JP2688339B2 - 金属長尺材のローラレベラによる矯正方法および装置 - Google Patents

金属長尺材のローラレベラによる矯正方法および装置

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JP2688339B2 JP7614595A JP7614595A JP2688339B2 JP 2688339 B2 JP2688339 B2 JP 2688339B2 JP 7614595 A JP7614595 A JP 7614595A JP 7614595 A JP7614595 A JP 7614595A JP 2688339 B2 JP2688339 B2 JP 2688339B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属長尺材、たとえば
鋼板などの金属帯、および形鋼などの形材などをローラ
レベラによって矯正するための方法および装置に関し、
さらにローラレベラの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】ローラレベラは、たとえば図26に示さ
れるように焼入時の冷却水量の違いなどによって斜線で
示される耳波1などの形状不良を有する圧延材2が、図
27に示されるように下ローラ3と上ローラ4とを有す
るローラレベラを通過されることによって、繰返し曲げ
によって図28の参照符5で示されるように平坦に矯正
される。上述の圧延材2は、各部分で種々の曲率を持っ
ており、図29の参照符〜で示されるように繰返し
曲げが行われ、特に初期に大きな矯正曲率を与えること
によって、曲率差のほとんどない状態とし、この後、矯
正曲率を漸減し、残留曲率を零に収束させて、反りおよ
び波のない板に矯正する。
【0003】このようなローラレベラは、繰返し曲げに
より、たとえば圧延後の鋼板の反りおよび曲りを矯正す
る装置であって、その矯正効果は、圧下量で決まる。し
たがってこの圧下量をどのように設定するかによって、
矯正効果が変わる。矯正効果というのは、ローラレベラ
での矯正後の残留曲率および変形などである。従来で
は、この圧下量の設定方法については、理論的に明確に
されたものは存在せず、各製鉄工場におけるオペレータ
である操作者の勘と経験に頼っているのが実状である。
【0004】特開昭61−262427は、矯正中にロ
ーラに働く反力をもとに矯正中の板の曲率を推定し、こ
れを初めに設定した目標曲率となるように圧下量を調整
するというものである。その目標圧下量の設定方法につ
いては、降伏曲率と板厚などの関数であるということが
示されているのみである。
【0005】他の先行技術である特開平6−10624
1は、矯正中の板の曲率をレーザ変位計である距離設定
器を用いて計測し、これを初めに設定した目標曲率とな
るように圧下量を調整するというものである。その目標
圧下量の設定方法については、開示がなく、材料の違い
および初期曲率の影響などは考慮されていない。
【0006】したがって各先行技術では、最適な圧下条
件を決定するための工夫は全く行われていない。
【0007】ローラレベラにおける圧下量の分布形状に
関する先行技術は、たとえば特開昭62−33015で
ある。この先行技術のローラレベラでは、上ローラと下
ローラはそれぞれ一体のフレームに取付けられている。
そのため圧下量、すなわち簡単に言えば、大略的に上ロ
ーラと下ローラの表面間の距離は、入側から出側まで直
線状に変化する。そのため板の矯正を最適に行うための
調整量としては、入側と出側の圧下量の2つしかなく、
矯正効果を充分に最適化することはできない。
【0008】前記フレームが、矯正されるべき金属薄板
および帯材による反力で撓んだ状態においても、希望す
る圧下量を達成することができるようにするために、他
の先行技術である特公昭56−41323では、矯正ロ
ーラの列が円弧状になるような曲げが一緒に調節される
工夫がなされている。このような先行技術においてもま
た、圧下量の分布を直線状に変化することを前提として
おり、矯正効果を充分に最適化することは考慮されてい
ない。
【0009】要約すると、これらの先行技術では、矯正
中のローラに働く反力、トルクまたは金属長尺材の曲率
を実際に計測して、その計測結果をもとに矯正中の金属
長尺材の曲率と目標最大曲率とを比較し、不足していれ
ば圧下量を増やし、過大であれば圧下量を減少させる構
成を有しているだけであって、その目標最大曲率の設定
をどのようにして行うかに関する先行技術は全く存在し
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
長尺材に最適な圧下条件を与えて矯正することができる
ようにした金属長尺材のローラレベラによる矯正方法お
よび装置、ならびにローラレベラを提供することであ
る。
【0011】本発明の他の目的は、ローラレベラにおけ
る圧下量の分布を適切に定めて矯正効果を充分に最適化
することを可能にした金属長尺材のローラレベラによる
矯正方法および装置、ならびにローラレベラを提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属長尺材の
ローラレベラによる矯正後の残留曲率が最小となるため
のローラレベラでの矯正時に金属長尺材に生じる最大曲
率である最適最大曲率κmax・optでの矯正後の最小残留
曲率κres・minを、ローラレベラの仕様と、そのローラ
レベラによって矯正されるべき金属長尺材の降伏曲率κ
ylとによって定数を定め、かつ金属長尺材の初期曲率κ
iniを変数とする2次式で表わし、矯正される金属長尺
材の初期曲率κiniを求め、前記2次式に代入して最小
残留曲率κres・minを求め、こうして得られた最小残留
曲率κres・minが目標残留曲率κres・tar以下であるか
を比較して判断することを特徴とする金属長尺材のロー
ラレベラによる矯正方法である。また本発明は、前記演
算して得られた最小残留曲率κres・minが、目標残留曲
率κres・tarを超えるとき、前回の演算によって得た最
小残留曲率κres・minを、初期曲率κiniとして前記2
次式に代入して、今回の最小残留曲率κres・minを演算
して求めて前記目標残留曲率κres・tarと比較し、この
演算比較動作を、最小残留曲率κres・minが前記目標残
留曲率κres・tar以下になるまで繰返し、ローラレベラ
によって矯正すべきパス回数を求めることを特徴とす
る。また本発明は、金属長尺材のローラレベラによる矯
正後の残留曲率が最小となるためのローラレベラでの矯
正時に金属長尺材に生じる最大曲率である最適最大曲率
κmax・optを、ローラレベラの仕様と、そのローラレベ
ラによって矯正されるべき金属長尺材の降伏曲率κylと
によって定数を定め、かつ金属長尺材の初期曲率κini
を変数とする1次式で表わし、矯正されるべき金属長尺
材の初期曲率κiniを求め、前記1次式に代入して最適
最大曲率κmax・optを求め、こうして得られた最適最大
曲率κmax・optとなるローラレベラの圧下量のパターン
で、ローラレベラによる矯正をすることを特徴とする金
属長尺材のローラレベラによる矯正方法である。また本
発明は、入側から出側に、上下に複数のローラが交互に
等しいピッチLをあけて配置され、圧下量Diがほぼ直
線状に変化する圧下量分布を有するローラレベラを用
い、降伏曲率κylを有する金属長尺材に作用させるべき
最大曲率κmaxが与えられたとき、入側圧下量Dinを、
次式から求め、 κmax = a・(Din/L2) + b ここでa,bは、降伏曲率κylに依存する値であり、こ
うして求めた入側圧下量Dinとなるようにローラレベラ
を設定して金属長尺材の矯正をすることを特徴とする金
属長尺材のローラレベラによる矯正方法である。また本
発明は、前記値aは、降伏曲率κylを変数とする1次式
で表わされ、前記値bは、降伏曲率κylを変数とする2
次式で表わされることを特徴とする。また本発明は、入
側から出側に上下に配置された複数のローラを有するロ
ーラレベラを用い、金属長尺材の圧下量を、入側から出
側になるにつれて小さく、かつ入側と出側との間で下に
凸の分布形状に、設定することを特徴とする金属長尺材
のローラレベラによる矯正方法である。また本発明は、
圧下量の分布形状を、上下のローラが交互に配置される
ピッチL、入側圧下量Din、出側圧下量Dout、入側か
ら第i番目のローラの圧下量Di、入側から第i番目の
ローラまでのローラ間距離の合計ΣLi、入側から出側
までのローラ間距離Ltotalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、nが1/4以下に選ばれることを特徴とする
請求項6記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方
法である。また本発明は、n=1/4であることを特徴
とする。また本発明は、入側から出側に、上下に複数の
ローラが交互に配置され、圧下量Diが入側から出側に
なるにつれて小さく変化するローラレベラを用い、金属
長尺材のローラレベラによる矯正後の最小残留曲率κre
s・minを、ローラレベラの仕様と、そのローラレベラに
よって矯正されるべき金属長尺材の降伏曲率κylとによ
って定数を定め、かつ金属長尺材の初期曲率κiniを変
数とする2次式で表わし、矯正されるべき金属長尺材の
初期曲率κiniを求め、前記2次式に代入して最小残留
曲率κres・minを求め、金属長尺材のローラレベラによ
る矯正後の残留曲率κresが最小となるためのローラレ
ベラでの矯正時に金属長尺材に生じる最大曲率である最
適最大曲率κmax・optを、ローラレベラの仕様と、その
ローラレベラによって矯正されるべき金属長尺材の降伏
曲率κylとによって定数を定め、かつ金属長尺材の初期
曲率κiniを変数とする1次式で表わし、前記2次式か
ら得られた最小残留曲率κres・minが目標残留曲率以下
であるとき、金属長尺材の初期曲率κiniを、前記1次
式に代入して最適最大曲率κmax・optを求め、前記得ら
れた最適最大曲率κmax・optを用いて、入側圧下量Din
を、次式から求め、 κmax・opt = a・(Din/L2) + b ここでa,bは、降伏曲率κylに依存する値であり、こ
うして求めた入側圧下量Dinとなるようにローラレベラ
を設定して金属長尺材の矯正をする金属長尺材のローラ
レベラによる矯正方法である。また本発明は、前記ロー
ラレベラは、入側から出側に上下に複数のローラが交互
に等しいピッチLをあけて配置され、圧下量Diがほぼ
直線状に変化する圧下量分布を有するローラレベラを用
いることを特徴とする。また本発明は、金属長尺材の圧
下量を、入側と出側との間で下に凸の分布形状に設定す
ることを特徴とする。また本発明は、圧下量の分布形状
を、上下のローラが交互に配置されるピッチL、入側圧
下量Din、出側圧下量Dout、入側から第i番目のロー
ラの圧下量Di、入側から第i番目のローラまでのロー
ラ間距離の合計ΣLi、入側から出側までのローラ間距
離Ltotalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、nが1/4以下に選ばれることを特徴とす
る。また本発明は、n=1/4であるこを特徴とする。ま
た本発明は、入側から出側に、上下に複数のローラが交
互に配置され、圧下量Diが入側から出側になるにつれ
て小さく変化するローラレベラと、金属長尺材の初期曲
率κiniを表わす信号を発生する信号発生手段と、信号
発生手段からの出力に応答し、ローラレベラの仕様と、
金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を定め、かつ
初期曲率κiniを変数とする2次式に、信号発生手段か
ら入力される初期曲率κiniを代入して、ローラレベラ
による矯正後の最小残留曲率κres・minを演算する第1
演算手段と、第1演算手段からの出力に応答し、最小残
留曲率κres・minが、予め定める目標残留曲率κres・t
ar以下であることを比較して判断する判断手段と、信号
発生手段からの出力に応答し、ローラレベラの仕様と、
金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を定め、かつ
初期曲率κiniを変数とする1次式に、信号発生手段か
ら入力される初期曲率κiniを代入して、矯正後の残留
曲率κresが最小となるためのローラレベラの最大曲率
である最適最大曲率κmax・optを演算する第2演算手段
と、第1演算手段、判断手段および第2演算手段の出力
に応答し、第1演算手段によって求めた最小残留曲率κ
res・minが目標残留曲率κres・tar以下であるとき、第
2演算手段によって求めた最適最大曲率κmax・optが達
成されるように、ローラレベラを駆動制御する制御手段
とを含むことを特徴とする金属長尺材のローラレベラに
よる矯正装置である。また本発明は、ローラレベラで
は、上下の各ローラが等しいピッチLをあけて配置さ
れ、さらに、制御手段は、第2演算手段の出力に応答
し、入側圧下量Dinを、次式から演算して求め、 κmax・opt = a・(Din/L2) + b ここで値aは、降伏曲率κylを変数とする1次式で表わ
され、値bは、降伏曲率κylを変数とする2次式で表さ
れる第3演算手段を含み、第3演算手段によって求めた
ローラレベラの入側圧下量Dinを達成することを特徴と
する。また本発明は、ローラレベラは、その圧下量の分
布形状が、上下のローラが交互に配置されるピッチL、
入側圧下量Din、出側圧下量Dout、入側から第i番目
のローラの圧下量Di、入側から第i番目のローラまで
のローラ間距離の合計ΣLi、入側から出側までのロー
ラ間距離Ltotalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、nが1/4以下に選ばれることを特徴とす
る。また本発明は、複数の下ローラが入側から出側に間
隔をあけて配置される下ローラ列と、複数の上ローラが
入側から出側に間隔をあけて、かつ下ローラ相互間に配
置される上ローラ列と、入側に設けられ、下ローラ列と
上ローラ列との上下の間隔を変化して設定する第1アク
チュエータと、出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ
列との上下の間隔を変化して設定する第2アクチュエー
タと、下ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれ
か一方の各ローラを個別的に支持し、搬送方向に垂直な
上下の変位方向に変位駆動して調整設定する駆動調整手
段とを含むことを特徴とするローラレベラである。また
本発明は、複数の下ローラが入側から出側に間隔をあけ
て配置される下ローラ列と、複数の上ローラが入側から
出側に間隔をあけて、かつ下ローラ相互間に配置される
上ローラ列と、入側に設けられ、下ローラ列と上ローラ
列との上下の間隔を変化して設定する第1アクチュエー
タと、出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上
下の間隔を変化して設定する第2アクチュエータと、下
ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれか一方の
各ローラを個別的に支持し、搬送方向に垂直な水平方向
に変位可能であるくさび片と、くさび片を前記方向に変
位駆動して設定する駆動手段とを含むことを特徴とする
ローラレベラである。また本発明は、下ローラ列または
上ローラ列の少なくともいずれか一方は、各ローラを支
持する対を成すバックアップローラによって支持され、
バックアップローラがくさび片によって変位可能である
ことを特徴とする。また本発明は、複数の下ローラが入
側から出側に間隔をあけて配置される下ローラ列と、複
数の上ローラが入側から出側に間隔をあけて、かつ下ロ
ーラ相互間に配置される上ローラ列と、入側に設けら
れ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間隔を変化して
設定する第1アクチュエータと、出側に設けられ、下ロ
ーラ列と上ローラ列との上下の間隔を変化して設定する
第2アクチュエータと、下ローラ列または上ローラ列の
少なくともいずれか一方の各ローラを個別的に支持する
対を成すバックアップローラと、バックアップローラ
を、個別的に支持し、搬送方向に垂直な上下変位方向に
変位駆動して調整設定する駆動調整手段とを含むことを
特徴とするローラレベラである。また本発明は、複数の
下ローラが入側から出側に間隔をあけて配置される下ロ
ーラ列と、複数の上ローラが入側から出側に間隔をあけ
て、かつ下ローラ相互間に配置される上ローラ列と、入
側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間隔
を変化して設定する第1アクチュエータと、出側に設け
られ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間隔を変化し
て設定する第2アクチュエータと、下ローラ列または上
ローラ列の少なくともいずれか一方の各ローラを個別的
に支持する対を成すバックアップローラと、バックアッ
プローラを、そのバックアップローラの軸線から偏心し
た軸線まわりに角変位自在に支持する支持軸と、支持軸
をその軸線まわりに角変位駆動して設定する駆動手段と
を含むことを特徴とするローラレベラである。
【0013】
【作用】本件発明者は、矯正中の板の曲率および矯正後
の残留曲率の数値解析法を開発し、この解析法による膨
大な量の数値解析を行った。その結果、残留曲率範囲を
最小とするための矯正中の最大曲率の最適値(すなわち
最適最大曲率)が存在し、必要以上に最大曲率を大きく
しても、残留曲率は逆に増加することが判った。この最
小の残留曲率範囲を、最小残留曲率κres・minと呼ぶこ
とにする。さらに、材料特性(すなわち板厚、降伏応
力、ヤング率の3つ)を種々変えた解析を行い、この最
適最大曲率が、板の降伏曲率および初期曲率で決まるこ
とが判った。さらに圧下量と矯正中の最大曲率との関係
も解明し、したがって矯正対象の板の材料特性である降
伏曲率および初期曲率が決まれば、最適な圧下量を計算
により求めることができる。これにより、実機での試行
錯誤をすることなく合理的な圧下量の設定ができ、残留
曲率が大きいために再矯正する回数すなわちパス回数を
低減することができる。
【0014】本発明に従えば、ローラレベラによる矯正
を行うにあたり、金属長尺材の初期曲率κiniを、最小
残留曲率κres・minを求めるための2次式に代入し、こ
うして得られた最小残留曲率κres・minが目標残留曲率
κres・tar以下であるかを比較判断し、これによってロ
ーラレベラを1回だけ通過させていわゆる1パスを行う
ことによって矯正を完了するか、あるいはローラレベラ
に複数回として2パス以上行うかなどを決定することが
できる。
【0015】ローラレベラに金属長尺材を複数回通す際
には、各回毎に、前回のパス時における演算して求めた
最小残留曲率κres・minを今回のパスの初期曲率κini
として用いて前述の2次式で演算して算出することがで
きる。各回毎の演算によって求めた最小残留曲率κres
・minを前記2次式に代入して演算を繰返し、目標残留
曲率κres・tar以下になるまでのローラレベラに通す矯
正回数、すなわちパス数を求める。
【0016】また本発明に従えば、金属長尺材の初期曲
率κiniを、最適最大曲率κmax・optを求めるための1
次式に代入し、こうして得られた最適最大曲率κmax・o
ptとなるローラレベラの圧下量のパターン、たとえばロ
ーラレベラの圧下量分布および入側圧下量を、設定し、
矯正を行う。
【0017】本発明に従えば、ローラレベラが、等ピッ
チLで上下に複数のローラが交互に配置され、圧下量D
iがほぼ直線状に入側から出側に減少するように構成さ
れた場合、入側圧下量Diniを、最大曲率κmaxと前記ピ
ッチLと金属長尺材の降伏曲率κylが判っているとき、
演算式から求め、こうして求めた入側圧下量Diniとな
るようにローラレベラを設定して矯正を行う。この入側
圧下量Diniを求める式における値a,bは、降伏曲率
を変数とする1次式および2次式でそれぞれ表され、上
首尾に矯正を行うための入側圧下量Diniを高い精度で
演算して求めることができる。
【0018】本件発明者は前述の解析法を用いて、圧下
量を上に凸および下に凸の曲線状に変化させたときの残
留曲率を求めた。その結果、直線状の圧下量の分布に比
べて、下に凸の曲線状の圧下量の分布とした方が、残留
曲率が小さくなることが判った。さらに、この圧下量の
分布を表す曲線として、べき関数を用いた場合には、べ
きの値nとして、1/4程度にすればよいことを解析に
より、解明した。したがって、上述のような圧下量の分
布を設定すれば、従来の直線状の圧下量設定よりも残留
曲率を小さくすることができる。
【0019】本発明に従えば、ローラレベラによる金属
長尺材の圧下量を、入側から出側になるにつれて小さく
変化するようにし、しかも入側と出側との間で下に凸の
分布形状に、設定し、これによって残留曲率を充分に小
さくすることができる。
【0020】本発明に従えば、圧下量の分布形状を、入
側から第i番目のローラの圧下量Diが、入側からの第
i番目のローラまでのローラ間距離の合計ΣLiと入側
から出側までのローラ間距離Ltotalとの比のべきn乗
と定めたとき、nが1/4以下に選ばれることによっ
て、残留曲率範囲がほぼ一定の小さい値とすることがで
きる。
【0021】さらに本発明に従えば、下ローラ列と上ロ
ーラ列との少なくともいずれか一方、または両方の各ロ
ーラをくさび片によって個別的に支持し、このくさび片
を駆動手段、たとえば複動油圧シリンダまたはねじ駆動
の構造などによって変位駆動して設定し、これによって
個別的なローラ毎の圧下量の設定を行うことができる。
【0022】本発明に従えば、各ローラをバックアップ
ローラで支持し、このバックアップローラをくさび片に
よって変位駆動して各ローラ毎の圧下量Diを矯正して
設定することができる。
【0023】さらに本発明に従えば、バックアップロー
ラを偏心した支持軸の角変位駆動によって実現するよう
にしてもよい。
【0024】こうして本発明によれば、第1および第2
アクチュエータを駆動して下ローラと上ローラとの全体
の圧下量の変更設定を高速度で行うことができ、これに
よって矯正対象となる金属長尺材の変更に迅速に対応す
ることができる。また矯正前に、上ローラ列を上げて圧
下量を小さくし、矯正対象となる金属長尺材を通りやす
くするなどの操作を迅速に行うことができる。さらにく
さび片または偏心した支持軸などを用いて、圧下量の分
布をたとえば下に凸の曲線状にして、残留曲率を、直線
状の圧下量分布に比べて低減し、矯正効果を向上するこ
とができる。
【0025】
【実施例】図1は、本発明の一実施例のローラレベラ1
1の側面図である。鋼板、コイル、形鋼などの金属長尺
材12は、ローラレベラ11の入側13から導かれ、そ
の形状が矯正され、出側14から取出されて1パスの矯
正操作が行われる。下ローラR1,R3,R5,R7,
R9,R11の列15は、下フレーム16に支持されて
いる。上ローラR2,R4,R6,R8,R10の列1
7は、個別圧下調整手段B2,B4,B6,B8,B1
0によって圧下量が個別に調整可能にしてフレーム18
に支持される。これらの各ローラR1〜R11の各軸線
は水平であって、金属長尺材12の搬送方向19に垂直
である。
【0026】第1アクチュエータ20は、ローラレベラ
11の入側13に設けられ、下フレーム16と上フレー
ム18の間隔を変化して設定することができる。また出
側14には第2アクチュエータ21が設けられ、これに
よって下フレーム16と上フレーム18との間隔を変化
して設定することができる。これらの各アクチュエータ
20,21は、たとえば複動油圧シリンダによって実現
することができる。あるいはまたモータによって回転駆
動されるねじ棒にナット部材が螺合し、このナットがね
じ棒の軸線に沿って変位するように構成され、ねじ棒が
たとえば下フレーム16に連結され、ナットが上フレー
ム18に連結される構成によって実現されてもよく、そ
の他の伸縮駆動可能な構成であってもよい。
【0027】図2は、図1の切断面線II−IIから見
た簡略化した断面図である。上ローラR2のための個別
圧下調整手段B2は、そのローラR2の軸線方向に配置
された複数のバックアップローラ22を回転自在に支持
する支持部材23と、この支持部材23に摺接するくさ
び片24と、このくさび片24を水平面内で金属長尺材
12の搬送方向19に垂直な変位方向25に変位駆動し
て設定する複動油圧シリンダなどの駆動手段26とを含
む。ローラR2は、支持部材23およびくさび片24を
介してハウジング27に支持されている。くさび片24
は、ハウジング27に固定されている受け梁28によっ
て保持される。残余の個別圧下調整手段B4,B6,B
8,B10もまた、同様な構成を有する。
【0028】このような図1および図2に示されるロー
ラレベラ11を用いることによって、その第1および第
2アクチュエータ20,21を駆動して全体の圧下量を
高速度で変更することができ、また各ローラR2,R
4,R6,R8,R10毎の各圧下量を容易にかつ正確
に個別に変更することができ、またその圧下量の分布を
直線状にすることもでき、また後述のように下に凸の曲
線状に分布させて残留曲率を低減して矯正効果を上げる
こともまた容易に可能である。
【0029】図3は、ローラレベラ11の圧下量の分布
を説明するための図である。下ローラR1,R3,R
5,R7,R9,R11の軸線は、水平な仮想面29上
にあり、上ローラR2,R4,R6,R8,R10の軸
線はもう1つの一仮想平面30上にあり、これによって
図3(2)の参照符31で示されるように圧下量が直線
状に入側13から出側14になるにつれて小さくなるよ
うに分布されていてもよい。また後述の他の実施例で
は、ローラR4が位置R4aで示されるように、その中
心が仮想平面30に対して垂直な平面状で個別圧下調整
手段B4によって変位されてもよく、このとき圧下量
は、下に凸の曲線状に、参照符32で示されるように曲
線状に変化して設定することもまた可能である。
【0030】本件明細書中、前述および以下に述べる圧
下量を、図4に関連して説明する。下のローラR1,R
3間で、上ローラR2が、前後に等しいピッチLをあけ
て配置されている状態において、これらのローラR1,
R3;R2の各軸線を通る仮想平面29に垂直な直線3
3,34上で、矯正対象である金属長尺材12の厚み方
向の中心位置36,37間の距離Dで示される値が、圧
下量である。
【0031】図5を参照して、ローラレベラ11に金属
長尺材12が通るときに発生する曲率を説明する。図5
(1)に示されるように上下の各ローラR1〜R11間
に金属長尺材12が通されるとき、その初期曲率は参照
符κiniで示され、また1パス完了後の金属長尺材12
の残留曲率は参照符κresで示される。この金属長尺材
12に作用する曲率の絶対値の最大値は、最大曲率κma
xで示される。
【0032】各ローラR1〜R11毎の長尺材12に作
用する曲率の絶対値は、図6に示されるとおりであり、
残留曲率κresは、本発明によれば、充分に小さくする
ことができる。
【0033】長尺材12の曲率というのは、図7を参照
して定義される。長尺材12の厚み方向の中心線38の
曲がり具合を表し、各位置で刻々変化する。
【0034】ローラピッチLは、一般的には、できるだ
け小さく定め、たとえばこの実施例ではローラ半径+1
0mmとしてもよい。矯正前の金属長尺材12の形状
は、一定曲率κの長手方向曲りのみを考察する。この実
施例ではすべてのローラR1〜R11は同一寸法形状を
有する。また図8〜図17に関連して次に述べる他の実
施例では、各ローラR1〜R11による各圧下量Diで
は、入側13から出側14まで曲線状に変化するものと
する。ここでiは、入側13から第i番目のローラRi
を表し、iは1〜11である。本件発明者の実験または
数値解析に用いたローラR1〜R11の仕様および鋼板
である金属長尺材12の材料特性は、表1に示されると
おりである。以下の説明では、数値解析を、実験と言う
ことがある。
【0035】
【表1】
【0036】実際のローラレベラ11による矯正能力を
議論するには、出側14での残留曲率がいくらになるか
ということが問題になる。そこで入側13の長尺材12
の初期曲率κiniを一定の範囲で変化させたときの出側
14の残留曲率の範囲を次のようにして求める。出側1
4の圧下量の設定については、初期曲率κiniが零のと
きに、残留曲率を零とする値、すなわち適性出側圧下量
を用いることにする。以下の実験結果では、曲率κは、
長尺材12の降伏曲率κyl(=2×降伏応力/ヤング率
/板厚)で無次元化して示すことにする。
【0037】図8は、本件発明者の実験による最大曲率
κmaxと残留曲率範囲Δκresとの関係を示すグラフであ
る。残留曲率範囲Δκresは、初期曲率κiniを変えたと
きにおける残留曲率κresの最大値と最小値との差をい
う。この実験では、初期曲率を降伏曲率κylの−0.5
倍から+0.5倍、−1.0倍から+1.0倍、…、−
5倍から+5倍というように変化させる。
【0038】この図8から、残留曲率範囲Δκresを最
小とするための矯正中の最大曲率κmaxの最適値、すな
わち最適最大曲率κmax・optが存在し、必要以上に最大
曲率κmaxを大きくしても、残留曲率範囲Δκresは逆に
増加することが、本件発明者によって初めて判った。
【0039】図9を参照して、初期曲率κiniを変化さ
せるとき、残留曲率κresは、上に凸の曲線で変化し、
ライン39は出側の圧下量が、ライン40に比べて大き
いときの曲線を表している。残留曲率範囲Δκresは、
正負の初期曲率κiniの変化範囲における残留曲率κres
の変化の範囲を示している。本発明では、この残留曲率
範囲Δκresができるだけ小さくなるように、後述の最
適最大曲率κmax・optを算出し、これによって入側13
の圧下量を決定する。上述の実施例では、初期曲率κin
iが零のとき残留曲率κresが零になるように、出側14
の圧下量を設定しているけれども、他の実施例として出
側14の圧下量を予め定める一定の値に定めてもよく、
あるいはまた残留曲率範囲Δκresの平均値、すなわち
その残留曲率範囲Δκresの中央の残留曲率E(図9参
照)が零になるように出側14の圧下量を設定するよう
にしてもよい。
【0040】図8の実験では、ローラレベラ11の圧下
量の複数の各パターン毎、すなわち直線状に変化する圧
下量分布における入側13の各種の圧下量毎に、長尺材
12に作用する各ローラR1〜R11間での長尺材12
の曲率の絶対値のうちで最大の値、すなわち最大曲率κ
maxを求めるとともに、前記各パターン毎に、長尺材1
2の初期曲率κiniを変えたときにおけるローラレベラ
11による矯正後の残留曲率κresの最大値と最小値の
差である残留曲率範囲Δκresを求め、その残留曲率範
囲Δκresが最小となるときの前記最大曲率を、最適最
大曲率κmax・optとする。たとえば図8の実験結果によ
れば、初期曲率κini/κylが0.5および1.0であ
るときにおける最適最大曲率κmax・optは、降伏曲率κ
ylの約3倍であることが判る。
【0041】本件発明者によれば、この最適最大曲率κ
max・optが、長尺材12の初期曲率κiniおよび降伏曲
率κylで決まることを初めて解明した。さらに長尺材1
2の材料特性の違いは、降伏曲率κylで整理することが
でき、降伏曲率κylが同じであれば、最適最大曲率κma
x・optと降伏曲率κylの比率はほぼ一定であることを初
めて解明した。
【0042】残留曲率範囲Δκresが最小となるときの
最大曲率κmax、すなわち最適最大曲率κmax・optを求
め、これを初期曲率κiniと対応させて図10に示す。
これによって最適最大曲率κmax・optと初期曲率κini
とを降伏曲率κylで無次元化すると、両者κmax・opt,
κiniの関係は降伏曲率κylにかかわらず、ほぼ1本の
直線で表されることを初めて解明した。したがって最適
最大曲率κmax・optは、長尺材12の初期曲率κiniを
変数とする1次式である式1で表すことができる。
【0043】
【数1】
【0044】矯正中の最大曲率κmaxは、入側13の圧
下量の影響を最も受けると考えられる。矯正中の最大曲
率κmaxは、入側13の圧下量の増加に応じて1次関数
で増加する。
【0045】さらに、このような最適な条件で矯正した
場合における残留曲率κres、つまり最小残留曲率κres
・minについても、降伏曲率κylで整理することができ
ることが、本件発明者によって初めて解明された。最小
残留曲率κres・minと初期曲率κiniとの関係について
は、図11に示すとおりであり、降伏曲率κylで無次元
化することによって1本の曲線で表すことができる。す
なわち最小残留曲率κres・minは、長尺材12の初期曲
率κiniを変数とする2次式で表され、それは式2のと
おりである。
【0046】
【数2】
【0047】したがって式2によれば、長尺材12の初
期曲率κiniを変数とする2次式によって、最小残留曲
率κres・minを算出することができることが判る。
【0048】ローラレベラ11において、入側13と出
側14の圧下量を操作して、さらに個別圧下調整手段B
2,B4,B6,B8,B10を操作し、その間におけ
る圧下量が上述のように直線状の分布となるように設定
しており、このとき最大曲率κmaxは、入側13の圧下
量Dinに支配される。そこで本件発明者は、矯正対象と
なる長尺材12の板厚、降伏応力およびヤング率を変え
て、したがってその長尺材12の降伏曲率κylを変え
て、入側圧下量Dinと最大曲率κmaxとの関係を、実験
に基づいて求めた。
【0049】長尺材12の板厚を5,10,20,30
mmとした場合の入側圧下量Dinと最大曲率κmaxの関
係を図12に示す。他の降伏応力、ヤング率を変えた場
合にも入側圧下量Dinと最大曲率κmaxは、図12と同
様の一次直線の比例関係にあることが判った。そこでロ
ーラ間ピッチLと入側圧下量Dinを用いて最大曲率κma
xが式3で表されると、本件発明者は考えた。すなわち
この実験結果を、降伏曲率κylで整理し、最大曲率κma
xの推定式を、式3で示されるようにして作成する。
【0050】 κmax = a×(Din/L2)+b …(3) この式3の係数a,bを種々の板厚、降伏応力およびヤ
ング率に対して求めた。
【0051】図13は係数aと降伏曲率κylの関係を示
したものであって、これから、 a = −5926κyl + 8.8034 …(4) であることが判る。
【0052】また図14は係数bと降伏曲率κylの関係
を示したものであって、これから、 b = 2417κyl2 − 1.540κyl + 4.173×10-5 …(5) となる。
【0053】したがって降伏曲率κylを有する長尺材1
2に作用されるべき最大曲率κmaxが与えられたとき、
入側圧下量Dinは、式3から算出することができ、こう
して求めた入側圧下量Dinとなるようにローラレベラ1
1の第1および第2アクチュエータ20,21を制御
し、長尺材12の矯正を行うことができる。
【0054】本件発明者は、前述の式3〜5が高精度で
あることを、図15を参照して確認した。図15におけ
る○印は本発明者が提案した前述の式3によって計算し
た最大曲率κmaxを示し、×印は材料の違いを考慮せず
に、一定の係数を用いて、 κmax = 6.44・(Din/L2) …(6) を用いて最大曲率κmaxを計算した結果を示す。この図
15を参照すると、式3〜5の精度が良好であることが
判る。本件発明者の実験によれば、最大曲率κmaxにつ
いて、本件発明者の解析結果と、前述の式3〜5による
値を比較すると、図12に示されるように、誤差は、曲
率が大きい部分では±5%以下、曲率の小さい部分でも
±10%以下の誤差で近似することができることが判
り、この式3〜5が高精度で充分実用化することができ
ることが判る。また比較例として示す式6の演算によれ
ば、誤差が大きいことが判る。
【0055】図16は、本発明の一実施例の電気的構成
を示すブロック図である。マイクロコンピュータなどに
よって実現される処理回路41には、入力手段42,4
3から、金属長尺材12の初期形状である初期曲率κin
iが入力される。この入力手段42は、ローラレベラ1
2の鋼板である長尺材12の上流側に配置されている圧
延機の圧延条件によって推測されて演算して後で求めら
れた値を表す信号を発生する構成であってもよく、その
他の構成であっもよい。また入力手段43からは、長尺
材12の材料の特性、すなわち板厚、降伏応力、ヤング
率に基づいて演算された降伏曲率κylを表す信号が与え
られる。処理回路41では、図17に示される演算ステ
ップが行われ、これによって第1および第2アクチュエ
ータ20,21が制御される。この実施例では個別圧下
調整手段B2,B4,B6,B8,B10は、前述のよ
うに圧下量の分布が直線状に変化するように設定された
ままの状態に保たれている。
【0056】図17は、処理回路41の動作を説明する
ためのフローチャートであり、これによって第1および
第2アクチュエータ20,21による最適圧下量の設定
が行われる。ステップs1では、金属長尺材12の初期
形状である初期曲率κiniが入力される。ステップs2
では、目標とする残留曲率κres・tarが設定される。ま
たステップs4では、金属長尺材12の特性である降伏
曲率κyl、したがってその演算のための板厚、降伏応力
およびヤング率などが入力される。さらにまた処理回路
41では、ローラレベラ11のローラピッチL、ローラ
径およびローラ本数(前述の実施例では11)などが予
め入力されて設定されている。
【0057】ステップs3では、ローラレベラ11に金
属長尺材12をたとえば1回として1パスして矯正を行
う方法を設定する。他の実施例として、2パス以上の矯
正を行うように設定してもよい。
【0058】ステップs5では、初期曲率κiniを、前
述の式2で示される2次式に代入して最小残留曲率κre
s・min/κylを算出する。
【0059】ステップs6では、式2で算出された最小
残留曲率κres・min/κylが目標残留曲率κres・tar/
κyl以下であり、したがって目標残留曲率を満足すると
きにのみ、次のステップs7に移る。
【0060】もしもステップs5で算出された最小残留
曲率κres・min/κylの予測値が、目標残留曲率κres
・tar/κylを越えるならば、ステップs13に移り、
再度ステップs3において1パスではなく、もう1回の
パスを行うかどうかを判断する。第2パス目以降では、
第1パス目の最小残留曲率κres・min/κylを、初期曲
率κiniとして用いて、ステップs5での最小残留曲率
を演算する。このような演算動作を繰返して、ステップ
s5で得られた最小残留曲率の予測値κres・min/κyl
が目標残留曲率κres・tar/κyl以下になるまでの、パ
スの回数を求めて、矯正の予定を行う。
【0061】他の実施例として、ステップs6において
残留曲率の予測値が目標残留曲率を満足しないときに
は、ステップs13から、ステップs2に移り、目標残
留曲率κres・tarをもっと大きな値に設定し直すことも
また可能である。
【0062】ステップs6において、最小残留曲率κre
s・min/κylの予測値が、前述のように目標残留曲率κ
res・tar/κyl以下であることが判断されると、次のス
テップs7に移り、ここで最適最大曲率κmax・opt/κ
ylの演算を、前述の式1である1次式で算出して求め
る。式1における変数(κini/κyl)は、ステップs
1で入力された値が用いられる。
【0063】ステップs8では、ステップs7で算出さ
れた最適最大曲率κmax・optを、前述の式3における変
数κmaxとして代入し、これによって式4および式5を
用い、式3から入側13の圧下量Dinを算出する。
【0064】ステップs9では、処理回路41は、第1
および第2アクチュエータ20,21を制御し、入側圧
下量Dinを設定する。出側14の第2アクチュエータ2
1は、前述のように、出側14において圧下量が零とな
るように予め制御されて設定されている。
【0065】こうして第1および第2アクチュエータ2
0,21が制御された状態で、ステップs10では、実
際のローラレベラ動作による矯正が行われる。ステップ
s11では、処理回路41によって矯正実績のデータが
メモリに収録されてストアされる。実際のローラレベラ
11での金属長尺材12の変形および材料特性のばらつ
きなどによって、ステップs8で設定された入側圧下量
Dinと残留曲率κresの関係と、実際の矯正の結果とで
差が生じるかどうかが、ステップs12で比較されて求
められる。そこで処理回路41では、実績値をもとに制
御パラメータを修正する制御方法である学習制御の手法
によって、ステップs8で得られた入側圧下量Dinに対
する第1アクチュエータ20による圧下量の支持する値
を変化調整する。こうしてローラレベラ11の実機での
試行錯誤をすることなく、合理的な入側圧下量を第1ア
クチュエータ20によって設定することができる。した
がって残留曲率κresが小さくなるので、再矯正する回
数、すなわち比率を低減することができるようになる。
【0066】また前述のようにステップs13に関連し
て述べたとおり、残留曲率κresに関する前述の式2を
用いて1回だけ矯正する1パス矯正では、充分な矯正効
果が得られない場合、すなわち所定の残留曲率よりも、
ステップs5での予測した残留曲率が大きくなることが
予想される場合、複数回のパスの矯正を行う必要がある
こともまた、予測することができることになり、しかも
その多数の回数もまた設定することができるという優れ
た効果が達成される。
【0067】上述の図1〜図7に示されるローラレベラ
11を用いて、前述の図8〜図17に示される実施例で
は、ローラレベラ11の圧下量の分布が直線状であった
けれども、本発明の他の実施例によれば、この圧下量
は、下に凸の曲線状に設定することによって、残留曲率
をさらに低下させることができることが初めて解明され
た。このことを説明するために、図18を参照して、前
述の図1〜図7に関連して説明されるローラレベラ11
において、ローラR1〜R11における圧下量を、参照
符31で示すように直線状に設定する代りに、参照符3
2で示されるように下に凸の曲線状に変化させること
が、本発明において重要である。各ローラR1〜R11
のローラピッチLは全て等しいものとする。圧下量は、
入側13から出側14になるにつれて順次小さくなるよ
うに設定される。べきnが上に凸の特性は図18を経て
参照符45で示されている。
【0068】本発明によれば、圧下量の分布形状とし
て、入側圧下量Din、出側圧下量Doutに対して、入側
13から第i番目のローラRi(ただしi=1〜11)
の圧下量Diを、入口から第i番目のローラまでのロー
ラ間距離の合計ΣLiと、入側13から出側14までの
距離Ltotalの比のべき乗関数として、式7で表す。
【0069】 Di=Din−(Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n …(7) 入側圧下量Dinは、矯正中の長尺材12の最大曲率κma
xに最も影響する。そこでまず目標の最大曲率κmax・ta
rを決めて入側13の圧下量Dinを変えて、矯正過程の
数値解析を行い、その目標最大曲率κmax・tarになる入
側圧下量Dinを求める。この解析では、初期曲率κini
および出側圧下量Doutは零とする。
【0070】出側圧下量Doutについては、出側の残留
曲率に最も影響する。したがって出側圧下量Doutを変
えて、矯正過程の数値解析を行い、残留曲率κresが零
となる出側圧下量Doutを求め、これを出側圧下量の適
性値と呼ぶことにする。この解析では、初期曲率κini
は、零とし、入側圧下量Dinは、前述の手法で定めた値
を用いる。
【0071】残留曲率κresが零となる出側圧下量Dout
の解が複数個存在する場合があるけれども、これらの解
を用いて、初期曲率κiniを変えて残留曲率範囲を求め
たところ、最大の出側圧下量Doutの解を用いた場合に
残留曲率範囲が最小となることが、本件発明者の実験に
よって判った。したがって残留曲率κresは零となる出
側圧下量Doutの解を適性出側圧下量とする。
【0072】最大曲率κmaxの目標値を降伏曲率κylの
3.2倍として適正入側および出側の圧下量を、式7の
べきnを変化して求め、図19の実験結果を得た。こう
して入側13と出側14との間の圧下量の分布が観察さ
れる。
【0073】この図19を参照すると、入側13につい
ては、第3番目のローラR3の位置付近で、各べき数n
の圧下量がほぼ等しい値になっていることが判る。これ
は最大曲率κmaxになるローラ位置とほぼ一致してい
る。したがって長尺材12の曲率が最大となる位置での
圧下量が同じであれば、その前後の圧下量の値には関係
なく、最大曲率は等しくなることが判る。また出側14
については、第9番目のローラR9付近で、各べき数n
に対する圧下量の分布が交差していることが判る。
【0074】前述の適正入側および出側の各圧下量を用
い、初期曲率κiniを降伏曲率κylの−5倍から+5倍
まで変化させたときにおける残留曲率κresを数値解析
によって求め、初期曲率κiniと残留曲率κresとの関係
を、本件発明者によれば、図20のようにして得られ
た。いずれのべきnの値に対しても、各ラインは上に凸
のほぼ放物線形状となっている。
【0075】図21は、これらの実験結果に基づき、べ
き乗の値nと、残留曲率範囲Δκres/κylとの関係と
して整理した実験結果を示す。この図21から、べきの
値が小さくなるに伴って、残留曲率範囲Δκres/κyl
が小さくなり、べきnが1/4程度以下で、残留曲率範
囲Δκres/κylがほぼ一定になることが判る。
【0076】図22は本件発明者の実験結果を示し、べ
きの値nが変化した場合における各ローラR1〜R11
における曲率κi/κylを示す。曲率は各ローラRiに
沿う方向を正としている。この図22から、べきの値n
が小さくなるにつれて、曲率の分布が上に凸の曲線から
直線に近づき、それに伴って出側14付近での曲率の変
化率が小さくなり、したがってべきの値nが小さくなる
につれて出側14の残留曲率κresが小さくなっている
ことが判る。
【0077】したがって本発明に従えば、べきの値n
は、1/4に選び、または1/4未満の値に選ぶ。べき
の値nがあまりに小さいときには、ローラレベラ11の
構成が複雑になるので、たとえばnは1/8以上、1/
4以下が好ましく、特に前述のようにn=1/4が好ま
しい。
【0078】図23は、本発明の他の実施例のローラレ
ベラ11aの一部の簡略化した側面図である。この実施
例は前述の実施例に類似し、対応する部分には同一の参
照符を付す。注目すべきはこの実施例では、上ローラR
2は一対のバックアップローラ47,48で支持され、
これらのバックアップローラ47,48が個別圧下調整
手段B2a,B2bによって変位可能とされる。個別圧
下調整手段B2a,b2bは、前述の個別圧下調整手段
B2,B4,B6,B8,B10と同様に、くさび片2
4(図2参照)を用いる構成であってもよい。下ローラ
R1,R3もまた、バックアップローラ49,50,5
1によって支持される。その他の各ローラR4〜R11
もまた、上述と同様な構成となっている。
【0079】図24は、本発明のさらに他の実施例のロ
ーラレベラ11bの一部の断面図である。この実施例は
前述の実施例に類似し、対応する部分には同一の参照符
を付す。たとえば図23における上ローラR2のバック
アップローラ47を個別圧下調整手段B2aに関して前
述のくさび片24を用いる構成に代えて、図24に示さ
れるようにそのバックアップローラ47と同軸の軸52
には、その軸線53から偏心した軸線54まわりに変位
自在に支持軸55が、軸受56によって上フレーム18
に支持される。この支持軸55にはウォームホイル57
が連結され、このウォームホイル57にはウォーム58
が噛合い、ウォームホイル58は、モータなどの駆動源
59によって回転駆動される。
【0080】図25は、図24のXXV−XXVから見
た簡略化した断面図である。ウォーム58が駆動源59
によって回転駆動され、ウォームホイル57、したがっ
て支持軸55が角変位することによって、バックアップ
ローラ47が変位し、したがってこのバックアップロー
ラ47によって支持されるローラR2が変位されて圧下
量を変化して調整することができる。
【0081】本発明のさらに他の実施例として、下ロー
ラR1,R3,R5,R7,R9,R11のみを、また
は、上ローラと併せて、変位して圧下量の分布を変化し
て調整することができるように構成してもよい。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、矯正されるべき金属長
尺材の初期曲率κiniによってそのローラレベラの最小
残留曲率κres・min算出することができ、これによって
ローラレベラを1回パスするだけで目標残留曲率κres
・tar以下とすることができるか、または複数回の矯正
動作が必要であるかを判断することができ、作業性の向
上を図ることができる。
【0083】また本発明によれば、その初期曲率κini
によって1次式で表される最適最大曲率κmax・optを算
出し、この最適最大曲率κmax・optは、金属長尺材のロ
ーラレベラによる矯正後の残留曲率が最小となるための
金属長尺材に作用する最大曲率であり、この最適最大曲
率κmax・optを算出して容易に求めることができること
によって、ローラレベラの圧下量のパターン、たとえば
ローラレベラの入側圧下量を設定し、これによって残留
曲率を小さくすることができる。
【0084】また本発明によれば、この最適最大曲率κ
max・optが与えられたとき、圧下量Diがほぼ直線状に
分布して変化するローラレベラを用いる際に、その入側
圧下量Dinを算出することができ、これによって最適最
大曲率κmax・optを容易にかつ高精度で達成することが
できる。この入側圧下量Dinを求める式における値a,
bは、金属長尺材の降伏曲率κylを変数とする1次式お
よび2次式で表され、演算が容易である。この降伏曲率
κylは、金属長尺材の板厚、降伏応力およびヤング率か
ら算出することができる。
【0085】さらに本発明によれば、ローラレベラにお
ける圧下量分布を、入側から出側になるにつれて小さく
するとともに、しかも入側と出側との間で下に凸の分布
形状に設定し、これによって圧下量をほぼ直線状に分布
した構成に比べて、残留曲率を小さくすることができ
る。
【0086】また本発明によれば、ローラレベラのロー
ラが上下に等ピッチLで配置されており、入側からロー
ラ間距離の合計ΣLiと入側から出側までのローラ間距
離Ltotalとの比のべきn乗の関数として表すとき、n
を1/4以下に選び、特にn=1/4に選び、これによ
ってローラレベラによる矯正後の金属長尺材の残留曲率
をできるだけ小さくし、矯正効果を充分に最適化するこ
とができるようになる。
【0087】さらに本発明によれば、下ローラ列と上ロ
ーラ列との上下の間隔、入側と出側とに設けた第1およ
び第2アクチュエータ、たとえば複動油圧シリンダまた
はねじ駆動の構造によって変化して調整することができ
るようにし、しかも下ローラ列または上ローラ列の少な
くともいずれか一方の各ローラを個別的にくさび片で変
位可能とすることによって、圧下量の変更を高速度で行
うことができ、矯正対象となる金属長尺材の変更に迅速
に対応することができるようになるとともに、また矯正
前にたとえば上ローラを上げて圧下量を小さくし、矯正
対象材料である金属長尺材が通りやすくするなどの操作
を迅速に行うことができるようになる。
【0088】本発明によれば、各ローラをくさび片によ
って直接に変位可能としてもよいけれども、各ローラが
対を成すバックアップローラで支持され、このバックア
ップローラをくさび片によって、または偏心した軸線ま
わりに角変位する支持軸によって変位駆動するようにし
てもよく、このようなバックアップローラを用いること
によって、ローラの安定な支持を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のローラレベラ11の側面図
である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た簡略化した
断面図である。
【図3】ローラレベラ11の圧下量の分布を説明するた
めの図である。
【図4】圧下量を説明するための側面図である。
【図5】曲率を説明するための側面図である。
【図6】ローラレベラ11における曲率の絶対値の分布
を示す図である。
【図7】曲率κを説明するめたの側面図である。
【図8】本件発明者の実験による最大曲率κmaxと残留
曲率範囲Δκresとの関係を示すグラフである。
【図9】金属長尺材12の初期曲率κiniとローラレベ
ラ11を通過した後の残留曲率κresとの関係を示すグ
ラフである。
【図10】初期曲率κiniと最適最大曲率κmax・optと
の関係を示すグラフである。
【図11】初期曲率κiniと最小残留曲率κres・minと
の関係を示すグラフである。
【図12】入側圧下量Dinと最大曲率κmaxとの関係を
示すグラフである。
【図13】金属長尺材12の降伏曲率κylを変数とする
値aを示すグラフである。
【図14】金属長尺材12の降伏金属κylを変数とする
値bを示すグラフである。
【図15】最大曲率κmaxの式3で示される推定式によ
る値を本件発明者の解析結果との比較を示すグラフであ
る。
【図16】本発明の一実施例の電気的構成を示すブロッ
ク図である。
【図17】初期回路41の動作を説明するためのフロー
チャートである。
【図18】ローラレベラ11における圧下量の下に凸の
曲率状に変化させる状態を説明するための図である。
【図19】ローラレベラ11の入側13と出側14との
間の圧下量の分布を、式7で示されるべき状関数で表す
ときの図である。
【図20】初期曲率κiniを変化させたときにおける残
留曲率κresとの関係を示すグラフである。
【図21】式7のべき乗の値と残留曲率範囲Δκres/
κylとの関係を示すグラフである。
【図22】式7のべきの値nを変化させた場合における
各ローラR1〜R11における曲率κi/κylを示すグ
ラフである。
【図23】本発明の他の実施例のローラレベラ11aの
一部の簡略化した側面図である。
【図24】本発明のさらに他の実施例のローラレベラ1
1bの一部の断面図である。
【図25】図24に示される実施例における図24のX
XV−XXVから見た簡略化した断面図である。
【図26】ローラレベラによって形状が矯正されるべき
圧延材2を示す斜視図である。
【図27】ローラレベラを示す斜視図である。
【図28】ローラレベラによって矯正された圧延材5を
示す斜視図である。
【図29】ローラレベラによる繰返し曲げが行われる状
態を説明するための図である。
【符号の説明】
11,11a,11b ローラレベラ 12 金属長尺材 13 入側 14 出側 15,17 列 20 第1アクチュエータ 21 第2アクチュエータ 22,47,48,49,50,51 バックアップロ
ーラ 24 くさび片 41 処理回路 42,43 入力手段 52 軸 55 支持軸 56 軸受 57 ウォームホイル 58 ウォーム B2,B4,B6,B8,B10 個別圧下調整手段 R1,R3,R5,R7,R9,R11 下ローラ R2,R4,R6,R8,R10 上ローラ

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属長尺材のローラレベラによる矯正後
    の残留曲率が最小となるためのローラレベラでの矯正時
    に金属長尺材に生じる最大曲率である最適最大曲率κma
    x・optでの矯正後の最小残留曲率κres・minを、 ローラレベラの仕様と、そのローラレベラによって矯正
    されるべき金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を
    定め、かつ金属長尺材の初期曲率κiniを変数とする2
    次式で表わし、 矯正される金属長尺材の初期曲率κiniを求め、前記2
    次式に代入して最小残留曲率κres・minを求め、 こうして得られた最小残留曲率κres・minが目標残留曲
    率κres・tar以下であるかを比較して判断することを特
    徴とする金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  2. 【請求項2】 前記演算して得られた最小残留曲率κre
    s・minが、目標残留曲率κres・tarを超えるとき、 前回の演算によって得た最小残留曲率κres・minを、初
    期曲率κiniとして前記2次式に代入して、今回の最小
    残留曲率κres・minを演算して求めて前記目標残留曲率
    κres・tarと比較し、 この演算比較動作を、最小残留曲率κres・minが前記目
    標残留曲率κres・tar以下になるまで繰返し、 ローラレベラによって矯正すべきパス回数を求めること
    を特徴とする請求項1記載の金属長尺材のローラレベラ
    による矯正方法。
  3. 【請求項3】 金属長尺材のローラレベラによる矯正後
    の残留曲率が最小となるためのローラレベラでの矯正時
    に金属長尺材に生じる最大曲率である最適最大曲率κma
    x・optを、 ローラレベラの仕様と、そのローラレベラによって矯正
    されるべき金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を
    定め、かつ金属長尺材の初期曲率κiniを変数とする1
    次式で表わし、 矯正されるべき金属長尺材の初期曲率κiniを求め、前
    記1次式に代入して最適最大曲率κmax・optを求め、 こうして得られた最適最大曲率κmax・optとなるローラ
    レベラの圧下量のパターンで、ローラレベラによる矯正
    をすることを特徴とする金属長尺材のローラレベラによ
    る矯正方法。
  4. 【請求項4】 入側から出側に、上下に複数のローラが
    交互に等しいピッチLをあけて配置され、圧下量Diが
    ほぼ直線状に変化する圧下量分布を有するローラレベラ
    を用い、 降伏曲率κylを有する金属長尺材に作用させるべき最大
    曲率κmaxが与えられたとき、入側圧下量Dinを、次式
    から求め、 κmax = a・(Din/L2) + b ここでa,bは、降伏曲率κylに依存する値であり、 こうして求めた入側圧下量Dinとなるようにローラレベ
    ラを設定して金属長尺材の矯正をすることを特徴とする
    金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  5. 【請求項5】 前記値aは、降伏曲率κylを変数とする
    1次式で表わされ、 前記値bは、降伏曲率κylを変数とする2次式で表わさ
    れることを特徴とする請求項4記載の金属長尺材のロー
    ラレベラによる矯正方法。
  6. 【請求項6】 入側から出側に上下に配置された複数の
    ローラを有するローラレベラを用い、 金属長尺材の圧下量を、入側から出側になるにつれて小
    さく、かつ入側と出側との間で下に凸の分布形状に、設
    定することを特徴とする金属長尺材のローラレベラによ
    る矯正方法。
  7. 【請求項7】 圧下量の分布形状を、 上下のローラが交互に配置されるピッチL、入側圧下量
    Din、出側圧下量Dout、入側から第i番目のローラの
    圧下量Di、入側から第i番目のローラまでのローラ間
    距離の合計ΣLi、入側から出側までのローラ間距離Lt
    otalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、 nが1/4以下に選ばれることを特徴とする請求項6記
    載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  8. 【請求項8】 n=1/4であることを特徴とする請求
    項7記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  9. 【請求項9】 入側から出側に、上下に複数のローラが
    交互に配置され、圧下量Diが入側から出側になるにつ
    れて小さく変化するローラレベラを用い、 金属長尺材のローラレベラによる矯正後の最小残留曲率
    κres・minを、 ローラレベラの仕様と、そのローラレベラによって矯正
    されるべき金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を
    定め、かつ金属長尺材の初期曲率κiniを変数とする2
    次式で表わし、 矯正されるべき金属長尺材の初期曲率κiniを求め、前
    記2次式に代入して最小残留曲率κres・minを求め、 金属長尺材のローラレベラによる矯正後の残留曲率κre
    sが最小となるためのローラレベラでの矯正時に金属長
    尺材に生じる最大曲率である最適最大曲率κmax・opt
    を、 ローラレベラの仕様と、そのローラレベラによって矯正
    されるべき金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を
    定め、かつ金属長尺材の初期曲率κiniを変数とする1
    次式で表わし、 前記2次式から得られた最小残留曲率κres・minが目標
    残留曲率以下であるとき、 金属長尺材の初期曲率κiniを、前記1次式に代入して
    最適最大曲率κmax・optを求め、 前記得られた最適最大曲率κmax・optを用いて、入側圧
    下量Dinを、次式から求め、 κmax・opt = a・(Din/L2) + b ここでa,bは、降伏曲率κylに依存する値であり、 こうして求めた入側圧下量Dinとなるようにローラレベ
    ラを設定して金属長尺材の矯正をする金属長尺材のロー
    ラレベラによる矯正方法。
  10. 【請求項10】 前記ローラレベラは、入側から出側に
    上下に複数のローラが交互に等しいピッチLをあけて配
    置され、圧下量Diがほぼ直線状に変化する圧下量分布
    を有するローラレベラを用いることを特徴とする請求項
    9記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  11. 【請求項11】 金属長尺材の圧下量を、入側と出側と
    の間で下に凸の分布形状に設定することを特徴とする請
    求項9記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方
    法。
  12. 【請求項12】 圧下量の分布形状を、 上下のローラが交互に配置されるピッチL、入側圧下量
    Din、出側圧下量Dout、入側から第i番目のローラの
    圧下量Di、入側から第i番目のローラまでのローラ間
    距離の合計ΣLi、入側から出側までのローラ間距離Lt
    otalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、 nが1/4以下に選ばれることを特徴とする請求項11
    記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方法。
  13. 【請求項13】 n=1/4であるこを特徴とする請求
    項12記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正方
    法。
  14. 【請求項14】 入側から出側に、上下に複数のローラ
    が交互に配置され、圧下量Diが入側から出側になるに
    つれて小さく変化するローラレベラと、 金属長尺材の初期曲率κiniを表わす信号を発生する信
    号発生手段と、 信号発生手段からの出力に応答し、ローラレベラの仕様
    と、金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を定め、
    かつ初期曲率κiniを変数とする2次式に、信号発生手
    段から入力される初期曲率κiniを代入して、ローラレ
    ベラによる矯正後の最小残留曲率κres・minを演算する
    第1演算手段と、 第1演算手段からの出力に応答し、最小残留曲率κres
    ・minが、予め定める目標残留曲率κres・tar以下であ
    ることを比較して判断する判断手段と、 信号発生手段からの出力に応答し、ローラレベラの仕様
    と、金属長尺材の降伏曲率κylとによって定数を定め、
    かつ初期曲率κiniを変数とする1次式に、信号発生手
    段から入力される初期曲率κiniを代入して、矯正後の
    残留曲率κresが最小となるためのローラレベラの最大
    曲率である最適最大曲率κmax・optを演算する第2演算
    手段と、 第1演算手段、判断手段および第2演算手段の出力に応
    答し、第1演算手段によって求めた最小残留曲率κres
    ・minが目標残留曲率κres・tar以下であるとき、第2
    演算手段によって求めた最適最大曲率κmax・optが達成
    されるように、ローラレベラを駆動制御する制御手段と
    を含むことを特徴とする金属長尺材のローラレベラによ
    る矯正装置。
  15. 【請求項15】 ローラレベラでは、上下の各ローラが
    等しいピッチLをあけて配置され、さらに、 制御手段は、 第2演算手段の出力に応答し、入側圧下量Dinを、次式
    から演算して求め、 κmax・opt = a・(Din/L2) + b ここで値aは、降伏曲率κylを変数とする1次式で表わ
    され、 値bは、降伏曲率κylを変数とする2次式で表される第
    3演算手段を含み、 第3演算手段によって求めたローラレベラの入側圧下量
    Dinを達成することを特徴とする請求項14記載の金属
    長尺材のローラレベラによる矯正装置。
  16. 【請求項16】 ローラレベラは、その圧下量の分布形
    状が、 上下のローラが交互に配置されるピッチL、入側圧下量
    Din、出側圧下量Dout、入側から第i番目のローラの
    圧下量Di、入側から第i番目のローラまでのローラ間
    距離の合計ΣLi、入側から出側までのローラ間距離Lt
    otalとするとき、 Di = Din − (Din−Dout)・(ΣLi/Ltotal)n で表わし、 nが1/4以下に選ばれることを特徴とする請求項14
    記載の金属長尺材のローラレベラによる矯正装置。
  17. 【請求項17】 複数の下ローラが入側から出側に間隔
    をあけて配置される下ローラ列と、 複数の上ローラが入側から出側に間隔をあけて、かつ下
    ローラ相互間に配置される上ローラ列と、 入側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第1アクチュエータと、 出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第2アクチュエータと、 下ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれか一方
    の各ローラを個別的に支持し、搬送方向に垂直な上下の
    変位方向に変位駆動して調整設定する駆動調整手段とを
    含むことを特徴とするローラレベラ。
  18. 【請求項18】 複数の下ローラが入側から出側に間隔
    をあけて配置される下ローラ列と、 複数の上ローラが入側から出側に間隔をあけて、かつ下
    ローラ相互間に配置される上ローラ列と、 入側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第1アクチュエータと、 出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第2アクチュエータと、 下ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれか一方
    の各ローラを個別的に支持し、搬送方向に垂直な水平方
    向に変位可能であるくさび片と、 くさび片を前記方向に変位駆動して設定する駆動手段と
    を含むことを特徴とするローラレベラ。
  19. 【請求項19】 下ローラ列または上ローラ列の少なく
    ともいずれか一方は、各ローラを支持する対を成すバッ
    クアップローラによって支持され、 バックアップローラがくさび片によって変位可能である
    ことを特徴とする請求項18記載のローラレベラ。
  20. 【請求項20】 複数の下ローラが入側から出側に間隔
    をあけて配置される下ローラ列と、 複数の上ローラが入側から出側に間隔をあけて、かつ下
    ローラ相互間に配置される上ローラ列と、 入側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第1アクチュエータと、 出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第2アクチュエータと、 下ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれか一方
    の各ローラを個別的に支持する対を成すバックアップロ
    ーラと、 バックアップローラを、個別的に支持し、搬送方向に垂
    直な上下変位方向に変位駆動して調整設定する駆動調整
    手段とを含むことを特徴とするローラレベラ。
  21. 【請求項21】 複数の下ローラが入側から出側に間隔
    をあけて配置される下ローラ列と、 複数の上ローラが入側から出側に間隔をあけて、かつ下
    ローラ相互間に配置される上ローラ列と、 入側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第1アクチュエータと、 出側に設けられ、下ローラ列と上ローラ列との上下の間
    隔を変化して設定する第2アクチュエータと、 下ローラ列または上ローラ列の少なくともいずれか一方
    の各ローラを個別的に支持する対を成すバックアップロ
    ーラと、 バックアップローラを、そのバックアップローラの軸線
    から偏心した軸線まわりに角変位自在に支持する支持軸
    と、 支持軸をその軸線まわりに角変位駆動して設定する駆動
    手段とを含むことを特徴とするローラレベラ。
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