JP2648886B2 - 家蓄の***炎を予防する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は家畜の***炎予防方法に関する。

さらに詳しくは、乳牛などの家畜の乳頭に、抗菌性、
殺菌性を有するキトサン及び／またはキトサン誘導体の
水溶液または酸性水溶液を、スプレーまたは浸漬するこ
とにより、キトサン及び／またはキトサン誘導体の被膜
を形成することによる***炎の予防方法に関する。

（従来技術） 乳牛などの家畜動物の***炎は,Staphylococcus aure
us,Streptcoccus agalactiae,Esherichia Coliその他の
病原菌が乳頭口より***内に侵入し，炎症を起こす疾病
である。

とりわけ酪農経営者にとっては，本疾病は発生率も高
く，乳量の減少，乳質の低下，供用年数の短縮さらには
乳汁の細菌汚染による公衆衛生上の問題や体細胞の増加
にる乳製品の加工の際の歩止まりの悪化などの大きな損
失をもたらす重大な疾病となっている。

***炎はこのように家畜の重大な疾病であるが，従来
の予防としては，家畜の適切な飼育管理による病原菌に
対する抵抗力の増強や搾乳を清潔に行うなどの原始的な
手段や，ポビドンヨード（PVPヨード），グルコン酸ク
ロルヘキシジンなどを含む乳頭浸漬剤（ディップ）で乳
頭を消毒（ディッピング）する方法などが知られている
が，***炎の発生率は低下してきたものの完全には予防
できていない。また，これらの乳頭浸漬剤は強い殺菌力
を有するものの乳頭への刺激が強くひび割れができた
り，水によって容易に流されるため長時間にわたって殺
菌力が維持されないなどの問題がある。その他，乳頭を
外部環境の病原菌と遮断する被膜を形成するタイプの乳
頭浸漬剤も使用されているが，それ自体殺菌力はなく搾
乳中の病原菌の感染は防げない。

従って，適当な殺菌力を有し乳頭への刺激がなくかつ
長時間病原菌の感染を防ぐ安定な被膜を形成するタイプ
の***炎予防剤の開発が望まれている。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は，乳牛など家畜動物の乳頭に被膜を形成せし
め，乳頭の病原菌の増殖を抑制し，かつ病原菌の***へ
の侵入を阻止しうる新しい***炎予防方法を提供するこ
とを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明者らは，上記課題を解決すべく研究した結果，
キトサン及び／又はキトサン誘導体が抗菌力を有し乳頭
への刺激がなくかつ良好な被膜を形成することを見出し
本発明を完成させた。

本発明の***炎予防方法は，キトサン及び／又はキト
サン誘導体を有効成分とするものである。

これまで，キトサン及び／又はキトサン誘導体は抗菌
性，殺菌性，創傷治癒作用，免疫賦活性作用などの種々
の機能を有し，又生体適合性の高い被膜を形成するた
め，医薬，化粧品，工業，農業，食品の分野で使用が知
られている。

本発明は，上記のキトサン及び／又はキトサン誘導体
のすぐれた特徴に着目して，鋭意研究の結果，乳牛など
の家畜の***炎の予防にキトサン及び／又はキトサン誘
導体の水溶液もしくは酸性水溶液をスプレー又は浸漬す
ることがきわめて有効であることを見出した。

本発明に用いられるキトサンは，カニ等の甲殻類，か
ぶと虫等の昆虫類の甲殻の形成成分である，キチン（Ｎ
−アセチル−Ｄ−グルコサミンの多糖類）が脱アセチル
化されたもので，遊離アミノ基を有する塩基性多糖類高
分子物質であり，分子量に特に限定はない。また，脱ア
セチル化されていない原料であるキチンや化学処理によ
って生成する軽度分解物などの不純物を若干量含有する
ものも含まれる。

本発明に用いられるキトサン誘導体としては，キトサ
ンの遊離のアミノ基または水酸基をすべてあるいは部分
的にアルキル基，アルコキシアルキル基，アルキルチオ
アルキル基，アリール基，アラルキル基，アシル基，ス
ルホニル基，アルコキシカルボニル基またはリン酸残基
等により化学装飾されたものを挙げる事ができる。これ
らのキトサン誘導体は，例えば以下の文献記載の手法な
どの，通常の有機合成化学的な化学修飾によって得るこ
とが出来る。

（１）公開特許公報 昭57−180602 （２）公開特許公報 昭59−106409 本発明においてキトサン及び／又はキトサン誘導体
は，水溶液あるいは有機酸または無機酸の希薄水溶液と
して用いられる。キトサン及び／又はキトサン誘導体の
使用量は特に限定されないが，通常は,0.1〜10％の濃度
において使用される。用いられる酸としては，塩酸，硝
酸などの無機酸や酢酸，クエン酸，コハク酸，乳酸，お
よびリンゴ酸などの有機酸を例示することができる。

また，キトサン及び／又はキトサン誘導体の水溶液あ
るいは酸性水溶液は，単独もしくはポビドンヨード（PV
Pヨード），グルコン酸クロルヘキシジン，次亜塩素酸
ナトリウムなどの既存の殺菌剤と混合して用いることも
可能である。

調整したキトサン及び／又はキトサン誘導体含有製剤
は，スプレーまたは浸漬などの方法によって乳頭にキト
サン及び／又はキトサン誘導体の被膜を形成せしめ，乳
頭の病原菌の増殖を抑制し，かつ病原菌の***への侵入
を阻止することにより***炎を予防することができる。

（実施例） 本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。

ただし，本発明の範囲は以下の実施例により何等の制
約を受けるものではない。

表１に示す成分を有する実施例１及び実施例２のキト
サン含有溶液を調製し，以下の試験を行った。

（試験例１） 実施例１のキトサンの希酢酸溶液を用いて搾乳後の乳
頭浸漬を６カ月実施したところ，臨床型の***炎発生頭
数が激減した。結果を下記表２に示す。

（表２） 頭数 臨床型***炎発生頭数 割合 実施例 １ 52 5 9.6％^ａ 比較例 １ 52 13 25.0％^ｂ 対照例 54 14 25.9％^ｂ a.b異なる符号を持つ割合は有意差あり（ｐ＜0.05） （試験例２） 実施例２のキトサンのクエン酸水溶液を用いて乾乳直
後に１回乳頭浸漬を行い，分娩後も搾乳後の乳頭浸漬を
実施したところ，実施した乳牛10頭すべてに臨床型***
炎の発生は認められず，体細胞数はいずれの牛も20万以
下であった。

（発明の効果） この様に本発明を実施することにより臨床型***炎の
発生率は大幅に減少していることが明らかである。これ
は，キトサン及びキトサン誘導体の持つ抗菌性を有する
被膜が病原菌の乳頭への侵入を効果的に防いでいるため
と考えられる。

また，実施例２に示すように病原菌に感染しやすい時
期である乾乳直後に本発明を実施することにより，長時
間にわたって抗菌性を有する被膜を維持するため，乾乳
中の感染を防止出来たと考えられる。

本発明のキトサン及び／又はキトサン誘導体含有薬剤
は，乳牛の乳頭に対し刺激が少ないため，実施例1,2の
いずれの場合においても，乳頭のひび割れなどの薬品の
乳頭への影響は見られなかった。

以上のように本発明は，農家にとって有効な家畜の乳
房炎の予防手段を提供するものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 繁 千葉県市原市五井南海岸12―54 日本曹 達株式会社機能製品研究所内 (72)発明者 丸山 広美 新潟県中頚城郡中郷村大字藤沢950 日 本曹達株式会社二本木工場内 (56)参考文献 特開 昭63−215630（ＪＰ，Ａ) 特開 昭52−113954（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−27827（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−107267（ＪＰ，Ａ) 特公 昭46−22072（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】キトサン及び／またはキトサン誘導体の水
   溶液または酸性水溶液を、スプレーまたは浸漬すること
   を特徴とする家畜の***炎予防方法