JP2671513B2 - 精紡ボビン搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、自動ワインダと精紡機との間等において精
紡ボビンを搬送する精紡ボビン搬送装置に関する。

［従来の技術］ 一般に、自動ワインダと精紡機とを連結するシステム
を採用している工場等においては、その精紡ボビンを互
いに受け渡しするための精紡ボビン搬送装置が設けられ
ている。

この搬送装置は、精紡ボビンを挿立させたトレイを、
自動ワインダと精紡機との間を結んで設けられた搬送コ
ンベアによって搬送するようになっており、精紡機にお
いて生産された実ボビンを自動ワインダに、また自動ワ
インダにおいてパッケージとして巻き取られて払い出さ
れた空ボビンを精紡機に、それぞれ搬送するようになっ
ている。

［発明が解決しようとする課題］ ところで近来にあっては、自動ワインダと精紡機との
間を作業者や台車などが通行できるように、即ち搬送コ
ンベアを横断して通行できるように、搬送コンベアをゲ
ート状に立ち上げて形成することが行われている。

しかしながらこのようなゲートコンベアにおいては、
方向転換する部分で、略連ねられて搬送されるトレイの
精紡ボビン同士が干渉しないように、また円滑に方向転
換されるように、その区間に屈曲を緩やかに形成せざる
を得ず、その分無駄な空間が必要で、省スペースを図る
上の課題になっていた。

また精紡機台とワインダ機台との間には、ボビン搬送
面の高低差があり、さらにボビン搬送路位置の偏差があ
るために、搬送コンベアの経路や駆動機構が複雑にな
り、設備費の増大化及びメンテナンスの頻発化をまねく
という問題があった。

そこで本発明は、上記事情に鑑み、通路を省スペース
で確保でき、しかも簡単な機構で成る精紡ボビン搬送装
置を提供すべく創案されたものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、自動ワインダ側の機台と精紡機側の機台と
の間にゲート状のボビン搬送路を設けて、精紡ボビンを
トレイに挿着したまま傾倒させて搬送する装置におい
て、上記精紡機側機台から自動ワインダ側機台に供給さ
れる実ボビンを、ゲート部の鉛直区間及び天井区間で、
実ボビンを傾倒させて搬送すべくコンベアベルトを捻っ
た一本のコンベアで構成し、かつこれを単一の駆動源に
よって循環駆動させることにより搬送する実ボビン搬送
路と、上記自動ワインダ側機台から精紡機側機台に戻さ
れる空ボビンを、ゲート部の鉛直区間及び天井区間で、
空ボビンを傾倒させて搬送すべくコンベアベルトを捻っ
た一本のコンベアで構成し、かつこれを単一の駆動源に
よって循環駆動させることにより搬送する空ボビン搬送
路とを備え、該空ボビン搬送路のコンベア及び駆動源
を、上記実ボビン搬送路のコンベア及び駆動源とはそれ
ぞれ別個に設けたものである。

［作 用］ 上記構成によって、実ボビン搬送路と空ボビン搬送路
は、そのゲート部を鉛直区間及び天井区間で、共にベル
トコンベアを捻った１本のコンベアで構成することで、
トレイに挿着された実ボビンと空ボビンを起立した状態
から傾倒した状態で搬送でき、ゲート部において通路の
省スペースが確保できる。また、実ボビン搬送路と空ボ
ビン搬送路は、共にゲート部で捻られているためにベル
ト駆動力が増大するが、それぞれ単一の駆動源を別個に
設けることで、各コンベア円滑な循環駆動が行える。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を、添付図面に従って説明す
る。

第１図及び第２図は、本発明に係わる精紡ボビン搬送
装置の一実施例を示したものであり、自動ワインダ１と
精紡機２との間に設けられた状態を示している。

この搬送装置は、精紡ボビンＢを挿着させたトレイＴ
を搬送すべく、ゲート状に自動ワインダ１と精紡機２と
を連結する搬送手段３が、その搬送系列毎に設けられて
構成されている。

即ちこの搬送手段３は、精紡機２側の機台に設けられ
た搬送コンベア４と自動ワインダ１側の機台に設けられ
た搬入コンベア５とを結ぶ実ボビン搬送路６と、自動ワ
インダ１側の機台に設けられた搬出コンベア７と精紡機
２側の機台に設けられた搬入コンベア８とを結ぶ空ボビ
ン搬送路９とをそれぞれ個別に構成しているものであ
る。そして、自動ワインダ１と精紡機２との間で異なる
位相、即ちボビン搬送面の高低差及び搬出入路位置の偏
差を解消すべく、適宜屈曲されて延長されている。

またこれら搬送路6,9は、その途中において上方に大
きく迂回されたゲート部10をそれぞれ有しており、その
内側において、作業員或いは台車等の通路11を確保する
ようになっている。

ゲート部10は、自動ワインダ１及び精紡機２との接続
部12から立ち上げられた上下方向区間たる鉛直区間13
と、鉛直区間13同士を水平に結ぶ天井区間14とで成り、
これらは滑らかな曲線で互いに接続されている。

第３図及び第４図に示すように、搬送手段３は、トレ
イＴの底部、側部、上部をそれぞれ囲むように区画され
たガイド板15と、トレイＴの底部に係合してその接触摩
擦力で搬送方向Ａに移動させるコンベアベルト16とによ
り主として構成されている。

コンベアベルト16は、その側縁部17が搬送面となって
おり、幅方向が常に搬送方向Ａと交差するような形にな
っている。そして搬送面と反対側の側縁部17には、搬送
面側に付勢するスプリング18が備えられており、コンベ
アベルト16が常にトレイＴの底部に接触するようになっ
ている。

このスプリング18は、搬送路6,9の長手方向に沿っ
て、適宜間隔を隔てて配置されており、コンベアベルト
16との間には、付勢力を伝達しつつコンベアベルト16を
支える支持板19が介設されている。

またガイド板15の底部には、コンベアベルト16を挟む
ように案内するスリット部20が、搬送路6,9の長手方向
に沿って形成されている。

そして、ガイド板15及びコンベアベルト16は、後続部
12と鉛直区間13とを滑らかにつなぐ屈曲部21において、
トレイＴの姿勢を変換させるように形成されている。

即ち第３図に示したように、屈曲部21の搬送手段３
は、搬送方向Ａを軸として、角度にして90度捻られつ
つ、方向転換するように形成されており、接続部12にお
いて精紡ボビンＢが起立した姿勢であるトレイＴを、鉛
直区間13では搬送横断方向Ｃに傾倒させて、精紡ボビン
Ｂを水平にさせるようになっている。

本実施例にあっては、搬送手段３は、両搬送路6,9の
精紡ボビンＢが互いに向き合うように中心側に傾倒され
るようになっている。また水平の天井区間14において
も、トレイＴが引き続き鉛直区間13での傾倒姿勢が維持
されるようになっており、ゲート部10全体に亘って傾倒
されたまま搬送されるようになっている。

第５図に示すように、空ボビン搬送路９は、実ボビン
搬送路６のコンベアとは別個に設けられた一本のコンベ
アであるコンベアベルト16と、このコンベアベルト１を
駆動すべく実ボビン搬送路６の駆動源とは別個に自動ワ
インダ１側に設けられた単一の駆動源たる駆動プーリ
（モータ）22と、屈曲部21に設けられてコンベアベルト
16を捻って方向転換させる捻りプーリ23と、その他の方
向転換位置に設けられた案内プーリ24とを有して構成さ
れている。

従って、空ボビンＢを搬送する往路25においては二個
の捻りプーリ23が設けられていることになる。また精紡
機２から自動ワインダ１へと戻る往路26は、往路25と略
同様の経路を辿ってこれと並行に形成されているが、そ
の鉛直区間13において傾倒させるような捻りは必要とし
ないため、全て通常の案内プーリ24で支えられるように
なっている。

なお往路25から復路26へ、或いは逆へと切り換えられ
る両端部27,28においては、コンベアベルト16は、その
幅方向に（上下に）曲げられることになるので、一旦捻
って方向転換させるために、屈曲部21と同様の捻りプー
リ23が設けられている。

また図示を省略したが、実ボビン搬送路６において
も、空ボビン搬送路９と同様に駆動プーリ22,捻りプー
リ23及び案内プーリ24で成る駆動系が形成されている。

次に本実施例の作用を説明する。

精紡機２によって生産された実ボビンＢのトレイＴ
は、その搬出コンベア４から実ボビン搬送路６の接続部
12に送り込まれる。搬送手段３のコンベアベルト16は、
駆動プーリ22によって循環駆動されると共に、スプリン
グ18によって付勢されることで、このトレイＴは接触駆
動して搬送方向Ａに移動させる。

そして搬送されるトレイＴは、接続部12からゲート部
10の鉛直区間13に入る前に、屈曲部21において捻られた
搬送手段３によってその姿勢が順次転換され、搬送横断
方向Ｃに傾倒される。

この姿勢転換により、連続して整列するトレイＴは、
上方へと円滑に方向転換され、天井区間14を水平に搬送
された後、自動ワインダ１側の鉛直区間13を下降する。
そして、反対側の接続部12に入る手前の屈曲部21におい
て、再び精紡ボビンＢが起立する姿勢に転換されて、自
動ワインダ１の搬入コンベア５に渡される。

また自動ワインダ１によって巻き取られた後の空ボビ
ンＢのトレイＴも、全く同様に、自動ワインダ１の搬出
コンベア７から、ゲート部10において姿勢転換されつつ
立ち上げられ、元の姿勢に戻されてから精紡機２の搬入
コンベア８へと搬送される。

このように、トレイＴを適宜姿勢転換させて搬送する
搬送手段３を形成し、トレイＴを連ねて上方に迂回させ
るようにしたので、屈曲部21の長さを短く、急折れする
ように形成しても精紡ボビンＢあるいはトレイＴ同士が
干渉することなどがなく、作業員等の通路11が必要最小
限のスペース（機間距離）で確保できる。即ち、自動ワ
インダ１と精紡機２とを連結するシステムにおける省ス
ペースが達成される。

また搬送手段３を実ボビン搬送路６と空ボビン搬送路
９としてそれぞれ独立させ、別個の駆動系で作動させる
ようにしたので、コンベアベルト16の経路が単純に形成
でき、構成が簡単になる。

即ち、実ボビン搬送路と空ボビン搬送路とは近接して
並設されるため、単一の搬送手段によって、その往路・
復路がそれぞれ実ボビン搬送路及び空ボビン搬送路にな
るように構成することも当然考えられるが、この場合
は、一本のコンベアベルト中の方向転換及び捻りの箇所
が多くなり、駆動力及び部材点数の増大化や、耐久性の
低下などをまねくおそれがある。本発明は、こうした問
題を未然に防いで、設備費の増大化及びメンテナンスの
頻発化等を防止するものである。

更に本実施例にあっては、ゲート部10においてトレイ
Ｔを内側に傾倒させるようにしたので、搬送路6,9の外
側は他の設備等のために使用でき、より省スペースとな
る。

また、本発明は、上記実施例に示した自動ワインダと
精紡機との間の搬送に限らず、精紡ボビンの受け渡しを
行うシステムにおいて広く適用されるものである。

［発明の効果］ 以上要するに本発明によれば、次のように優れた効果
を発揮する。

機台間で精紡ボビンをトレイを挿着したまま傾倒させ
てゲート状に搬送すべく、一本のコンベアを単一の駆動
源により循環駆動させることにより実ボビンを搬送する
実ボビン搬送路と、一本のコンベアを単一の駆動源によ
り循環駆動させることにより空ボビンを搬送する空ボビ
ン搬送路とを備え、空ボビン搬送路のコンベア及び駆動
源を、実ボビン搬送路のコンベア及び駆動源とはそれぞ
れ別個に設けたので、簡単な構成及び駆動系によって上
下方向区間を急折した経路で形成でき、作業員用の通路
確保が省スペースで達成され、しかも一本のコンベア中
の方向転換及び捻りの箇所は少ないので、駆動力及び部
材点数の増大化や耐久性の低下などを未然に防いで、設
備費の増大化及びメンテナンスの頻発化等を防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わる精紡ボビン搬送装置の一実施例
を示した平面図、第２図はその側面図、第３図は第１図
中の要部を示した側面図、第４図は第３図中のIV−IV線
矢視断面図、第５図は第１図中の駆動系を示した斜視図
である。 図中、１は自動ワインダ、２は精紡機、３は搬送手段、
6,9は搬送系列たる実ボビン搬送路及び空ボビン搬送
路、Ｃは搬送横断方向である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動ワインダ側の機台と精紡機側の機台と
   の間にゲート状のボビン搬送路を設けて、精紡ボビンを
   トレイに装着したまま傾倒させて搬送する装置におい
   て、上記精紡機側機台から自動ワインダ側機台に供給さ
   れる実ボビンを、ゲート部の鉛直区間及び天井区間で、
   実ボビンを傾倒させて搬送すべくコンベアベルトを捻っ
   た一本のコンベアで構成し、かつこれを単一の駆動源に
   よって循環駆動させることにより搬送する実ボビン搬送
   路と、上記自動ワインダ側機台から精紡機側機台に戻さ
   れる空ボビンを、ゲート部の鉛直区間及び天井区間で、
   空ボビンを傾倒させて搬送すべくコンベアベルトを捻っ
   た一本のコンベアで構成し、かつこれを単一の駆動源に
   よって循環駆動させることにより搬送する空ボビン搬送
   路とを備え、該空ボビン搬送路のコンベア及び駆動源
   を、上記実ボビン搬送路のコンベア及び駆動源とはそれ
   ぞれ別個に設けたことを特徴とする精紡ボビン搬送装
   置。