JP2667915B2 - 条材切断機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は条材切断機に係り、特にアルミ条材の切断面
における、かえりや切り屑の発生を防止し耐久性と品質
信頼性の確保に好適な条材切断機に関する。

〔従来の技術〕

従来、アルミニウムのような軟質金属条材の切断に
は、ニブラ、ローリングカッタ、およびシャーなどが実
用されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術のニブラは、高速剪断刃を有する手動式
の工具であるが、切断面の曲がりが生じたり、切断精度
が十分でなく、また切断時に切り屑が散乱し能率の点で
も問題があった。

ローリングカッタは固定刃と、この固定刃に倣って回
転移動する回転刃との間で条材を切断するものである
が、回転刃が条材端面を２度切断する、いわゆる２次切
断を招きやすく、これに伴い、かえりや切り屑が発生す
る問題があった。

シャーは固定刃と可動刃の間で条材を剪断する普及度
の高いものであるが、切断面にかえりが発生しやすい問
題があった。

上記従来技術は、特にアルミニウムのような軟質金属
条材の切断には障害が発生しやすいため問題点の解決に
対する強い要望があった。本発明は上記の課題を解決す
るためのもので、切断面のかえりや切り屑の発生を防止
し、切断精度の向上と耐久性ならびに品質信頼性の確保
に好適な条材切断機を提供することを目的としてなされ
たものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的は、先鋭な外周縁を備え回転自在な円盤状
上刃と、先端に平坦部が形成された実質的に台形状の外
周縁を備え回転自在な円盤状下刃と、円盤状上刃の外周
縁と円盤状下刃の外周縁とが同一平面内で外接するよう
に保持する手段と、円盤状上刃および円盤状下刃が外接
状態を保持した状態で条材を円盤状上刃および円盤状下
刃の間に導入して直線移動させる手段を有し、円盤状上
刃が条材の板厚の実質的に上半分を切断し、円盤状下刃
が条材の実質的に下半分を切断し、条材が前記条材がそ
の板厚の中心近傍で切断されるよう条材切断機を構成す
ることにより達成される。

〔作用〕

上記の構成により、被加工物である金属条材を前記上
刃と下刃との間に導入し、上刃と下刃を転動させて前記
条材を切断する際に、切断抵抗を受けても中心線がずれ
ることなく、切断に伴うかえりや切り屑を発生すること
がない。

〔実施例〕

本発明の一実施例を図面と共に説明する。

第１図は、本発明に係る条材切断機による斜視図であ
って、条材６を上刃１と下刃２の間に挿入した状態を示
している。円盤形状の上刃１と下刃２とは、それぞれの
外周縁の先端部分が互いに同一平面内で概ね外接する位
置に、回転自在にブラケット３、３によって軸支されて
おり、ブラケット３、３はボールネジ４、４と螺嵌しか
つガイド５、５によって支承されている。ボールねじ
４、４はプーリ7a、7bを装着し、相互間にベルト8bを架
設しており、モータ９からの駆動力はベルト8aを介して
プーリ7aに伝達されるように構成している。ボールねじ
４、４、ガイド５、５は同一平行方向に設定されている
から、モータ９の駆動回転により、ブラケット３、３は
同一関係位置を保持したまま所定方向に直線移動が可能
である。第２図（ａ）、（ｂ）は、アルミ条材６を切断
中の上刃１、下刃２近傍の拡大図である。同図図示によ
って明らかなように、上刃１は外周縁の先端部1aは尖鋭
端、下刃２は平端2aを備えている。このため、被加工物
であるアルミ条材６を上刃１と下刃２との間に導入し、
上刃１と下刃２を転動させて前記条材を切断する際に、
切断抵抗により、上刃１の先端部1aが多少左右に移動し
ても下刃２の平端2aとの間で余裕があるから、切断の中
心線がずれたりアルミ条材６が引きち切られることな
く、従って切断に伴うかえりや切り屑を発生することが
ない。

第３図は、本発明の条材切断機による条材切断機によ
るアルミ条材の切断原理説明図である。同図において、
頂角2aの回転上刃１に押圧力Ｆを付加したとき、アルミ
条６からの反力Ｒが刃面1b、1bと直角に、また摩擦力ｆ
が刃面1b、1bと平行に発生し、これらの力は平衡状態に
あるとすると、次の式が成立する。

Ｆ＝２（Rsinα＋fcosα） 摩擦力ｆが最大静止摩擦力になったとして摩擦角をφと
すると したがって、上刃１の切り込みには少なくともＦ値より
も大きい押圧力が必要となる。また上式で明らかなよう
に、頂角2aが小さいほど押圧力Ｆを小さくすることがで
きる。

第４図は、アルミ条材６切断時における上刃１の頂角
の変化および下刃２の平端2aの有無と切断力P₁、P₂との
板厚ｔごとの関係図表、第５図は、同じく板厚Ｔごとの
増加量Δｔとの関係図表を示したものである。これら両
図表によれば、頂角は小さいほど切断力は小さく、切断
時の塑性変形による板厚の増加量も頂角の小さい方が少
ないことが示されている。第６図はアルミ条材６の切断
後の断面形状を示す断面図（ａ）、および斜視図（ｂ）
である。

第７図は、本発明の他の実施例を示す斜視図で、定尺
材を指定幅に連続的に切断する状況を示しており、定尺
条材10が繰出部14から送りローラ13によって送られなが
ら、本発明の上刃11と下刃12の間を通過する間に切断さ
れ巻取部15で巻取られる。

〔発明の効果〕

本発明の実施により、アルミニウムなどの軟質金属条
材の切断に伴うかえりや切り屑の発生が防止され、切断
面の精度を含む品質信頼性の向上ならびに耐久性と作業
能率に優れた条材切断機を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明に係る条材切断機の斜視図、第２図
（ａ）、（ｂ）は、それぞれ条材切断中の上刃と下刃近
傍を拡大して示す正面図および側面図、第３図は、本発
明の条材切断機による条材の切断原理説明図、第４図、
第５図はアルミ条材切断時における上刃の頂角の変化お
よび下刃の平端の有無と切断力、および、同じく板厚増
加量との関係図表、第６図（ａ）、（ｂ）は、それぞれ
アルミ条の切断後の断面形状を示す正面断面図および斜
視図、第７図は、本発明の他の実施例を示す斜視図であ
る。 １……上刃、２……下刃、３……ブラケット、４……ボ
ールねじ、５……ガイド、６……アルミ条材、7a,7b…
…プーリ、８……ベルト、９……モータ、10……定尺条
材、11……上刃、12……下刃、13……送りローラ、14…
…繰出部、15……巻取部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先鋭な外周縁を備え回転自在な円盤状上刃
   と、先端に平坦部が形成された実質的に台形状の外周縁
   を備え回転自在な円盤状下刃と、前記円盤状上刃の外周
   縁と前記円盤状下刃の外周縁とが同一平面内で外接する
   ように保持する手段と、前記円盤状上刃および円盤状下
   刃が前記外接状態を保持した状態で前記条材を前記円盤
   状上刃および円盤状下刃の間に導入して直線移動させる
   手段を有し、前記円盤状上刃が前記条材の板厚の実質的
   に上半分を切断し、前記円盤状下刃が前記条材の実質的
   に下半分を切断し、前記条材が前記条材がその板厚の中
   心近傍で切断されるよう構成されたことを特徴とする条
   材切断機。