JP2674699B2 - 酢酸エチルの製法とその製造装置 - Google Patents
酢酸エチルの製法とその製造装置Info
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Description
の製造装置にかかわり、特に、触媒の存在下にエチレン
と酢酸とを付加反応し、高収率かつ高効率で酢酸エチル
を製造する製法、およびその製法に用いる反応装置に関
する。
に、エチレンと酢酸とを気相で付加反応させ、高収率で
酢酸エチルを製造する製法を提出した(特開平4−13
9149号公報)。この製法は、エチレンと酢酸とを気
相でヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩からなる固体触
媒と接触させる工程からなるものであって、この製法を
工業的に実施する場合には、普通、図2に示すようなシ
ェル−チューブ型の反応器を用いた等温型反応装置が採
用される。図2は上記の等温型反応装置の一例を示すも
ので、この装置は、エチレンと酢酸との混合ガス1を反
応開始温度に加熱する加熱器2と、加熱された混合ガス
1を固体触媒と接触させて反応させるシェル−チューブ
型反応器30とからなっている。このシェル−チューブ
型反応器30は、多管式熱交換器の構造を有するもので
あって、並列する内管群40に粒状の固体触媒を充填
し、この内管群40の一端部から他端部へ混合ガス1を
流通させ、この間に接触反応したガス50を流出させる
ようになっている。エチレンと酢酸との付加反応は発熱
反応であるから、反応熱を除去し系を等温に保つため
に、内管群40を構成する各内管は、周囲から冷却用媒
体6の導入によって冷却され、反応好適温度に維持され
る。
ブ型反応器30は構造が複雑で設備費がかさむので、よ
り単純な構造の装置が求められる。またシェル−チュー
ブ型反応器の内管は、熱交換効率を高めるために細長い
形状とされているが、一方、この種の接触反応において
は一般に運転中に固体触媒が漸次凝結を起こし、触媒活
性を低下させるとともにガスの流通を阻害し、空間速度
(SV値)を低下させるものであるので、一定の運転期
間後には触媒を交換する必要があり、この際、上記の細
長い管内で凝結を起こした廃触媒を取り出すには多くの
労力と時間を費やすことになり、装置の保守管理に多大
な経費がかさむ。したがって、この装置を大規模な製造
工程に採用することは困難である。
に断熱型反応器を用いることができれば、断熱型反応器
は普通単管式であるから構造が簡単で安価であり、かつ
廃触媒の取り出しも容易になると考えられる。しかし、
断熱型反応器を通常の方法で用いると、反応熱の制御が
できないため反応器内の触媒層が運転中に次第に過熱状
態となって、望ましくないエチレンの重合や分解などの
副反応が起こり、酢酸エチルへの転化率を低下させるの
みならず、触媒上にカーボン質が析出して触媒活性が低
下し、触媒活性が低下することによってさらに副反応が
促進されるという、いわゆる「暴走反応」が起こる可能
性があって、この方法は採用できない。本発明は上記の
課題を解決するためになされたものであり、その目的は
断熱型反応器を用いて、高収率、高効率で酢酸エチルを
製造することができる製法、およびその製造装置を提供
することにある。
と酢酸とを含む混合ガスを少なくとも2段の直列する断
熱触媒層に順次流通させて反応せしめ、かつ上記の前後
する2段の断熱触媒層の間に冷却部を設け、前段の断熱
触媒層における反応熱によって昇温した混合ガスを、こ
の冷却部で冷却した上で後段に流通する酢酸エチルの製
法を提供することによって解決できる。上記において、
後段の断熱触媒層における反応温度の上昇が30℃以下
となるように、前記冷却部で混合ガスを冷却することが
好ましい。上記の反応においては、各断熱触媒層におけ
る酢酸エチル転化率の合計が50〜90%となるよう
に、流通する混合ガスの空間速度(SV値)を調節する
ことが好ましい。また本発明は、上記混合ガスを流通し
て反応せしめる断熱触媒層を収容した少なくとも2段の
直列する断熱型反応器と、この前後する2段の断熱型反
応器の間に挿入され、前段の断熱型反応器において反応
熱によって昇温した混合ガスを冷却する冷却器とを有し
てなる酢酸エチルの製造装置を提供するものである。上
記において、この冷却器は、後段の断熱型反応器におけ
る出口温度の上昇を30℃以下に抑えるものであること
が好ましい。この製造装置は、各断熱型反応器における
酢酸エチル転化率の合計が50〜90%となるように、
流通する混合ガスの空間速度(SV値)を調節する手段
が設けられたものであることが好ましい。
あるから、実用的な転化率で酢酸エチルを得ようとする
場合、通常の断熱触媒層を用いると、反応熱によって系
内温度が次第に上昇し、許容限度を越えるとついに副反
応や暴走反応などが起こるようになる。このとき、必要
量の触媒を含む断熱触媒層を、ガス流通方向に適宜分割
し、その間に冷却部を設けて前段の触媒層において反応
熱によって昇温した混合ガスを反応系の中間部で冷却す
るようにすれば、この付加反応における反応熱は比較的
小さいものであるので、反応系全体を通じて温度が許容
限度を越えて過大となることを防ぐことができる。
度の上昇が過大となることを防ぐには、その入口におけ
る混合ガスの温度を制御することが有効である。断熱触
媒層における温度の上昇が30℃を越えると副反応、カ
ーボン質の析出、暴走反応など望ましくない現象が現れ
ることがわかったので、後段の断熱触媒層における反応
温度の上昇が30℃以下となるように冷却部で混合ガス
を冷却することが、酢酸エチル転化率の向上にとって有
効となる。
エチルへの転化率の合計が50〜90%となるように、
流通する混合ガスの空間速度(SV値)を調節すると、
反応系全体を好ましい一定温度範囲に維持しながら空時
収率(STY)を高めることができる。
用いて詳しく説明する。図1は本発明の装置の一実施例
を示している。この酢酸エチル製造装置は、エチレンと
酢酸との混合ガス1を初期反応温度に加熱して断熱反応
系に導入する加熱器2と、3段の直列する断熱型反応器
3、13、23と、それぞれ前後する2段の断熱型反応
器(3−13)(13−23)の間に挿入された冷却器
12、22とを有してなるものである。この断熱型反応
器3、13、23はそれぞれ、混合ガス1を気相で流通
して反応せしめるヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩か
らなる固体触媒を含む断熱触媒層4、14、24を収容
している。また、冷却器12、22は、それぞれ前段の
断熱型反応器3、13において反応熱によって昇温した
混合ガスを冷却するようになっている。
造する方法の実施例を述べる。まずエチレンと酢酸との
混合ガス1を加熱器2に供給する。加熱器2はこの混合
ガス1を、触媒の存在下で反応が円滑に開始される温度
(初期温度)に加熱する。加熱された混合ガスは、次に
最初の断熱型反応器3に導入される。この反応器はヘテ
ロポリ酸またはヘテロポリ酸塩からなる固体触媒を充填
した断熱触媒層4を収容しているから、混合ガスは、一
部がここで反応して酢酸エチルに転化するとともに、発
熱して温度が初期温度以上に上昇する。この昇温して流
出した混合ガス5は、次に、前後する2段の断熱触媒層
(4−14)の間に設けられた冷却部(冷却器12)に
よって冷却される。冷却された混合ガスは、次いで後段
の断熱触媒層14に流通され、ここで未反応のエチレン
と酢酸の一部が酢酸エチルに転化される。この断熱触媒
層14から流出した昇温された混合ガス15は、前後す
る2段の断熱触媒層(14−24)の間に設けられた冷
却部(冷却器22)によって冷却され、次いで後段の断
熱触媒層24に流通され、ここでも未反応で残留するエ
チレンと酢酸の一部が酢酸エチルに転化され、生成ガス
25として回収される。
は、いずれの製法によるものであってもよく、特に限定
されるものではない。この混合ガス1には、触媒の活性
を維持するために水蒸気を添加することが好ましい。ま
た、気相の酢酸には必然的に水蒸気が含まれている。本
発明の装置に導入する混合ガスの好ましい供給量は、装
置内の全触媒充填量に対して空間速度(SV値)で、1
000〜2800/時、さらに好ましくは1400〜2
300/時程度である。また、この装置の圧力は、系内
のガスが、水分も含めて気相状態を維持し、しかも充分
な反応温度と反応速度とが得られるように選定される。
一般には5〜12気圧で運転することが好ましい。混合
ガス1を加熱器2で加熱する好適な初期温度は例えば1
30〜170℃である。130℃未満では断熱型反応器
3における反応が充分に進行せず、170℃を越えると
副反応が増加するので好ましくない。
酸またはヘテロポリ酸塩からなる固体触媒が充填されて
形成されている。このヘテロポリ酸の例としては、リン
モリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン
酸などを挙げることができる。また、ヘテロポリ酸塩の
例としては、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、
ケイタングステン酸のセシウム塩、ルビジウム塩、タリ
ウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩など、またはこれ
らの組合せを挙げることができる。特に上記のヘテロポ
リ酸塩を用いることが好ましい。使用される触媒の形態
は断熱触媒層を形成し得るものであればいずれでもよ
く、例えば、球形、円柱状の押出形、顆粒、ペレット、
粒形、打錠形などが使用できる。しかし、触媒強度が大
きく、かつ反応器への均一な充填が可能である球形、押
出形などが特に好ましい。
それぞれ後段の断熱触媒層14、24における反応温度
の上昇が30℃以下となるように混合ガスを冷却するこ
とが好ましい。これは、上記の反応条件においては各冷
却部から流出するガスの温度が140〜180℃となる
ように調節することによって達成される。140℃未満
では酢酸エチルへの転化率が著しく低下し、180℃を
越えると、断熱触媒層における反応が過激になって出口
温度が30℃を越えて上昇するようになる。こうなる
と、触媒のいわゆる暴走反応が起こって温度が急上昇す
る可能性が増大するとともに、例えば副生物であるエチ
ルアルコールの発生率がこの断熱触媒層のガス導入部に
比べガス流出部では1.5倍以上に増加することにもな
る。
同様な構成を有するものであることが好ましい。ここで
「同様な」とはエチレンと酢酸とを反応させて酢酸エチ
ルを生成する機能において同様であるという意味であっ
て、その構造、形状や、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ
酸塩からなる固体触媒の種類、充填量、充填密度、その
他の充填物の有無、供給ガスに対する空間速度、反応開
始温度などは互に同じであっても異なっていてもよい。
連結されている。しかしその数は2段以上であればよ
く、例えば3〜5段であることが好ましい。この段数
は、各断熱触媒層4、14、24、…における温度上昇
の程度と各冷却部(冷却器12、22、…)におけるガ
ス温度とを考慮して、断熱触媒層全体を所望の一定温度
範囲に保つとともに、前記の空間速度(SV値)におい
て、装置全体を通じての酢酸エチル転化率が50〜90
%となるように選定されることが好ましい。
における酢酸の酢酸エチル転化率は、特に限定されるも
のではないが、ほぼ等しくすれば制御が容易であるばか
りでなく、副反応を抑えて高い合計転化率を得るうえで
も好ましい。この装置における合計の転化率は、50〜
90%となるようにSV値を調節することが好ましい。
転化率は一般に高いほうが好ましいと考えられるが、9
0%を越える条件では反応速度が低下し、また逆反応が
増大するなどによって酢酸エチルの空時収率(STY)
が低下し、これを補うには極端に大量の触媒量を要する
ことになって好ましくない。この観点から好ましい転化
率は約70%である。この転化率は、本発明の一定の製
造装置において、SV値を制御することによって達成で
きる。
触媒層を収容する断熱型反応器3、13、23、…の形
式は特に限定されるものではないが、断熱壁を有する有
蓋筒体であって、一端部にガス導入孔、他端部にガス流
出孔を有し、かつ筒内中央部に断熱触媒層が収容されて
いるものが好ましい。特に、触媒の交換が容易なよう
に、断熱触媒層が、取り外し自在な目皿で両端部を支持
された触媒堆積物からなるものが好ましい。この断熱型
反応器は縦または横のいずれに設置されてもよいが、縦
型のほうが設置面積が小さくてすむなどの点で有利であ
る。
の形態は二重管式、多管式、螺旋管式、フィン付き管
式、層状、など、通常のガス熱交換器として知られてい
るものはいずれも使用可能であり、また、その冷媒も、
そこを通過するガスを所定の温度まで冷却できるもので
あれば、空気、水、オイル、揮発性冷媒など、いずれも
使用可能である。また、分離した冷却器を用いるのでな
く、断熱型反応器のガス導入孔またはガス流出孔の近傍
の外周に冷媒を通すジャケットなどを設け、これによっ
て導入ガスを冷却するようにした冷却部が設けられてい
てもよい。さらに、細長い1本の断熱型反応器に収容す
る断熱触媒層を前後2段に分割し、その中間の断熱型反
応器の部分に多管式などの冷却部が設けられた装置を用
いることもできる。しかし、熱交換が行われる壁面で酢
酸や水が凝縮しこれが触媒と接触すると触媒を劣化させ
るので、冷却部は冷却器として断熱型反応器から分離さ
れていることが好ましく、さらに冷媒の温度は、冷却機
内を流通する混合ガスの露点を越えるものとすることが
好ましい。冷媒として加圧温水を用いると、この点で好
ましいばかりでなく、熱交換後に温度が上昇した分は水
蒸気として回収することができるので有利である。
合計が50〜90%となるようにSV値を調節する手段
は、この製造装置の各断熱型反応器の入出口温度、およ
びその出口における混合ガスの酢酸エチル濃度を運転期
間中連続的に測定する測定機と、この最終の断熱型反応
器出口における濃度が設定された値に維持されるよう
に、各冷却部出口における温度を制御するとともに、装
置全体を通じてのガス流速を自動的に制御する制御機構
とを有するものであることが好ましい。
に接続して酢酸エチル製造装置を構成した。それぞれの
反応器を、反応ガスの流通方向に順次、第一反応器、第
二反応器、第三反応器と称する。このそれぞれの反応器
の頂部には温度調節部を設け、またその下段には触媒を
充填して断熱触媒層とした。 (触媒)この実施例に用いた触媒は、リンタングステン
酸のセシウム塩からなる直径5mmの打錠型のもであ
る。この触媒は次のようにして調製した。300mlフ
ラスコ中、市販のリンタングステン酸試薬(和光純薬
製)150g(約0.0438モル)と純水60mlと
を混合し溶解した。別に、硝酸セシウム(CsNO3 )
21.5g(0.110モル)を水に溶解し、これを滴
下ロートを用いて攪拌しながら、上記リンタングステン
酸水溶液中に滴下した。滴下すると同時にリンタングス
テン酸セシウム塩の白色微粒結晶が析出した。このフラ
スコを湯浴に漬け、水分を蒸発させ、残留した塊状物を
シャーレにとって乾燥器にいれ、空気中、150℃で6
時間乾燥した。得られた乾燥物を粉砕し、打錠機を用い
て直径5mmの錠剤とした。
応器において以下の通り反応を行った。 (第一反応器)圧力9.3atmの条件下に、エチレ
ン、酢酸、水および不活性ガスをそれぞれ80.0:
6.7:3.0:10.3モル比で混合し、231g/
hrの流量で第一反応器の温度調節部に流通して158
℃に加熱し、次いで上記触媒を30cm3 充填した触媒
層に頂部から流通して反応させた。この反応器における
酢酸エチルの生成量は、8.8g/hrであった。ま
た、触媒層の出口温度は173℃であった。
合ガスを第二反応器の温度調節部に流通して160℃に
冷却し、次いで上記触媒を40cm3 充填した触媒層に
頂部から流通して反応させた。この反応器における酢酸
エチルの生成量は、11.4g/hrであった。触媒層
の出口温度は179℃であった。
合ガスを第三反応器の温度調節部に流通して163℃に
冷却し、次いで上記触媒を40cm3 充填した第三反応
器の触媒層に頂部から流通して反応させた。この反応器
における酢酸エチルの生成量は、10.3g/hrであ
った。触媒層の出口温度は179℃であり、出口圧力は
8.9atmであった。
におけるエチレンと酢酸との付加反応の通算の反応率を
求めると、酢酸の転化率は66.1%、また、エチレン
の酢酸エチルへの選択率は94.3%であった。なお、
通算でのSV値は1730/hrであり、空時収率(S
TY)は277g(酢酸エチル生成量)/l(触媒量)
/hrであった。
昇温した混合ガスを、冷却部で冷却した上で後段の断熱
触媒層に流通させることによって、接触反応中に発生す
る反応熱が逐次効果的に除去され、一定範囲の反応温度
が維持されることによって酢酸エチルが高収率かつ高効
率で製造できたことを示している。
に同様に調製された触媒を用い、以下の通り反応を行っ
た。 (第一反応器)圧力9.3atmの条件下に、エチレ
ン、酢酸、水および不活性ガスをそれぞれ80.0:
6.8:3.1:10.1モル比で混合し、238g/
hrの流量で第一反応器の温度調節部に流通して159
℃に加熱し、次いで上記触媒を30cm3 充填した触媒
層に頂部から流通して反応させた。この反応器における
酢酸エチルの生成量は、9.1g/hrであった。ま
た、触媒層の出口温度は175℃であった。 (第二反応器)第一反応器から流出した混合ガスを冷却
することなしに、第一反応器の出口温度のまま第二反応
器の、上記触媒を40cm3 充填した触媒層に頂部から
流通して反応させた。このとき、第二反応器の出口温度
は上昇し続けた。第二反応器の出口温度が226℃に達
したとき混合ガスの流通を止め、不活性ガスで触媒層を
置換した。冷却後、反応器を解放して触媒を観察したと
ころ、第二反応器の触媒上にはカーボン質の析出が生じ
ていて、触媒劣化が認められた。上記の比較例の結果
は、混合ガスの適切な冷却を断熱型反応器間で行わなけ
れば、暴走反応を引き起こすことを示している。
2段の断熱触媒層の間に冷却部を設け、これによって前
段の断熱触媒層における反応熱で昇温した混合ガスを冷
却するものであるので、混合ガスの温度が常に一定範囲
内に維持され、温度の上昇による副反応が防止され、高
い転化率で酢酸エチルを製造することができる。このと
き、後段の断熱触媒層における反応温度の上昇が30℃
以下となるように上記冷却部で混合ガスを冷却すれば、
暴走反応が防止されて酢酸エチル転化率が改善されると
ともに、触媒へのカーボン質析出が防止されて触媒寿命
が延長できる。
スを流通して反応せしめる断熱触媒層を収容した少なく
とも2段の直列する断熱型反応器と、この前後する2段
の断熱型反応器の間に挿入され、前段の断熱型反応器に
おいて昇温した混合ガスを冷却する冷却器とを有してな
るものであるので、接触反応中に発生する反応熱を反応
の中間段階で逐次効果的に除去することができ、簡単な
構造の断熱型反応器を使用するにもかかわらず、副反応
などが抑制され、触媒寿命も延長することができる。こ
の冷却器が、後段の断熱型反応器における出口温度の上
昇を30℃以下に抑えるものであれば、その断熱型反応
器におけるカーボン質の析出や暴走反応などが防止さ
れ、効率よく円滑に酢酸エチルを製造することができ
る。以上述べたように、本発明の断熱型反応器は、従来
のシェル−チューブ型反応器などに比べ構造が簡単なの
で設備費が安価となるばかりでなく、触媒の充填、交換
がきわめて容易であるので保守管理費も大幅に低減する
ことができる。
実施例を示す工程図。
一例を示す工程図。
2…冷却部。
Claims (4)
- 【請求項1】 酢酸エチルを製造するに際して、エチレ
ンと酢酸とを含む混合ガスを、気相で、ヘテロポリ酸ま
たはヘテロポリ酸塩からなる固体触媒を含む少なくとも
2段の直列する断熱触媒層に順次流通させて反応せし
め、かつ、上記の前後する2段の断熱触媒層の間に冷却
部を設け、前段の断熱触媒層における反応熱によって昇
温した混合ガスを、この冷却部で冷却した上で後段に流
通することを特徴とする酢酸エチルの製法。 - 【請求項2】 請求項1記載の酢酸エチルの製法におい
て、後段の断熱触媒層における反応温度の上昇が30℃
以下となるように、上記冷却部で混合ガスを冷却するこ
とを特徴とする酢酸エチルの製法。 - 【請求項3】 酢酸エチルの製造装置であって、 エチレンと酢酸とを含む混合ガスを流通して反応せしめ
るヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩からなる固体触媒
を含む断熱触媒層を収容した少なくとも2段の直列する
断熱型反応器と、 この前後する2段の断熱型反応器の間に挿入され、前段
の断熱型反応器において反応熱によって昇温した混合ガ
スを冷却する冷却器とを有してなる酢酸エチルの製造装
置。 - 【請求項4】 請求項3記載の酢酸エチルの製造装置で
あって、上記冷却器が、後段の断熱型反応器における出
口温度の上昇を30℃以下に抑えるものである酢酸エチ
ルの製造装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP5159730A JP2674699B2 (ja) | 1993-06-29 | 1993-06-29 | 酢酸エチルの製法とその製造装置 |
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JPH0717907A JPH0717907A (ja) | 1995-01-20 |
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Families Citing this family (4)
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GB9815135D0 (en) * | 1998-07-14 | 1998-09-09 | Bp Chem Int Ltd | Ester synthesis |
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1993
- 1993-06-29 JP JP5159730A patent/JP2674699B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Also Published As
Publication number | Publication date |
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