JP2681574B2 - 高所作業車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高所作業車に関し、詳
しくは、建築工事現場の天井作業等に用いる高所作業車
であって、空調ダクトのような長尺物の施工を容易に行
うことができる高所作業車に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築工事における天井作業、例え
ば空調ダクトの配管施工には、高所作業車が利用され、
作業者を昇降可能な作業台に乗せて作業位置まで持ち上
げていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の高所作
業車は、作業者を容易に作業位置まで上昇させることは
できるが、空調ダクトのような長尺物を施工位置まで持
ち上げることはできなかった。このため、長尺物を持ち
上げる際には、足場を組んで人力で施工位置まで持ち上
げるか、高所作業車を２台用いて両作業台上に長尺配管
等を掛け渡し、両作業台を同時に上昇させて持ち上げる
ようにしていた。また、高所作業車１台で施工場所に持
ち上げることが可能な物品でも、該物品を作業台上に持
ち上げるための手間が掛かっていた。したがって、作業
効率が悪く、作業人員も多く必要だった。

【０００４】そこで本発明は、空調ダクトのような長尺
物を容易に持ち上げることができ、配管施工等の作業効
率を大幅に向上できる長尺物リフト機構を備えた高所作
業車を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明の高所作業車は、基台の上部に昇降可能な
作業台を有する高所作業車において、前記基台の両側部
に垂直方向に回動可能に設けられて一体的に回動する一
対の回動アームと、両回動アームの先端部にそれぞれ回
動可能に設けられたフォークと、前記回動アームの回動
中心と同軸に設けられて基台に固定された固定スプロケ
ットと、前記両フォークの回動中心と同軸に設けられて
フォークと一体に回動する回動スプロケットと、両スプ
ロケット間に掛け渡されたローラーチェーンとを備える
とともに、前記回動アームは、前記フォークを基台側方
の床面近傍位置から前記作業台の上方位置まで回動可能
な長さ及び回動角度を有していることを特徴としてい
る。

【０００６】

【作 用】上記構成の高所作業車は、回動アームを床面
近くの下げ位置に回動して、その先端のフォーク上に配
管等の長尺物を載置した後、該回動アームを上方に回動
させると、回動アーム先端のフォークは、両スプロケッ
トとローラーチェーンの作用により、姿勢角度を一定に
保ったまま上昇し、長尺物を作業台上方の所定位置まで
上昇させる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１及び図２は、本発明の高所作業車の一実施
例を示すもので、図１は高所作業車の側面図、図２は同
じく正面図である。

【０００８】この高所作業車１は、走行可能な基台２の
上部にシザースリンク機構３により昇降する作業台４を
設けるとともに、長尺物リフト機構５を設けたものであ
る。上記長尺物リフト機構５は、基台２の両端にそれぞ
れ固着されたケース１０の上部に回動可能に設けられた
アーム１１と、該アーム１１の先端に回動可能に設けら
れたフォーク２０とから構成されている。

【０００９】上記アーム１１は、油圧シリンダ１２によ
り駆動される第１スプロケット１３と、アーム１１の基
部に固着された第２スプロケット１４と、両スプロケッ
ト１３，１４間に掛け渡されたローラーチェーン１５と
により作動するもので、油圧シリンダ１２のロッド１２
ａを縮めたときに、前記フォーク２０を床面近くまで回
動下降させることができ、油圧シリンダ１２のロッド１
２ａを伸ばしたときに、フォーク２０を前記作業台４の
上方まで回動上昇させることができるように形成されて
いる。また、両側の第１スプロケット１３同士は、基台
２内を貫通するシャフト１６により連結され、一体的に
回動するように形成されており、アーム１１の俯仰角度
が同一に保たれている。

【００１０】また、前記フォーク２０は、アーム先端部
の軸２１を中心として回動するもので、該フォーク２０
の回動角度は、該軸２１と一体に回動する回動スプロケ
ット２２と、前記アーム１１の回動中心と同軸に設けら
れた固定スプロケット２３と、両スプロケット２２，２
３間に掛け渡されたローラーチェーン２４とにより規制
されている。

【００１１】上記固定スプロケット２３は、フォーク２
０側の回動スプロケット２２と同径のものを前記ケース
１０の側面に固着したもので、該固定スプロケット２３
と前記ローラーチェーン２４及び回動スプロケット２２
が平行リンクのように作用し、アーム１１の回動に対し
て前記フォーク２０を、その姿勢角度を一定に保ったま
ま上下動させる。

【００１２】また、上記スプロケット２２，２３間に掛
け渡されるローラーチェーン２４には、通常の長さより
長いものを用いて両スプロケット間に弛みを設けて掛け
渡すとともに、該ローラーチェーン２４の緊張側２４ａ
に設けたチェーン押込手段である押込ローラー３０と緩
み側２４ｂに設けた調整手段であるテンションローラー
３１とにより、ローラーチェーン２４の張りを調節して
フォーク２０の姿勢角度を変えることができるように形
成している。

【００１３】上記押込ローラー３０は、図３に示すよう
に、リンクレバー３２を介して油圧シリンダ３３に接続
されており、また、テンションローラー３１は、リンク
レバー３４を介してスプリング３５に接続されている。
即ち、前記油圧シリンダ３３を作動させて押込ローラー
３０をローラーチェーン２４の緊張側２４ａに押し込ん
でいくと、固定スプロケット２３が固定されているため
に回動スプロケット２２がローラーチェーン２４の押し
込み量に応じて緊張側２４ａ方向に回動し、これによっ
てフォーク２０の先端側が上昇する。油圧シリンダ３３
を逆方向に作動させると、調整手段のスプリング３５の
作用によりテンションローラー３１がローラーチェーン
２４の緩み側２４ｂを押し込み、回動スプロケット２２
が逆方向に回動してフォーク２０の先端側が下がる。

【００１４】したがって、油圧シリンダ３３を作動させ
るだけでフォーク２０の姿勢を変えることができ、フォ
ーク２０上の物品を確実に保持することができる。な
お、ローラーチェーン２４の長さは、該チェーンの途中
に設けたターンバックル３６により調節することができ
る。

【００１５】このように構成された長尺物リフト機構５
を装備した高所作業車１を用いて長尺物、例えば空調ダ
クトＰを施工する際には、まず、前記アーム１１を最下
方まで回動させてフォーク２０を床面近くに位置させ、
該フォーク２０上に空調ダクトＰを載せる。次にチェー
ン押込手段の油圧シリンダ３３を作動させてフォーク２
０の先端を上昇させ、空調ダクトＰが転がり落ちるのを
防止する。その後、油圧シリンダ１２のロッド１２ａを
伸ばし、第１スプロケット１３，ローラーチェーン１
５，第２スプロケット１４を介してアーム１１を上方に
回動させ、フォーク２０を作業台４の上方に位置させ
る。これにより、空調ダクトＰを作業台４の上方に持ち
上げることができる。

【００１６】そして、本実施例に示す高所作業車１にお
いては、上記長尺物リフト機構５に加えて、上述のよう
にして作業台４の上方に持ち上げられた長尺物を、さら
に上方に持ち上げ、施工位置に設置することが可能な長
尺物昇降保持装置５０を備えている。

【００１７】上記長尺物昇降保持装置５０は、作業台４
の床面上に垂直に立設されたガイド柱５１と、該ガイド
柱５１にガイドされて上下にスライドする昇降部材５２
と、該昇降部材５２に支持される長尺物保持台５３と、
該長尺物保持台５３を昇降させるための油圧シリンダ５
４とから構成されており、前記長尺物保持台５３には、
長尺物を確実に保持するとともに、保持した長尺物の位
置を調整するための機構（保持調整機構）が設けられて
いる。

【００１８】上記長尺物の保持調整機構は、図４及び図
５に示すように、前記昇降部材５２の上端に、長尺物の
軸線と直交して水平方向に設けられた一対のガイドレー
ル５５と、該ガイドレール５５上にガイドレール５５に
沿ってスライド可能に設けられたスライドテーブル５６
と、該スライドテーブル５６の中央部に立設した軸５６
ａに回動可能に嵌合した回動梁５７と、該回動梁５７の
両端部に設けられて長尺物の下辺を、Ｖ字状に配置され
た２個の傾斜ローラー５８ａで支持する一対のローラー
ユニット５８と、回動梁５７の中央部に起伏可能に設け
られて長尺物の上辺を押さえる押さえユニット５９とを
備えている。

【００１９】また、上記ガイドレール５５とスライドテ
ーブル５６との間には、スライドテーブル５６の動きを
規制するためのブレーキ装置６０が設けられ、スライド
テーブル５６と回動梁５７との間には、回動梁５７の回
動を規制するためのブレーキ装置６１が設けられてい
る。さらに、上記一対のローラーユニット５８には、該
ローラーユニット５８を設けたアーム６２の支えボルト
６３ａを、ハンドル６３ｂで回動させてローラーユニッ
ト５８を押し上げることにより、長尺物の傾斜角度を調
節する傾斜角度調節装置６３が設けらている。

【００２０】前記押さえユニット５９は、回動梁５７か
ら突設したブラケット６４の軸６５を中心として回動す
るもので、長尺物押さえ位置に起こしたときには、ロッ
クピン６６により、その回動が規制される。前記軸６５
を中心として回動する回動腕６７の先端部には、軸６８
により押え腕６９が揺動可能に設けられ、該押え腕６９
の先端部に前記長尺物の上辺を押さえる押えローラー７
０が設けられている。また、押え腕６９の他端と回動腕
６７の先端部との間には、押えローラー７０を長尺物の
上辺に当接させるための上下調節機構７１が設けられて
いる。

【００２１】なお、前記傾斜ローラー５８ａあるいは上
記押えローラー７０の少なくともいずれかひとつには、
該ローラーの回転を規制して長尺物の移動を防止するた
めのブレーキ装置が設けられている。

【００２２】したがって、前述のようにして長尺物リフ
ト機構５のフォーク２０で作業台４の上方に持ち上げた
空調ダクトＰを、前記押さえユニット５９を倒した状態
で前記ローラーユニット５８上に載せ、次いで押さえユ
ニット５９を起こしてロックピン６６で固定した後、上
下調節機構７１のハンドル７１ａを回して押えローラー
７０で空調ダクトＰの上面を押し付け、該空調ダクトＰ
を一対のローラーユニット５８と押えローラー７０との
間に保持する。なお、このとき、スライドテーブル５
６，回動梁５７及びローラーユニット５８は、それぞれ
所定の位置，方向，高さにセットし、前記各ブレーキ装
置６０，６１により固定した状態にしておく。

【００２３】次に、図６に示すように、前記シザースリ
ンク機構３を作動させて作業台４を作業位置まで上昇さ
せるとともに、長尺物昇降保持装置５０の油圧シリンダ
５４を作動させて長尺物保持台５３を上昇させ、空調ダ
クトＰを施工高さまで上昇させる。

【００２４】そして、必要に応じて前記ブレーキ装置６
０，６１を緩め、スライドテーブル５６をスライドさせ
ることにより空調ダクトＰの水平方向の位置を、回動梁
５７を回動させることにより空調ダクトＰの水平方向の
角度を、ローラーユニット５８上の空調ダクトＰを軸線
方向に移動させることにより空調ダクトＰの長手方向の
位置を、傾斜角度調節装置６２でローラーユニット５８
を上下動させることにより空調ダクトＰの垂直方向の角
度を、それぞれ調整する。

【００２５】このように空調ダクトＰを所定の配管位置
にセットした後、例えば吊り金具の連結，ボルト締めや
前後の空調ダクトとの接続など、必要な工事を行えばよ
い。このとき、必要に応じて他の高所作業車を用いて行
うこともできる。

【００２６】上記のように、高所作業車１に長尺物リフ
ト機構５を設けることにより、空調ダクトのような長尺
物を容易に作業台上方まで持ち上げることができ、さら
に、上記実施例に示す長尺物昇降保持装置５０を作業台
上に設けることにより、長尺物の施工を極めて容易に行
うことができる。

【００２７】なお、本発明の高所作業車においては、上
記長尺物昇降保持装置は必須なものではなく、長尺物リ
フト機構のアームの長さ，支点あるいはフォークの形状
や構造を適宜設定することにより、長尺物リフト機構の
みでも十分な高さまで長尺物を上昇させることが可能で
ある。

【００２８】また、本発明の高所作業車は、前記空調ダ
クトのような長尺物の施工を主目的としたものである
が、フォークに適当なアタッチメントを取り付けたり、
フォーク自体を交換することにより、例えば天井パネル
や灯具の取り付け交換にも応用することが可能であり、
これらの搬送に利用することも可能である。

【００２９】さらに、各部の構成，形状は、高所作業車
の使用目的や大きさ等に合わせて適宜設定することがで
き、例えば、アーム作動用の油圧シリンダに代えてモー
ターを用いたり、フォークの姿勢制御にスプロケットと
ローラーチェーンに代えてタイミングベルトのような動
力伝達手段を用いたり、適宜なギアやリンク機構を組み
合わせたりすることもできる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の高所作業
車は、基台の両側に設けた一対の回動アームの先端に、
それぞれ姿勢角度を略一定に保つフォークを設けたか
ら、該フォークにより長尺物を容易に持ち上げることが
でき、例えば天井の空調ダクトの施工を容易に行うこと
ができ、作業効率を大幅に向上させることができる。

【００３１】また、両回動アームの駆動軸をシャフトで
連結することにより、両アームの俯仰回転の同期を得る
ことができ、ローラーチェーンを両スプロケット間に弛
みを設けて掛け渡すとともに、該ローラーチェーンの緊
張側にチェーン押込手段を、緩み側にチェーン押込手段
の押え込み動作に追従する調整手段を設けることによ
り、フォークの角度を調整して物品の落下を防止するこ
とができる。

【００３２】さらに、作業台上に前記フォークにより作
業台上方まで持ち上げられた物品を昇降可能に保持する
昇降保持装置を設け、該昇降保持装置に保持される物品
の水平方向の位置及び水平，垂直方向の角度を調整可能
に形成することにより、前記物品の施工等を極めて容易
に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例を示す高所作業車の側面図
である。

【図２】 同じく正面図である。

【図３】 回動アームの正面図である。

【図４】 長尺物の保持調整機構の側面図である。

【図５】 同じく正面図である。

【図６】 作業台及び長尺物昇降保持装置を上昇させた
状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１…高所作業車 ２…基台 ３…シザースリンク機
構 ４…作業台 ５…長尺物リフト機構 １０…ケース １１…アー
ム ２０…フォーク ２２…回動スプロケット ２３…固定スプロケット
２４…ローラーチェーン ３０…押込ローラー
３１…テンションローラー ５０…長尺物昇降保持装
置 ５３…長尺物保持台 ５５…ガイドレール
５６…スライドテーブル ５７…回動梁 ５８…ロ
ーラーユニット ５９…押さえユニット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−132290（ＪＰ，Ａ) 実開 平６−3993（ＪＰ，Ｕ)

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台の上部に昇降可能な作業台を有する
   高所作業車において、前記基台の両側部に垂直方向に回
   動可能に設けられて一体的に回動する一対の回動アーム
   と、両回動アームの先端部にそれぞれ回動可能に設けら
   れたフォークと、前記回動アームの回動中心と同軸に設
   けられて基台に固定された固定スプロケットと、前記両
   フォークの回動中心と同軸に設けられてフォークと一体
   に回動する回動スプロケットと、両スプロケット間に掛
   け渡されたローラーチェーンとを備えるとともに、前記
   回動アームは、前記フォークを基台側方の床面近傍位置
   から前記作業台の上方位置まで回動可能な長さ及び回動
   角度を有していることを特徴とする高所作業車。
2. 【請求項２】 前記両回動アームは、両者の駆動軸がシ
   ャフトで連結されていることを特徴とする請求項１記載
   の高所作業車。
3. 【請求項３】 前記ローラーチェーンは、両スプロケッ
   ト間に弛みを設けて掛け渡されるとともに、該ローラー
   チェーンの緊張側には、そのスパンの一部を押え込んで
   回動スプロケットをフォーク先端が上昇する方向に回動
   させるチェーン押込手段を設け、ローラーチェーンの緩
   み側には、前記チェーン押込手段の押え込み動作に追従
   してローラーチェーンの緩みを調整する調整手段を設け
   たことを特徴とする請求項１記載の高所作業車。
4. 【請求項４】 前記作業台は、前記フォークにより作業
   台上方まで持ち上げられた物品を昇降可能に保持する昇
   降保持装置を備えていることを特徴とする請求項１記載
   の高所作業車。
5. 【請求項５】 前記昇降保持装置は、前記作業台に設け
   られた昇降手段と、該昇降手段の上端部に、水平方向か
   つ前記両回動アームの回動軸線に直交する方向にスライ
   ド可能に設けられたスライドテーブルと、該スライドテ
   ーブル上に回動可能に設けられた回動部材と、該回動部
   材の前記回動アーム側両端部に設けられて前記物品を両
   回動アーム方向に移動可能に支持する支持部材と、該支
   持部材の上下位置を調整する傾斜角度調節手段を備えて
   いることを特徴とする請求項４記載の高所作業車。