JP2674916B2 - 鏡面高磁束密度方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

鏡面高磁束密度方向性珪素鋼板の製造方法

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JP2674916B2
JP2674916B2 JP3323303A JP32330391A JP2674916B2 JP 2674916 B2 JP2674916 B2 JP 2674916B2 JP 3323303 A JP3323303 A JP 3323303A JP 32330391 A JP32330391 A JP 32330391A JP 2674916 B2 JP2674916 B2 JP 2674916B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁束密度が高く鉄損が
極めて低い方向性珪素鋼板(以下方向性電磁鋼板と云
う)に関するものである。特に、二次再結晶工程(仕上
げ焼鈍工程)で、その鋼板表面にフォルステライト(以
下、グラスと云う)被膜を形成させず、同時に、サーマ
ルエッチングにより鋼板表面を鏡面とした状態で同工程
を完了させ、その後、磁区細分化、張力コーティング等
の処理を行い、鉄損特性の改善を図ろうとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板は、電気機器の磁気鉄心
として多用され、エネルギーロスを少なくすべく、改善
が繰り返されてきた。方向性電磁鋼板の鉄損を低減する
手段として、仕上げ焼鈍後の材料表面にレーザービーム
を照射し、局部歪を与え、それによって磁区を細分化し
て鉄損を低下させる方法が、例えば特開昭58−264
05号公報に開示されている。
【0003】また局部歪は、通常行われる加工後の応力
除去焼鈍(歪取り焼鈍)によって除去されるので、磁区
細分化効果が消失する。この改善策、すなわち応力除去
焼鈍しても磁区細分化効果が消失しない手段が、例え
ば、特開昭62−8617号公報に開示されている。
【0004】さらに鉄損値の低減を図かるためには、鋼
板表面近傍の磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取
り除くこと(平滑化)が重要である。平滑化の最も高い
レベルが鏡面である。仕上げ焼鈍後の材料表面を平滑化
(鏡面化)する方法としては、特開昭64−83620
号公報に開示されている化学研磨、電解研磨等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、鋼板表面を鏡面
化(平滑化)する方法としては、前記化学研磨、電解研
磨の他にブラシ研磨、サンドペーパー研磨、研削等の化
学的或は物理的方法がある。しかしながら、これらの方
法は、小試片、少量の試料を作るには適するが、工業的
に多量生産される金属ストリップ等の表面鏡面化(平滑
化)のためには、諸々の困難を伴う。
【0006】最も平滑化できるとされる化学的方法、即
ち、化学研磨においては、薬剤濃度管理、排水処理等の
環境問題、また物理的方法においては、工業的に大きな
面積を持つ表面を同一基準で平滑化(鏡面化)すること
は、極めて困難である。
【0007】本発明は、これらの問題を排して、工業的
生産規模で方向性電磁鋼板の表面を鏡面化(平滑化)す
る方法を提供することを目的とする。当然ながら鏡面化
(平滑化)のために、磁気特性が失われてはならない。
【0008】本発明においては、仕上げ焼鈍工程で同時
に目的を達成しようとするものである。すなわち、二次
再結晶の方位を制御し、極度に高い磁束密度を得、かつ
鏡面(平滑表面)を得ようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするとこ
ろは、前記するように仕上げ焼鈍時に鏡面(平滑表面)
を得るところにある。すなわち、通常行われているMg
Oを主体とする焼鈍分離剤を用いずに、Al2 3 等の
SiO2 と反応しない、或は反応しにくい物質を焼鈍分
離剤として用いて、雰囲気中のN2 分圧(%)の特化し
た仕上げ焼鈍を行い、高い磁束密度の方向性電磁鋼板を
得ると同時に鋼板の表面にグラス(フォルステライト)
被膜を形成させずに、金属表面を露出させた状態で二次
再結晶させ、同時に、サーマルエッチングにより金属表
面を鏡面(平滑化)することを特徴とする。
【0010】その手段は、Si:2.0〜4.8重量
%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重量%、N≦
0.010重量%、残部Fe及び不可避的不純物からな
る珪素熱延鋼帯を必要に応じて焼鈍した後、1回または
中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行い、所定の板厚
とし、次いで一次再結晶焼鈍を行った後、焼鈍分離剤を
塗布し、仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製造におい
て、一次再結晶焼鈍後、同焼鈍工程で生じる鋼板表面の
酸化膜を除去し、Al2 3 単独の或いはAl23
主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、中性或は還元性雰
囲気で仕上げ焼鈍の昇温速度を50℃/hr以上で92
0〜1150℃まで昇温し、該温度に到達時、雰囲気の
2 %を昇温時のN2 %より高くし、該温度で5時間以
上保持する方向性珪素鋼板の製造方法である。
【0011】ここで、鋼板表面の酸化膜を除去する方法
は、酸洗とすることが有利で、特に、フッ素を混入した
酸で酸洗することが一次再結晶焼鈍時生ずる鋼板表面の
酸化層を除去するのに有効である。一次再結晶焼鈍から
鋼板表面の酸化膜を除去する工程に入る前に、アンモニ
アによる窒化処理を行うこと及び昇温時の雰囲気中のN
2 を5%以上とすることは、インヒビター強化の面から
有効である。
【0012】焼鈍分離剤の塗布を静電塗布とすることも
グラス被膜を生成しないこと及びインヒビター劣化防止
の面から有効である。焼鈍分離剤としてMgO以外のア
ルカリ土金属の酸化物を用いることもできる。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明者らは、仕上げ焼鈍中のインヒビター劣化の律速過
程を詳しく調査したところ、鋼板界面におけるAlの酸
化過程が最大の因子であり、一次再結晶焼鈍時生ずる鋼
板表面の酸化層が、インヒビターの劣化に大きく関与し
ていることを見出した。
【0014】Si:3.3重量%、酸可溶性Al:0.
028重量%、N:0.008重量%、Mn:0.14
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1
100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm
厚とした。これらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水
雰囲気とした焼鈍炉で800℃で2分間焼鈍し、一次再
結晶させた。次に二次再結晶を安定化させるためにアン
モニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を180pp
m とし、インヒビターを強化した。
【0015】その後、そのまま、及び0.5%フッ
酸−5%硫酸混合溶液で酸洗した二種の材料にAl2
3 を静電塗布し、100%H2 雰囲気で、15℃/hrの
昇温速度を保ちながら仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼鈍
中のインヒビター(AlN,(Al,Si)N等)を調
べたところ、図1に示すように、一次再結晶焼鈍時鋼板
表面に生ずる酸化層を有するの材料は、酸化層のない
の材料に比べて、インヒビター強度が早く劣化するこ
とが分かった。
【0016】すなわち、一次再結晶焼鈍時鋼板表面に生
ずる酸化層を除去すれば、高温まで強いインヒビター強
度が保持できるのである。鋼板中の酸可溶性Alは、仕
上げ焼鈍中でSiO2 を主体する酸化層から酸素を取り
Al2 3 等となって酸化層中に析出する。従って鋼板
中の酸可溶性Alは、減少していく。
【0017】なお、図1では、インヒビター強度として
鋼中酸可溶性Al濃度を示したが、Alは、AlN,
(Al,Si)N等の化合物(析出物)を形成して、イ
ンヒビターとなっているので、酸可溶性Al量がインヒ
ビター強度を示す指標と考えて良い。
【0018】さらに、本発明者らは、インヒビター劣化
の律速過程を詳しく調査したところ、前記の鋼板界面に
おけるAlの酸化以外に鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中の窒
素量にも影響されることが分かった。なお、焼鈍雰囲気
中の窒素量は鋼板界面を通して鋼中の窒素量を増加させ
ているものであり、その効果は、当初から鋼中に入って
いる窒素と同じである。
【0019】鋼中窒素及び焼鈍雰囲気中の窒素は、Al
N等の析出物を増加させてAlを固定しAlの鋼板界面
への移動を少なくするために、Alの酸化が抑制される
のである。
【0020】従って、仕上げ焼鈍中の鋼中酸可溶性Al
量は、窒素分圧の高い方が、劣化は少なく、高温までイ
ンヒビターは強い。本発明の主旨とするところの一つで
ある高い磁束密度を得るためには、インヒビターは、強
い方が良いのであるが、強く一定に維持されることが望
ましい。
【0021】これは、二次再結晶開始から終了まで方位
の良い結晶(GOSS粒)のみを成長させるためであ
り、二次再結晶開始から終了までにインヒビターが弱体
化すると方位の悪い粒まで成長し、製品鋼板の磁束密度
が下がる。インヒビターであるAlNの溶解度は、当然
ながら鋼板温度の上昇と共に大きくなり、必然的にイン
ヒビターは劣化する。
【0022】この方策として、温度が上昇するに従い窒
素の分圧を上げて鋼板中の窒素量を増やし、析出物とし
てのAlNを一定に維持することが望ましい。しかしな
がら本発明の主旨とするところの一つである鏡面を得る
には、窒素分圧があまり高くなり過ぎてはいけない。
【0023】インヒビターを一定の強さで二次再結晶さ
せるという点でAlNの溶解度が変化しない、すなわち
インヒビター強度が変わらない一定温度での二次再結晶
は、極めて有効である。
【0024】前記するように、AlNの溶解度は、一定
温度に保持すれば変わらないが、酸可溶性Alは雰囲気
中の酸素或は、鋼板表面のAlより酸素親和性の小さい
元素の酸化物より酸素をとり、Al2 3 となって減少
してゆき、インヒビターは劣化する。従って、この場合
も、窒素分圧を上げてAlNの溶解を抑え、酸可溶性A
lの減少を抑制しなければならない。
【0025】以下、実施条件について述べる。一次再結
晶焼鈍時、鋼板表面にできる酸化層を除去する方法とし
ては、機械研磨、例えば、ブラシ研磨、サンドペーパー
研磨、研削等があり、本目的には、有効であるが、工業
上種々の困難を伴い、あまり実用的でない。本発明者ら
は、酸洗による方法が極めて有効であることに気付い
た。
【0026】これは、熱延鋼帯或は、鋼板等の連続酸洗
ラインが既に実用化されているからである。また、酸洗
液(酸洗溶液)としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸が
有効であるが、鋼板表面にできる酸化層は、主にSiO
2 を主体とした酸化物で有るために塩酸、硫酸、硝酸等
の鉱酸だけでは、酸洗しにくい。これらの酸にフッ酸を
混合すると極めて効率的、すなわち、高速で酸化層を除
去することができる。また、一次再結晶焼鈍後から仕上
げ焼鈍前にアンモニアにより窒化処理を行い、インヒビ
ターを強化することは有効である。これは一次再結晶完
了時のインヒビター強度では、二次再結晶のためには、
不十分で、また仕上げ焼鈍中の窒素分圧を上げてインヒ
ビターを強化或は、劣化防止しても二次再結晶に十二分
なインヒビターを確保できない。このため一般にアンモ
ニア処理によるインヒビター強化が、磁気特性を向上さ
せる。
【0027】二次再結晶進行時に必要なインヒビターを
確保するために昇温時に焼鈍雰囲気中に窒素ガスを5%
以上95%以下入れるのが望ましいが、水素ガス100
%でも良い、なお、窒素ガス5%未満では、インヒビタ
ーの強化或は、劣化防止には、効果が薄い。
【0028】なお、中性或は、還元性雰囲気とは、窒
素、酸素、水分、水素、アルゴン等の不活性ガスの内か
ら1種或は、2種以上のガスの混合物で珪素の酸化還元
に対して中性或は還元性であるガス組成をいう。一般に
電磁鋼板の仕上げ焼鈍では、窒素及び水素ガスが用いら
れるので、この両ガスの0%から100%までの組み合
わせである。
【0029】窒素分圧を調整するために、この両ガスの
組み合わせにアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを混合
しても何等支承はない。中性或は、還元性雰囲気とする
のは、鋼中Alの減少防止及び、鋼中の珪素を酸化させ
て表面にSiO2 を作らない或は、増加させないためで
ある。
【0030】本発明においては、一次再結晶焼鈍後、鋼
板表面の酸化層を除去するので、仕上げ焼鈍前の鋼板表
面にSiO2 は、存在しないが仕上げ焼鈍炉中の僅かな
酸素るいは、水分によって仕上げ焼鈍中に少量のSiO
2が生成する。ここにMgOが存在するとフォルステナ
イト被膜(グラス被膜)を形成するので焼鈍分離剤とし
ては、SiO2 と反応しないか或は、反応しにくい物質
が必要である。この目的に合致するものとしては、Al
2 3 (アルミナ)が最も良い。
【0031】さらに本発明の主旨とするところの鏡面を
得ると言う観点からは、BaO,CaO,SrO等のア
ルカリ土金属の酸化物粉末が有効であった。また、鋼板
表面に被膜を作らないためには、反応性の小さい物質状
態、例えば粉末の粒度を大きくするとか、水和物を作る
ことなく鋼板表面に塗布する方法が有効であった。水和
物を作ることなく鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布する方法
として静電塗布は、極めて有効であった。
【0032】仕上げ焼鈍における二次再結晶可能な温度
までの昇温速度は、高速であればあるほどインヒビター
の劣化が少なく好都合であった。昇温速度15℃/hr未
満では、インヒビターの劣化が著しく二次再結晶時に必
要なインヒビターが確保されず、十分な二次再結晶が得
られず鋼板の磁束密度(B8 )は低かった。本発明の主
旨の一つである高い磁束密度を得るという点では、50
℃/hr以上の昇温速度が必要であった。
【0033】二次再結晶させるために一定の温度で保持
することは、高い磁束密度を得るためには特に有効であ
る。これはインヒビターの劣化を防止して適度なインヒ
ビター強度で二次再結晶させるものである。
【0034】この温度は、920℃未満では、二次再結
晶完了までの時間が長くなり過ぎて実用的でなくなる。
また、1150℃超では、インヒビターの劣化が著しく
なり過ぎて二次再結晶完了まで必要なインヒビターを確
保できない。
【0035】二次再結晶させるため保持時間は5時間以
上必要で、これより短い時間では保持時間内に完了しな
い。該保持温度に到達したとき、前記するようにインヒ
ビターの劣化を抑え、インヒビター強度を一定にするた
めに窒素分圧を昇温時より高くする。
【0036】ただし、窒素分圧は、高くすれば、高いほ
ど良いというものではない。あまり高くするとインヒビ
ターが強くなり過ぎて二次再結晶完了までに時間が掛か
り過ぎることや、二次再結晶しないなどの不都合を生ず
る。昇温時の窒素分圧にリンクして該温度保持時の窒素
分圧を上げなければならない。なお、二次再結晶完了
後、純化及び鋼板表面の鏡面化を完全にするために水素
濃度を上げ、1200℃付近で数時間保持することは、
極めて有効である。
【0037】本発明における鋼成分は、Si:2.0〜
4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜0.05重
量%、N≦0.010重量%、残部:Feおよび不可避
的不純物からなり、それ以外の元素は、特に限定しな
い。
【0038】Siは、電気抵抗を高め鉄損を下げるうえ
で重要であるが、4.8%超では、冷間圧延時に割れ易
くなる。一方、2.0%未満では、電気抵抗が低く鉄損
を下げるうえで問題がある。
【0039】酸可溶性Alは、インヒビター構成元素で
重要であり、窒素、珪素等と化合して、AlN,(A
l,Si)N等の析出物を作りインヒビターの役割を果
す。インヒビター強度の面、すなわち、磁束密度が高く
なる範囲として、0.008〜0.05重量%である。
【0040】窒素は、0.010重量%超では、ブリス
ターと呼ばれる空孔を鋼板中に生ずるのでこの範囲が適
当である。また、インヒビター構成元素として、Mn,
S,Se,Sn,B,Bi,Nb,Ti,P等を添加す
ることができる。
【0041】以下、本発明の実施態様を述べる。Si:
2.0〜4.8重量%、酸可溶性Al:0.008〜
0.05重量%、N≦0.010重量%、残部:Feお
よび不可避的不純物からなる溶鋼を、通常の工程で、も
しくは、連続鋳造して熱延鋼板或は、熱延鋼帯とする。
【0042】この熱延鋼板或は、熱延鋼帯は、750℃
〜1200℃の温度域で、30秒〜30分間磁束密度向
上のための焼鈍が行われる。続いて、これらの熱延鋼板
或は、熱延鋼帯は、冷間圧延される。冷間圧延は、特公
昭40−15644号公報に開示されているように最終
冷間圧延率80%以上とする。
【0043】冷間圧延後の材料は、通常鋼中の炭素を除
去するために湿水雰囲気中で、750℃〜900℃の温
度域で一次再結晶焼鈍される。この時、脱炭、一次再結
晶と共に、鋼板表面には、酸化層が形成される。この酸
化層は、湿水雰囲気すなわち水分の入った雰囲気の水分
量の程度(通常、露点で表す)によるが、いわゆる内部
酸化層を形成し鋼板表面から0.1〜6.0μmの厚さ
になり、ここには、酸化物として、主にSiO2 が存在
する。
【0044】なお一次再結晶焼鈍時形成される酸化物の
酸素量の80〜90%以上は、SiO2 の形態をとって
いる。一次再結晶後の鋼板、或は、鋼帯は、表面の酸化
層が除去される。
【0045】この方法は、前記の通り物理的及び化学的
方法があるが、一般に酸洗によって行われる。鋼板表面
の酸化層除去に先だってインヒビター強化のためアンモ
ニアによる窒化処理を行うことは磁束密度向上に極めて
有効である。
【0046】表面の酸化層が除去された一次再結晶板
は、焼鈍分離剤が塗布されて仕上げ焼鈍炉に入る。仕上
げ焼鈍の昇温速度は、インヒビター劣化を防止し高い磁
束密度を得るために、なるべく大きく望ましくは50
℃/hr以上である。
【0047】仕上げ焼鈍の昇温時の雰囲気は、中性或は
還元性とし、920℃〜1150℃に到達した時窒素分
圧を昇温時のそれより高くして5時間以上保持する。な
お窒素分圧調整のためアルゴン、ヘリウムなどの不活性
ガスを混合することは何等さしさわりない。
【0048】二次再結晶完了後、純化のため100%水
素で高温(約1200℃)保持される。なお、通常用い
られる焼鈍分離剤(MgOを主体とする)と異なって、
焼鈍分離剤に水分或は、水和水分を持ち込まないように
できるので、仕上げ焼鈍中、除去のための工程が要ら
ず、その分仕上げ焼鈍は、短くすることができる。仕上
げ焼鈍終了後、レーザービーム照射等の磁区細分化処理
を行い、さらに張力コーティング処理を行う。
【0049】
【実施例】
(実施例1)Si:3.2重量%、酸可溶性Al:0.
029重量%、N:0.008重量%、Mn:0.13
重量%、S:0.007重量%、C:0.05重量%、
残部Fe及び不可避的不純物からなる珪素熱延鋼帯を1
100℃で2分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.23mm
厚とした。これらの冷延板を脱炭を兼ねるために湿水雰
囲気とした焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再結
晶させた。
【0050】次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒化量を160
ppm とし、インヒビターを強化した。その後、フッ酸の
混合した硫酸で鋼板表面に生成している酸化層を除去し
た。
【0051】Al2 3 :100%からなる焼鈍分離剤
を静電塗布し、1100℃まで、10%N2 −90%H
2 雰囲気で、150℃/hrの昇温速度を保ちながら昇温
し、1100℃まで昇温した。
【0052】1100℃到達後、50%N2 −50%
2 雰囲気に切り換え、雰囲気を切り換えずに、その
温度で10時間保持した。その後、100%水素とし、
さらに1200℃まで昇温し、この温度で10時間保持
した。
【0053】仕上げ焼鈍終了後、レーザービームを照射
し、リン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行っ
た。得られた製品の特性は、表1の通りである。
【0054】
【表1】 (実施例2)実施例1の珪素熱延鋼帯を1100℃で2
分間焼鈍した後、冷間圧延し、0.20mm厚とした。こ
れらの冷延板を、脱炭を兼ねるために湿水雰囲気とした
焼鈍炉で820℃で2分間焼鈍し、一次再結晶させた。
【0055】次に二次再結晶を安定化させるために、ア
ンモニア雰囲気中で窒化処理を行い、全窒素量を170
ppm とし、インヒビターを強化した。その後、フッ酸の
混合した硫酸で鋼板表面に生成している酸化層を除去し
た。
【0056】Al2 3 :100%からなる焼鈍分離剤
を静電塗布し、1100℃まで、10%N2 −90%H
2 雰囲気で、150℃/hrの昇温速度を保ちながら昇温
し、1100℃まで昇温した。
【0057】1100℃到達後、75%N2 −25%
2 雰囲気に切り換え、雰囲気を切り換えずに、その
温度で10時間保持した。その後、100%水素とし、
さらに1200℃まで昇温し、この温度で10時間保持
した。仕上げ焼鈍終了後、レーザービームを照射し、リ
ン酸−クロム酸系の張力コーティング処理を行った。得
られた製品の特性は、表2の通りである。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明により、磁束密度が高く、磁気特
性を阻害する要因である鋼板表面の凹凸の小さい(鏡面
である)方向性電磁鋼板が容易に得られ、レーザービー
ム照射処理等の磁区細分化、張力コーティング処理によ
り極めて低鉄損の磁気材料が提供された。この方向性電
磁鋼板の製造に当たっては鋼板の鏡面化処理が通常の仕
上げ焼鈍炉中で行われるため、極めて容易であり、工業
上の価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ焼鈍温度と鋼板のインヒビター(酸可溶
性Al)の変化を示す図表である。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、 Si:2.0〜4.8%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05%、 N≦0.010%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる熱延珪素鋼帯
    に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施
    して最終板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍した後焼鈍
    分離剤を塗布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製
    造方法において、一次再結晶焼鈍後、該焼鈍工程におい
    て生成した鋼板(ストリップ)表面の酸化膜を除去した
    後、Al2 3 単独の或いはAl2 3 を主成分とする
    焼鈍分離剤を塗布し、次いで、中性或は還元性雰囲気
    、50℃/hr以上の昇温速度で920〜1150℃
    の温度域まで加熱し、該温度域に到達した後雰囲気中
    のN2 %を前記昇温時におけるN2 %よりも高くして、
    前記到達温度域に5時間以上保持する仕上げ焼鈍を施す
    ことを特徴とする鏡面高磁束密度方向性珪素鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 一次再結晶焼鈍工程において生成した鋼
    板(ストリップ)表面の酸化膜を除去する手段が、酸洗
    である請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 一次再結晶焼鈍工程において生成した鋼
    板(ストリップ)表面の酸化膜を除去する手段が、弗酸
    を混入した酸液によって鋼板(ストリップ)を酸洗する
    ものである請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 重量比で、 Si:2.0〜4.8%、 酸可溶性Al:0.008〜0.05%、 N≦0.010%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる熱延珪素鋼帯
    に、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施
    して最終板厚とし、次いで一次再結晶焼鈍した後焼鈍
    分離剤を塗布し仕上げ焼鈍を施す方向性珪素鋼板の製
    造方法において、一次再結晶焼鈍後、アンモニアガスを
    含有する雰囲気中で鋼板(ストリップ)を窒化処理し、
    次いで、一次再結晶焼鈍工程において生成した鋼板(ス
    トリップ)表面の酸化膜を除去した後Al2 3 単独
    の或いはAl2 3 を主成分とする焼鈍分離剤を塗布
    し、次いで、中性或は還元性雰囲気中、50℃/hr
    以上の昇温速度で920〜1150℃の温度域まで加熱
    し、該温度域に到達した後雰囲気中のN2 %を前記昇
    温時におけるN2 %よりも高くして、前記到達温度域に
    5時間以上保持する仕上げ焼鈍を施すことを特徴とする
    鏡面高磁束密度方向性珪素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 一次再結晶焼鈍工程において生成した鋼
    板(ストリップ)表面の酸化膜を除去する手段が、酸洗
    である請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 一次再結晶焼鈍工程において生成した鋼
    板(ストリップ)表面の酸化膜を除去する手段が、弗酸
    を混入した酸液によって鋼板(ストリップ)を酸洗する
    ものである請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 仕上げ焼鈍工程における材料の昇温過程
    での雰囲気におけるN2 含有量を5%以上とする請求項
    1乃至6何れかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 鋼板(ストリップ)表面の酸化膜を除去
    した後にMgO以外のアルカリ土類金属の酸化物或
    それらを主成分とする焼鈍分離剤を塗布する請求項1乃
    至7何れかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 焼鈍分離剤の塗布が静電塗布である請求
    項1乃至8何れかに記載の方法。
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