JP2656720B2 - 光学活性アミノクマラン誘導体 - Google Patents

光学活性アミノクマラン誘導体

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JP2656720B2
JP2656720B2 JP30781693A JP30781693A JP2656720B2 JP 2656720 B2 JP2656720 B2 JP 2656720B2 JP 30781693 A JP30781693 A JP 30781693A JP 30781693 A JP30781693 A JP 30781693A JP 2656720 B2 JP2656720 B2 JP 2656720B2
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滋紀 大川
正敬 三木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、特に脳卒中およ
び頭部外傷に伴う脳機能障害の改善、治療および予防に
有効である光学活性アミノクマラン誘導体の結晶性塩に
関する。
【0002】
【従来技術および課題】体内での過酸化脂質の生成およ
びそれに付随したラジカル反応が、膜障害や酵素障害等
を介して生体に種々の悪影響を及ぼすことが明らかにな
るにつれて、抗酸化・過酸化脂質生成抑制剤の医薬への
応用が種々試みられるようになってきた。現在、医薬分
野で用いられる抗酸化・過酸化脂質生成抑制剤は、主と
して、ビタミンCやビタミンE等の天然抗酸化剤の誘導
体およびフェノール誘導体である(福沢健治著、日本臨
床46巻、2269〜2276頁(1988年))が、
作用が弱かったり、副作用があったりするので実用的に
必ずしも満足できるものではない。一方、本発明者ら
は、すでに、優れた過酸化脂質生成抑制作用を有する下
記一般式(A)で示されるアミノクマラン誘導体を見いだ
し、特許出願している[特願平3−282880号(EP
−A−0483772)]。
【0003】
【化1】
【0004】[式中、R1およびR2は同一または異なっ
て、水素原子、アシル基、アルコキシカルボニル基また
は芳香環基を、R3、R4およびR5は、同一または異な
って、アシル化されていてもよい水酸基、それぞれ置換
基を有していてもよいアミノ基、アルコキシ基または脂
肪族基であるか、またはR3、R4およびR5のうち二つ
が置換基を有していてもよい炭素同素環を形成していて
もよく、R6およびR7は、同一または異なって、置換基
を有していてもよい脂肪族であり、しかも、R6および
7の少なくとも一つはα位がメチレン基であり、R8
よびR9は、同一または異なって、水素原子またはそれ
ぞれ置換基を有していてもよい脂肪族基または芳香環基
を示す]ところで、一般式(A)で表されるアミノクマ
ラン誘導体のうち、式(B):
【0005】
【化2】
【0006】で示される5−アミノ−2,4,6,7−テ
トラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−
2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランについては、上記明細
書には水に難溶性の遊離体として記載されている。ま
た、上記誘導体(B)は、分子内に不斉炭素を有してお
り、2種類の光学異性体、(R)体と(S)体が存在する
が、上記明細書ではかかる光学活性体の混合物(ラセミ
体)として記載されているが、不安定であるので、医薬
製剤として適していない。また、作用、水溶性、安定性
(または保存性)等の点から、注射剤として十分満足で
きる過酸化脂質生成抑制剤は未だ見いだされておらず、
その開発が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、脳卒中および頭部
外傷等に伴う脳機能障害の改善、治療および予防に有用
な上記化合物(A)の中から、5−アミノ−2,4,6,
7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメチ
ル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランの化合物(B)
を特に選定し、さらに光学異性体の分離および塩形成を
行い、一般常識「ある化合物を最初に結晶化するのは困
難である」にもかかわらず、化合物(B)の光学活性体
の結晶性塩の創製にはじめて成功し、さらにこれが予想
外にも、安定かつ水溶性であり注射剤として極めて有用
であることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、5−アミノ−2,4,
6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメ
チル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物
(B))の光学活性体の結晶性塩、特に、その2塩酸塩
およびフマル酸塩、それらの製造法およびそれらを含有
する過酸化脂質生成抑制剤を提供するものである。
【0009】本発明の結晶性塩は、具体的には次式(I)
で表される化合物(光学活性体)の結晶性塩である。
【0010】
【化3】
【0011】本発明の結晶性塩は、5−アミノ−2,4,
6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメ
チル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランの光学活性体
(I)と薬理学的に許容される酸、例えば、塩酸、臭化
水素酸、硫酸、燐酸などの無機酸、例えば酢酸、フマル
酸、マレイン酸、酒石酸、マンデル酸、メタンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有
機酸、およびアスパラギン酸、グルタミン酸などのアミ
ノ酸などとの塩の結晶である。本発明の結晶性塩は、モ
ノ酸塩またはジ酸塩のいずれでもよい。本発明の結晶性
塩として、好ましくは、2塩酸塩またはフマル酸塩など
である。
【0012】本発明の結晶性塩は、(1)5−アミノ−
2,4,6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリ
ジノメチル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン(化合物
(B))と光学活性有機酸とを反応させるか、または、
(2)化合物(B)の光学活性体と酸とを反応させるこ
とによって製造される。
【0013】以下、各製法を順に説明する。第(1)法
では、化合物(B)と光学活性有機酸とを反応させるこ
とによって、本発明の結晶性塩を生成させるが、具体的
には、 (a)化合物(B)と光学活性有機酸とを溶媒中で混合
させ、均一溶液とする、または (b)化合物(B)と光学活性有機酸とを常法(例、酸
クロリド法)によって縮合させてアミド体のジアステレ
オマー混合物とし、これを分別結晶法やシリカゲルクロ
マトグラフィーなどの分離精製手段を使って分離精製し
た後、酸性加水分解(塩酸、硫酸、リン酸などの無機
酸、メタンスルホン酸などの有機酸または酸性イオン交
換樹脂を用いる)あるいは塩基性加水分解(水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどの塩基と水単独あるいはメ
タノール、エタノールなどの有機溶媒との混合系を用い
る)により本発明の結晶性塩を製造できる。上記(a)
および(b)法において、代表的な光学活性有機酸とし
ては、分子内に不斉中心を有する有機カルボン酸、有機
リン酸、有機スルホン酸などが用いられ、具体的には例
えば、置換(+)−酒石酸(例、(+)−ジアセチル酒石
酸、(+)−ジトルイル酒石酸、(+)−ジベンゾイル酒石
酸など)、(+)−酒石酸、(+)−リンゴ酸、(+)−マン
デル酸、(+)−乳酸、(+)−カンファー−10−スルホ
ン酸、(+)−3−ブロモカンファー−10−スルホン
酸、MTPA(α−メトキシ−α−(トリフルオロメチ
ル)フェニル酢酸)、メントキシ酢酸などが挙げられ
る。このうち、好ましくは、(a)法では(+)−マンデ
ル酸などが、(b)法ではMTPA、メントキシ酢酸な
どが用いられる。
【0014】(a)法において、溶媒としては、例え
ば、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、
エーテル類(例、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサンなど)、エステル類(例、酢酸エチル、
酢酸メチルなど)、ケトン類(例、アセトンなど)、ニ
トリル類(例、アセトニトリルなど)、アミド類(例、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、
ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、これらを単独あ
るいは混合して用いることができる。このうち、好まし
くは、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、エー
テルなどからなる混合溶媒などが用いられる。(a)法
において、通常、化合物(B)1当量に対し、0.5〜
5当量程度、好ましくは0.5〜2当量程度の光学活性
有機酸が用いられる。化合物(B)に対する溶媒の量
は、溶媒の種類によっても異なるが、例えば、メタノー
ル−アセトニトリルの場合、化合物(B)1重量部に対
し5〜30重量部程度が用いられる。(a)法は0〜1
00℃、好ましくは20〜50℃で行い、化合物(B)
と光学活性有機酸とを混合させると瞬時に結晶性塩が形
成される。
【0015】さらに所望により、第(1)法で得られた
結晶性塩を含有する溶液に、1〜50倍量(重量)程
度、好ましくは3〜10倍量程度の、塩が難溶性の有機
溶媒(例、エーテル、ヘキサン、酢酸エチル等)を加
え、0.5〜24時間程度、0〜30℃程度で放置し、
生じた沈殿物(光学活性有機酸塩)をろ取してもよい。
また、あらかじめ第(1)法で得られた結晶性塩を含有
する溶液を容積が1/2〜1/4程度になるまで20〜
100℃程度で濃縮(減圧濃縮等)してから塩が難溶性
の有機溶媒を加えてもよい。
【0016】第(2)法では、化合物(B)の光学活性体
と酸、例えば上記の薬理学的に許容される酸とを反応さ
せる、具体的には例えば、両者を溶媒中で混合させ、均
一溶液とすることによって、目的物の結晶性塩を形成さ
せる。ここで用いられる溶媒としては、第(1)法で用
いられる溶媒と同様のものが用いられる。また、本法に
おける温度および時間は、第(1)法と同様である。さ
らに所望により、第(1)法と同様、第(2)法で得ら
れた目的物の結晶性塩を含有する溶液から目的物を分離
してもよい。
【0017】化合物(B)の光学活性体は、第(1)法
で得られた光学活性有機酸塩に炭酸カリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩ま
たは水酸化物などの無機塩基の水溶液を混合し、例えば
濾過、溶媒抽出等の分離手段により分離できる。塩基の
使用量は、塩1重量部に対し1〜10重量部程度であ
る。
【0018】また、別法として、化合物(B)またはそ
の塩(上記薬理学的に許容される酸との塩など)を、光
学活性体分離用カラム(キラルカラム)、例えばENANTI
O-OVM(トーソー社)やCHIRALCELシリーズ(ダイセル
社)などを用いるクロマトグラフィーに付し、水、種々
の緩衝液(例、リン酸緩衝液など)、アルコール類
(例、メタノール、エタノールなど)、ニトリル類
(例、アセトニトリルなど)、エーテル類(例、テトラ
ヒドロフランなど)、炭化水素類(例、ヘキサンなど)
の有機溶媒などを単独あるいは混合液で展開させること
によって、化合物(B)の光学活性体を製造できる。
【0019】本発明の結晶性塩の原料となる化合物
(B)は、EP−A−0483772の実施例67に記
載された方法に従って製造される。
【0020】本発明の結晶性塩は、多価不飽和脂肪酸
(リノール酸、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、アラ
キドン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサペンタエ
ン酸)の代謝改善、特に、過酸化脂質生成反応を抑制す
る作用(抗酸化作用)、5−リポキシゲナーゼ系代謝産物
[例、ロイコトリエン類、5−ヒドロペルオキシエイコ
サテトラエン酸(HPETE)、5−ヒドロキシエイコサ
テトラエン酸(HETE)、リポキシン類、ロイコトキシ
ン類など]の生成抑制作用、トロンボキサンA2合成酵素
の阻害作用、プロスタグランジンI2合成酵素保持促進
作用、LTD4受容体拮抗作用、活性酸素種の消去作用
などの循環系改善作用や抗アレルギー作用を有する。上
記のこれらの作用のうち、とりわけ、本発明の結晶性塩
は、過酸化脂質生成反応抑制作用(抗酸化作用)を顕著に
示す。
【0021】また、本発明の結晶性塩の毒性、副作用は
低い。したがって、本発明の結晶性塩は哺乳動物(例、
マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、ヒトなど)にお
ける血小板凝集による血栓症、心、肺、脳、腎における
動脈血管平滑筋の収縮あるいは血管れん縮による虚血性
疾患(例、心筋梗塞、脳卒中)、神経変性疾患(例、パー
キンソン病、アルツハイマー病、ルー・ゲーリッヒ氏
病、筋ジストロフィ)、頭部外傷、脊髄外傷など中枢損
傷にともなう機能障害、記憶障害や情動障害(酸欠、脳
損傷、脳卒中、脳梗塞、脳血栓等により惹起される神経
細胞壊死などにともなう障害)、脳卒中、脳梗塞後や脳
外科手術、頭部外傷後に起こるけいれんおよびてんか
ん、腎炎、肺不全、気管支喘息、炎症、動脈硬化、アテ
ローム変性動脈硬化、肝炎、急性肝炎、肝硬変、過敏症
肝臓炎、免疫不全症、活性酸素種(スーパーオキサイ
ド、水酸化ラジカルなど)による酵素、生体組織、細胞
などの障害によって引き起こされる循環器系疾患(心筋
梗塞、脳卒中、脳浮腫、腎炎など)、組織繊維化現象や
発癌などの諸疾患に対して治療および予防効果を有し、
例えば、抗血栓剤、抗血管れん縮剤、抗喘息剤、抗アレ
ルギー剤、心、脳の循環器系改善剤、腎炎治療剤、肝炎
治療剤、組織繊維化阻止剤、活性酸素種消去剤、アラキ
ドン酸カスケード物質調節改善剤などの医薬として有用
である。
【0022】本発明の結晶性塩は、そのままもしくは自
体公知の薬学的に許容される担体、賦形剤などと混合し
た医薬組成物(例、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、
坐剤)として経口的もしくは非経口的に安全に投与する
ことができる。本発明の結晶性塩は水溶性であり、特に
注射剤として有利に投与される。投与量は投与対象、投
与ルート、症状などによっても異なるが、例えば、成人
の循環器系疾患の患者に対して非経口投与するときは、
通常1回量として約0.01mg/kg〜20mg/kg体重程
度、好ましくは0.1mg/kg〜10mg/kg体重程度、さ
らに好ましくは0.5mg/kg〜10mg/kg体重程度を1
日1〜3回程度投与するのが好都合である。
【0023】
【実施例】つぎに、実施例、分析例および試験例により
本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
【0024】実施例1 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・(S)−(+)−マンデル酸塩 (±)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル−2−
(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒドロベ
ンゾ[b]フラン35.4gのクロロホルム500ml溶液
に、(S)−(+)−マンデル酸14.78gのメタノール3
00ml溶液を加えて濃縮した。残渣に約500mlのエー
テルを加え、生じた沈澱を濾過してエーテルで洗浄し
た。得られた粗結晶35.4gを、以下の再結晶操作に2
回供した。即ち、粗結晶をメタノールアセトニトリル
(2:1)(1リットル)に溶解し濃縮した。およそ100m
l溶まで濃縮し、エーテル約500mlを加え、2時間2
0℃で放置後、生じた沈澱物をよく砕いた後濾過し、エ
ーテルで洗浄した。以上の操作を2回行って(1回目収
量21.96g)、(S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7
−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメチル)
−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・(S)−(+)−マン
デル酸塩19.90gを得た。 融点 186−190℃ [α]D 27 +57.1°(c=1.230, メタノール) 元素分析値 C24322O・C883として 計算値: C,74.39; H,7.80; N,5.42 実験値: C,74.31; H,7.83; N:5.38.
【0025】実施例2 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・2塩酸塩 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・(S)−(+)−マンデル酸塩19.
8gを酢酸エチル500mlと0.5N水酸化ナトリウム水
溶液500mlに分配した。有機層を0.5N水酸化ナト
リウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食
塩水で順次洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した。濃
縮乾固して得られた残渣およそ15gをメタノール14
0mlに溶解し、4N塩酸酢酸エチル溶液23.3mlを加
えた。濃縮乾固して得られた残渣を、酢酸エチルから結
晶化して粗結晶を得た。メタノール−酢酸エチルから再
結晶を行い、(S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−
テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−
2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・2塩酸塩13.84g
を得た。 融点 226℃(分解) [α]D 26 +27.8°(c=1.054, メタノール) 元素分析値 C24322O・H2Cl2として 計算値: C,65.90; H,7.83; N,6.40; Cl,16.21 実験値: C,65.60; H,7.89; N,6.37; Cl,16.01.
【0026】実施例3 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・2メタンスルホン酸塩 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・2塩酸塩800mgを酢酸エチル
(10ml)と0.5N水酸化ナトリウム水溶液(10m
l)に分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶
液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾
燥した。濃縮乾固して得られた残渣とメタンスルホン酸
351mgをメタノールに溶解した後、濃縮乾固した。残
渣に酢酸エチルを加えて生じた結晶性の沈澱物を濾過
し、酢酸エチルで洗浄することにより、結晶性の(S)−
(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル−2−
(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒドロベ
ンゾ[b]フラン・2メタンスルホン酸塩950mgを得
た。 融点 202−211℃ [α]D 25 +21.4°(c=1.340, メタノール) 元素分析値 C24322O・C2826として 計算値: C,56.09; H,7.24; N,5.03; S,11.52 実験値: C,55.91; H,7.25; N,4.95; S,11.23.
【0027】実施例4 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・フマル酸塩 実施例3と同様にして、(S)−(+)−5−アミノ−2,
4,6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジ
ノメチル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・2塩酸
塩800mgとフマル酸212mgより(S)−(+)−5−ア
ミノ−2,4,6,7−テトラメチル−2−(4−フェニル
ピペリジノメチル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン
・フマル酸塩543mgを得た。 融点 177−180℃ [α]D 25 +32.2°(c=1.070, メタノール) 元素分析値 C24322O・C444として 計算値: C,69.98; H,7.55; N,5.83 実験値: C,69.97; H,7.54; N,6.07.
【0028】実施例5 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・2臭化水素酸塩 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン860mgをメタノールに溶解した
後、25%臭化水素酢酸溶液0.5mlを加え、濃縮し
た。残渣をエタノールに溶解、放置し、析出した結晶を
ろ過し、エタノールで洗浄することにより、(S)−(+)
−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル−2−(4−
フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒドロベンゾ
[b]フラン・2臭化水素酸塩810mgを得た。 融点 220.5℃(分解) [α]D 20 +23.6°(c=0.86,メタノール) 元素分析値 C24322O・2HBrとして 計算値: C,54.77; H,6.51; N,5.32 実験値: C,54.47; H,6.60; N:5.17
【0029】実施例6 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン・L−酒石酸塩 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,6,7−テトラメチル
−2−(4−フェニルピペリジノメチル)−2,3−ジヒ
ドロベンゾ[b]フラン870mgとL−酒石酸354mgを
メタノールに溶解した後、濃縮した。残渣をエタノール
に溶解、放置し、析出した結晶をろ過し、エタノールで
洗浄することにより、(S)−(+)−5−アミノ−2,4,
6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメ
チル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン・L−酒石酸
塩・1エタノール970mgを得た。 融点 130.5℃ [α]D 20 +35.0°(c=0.755,メタノール) 元素分析値 C24322O・C466・C25OHと
して 計算値: C,64.26; H,7.90; N,5.00 実験値: C,64.32; H,8.11; N:4.92
【0030】分析例1 EP−A−0483772の実施例67の化合物と実施
例1の化合物の遊離塩基を光学分割カラムを用いて高速
液体クロマトグラフィーで分析した。 分析条件 カラム:キラルセルOD(4.6×250mm) 移動相:n−ヘキサン−エタノール−ジエチルアミン(1
00:0.5:0.1,v/v) 流速:1ml/min 検出:UV254nm 分析結果を図1および図2に示す。
【0031】分析例2 実施例2の化合物の粉末X線回折(CuKα,40kV,
40mA)を行った。回折図を図3に示す。図3より、
実施例2の化合物は、格子面間隔(d)が13.89、
7.12、5.36、4.26、4.05、4.00、3.3
1、3.21に特徴的ピークが現れる粉末X線回折パタ
ーンを有する結晶形を有することがわかる。
【0032】試験例1 脊髄くも膜下腔内に塩化第1鉄を投与されたマウスの行
動変化に対する薬物の作用 1群10匹の5週令雄性SIc:ICRマウスを使用し
た。50mM塩化第1鉄を溶解した生理的食塩水5μl/
マウスを第6腰髄から第1仙髄のくも膜下腔内に注入し
た後、15分から1時間まで行動観察を行い、行動変化
の評点は以下の基準で行った。 評点 行動変化 0点: 正常 1点: 下肢、下腹部をしきりに噛む。 2点: a)激しく時には転げ回りながら下半身を噛む。 b)外部刺激に対する過敏反応が認められ、攻撃的になる。 c)振顫が起こる。 以上3つの反応のいずれかが認められる。 3点: 間代性痙攣が認められる。 4点: 強直性痙攣が認められる。もしくは片側または両側肢の麻痺が認められ る。 5点: 死亡する。 以上の基準で評価した点数をもとに抑制率(抑制率=
[(5−評点)/5]×100)で示した。被験化合物塩は
塩化第1鉄投与30分間に経口投与した。実施例2の化
合物25mg/kgを1回経口投与したときの平均スコアー
および抑制率を表1に示す。
【0033】
【表1】 平均スコアー 25mg/kg投与 生理食塩水投与 抑制率(%) 実施例2 0.2 5.0 96
【0034】以上の結果から、本発明の結晶性塩は塩化
第1鉄による過酸化脂質生成に伴う中枢神経系障害の抑
制作用がすぐれていることがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、過酸化脂質生成抑制
剤、特に、脳卒中および頭部外傷に伴う脳機能障害の改
善、治療および予防剤として有用な5−アミノ−2,4,
6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメ
チル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランの光学活性体
の結晶性塩が提供される。本発明の結晶性塩は、該化合
物の遊離体と比較して高い水溶性を有し、かつ、安定で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 分析例で得られた高速液体クロマトグラフィ
ーの結果(EP−A−0483772の実施例67の化
合物を用いた時)を示す。横軸は保持時間(分)を示
す。ピーク1は(S)−(+)体、ピーク2は(R)−(−)体
のピークをそれぞれ示す。
【図2】 分析例で得られた高速液体クロマトグラフィ
ーの結果(実施例1の化合物の遊離塩基を用いた時)を示
す。横軸は保持時間(分)を示す。ピーク1は(S)−
(+)体のピークを示す。
【図3】 実施例2の化合物の粉末X線回折図を示す。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (S)−(+)−5−アミノ−2,4,
    6,7−テトラメチル−2−(4−フェニルピペリジノメ
    チル)−2,3−ジヒドロベンゾ[b]フランの結晶性塩。
  2. 【請求項2】 塩が2塩酸塩である請求項1記載の結晶
    性塩。
  3. 【請求項3】 塩がフマル酸塩である請求項1記載の結
    晶性塩。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の結晶性塩を含有する過酸
    化脂質生成抑制剤。
  5. 【請求項5】 脳機能障害予防治療剤として用いられる
    請求項4記載の過酸化脂質生成抑制剤。
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