JP2657252B2 - ヒトカルパスタチン様ポリペプチド - Google Patents

ヒトカルパスタチン様ポリペプチド

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ヒトカルパスタチンのアミノ酸配列を有す
るポリペプチド及びそのDNA配列に関する。
〔従来の技術〕
カルパスタチンは、カルシウム依存性のシステインプ
ロテアーゼとして知られているカルパインを特異的に阻
害する細胞内蛋白質である。カルパスタチンは高等動物
の各種の組織に広く分布し、細胞が刺激を受けることに
よつて動員され、活性化されたカルパインの作用を調節
していると考えられている。カルパインの生体における
役割としては、プロテインキナーゼC、ホスホリラーゼ
キナーゼBなどのキナーゼ系統酵素の限定分解による活
性化、細胞骨格蛋白質の分解、増殖因子やホルモンのレ
セプターの分解等が知られている。
カルパスタチンは、これらのカルパインの作用を特異
的に阻害することにより、カルパインの過剰反応を調節
している。したがつてカルパイン−カルパスタチン系の
バランスの維持は、病態と密接に関連している。
例えば、筋ジストロフイー疾患においては、カルパイ
ンのレベルが高まつており、筋原繊維やニユーロフイラ
メントの分解がカルパインによつて促進されることが、
発症と密接に係わつていると推定されている。
また、成人型白血病ウイルスに感染した細胞では、カ
ルパイン活性及びインターロイキン2のレセプター活性
が異常に高まつていることが知られている。これは、カ
ルパインが細胞骨格蛋白質に作用してレセプター活性を
変化させ、その結果、増殖因子等に対する細胞の異常な
反応を生み出し、病因となることを推定させる〔生化
学、第57巻、第1202頁、(1985)〕。更に、カルパイン
は眼水晶体蛋白質を切断することが知られており、その
過剰反応が白内症に関係していることが示唆される。一
方、情報伝達に必要なステロイド−レセプター複合体の
安定化物質がカルパスタチンであるという報告〔ジヤー
ナル オブ バイオロジカル ケミストリー(Journal
of Biological Chemistry)第260巻、第2601頁(198
5)〕や、高血圧ラツトにおけるカルパスタチンレベル
の異常な減少も報告されている〔バイオケミカル アン
ド バイオフイジカル リサーチ コミユニケーシヨン
ズ(Biochmical and Biophysical Research Communicat
ions)第145巻、第1287頁(1987)〕。
このようにカルパスタチンは、カルパインの作用を調
節する内在性の蛋白質インヒビターとして、カルパイン
の過剰作用が原因と考えられる様々の疾患に対して有効
な治療剤となることが期待される。
更に、ヒトカルパスタチンをコードするDNA配列はヒ
トカルパイン−ヒトカルパスタチンのアンバランスが原
因となる種々の疾患のDNA診断に用いることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
カルパスタチンは高等動物の各種組織に広く分布し、
ブタ赤血球や心筋からの精製、ウサギ肝臓からの精製が
報告されている。〔ジヤーナル オブ バイオケミスト
リー(Journal of Biochmistry)第95巻、第1661頁(19
84)、ザ バイオケミカル ジヤーナル(Biochemical
Journal)、第235巻、第97頁(1986)、バイオケミカル
アンド バイオフイジカル リサーチ コミユニケー
シヨンズ、第122巻、第912頁(1984)〕。
更に、ブタ及びウサギのカルパスタチンのcDNAクロー
ニングにより、アミノ酸の一次構造が解明された。その
結果、カルパスタチンは約140アミノ酸残基から成る4
つの繰返し機能単位(ドメイン1〜4)とN末側に非相
同性の配列(ドメインL)を有することがわかり、ドメ
イン1〜4は各ドメイン単独でカルパスタチンの活性を
有することがわかつた〔フエブスレタース(FEBS Lette
rs)、第223巻、第174頁(1987)〕。ヒトカルパスタチ
ンについては、赤血球からの精製が報告されている〔ジ
ヤーナル オブ バイオケミストリー、第92巻、第2021
頁(1982)〕が、その遺伝子構造やアミノ酸配列は依然
として不明である。また、ヒトカルパスタチンの工業的
に有利な製造方法についても開示されていない。
本発明の目的は、ヒトカルパスタチン様ポリペプチ
ド、及びその遺伝子工学的製造方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
本発明を概説すれば、本発明の第1の発明はヒトカル
パスタチンの機能単位であり下記式D1、D2、D3、又はD4
で示されるポリペプチド、あるいは下記式D1、D2、D3、
D4がこの順番で結合したヒトカルパスタチン様ポリペプ
チドに関する。
また、本発明の第2の発明は上記第1の発明のポリペ
プチドをコードする核酸に関する。
更に本発明の第3の発明は本発明の第2の発明の核酸
を含有させた組換え体プラスミドを導入させた形質転換
体に関し、また本発明の第4の発明は第3の発明の形質
転換体を培養し、該培養物より本発明の第1の発明のヒ
トカルパスタチン様ポリペプチドを採取する製造方法に
関する。
本発明者らはヒトcDNAライブラリーからヒトカルパス
タチンをコードするcDNAクローンを選び出し、その塩基
配列分析からヒトカルパスタチンの機能単位D1、D2、D3
及びD4のアミノ酸配列を決定した。更に、そのcDNAを発
現ベクターに接続して、大腸菌に導入し、ヒトカルパス
タチン様ポリペプチドを発現させることに成功した。こ
れらの知見に基づいて本発明を完成させた。
以下、本発明を具体的に説明する。
ヒトカルパスタチンをコードするcDNAのクローニング
の方法は公知の方法が用いられる。例えば、ヒトカルパ
スタチンが分布する肝臓や心筋あるいはヒト由来の株化
細胞等から、ポリAを含むRNAを抽出し、これをオリゴd
Tを結合させたセルロース担体等で精製する。これをテ
ンプレート(鋳型)として逆転写酵素を作用させて、cD
NA合成を行い、岡山−バーグ法あるいはカプラー−ホフ
マン法(Gubler−Hoffmann法)等の方法により、プラス
ミドやフアージベクターに接続して、宿主に導入し、cD
NAライブラリーを作製する。このようなライブラリー
は、市販もされており、例えばクローンテツク社から購
入することもできる。既にcDNAの一部が得られている場
合には、プライマー伸長法によるcDNAライブラリーの作
製も行われる。この方法は5′側のcDNAをクローニング
するのに特に有効である。
cDNAライブラリーから目的のヒトカルパスタチンをコ
ードするcDNAクローンをスクリーニングするためには、
既にその配列が明らかにされているブタ及びウサギのカ
ルパスタチンのcDNA断片をプローブとして用いるのが効
果的である。DNAプローブは化学的に合成しても良い
し、cDNAを含むベクターから制限酵素で切り出して精製
してもよい。
DNAプローブでライブラリーをスクリーニングする手
段としては、まずライブラリーをプレート上で増幅さ
せ、生育したコロニー又はプラークをニトロセルロース
やナイロンのフイルターに移し取り、変性処理によりDN
Aをフイルターに固定する。このフイルターをあらかじ
32P等で標識したDNAプローブを含む溶液中でインキユ
ベートし、フイルター上のDNAと、プローブDNAとのハイ
ブリツドを形成させる(以下、この操作をハイブリダイ
ゼーシヨンという)。インキユベーシヨンの温度は、用
いるプローブのTm(融解温度)を目安として設定する。
ハイブリダイゼーシヨン後、非特異的吸着を洗い流し、
オートラジオグラフイーにより、プローブとハイブリツ
ドを形成したクローンを同定する。この操作を再度行つ
てクローンを単離し、次の分析を行う。
組換え体が大腸菌の場合は、試験管等で少量培養を行
い、プラスミドを常法によつて抽出し、制限酵素による
切断反応を行い、アガロース又はアクリルアミドゲル電
気泳動に付して、クローン化された挿入断片の生成を調
べる。更にその泳動パターンをニトロセルロースやナイ
ロンフイルターに移し取り、前述の方法によりハイブリ
ダイゼーシヨンを行つて挿入断片がDNAプローブとハイ
ブリツドを形成するか否かを調べる。最終的には挿入断
片の塩基配列を公知の方法により決定する。組換え体が
フアージの場合も基本的には同様のステツプでクローン
の分析を行う。あらかじめ培養した宿主大腸菌にクロー
ン化フアージを感染させ、その溶菌液からフアージDNA
を調製する。フアージがλgt11の場合には溶原菌として
生育させた後に、温度シフトにより溶菌液とすることも
できる。また、感染プレートからDNAを回収することも
可能である。フアージDNAの具体的な調製法に関して
は、例えば、続生化学実験講座1「遺伝子研究法II」の
第100頁(東京化学同人出版)に記載されている。フア
ージDNAを制限酵素で切断してゲル電気泳動に付し、挿
入断片の確認を行い、更に、ハイブリダイゼーシヨンに
より、ブタカルパスタチンcDNAとの相同性を調べる。最
終的には塩基配列を決定することにより、クローンの確
認を行う。
決定された塩基配列を既知のウサギ及びブタcDNAと比
較することにより、その遺伝子構造及びアミノ酸配列を
知ることができる。
更にブタ及びウサギカルパスタチンの機能単位との比
較からヒトカルパスタチンの機能単位を知ることができ
る。
このようにして、ヒトカルパスタチンの機能単位D1、
D2、D3及びD4のアミノ酸配列及び対応するDNA配列を決
定することができる。ブタカルパスタチンにおいては、
各機能単位単独でカルパインに対する阻害活性がある
が、N末側の非相同性の配列(機能単位L)単独では活
性がないことが知られており、ヒトカルパスタチンにお
いても同様の結果が期待できる。したがつて、得られた
cDNAの構造遺伝子のすべて、又は、機能単位1〜4のう
ちの少なくとも1つの機能単位を含むDNA配列を適当な
宿主細胞において発現できるように発現ベクターに接続
して、宿主細胞に導入し、これを培養することにより、
ヒトカルパスタチン様活性を有するポリペプチドを生産
させることができる。発現ベクターとしては、既存の種
々のベクターを使用することができる。
ブタ及びウサギのヒトカルパスタチンは、その分子内
にS−S結合を含まないこと、及び糖鎖も有しないこと
から、既に大腸菌で発現することが確認されており、ヒ
トカルパスタチン様ポリペプチドも同様に大腸菌で発現
させることができる。
発現の確認は、カルパインに対する阻害活性を測定す
ることによつて行うことができ、例えば、カゼインを基
質としたカルパインの測定系に、大腸菌の細胞抽出液を
加え、酸可溶性画分の減少を分光学的に測定することに
よつて確認することができる。
大腸菌からのヒトカルパスタチン様ポリペプチドの精
製には、通常のクロマトグラフイーの手法が用いられ
る。すなわち、培養菌体をリゾチーム処理、次いで超音
波処理して上清を得、更に、カルパスタチンの熱安定性
を利用して、加熱処理を行つて、可溶性画分を得る。次
いで、イオン交換、ゲル過等のクロマトグラフイーに
よつて所望のペプチドを得ることができる。
以上述べてきたごとく、本発明により、ヒトカルパス
タチン様ポリペプチドの一次構造及び機能単位が明らか
となり、その遺伝子工学的製造方法を提供することが可
能となつた。
〔実施例〕
次に本発明の実施例を示すが、これらは本発明を限定
するものではない。
実施例1 ヒトカルパスタチンcDNAのクローニング (1−1) cDNAライブラリーからのスクリーニング <ポジテイブクローンの同定、単離> cDNAライブラリーは、クローンテツク社(米国)から
入手した。これは正常人の肝臓由来のポリA mRNAを鋳型
にして作製されたcDNA(コード番号HL1001B)をλgt11
のベクターにクローニングしたものである。宿主菌とし
て大腸菌Y1090株(以下用いる菌はすべて大腸菌であ
る)を用い、10〜14cmの角シヤーレ10枚に1毎当り10,0
00〜20,000個のプラークを形成させた。すなわちY1090
株をL培地にアンピシリンとマルトースをそれぞれ終濃
度50μg/ml、0.4g/mlとなるように添加した培地(以下
L+Ap+Mal培地と略す)で、37℃で一晩培養した。こ
れを宿主菌として、これの0.2mlとフアージ液0.1ml、及
び軟寒天(L培地に終濃度0.6%になるようにアガロー
スを加え、オートオレーブで処理した後、50℃に保つた
もの)9mlを加え、L−プレート上に広げた(以下この
操作をプレーテイングと略す)。
次にこのプレートを42℃1時間インキユベートした
後、37℃で8時間インキユベートした。形成させたフア
ージのプラークをアマシヤム社製ナイロン膜(コード番
号Hybond−N)に移し、これを0.5M NaOH、1.5M NaClの
溶液に浸したロ紙上で5分間(変性)、0.5Mトリス(Tr
is)HCl(pH7.0)1.5M NaClの溶液に浸したロ紙上で5
分間(中和)処理した後、2×SSC〔NaCl17.53g、クエ
ン酸ナトリウム8.82g(H2O1中)〕中でリンスし、ロ
紙上で乾燥させた(以下この操作をフイルター処理と略
す)。UVランプで5分間このフイルターを照射し、DNA
を固定した。プローブとしては、ブタの心臓由来のカル
パスタチンcDNAのドメイン1の一部からドメイン3にま
たがる1キロベースのPst I断片を用いた。すなわちブ
タカルパスタチンcDNAを含むプラスミドpCSFL713(京大
ウイルス研より入手)をPst I消化後ヌクレオジエン(N
ucleogen)DEAE4000カラムによつて目的の断片を分離精
製することによつて得た。得られた断片140ngをアマシ
ヤム社製、マルチプライム標識システム(カタログコー
ド番号RPN.1600Y)を用いて32Pで標識し、5×103cpm/
μgの比活性のプローブを得た。このプローブの全量と
上記の調整したフイルターを用い、6×SSC、1%SDS10
0μg/mlのサケ***DNA、5×デンハルト(Denhardt)
(ウシ血清アルブミン、ポリビニルピロリドン、フイコ
ールをそれぞれ0.1%の濃度で含む)を含む約35mlの溶
液中で65℃で一晩ハイブリダイゼーシヨンを行つた。次
に室温の2×SSC、0.1%SDS溶液中で10分間フイルター
を洗浄した。溶液を新たなものに変え、この操作を更に
3回繰返した後、50℃の1×SSC、0.1%SDS中で60分間
洗浄した。フイルターをキムワイプの上に置き、余分な
水分を除いた後、ワツトマン3MMロ紙をはりつけ、増感
紙を当てて、一晩−70℃でオートラジオグラフを行つ
た。オートラジオグラフを行つた結果、合計で51個のポ
ジテイブシグナルを得た。
これらのシグナルに相当する位置のプラークを寒天ご
と、1mlのSM溶液(NaCl5.8g、MgSO4・7H2Oの2g、1Mトリ
スHCl pH7.5、50ml、2%ゼラチン5mlを800mlの水に溶
解、全量を1とする)中に回収、懸濁し、適度に希釈
してプレーテイングし(約300プラーク/φ9cm丸形シヤ
ーレ)上記と同様の操作を行つた(以下、二次スクリー
ニングと略す)。その結果、10クローンに関してシング
ルプラークを単離することができた。
<フアージ粗液の調製> 次にクローン化できたフアージを1枚の丸形シヤーレ
に105個程度プレーテイングし、42℃で1時間、37℃で
6時間インキユベートした後、5mlのSM溶液を加え、4
℃で2時間穏やかに振とうして、フアージを溶出させ
た。溶出液を回収し、数滴のクロロホルムを加えてかく
はんし、4℃に保存した(以下、プレートライセート法
と略す)。上記の方法で約3×1010PFU/mlのフアージ液
を得た。
<溶原菌の分離> 次に得られた上記フアージ液50μとY1089株をL+A
p+Mal培地で一晩振とう培養したものの105倍希釈液30
μ、及び20μのSM溶液を加えてかくはんし、37℃で
15分間インキユベートした。上記の方法により、10クロ
ーンのうち7クローンに関して溶原菌を得ることができ
た。次に溶原菌を終濃度10mMになるようにMgCl2を添加
したL+Ap培地に植え、30℃で一晩培養した。
<λ−DNAの調製> この一晩培養液0.2mlを10mlの上記MgCl2を添加したL
+Ap培地に植え振とう培養し、O.D.600nmが0.5に達した
時点(植菌後3時間)で45℃で15分間振とうし(ヒート
インダクシヨン)、次に37℃で2.5時間振とうを続け
た。6,000rpmで10分間遠心分離して集菌し、菌体ペレツ
トを0.2mlのSM溶液に懸濁し、0.2mlのクロロホルムを加
えてかくはんし溶菌させた。30分間放置した後、6,000r
pmで10分間遠心分離し、上清にDNaseとRNaseをそれぞれ
終濃度5μg/ml、50μg/mlになるように加え、37℃で10
分間インキユベートした。フエノール抽出、フエノール
−クロロホルム抽出、クロロホルム抽出を行い、上清に
1/10量の酢酸ナトリウム溶液と2培量のエタノールを加
え、DNAを沈殿させた(以下、エタノール沈殿と略
す)。−20℃に一晩放置した後、10,000rpmで10分間遠
心分離し、沈殿を80%エタノールでリンスした後、沈殿
を乾燥させ、50μのTE緩衝液(10mMトリスHCl pH7.
5、0.1mM EDTA)に溶解した。
<挿入断片の同定> 調製した上記DNA溶液1μ、10倍濃縮EcoR I緩衝液
(組成は宝酒造・遺伝子工学用試薬カタログに記載され
ている、以下、10×緩衝液と略す)3μ、EcoR I30ユ
ニツトと水を加えて全量30μとしてかくはんし、37℃
で2時間インキユベートした後、RNaseを終濃度50μg/m
lになるように加えて更に10分間インキユベートした。
上記反応溶液中から10μを取出し2μの6倍濃縮電
気泳動用緩衝液(0.25%ブロモフエノールブルー、0.25
%キシレンシアノール、30%グリセロール、以下、6×
EP緩衝液と略す)を加え、1.2%のアガロースゲルで電
気泳動し、7クローンすべてに関して、1.8kbの挿入断
片を同定した。
<挿入断片の制限酵素地図作成> 1.8kbの挿入断片が同定された7つのクローンのうち
から任意に1クローンを選びλcs19と命名した。λcs19
から調製したDNA溶液40μと10×緩衝液40μ、EcoR
I200ユニツトと水を加えて全量を400μとしてかくは
んし、37℃で2.5時間インキユベートした後、RNaseを終
濃度50μg/mlになるように加えて、更に10分間37℃でイ
ンキユベートした。上記反応系から10mlを取出し、アガ
ロースゲル電気泳動で挿入断片が切り出されていること
を確認した後、5M酢酸アンモニウムを終濃度2Mになるよ
うに加え、かくはんした後エタノール沈殿を行つた。
−20℃に一晩静置した後10,000rpmで10分間遠心し、
沈殿を80%エタノールでリンスし、沈殿を室温で乾燥さ
せ、40μのT.E.緩衝液に溶解させた。これに10μの
6×EP緩衝液を加え、1%のアガロースゲルで電気泳動
した。泳動後、ゲルを1μg/mlのエチジウムブロマイド
溶液で10分間染色した後、紫外線照射下で目的の挿入断
片を含む部分をゲルから切り出した。これを電気抽気用
緩衝液(0.004M−トリス酢酸、0.1mM EDTA、pH8、以下E
E緩衝液と略す)を満たした透析チユーブに挿入し、外
液も同じ溶液を満たし、17V/cmで20分間通電した。透析
チユーブからゲルを静かに抜き出した後、チユーブを元
の位置に戻して45秒間逆向きの電流をかけ、DNAをチユ
ーブ内の緩衝液中に溶出させた。このDNA溶液を取出
し、等量のフエノール/クロロホルム混液を加えてかく
はんし、6,000rpmで5分間遠心した後上清を回収した
(以下フエノール/クロロホルム抽出と略す)。
上清のDNAをエタノール沈殿し、80%エタノールでリ
ンスした後80μのTEに溶解させた。得られたλcs19の
1.8kbの挿入断片を含むDNA溶液15μとpUC118(宝酒
造)をEcoR I消化したもの0.2μg、10×ライゲーシヨ
ン緩衝液(0.5MトリスHCl(pH7.5)、0.1M MgCl2、0.1M
ジチオスレイトール、10mMスペルミジン、2mM ATP)2.5
μ、T4DNAリガーゼ2.8ユニツトと水とを加え、全量25
μとしてかくはんし、15℃で一晩インキユベートし
た。
このライゲーシヨン反応液5μを用いて、JM109株
を形質転換しX−Gal(5−ブロモ−4−クロロ−3−
インドリル−β−D−ガラクシド)とIPTG(イソプロピ
ル−β−D−チオガラクトシド)をそれぞれ40μg/ml、
19μg/mlの濃度で含むL+Ap培地のプレート上にまき白
いコロニーを選ぶことによつて1.8kbの断片が挿入され
ている組換え体を得た。得られた組換え体のうちから任
意に4クローンを選び出し、5mlのL−Ap培地で一晩培
養した後1.5mlの培養液からアルカリ溶菌法〔文献:モ
レキユラー クローニング(Molecular Cloning)第368
頁、コールドスプリンハーバー ラボラトリー(198
2)〕によつてプラスミドDNAを調製し、15μのT.E.緩
衝液に溶解した。上記の4クローンから調製したDNAを
それぞれpUC118のポリリンカーシークエンス内に認識配
列が存在する制限酵素単独で消化し、続いて上記の酵素
とBamH Iとを組合せて消化し、電気泳動で切断パターン
を解析した。第1図に制限酵素地図を示す。DNAの消化
は正気の調製したDNA溶液1μ、各酵素別の10倍濃縮
緩衝液(宝酒造遺伝子工学用試薬カタログに記載、以下
10×緩衝液と略す)1μ、各酵素5ユニツトと水とを
加えて全量10μとし、かくはんした後、37℃で2時間
インキユベートすることによつて行つた。反応終了後、
反応液に2μの6×EP緩衝液を加え、1.2%のアガロ
ースゲルを用いて電気泳動を行つた。
<挿入断片の塩基配列決定> 先に調製したλcs19の挿入断片DNA溶液15μとM13mp
19(宝酒造)のRF DNAをEcoR I消化したもの0.2μg、
10倍濃縮ライゲーシヨン緩衝液2.5μ、T4DNAリガーゼ
2.8ユニツトと水とを加え、全量25μとしてかくはん
し、15℃で一晩インキユベートした。このライゲーシヨ
ン反応液1μを用いて、既述同様にしてJM109株を形
質転換し、X−GalとIPTGをそれぞれ1mg、0.238mg指示
菌としてJM109下部をL培地中で一晩培養したもの0.2m
l、軟寒天(B培地に終濃度0.6%になるように寒天を加
え、オートクレーブで処理した後50℃にしたもの)4ml
を加え、B培地(バクト トリプトン10g、NaCl 8g/
、1%ビタミンB1)のプレート上にまき、白いプラー
クを選ぶことによつて1.8kbの断片が挿入されている組
換え体を得た。
得られた組換え体12クローンのフアージをプラークか
らとり5mlのJM109株の一晩培養液をL−培地で1/100に
希釈したものに感染させ、6時間振とう培養した。組換
え体フアージのRF DNAをプラスミドDNAと同様、既述の
アルカリ溶菌法によつて調製し、15μのTE緩衝液に溶
解した。このDNA溶液5μとHind III用10×緩衝液1
μ、Hind III5ユニツトと水を混ぜて全量10μと
し、かくはんした後37℃で2時間インキユベートした。
2μの6×EP緩衝液を加え、1.2%のアガロースゲル
で電気泳動し、切断パターンから1.8kbの挿入断片の方
向を決めた(1つの方向のをMCS2と命名しもう一方向の
をMCS5と命名する)。MCS2とMCS5を作製したのと同様に
して、λcs19の挿入断片がM13mp19のEcoR Iサイトに異
なつた向きに挿入されている2クローン(MCS22とMCS29
と命名)を作製した。20mlの培養液から、MCS22とMCS29
のRF DNAを同様にして調製し、10μg/50μTEのDNA溶
液を得た。MCS22のRF DNA1μg(5μ)と10×緩衝
液2μ、50μg/ml RNase溶液1μ、Xho I5ユニツ
ト、Sal I5ユニツトと水とを加えて全量20μとし、か
くはんした後37℃で1時間インキユベートした。反応後
を10分間65℃に保つて、制限酵素を失活させた後2μ
を取出し、これに10×ライゲーシヨン緩衝液10μ、T4
DNAリガーゼと水とを加えて全量100μとし、かくはん
した後、16℃で3時間インキユベートした。反応液の40
μを用いて既述と同様にしてJM109下部を形質転換
し、白いプラークのクローンを解析し、1.8kbの挿入断
片のXho IサイトからN末側が欠失している誘導体(MCS
41と命名)を得た。
同様にして、それぞれ、Sac I、Acc I、Hind III、Ps
t I、Bgl II+BamH I、Xba Iを用いることによつて、対
応する挿入フラグメントのサイトからN末側が欠失して
いる誘導体を得た。ただしAcc Iの場合は、認識配列が
一意的には決まつていないので、末端の粘着末端を平滑
末端にしてからライゲーシヨンを行つた。同様にしてMC
S29から出発することによつて、上述のサイトのC末側
が欠失している誘導体を得た。更に、1.8kbの断片内に
ある0.4kbのHind III断片は、M13mp18のHind IIIサイト
にサブクローニングした。
上記の誘導体クローンを用いて、ジデオキシ法によつ
て、1.8kbの挿入断片の全塩基配列を決定した。この挿
入断片がカバーする物理地図上での領域をλcs19として
第1図に示した。決定された塩基配列を、ブタのカルパ
スタチンのcDNAと比較することによつて、1.8kbの挿入
断片は、カルパスタチン遺伝子のコーテイング領域の9
割をカバーすることが明らかになつた。
(1−2) プライマー伸長法によるcDNAクローニング 次に上記1.8kbの断片ではカバーされていない、機能
単位1の一部をカバーするクローンを得るため、mRNAの
プライマー伸長法によるcDNAクローニングを行つた。
(ポジテイブクローンの同定、単離) mRNAは、正常人肝由来のものを、前述のクローンテツ
ク社から得た(コード番号6510)。プライマーは、塩基
配列の524から508の位置に5′→3′の方向で存在する
17bpの合成DNAを用いた。mRNA2μgと、プライマー0.1
μgとを加え、アマシヤム社製cDNA合成キツトを使つ
て、cDNAを合成した。次に同じくアマシヤム社製cDNAク
ローニングシステムλgt10を使つて、無細胞系で、cDNA
をλgt10のEcoR Iサイトに組み込んだものを、ラムダフ
アージにパツケージした。ただし、パツケージには、ス
トラテジーン社のギガパツクゴールド(GIGAPACK GOL
D)を用いた。宿主菌もストラテジーン社推薦のC60chfl
株を用いてプレーテイングを行い、角シヤーレ10枚に、
1枚当り6,000個のフアージを形成させ、これをフイル
ターに移してフイルター処理を行つた。プローブとし
て、塩基配列の316から690の位置に相当するEcoR I−Xh
o I断片を用いた。
前述のpCS8の56μgと、10×緩衝液、EcoR I100ユニ
ツト、Xho I100ユニツトと水とを加えて400μとし、
かくはんした後37℃で2時間インキユベートした。反応
終了後、1.2%のアガロースゲルで電気泳動を行い、目
的の断片を含む部分を切り出した後、DNAを前述のよう
に電気的に抽出し、2.2μgを得た。このうち0.1gを、
前述のマルチプライム標識システムを用いて、32Pで標
識し、2×108CPM/μgの比活性のプローブを得た。こ
のプローブ3×106CPMと先に調製したフイルターを用
い、ハイブリダイゼーシヨンを行つた。次にフイルター
を洗浄し、オートラジオグラフを行つた。ポジテイブシ
グナルが1つ得られたので2次スクリーニングを行い、
シングルプラークを単離した(λcs131と命名する)。
(λcs131のDNAの調製) 次にフアージを液体培養法(遺伝子研究法、第100
頁、東京化学同人出版)によつて40mlの培養液から調製
し、これから24μgのDNAを得た。
(挿入断片の同定) 先に得られたDNA1μgと10×緩衝液3μ、EcoR I30
ユニツトを加え、全量30μとし、かくはんした後37℃
で2時間インキユベートした。反応液を1.2%アガロー
スゲルで解析し、0.5kbの挿入断片を同定した。
(挿入断片の塩基配列の決定) 先に得られたフアージDNA20μgと、10×緩衝液60μ
、EcoR I100ユニツトを加え、全量600μとし、かく
はんした後37℃で2時間反応させた。反応液をエタノー
ル沈殿を行つて濃縮し、DNAを40μのTEに溶解させ
た。これを1.2%のアガロースゲル電気泳動にかけ、目
的の挿入断片を含む部分を切り出し、DNAを電気的に抽
出し、100ngを得た。得られたDNA断片50ngと、RFM13mp1
9のEcoR I消化物50ng、10×ライゲーシヨン緩衝液1μ
、T4DNAトリガーゼ2.8ユニツトと水とを加えて10μ
としてかくはんし、15℃で一晩インキユベートした。
ライゲーシヨン反応液1μを用いてJM109下部を形
質転換し、前述したのと同様にして組換え体クローンを
得た。このクローンを用い、ジデオキシ法によつて、0.
5kbの挿入断片の塩基配列を決定した。この挿入断片が
カバーする物理地図上での領域をλcs131として第1図
に示した。実施例(1−1)、及び(1−2)での塩基
配列分析の結果からヒトカルパスタチンの機能単位Lの
一部と、機能単位1から4までの全塩基配列及びアミノ
酸配列が決定された。下記にその結果を示す。
実施例2 発現プラスミドの構築 (2−1) 機能単位1、2、3及び4を含むポリペプ
チドを発現するプラスミドの構築 以下の手順で、λcs19とλcs131の挿入EcoR I断片
を、シークエンスがオーバーラツプする領域内にあるAc
c Iサイトでつなぎ合せ、これをPUC119(N)のNco Iサ
イトにインフレームで挿入した発現プラスミド(pHCS12
1と命名)を構築した。
pCS860μをEcoR Iで消化し、エタノール沈殿をした
後、10×緩衝液45μ、Acc I270ユニツトと水とを加
え、全量450μとしてかくはんし、37℃で2.5分間イン
キユベートした後、270μの0.2M EDTAを加えて反応
を終了させ、プラスミドDNAをAcc Iで部分的に消化し
た。次に1%アガロースゲルで電気泳動を行い、1.77kb
のEcoR I−Acc I部分消化断片を含む部分を切り出し、D
NAを電気的に抽出した(実際には、未消化EcoR I断片と
の混液で、4μg得られた)。この部分消化断片2μg
と、λcs131から切り出し調製したBamH I−Acc I断片0.
3μg pUC119(N)をEcoR IとBamH Iで二重消化したも
の0.2μg、10×ライゲーシヨン緩衝液2μと水とを
加え、全量20μとしてかくはんし、15℃で一晩反応さ
せた。
反応液を70℃に10分間保つてリガーゼを失活させた後
10μを取出し、これに10×TA緩衝液5μと、Sma I1
0ユニツト、水とを加え全量50μとし、37℃で1時間
インキユベートした。このうち15μを用いてJM109下
部を形質転換し、pHCS13を得た。pHCS13のプラスミドDN
Aを調製し、0.8μgのDNAをBamH Iで消化した後、フエ
ノール抽出、エタノール沈殿をし、DNAを回収した。次
に10×緩衝液(70mMトリスHCl、pH7.5、200mM NaCl、70
mM MgCl2)1.5μと、クレノウ酵素2ユニツト、dNTP
混液(それぞれ1mM)と水とを加え、全量15μとして
かくはんし、37℃で10分間インキユベートした。
次にこれに12merのNco Iリンカー〔d(pCAGCCATGGCT
H)〕0.1μg、200mMdTT 1μ、10mM ATP0.5μ、T4D
NAリガーゼ2.8ユニツトと水とを加え、全量20μとし
てかくはんし、15℃で一晩インキユベートした。
ベツド体積1.5mlのセフアロースCL−4Bカラム(フア
ルマシア社、0.15M NaCl、トリス塩酸(pH7.5)、0.1mM
EDTAで平衡化)で過剰のリンカーを除いた後、MgCl2
終濃度10mMになるように加え、更にNco Iを100ユニツト
加え全量を550μとし、37℃で2.5時間インキユベート
した。次に70℃に10分間保ち、Nco Iを失活させた後、
反応系から250μ取出し、これにATPとDTTをそれぞれ
終濃度0.2mM、10mMになるように加え、更にT4DNAリガー
ゼ15ユニツトを加え、15℃で一晩インキユベートした。
次に反応液を70℃に10分間保ち、リガーゼを失活させた
後、5M NaCl5μ、Sal I50ユニツトを加え、37℃で2
時間インキユベートした後、コンセントレーターで濃縮
し、これを水に対して透析した(終体積63μ)。これ
から25μを取出しJM109下部を形質転換し、pHCS121を
得た。第2図にその構築過程を工程図として示す。
pHCS121を導入した大腸菌JM109をEscherichia coli J
M109/pHCS121と表示し、工業技術院微生物工業技術研究
所に寄託した〔微工研菌寄第9989号(FERM P−998
9)〕。
(2−2) 機能単位3を発現するプラスミドの構築 牧らの方法〔フエブス レタース、第223巻、第174〜
180頁(1987)〕に従い、pCS8を用いて機能単位2の機
能単位3と接する部分(前記ヌクレオチド番号で1079か
ら1084まで)にNco Iサイトを導入した。すなわちpCS8
から一本鎖DNAを調製し、部位特異的試験管内変異体作
成システム(アマシヤム社)と、合成DNAプライマーを
用いた部分特異的変異操作により機能単位3の開始コド
ンを含むNco Iサイトが導入されたプラスミドを得た。N
co Iサイトを導入したプラスミドをNco I+Xba Iで消化
した後、1%アガロースゲル電気泳動で、この断片を切
り出し、電気的に溶出して回収した。この断片を前述と
同様にしてpUC119(N)のNco I−Xba Iサイトに挿入し
たプラスミドを作製した。次に前述の方法同様の部位特
異的変異操作におり、機能部位3のC末部分(前記のヌ
クレオチド番号で1475から1480まで)にAfr IIサイト、
すなわち終止コドンを導入した。第3図にその構築過程
を工程図として示す。このプラスミドをpHCS111と命名
し、pHCS111を保持する大腸菌JM109をEscherichia coli
JM109/pHCS111と表示して、工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託した〔微工研菌寄第9988号(FERM P−998
8)〕。
実施例3 ヒトカルパスタチン様ポリペプチドの大腸菌
における発現 (3−1) 機能単位3の発現 実施例2で得られたEscherichia coli JM109/pHCS111
(FERM P−9988)を5mlのL培地に植えて37℃で振とう
培養し、対数増殖中期に達した時点で、終濃度2mMにな
るようにIPTGを加え、更に4時間培養を行つた。培養
後、菌体を0℃に冷やした後、NaN3を終濃度0.02%にな
るように加え、かくはんした後、集菌した。上清を捨て
菌体を0.6mlのM緩衝液〔20mMトリスHCl(pH7.5)、1mM
EDTA、1mM EGTA、0.2mM PMSF、5mM 2−メルカプトエタ
ノール〕で洗浄し、遠心した後、0.5mlのM緩衝液に懸
濁し、リゾチームを終濃度0.5mg/mlとなるように加え、
10分間0℃でインキユベートする。次に凍結融解(−70
℃20℃)を3回繰返し、14,000rpmで20分間遠心し、
上清を95℃に10分間保つた。更にこれを14,000rpmで10
分間遠心し、上清を回収した。このようにして得た調製
液のカルパスタチン活性を、以下に示すようにカルパイ
ンの阻害をみることにより測定した(ジャーナル オブ
バイオケミストリー、第95巻、第1759頁(1984)〕。
サンプルとカルパイン、2%カゼイン40μ、6mg/mlシ
ステイン溶液20μと水とを混合し、全量180μとし
た。次に30℃に5分間予熱した後、50mM塩化カルシウム
を20μ加えて混合し、30℃で30分間インキユベートし
た。次に5%TCAを200μ加えて反応を停止し、3,500r
pmで10分間遠心し、上清を回収した。
このうち0.2mlをとり、モノヨード酢酸溶液(0.7M Na
CO3/0.1N NaOHと2Nモノヨード酢酸/2N NaOHを1:1に混合
したもの)100μを加え、更にローリー試薬(0.5%Cu
SO4と0.1%酒石酸カリ、2%Na2CO3/0.1N NaOHを1:1:50
の割合で混合したもの)1mlを加えて混合し、10分間静
置した。
次に1Nフエノール試薬100μを加えてすぐにかくは
んし、30分以上放置してからA750nmを測定し、これより
カルパイン阻害活性を算出した。
上記の方法で得た調製液10μは、0.2mlのカルパイ
ン反応系でブタ赤血球カルパインIを66%阻害した。次
いで活性本体であるポリペプチドを精製し、その構造が
前記D3で示される構造を含むポリペプチドであることを
確認した。なお、プラスミドを保持しない大腸菌JM109
を同様に処理したが、阻害活性は全く認められなかつ
た。
(3−2) 機能単位1、2、3及び4を含むポリペプ
チドの発現 (2−1)で構築したEscherichia coli JM109/pHCS1
21(FERM P−9988)を用い、上記の機能単位3のタンパ
クを発現、調製したのと同様の操作を行い、調製液にカ
ルパイン阻害活性を確認した。次いで活性本体であるポ
リペプチドを精製し、その構造が前記D1、D2、D3及びD4
を含むポリペプチドであることを確認した。
〔発明の効果〕
以上の結果から、本発明によりヒトカルパスタチンの
活性発現に必要なアミノ酸配列及びそのDNA配列が明ら
かとなり、ヒトカルパスタチン様ポリペプチドの遺伝子
工学的製造法が提供された。
【図面の簡単な説明】
第1図はヒトカルパスタチンcDNAの制限酵素地図及び機
能単位構造を示した図、第2図はヒトカルパスタチンの
機能単位Lの一部と機能単位1から4までのアミノ酸配
列を有するポリペプチドを発現させるための組換え体プ
ラスミドの構築過程を示した工程図、第3図はヒトカル
パスタチンの機能単位3のアミノ酸配列を有するポリペ
プチドを発現させるための組換え体プラスミドの構築過
程を示した工程図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 38/55 ABJ A61K 37/64 ABJ ABL ADU ABU ABL ADU ABU (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 畑中 正一 京都府京都市左京区高野東開町1―23 東大路高野第3住宅35―203 (72)発明者 牧 正敏 京都府宇治市五ケ庄 京都大学職員宿舎 655 (56)参考文献 Proc.Natl.Acad.Sc i.VSA 84(1987)p.3590−3594 FEBS Ieiters 223[1 ](1987)p.174−180

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトカルパスタチンの機能単位であり下記
    式D1、D2、D3又はD4で示されるポリペプチド、あるいは
    下記式D1、D2、D3、D4がこの順番で結合したヒトカルパ
    スタチン様ポリペプチド。
  2. 【請求項2】請求項1記載のポリペプチドをコードする
    核酸。
  3. 【請求項3】請求項2記載の核酸を含有させた組換え体
    プラスミドを導入させた形質転換体。
  4. 【請求項4】請求項3記載の形質転換体を培養し、該培
    養物より請求項1記載のヒトカルパスタチン様ポリペプ
    チドを採取することを特徴とするヒトカルパスタチン様
    ポリペプチドの製造方法。
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