JP2674807B2 - 摺動材 - Google Patents

摺動材

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JP2674807B2
JP2674807B2 JP63277263A JP27726388A JP2674807B2 JP 2674807 B2 JP2674807 B2 JP 2674807B2 JP 63277263 A JP63277263 A JP 63277263A JP 27726388 A JP27726388 A JP 27726388A JP 2674807 B2 JP2674807 B2 JP 2674807B2
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武 白木
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三井石油化学工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、摺動材に関し、より詳細には、超高分子量
ポリエチレンを含有する組成物から成り、寸法精度、軽
量性、自己潤滑性、耐摩耗性に優れた摺動材に関する。
(従来の技術) 従来、給油の不要なすべり軸受け、即ちオイルレスベ
アリングの一種として所謂乾燥摩擦軸受が知られてお
り、このものとして自己潤滑性を有するプラスチック、
例えばポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、
アセタール樹脂等から成るものが知られている。
超高分子量ポリエチレンが優れた自己潤滑性を有する
ことは知られているが、このものをすべり軸受或いはそ
の他の摺動材として用いることが未だ実用化されるに至
っていない。
(発明が解決しようとする問題点) すなわち、超高分子量ポリエチレンは汎用のポリエチ
レンに比較して溶融粘度が極めて高く流動性が悪いた
め、通常の押出成形や射出成形によって成形することは
非常に難しく、その殆どは圧縮成形によって成形されて
おり、一部ロッド等が極めて低速で押出成形されている
のが現状であった。
かかる溶融流動性に劣る超高分子量ポリエチレンを通
常の射出成形法によって成形すると、金型キャビティ内
に樹脂が充填される過程で剪断破壊流を生じ、成形品は
雲母状に層状剥離を起こし、超高分子量ポリエチレンの
優れた特性を発揮する成形品が得られないばかりか、む
しろ汎用のポリエチレン成形品にも劣るという結果にな
るのが常であった。
本出願人は先に層状剥離を生じない射出成形法とし
て、樹脂の射出成形前あるいは射出成形終了前に金型キ
ャビティ容積を僅かに大きくした後、所定容積まで圧縮
する方法(特公昭57−30067号公報、特公昭60−58010号
公報)を提案した。かかる方法を採用することにより、
層状剥離を起こさず、超高分子量ポリエチレン本来の特
徴である耐衝撃性、耐摩耗性を具備した射出成形品を得
ることが可能になった。しかしながらかかる方法で射出
成形を行うには、金型キャビティ可変機構等を具備した
射出成形機を用いる必要があり、いずれにしても汎用の
ポリエチレン射出成形機をそのまま使用することはでき
ない。
一方、超高分子量ポリオレフィンの溶融流動性を改良
する方法として、超高分子量ポリオレフィンと低分子量
乃至高分子量のポリオレフィンとを混合する方法が種々
提案されている。
しかしながら、これら従来の技術では、成形サイクル
が長くなると共に、機械的精度が要求される摺動材を製
造することは困難であった。
本発明者等は、以下に詳述する超高分子量ポリエチレ
ン含有組成物は、高い機械的精度をもって摺動材部品に
射出成形可能であり、高い摺動性と耐摩耗性との組み合
せを有することを見出した。
即ち、本発明の目的は、超高分子量ポリオレフィンを
成分として含有していながら、射出成形により機械的精
度の高い部品に容易に成形できると共に、成形品が優れ
た自己潤滑性、耐摩耗性及び軽量性の組合せを有する摺
動材を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、135℃のデカリン溶液中で測定した
極限粘度[η]が10乃至40dl/gである超高分子量ポリエ
チレン15乃至40重量%と前記測定条件での極限粘度
[η]が0.1乃至5dl/gである低分子量乃至高分子量ポリ
エチレン60乃至85重量%とから成り、且つその極限粘度
が3.5乃至15dl/g、溶融トルクTが4.5kg・cm以下である
樹脂組成物に、該樹脂組成物100重量部当たり1乃至10
重量部の割合で、 合成炭化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエ
ーテル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロ
トリフルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化
ビフェニル油及びシリコーン油からなる群より選ばれる
少なくとも1種の液体潤滑剤、及び/又は 黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二硫化タング
ステン、酸化鉛、ガラス粉及び金属石ケンからなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の固体潤滑剤 を配合して成る組成物を射出成形して成る摺動材が提供
される。
(作 用) 本発明の摺動材において、超高分子量ポリエチレン
は、低い動摩擦係数等の自己潤滑性能と低い摩耗係数と
を有し、且つ耐衝撃性、引張り強度、耐薬品性等にも優
れていることから、比須不可欠の成分である。この超高
分子量ポリエチレンは135℃デカリン溶媒中で測定した
極限粘度(以下極限粘度とはこの測定方法によるものを
意味する)[η]uが10〜40dl/g、特に15〜35dl/gの範
囲にあることも重要である。[η]uが上記範囲よりも
小さいと自己潤滑性、耐摩耗性、或いは機械的性質が上
記範囲内にあるものに比して劣るようになり、一方
[η]uが上記範囲よりも大きくなると、以下に述べる
成分との組合せで用いた場合にさえ、射出成形性が低下
し、成形品としたときの外観不良、フローマークの発生
等が生じ、且つ層状剥離等が発生し易くなる等耐摩耗性
に劣る。
本発明で用いる極限粘度が超高分子量ポリエチレンよ
りも低い低分子量乃至高分子量ポリエチレンは、超高分
子量ポリエチレンに射出成形性を与えるために必須不可
欠の成分である。組成物全体の極限粘度及び溶解トルク
を本発明で規定した範囲内とするには、後で詳述する方
法で求めた極限粘度[η]が一般に0.1〜5dl/g、特に
0.5〜3dl/gの範囲にあるのがよい。[η]が上記範囲
よりも小さいと射出成形品の表面にブリードする等の不
都合を生じ易く、一方上記範囲を越えて大きくなると、
溶融流動性が低下して、組成物全体の成形性が低下する
傾向がある。
本発明では、上記超高分子量ポリエチレンと低分子量
乃至高分子量ポリエチレンとを、一定の条件のもとに組
成物とすることにより、この組成物に優れた射出成形能
を付与しながら、しかも低い摩擦係数及び摩耗係数を有
するようにすることができる。先ず、オレフィン樹脂組
成物全体当り超高分子量ポリエチレンは15乃至40重量
%、特に20乃至35重量%の量で存在するべきである。超
高分子量ポリエチレンの量が上記範囲よりも少ない場合
には、上記範囲内にあるものに比して摩擦係数や耐摩耗
性等が劣るようになる。また、この量が上記範囲よりも
多いと、成形性が低下し、層状剥離を生じる等耐摩耗性
が低下する。次に、このオレフィン樹脂組成物は、全体
として3.5〜15dl/g、特に4.0〜10dl/gの極限粘度[η]
cを有すべきである。即ち、この[η]cが上記範囲よ
りも低いと、上記範囲内にあるものに比して、自己潤滑
性、耐摩耗性が劣るようになり、上記範囲よりも高い
と、成形性が低下し、耐摩耗性も低下するようになる。
本明細書の溶融トルクTとは、JSRキュラスメーター
(今中機械工業KK製)を用いて、温度240℃、圧力5kg/c
m2、振巾3゜、振動数6CPMの条件で測定された値であ
り、溶融トルクTが4.5Kg・cmを越えるものは通常のス
クリューに吸い込まず、汎用の射出成形機では射出成形
不能であることから、Tは4.5kg/cm以下であるべきであ
る。
本発明の摺動材は、上述した超高分子量ポリエチレン
−低分子量乃至高分子量ポリエチレンのオレフィン樹脂
組成物に、液体乃至固体の潤滑剤を配合した組成物から
成る。即ち、上記オレフィン樹脂組成物に液体乃至固体
の潤滑剤を配合することにより、前記オレフィン樹脂組
成物が有する優れた射出成形能や、自己潤滑性、耐摩耗
性、耐衝撃性、高強度等の特性を損うことなしに、動摩
擦係数を更に減少させ、且つ摩耗係数をも著しく減少さ
せることができる。
潤滑剤は、オレフィン樹脂組成物100重量部当たり1
乃至10重量部、特に2乃至5重量部の割合で配合すべき
である。この配合量が上記範囲よりも少ないと、摺動性
や耐摩耗性の改善効果が上記範囲内にある場合に比して
小さく、上記範囲よりも多いと摺動材としたときの機械
的強度や弾性率の低下が本発明範囲にあるものに比して
顕著となる。
(発明の好適態様) オレフィン樹脂組成物 本発明に用いる超高分子量ポリエチレン及び低分子量
乃至高分子量ポリエチレンは、エチレンの単独重合体又
はエチレンを主成分とするエチレンと他のα−オレフィ
ン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペン
テン等との共重合体である。
本発明に用いるオレフィン樹脂組成物は、前述した超
高分子量ポリエチレンと低分子量乃至高分子量ポリエチ
レンとを上記量割合いで配合し、溶融混練することによ
っても製造することができるが、両成分の均質な組成物
を形成するという見地から、多段重合法で製造すること
が特に望ましい。即ち、高活性固体状チタン系触媒成分
及び有機アルミニウム化合物触媒成分から成るチーグラ
ー型触媒の存在下に且つ水素の非存在下にエチレンを主
体とするオレフィンを重合させて超高分子量ポリエチレ
ンを生成させ、次いで水素の存在下に該オレフィンを重
合させて低分子量乃至高分子量ポリエチレンを生成させ
る。高活性固体状チタン系触媒はマグネシウム、チタン
及びハロゲンを必須成分とするものが好ましい。
使用される特定のチーグラー型触媒は、基本的には固
体状チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物触媒成分
から形成される特定の性状の触媒である。該固体状チタ
ン触媒成分としては、たとえば粒度分布が狭く、平均粒
径が0.01乃至5μ程度であって、微小球体が数個固着し
たような高活性微粉末状触媒成分を用いるのが好適であ
る。かかる性状を有する高活性微粉末状チタン触媒成分
は、例えば特開昭56−811号公報で開示の固体状チタン
触媒成分において、液状状態のマグネシウム化合物と液
状状態のチタン化合物を接触させて固体生成物を析出さ
せる際に析出条件を厳密に調整することによって製造す
ることができる。例えば、該公報開示の方法において、
塩化マグネシウムと高級アルコールとを溶解した炭化水
素溶液と、四塩化チタンとを低温で混合し、次いで50乃
至100℃程度に昇温して固体生成物を析出させる際に、
塩化マグネシウム1モルに対し、0.01乃至0.2モル程度
の微量のモノカルボン酸エステルを共存させるとともに
強力な攪拌条件下に該析出を行うものである。さらに必
要ならば四塩化チタンで洗浄してもよい。かくして、活
性、粒子状共に満足すべき固体触媒成分を得ることがで
きる。かかる触媒成分は、例えばチタンを約1乃至約6
重量%程度含有し、ハロゲン/チタン(原子比)が約5
乃至約90、マグネシウム/チタン(原子比)が約4乃至
約50の範囲にある。
また、上記の如くして調製した該固体状チタンに触媒
成分のスラリーを高速で剪断処理することにより得られ
る粒度分布が狭く、平均粒径が通常0.01乃至5μ、好ま
しくは0.05乃至3μの範囲の微小球体も高活性微粉末状
チタン触媒成分として好適に用いられる。高速剪断処理
の方法としては、具体的にはたとえば不活性ガス雰囲気
中で固体状チタン触媒成分のスラリーを市販のホモミキ
サーを用いて適宜時間処理する方法が採用されている。
その際触媒性能の低下防止を目的として、あらかじめチ
タンと当モル量の有機アルミニウム化合物を添加してお
く方法を採用することもできる。さらに、処理後のスラ
リーを篩いで濾過し、粗粒を除去する方法を採用するこ
ともできる。これらの方法によって、前記微小粒径の高
活性微小粉末状チタン触媒成分が得られる。
有機アルミニウム化合物触媒成分としては、例ればト
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムの
ようなトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウ
ムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリドのよう
なジアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキ
クロリドのようなアルキルアルミニウムセスキクロリ
ド、あるいはこれらの混合物が好適に用いられる。
該超高分子量ポリエチレンを生成させる重合工程で
は、触媒として高活性チタン触媒成分(A)を例えば触
媒1当りのチタン原子として約0.001乃至約20ミリグ
ラム原子、とくには約0.005乃至約10ミリグラム原子、
有機アルミニウム化合物触媒成分(B)を、Al/Ti(原
子比)が約0.1乃至約1000、とくに約1乃至約500となる
ような割合で使用するのがよい。前記超高分子量ポリエ
チレンを生成させる重合工程の温度は通常約−20乃至約
120℃、好ましくは約0乃至約100℃、とくに好ましくは
約5乃至約95℃の範囲である。また、重合反応の際の圧
力は、前記温度で液相重合又は気相重合が可能な圧力範
囲であり、例えば大気圧乃至約100kg/cm2、好ましくは
大気圧乃至約50kg/cm2の範囲である。また、重合工程に
おける重合時間は、超高分子量ポリエチレンの生成量が
該高活性チタン触媒成分中のチタン1ミリグラム原子当
たり約1000g以上、好ましくは約2000g以上となるように
設定すればよい。また、該重合工程において、前記超高
分子量ポリエチレンを生成させるためには、該重合反応
を水素の不存在下に実施するのが好ましい。さらには、
該重合反応を実施後、重合体を不活性媒体雰囲気下で一
旦単離し、保存しておくことも可能である。
該超高分子量ポリエチレンを生成させる重合工程にお
いて使用することのできる不活性媒体としては、例えば
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、デカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペ
ンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロ
ルエタン、メチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハ
ロゲン化炭化水素;あるいはこれらの混合物などを挙げ
ることができる。とくに脂肪族炭化水素の使用が望まし
い。
本発明のオレフィン樹脂組成物の製造には、前記超高
分子量ポリオレフィンを生成させる重合工程以外の他の
重合工程においては水素の存在下に残余のオレフィンの
重合反応が実施される。
前記超高分子量ポリオレフィン生成重合工程以外の重
合工程における水素の供給割合は当該各重合工程に供給
されるオレフィン1モルに対して通常は0.01乃至50モ
ル、好ましくは0.05乃至30モルの範囲である。
前記超高分子量ポリオレフィン生成重合工程以外の重
合工程における重合槽内の重合生成液中の各触媒成分の
濃度は、重合容積1当り、前記処理した触媒をチタン
原子に換算して約0.001乃至約0.1ミリグラム原子、好ま
しくは約0.005乃至約0.1ミリグラム原子とし、重合系の
Al/Ti(原子比)が約1乃至約1000、好ましくは約2乃
至約500となるように調製するのが好ましい。そのため
に必要に応じ、有機アルミニウム化合物触媒成分(B)
を追加使用することができる。重合系には、他に分子
量、分子量分布等を調節する目的で水素・電子供与体、
ハロゲン化炭化水素などを共存させてもよい。
重合温度はスラリー重合、気相重合が可能な温度範囲
で、かつ約40℃以上、より好ましくは約50乃至約100℃
の範囲が好ましい。また、重合圧力は、例えば大気圧乃
至約100kg/cm2、とくには大気圧乃至約50kg/cm2の範囲
が推奨できる。そして重合体の生成量が、チタン触媒成
分中のチタン1ミリグラム原子当り約1000g以上、とく
に好ましくは約5000g以上となるような重合時間を設定
するのがよい。
上記多段重合法で得られるオレフィン樹脂組成物中に
含まれる低分子量乃至高分子量ポリエチレンの極限粘度
[η]を直接求めることはできないが、超高分子量ポ
リエチレンの密度をDu、組成比をW1、低分子量乃至高分
子量ポリエチレンの密度をDn、組成比をW2、組成物の密
度をDcとすると、 の関係式が成立するので、この式(1)から低分子量乃
至高分子量ポリエチレンの密度Dnが求められ、この密度
Dnから、MFR(メトロフローレート)及びMFRから[η]
が求められる。
尚、前述した調製法では、一段目で超高分子量ポリエ
チレンへの重合を行い、二段目以降で低分子量乃至高分
子量ポリエチレンへの重合を行っているが、逆の順序の
重合も可能であることが理解されるべきである。
液体乃至固体の潤滑剤 本発明に用いる液体潤滑剤としては、合成炭化水素
油、ポリグリコール油、ポリフェニルエーテル油、エス
テル油、リン酸エステル油、ポリクロロトリフルオロエ
チレン油、フルオロエステル油、塩素化ビフェニル油、
シリコーン油等の合成潤滑油が使用される。
これらの潤滑油の内でも、前述したオレフィン樹脂組
成物へのなじみが良好で、潤滑性向上に特に有用なもの
として、エチレン含有量20乃至80モル%、特に30乃至70
モル%、数平均分子量500乃至10000、特に1000乃至5000
であるエチレン−α−オレフィン共重合合成潤滑油が挙
げられる。この合成潤滑油におけるα−オレフィン成分
としてはプロピレンが適当であるが、他に炭素数20迄、
特に14迄の他のα−オレフィンが使用される。この合成
潤滑油におけるQ値(重量平均分子量/数平均分子量の
比)は4以下、特に3以下であることが望ましい。この
合成潤滑油は、粘度指数が120以上で且つ100℃における
動粘度が10乃至2000cst(センチストークス)であると
いう特性を示す。この合成潤滑油の詳細な構造、特性及
び製法は、特開昭57−117595号及び57−123205号公報に
記載されている。
固体潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデンが主に
使用されるが、他に窒化ホウ素、二硫化タングステン、
酸化鉛、ガラス粉、金属石ケン等を用いることができ
る。固体潤滑剤は単独でも、或いは液体潤滑剤との組合
せでも用いることができ、例えば粉末、ゾル、ゲル、サ
スペンソイド等の形態でオレフィン樹脂組成物に配合す
ることができる。
摺動材 本発明の摺動材では、オレフィン樹脂組成物中に前記
液体乃至固体の潤滑剤が可及的に微細に且つ一様に分散
されていることが必要である。このような微細分散は、
前記オレフィン樹脂組成物と潤滑剤とを、一軸又は二軸
の押出混練機に供給し、溶融混練することにより達成さ
れる。勿論、この混練に際して、公知のオレフィン樹脂
用配合剤、例えば酸化防止剤、離型剤、充填剤、顔料等
を公知の処方に従って配合することができる。
ブレンド物の摺動材への成形は、汎用の射出成形機を
用いて行うことができるのが顕著な利点である。射出成
形条件は、特に限定されないが、一般に200乃至290℃の
シリンダー温度及び1000乃至4000kg/cm2の射出圧で行う
のがよい。射出成形は、勿論、一段或いは多段で行うこ
とも可能である。
摺動材としては、所謂各種オイルレスベアリング、各
種ジョイント、軸受、ギア、シリンダー、ピストン、ロ
ーラー、等が挙げられるが、この例に限定されない。
(発明の効果) 本発明の摺動材では、超高分子量ポリエチレンと低分
子量乃至高分子量ポリエチレンとの特定の組成物を母材
としていることにより、超高分子量ポリエチレンが本来
有する自己潤滑性、耐摩耗性、耐衝撃性、高強度等の性
質を保全しながら、機械的精度の高い摺動材部品への形
成が可能となり、しかもこれに液体乃至固体の潤滑剤を
配合することにより、動摩擦係数及び摩耗係数等を大巾
に改善することができた。
(実施例) 本発明の摺動剤を実施例によって具体的に説明する。
なお、実施例に用いたオレフィン樹脂組成物の製造を
以下に示す。
オレフィン樹脂組成物 〔触媒調整〕 無水塩化マグネシウム47.6g(0.5mol)、デカン0.25
および2−エチルヘキシルアルコール0.23(1.5mo
l)を、130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした
後、窒息香酸エチル7.4ml(50mmol)を添加した。この
均一溶液を−5℃に保持した。1.5のTiCl4に1時間に
わたって撹拌下滴下した。使用した反応器はガラス製3
のセパラブルフラスコで撹拌速度は950rpmとした。滴
下後90℃に昇温し、90℃で2時間の反応を行った。反応
終了後、固体部を濾過にて採取し、更にヘキサンにて十
分に洗浄し、高活性微粉末チタン触媒成分を得た。該触
媒成分は、3.8wt%のチタン原子を含んでいた。
〔重 合〕
内容積220の重合槽2基を直列に連結した連続2段
重合装置を使用して連続重合を行った。該連続2段重合
装置の第1段目の重合槽(以下、重合槽1と略記する)
にn−ヘキサン130を加え、40℃に昇温した。n−ヘ
キサン35/hr、トリエチルアルミニウム45mM/hr、チタ
ン触媒をチタン原子として1.0ミリグラム原子/hrおよび
エチレンガスを6.0Nm3/hrの速度で重合槽1に連続的に
導入した。ポンプを用いて重合槽1の重合混合液スラリ
ーを後段の重合槽(以下重合槽2と略記する)に送液
し、重合槽1のレベルを130に保った。その際の重合
槽1の重合圧力は4.8Kg/cm2Gであった。
重合槽2には、重合槽1から送られてくる重合混合液
スラリーの他にn−ヘキサン25/hr、エチレンガス18N
m3/hrの速度で連続的に導入した。また、水素ガスを適
量加えて重合槽2の気相部の組成(モル比)をエチレン
1000に対して、水素30になるように調節した。重合反応
によって生成したスラリーを重合槽2の下部よりタイマ
ー弁を用いて間欠的に抜出し、重合槽2のレベルを120
に保った。重合槽2の重合温度は65℃、重合圧力は4.
1Kg/cm2Gであった。得られたポリマーと溶媒は遠心分離
機によって分離し、N2気流下で乾燥を行った。
得られたポリオレフィン組成物の各成分の[η]およ
び含有率、および組成物の[η]、溶融トルクTを以下
の方法で測定した。
[η]:135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度 [η]=5.5dl/g 溶融トルク(T):JSRキュラスとメーター(今中機械工
業製)を用い、温度240℃、圧力5kg/cm2、振幅±3゜、
振動数6CPMで測定した溶融状態の試料のトルクである。
T=1.3Kg・cm 本発明においては実施例1に記載した条件で射出成形
した試験片を用いて、以下に示した方法に従って物性の
評価を行った。
動摩擦係数:松原式摩擦摩耗試験機(東洋ボールドウィ
ン製)を用いて、圧縮荷重7.5kg/cm2、すべり速度12m/m
inの条件下30分間行い摩擦係数を求めた。相手材はSUS3
04、摺動面粗度は6Sに加工して用いた。
摩擦摩耗試験:松原式摩擦摩耗試験機械(東洋ボールド
ウィン製)を用いて圧縮荷重3.4kg/cm2、すべり速度30m
/min、の条件下168時間行い摩耗係数(×10-10cm3/kg・
m)を求めた。相手材はSUS304、摺動面粗度は6Sに加工
して用いた。
実施例1 [η]が5.5dl/g、密度が0.968g/cc、溶融トルクが1.
3kg・cmの前記オレフィン樹脂組成物100重量部と、液体
潤滑材として数平均分子量が1300、100℃における動粘
度が100cstのエチレン−α−オレフィン供重合合成油
(ルーカント、HC−100:三井石油化学工業(株)製)2
重量部とをヘンシェルミキサーで混合し、単軸押出機で
ペレタイズ後、射出成形機((株)東芝製IS−50)を用
いて以下の条件で角板(130×120×2mm)を成形後切削
して試験片を作成した。
射出成形条件 シリンダー温度(℃):200/230/270/270 射出圧力(kg/cm2):1次/2次=1000/800 スクリュー回転数(rpm):97 金型温度(℃):水冷(27℃) 実施例2 実施例1で用いた潤滑油の充填量を10重量部にした以
外は実施例1と同様に実施した。
比較例1 実施例1で用いた潤滑油の充填量を0.3重量部にした
以外は実施例1と同様に実施した。
潤滑油の充填量が少ないため摺動性向上に著しい効果
が認められなかった。
比較例2 実施例1で用いた潤滑油の充填量を15重量部にした以
外は実施例1と同様に実施した。潤滑油の充填量が多過
ぎるため角板表面に潤滑油のしみ出しが激しく又曲げた
強度の低下が著しく実用的でないことが判った。
実施例3 固体潤滑材として炭素分が99.0%、平均粒径が6μ
m、比表面積が15N2m2/g、かさ密度が0.18g/ccの黒鉛
(ACP#1000:日本黒鉛工業(株)製)2重量部を用いた
以外は実施例1と同様に実施した。
実施例4 実施例3で用いた黒鉛の充填量を10重量部にした以外
は実施例1と同様に実施した。
比較例3 実施例3で用いた黒鉛の充填量を0.3重量部にした以
外は実施例1と同様に実施した。
黒鉛の充填量が少ないため、摺動性向上に著しい効果
が認められなかった。
比較例4 実施例3で用いた黒鉛の充填量を15重量部にした以外
は実施例1と同様に実施した。
黒鉛の充填量が多過ぎるため摩耗係数が大きくなり、
実用的でないことが判った。
比較例5 潤滑剤未充填の前記オレフィン樹脂組成物を用いた以
外は実施例1と同様に実施した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C10M 111/04 107:04 103:02) C10N 40:02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】135℃のデカリン溶液中で測定した極限粘
    度[η]が10乃至40dl/gである超高分子量ポリエチレン
    15乃至40重量%と前記測定条件での極限粘度[η]が0.
    1乃至5dl/gである低分子量乃至高分子量ポリエチレン60
    乃至85重量%とから成り、且つその極限粘度が3.5乃至1
    5dl/g、溶融トルクTが4.5kg・cm以下である樹脂組成物
    に、該樹脂組成物100重量部当たり1乃至10重量部の割
    合で、 合成炭化水素油、ポリグリコール油、ポリフェニルエー
    テル油、エステル油、リン酸エステル油、ポリクロロト
    リフルオロエチレン油、フルオロエステル油、塩素化ビ
    フェニル油及びシリコーン油からなる群より選ばれる少
    なくとも1種の液体潤滑剤、及び/又は 黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、二硫化タングス
    テン、酸化鉛、ガラス粉及び金属石ケンからなる群より
    選ばれる少なくとも1種の固体潤滑剤 を配合して成る組成物を射出成形して成る摺動材。
  2. 【請求項2】前記超高分子量ポリエチレンと低分子量乃
    至高分子量ポリエチレンから成る樹脂組成物が、 エチレンを主体とする単量体を重合触媒の存在下、且つ
    水素の非存在下に重合させて主として超高分子量ポリエ
    チレンを生成させる前重合工程と、触媒、及び水素の存
    在下に重合させて主として低分子量乃至高分子量ポリエ
    チレンを生成させる後重合工程とから成る多段重合法に
    より得られたものである請求項1記載の摺動材。
  3. 【請求項3】前記液体潤滑剤がエチレン含有量が20乃至
    80モル%で、数平均分子量が500乃至10000であるエチレ
    ン−α−オレフィン共重合合成潤滑油である請求項1記
    載の摺動材。
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