JP2653711B2 - ポリウレタン - Google Patents

ポリウレタン

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JP2653711B2 JP2121904A JP12190490A JP2653711B2 JP 2653711 B2 JP2653711 B2 JP 2653711B2 JP 2121904 A JP2121904 A JP 2121904A JP 12190490 A JP12190490 A JP 12190490A JP 2653711 B2 JP2653711 B2 JP 2653711B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は優れた弾性回復性と柔軟性を有し、かつ耐熱
性および耐久性においても優れた性能を有するポリエス
テル系またはポリカーボネート系のポリウレタンに関す
る。
〔従来の技術〕
従来よりポリウレタンは高弾性、耐摩耗性および耐油
性に優れる等の多くの特長を有するためゴムやプラスチ
ックの代替材料として注目されており、通常のプラスチ
ツク成形加工法が適用できる成形材料として広範な用途
で多量に使用されるようになつてきている。ポリウレタ
ンは高分子ジオール、有機ジイソシアナート及び1,4−
ブタンジオール等の鎖伸長剤からなる原料を混合して重
合することによつて製造されているが、均質なポリウレ
タンを製造するためには原料を溶融状態で混合して重合
することが好ましいことが知られている〔例えば、岩田
敬治著「ポリウレタン樹脂」、(昭和50年7月30日日刊
工業新聞社発行)〕。
またポリウレタンとしてはポリエステル系ポリウレタ
ン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系
ポリウレタン等が知られているが諸性能のバランスを鑑
みてポリエステル系またはポリカーボネート系のポリウ
レタンが広く用いられている。ポリエステル系またはポ
リカーボネート系のポリウレタンは高分子ジオールとし
てポリエステルジオールやポリカーボネートジオールを
それぞれ用いて製造されるが、一般に、ポリエステル系
ポリウレタンは耐加水分解性に、ポリカーボネート系ポ
リウレタンは低温での柔軟性にそれぞれ問題があるとさ
れている。これらの問題点を同時に解決しうるポリウレ
タンとして、そのソフトセグメントを構成する高分子ジ
オール部分中に2−メチル−1,8−オクタンジオール残
基を含むポリウレタンが特開昭62−22817号公報に開示
されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特開昭62−22817号公報に具体的に記載されてい
るような2−メチル−1,8−オクタンジオール残基を含
む高分子ジオール部分を有するポリウレタンでは、柔軟
性、耐加水分解性および耐摩耗性が良好であるが、特に
繊維などの用途においては、弾性、弾性回復性、伸度な
どの性能のいつそうの改善が望まれる。
しかして、本発明の目的は、弾性回復性および柔軟性
に優れ、かつ耐熱性、耐熱水性および耐久性にも優れた
性能を有するポリウレタンを提供することにあり、さら
には伸度の大きいポリウレタン弾性繊維を与えることが
可能なポリウレタンを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によれば、上記の目的は、高分子ジオールから
誘導される構造単位、有機ジイソシアナートから誘導さ
れる構造単位および低分子ジオールから誘導される構造
単位からなるポリウレタンであつて、 (A)該高分子ジオールが、式 −O−(CH2−O− で示される構造単位(I)式 で示される構造単位(II)および式 で示される構造単位(III)からなる群から選ばれる1
〜3種のジオール単位および一般式 (式中、R2は2価の有機基を表す) で示されるジカルボン酸単位または式 で示されるカルボニル単位からなり、構造単位(I)、
構造単位(II)および構造単位(III)の合計モル数基
準における構造単位(II)と構造単位(III)との合計
モル数の割合が10%以上であり、構造単位(I)と構造
単位(II)との合計モル数の割合が50%以上であり、か
つ数平均分子量1000〜3500のポリエステルジオールまた
はポリカーボネートジオールであり、 (B)該有機ジイソシアナートが一般式 O=C=N−R3−N=C=O (式中、R3は2価の有機基を表す) で示される化合物であり、 (C)該低分子ジオールが1,4−ブタンジオールと1,4−
ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとのモル比95
/5〜5/95の範囲内の混合物であり、かつn−ブチルアミ
ンを1重量%含むN,N−ジメチルホルムアミド溶液中に
0.5g/dlの濃度となるように溶解させ室温下で24時間放
置することによつて得られた溶液についてウベローデ粘
度管を用いて測定された対数粘度が0.2〜1.6dl/gの範囲
内であることを特徴とするポリウレタンを提供すること
により達成される。
本発明のポリウレタンを製造するために使用される高
分子ジオールは、ジオール単位として前記構造単位
(I)、構造単位(II)および構造単位(III)からな
る群から選ばれる1〜3種の構造単位を含有するポリエ
ステルジオールまたはポリカーボネートジオールであ
る。該高分子ジオールには、前記構造単位(I)、構造
単位(II)および構造単位(III)からなる群から選ば
れる1〜3種のジオール単位が存在することが必須であ
る。構造単位(I)を与える化合物としては1,9−ノナ
ンジオールが挙げられ、構造単位(II)を与える化合物
としては2−メチル−1,8−オクタンジオールが挙げら
れ、また構造単位(III)を与える化合物としては3−
メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。本発明
においては高分子ジオール中の構造単位(I)、構造単
位(II)および構造単位(III)の合計モル数基準にお
ける構造単位(II)と構造単位(III)との合計モル数
の割合が10%以上であり、かつ構造単位(I)と構造単
位(II)との合計モル数の割合が50%以上であることが
必要である。該構造単位(II)と構造単位(III)との
合計モル数の割合が10%未満である場合には得られるポ
リウレタンの弾性回復性が低下し、伸度が小さくなる。
また該構造単位(I)と構造単位(II)との合計モル数
の割合が50%未満の場合にはポリウレタンの耐水性、耐
かび性および耐寒性が低下する。
高分子ジオールのうちポリエステルジオールを構成す
るジカルボン酸単位中に含まれる2価の有機基R2として
は、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレ
ン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメ
チレン基などの炭素数3〜10の2価の飽和脂肪族炭化水
素基;o−,m−またはp−フエニレン基、ナフチレン基な
どの炭素数6〜10の2価の芳香族炭化水素基などが好ま
しい。ジカルボン酸単位を与える化合物としては、炭素
数5〜12の飽和脂肪族または芳香族のジカルボン酸など
のジカルボン酸が好ましく、なかでも飽和脂肪族ジカル
ボン酸が好ましい。飽和脂肪族ジカルボン酸の例として
はグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、
アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。また芳香族
ジカルボン酸の例としてはフタル酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸等が挙げられる。ジカルボン酸としては、特
にアジピン酸、アゼライン酸などが好ましい。
本発明のポリウレタンを製造するために使用される上
記高分子ジオールの数平均分子量は1000〜3500、好まし
くは1500〜3000である。該数平均分子量が1000より小さ
いと得られるポリウレタンの耐熱性および弾性回復性が
低下し、一方、3500より大きいと力学物性、紡糸性およ
び弾性回復性が低下する。
高分子ジオールとして使用されるポリエステルジオー
ルはいかなる製造法によつて得られたものでもよい。ポ
リエステルジオールは例えばポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートなどの通常のポリエス
テルの製造において用いられる公知の方法と同様の方
法、すなわちジオール単位に対応するジオールとジカル
ボン酸単位に対応するジカルボン酸またはそのエステル
形成性誘導体とを用いてエステル交換または直接エステ
ル化とそれに続く溶融重縮合反応を行うことによつて製
造可能である。
高分子ジオールとして使用されるポリカーボネートジ
オールもその製造法は特に限定されない。ポリカーボネ
ートジオールは例えばカーボネート化合物とビスフエノ
ールAからのポリカーボネートなどの通常のポリカーボ
ネートの製造において用いられている公知の方法と同様
の方法、すなわちエステル交換反応にて製造可能であ
る。ここで、カーボネート化合物としてはジアルキルカ
ーボネート、ジフエニルカーボネートなどのジアリール
カーボネート、アルキレンカーボネートなどが好ましく
使用される。
本発明のポリウレタンを製造するために使用される有
機ジイソシアナート中に含まれる2価の有機基R3として
は、ヘキサメチレン基などの2価の飽和脂肪族炭化水素
基;イソホロンジイル基、ジシクロヘキシルメタン−4,
4′−ジイル基などの2価の飽和脂環式炭化水素基;ジ
フエニルメタン−4,4′−ジイル基、p−フエニレン
基、メチルフエニレン基、1,5−ナフチレン基、キシレ
ン−α,α′−ジイル基などの2価の芳香族炭化水素基
などが好ましく、とりわけジフエニルメタン−4,4′−
ジイル基などが好ましい。該有機ジイソシアナートとし
ては、当業界で公知の飽和脂肪族、飽和脂環式または芳
香族の有機ジイソシアナートが挙げられ、具体的には4,
4′−ジフエニルメタンジイソシアナート、p−フエニ
レンジイソシアナート、トルイレンジイソシアナート、
1,5−ナフチレンジイソシアナート、キシリレンジイソ
シアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホ
ロンジイソシアナート、4,4′−ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアナート等の分子量500以下の有機ジイソシ
アナートが例示される。好ましい有機ジイソシアナート
は分子量200〜500の有機ジイソシアナートであり、とり
わけ4,4′−ジフエニルメタンジイソシアナートであ
る。なお、有機ジイソシアナートとして、フエノール、
ε−カプロラクタム、エチルアセトアセテートオキシ
ム、アセトアミド等の封鎖剤との反応により生成するよ
うな、熱的に遊離のイソシアナート基に変換されうる封
鎖されたイソシアナート基を有する化合物の形で使用し
てもよい。
本発明のポリウレタンを製造するために上記高分子ジ
オールおよび有機ジイソシアナートとともに原料として
使用される低分子ジオールは、1,4−ブタンジオール
(以下、BDと記することがある)と1,4−ビス(2−ヒ
ドロキシエトキシ)ベンゼン(以下、BHEBと記すること
がある)との両方であり、BDとBHEBとはこれらのモル比
が95/5〜5/95となるような量で使用される。これらの低
分子ジオールは本発明のポリウレタンの製造において鎖
伸長剤として作用するものと考えられる。本発明のポリ
ウレタンにおいては、その製造時にBDとBHEBとが上記相
対量で使用されているために、弾性回復性および柔軟性
が顕著に改善され、その結果、耐熱性、耐寒性、弾性回
復性および柔軟性がすべて良好となる。この観点におい
て、使用するBDとBHEBとのより好ましいモル比は20/80
〜80/20の範囲内である。
本発明のポリウレタンを製造するための原料として、
上記の高分子ジオール、有機ジイソシアナートおよび低
分子ジオールの外に、必要に応じて、上記の高分子ジオ
ール以外の例えば分子量300〜30002価以上の高分子ポリ
オール;上記の低分子ジオール以外の例えば分子量300
未満の2価以上の低分子ポリオール;上記の有機ジイソ
シアナート以外の、例えば などのカルボジイミド変性ポリイソシアナート、 などの上記有機ジイソシアナートの2量体などの2価以
上のポリイソシアナートを少量使用してもよい。なお、
上記の高分子ジオール、高分子ポリオール、低分子ジオ
ールおよび低分子ポリオールは、少なくとも部分的に上
記の有機ジイソシアナートおよび/またはポリイソシア
ナートとの付加体の形で使用してもよい。また上記の有
機ジイソシアナートおよびポリイソシアナートはフエノ
ール、ε−カプロラクタム、エチルアセトアセテートオ
キシム、アセトアミド等の封鎖剤との反応によつて生成
するような、熱的に遊離のイソシアナート基に変換され
うる封鎖されたイソシアナート基を有する化合物の形で
使用してもよい。
本発明のポリウレタンを製造するために使用される高
分子ポリオール、有機ジイソシアナートおよび低分子ジ
オールの量的関係としては、得られるポリウレタンの耐
熱性および弾性回復性が特に良好となる点から、有機ジ
イソシアナートの使用量が使用する高分子ジオールと低
分子ジオールとの合計モル数に対して0.9〜1.2倍のモル
数となる量が好ましく、0.95〜1.15倍のモル数となる量
がより好ましく、とりわけ、得られるポリウレタンが上
記の特長を有するのみならず、伸度の大きい弾性繊維を
形成しうる点から1.02〜1.15倍のモル数となる量が特に
好ましい。
高分子ジオール、有機ジイソシアナートおよび低分子
ジオールを重合して本発明のポリウレタンを製造する方
法に関しては、通常のポリウレタンを製造するために採
用される公知のウレタン化反応の技術を採用することが
できる。重合方法としては、溶媒の実質的な不存在下で
の溶媒重合が好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を
用いる連続溶融重合が好ましい。溶融重合の温度は特に
制限されないが200℃以上240℃以下が好ましい。重合温
度を240℃以下に保つことにより得られるポリウレタン
の耐熱性が増大し、200℃以上に保つことにより得られ
るポリウレタンの紡糸性が特に良好となる。本発明のポ
リウレタンは、上記のような溶融重合のみからなる重合
によつて製造されうるが、溶融重合により得られた中間
生成物をさらに固相重合に付することによつて重合反応
を進行させることからなる二段階の重合によつて製造し
てもよい。かかる二段階の重合による本発明のポリウレ
タンの製造方法としては、例えば、溶融重合により得ら
れたポリウレタンの中間生成物を溶融物のままで、また
は一旦ペレツトなどに固化したのち固化物を溶融して、
繊維状、フイルム状などの任意の形状に成形し、次いで
得られた生形物を例えば70〜120℃の温度で熱処理に付
する方法が挙げられる。かかる二段階の重合による本発
明のポリウレタンの製造方法は、有機ジイソシアナート
を使用する高分子ジオールと低分子ジオールとの合計モ
ル数に対して1.02〜1.15倍のモル数となる量で使用し、
耐熱性および弾性回復性に特に優れ、かつ伸度の大きい
ポリウレタン弾性繊維などの成形物の形態のポリウレタ
ンを製造する場合に特に好適である。また、かかる二段
階の重合による本発明のポリウレタンの製造方法では、
溶融重合によつて得られた中間生成物の溶融物に有機ジ
イソシアナート、それと高分子ジオールとの付加体、ま
たはそれらのジイソシアナート基が封鎖された形の誘導
体を追加したのち固相重合を行つてもよい。この場合、
追加された有機ジイソシアナートおよび高分子ジオール
は、重合反応に使用される有機ジイソシアナートおよび
高分子ジオールの一部としてみなされる。溶融重合、有
機ジイソシアナートの追加およびそれに続く固相重合か
らなるポリウレタンの製造方法は、溶融重合によつて得
られた中間生成物のペレツトなどの固化物を使用して有
機ジイソシアナート過剰のポリウレタンを製造する場合
に特に有効である。すなわち、溶融重合の際に有機ジイ
ソシアナートを過剰量使用して得られたポリウレタンの
固化物を溶融したのち成形する場合には、固化物への水
分の混入を避けることが困難なため、混入した水分によ
り固化物の乾燥中にポリウレタン中の遊離のイソシアナ
ート基が失活するおそれが高く、得られる成形物の形態
のポリウレタンが充分な性能を発揮しえないことがあ
る。それに対して、有機ジイソシアナートを高分子ジオ
ールおよび低分子ジオールの合計モル数に対して等モル
程度、例えば0.95〜1.08倍モルとなる量で使用して溶融
重合を行い、得られた固化物を乾燥後、溶融し、これに
有機ジイソシアナートを追加し、次いで固相重合を行う
場合には、追加分の有機ジイソシアナートが固化物に混
入していた水分の悪影響を受けないためポリウレタンの
原料として有効に活用される。
本発明のポリウレタンの以下に述べる方法によつて測
定された対数粘度は0.2dl/g〜1.6dl/gであり、好ましく
は0.3dl/g〜1.4dl/gである。この範囲とすることによ
り、弾性回復性に優れたポリウレタンとなる。かかる対
数粘度(ηinh)は、ポリウレタン試料を0.5g/dlとなる
ように、n−ブチルアミンを1重量%含むN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液中に溶解し、室温下で24時間放置す
ることによつて得られた溶液〔以下、かかる溶液を溶液
(P)と称することがある〕について30℃の恒温槽中で
ウベローデ型粘度管を用いて流下時間を測定し、該流下
時間に基づいて次式より求めることが出来る。
ηrel=t/to t :溶液(P)の流下時間(秒) to:n−ブチルアミンを1重量%含むN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液の流下時間(秒) C:溶液(P)を調製するために添加したポリウレタン試
料の濃度(g/dl) 本発明のポリウレタンは、実質的に (a) 高分子ジオールから分子両末端の水酸基中の2
個の水素原子が除かれた形の2価の構造単位、 (b) 有機ジイソシアナートに由来する一般式 (式中、R3は前記定義のとおりであり、xおよびyはそ
れぞれ0または1の整数を表す) で示される2〜4価の構造単位、 (c) 1,4−ブタンジオールに由来する式 −O−CH2CH2CH2CH2−O− で示される2価の構造単位および (d) 1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼ
ンに由来する式 で示される2価の構造単位よりなり、ここで該(a)、
(c)または(d)の構造単位は(b)の構造単位とウ
レタン結合を形成して結合しており、また(b)の構造
単位の一部は他の(b)の構造単位とアロハネート結合
を形成して結合している場合があるものと考えられる。
上記アロハネート結合は、有機ジイソシアナートを、
使用する高分子ジオールおよび低分子ジオールの合計モ
ル数に対して等モル数を超える量で使用して製造された
ポリウレタンにおいて含まれることが多いものと考えら
れる。上記のような有機ジイソシアナートを過剰に使用
して製造されたポリウレタンでは、それから形成された
繊維などの成形物の品質および熱的性質が経時的に変化
する場合があるが、これは、ポリウレタン中に遊離のイ
ソシアナート基が残存することに由来してアロハネート
結合の形成反応が進行しているためであろうと推定され
る。この経時的な変化を停止させるためには、前述のよ
うに成形物を70〜120℃の温度で熱処理することによ
り、アロハネート結合の形成反応を促進し、完結させる
ことが有効である。弾性回復性に特に優れたポリウレタ
ンを得る目的においては、ポリウレタンのアロハネート
結合量が0.005〜0.05ミリモル/gであることが望まし
い。かかるアロハネート結合量は、ポリウレタンを、n
−ブチルアミンを0.5Nの濃度で含むN,N−ジメチルホル
ムアミド溶液に溶解し、室温下で24時間放置することに
よつて得られた溶液について逆滴定を行うことにより求
められる。
上記のアロハネート結合形成反応の進行に伴う弾性回
復性の向上、耐熱性の向上、伸度の増大などのポリウレ
タンの性能の改良効果が、本発明のポリウレタンでは、
他の高分子ジオールを用いるポリウレタンに比較して顕
著に発現する。その原因については明確では無いが、本
発明の比較的長い炭素鎖を有するジオール単位を含有す
る高分子ジオールからのポリウレタンではミクロ相分離
が進行していることにより、前述の効果がより顕著にな
るものと推定される。
本発明のポリウレタンは繊維、フイルムなどの成形物
の材料として有用である。本発明のポリウレタンは従来
公知の乾式紡糸法、湿式紡糸法、溶融紡糸法等によつて
繊維としうる。紡糸法のうちでも細デニール化すること
が出来る点で溶融紡糸法が好ましい。溶融紡糸法として
は、具体的にはポリウレタンを一度ペレツト化したのち
溶融紡糸するか、または溶融重合して得られる溶融状態
のままのポリウレタンを直接に紡糸口金を通して紡糸す
る方法を採用することができ、紡糸安定性の点からは後
者の重合直結紡糸法が一般に好ましい。
〔実施例〕
以下実施例にて本発明をより具体的に説明する。
用いた化合物は略号を用いて示したが、略号と化合物
の関係は表1の通りである。
参考例1 (ポリエステルジオールの製造) MODとNDの混合物(MOD/NDのモル比:35/65)1600gおよ
びアジピン酸1460g(ジオール混合物/アジピン酸のモ
ル比:1.3/1)を常圧下に窒素ガスを通じつつ約220℃の
温度で生成する水を留去しながらエステル化に付した。
反応系中のポリエステルの酸価が0.3以下になつたとき
真空ポンプにより徐々に真空度を上げ反応を完結させ
た。こうして水酸基価56、酸価0.12のポリエステルジオ
ール(以下、ポリエステルaと記す)を得た。このポリ
エステルaの数平均分子量は2000であつた。
参考例2〜9 酸成分およびジオール成分として各々表2に示したも
のを用いること以外は参考例1と同様にして各々表2に
示したポリエステル(ポリエステルb〜i)を得た。
参考例10 (ポリカーボネートジオールの製造) 窒素気流下、MODとNDの混合物(MOD/NDのモル比:35/6
5)1730gおよびジフエニルカーボネート2140gを加熱下
に反応させた。200℃で反応系より生成するフエノール
を留去し始め、温度を徐々に210〜220℃に上げ、フエノ
ールをほとんど留去させたあと6〜10mmHgの真空下、21
0〜220℃で残りのフエノールを完全に留去した。その結
果水酸基価56、数平均分子量2000のポリカーボネートジ
オール(ポリカーボネートk)を得た。
参考例11 ジオール成分としてND1730gを用いる以外は参考例10
と同様にして数平均分子量2000のポリカーボネートジオ
ール(ポリカーボネートl)を得た。
参考例1〜11で得られたポリエステルジオールおよび
ポリカーボネートジオールについて表2にまとめて示
す。
実施例1 ポリエステルa、BDおよびBHEB(BD/BHEBのモル比:7/
3)からなる30℃に加熱された混合物と50℃に加熱溶融
したMDIとをポリエステルa/MDI/(BD+BHEB)の使用モ
ル比が1/3/(1.4+0.6)となる量で定量ポンプにより、
同方向に回転する二軸スクリュー押出機に連続的に仕込
み、連続溶融重合をおこなつた。このとき前記押出機の
中を前部、中間部および後部の三つの帯域に分け中間部
の温度(重合温度)を230℃とした。生成したポリウレ
タンをストランド状で水中へ連続的に押し出し、次いで
ペレタイザーでペレツトに成形した。
さらに熱プレスによりペレツトを成形して厚さ50μm
のフイルムを得、その弾性回復性、耐熱水性等を評価し
た。弾性回復性は標線間長さ4cm、幅1cmのフイルムを10
0%伸長し、10分後保持したのち、張力をのぞき3分間
放置した後での弾性回復率でもつて表わす。
l :3分間放置後のフイルムの長さ(cm) lo:もとのフイルムの長さ(cm) 耐熱水性はポリウレタンフイルム(厚さ:50μm)を1
30℃の熱水で90分間処理した後でのフイルムの引張強度
保持率で評価した。
実施例2〜6および比較例1〜7 実施例1と同様にして表3に示す組成の原料からポリ
ウレタンを合成しその性能を調べた。結果を表3に示
す。
実施例7〜9 実施例1と同様にして表4に示す組成の原料から3種
のポリウレタンペレツトを得た。
このペレツトを80℃真空中で16時間乾燥したのち通常
の単軸押出機を連結した紡糸機を用いて紡糸温度240
℃、捲取速度800m/minで紡糸し、70デニール/2フイラメ
ントのポリウレタン繊維を得た。得られたポリウレタン
繊維を80℃にて24時間熱処理した。熱処理により得られ
た繊維の強度、伸度、弾性回復率および耐熱水性を評価
したところ表4に示すごとく良好な結果が得られた。
尚、弾性回復率および耐熱水性の評価方法は、フイル
ムのかわりに繊維を使用する以外は実施例1に記載の方
法に従つた。
実施例10 実施例1と同様にして表4に示す組成の原料からポリ
ウレタンペレツトを得た。このペレツトを80℃で24時間
真空乾燥したのちロスインウエイト式計量器付2軸押出
機に供給した。一方、そのベント部分に、定量ポンプを
介して、PTG−500に2倍当量のMDIを反応させてなるイ
ソシアナート末端プレポリマーを溶融状態で表4の組成
となる様に供給した。両者を2軸押出機中で十分に溶融
混練して240℃の紡糸頭より押出し、800m/minの速度で
捲取ることにより、70デニール/2フイラメントのポリウ
レタン繊維を得た。この繊維を90℃で30時間熱処理し
た。熱処理によつて得られた繊維の性能を評価した結
果、表4に示すごとく良好な結果が得られた。
実施例11 実施例1と同様にして表4に示す組成の原料からポリ
ウレタンペレツトを得た。このペレツトを80℃で24時間
真空乾燥し、先端部に混練機能を有する単軸押出機に供
給した。一方、この押出機のシリンダー途中の混練機能
部の直前部に、MDIにカプロラクタムを反応させて得ら
れたイソシアネート基が封鎖された化合物の加熱溶融物
を定量ポンプを介して表4の組成となる様に注入した。
両者を押出機中で溶融混練して押し出し、さらに56素子
の静止型混練機(スタチツクミキサー)により混練し、
紡糸温度235℃、捲取速度700m/minで紡糸することによ
り70デニール/2フイラメントのポリウレタン繊維を得
た。この繊維に110℃で48時間の熱処理を行つた。熱処
理によつて得られた繊維の性能を評価したところ、表4
に示す良好な結果が得られた。
比較例8〜13 ポリウレタンペレツトとして表4に示された原料から
製造されたものを使用する以外は実施例7と同様にし
て、ポリウレタン繊維を得、表4に示す結果を得た。得
られた繊維は、強度的には良好であつたが、伸度が低
く、弾性回復率も不良で、比較例8〜10で得られたもの
についてはそれらに加えて耐熱水性についても不良であ
つた。
実施例12 高分子ジオールとしてポリカーボネートkを用い、ポ
リカーボネートk/MDI/(BD+BHEB)の使用モル比が1/3.
15/(1.4+0.6)とする以外は実施例7と同様にしてポ
リウレタンペレツトを得た。このペレツトを用い、イソ
シアナート末端プレポリマーを(B)/〔(A)+
(C)〕のモル比が最終的に1.10となる様に追加する以
外は実施例10と同様にしてポリウレタン繊維を得た。こ
の繊維を90℃で20時間熱処理した。熱処理によつて得ら
れた繊維の性能を評価したところ表4に示す様に耐熱水
性に特に優れる良好な結果が得られた。
比較例14 表4に示される組成の原料から製造されたポリウレタ
ンペレツトを使用する以外、実施例7と同様にしてポリ
ウレタン繊維を得た。得られたポリウレタン繊維の性能
を評価したところ、表4に示す様に弾性回復性および伸
度の低い不満足な結果しか得られなかつた。
実施例13 実施例7と同一組成の原料からポリウレタンを同様に
して合成し、溶融物をペレツト化せずに直接紡糸頭へ供
給し、紡糸温度240℃、紡糸速度800m/minで紡糸するこ
とにより、70デニール/2フイラメントのポリウレタン繊
維を得た。この繊維を100℃で30時間熱処理した。熱処
理により得られた繊維の性能を評価したところ、表4に
示す様に良好な結果が得られた。
〔発明の効果〕 以上の実施例から明らかなように、本発明のポリウレ
タンは耐熱性および弾性回復性が良好であり、また該ポ
リウレタンから形成されたポリウレタン弾性繊維は伸度
が大きく、弾性回復性に優れると共に耐熱水性および耐
熱性に優れる。さらに、本発明のポリウレタンは柔軟性
および耐寒性にも優れる。このように諸性能において優
れる本発明のポリウレタンは有用性が高く、広範な用途
への適用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−156820(JP,A) 特開 平2−158617(JP,A) 特開 昭63−182387(JP,A) 特開 平2−292318(JP,A) 特開 昭63−182337(JP,A) 特開 昭62−22817(JP,A) 特開 昭62−39613(JP,A) 特開 昭60−195117(JP,A) 特開 平2−20514(JP,A) 国際公開88/5447(WO,A1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子ジオールから誘導される構造単位、
    有機ジイソシアナートから誘導される構造単位および低
    分子ジオールから誘導される構造単位からなるポリウレ
    タンであって、 (A)該高分子ジオールが、式 −O−(CH2−O− で示される構造単位(I)、式 で示される構造単位(II)および式 で示される構造単位(III)からなる群から選ばれる1
    〜3種のジオール単位および一般式 (式中、R2は2価の有機基を表す) で示されるジカルボン酸単位または式 で示されるカルボニル単位からなり、構造単位(I)、
    構造単位(II)および構造単位(III)の合計モル数基
    準における構造単位(II)と構造単位(III)との合計
    モル数の割合が10%以上であり、構造単位(I)と構造
    単位(II)との合計モル数の割合が50%以上であり、か
    つ数平均分子量1000〜3500のポリエステルジオールまた
    はポリカーボネートジオールであり、 (B)該有機ジイソシアナートが一般式 O=C=N−R3−N=C=O (式中、R3は2価の有機基を表す) で示される化合物であり、 (C)該低分子ジオールが1,4−ブタンジオールと1,4−
    ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとのモル比95
    /5〜5/95の範囲内の混合物であり、かつn−ブチルアミ
    ンを1重量%含むN,N−ジメチルホルムアミド溶液中に
    0.5g/dlの濃度となるように溶解させ室温下で24時間放
    置することによって得られた溶液についてウベローデ粘
    度管を用いて測定された対数粘度が0.2〜1.6dl/gの範囲
    内であることを特徴とするポリウレタン。
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