる。このときの分散量は1〜50vol
%、特に5〜20vol%が機械特性を改善するの上で
好ましい。
【0015】硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素
粒子の分散した場合の利点は、硼化タングステンの固溶
により、針状あるいは柱状炭化珪素粒子単体に比較して
粒子自身の靭性が向上し、亀裂が粒内を通過しないで迂
回する点にある。これにより、靭性を1.5倍以上向上
することが可能となる。
【0016】図2に硼化タングステンが固溶した板状炭
化珪素粒子が分散した炭化物焼結体の模式図を示す。硼
化タングステンが固溶した板状炭化珪素3の粒子が、微
細な炭化物マトリックス4中に均一分散している。
【0017】さらに、Si,Cr,Ti,Hf,B,Z
r,Mo,Wの少なくとも1種からなる炭化物粉末と金
属Si粉末との1:3モル比の混合粉末に、メカニカル
アロイングで得られた粉末を所定量混合し、焼結助剤お
よび成形バインダを混合した成形体を高温で焼結するこ
とより、微細な炭化物粒子からなる焼結体中に硼化タン
グステンが固溶した板状炭化珪素粒子を分散することが
でき、以下の焼結体中の化学反応で生成した珪化モリブ
デンなどの珪化物粒子をも分散することができる。
【0018】
【化1】MoC+3Si ⇒ MoSi2+SiC 図3はその模式図であるが、硼化タングステンが固溶し
た板状炭化珪素3の粒子と珪化物粒子5とが微細粒子の
炭化物マトリックス4に均一分散している。
【0019】炭化物焼結体を作製するための焼結助剤
は、B,C,炭化硼素,IIからVIII族の酸化物,IIか
らVIII族の窒化物などを使用できる。その配合量は0.
5〜20mass%程度である。
【0020】本発明の高靭性セラミックスについては、
無加圧焼結,ガス圧焼結,ホットプレス焼結,ホットア
イソスタティックプレス焼結,放電プラズマ焼結,マイ
クロ波プラズマ焼結などで焼結可能なため、成形方法は
射出成形,プレス成形,鋳込み成形,ラバープレス成
形,押出し成形,金型粉末成形など形状と要求特性に応
じて各種の成形方法が選択でき、複雑形状のセラミック
スを得ることができる。
【0021】焼結温度,時間,圧力,雰囲気について
は、組成によって緻密化するための条件を見出し、制御
する。また、焼結温度はマトリックスとなるセラミック
スの種類によって選択するのがよい。
【0022】また、本発明のセラミックス中に、カーボ
ン,SiC,Si−C−O,Si−C−N−O,Si3
4,Si−Ti−C−O,Si−N−O,Al−Oの
少なくとも1種からなるウイスカーおよび/または長繊
維を配向,分散でき、通常のウイスカー混合法や長繊維
との融合化法により可能である。
【0023】図4に長繊維を配向させた模式図を示す。
3が硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素3の粒子
が、微細粒子の炭化物マトリックス4中に均一分散さ
れ、長繊維6で強化されている。
【0024】本発明の複合炭化物セラミックスは、これ
までにない高強度、かつ、高靭性のが得られることか
ら、切削工具や摺動部材に適しており、また、従来適用
しにくかったエンジン部品、ガスタービン用動翼、静
翼、燃焼器、シュラウド、原子力部品等に利用可能であ
る。次に本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0025】
【実施例】
〔実施例 1〜5〕1μmのSi粉末と20nmのC粉
末との1:1(モル比)混合粉の50gと、2μmのW
粉末と2μmのB粉末との5:1(モル比)混合粉の1
0gとの混合粉末を準備した。該粉末をタングステン製
容器(内径100mm×高さ120mm)とタングステ
ンボール(直径5mmφ)を用いた遊星ボールミルによ
り、24時間メカニカルアロイング処理を行なった。
【0026】得られた粉末は、主としてブロードなX線
回折ピークを有する1μm以下のβ−炭化珪素であっ
た。
【0027】次に、0.5μmのβ−炭化珪素粉末にメ
カニカルアロイング粉末を表1に示す焼結体組成となる
よう添加し、焼結助剤として炭化硼素を2mass%、
プレス成形用のバインダ(PVB)2mass%をエタ
ノールと一緒に混合し、乾燥後、成形原料とした。プレ
ス成形法により50mm角×厚さ10mmの成形体を作
製した。
【0028】得られた成形体をアルゴン雰囲気中、21
00℃,1時間の条件で焼結を行なった。X線回折分析
およびSEM分析より焼結体の組成はβ−炭化珪素、硼
化タングステン(主としてWB、W25)からなり、数
ミクロンの微細なβ−SiCマトリックス中に硼化タン
グステンが表面に付着固溶した板状(大きさ40μm、
厚さ5μm)のβ−SiCが分散した焼結体が得られ
た。
【0029】得られた焼結体の組成、曲げ強度、破壊靭
性値を表1に示す。なお、組成は硼化タングステンが表
面に付着固溶した板状炭化珪素と、マトリックスを構成
するβ−炭化珪素の比を示す。
【0030】また、比較例1として、0.5μmのβ−
炭化珪素粉末に焼結助剤として炭化硼素を2mass%
添加したものを同様に成形,焼結して得られた焼結体の
曲げ強度、破壊靭性値の結果を併せて表1に示す。
【0031】本発明材は、比較材に比べて靭性値が1.
5〜2倍向上している。破面を観察すると板状粒子が突
出しており、亀裂が迂回して靭性が向上していることが
分かった。
【0032】
【表1】
【0033】〔実施例 6〜12〕実施例3と同様に、
β−炭化珪素の代わりに他の炭化物セラミックスとの組
合せについて検討を行なった結果を表2に示す。焼結温
度は、1700℃〜2500℃の範囲で作製した。組成
は、硼化タングステンが表面に付着固溶した板状炭化珪
素とマトリックスを構成する炭化物粒子の比を示す。
【0034】表2から比較例2,3の炭化物単体の破壊
靭性値はいずれも約3MPa√mである。これに対し
て、硼化タングステンを固溶した板状β−炭化珪素が分
散された本発明材は、炭化物セラミックス単体よりも優
れた靭性を有することが分かった。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例 13〕0.5μmのSi粉末と
0.1μmのC粉末との1:1(モル比)混合粉の50
gと、1μmのW粉末と0.5μmのB粉末との3:1
(モル比)混合粉の10gとの混合粉末を準備した。該
粉末をタングステン製容器(内径100mm×高さ12
0mm)とタングステンボール(直径5mmφ)を用い
た遊星ボールミルにより24時間メカニカルアロイング
処理を行なった。
【0037】得られた粉末は、主としてブロードなX線
回折ピークを有する1μm以下のβ−炭化珪素であっ
た。
【0038】次に、焼結助剤として炭化硼素を2mas
s%、プレス成形用のバインダ(PVB)2mass%
をエタノールと一緒に混合し、乾燥後、成形原料とし
た。プレス成形により、50mm角×厚さ10mmの成
形体を作製した。得られた成形体をアルゴン雰囲気中、
1800℃〜2300℃の範囲で1時間焼結を行なっ
た。これにより、硼化タングステンが表面に付着固溶し
た板状(大きさ30〜200μm、厚さ3〜10μm)
のβ−SiCが3次元的に絡み合った40〜1%の気孔
率を有する焼結体が得られた。
【0039】〔実施例 14−17〕1μmのSi粉末
と20nmのC粉末との1:1(モル比)混合粉の50
gと、2μmのW粉末と2μmのB粉末との1:3(モ
ル比)混合粉の10gとの混合粉末(60g)を準備し
た。該粉末を炭化珪素製容器(内径100mm×高さ1
20mm)とタングステンボール(直径5mmφ)を用
いた遊星ボールミルにより24時間メカニカルアロイン
グ処理を行なった。
【0040】得られた粉末は、主としてブロードなX線
回折ピークを有する1μm以下のβ−炭化珪素であっ
た。
【0041】次に、0.5μmの炭化モリブデン粉末と
金属Si粉末との1:1(モル比)混合粉末(140
g)に、上記メカニカルアロイング処理粉末の所定量を
混合し、焼結助剤として酸化アルミニウムを7mass
%、プレス成形用のバインダ(PVB)2mass%を
有機溶剤と一緒に混合し、乾燥後、成形原料とした。プ
レス成形により、50mm角×厚さ10mmの成形体を
作製した。
【0042】得られた成形体を、0.5MPaのアルゴ
ン雰囲気中で2050℃で2時間焼結を行なった。得ら
れた各焼結体の組成および特性を表3に示す。
【0043】X線回折分析およびSEM分析より、焼結
体の組成はβ−炭化珪素、硼化タングステン(主として
WB、W25)、珪化モリブデンからなり、数ミクロン
の微細なβ−SiCマトリックス中に硼化タングステン
が表面に付着固溶した板状(大きさ40μm、厚さ5μ
m)のβ−SiCが分散し、さらにナノサイズの珪化モ
リブデン粒子が分散した焼結体が得られた。ナノサイズ
の珪化モリブデン粒子を分散させたことにより、さらに
強度と靭性を向上することができた。
【0044】
【表3】
【0045】〔実施例 18〕1μmのSi粉末と20
nmのC粉末との1:1(モル比)混合粉の50gと、
2μmのW粉末と2μmのB粉末との5:1(モル比)
混合粉の10gとの混合粉末(60g)を準備した。該
粉末をタングステン製容器(内径100mm×高さ12
0mm)とタングステンボール(直径5mm)を用いた
遊星ボールミルにより24時間メカニカルアロイング処
理を行なった。
【0046】次に、0.3μmのα−炭化珪素粉末(1
20g)に上記メカニカルアロイング粉末を添加し、焼
結助剤として炭素と硼素を各1mass%、水系溶剤と
を混合したスラリーを3次元の炭素繊維プリフォームワ
イヤ成形体の空隙に流し込み、乾燥後、得られた成形体
を100kg/cm2の圧力下でホットアイソスタティ
ックプレスで2000℃まで加熱し、2時間保持して焼
結体を作製した。
【0047】得られた焼結体の室温から1500℃(真
空中)における曲げ強度は、520MPaと温度による
低下は見られなかった。また、破壊靭性値は15MPa
√mを有した。
【0048】同様に、SiC,Si−C−O,Si−C
−O−N,Si34,Si−Ti−C−O,Si−N−
O,Al−Oの長繊維プリフォームワイヤを用いても同
様に焼結し、同様の特性が得られた。
【0049】〔実施例 19〕火力プラントシステムの
中の燃焼ガスによってタービンを回転させる1500℃
級ガスタービン試験設備において、該ガスタービンを構
成する燃焼器内張り、燃焼器用トランジションピース、
バイパス弁、タービン動翼、タービン静翼、タービンデ
ィスク、スピンドルボルト、タービンケーシング、シュ
ラウド、ディフーザーコーン、タービン排気車室、排気
ダクトのそれぞれに実施例3のセラミックスからなる部
材を用いた。
【0050】上記の試験設備で1000時間の運転試験
を行なった結果、何ら異常は見られなかった。本発明の
セラミックス部材の適用により、冷却空気量の低減化が
可能となり、従来の金属系部材を用いたものに比較し
て、その効率を5%以上向上させることができた。
【0051】同様に、コジェネレーション用再生式1軸
ガスタービン、コジェネレーション用再生式2軸ガスタ
ービン、可搬式発電用再生式2軸ガスタービン、航空機
用ガスタービン、自動車用ガスタービンなどに本発明の
セラミックス材を設けることにより耐熱,耐酸化性で高
効率化の装置を得ることが可能である。
【0052】〔実施例 20〕0.5μmのSi粉末と
0.1μmのC粉末との1:1(モル比)混合粉の50
gと、1μmのW粉末と0.2μmとのB粉末の3:1
(モル比)混合粉の10gとの混合粉末を準備した。該
粉末をタングステン製容器(内径100mm×高さ12
0mm)とタングステンボール(直径5mm)を用いた
遊星ボールミルにより48時間メカニカルアロイング処
理を行なった。
【0053】次に、焼結助剤として炭化硼素を2mas
s%、プレス成形用のバインダ(PVB)2mass%
をエタノールと一緒に混合し、乾燥後、成形原料とし
た。プレス成形により、10mm角×厚さ10mmの成
形体を作製した。得られた成形体を、アルゴン雰囲気
中、放電プラズマ焼結法により2100℃で1時間の条
件で焼結を行なった。これにより、硼化タングステンが
表面に付着固溶した板状(大きさ30〜200μm、厚
さ3〜10μm)のβ−SiCが3次元的に絡み合った
組織の焼結体が得られた。
【0054】上記の焼結体から切削工具用スローアウェ
イチップを切り出し、切削試験に供した。切削試験は、
池貝NC旋盤25kWを用い、切削速度500m/分、
切り込み0.5mm、送り0.36mm/1回転、被切削
材SUS304(直径300mm)により行なった。
【0055】寿命判定は、VB=0.2mmであり、本実
施例のものは切削工具材として有用なことが確認され
た。
【0056】〔実施例 21〕実施例1で得られた焼結
体組成を用いて、図5に示すような磁気ディスク装置の
アクチュエータのガイドレール7を作製した。なお、図
5において8はベアリング(SUS304製)、9はコ
イル、10はフレームを示す。
【0057】摺動面の粗さを0.1μmとし、最大速度
1.4m/秒、周波数60Hzで磁気ヘッドを109回往
復運動させた。試験後の摺動面の粗さは0.1μm以下
であり、摺動前と変化のないことを確認した。
【0058】本実施例材は耐摩耗性に優れており、アク
チュエータ用として適していることが分かった。
【0059】また、本発明材は各種ポンプ用シール材、
各種軸受材としても適用でき、その耐久性並びに信頼性
を著しく向上することが可能である。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、硼化タングステンが固
溶した板状炭化珪素粒子を分散した炭化物セラミックス
が得られ、該複合セラミックスは、硼化タングステンが
固溶した板状炭化珪素粒子により亀裂の進展を抑制し、
破壊靭性値を向上させることができる。これにより、従
来適用できなかった過酷な条件下で使用する部材に適用
できる。例えば、切削工具、摺動部材、ガスタービン用
動翼部品、静翼部品、燃焼器部品、シュラウド部品、原
子力用部品などの耐摩耗性,耐食性,耐熱性を向上する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素模式
図である。
【図2】硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子
が分散した炭化物焼結体の模式図である。
【図3】硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子
および珪化物粒子が分散した炭化物焼結体の模式図であ
る。
【図4】硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子
が分散した長繊維強化炭化物焼結体の模式図である。
【図5】磁気ディスク装置のアクチュエータ部の概略図
である。
【符号の説明】
1…硼化タングステンが固溶した板状炭化珪素、2…硼
化タングステン、3…硼化タングステンが固溶した板状
炭化珪素、4…炭化物マトリックス、5…珪化物粒子、
6…長繊維、7…ガイドレール、8…ベアリング、9…
コイル、10…フレーム。
フロントページの続き (72)発明者 宮田 素之 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内 (72)発明者 沢井 裕一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所 日立研究所内

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硼化タングステンが固溶した板状炭化珪
    素粒子を含むセラミックス焼結体からなることを特徴と
    する複合セラミックス。
  2. 【請求項2】 Si,Cr,Ti,Hf,B,Zr,M
    o,Wの少なくとも1種からなる炭化物焼結体中に、硼
    化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子が1〜50
    vol%含有していることを特徴とする複合セラミック
    ス。
  3. 【請求項3】 Si,Cr,Ti,Hf,B,Zr,M
    o,Wの少なくとも1種からなる炭化物焼結体中に硼化
    タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子が1〜50v
    ol%、珪化モリブデン粒子が1〜20vol%含有し
    ていることを特徴とする複合セラミックス。
  4. 【請求項4】 カーボン,SiC,Si−C−O,Si
    −C−N−O,Si34,Si−Ti−C−O,Si−
    N−O,Al−Oの少なくとも1種からなるウイスカー
    および/または長繊維が2〜50vol%分散している
    請求項1,2または3に記載の複合セラミックス。
  5. 【請求項5】 少なくともSi粉末,C粉末,B粉末,
    W粉末の混合粉末をメカニカルアロイングする工程、前
    記メカニカルアロイングした粉末に焼結助剤と成形バイ
    ンダを混合して成形し、該成形体を不活性ガス中または
    還元性ガス中あるいは真空中で1700〜2500℃で
    1〜600分加熱して焼結体を作製する工程、を含むこ
    とを特徴とする複合セラミックスの製法。
  6. 【請求項6】 少なくともSi粉末,C粉末,B粉末,
    W粉末の混合粉末をメカニカルアロイングする工程、S
    i,Cr,Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくと
    も1種からなる炭化物粉末に前記メカニカルアロイング
    した粉末を焼結体換算で1〜50vol%配合し、これ
    に焼結助剤と成形バインダを混合して成形し、該成形体
    を不活性ガス中または還元性ガス中あるいは真空中で1
    700〜2500℃で1〜600分加熱して焼結体を作
    製する工程、を含むことを特徴とする複合セラミックス
    の製法。
  7. 【請求項7】 少なくともSi粉末,C粉末,B粉末,
    W粉末の混合粉末をメカニカルアロイングする工程,S
    i,Cr,Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくと
    も1種からなる炭化物粉末と金属Si粉末の3:1〜
    1:5(モル比)の混合粉末に前記メカニカルアロイン
    グした粉末を焼結体換算で1〜50vol%配合し、こ
    れに焼結助剤と成形バインダを混合して成形し、該成形
    体を不活性ガス中または還元性ガス中あるいは真空中で
    1700〜2500℃で1〜600分加熱して焼結体を
    作製する工程、を含むことを特徴とする複合セラミック
    スの製法。
  8. 【請求項8】 前記メカニカルアロイング工程が、タン
    グステン容器とタングステンボール、または、炭化珪素
    容器とタングステンボールを用いて行なう請求項5,6
    または7に記載の複合セラミックスの製法。
  9. 【請求項9】 前記メカニカルアロイングした粉末がβ
    −炭化珪素を含む請求項5,6または7に記載の複合セ
    ラミックスの製法。
  10. 【請求項10】 前記成形体の焼結方法が無加圧焼結、
    ガス圧焼結、ホットプレス焼結、ホットアイソスタティ
    ックプレス焼結、放電プラズマ焼結、マイクロ波プラズ
    マ焼結のいずれかである請求項5,6または7に記載の
    複合セラミックスの製法。
  11. 【請求項11】 前記Si粉末とC粉末の混合モル比を
    1:1とし、W粉末とB粉末の混合モル比が5:1〜
    1:5である請求項5,6または7に記載の複合セラミ
    ックスの製法。
  12. 【請求項12】 前記焼結助剤が、B,C,炭化硼素,
    酸化ベリリウム,酸化スカンジウム,酸化バナジウム,
    酸化鉄,酸化セレニウム,酸化ストロンチウム,酸化ク
    ロム,酸化ハフニウム,酸化ジルコニウム,酸化モリブ
    デン,酸化タングステン,酸化イットリウム,酸化ニオ
    ブ,酸化タンタル,酸化硼素,酸化珪素,酸化アルミニ
    ウム,酸化チタニウム,希土類酸化物から選ばれた少な
    くとも1種を0.5〜20mass%配合する請求項
    5,6または7に記載の複合セラミックスの製法。
  13. 【請求項13】 切削工具の少なくとも切削刃先が、硼
    化タングステンが固溶した板状炭化珪素粒子を含むセラ
    ミックス焼結体からなる複合セラミックスで形成されて
    いることを特徴とする切削工具。
  14. 【請求項14】 切削工具の少なくとも切削刃先が、S
    i,Cr,Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくと
    も1種からなる炭化物焼結体中に、硼化タングステンが
    固溶した板状炭化珪素粒子が1〜50vol%含有して
    いる複合セラミックスで形成されていることを特徴とす
    る切削工具。
  15. 【請求項15】 切削工具の少なくとも切削刃先が、S
    i,Cr,Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくと
    も1種からなる炭化物焼結体中に、硼化タングステンが
    固溶した板状炭化珪素粒子が1〜50vol%、珪化モ
    リブデン粒子が1〜20vol%含有している複合セラ
    ミックスで形成されていることを特徴とする切削工具。
  16. 【請求項16】 2つの部材が互いに摺動する機械装置
    の摺動部の少なくとも一方の摺動部材が、硼化タングス
    テンが固溶した板状炭化珪素粒子を含むセラミックス焼
    結体からなる複合セラミックスで形成されていることを
    特徴とする摺動部材。
  17. 【請求項17】 2つの部材が互いに摺動する機械装置
    の摺動部の少なくとも一方の摺動部材が、Si,Cr,
    Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくとも1種から
    なる炭化物焼結体中に、硼化タングステンが固溶した板
    状炭化珪素粒子が1〜50vol%含有している複合セ
    ラミックスで形成されていることを特徴とする摺動部
    材。
  18. 【請求項18】 2つの部材が互いに摺動する機械装置
    の摺動部の少なくとも一方の摺動部材が、Si,Cr,
    Ti,Hf,B,Zr,Mo,Wの少なくとも1種から
    なる炭化物焼結体中に、硼化タングステンが固溶した板
    状炭化珪素粒子が1〜50vol%、珪化モリブデン粒
    子が1〜20vol%含有している複合セラミックスで
    形成されていることを特徴とする摺動部材。
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