JP2674684B2 - 熱膨張率測定方法 - Google Patents

熱膨張率測定方法

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JP2674684B2
JP2674684B2 JP6288801A JP28880194A JP2674684B2 JP 2674684 B2 JP2674684 B2 JP 2674684B2 JP 6288801 A JP6288801 A JP 6288801A JP 28880194 A JP28880194 A JP 28880194A JP 2674684 B2 JP2674684 B2 JP 2674684B2
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毅 松本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属、黒鉛材料などの
導電性材料の高温での熱膨張率測定方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】これまで、固体の熱膨張率測定は、以下
のもので代表される方法によって行われてきた。その方
法の一つは光干渉法で、この光干渉法では、温度一定の
高温炉の中に試料を置き、この試料の両端面に入射させ
たレーザー光を干渉計に導き、この両端面での反射光の
位相差の変化と光の波長から、熱膨張による試料の寸法
の変化を測定して熱膨張率を求めている。この方法は、
光干渉を用いるため非常に高い精度で熱膨張率を求める
ことができるが、試料表面が鏡面であるか、若しくは表
面に反射鏡を取り付ける必要がある。また、精密な光学
系を必要とするため高温での測定には適していない。
【0003】押棒式熱膨張率測定方法では、温度一定の
高温炉の中に置かれた試料に石英などで作られた押棒を
接触させ、その押棒と、それと材質が同じで試料近傍に
置かれた参照棒の伸びの差を測定して、熱膨張率を求め
ている。この方法は、測定のための装置の構造が簡単な
ため、標準的な熱膨張率測定方法となっているが、測定
精度は余り高くはない。また、高温では試料温度の不均
一に起因した測定誤差が生じ易い。これらの他にも、測
微顕微鏡法、X線回折法、静電容量法、光/機械てこ式
などの数多くの測定方法が存在するが、いずれも高温炉
を用いて試料を加熱し、一定温度に保っているために、
高温では試料温度の不均一による測定誤差が大きくなり
易く、また測定温度を変化させていくつかの測定を行う
には長い時間を要する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、導電性材料の熱膨張率を、室温から超高温に至る広
い温度範囲で短時間に精度良く測定可能にする方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段・作用】上記課題を解決す
るための本発明の熱膨張率測定方法は、基本的には、断
面積一定の導電性ある試料の長さ方向単一のパルス的
な電流を流して試料を短時間のうちに高温まで通電加熱
し、この加熱の間に、試料の広い温度範囲での熱膨張率
を求めることを特徴とし、この試料の熱膨張率の具体的
な測定手段としては、上記加熱の間に試料の温度を測定
すると共に、試料側面に間隔を置いて固定されて試料と
共に移動する一対の可動電圧プローブ、及び一定の間隔
に保たれて試料側面を摺動する一対の固定電圧プローブ
に生じる電位差の違いを測定し、あるいは、試料側面に
間隔を置いて固定されて試料と共に移動する一対のプロ
ーブの移動量を測定し、さらには、上記加熱を行うに際
して少なくとも試料の一端を可動電極で保持させ、この
加熱の間の可動電極の移動量を測定して熱膨張率を求め
るものである。
【0006】更に具体的に説明すると、本発明による試
料の熱膨張率測定に際しては、図1に示すように、真空
又は不活性ガスで満たされた試料容器5の内部で、平板
状または円柱状の断面積一定の試料1の両端を一対の電
極2a,2bによって保持させる。一方の電極2aは固
定的に設けられた固定電極であるが、他方の電極2bは
熱膨張を逃がすために水平方向に可動な構造とした可動
電極であり、ばねによって常に弱い一定の張力を試料1
に与えるようにしている。
【0007】試料1は、上記電極2a,2bを介してコ
ンデンサーバンク8と電流スイッチ9に接続され、それ
らを用いて試料1にパルス的な大電流を短い時間だけ供
給することにより、短時間のうちに室温から極めて高い
温度にまで加熱される。加熱中の試料1の温度は、放射
温度計7により試料容器5の外部から光学窓6を通して
測定、記録される。また、通電回路に直列に挿入した標
準抵抗10に生じる電位差から通電電流も同時に測定、
記録される。
【0008】試料1の側面には、加熱中の試料の長さ方
向の電位差を測定するため、一対の電圧プローブ3を接
触させている。電圧プローブ3の試料への接触方法には
二通り存在し、一つは可動電圧プローブと呼ばれるもの
で、可動な電圧プローブの先端を試料1の長さ方向に隔
てられた二点で試料表面に固定するものである。この場
合、電圧プローブ3の間隔は試料の熱膨張に伴って変化
する。
【0009】もう一つの方法は固定電圧プローブと呼ば
れるもので、試料1上に接触している電圧プローブ3の
間隔は常に一定に保たれる。この場合、電圧プローブの
先端は試料1の熱膨張に伴って試料上を摺動する。ま
た、これらの可動電圧プローブと固定電圧プローブの両
者を併用する場合には、上記電圧プローブ3を可動電圧
プローブとし、同時に固定電圧プローブ4を試料の他の
側面に接触させることもできるが、一対の電圧プローブ
3の試料への接触方法を可動と固定の両方式に変えて、
二回試料を加熱することによって二種類の電位差を測定
することもできる。
【0010】熱膨張率の測定に際しては、上記試料1に
対してその両端の電極2a,2bを通して試料の長さ
単一のパルス的な電流を流し、試料を短時間(例え
ば、1秒以内)のうちに高温まで通電加熱するが、その
際の可動電圧プローブの温度Tでの間隔及び室温での間
隔を、それぞれLm(T) ,Lm0とし、熱膨張による可動
電圧プローブの間隔の変化を△Lと置くと、無次元化さ
れた試料の熱膨張は(1)式で表される。 △L(T)/Lm0=Lm(T) /Lm0−1 (1) 試料の断面積が長さ方向に一定かつ試料の電気抵抗率の
分布が一様であると仮定した場合、固定及び可動電圧プ
ローブ間の試料の電気抵抗を、それぞれRf ,Rm 、固
定電圧プローブの間隔をLf と置くと、上記Lm
(2)式のように書くことができる。 Lm(T) =Lfm(T) /Rf(T) (2)
【0011】そして、(1)式と(2)式より、
【数1】 を得る。
【0012】また、試料断面積をA、電極間距離をL、
電極間の試料の電気抵抗をRとおくと、試料の電気抵抗
率は(RA/L)で表されるので、Rm とRf 、及び室
温での試料の寸法から計算された見かけの試料の電気抵
抗率をそれぞれρm 及びρfと置くと、上記(3)式を
次の(4)式で書き表すこともできる。 △L(T)/Lm0=ρm(T) /ρf(T) −1 (4)
【0013】さらに、固定及び可動電圧プローブによっ
て測定される電位差をそれぞれVf,Vm 、これらの電
位差を測定した際の通電電流をそれぞれIf ,Im (可
動及び固定電圧プローブを同時に用いる場合にはIf
m )と置くと、(3)式はまた(5)式のように書き
表せる。
【数2】
【0014】熱膨張率αは、このようにして求められた
熱膨張を温度で微分することによって、(6)式で与え
られる。
【数3】
【0015】一方、図2に示すように、可動プローブ3
の移動量を直接測定して熱膨張を求めることも可能であ
る。この場合、プローブ間の電位差を測定する必要はな
く、非導電性のプローブであっても構わない。そして、
室温状態を零とした一対のプローブ3の試料長さ方向へ
の移動量を、それぞれ△L1 ,△L2 と置くと、試料の
熱膨張は(7)式で表される。 △L(T)/Lm0=(△L1(T) −△L2(T) )/Lm0 (7) プローブの移動量は、プローブ自身、またはそれを支え
る支柱に取り付けられたひずみゲージや変位センサ、あ
るいは光干渉計により測定すればよい。
【0016】また、試料への通電に用いられる一対の電
極のうち一方の可動電極2bの移動量△Le を前述のプ
ローブと同様の方法で測定して、(8)式により熱膨張
を求めることも可能である。 △L(T)/Lmo=△Le(T) /Le0−1 (8) ここで、Le0は室温での電極の間隔である。この場合、
試料1の電極に近い部分では、温度の低い電極への熱伝
導により試料に著しい温度の不均一が生じる。しかし、
極めて短い時間に急速に試料1を通電加熱するため、温
度が不均一な領域は試料全体に比べて十分小さく、熱膨
張測定に及ぼす影響は小さいと考えられる。
【0017】
【実施例】図3に、本発明に基づいて熱膨張率測定を行
った装置における試料周辺の見取り図を示す。試料1
は、厚さ0.1〜1mm、幅10mm、長さ50mm程
度の大きさの平板状で、試料容器内部でその両端を電極
2a,2bにより水平に保持した。これらの電極のう
ち、一方の電極2aは固定電極、他方の電極2bは試料
の熱膨張を逃がすための可動電極であり、ばね2cによ
って試料1に一定の弱い張力を与えている。
【0018】試料1の表面には、先の尖った一対の電圧
プローブ3を、ばねを用いて一定の力で接触させた。こ
の電圧プローブを可動電圧プローブとして用いる場合に
は、試料表面に加工した深さ0.3mm程度のくぼみに
電圧プローブの先端を入れ、電圧プローブ3を固定して
いるねじを緩めて、電圧プローブが試料1の熱膨張に伴
って移動できるように設定した。一方、電圧プローブ3
を固定電圧プローブとして用いる場合には、電圧プロー
ブ3の固定ねじを固く締めて、試料表面のくぼみがない
部分に電圧プローブ3の先を一定間隔で接触させた。
【0019】試料1は、コンデンサーバンクとFETを
用いた半導体スイッチにより、1秒以内の短い時間だけ
パルス的な大電流を流すことにより、室温から2800
℃に至る温度まで通電加熱した。通電加熱状態における
通電電流、電圧プローブ間の電位差、及び光学窓6を通
して放射温度計7によって測定された試料表面中央の温
度は、一時的にトランジェントメモリに記録された後、
パーソナルコンピュータに転送され、これらのデータか
ら試料1の熱膨張率を計算した。
【0020】図4に、移動及び固定電圧プローブを用い
て測定された黒鉛材料(POCOAXM−5Q1グラフ
ァイト)の見かけの電気抵抗率を示す。この二つの電気
抵抗率の違いが試料の熱膨張による長さの変化を示して
いる。図5には、これらのデータから(4)式と(6)
式を用いて計算された試料の熱膨張、及び熱膨張率を示
す。この測定で、800℃から2800℃の温度範囲で
試料の熱膨張を比較的小さなばらつきで測定できること
が明らかにされた。このデータから計算された試料の熱
膨張率は、ばらつきはやや大きいが、平均して約9×1
-6-1であった。
【0021】
【発明の効果】以上に詳述した本発明の熱膨張率測定方
法によれば、室温から超高温に至る広い温度範囲での導
電性材料の熱膨張率を、従来の方法よりもはるかに短い
時間(1分以下)で測定することができる。また、試料
のみを短時間に均一に通電加熱するので、大がかりな高
温炉等を必要とせず、試料の温度の不均一に起因する測
定誤差を最小限に抑えることができる。さらに、試料の
電気抵抗率を用いて熱膨張率を測定する方法では、熱膨
張による試料の寸法変化を測定する必要がないので、測
定装置の構造が簡単になるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱膨張率測定方法の原理を説明す
るための説明図である。
【図2】本発明における電圧プローブ、可動電極の移動
量についての説明図である。
【図3】本発明の実施例における試料周辺の見取り図で
ある。
【図4】本発明に基づいて測定された黒鉛試料の見かけ
の電気抵抗率を示すグラフである。
【図5】本発明に基づいて測定された黒鉛材料の熱膨張
及び熱膨張率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 試料 2a 固定電極 2b 可動電極 3 電圧プローブ 4 固定電圧プローブ 5 試料容器 6 光学窓 7 放射温度計

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】断面積一定の導電性ある試料の長さ方向
    単一のパルス的な電流を流して試料を短時間のうちに
    温まで通電加熱し、この加熱の間に、試料の温度を測定
    すると共に、試料側面に間隔を置いて固定されて試料と
    共に移動する一対の可動電圧プローブ、及び一定の間隔
    に保たれて試料側面を摺動する一対の固定電圧プローブ
    に生じる電位差の違いを測定し、試料の広い温度範囲で
    熱膨張率を求めることを特徴とする熱膨張率測定方
    法。
  2. 【請求項2】断面積一定の導電性ある試料の長さ方向
    単一のパルス的な電流を流して試料を短時間のうちに
    温まで通電加熱し、この加熱の間に、試料の温度を測定
    すると共に、試料側面に間隔を置いて固定されて試料と
    共に移動する一対のプローブの移動量を測定し、試料の
    広い温度範囲での熱膨張率を求めることを特徴とする熱
    膨張率測定方法。
  3. 【請求項3】断面積一定の導電性ある試料の長さ方向
    単一のパルス的な電流を流して試料を短時間のうちに
    温まで通電加熱し、この加熱を行うに際して少なくとも
    試料の一端を可動電極で保持させ、この加熱の間に、試
    料の温度を測定すると共に、可動電極の移動量を測定
    し、試料の広い温度範囲での熱膨張率を求めることを特
    徴とする熱膨張率測定方法。
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FR2757948B1 (fr) * 1996-12-30 1999-01-22 Commissariat Energie Atomique Microsystemes pour analyses biologiques, leur utilisation pour la detection d'analytes et leur procede de realisation
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