JP2668701B2 - 非天然型アミノ酸を含む蛋白質の製造法 - Google Patents

非天然型アミノ酸を含む蛋白質の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 技術分野 本発明は、非天然型アミノ酸を含む蛋白質の製造法に
関する。別の観点からすれば本発明は、任意の蛋白質を
構成するアミノ酸の一部を非天然型アミノ酸に置換する
方法に関する。
先行技術 組換えDNA技術を用いて所望の遺伝子産物を大量に産
生させる技術が確立されつつあることは多数の文献、公
開特許公報等によって認められているところである。さ
らにまた、所望の外来性遺伝子の塩基配列に任意の操作
を加えることにより、所望する天然型蛋白質のアミノ酸
配列ないしアミノ酸組成の一部を変換することが可能と
なってきた。これによって、所望する遺伝子産物の有用
性、有効性が高められるのみでなく、構造活性相関、生
物学的作用機作の解明等に、人工的に天然型アミノ酸を
置換した蛋白質を供することができる。したがって、そ
のような蛋白質の製造法は産業上および学問上の大きな
貢献となる。
しかしながら、上記の遺伝子操作の手法を用いるかぎ
り、得られる遺伝子産物を構成するアミノ酸はすべて天
然型の20種(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、
イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、
グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リシン、ア
ルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニ
ン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリ
ン)のいずれかに限定されることになる。すなわち、非
天然型アミノ酸を含む蛋白質の製造は不可能である。
一方、他の一つの蛋白質の製造法に化学合成法があっ
て、近年、合成技術が急速に進歩してきたので長鎖のペ
プチドもこの方法で合成可能となってきた。この方法に
よれば、種々の非天然型アミノ酸を含むペプチドの合成
も決して困難ではない。しかしながら、一般に鎖長が長
くなるにしたがって、その収量は著しく減少するので、
この方法ではそのような長鎖ペプチドを産業および学問
分野へ充分量供給するのは不可能に近いのが現状であ
る。
すなわち、非天然型アミノ酸を含む蛋白質の製造法の
提供が望まれているところである。
〔発明の概要〕
要 旨 本発明は上記の問題点を解決することを目的とし、蛋
白質を生産する生物体にある特定の条件下で非天然型ア
ミノ酸を含む栄養源を与え、産生される非天然型アミノ
酸を含む蛋白質を回収する方法を提供することにより目
的を達成しようとするものである。
したがって、本発明による非天然型アミノ酸を含む蛋
白質の製造法は、目的蛋白質を生産する生物体に非天然
型アミノ酸を含む栄養源を与えて非天然型アミノ酸を含
む蛋白質を製造する方法であって、その生物体の正常な
増殖またはそれに伴なう蛋白質合成が抑制された条件に
付す工程を含むこと、を特徴とするものである。
効 果 本発明によれば、天然型アミノ酸と共に非天然型アミ
ノ酸を合成アミノ酸とする全く新しい蛋白質、すなわち
超蛋白質、を作成することが可能となる。
このような超蛋白質は、後記したような各種の利用が
考えられて、有用なものである。
微生物細胞は、それを培養するときは、培地中の炭素
源、窒素源およびイオウ源からそれ自身の遺伝情報に基
づいて固有の蛋白質(当然に天然型である)を合成する
訳であるが、本発明者らの見出したところによれば、天
然型アミノ酸と性質の大きく異なる非天然型アミノ酸で
あってもこれをある特定の条件下で培地に添加しておく
と、微生物は当該非天然型アミノ酸を組込んだ蛋白質を
より効率的に生合成する。興味のある現象ということが
できよう。
なお、生物体に蛋白質を生産させるにあたって、その
栄養源として当該蛋白質の構成アミノ酸として利用すべ
く天然型アミノ酸を含有するものを用いることは自然現
象そのものないしは人工的に通常行なわれているところ
である。そして、栄養源に非天然型アミノ酸を含有させ
る場合、従前の例では主に蛋白質の合成を阻害させる目
的で用いられた例(Biochimica et Biophysica Acta 78
1,205(1984)、Trends in Biochemical Sciences,320
(Sep.1983))、あるいは、宿主細胞に対して毒性のな
いアミノ酸をしかも蛋白質の機能を変化させずに取り込
ませた例(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 71,469(1974)、B
iochem.Biophys.Res.Commun.68,907(1976)、Biochemi
stry 17,3860(1978)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78,27
07(1981))が知られているのみである。
これに対し、本発明においては特定の条件下で非天然
型アミノ酸を含有する蛋白質をより効率的に製造するこ
とを目的としており、当業者にとっても思いがけない知
見に基づくものである。
〔発明の具体的説明〕
非天然型蛋白質の製造 本発明は、蛋白質を生産する生物体に非天然型アミノ
酸を含む蛋白質(以下、非天然型蛋白質という)を生産
させる方法に関するものである。
ここで「非天然型アミノ酸」とは、前記20種の天然型
アミノ酸を除くすべてのアミノ酸を示すものとし、すな
わち天然に存在するアミノ酸であっても前記20種以外の
アミノ酸は、ここでは非天然アミノ酸と呼ぶこととす
る。またここで「生物体」とは、細胞の他に、動植物自
体をも包含するものである。これらのうちの代表例は、
動植物細胞ならびに微生物細胞である。また、これらが
生産すべき「蛋白質」は、通常の定義に含まれるすべて
のものが含まれ、糖鎖と結合したいわゆる糖蛋白質もこ
れに含まれるものとする。したがって、ホルモンや酵素
等の多くのものがこれに属し、いわゆる蛋白質繊維その
他も包含される。このような蛋白質のうち身近な例を一
部例示すれば、インシュリン、インターフェロン、成長
ホルモン、血清アルブミン、上皮成長因子その他があ
る。
本発明は、非天然型アミノ酸がアミノアシルtRNA合成
酵素により認識され、対応するtRNAに結合した後、生体
内の蛋白質合成系に取り込まれ、その結果、非天然型ア
ミノ酸を含む蛋白質が産生される、という知見に基づく
ものである。したがって、所望する蛋白質に非天然型ア
ミノ酸を置換して効率よく回収するためには、たとえば
利用する生物体が微生物細胞である場合にはその蛋白質
を高収量で生産するように遺伝子操作の手法を用いて形
質転換した組換え体を用いるのが有効である。この組換
え体の作製方法は公知である。
このような非天然型アミノ酸を宿主生物体に取り込ま
せて蛋白質を合成する場合には、宿主の増殖を抑制した
条件下で、すなわち宿主細胞の通常の生理に必須の蛋白
質の新たな合成を抑制して、所望する蛋白質の構造遺伝
子の発現を誘導することが有効である。
所望する蛋白質に取り込ませるべき非天然型アミノ酸
が宿主に対して毒性のない場合は、該アミノ酸を培地に
加えるのみで目的を達成することができる。この場合、
対応するアミノ酸要求性の変異株を宿主として用いれ
ば、培地中の非天然型アミノ酸と対応する天然型アミノ
酸との組成比を変えることによって、取り込み効率を任
意に設定することができるる。
非天然型アミノ酸が宿主に対して毒性のある場合、あ
るいは、致死的に働く場合は、該アミノ酸を所望する蛋
白質の対応するアミノ酸と置換することは不可能であ
る。この場合、宿主の増殖を抑制した条件下では、非天
然型アミノ酸の毒性が比較的軽減され、蛋白質合成を継
続し得る(J.Biol.Chem.244,3810(1969))。すなわち
宿主細胞の通常の生理に必須の蛋白質の新たな合成を抑
制して、所望する蛋白質の構造遺伝子の発現を誘導する
ことが必須である。
具体的には、細菌増殖の定常期に非天然型アミノ酸を
培地に加える。すなわち、対応するアミノ酸要求性変異
株を用い、最少量の天然型該アミノ酸を含む培地で一定
量増殖させた後、所定量の非天然型アミノ酸を追加した
培地と交換する。あるいは、高リン酸培地で増殖させた
のち、低リン酸培地と交換する。この場合、発現させる
べき構造遺伝子のプロモーターはアルカリ性ホスファタ
ーゼ由来のものが適する。また、遺伝子組換えによる物
質生産の分野では、誘導可能な遺伝子発現制御系、例え
ば、trpプロモーター、tacプロモーター、lacプロモー
ターなどが汎用されているが、これらのプロモーター/
オペレーターを用い細胞増殖の定常期に誘導をかけるこ
とにより、同様な効果が得られる。一方、ヒートショッ
ク蛋白質由来のプロモーターを用いれば、ヒートショッ
クにより宿主蛋白質の生合成を抑制することができる。
この場合、発現ベクターとして高温への移行によりコピ
ー数の増すランナウェイタイプのプラスミドを使用すれ
ば効果的である。培地のアミノ酸濃度を減少させ、緊縮
調節による遺伝子発現抑制を誘発し、かつ、非緊縮調節
型プロモーターを利用して、目的の構造遺伝子の発現を
誘導することも効果的である。
所望の蛋白質を改変する際に、その目的に応じて、導
入しようとする非天然型アミノ酸の誘導体に以下のよう
な工夫を施すことができる。
1) 非天然型アミノ酸をそのまま用いる工夫 蛋白質を合成する際と目的蛋白質を使用する際とで環
境が異なる場合は、その差を利用することができる。例
えば、ピリジルアラニン残基は、蛋白質合成の際の環境
では中性で、フェニルアラニルtRNA合成酵素の基質とな
って蛋白質に取り込まれるが、目的蛋白質を酸性の環境
で使用すると、プロトンが付加して正に荷電する。
2) 非天然型アミノ酸を前駆体として用い、生体内で
の代謝を利用する工夫 例えば、インドールの誘導体を培地に加えて細胞に導
入させてトリプトファンの誘導体を生成させ、そのまま
蛋白質に取り込ませる。
3) 非天然型アミノ酸を含む蛋白質を回収した後、こ
れに酸化、還元、加水分解などの処理を施して所望の蛋
白質誘導体に変換する工夫 たとえば、下記のような処理を行なう。
本発明に従って培地に添加すべき非天然型アミノ酸に
は各種のようなものがありうるが、そのうちの代表的な
ものを例示すれば下記の通りである。
(イ) 天然型アミノ酸のイミノ基または二価非炭素原
子たとえば酸素またはイオウをメチレン基で置換し、あ
るいはアミノ基、水酸基、またはチオール基をメチル基
で置換して、水素結合能を除去したかあるいは疎水性を
高めた、非天然型アミノ酸 例:メチオニン→ノルロイシン (ロ) 天然型アミノ酸のメチレン基をイミノ基または
二価非炭素原子で置換し、あるいはメチル基をアミノ
基、水酸基、またはチオール基で置換して、水素結合能
を付与したかあるいは疎水性を低くした、非天然型アミ
ノ酸 例:リシン→S−2−アミノエチルシステイン イソロイシン→O−メチルトレオニン (ハ) 天然型アミノ酸にメチレン基またはメチル基を
付加して疎水性を高めた、非天然型アミノ酸 例:ロイシン→γ−メチルロイシン バリン→β−メチルバリン(t−ロイシン) (ニ) 天然型アミノ酸よりメチレン基またはメチル基
を除去して疎水性を低くした、非天然型アミノ酸 例:イソロイシン→ノルバリン (ホ) 天然型アミノ酸のアミノ基、水酸基、またはチ
オール基を除去あるいはメチル化して水素結合能を除去
した、非天然型アミノ酸 例:トレオニン→O−メチルトレオニン リシン→ノルロイシン (ヘ) 天然型アミノ酸の側鎖の光学異性体。
例:イソロイシン→アロイソロイシン (ト) 天然型アミノ酸の側鎖に置換基を導入した、非
天然型アミノ酸 例:アスパラギン→β−フルオロアスパラギン (チ) 天然型アミノ酸の芳香族側鎖の原子を置換し
て、疎水性、荷電状態、螢光スペクトル、または反応性
を変化させた、非天然型アミノ酸 例:フェニルアラニン→ピリジルアラニン チロシン→p−アミノフェニルアラニン (リ) 天然型アミノ酸の芳香族側鎖の環を拡大し、あ
るいは開環して、疎水性、荷電状態、螢光スペクトルま
たは反応性を変化させた、非天然型アミノ酸 例:フェニルアラニン→ナフチルアラニン フェニルアラニン→ピレニルアラニン (ヌ) 天然型アミノ酸の側鎖を酸化または還元して二
重結合を付加あるいは除去した、非天然型アミノ酸 例:アラニン→デヒドロアラニン イソロイシン→β−メチレンノルバリン (ル) プロリンの5員環を開環しあるいはさらに置換
基を導入した、非天然型アミノ酸 例:プロリン→N−メチルアラニン (ヲ) α−位置に第二の置換基を導入した、非天然型
アミノ酸 例:リシン→α−ジフルオロメチルリシン (ワ) (イ)〜(ヲ)の同一又は異なる変異が1又は
2以上複合した、非天然型アミノ酸 例:チロシン→p−メトキシ−m−ヒドロキシフェニル
アラニン (カ) 化学構造が天然型アミノ酸とは異なるが、アミ
ノアシルtRNA合成酵素に結合したときに、天然型アミノ
酸と似たコンホメーションをとって、この酵素の基質と
なる、非天然型アミノ酸 例:イソロイシン→フラノマイシン このような非天然型アミノ酸を含有する培地で培養す
べき細胞は、蛋白質(糖蛋白質を包含するものとする)
を生産するものであれば、合目的的な任意のものであり
うる。
この場合の細胞は、野生型のものであっても、系質転
換体(トランスフェクションおよびトランスダクション
による生成物を包含するものとする)であってもよい。
従って、本発明で細胞が生産すべき蛋白質は、野生型の
細胞の生産しえないものでありうる。非天然型アミノ酸
を組込んだ非天然型蛋白質ないし超蛋白質の多様性から
いって、細胞が生産すべき蛋白質は野生型の細胞が生産
すべきものと異なるものが好ましく、従って換言すれば
本発明で対象とする細胞は形質転換体であることが好ま
しいといえる。
本発明で代表的な細胞は大腸菌およびその形質転換体
であり、生産されるべき蛋白質はヒト上皮成長因子(以
下「EGF」という)である。
非天然型蛋白質 本発明により、20種の天然型アミノ酸とともに非天然
型アミノ酸を組み込んだ、全く新しい蛋白質「超蛋白
質」を作製することが可能になることは前記したところ
である。
そのような超蛋白質を利用して、作動約、拮抗薬、阻
害剤の製造が可能になる。蛋白質工学において、天然型
の20種以外のアミノ酸も利用することにより、蛋白質の
作製デザインの可能性が著しく拡がる。このような超蛋
白質は非天然型であるので、これは、一般に生物細胞内
に存在する蛋白質分解酵素で分解されにくい。
化学反応性の高い官能基を側鎖に持つ非天然型アミノ
酸を特定の位置に取り込ませた超蛋白質を合成した場合
は、該官能基の反応性を利用して、位置特異的に種々の
タイプの修飾が可能になる。例えば、位置特異的に、リ
ン酸化、メチル化、または糖鎖付加した蛋白質を生産す
ることも可能になる。また、特定の蛋白質の誘導体アナ
ログとして、架橋反応性官能基を持つ非天然型アミノ酸
を取りこんだ超蛋白質を作製し、それを利用して、該蛋
白質の細胞内で相互作用する細胞成分を検索することが
可能になる。螢光性アミノ酸残基を取り込んだ超蛋白質
は、生体内での代謝経路の追跡や、生物作用機構の解明
などに有用である。天然型アミノ酸とは酸解離定数の異
なる非天然型アミノ酸を取り込んだ超蛋白質を作製し、
蛋白質の活性を水溶液の酸性度により制御することがで
きる。
このように、超蛋白質は、蛋白質の構造と機能の研究
において広範囲に利用できる。ここで得られる知見に基
づき、有用な新たな超蛋白質のデザインの途を開拓でき
る。
セルフアセンブリーする蛋白質〔ウイルス(コート蛋
白質など)、筋繊維(アクチン、ミオシン)、クロマチ
ン(ヒストンなど)〕に非天然型アミノ酸を取り込ませ
て、特定の機能を付与した超分子構造体を作製すること
ができる。あるいは、生物細胞の構造体形成能を利用し
て、超分子構造体を作製する。
蚕の人口飼料に本発明による非天然型アミノ酸を加え
て、非天然型アミノ酸を取り込んだ絹を合成させること
ができる。有色アミノ酸を取り込ませて着色した(色落
ちしない)蛋白質繊維を作製することができる。あるい
は、架橋反応性官能基を持つ非天然型アミノ酸を取り込
ませて、絹を支持体とする超分子構造体の作製などに応
用することができる。蛋白質繊維を架橋し、新しい蛋白
質性樹脂を作製できる。このような構造体に、特定の光
物性をもつ非天然型の螢光性アミノ酸などを導入すれ
ば、光エネルギー変換のためのバイオチップにもなりう
る。
実 験 例 実施例1 〔21−ノルロイシン〕−EGFの作製 大腸菌YK537(pTA1522)を、Luria Brothで前培養し
た後、特開昭61−37099号公報開示の方法に従い、ロイ
シン40mg/、チアミン40mg/、アンピシリン40mg/
を含むTG+20培地2.4リットルで37℃/一夜振とう培養
を行なう。集菌したのち、ロイシン、チアミン、アンピ
シリンおよびノルロイシン0.2〜4g/を含むTG+1培地
2.4リットルに懸濁させ、さらに、37℃/6時間の培養を
続ける。さらに特開昭61−37099号公報開示の方法に従
ってペリプラズム分画を回収し、Sephadex G−50カラム
(medium.φ2.6cm×100cm、25mM CH3COONH4、pH5.8)で
分画して、EGF抗血清と反応する画分を回収した。
なお、「大腸菌YK537(pTA1522)」は、FERM BP−822
として寄託されている「E.coli K12YK537」に、FERM BP
556として寄託されている「E.coli K12C600(pYK283)
のプラスミドpYK283から特開昭60−30687号公報および
特開昭61−37099号公報に開示された方法に従って誘導
できるプラスミドpTA1522が導入されたもの、である。
精 製 Sephadex G−50の活性画分を逆相HPLCODS−120T(東
ソー、φ4.6mm×25cm)を用い、0.1%TFA(トリフルオ
ロ酢酸)のアセトニトリル20%から40%の濃度勾配(流
速1ml/min)で溶出したところ、EFGのピーク(20.47
分)の他に新たに20.8分にピークを認めた(第1図)。
両者の分離は困難であったため、これらを合わせて0.3
%H2O2室温30分処理してEGFのメチオニン残基を酸化
し、再び同じ条件でHPLCにより精製したところ、第2図
に示すようにピークa(19.52分)、ピークb(20.64
分)の二本の画分を得た。
〔21−ノルロイシン〕−EGFの確認 ピークbの画分を常法に従い、6N・HCl−1%フェノ
ールで115℃、24時間処理して加水分解し、ノルロイシ
ンを含む標準サンプルH型を指標としてアミノ酸分析を
行なったところ、メチオニン残基は検出されず、ノルロ
イシンが検出された(第3図)。この分画はEGF抗血清
に対してEGFと同様の反応性を示し、またEGFとKB cell
を用いるRRA法及び3T3 cellを用いたチミジンの取り込
み活性においても、EGFと同様であった(特開昭61−370
99号公報)。
以上の結果は、ここで得られたピークb由来の蛋白質
がEGFのメチオニン残基をノルロイシンに置換したEGF誘
導体であることを示すものである。
実施例2 カナバニンを含むEFG誘導体の作製 カナバニンは細胞に対して致死性の作用をもつ非天然
型アミノ酸であるが、この非天然型アミノ酸を50mg/
含むTG+1培地で大腸菌のアルギニン要求株(プラスミ
ドpTA1522を有する)を培養して実施例1と同様の操作
をし、ゲルろ過後のEGF画分を逆相HPLCで精製した。ア
ミノ酸組成分析の結果、カナバニンを含むEGF誘導体が
産生されていることが確認された(第4図)。
実施例3 P−フルオロフェニルアラニンを含むEGF誘導体の作製 EGF遺伝子に対しサイトディレクテッドミュータジェ
ネシス(Site−directed mutagenesis)を行ない29番目
のTyrをPheに変換したプラスミドpTA152−29Fを作製し
た。このプラスミドを大腸菌のフェニルアラニン要求株
に導入し、その大腸菌を、p−フルオロフェニルアラニ
ンを50mg/含むTG+1培地で培養して実施例1と同様
の操作をし、ゲルろ過後のEGF画分を逆相HPLCで精製し
た。アミノ酸組成分析の結果、p−フルオロフェニルア
ラニンを含むEGF誘導体が産生されていることが確認さ
れた(第5図)。
実施例4 ピリジルアラニンを含むEGF誘導体の作製 プラスミドpTA152−29Fを有する大腸菌(前述)を、
ピリジルアラニンを50mg/含むTG+1培地で培養して
実施例1と同様の操作をし、ゲルろ過後のEGF画分を逆
相HPLCで精製した。アミノ酸組成分析の結果、ピリジル
アラニンを含むEGF誘導体が産生されていることが確認
された(第6図)。
実施例5 その他の非天然型アミノ酸を含むEGF誘導体の作製 非天然型アミノ酸(S−2−アミノエチルシステイ
ン、O−メチルトレオニン、ノルバニン、γ−メチルロ
イシン、β−メチルバリン、α−ジフルオロメチルリシ
ン)を50〜300mg/含むTG+1倍地を用い、それぞれ同
様に操作し、ゲル濾過後のEGF画分を逆相HPLCで精製し
たところ、第1図に示すような新たなピークを認めた。
アミノ酸組成分析の結果、各々の画分はそれぞれの非天
然型アミノ酸を含むEGF誘導体であることが確認され
た。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、高速液体クロマトグラフィーの
クロマトグラムを模写したものである。 第3〜6図は、それぞれノルロイシン−EGF、カナバニ
ン−EGF、p−フルオロフェニルアラニン−EGFおよびピ
リジルアラニン−EGFのアミノ酸分析結果を示すグラフ
である。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】目的蛋白質を生産させる生物体に非天然型
    アミノ酸を含む栄養源を与えて非天然型アミノ酸を含む
    蛋白質を製造するにあたり、その生物体の正常な増殖ま
    たはそれに伴なう蛋白質合成が抑制された条件に付す工
    程を含むことを特徴とする、非天然型アミノ酸を含む蛋
    白質の製造法。
  2. 【請求項2】目的蛋白質を生産させる生物体に非天然型
    アミノ酸を含む栄養源を与えて非天然型アミノ酸を含む
    蛋白質を製造するにあたり、その生物体の正常な増殖ま
    たはそれに伴なう蛋白質合成が抑制された条件で外来性
    の蛋白質をコードする遺伝子の発現を誘導する工程を含
    む請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】目的蛋白質を生産させる細胞を非天然型ア
    ミノ酸を含む培地で培養して非天然型アミノ酸を含む蛋
    白質を製造する、請求項2に記載の製造法。
  4. 【請求項4】細胞が微生物細胞である、請求項3に記載
    の製造法。
  5. 【請求項5】低リン酸培地を用いて細胞の正常な増殖ま
    たはそれに伴う蛋白質合成を抑制させる、請求項2〜4
    のいずれか1項に記載の製造法。
  6. 【請求項6】蛋白質をコードする遺伝子の発現プロモー
    ターとしてアルカリホスファターゼ由来のものを用い
    る、請求項2〜5項のいずれか1項に記載の製造法。
  7. 【請求項7】蛋白質が上皮成長因子である、請求項2〜
    6項のいずれか1項に記載の製造法。
  8. 【請求項8】非天然型アミノ酸が下記(イ)〜(カ)か
    らなる群から選ばれたものである、請求項2〜7のいず
    れか1項に記載の製造法。 (イ) 天然型アミノ酸のイミノ基または二価非炭素原
    子をメチレン基で置換し、あるいはアミノ基、水酸基、
    またはチオール基をメチル基で置換して、水素結合能を
    除去したかあるいは疎水性を高めた、非天然型アミノ酸 (ロ) 天然型アミノ酸のメチレン基をイミノ基または
    二価非炭素原子で置換し、あるいはメチル基をアミノ
    基、水酸基、またはチオール基で置換して、水素結合能
    を付与したかあるいは疎水性を低くした、非天然型アミ
    ノ酸 (ハ) 天然型アミノ酸にメチレン基またはメチル基を
    付加して疎水性を高めた、非天然型アミノ酸 (ニ) 天然型アミノ酸よりメチレン基またはメチル基
    を除去して疎水性を低くした、非天然型アミノ酸 (ホ) 天然型アミノ酸のアミノ基、水酸基、またはチ
    オール基を除去あるいはメチル化して水素結合能を除去
    した、非天然型アミノ酸 (ヘ) 天然型アミノ酸の側鎖の光学異性体。 (ト) 天然型アミノ酸の側鎖に置換基を導入した、非
    天然型アミノ酸 (チ) 天然型アミノ酸の芳香族側鎖の原子を置換し
    て、疎水性、荷電状態、螢光スペクトル、または反応性
    を変化させた、非天然型アミノ酸 (リ) 天然型アミノ酸の芳香族側鎖の環を拡大し、あ
    るいは開環して、疎水性、荷電状態、螢光スペクトルま
    たは反応性を変化させた、非天然型アミノ酸 (ヌ) 天然型アミノ酸の側鎖を酸化または還元して二
    重結合を付加あるいは除去した、非天然型アミノ酸 (ル) プロリンの5員環を開環しあるいはさらに置換
    基を導入した、非天然型アミノ酸 (ヲ) α−位置に第二の置換基を導入した、非天然型
    アミノ酸 (ワ) (イ)〜(ヲ)の同一又は異なる変異が1又は
    2以上複合した、非天然型アミノ酸 (カ) 化学構造が天然型アミノ酸とは異なるが、アミ
    ノアシルtRNA合成酵素に結合したときに、天然型アミノ
    酸と似たコンホメーションをとって、この酵素の基質と
    なる、非天然型アミノ酸
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