JP2698716B2 - 高速応答ゲル・アクチュエータ - Google Patents

高速応答ゲル・アクチュエータ

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JP2698716B2
JP2698716B2 JP3206046A JP20604691A JP2698716B2 JP 2698716 B2 JP2698716 B2 JP 2698716B2 JP 3206046 A JP3206046 A JP 3206046A JP 20604691 A JP20604691 A JP 20604691A JP 2698716 B2 JP2698716 B2 JP 2698716B2
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利博 平井
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利博 平井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汎用高分子材料の誘電
体の電場配向を利用した高速応答ゲル・アクチュエータ
に関する。
【0002】
【従来の技術】直流電場下での物性変化を利用する試み
は古くからある。例えばウィンスロウ(Winslow)によ
る特許が1947年に既に提案されている。最近、多く
なってきたこのいわゆる電気粘性流体に関する、あるい
は電気粘弾性に関する提案もこれに準ずるものである。
すなわち、いずれの場合においても、物質変化の由来す
るところはイオン性あるいは電場によってイオン化する
性質を持つ高分子、または粒子について電場印加によっ
て誘起される構造形成である。ここで言う構造形成と
は、巨視的な意味でのものであり、その結果として液体
状の物性から固体状のものへと変化するものを指してい
る。いずれの場合も荷電性分子あるいは粒子が一次元的
に電場方向に配向した構造が観察され、こうした配向構
造が物性変化を誘起すると考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の電気粘性流体は、基本的に流体であるため加工
製作において高い機密性のパッキングを必要とし、フレ
キシブルな機械や装置になりにくいという課題を有して
いた。たとえば特開平2−41685号公報には、ポリ
ビニルアルコールとポリアクリル酸を溶解させた水・ジ
メチルスルホキシド混合溶液を複数回凍結解凍し、この
生成物を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して高分子ゲル
を形成し、これをメカノケミカルアクチュエータとして
使用することが提案されているが、前記高分子ゲルは水
分の蒸発により駆動が減衰してしまうので、同公報の図
面で明らかにされているように、高い機密性のフィルム
にパッキングすることが必要であった。
【0004】本発明は、前記従来技術の課題を解決する
ため、非荷電性の高分子材料を用いて誘電性の媒体を含
む系を対象とし、発熱を伴わず、実効電流が事実上ゼロ
に近い状態で分子配向のみによってゲル状高分子成型体
の形状を変化させることが可能であり、さらに、この形
状変化の際に生じる機械的変形エネルギーをアクチュエ
ーションに利用しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の高速応答ゲル・アクチュエータは、誘電性
のポリマーまたは比較的強い双極子モーメントを有する
置換基を持つポリマーからなる3次元網目構造を形成し
たゲル状物に、非イオン性誘電性の溶媒を含ませた高分
子ゲル状物であって、直流電場を印加することによって
誘電性の分子あるいは置換基が電場方向に配向し、ゲル
の構造が異方的に変化し、その応答速度が概ねミリ秒か
ら10ミリ秒のオーダーであることを特徴とする。
【0006】
【作用】前記した本発明の構成によれば、異方的な力が
極めて高速で発生しこれを用いて有為な仕事を行うこと
ができ、アクチュエーションとして応用することができ
る。すなわち、本発明における変形、あるいはアクチュ
エーションが生じる機構は、誘電性分子の電場による配
向とそれによって誘起される高分子のコンフォメーショ
ンの変化に基づくものである。これが、「誘導配向」な
る言葉の所以である。従って、ゲルを構成している高分
子鎖の集合状態の異方性などの高次構造がアクチュエー
ションの大きさを決める要因の一つとなる。ここでは従
来の電気粘性流体と異なり液体様から固体様へのような
極端な物性変化は生じない。構造変化は電場によって連
続的かつ線形に起こり、従って発生する力や変形量は電
場によって線形に制御できる。このことはまた系に電流
を通じる条件下で測定してもアクションが電流に依存せ
ず一定となることを意味しており、事実もまたそのとお
りとなる。事実上、電流の流れない条件下(たとえば1
mA以下)でゲルのアクチュエーションが行なえること
は熱的にエネルギーが散逸することを避けられることで
あり、電気エネルギーを高効率で機械エネルギーに変換
できることを示唆している。この結果、実効電流が事実
上ゼロに近い状態で分子配向のみによってゲル状高分子
成型体の形状を変化させることが可能であり、さらに、
この形状変化の際に生じる機械的変形エネルギーをアク
チュエーションに利用することができる。
【0007】また、本発明のゲルは、形状が固定され、
流動性がないかまたはきわめて低いという機能を発揮す
る。したがって従来の電気粘性流体を用いた場合に要求
されるような高い機密性のパッキング等はとくに必要で
ない。この機能は、フレキシブルな機械や装置になり易
いという利点を有する。
【0008】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0009】前記したように、本法のアクチュエーショ
ン機構は高分子鎖のコンフォメーション変化に由来する
もので、しかも媒質の配向による誘導に引き金を求めて
いるためアクションの応答性は極めて速い。応答速度は
ゲルの誘導性と媒質のそれの強さなどによるが概ねミリ
秒から10ミリ秒のオーダーである。変位量はゲル固有
の架橋度などに由来するゲルの構造と物性にもっとも大
きく依存している。
【0010】本法でアクチュエーションが可能な高分子
材料としてはポリビニルアルコール、メチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、カ
ルボキシメチルセルロース、カゼイン、アルギン酸、ポ
リビニルピロリドンなどがあげられる。また、これに準
ずる構造のゴム状物で溶媒を含まないが十分な弾性を有
する物質、たとえば、クロロプレン、ポリ塩化ビニリデ
ン、ナイロン、ポリアクリルアミドなどでも可能であ
る。オレイル基などを側鎖に持つ高分子、あるいはゴム
では媒質を必要とせず単独でアクチュエーションを起こ
すことができる。使用可能な媒質はポリマーと相溶性の
良い適当な誘電率を持つものであれば何でも構わない。
例えば、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルフォルムアミド、水、アルコール、アセト
ンなど、さらにこれらの混合溶媒の使用が可能である。
ただし、余り揮発性の高いものはゲルの性状を一定に保
つのに不都合であり、また、引火などの危険性があるた
め好ましくない。
【0011】本発明によって得られるゲルアクチュエー
タは微細加工によってマイクロマシン化できるため高精
度でソフト、かつ微細なアクションを求められるマイク
ロサージュリーなどにも利用されるマニピュレータなど
への適用が可能である。
【0012】以下具体的実施例を説明する。 実施例1 平均重合度1700でケン化度99.0モル%以上のポ
リビニルアルコール(PVA)の10wt%ジメチルス
ルホキシド(DMSO)溶液をシャーレに所定の厚さに
なるように流布し、−20℃で冷蔵保存してPVA−D
MSOゲルを作製した。このゲルをグルタルアルデヒド
水溶液に浸漬し、ゲル内部までグルタルアルデヒドが浸
透した状態で塩酸を触媒として30℃で所定時間反応さ
せ、ゲルに化学架橋を施した。このゲルを十分水洗した
後水中で煮沸処理した。さらに、アセトン中で脱溶媒和
して乾燥したものをDMSO中に浸漬して再膨潤させ
た。この脱膨潤−再膨潤の操作を繰り返してゲル中の水
分を除去したPVA−DMSOゲルを作製した。膨潤度
は架橋度の増加に伴い減少した。
【0013】こうして作製したPVA−DMSOゲルの
シートの上下面を電極板で挟み電圧を印加した。ゲルの
厚さ変化を変位センサーで観測し、電位、電流の影響な
どを測定した。ゲルの寸法、形状、測定条件は下記の通
りである。 ゲルの実際の寸法:縦25mm×横25mm×厚さ
7mmである。 ゲルの形状:偏平な厚みのある板状で、ゴム状の弾
性を持つ。 印加電圧:100V〜1000V、変化させた電流
値:1mA〜10mA。印加電圧が100V未満ではゲ
ルの変形は観測できなかった。電圧:100V以上にし
て観察された電場方向のゲルの収縮量は、1μm〜26
μmで、電圧の増加に伴って単調に増加した。 電圧1000V、電流1mAで電場方向のゲルの収
縮量は26μmであった。発熱は3mA以下の条件では
観測できなかった。なお、ゲルの温度はゲル中に刺し込
んだ熱電対によって測定した。
【0014】その結果、電場の印加により電場方向にゲ
ルは瞬時に収縮しその直交方向に伸張し、電場よって異
方向な変形挙動を示し、さらにこの過程で熱の発生は観
察できなかった。
【0015】このゲルに微量のイオン種を添加して電流
を流すとジュール熱が発生しゲルの温度が上昇した。こ
の場合にはゲルは等方的に膨潤し上記のような異方的な
変位挙動は観察できなかった。
【0016】このことから先の異方的な変位挙動は熱的
な誘因によるものではなく、電場による双極子の配向に
由来することが示唆された。電場によって誘起されたア
クションは電場強度に依存するが、電流には依存しなか
った。
【0017】前記の場合、変位が生じる電場は40V/
cm・cm2 以上である。その電場の印加による発生応
力はミリ秒から十ミリ秒の範囲で最大値に達し、その値
も電場にほぼ比例して変化した。変位量はゲルの厚さの
1%程度と小さいがこれはゲルの化学構造と網目構造さ
らには分子の配向構造などに依存するものでそれらの改
変によりさらに増加させることが可能である。ただし、
この程度の変位でもその高速応答性と電場によって変位
量を制御できる点などから、集積化するなどの方法によ
りマイクロアクチュエータとしての応用が可能である。
【0018】以上説明した通り、本実施例によれば、ゲ
ルアクチュエータとして見た場合、従来の駆動法に比較
して約1000倍程度の高速化が達成できた。
【0019】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、直
流電場を印加することによって誘電性の分子あるいは置
換基が電場方向に配向し、ゲルの構造が異方的に変化す
ることを利用して、実効電流が事実上ゼロに近い状態
(すなわち発熱を最小限に抑えながら)で分子配向のみ
によってゲル状高分子成型体の形状を変化させることが
でき、さらに、この形状変化の際に生じる機械的変形エ
ネルギーをアクチュエーションに有効に応用できる。
た、ゲルアクチュエータとして見た場合、従来の駆動法
に比較して約1000倍程度の高速化が達成できる。
【0020】また、本発明のゲルは、形状が固定され、
流動性がないかまたはきわめて低いという機能を発揮す
るので、従来の電気粘性流体を用いた場合に要求される
ような高い機密性のパッキング等はとくに必要でなく、
この機能はフレキシブルな機械や装置に組み込み易いと
いう利点を有する。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電性のポリマーまたは比較的強い双極
    子モーメントを有する置換基を持つポリマーからなる3
    次元網目構造を形成したゲル状物に、非イオン性誘電性
    の溶媒を含ませた高分子ゲル状物であって、直流電場を
    印加することによって誘電性の分子あるいは置換基が電
    場方向に配向し、ゲルの構造が異方的に変化し、その応
    答速度が概ねミリ秒から10ミリ秒のオーダーである
    とを特徴とする高速応答ゲル・アクチュエータ。
JP3206046A 1991-08-16 1991-08-16 高速応答ゲル・アクチュエータ Expired - Fee Related JP2698716B2 (ja)

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JP3628611B2 (ja) * 2000-11-29 2005-03-16 独立行政法人科学技術振興機構 マイクロシステムにおける流れの制御方法
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