JP2648453B2 - 円偏波セルフダイプレクシングアンテナ - Google Patents

円偏波セルフダイプレクシングアンテナ

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JP2648453B2
JP2648453B2 JP6157088A JP15708894A JP2648453B2 JP 2648453 B2 JP2648453 B2 JP 2648453B2 JP 6157088 A JP6157088 A JP 6157088A JP 15708894 A JP15708894 A JP 15708894A JP 2648453 B2 JP2648453 B2 JP 2648453B2
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勇 千葉
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、円偏波セルフダイプレ
クシングアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体衛星通信においては、移動
機の携帯化に伴いアンテナ及びアンテナを含む送受信回
路の小型化が強く望まれている。そのような情況のも
と、アンテナ自身に送信波と受信波を分離するダイプレ
クシング機能を持たせたセルフダイプレクシングアンテ
ナが、アンテナ及びアンテナを含む送受信回路の小型化
を可能にする有力なアンテナとして注目されている。
【0003】図9は、従来例の円偏波セルフダイプレク
シングアンテナの分解斜視図である。図9に示すよう
に、裏面に接地導体13を備えた誘電体基板12上に、
円環状の放射導体2が形成され、上記放射導体2の内周
縁端部と接地導体13とは誘電体基板12を厚さ方向に
貫通するスルーホールに形成されるスルーホール導体2
4によって導通するように接続されている。さらに放射
導体2と誘電体基板12の上面に円形状の放射導体1を
備えた誘電体基板11が、放射導体1と放射導体2とが
同軸になるように形成される。以上のようにして、上記
放射導体1と、誘電体基板11と、接地導体として動作
する放射導体2とによって円形パッチアンテナが構成さ
れ、放射導体2と誘電体基板12と接地導体13とによ
って円環パッチアンテナが構成される。ここで、公知の
ように円形パッチアンテナの共振周波数(以下、第一の
共振周波数という。)は、放射導体1の径と誘電体基板
11の誘電率と厚さとによって決まり、円環パッチアン
テナの共振周波数(以下、第二の共振周波数という。)
は、上記放射導体2の内径と外径及び誘電体基板12の
誘電率と厚さとによって決まる。ここで、第一の共振周
波数は第二の共振周波数と近接するが異なるように設定
される。
【0004】また、導体からなる給電ピン5a,5b
は、放射導体2から電気的に絶縁されて放射導体2の内
周の内側を通るように、誘電体基板12と誘電体基板1
1とを厚さ方向に貫通して設けられ、その各一端がそれ
ぞれ放射導体1上の給電点3a,3bに電気的に接続さ
れる。ここで、給電点3a,3bは、互いに90度の位
相差を有する2つの送信信号が給電点3a,3bに給電
されたときに円形パッチアンテナが円偏波を放射するよ
うに、放射導体1の中心点Oを中心として互いに90度
隔てて、かつ中心点Oからの距離が互いに等しい所定の
距離になるように設定される。さらに、導体からなる給
電ピン6a,6bは、誘電体基板12を厚さ方向に貫通
して設けられ、その各一端がそれぞれ放射導体2上の給
電点4a,4bに電気的に接続される。ここで、給電点
4a,4bは、円偏波の電磁波である受信波が円環パッ
チアンテナによって受信されたときに給電点4a,4b
に受信波に対応した2つの電流が互いに90度の位相差
を有して発生するように、放射導体2の中心点を中心と
して互いに90度隔てて、かつ放射導体2の中心点から
の距離が互いに等しい所定の距離になるように設定され
る。また、上記給電ピン5a,5b,6a,6bの各他
端は、それぞれ接地導体13に設けられた円形の開口部
7a,7b,8a,8bを介して接地導体13に電気的
に接触しないように貫通して、それぞれ接地導体13の
裏面に設けられたコネクタ22a,22b,23a,2
3bの中心導体に電気的に接続される。また上記コネク
タ22a,22b,23a,23bの接地導体である外
導体は、接地導体13に電気的に接続される。以上のよ
うにして1つのアンテナ素子が構成される。
【0005】また、上記コネクタ22a,22bはそれ
ぞれ、90度ハイブリッド回路14の出力端子91,9
2に接続され、90度ハイブリッド回路14の一方の入
力端子94は終端抵抗16を介して接地され、90度ハ
イブリッド回路14の他方の入力端子93には送信信号
が入力される端子T1が接続される。さらに上記コネク
タ23a,23bはそれぞれ、90度ハイブリッド回路
15の入力端子95,96に接続され、90度ハイブリ
ッド回路15の一方の出力端子97は終端抵抗17を介
して接地され、90度ハイブリッド回路15の他方の出
力端子98は受信信号が出力される端子T2に接続され
る。以上のようにして、図9の従来例のセルフダイプレ
クシングアンテナは構成される。
【0006】以上のように構成されたセルフダイプレク
シングアンテナにおいて、端子T1を介して、第一の共
振周波数と同じ周波数である送信周波数ftを有する送
信信号を入力すると、上記送信信号は、上記90度ハイ
ブリッド回路14によって互いに送信周波数において9
0度の位相差を有する送信信号に分配された後、それぞ
れコネクタ22a,22bと給電ピン5a,5bを介し
て給電点3a,3bに給電されて、上記円形パッチアン
テナを励振する。これによって、上記円形パッチアンテ
ナは、放射導体1上に上記送信信号に対応し送信周波数
ftを有し、かつ互いに90度の位相差を有する2つの
電磁波を発生することにより、上記送信信号に対応し送
信周波数ftを有する左旋円偏波の電磁波である送信波
を、放射導体1の上方の自由空間に放射する一方、放射
導体1から放射導体2の方向に向けて、上記送信信号に
対応し送信周波数ftを有する右旋円偏波の電磁波を漏
洩放射する。また、第二の共振周波数と同じ周波数であ
る受信周波数frを有する左旋円偏波の電磁波である受
信波が上記円環パッチアンテナに入射されると、給電点
4a,4bを介して給電ピン6a,6bに、互いに90
度の位相差を有し受信周波数frを有する受信波に対応
した受信信号を発生する。ここで、上記受信波は、左旋
円偏波の電磁波であるので、給電ピン4aに発生する受
信信号は、給電ピン4bに発生する受信信号より位相が
90度進んでいる。上記給電ピン4aに発生する受信信
号と上記給電ピン4bに発生する受信信号は、それぞれ
コネクタ23a,23bを介して90度ハイブリッド回
路15の入力端子95,96に入力される。
【0007】また、放射導体1から放射導体2の方向に
向けて漏洩放射された上記右旋円偏波の電磁波も、上記
円環パッチアンテナによって受信されて、給電点4a,
4bを介して給電ピン6a,6bに、互いに90度の位
相差を有し送信周波数ftを有する送信波に対応した漏
洩送信信号を発生する。ここで、当該漏洩送信波は右旋
円偏波であるので、給電ピン4aに発生する漏洩送信信
号は、給電ピン4bに発生する送信信号より位相が90
度遅れている。上記給電ピン4aに発生する送信信号と
上記給電ピン4bに発生する送信信号は、それぞれ上記
受信信号と共に、それぞれコネクタ23a,23bを介
して、それぞれ90度ハイブリッド回路15の入力端子
95,96に入力される。90度ハイブリッド回路15
は、公知のように入力端子96から入力される信号を自
ら受信周波数において90度だけ移相した信号と入力端
子95から入力される信号とを、出力端子97から合成
して出力し、入力端子95から入力される信号を自ら受
信周波数において90度だけ移相した信号と入力端子9
6から入力される信号とを合成して出力端子98から出
力する。従って、90度ハイブリッド回路15に入力さ
れる受信信号は同相合成されて出力端子98から出力さ
れ、漏洩送信信号は、出力端子97から出力されて終端
抵抗17を介して接地されることによってキャンセルさ
れる。以上のようにして、送信アンテナである円形パッ
チアンテナから放射される送信信号が受信アンテナであ
る円環パッチアンテナを介して受信機側に回り込むのを
防いでいた。
【0008】図10は、従来例のアンテナ素子を19個
用いて後述する本発明に係る実施例と同様の図6に示す
配列になるようにアレーアンテナを構成したときの、そ
れぞれのアンテナ素子における送受信間相互結合量の周
波数特性を示す図である。図中の2つの特性のうち上側
に位置する特性は、19個のアンテナ素子中の最大値の
特性であり、下側に位置する特性は、19個のアンテナ
素子中の最小値の特性である。図10から明らかなよう
に、例えば送信周波数1.64GHzにおけるアンテナ
素子の送受信間相互結合量の最大値は−36dBであ
り、最小値は−56dBである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9の
従来例のセルフダイプレクシングアンテナにおいては、
以下の(1),(2)に示す理由等によって、上記送信
信号の放射に対応して放射導体1上に発生する2つの電
磁波の位相差は、送信周波数ftにおいて90度からず
れた値になる。 (1)給電ピン5aと給電ピン5bを介して給電される
ときに、互いに90度の位相差を有する上記2つの送信
信号が相互に結合して位相差が90度からずれる。 (2)アンテナ素子の製作時における給電点3a,3b
の位置ずれや、放射導体1の真円からのずれなどの加工
バラツキによって位相差が90度からずれる。また、受
信用円環パッチアンテナによって受信される漏洩送信波
に対応して、給電ピン6a,6b及びコネクタ23a,
23bを介して90度ハイブリッド回路15の入力端子
95,96に入力される2つの漏洩送信信号の位相差
は、以下の(3),(4)に示す理由等によって、90
度からさらにずれたものになる。 (3)上記受信用円環パッチアンテナは、受信周波数f
rを有する円偏波の電磁波が入力されたときに上記放射
導体2上の給電点4a,4bにそれぞれ発生する2つの
電磁波の位相が90度になるように構成されているため
に、送信周波数ftを有する漏洩送信波に対応して上記
放射導体2上に発生する2つの電磁波の位相差はちょう
ど90度にはならない。 (4)給電ピン6aと給電ピン6bを介して給電される
ときに、上記2つの漏洩送信信号が相互に結合して位相
差がずれる。またさらに、90度ハイブリッド回路15
は、入力端子95から入力される信号を受信周波数fr
において90度だけ移相して入力端子96から入力され
る信号とを合成して出力端子98から出力するように構
成されているので、入力端子95から入力される送信周
波数ftを有する漏洩送信信号に対する移相量は、受信
周波数frと送信周波数ftの差に応じた移相量だけ9
0度からずれる。以上の理由によって、上記2つの漏洩
送信信号は、逆相で合成されずに、出力端子98から一
部の漏洩送信信号が出力される。これによって送受信ア
ンテナ間のアイソレーションが悪化するという問題があ
った。
【0010】また、図9の従来例のセルフダイプレクシ
ングアンテナを複数個用いたアレーアンテナにおいて
は、上記(1),(2),(3),(4)の他に各アン
テナ素子から放射される電磁波間に相互結合が生じるた
めに、放射導体1上に発生する2つの電磁波の位相差の
90度からのずれ量及び給電ピン6a,6b及びコネク
タ23a,23bを介して90度ハイブリッド回路15
の入力端子95,96に入力される2つの漏洩送信信号
の位相差の90度からのずれ量はさらに大きな値にな
る。このため、上記従来例のセルフダイプレクシングア
ンテナを用いてアレーアンテナを構成したときの送受信
アンテナ間のアイソレーションは、上記セルフダイプレ
クシングアンテナを単独で用いたときに比べてさらに悪
化するという問題があった。
【0011】またさらに、上記従来例のセルフダイプレ
クシングアンテナを複数個用いて構成したアレーアンテ
ナのビーム走査を行うと、ビーム走査角によって各アン
テナ素子の間の相互結合が強くなったり、ビーム走査角
によって相互結合の度合が変化したりして、送受信アン
テナ間のアイソレーションがさらに悪化したり、ビーム
走査角によって送受信アンテナ間のアイソレーションが
変化するという問題もあった。送受信アンテナ間のアイ
ソレーションの悪化は、受信信号に対する雑音を増加さ
せるという問題だけではなく、受信機に備えられた微少
の受信信号を増幅するための低雑音増幅器が飽和して受
信信号を正しく増幅しなかったり、低雑音増幅器を破壊
するなどの問題を起こす原因にもなっていた。また、こ
れらを防ぐために、受信器に受信信号のみを通過させる
帯域通過フィルタや送信信号の通過を阻止する帯域阻止
フィルタを備える必要が生じ、受信回路の構成が複雑に
なり、受信機が大きくなるという問題もあった。
【0012】本発明の第一の目的は、以上の問題点を解
決して、送信端子と受信端子の間のアイソレーションを
従来例に比較して大きくでき、しかも受信器を小型に構
成することができる1つのアンテナ素子からなる円偏波
セルフダイプレクシングアンテナを提供することにあ
る。
【0013】本発明の第二の目的は、以上の問題点を解
決して、送信端子と受信端子の間のアイソレーションを
従来例に比較して大きくでき、しかもビーム走査をする
場合においても、送受信アンテナ間のアイソレーション
が悪化しない小型・軽量のアレー状の円偏波セルフダイ
プレクシングアンテナを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の円偏波セルフダイプレクシングアンテナは、第一の
共振周波数を有しかつ円偏波の電磁波を放射する円偏波
送信アンテナと、上記第一の共振周波数と異なる第二の
共振周波数を有しかつ上記送信アンテナが放射する円偏
波の電磁波と同一の旋回方向を有する円偏波の電磁波を
上記第二の共振周波数において互いに90度の位相差で
2つの給電点において受信する2点給電型円偏波受信ア
ンテナと、上記受信アンテナの2つの給電点から出力さ
れる2つの受信信号のうちの一方の受信信号を上記第二
の共振周波数において90度だけ移相した後、当該移相
した受信信号と、上記2つの受信信号のうちの他方の受
信信号とを合成して受信信号として出力する合成手段と
を備えた円偏波セルフダイプレクシングアンテナにおい
て、上記受信アンテナの2つの給電点と上記合成手段と
の間に設けられ、上記受信アンテナから出力される2つ
の受信信号のうち少なくとも一方の受信信号を、上記合
成手段から出力される上記第一の共振周波数を有する信
号の電力が最小になるような位相補正量だけ移相して上
記合成手段に出力する位相補正手段を備えたことを特徴
とする。
【0015】本発明に係る請求項2記載の円偏波セルフ
ダイプレクシングアンテナは、2つの給電点を備え、第
一の共振周波数を有し、かつ互いに90度の位相差を有
する上記第一の共振周波数の2つの送信信号が上記2つ
の給電点に給電されたときに円偏波の電磁波を放射する
2点給電型円偏波送信アンテナと、上記第一の共振周波
数と異なる第二の共振周波数を有しかつ上記送信アンテ
ナが放射する円偏波の電磁波と同一の旋回方向を有する
円偏波の電磁波を上記第二の共振周波数において互いに
90度の位相差で2つの給電点において受信する2点給
電型円偏波受信アンテナと、上記受信アンテナの2つの
給電点から出力される2つの受信信号のうちの一方の受
信信号を上記第二の共振周波数において90度だけ移相
した後、当該移相した受信信号と、上記2つの受信信号
のうちの他方の受信信号とを合成して受信信号として出
力する合成手段とを備えた円偏波セルフダイプレクシン
グアンテナにおいて、上記送信アンテナの2つの給電点
に給電される2つの送信信号のうち少なくとも一方の送
信信号を、上記合成手段から出力される上記第一の共振
周波数を有する信号の電力が最小になるような位相補正
量だけ移相して上記送信アンテナに出力する位相補正手
段を備えたことを特徴とする。
【0016】本発明に係る請求項3記載の円偏波セルフ
ダイプレクシングアンテナは、複数の請求項1又は2記
載の円偏波セルフダイプレクシングアンテナを、所定の
配列になるように近接して備えたことを特徴とする。
【0017】本発明に係る請求項4記載の円偏波セルフ
ダイプレクシングアンテナは、請求項3記載の上記円偏
波セルフダイプレクシングアンテナと、上記円偏波セル
フダイプレクシングアンテナのビームを所定のビーム方
向に向けるように制御するとともに当該ビーム方向のデ
ータを出力するビーム形成手段と、上記円偏波セルフダ
イプレクシングアンテナのビーム方向に対応した上記位
相補正量を記憶するための記憶手段と、上記ビーム形成
手段から出力されるビーム方向のデータに基づいて、当
該ビーム方向のデータに対応した位相補正量を上記記憶
手段から読み出して、上記読み出した位相補正量だけ移
相するように上記位相補正手段を制御するための位相制
御手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
【作用】請求項1記載の円偏波セルフダイプレクシング
アンテナを、第一の共振周波数と同一の周波数を有する
送信波と第二の共振周波数と同一の周波数を有する受信
波を同時に送受信するように動作させると、上記送信ア
ンテナは、送信波を自由空間中に放射すると同時に上記
受信アンテナの方向に漏洩送信波を放射する一方、上記
受信アンテナは、上記受信波とともに上記漏洩送信波も
受信する。上記送信アンテナは、上記受信アンテナと上
記合成手段によって受信することができる所定の旋回方
向を有する円偏波の電磁波と同じ旋回方向を有する円偏
波の電磁波を放射するように構成されており、また、上
記送信アンテナが漏洩放射する漏洩送信波は、上記送信
アンテナが自由空間中に放射する送信波の放射方向とは
逆の放射方向で放射される。従って、上記漏洩送信波
は、上記受信波と互いに同一の放射方向を有しかつ互い
に旋回方向が逆となる状態で上記受信波とともに上記受
信アンテナによって受信される。
【0019】上記受信アンテナに受信された上記受信波
は、互いに90度の位相差を有する2つの受信信号とし
て上記受信アンテナから出力される一方、上記漏洩送信
波は、「発明が解決しようとする課題」の項において上
述したように90度から所定量だけずれた所定の位相差
を有する2つの漏洩送信信号として上記受信アンテナか
ら出力される。上記2つの受信信号と上記2つの漏洩送
信信号は、上記位相補正手段によって、上記合成手段が
出力する第一の共振周波数と同じ周波数を有する漏洩送
信信号の電力が最小になるような位相補正量だけ移相さ
れて上記合成手段に出力される。従って、上記2つの受
信信号は上記合成手段によって同相で合成されて出力さ
れる一方、上記2つの漏洩送信信号は上記合成手段によ
って逆相で合成されることにより上記合成手段から出力
されない。以上のようにして、本発明に係るセルフダイ
プレクシングアンテナは、上記受信アンテナが受信する
受信信号と漏洩送信信号とを分離する。
【0020】請求項2記載の円偏波セルフダイプレクシ
ングアンテナにおいて、上記位相補正手段は、送信アン
テナに入力される2つの送信信号のうち少なくとも一方
を上記合成手段が出力する第一の共振周波数と同じ周波
数を有する漏洩送信信号の電力が最小になるような位相
補正量だけ移相して上記送信アンテナに出力する。上記
送信アンテナは、互いに所定の位相差を有する2つの送
信信号が給電された円偏波の送信波を自由空間中に放射
すると同時に上記送信アンテナから上記受信アンテナの
方向に円偏波の漏洩送信波を放射する。一方、上記受信
アンテナは、上記受信波とともに上記漏洩送信波も受信
する。上記受信アンテナに受信された上記受信波は、互
いに90度の位相差を有する2つの受信信号として上記
受信アンテナから上記合成手段に出力される一方、上記
漏洩送信波は、所定の位相差を有する2つの漏洩送信信
号として上記受信アンテナから上記合成手段に出力され
る。ここで、上記位相補正手段によって、送信アンテナ
に入力される2つの送信信号のうち少なくとも一方の送
信信号は上記合成手段が出力する第一の共振周波数と同
じ周波数を有する合成後の漏洩送信信号の電力が最小に
なるような位相補正量だけ移相されて上記送信アンテナ
に給電されているので、上記合成手段に入力される上記
2つの漏洩送信信号は上記合成手段から出力される合成
後の漏洩送信信号の電力が最小になるような位相差を有
する。これによって、上記2つの受信信号は上記合成手
段によって同相で合成されて出力される一方、上記2つ
の漏洩送信信号は上記合成手段によって逆相で合成され
ることにより上記合成手段から出力されない。
【0021】請求項3記載の円偏波セルフダイプレクシ
ングアンテナは、請求項1又は2記載の円偏波セルフダ
イプレクシングアンテナを複数個備えて構成され、請求
項3記載の円偏波セルフダイプレクシングアンテナにお
いて、上記各受信アンテナから出力される上記2つの漏
洩送信信号の位相差の90度からのずれ量は、「発明が
解決しようとする課題」の項で上述したように各送信ア
ンテナから放射される送信波間の相互結合等によってさ
らに大きな値になる。しかし、各円偏波セルフダイプレ
クシングアンテナの位相補正手段は、隣接する送信アン
テナが放射する送信波間の相互結合等の影響による位相
のずれ量も含めて上記各合成手段から出力される漏洩送
信信号の電力が最小になるような位相補正量だけ、上記
送信アンテナに入力される2つの送信信号又は上記受信
アンテナから出力される2つの送信信号のうちの少なく
とも1つの信号を移相するので、上記2つの受信信号は
それぞれの合成手段から同相で合成されて出力される一
方、上記2つの漏洩送信信号はそれぞれの合成手段によ
って逆相で合成されることにより上記合成手段から出力
されない。
【0022】請求項4記載の円偏波セルフダイプレクシ
ングアンテナにおいて、ビーム形成手段は、上記円偏波
セルフダイプレクシングアンテナのビームを所定のビー
ム方向に向けるように制御するとともに当該ビーム方向
のデータを出力する。また上記位相制御手段は、上記ビ
ーム形成手段から出力されるビーム方向のデータに基づ
いて、当該ビーム方向のデータに対応して上記合成手段
が出力する第一の共振周波数と同じ周波数を有する漏洩
送信信号の電力が最小になるような位相補正量を上記記
憶手段から読み出して、上記読み出した位相補正量だけ
移相するように上記位相補正手段を制御する。これによ
って、上記位相補正手段は、上記送信アンテナに給電さ
れる2つの送信信号又は上記受信アンテナから出力され
る2つの漏洩送信信号のうちの少なくとも1つの信号を
上記位相補正量だけ移相して出力する。これによって、
当該円偏波セルフダイプレクシングアンテナにおいて
は、ビーム方向を変化させても、上記合成手段に入力さ
れる上記2つの漏洩送信信号は、常に上記合成手段から
出力される漏洩送信信号の電力が最小になるような位相
差を有する。従って、ビーム方向を変化させても常に上
記受信信号は上記合成手段によって同相合成されて上記
合成手段から出力される一方、上記漏洩送信信号は上記
合成手段によって常に逆相で合成されることにより上記
合成手段から出力されない。
【0023】
【実施例】図1は、本発明に係る実施例の円偏波セルフ
ダイプレクシングアンテナである。本実施例の円偏波セ
ルフダイプレクシングアンテナは、図6に示すように、
所定の配置形状で近接して並置された19個のアンテナ
素子50−1及至50−19(以下、代表して符号50
を付す。)からなるアレーアンテナ100と、送受信モ
ジュールRM−1及至RM−19(以下、代表して符号
RM−mを付す。)と、アレーアンテナ100が所定の
方向にビームを形成するためのビーム形成部とを備えて
構成される。本発明に係る実施例の円偏波セルフダイプ
レクシングアンテナは、その送受信モジュールRM−m
内に、詳細後述するように90度ハイブリッド回路15
の出力端子98から出力される漏洩送信信号の電力が最
小になるように、ビーム方向のデータに基づいて当該ビ
ーム方向のデータに対応した位相補正量だけ移相する移
相器10を備えたことを特徴としている。以下、図面を
参照して本発明に係る実施例について説明する。
【0024】最初に、図1のアンテナ素子50の構成
を、図2を用いて詳細に説明する。図2に示すように、
裏面に接地導体13を備えた誘電体基板12上に、円環
状の放射導体2が形成され、上記放射導体2の内周縁端
部と接地導体13とは誘電体基板12を厚さ方向に貫通
するスルーホールに形成されるスルーホール導体24に
よって導通するように接続される。さらに放射導体2と
誘電体基板12の上面に放射導体2の外径よりも短い直
径を有する円形状の放射導体1を備えた誘電体基板11
が、放射導体1と放射導体2とが同軸になるように形成
される。以上のようにして、上記放射導体1と、誘電体
基板11と、接地導体として動作する放射導体2とによ
って円形パッチアンテナが構成され、放射導体2と誘電
体基板12と接地導体13とによって円環パッチアンテ
ナが構成される。本実施例では、上記円形パッチアンテ
ナを送信用アンテナとして用い、上記円環パッチアンテ
ナを受信用アンテナとして用いている。
【0025】また、公知のように円形パッチアンテナの
共振周波数である送信周波数ftは、放射導体1の径と
誘電体基板11の誘電率と厚さとによって決まり、本実
施例においては送信周波数ftは1.64GHzに設定
される。また、円環パッチアンテナの共振周波数である
受信周波数frは、上記放射導体2の内径と外径及び誘
電体基板12の誘電率と厚さとによって決まり、本実施
例においては、受信周波数frは、1.54GHzに設
定される。ここで、送信周波数ftは受信周波数frと
近接するが異なるように設定される。また、本実施例に
おいては、上記スルーホールは、各スルーホールの間隔
が上記送信周波数ftと上記受信周波数frの波長に比
べて十分短くなるように、例えば、上記放射導体2の中
心を中心として互いに45度の角度だけ離れた放射導体
2の内周縁端部上の8か所の位置に形成される。
【0026】また、図4及び図5に示すように、導体か
らなる給電ピン5a,5bは、放射導体2と電気的に接続
され放射導体2の内周円の内側を通るように、誘電体基
板12と誘電体基板11とを厚さ方向に貫通して形成さ
れ、その各一端がそれぞれ放射導体1上の給電点3a,3
bに電気的に接続される。ここで、給電点3a,3bは、互
いに90度の位相差を有する2つの送信信号が給電点3
a,3bに給電されたときに上記円形パッチアンテナが
円偏波の送信波を放射するように、放射導体1の中心点
Oを中心として互いに90度隔てて、かつ中心点Oから
の距離が互いに等しい所定の距離になるように設定され
る。またさらに、導体からなる給電ピン6a,6bは、誘
電体基板12を厚さ方向に貫通して形成され、その各一
端がそれぞれ放射導体2上の給電点4a,4bに電気的に
接続される。ここで、給電点4a,4bは、円偏波の電磁
波である受信波が円環パッチアンテナによって受信され
たときに給電点4a,4bに上記受信波に対応しかつ互
いに90度の位相差を有する電流が発生するように、放
射導体2の中心点を中心として互いに90度隔てて、か
つ放射導体2の中心点からの距離が互いに等しい所定の
距離になるように設定される。また、上記給電ピン5a,
5b,6a,6bの各他端は、それぞれ接地導体13に設け
られた円形の開口部7a,7b,8a,8bを介して接地導体
13と電気的に接触しないように接地導体13を貫通し
て、接地導体13の裏面に設けられたコネクタ22a,2
2b,23a,23bの中心導体に電気的に接続される。ま
た上記コネクタ22a,22b,23a,23bの接地導体で
ある外導体は、接地導体13に電気的に接続される。以
上のようにしてアンテナ素子50が構成される。
【0027】次に、アレーアンテナ100の構成を説明
する。図6は、図1のセルフダイプレクシングアンテナ
のアレーアンテナ100を示す平面図である。図6に示
すように、アレーアンテナ100は19個のアンテナ素
子を備え、かつ互いに隣接するアンテナ素子50間の距
離がすべてλ/2になるように互いに近接して構成され
る。ここで、λは受信周波数frにおける波長である。
以上のようにしてアレーアンテナ100が構成される。
【0028】次に、送受信モジュールRM−mの構成を
説明する。送受信モジュールRM−mは、移相器10
と、位相制御器20と、ROM30と、90度ハイブリ
ッド回路15と、終端抵抗17と、低雑音増幅器47
と、ダウンコンバータ41と、A/D変換器42と、9
0度ハイブリッド回路14と、終端抵抗16と、電力増
幅器48と、移相器45と、アップコンバータ43と、
D/A変換器44とを備えて構成される。上記送受信モ
ジュールRM−mにおいて、移相器10はその入力端子
がアンテナ素子50のコネクタ23bに接続され、その
出力端子が90度ハイブリッド回路15の一方の入力端
子96に接続されて構成される。また上記移相器10の
制御端子には、入力される方向データDBに応じた位相
補正量CPm(s)を出力する位相制御器20が接続さ
れ、位相制御器20には方向データDBに対応した位相
補正量CPm(s)が記憶されたROM30が接続され
る。以上のようにして送受信モジュールRM−mが構成
され、ここで、各送受信モジュールRM−1及至RM−
19は同一の回路構成で構成される。尚、方向データD
Bと位相補正量CPm(s)についての詳細は後述す
る。
【0029】上述のように構成されたアンテナ素子50
は、上述のように構成された送受信モジュールRM−m
と組み合わせることによって、アンテナ素子50の円形
パッチアンテナは、左旋円偏波の電磁波である送信波を
放射するように構成され、アンテナ素子50の円環パッ
チアンテナは、左旋円偏波の電磁波である受信波を受信
するように構成される。
【0030】また、ビーム形成部は、図1に示すよう
に、(a)各送受信モジュールRM−mのA/D変換器
42から出力される受信デジタル信号R1乃至RM(以
下、代表して符号Rmを付す。)と、希望波を所定の放
射角度の範囲で受信できるように予め決められた形成す
べき所定の複数N個のビームの各主ビームの方向を表す
方向ベクトルdnと、受信信号の受信周波数frとに基
づいて複数N個のビーム電界値En(n=1,2,…,
N)を演算して出力するマルチビーム形成回路110
と、(b)マルチビーム形成回路110から出力される
複数N個のビーム電界値Enを、アレーアンテナ100
のサイドローブのレベルと適応制御プロセッサ113の
処置速度などから予め決定されるしきい値と比較して、
当該しきい値以上のビーム電界値SEn(n=1,2,
…,N;ただし、しきい値未満のビーム電界値について
はデータとして出力されない。)のみを選択して出力す
るビーム選択回路111と、(c)ビーム選択回路11
1から出力されるビーム電界値SEn(n=1,2,
…,N)をそれぞれ同相で分配して一方のビーム電界値
SEAn(n=1,2,…,N)と他方のビーム電界値
SEBn(n=1,2,…,N)を出力する同相分配回
路112と、(d)例えば従来のコンスタント・モジュ
ラス・アルゴリズム(以下、CMアルゴリズムとい
う。)を用いて、同相分配回路112から出力される一
方のビーム電界値SEAn(n=1,2,…,N)に基
づいて、アレーアンテナ100の主ビームを希望波の所
望の到来方向に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向
の受信信号のレベルを零にするような各ビームに対応す
る受信信号に対する複数N個のウエイトwn(n=1,
2,…,N)を演算して位相演算プロセッサ114と可
変利得増幅器120−1乃至120−N(以下、代表し
て符号120−nを付す。)とに出力する適応制御プロ
セッサ113と、(e)適応制御プロセッサ113から
出力される複数N個のウエイトwn(n=1,2,…,
N)と、送信信号の送信周波数ftとに基づいて、アレ
ーアンテナ100の主ビームを希望波の所望の到来方向
に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向の送信レベル
を零にするような各アンテナ素子100に対応する送信
信号に対する移相量DP1乃至DP19(以下、代表し
て符号DPmを付す。)を演算して各送受信モジュール
RM−mの移相器45に出力し、かつ受信波の主ビーム
の到来方向に対応する方向データDBを演算して位相制
御器20に出力する位相演算プロセッサ114とを備え
て構成される。
【0031】さらに、同相分配回路112から出力され
る他方のビーム電界値SEBnを上記位相演算プロセッ
サ114から出力されるウェィトWnに従って増幅する
可変利得増幅器120−nと、上記可変利得増幅器12
0−nから出力される信号を同相で合成する同相合成器
121と、入力される送信ベースバンド信号をN個の送
信ベースバンド信号F1乃至FNに同相分配して送受信
モジュールRM−mに出力する同相分配器130とを備
えて、図1の実施例の円偏波セルフダイプレクシングア
ンテナは構成される。
【0032】また、本実施例では、各送受信モジュール
RM−mにおける移相器10の移相量である位相補正量
は、図1の実施例のセルフダイプレクシングアンテナを
利用して実験的に以下のように求めた。ここで、送受信
モジュールRM−1の移相器10は移相器10−1と
し、送受信モジュールRM−2の移相器10は移相器1
0−2として、以下同様に各送受信モジュールRM−m
に対応して移相器10のハイフンの後にmに等しい番号
を付して識別する。また、移相器45についても同様に
各送受信モジュールRM−mに対応して移相器45のハ
イフンの後にmに等しい番号を付して識別する。
【0033】送信ベースバンド信号を同相分配器130
を介して各送受信モジュールRM−mに入力し、かつア
レーアンテナ100が所定の方向に送信波を放射するよ
うに各送受信モジュールRM−mにおける移相器45の
移相量を演算して移相器45に入力する。以上のよう
に、アレーアンテナ100の主ビームが所定の方向に向
くように各円形パッチアンテナを励振して、各送受信モ
ジュールRM−mの端子T2における漏洩送信信号の電
力が最小になるように、各送受信モジュールRM−mの
移相器10の移相量を設定して、当該移相量を位相補正
量CP1(s)乃至CP19(s)(以下、代表してC
Pm(s)を付す。)として求める。ここで、sは以下
に示す方向データDBに対応する数である。また、本実
施例においては、図13に示すようにビーム方向は角度
φと放射角度θを用いて表され、角度φと放射角度θを
それぞれ1度間隔ごとに組み合わせて表されるビーム方
向の全てに、方向を識別するための自然数である方向デ
ータDBを付す。方向データDBは、表1に示すよう
に、放射角度θが0度のときのビーム方向に対応する1
から、角度φが+179度,放射角度θが+90度の組
み合わせによって表されるビーム方向に対応する324
01までの連続番号からなる。ここで、角度φは、ビー
ム方向OPのP点からXY平面上への垂線がXY平面と
交わる点を点Rとしたときの線ORと正方向のX軸のな
す角であって、点RがXY平面上で第一象限と第二象限
にあるとき正の値になり、点RがXY平面上で第三象限
と第四象限にあるとき負の値になるように定義し、放射
角度θは、上述のようにZ軸とビーム方向とのなす角度
である。本実施例においては、表1に示すように、上記
方向データ1乃至32401に対応する全ての位相補正
量CPm(s)を求めた。以上のように求めた位相補正
量CPm(s)を、送受信モジュールRM−1のROM
30には、方向データ1から32401に対応するよう
に位相補正量CP1(1)からCP1(32401)を
公知の方法によって記録し、送受信モジュールRM−2
のROM30には、方向データ1から32401に対応
するように位相補正量CP2(1)からCP2(324
01)を記録する。以下同様に送受信モジュールRM−
3からRM−19までのすべてのROM30に送受信モ
ジュールRM−mにおける位相補正量CPm(s)を記
録する。
【0034】
【表1】
【0035】次に、以上のように構成された図1の実施
例の円偏波セルフダイプレクシングアンテナの動作を説
明する。
【0036】受信信号の受信周波数frを有しかつ左旋
円偏波の電磁波である受信波が、アレーアンテナ100
に入射されると、各アンテナ素子50の円環パッチアン
テナによって受信され、上記受信波に対応しかつ互いに
90度の位相差を有する2つの電流信号が給電点4a,
4bに発生する。当該2つの電流信号はそれぞれ、給電
点4a,4bから給電ピン6a,6bを介して互いに90度
の位相差を保ったままコネクタ23a,23bから2つの
受信信号として出力される。
【0037】送受信モジュールRM−mにおいて、アン
テナ素子50のコネクタ23aから出力された受信信号
は90度ハイブリッド回路15の一方の入力端子95に
入力され、アンテナ素子50のコネクタ23bから出力
された受信信号は移相器10を介して90度ハイブリッ
ド回路15の他方の入力端子96に入力される。ここ
で、円環パッチアンテナに入力される受信波は、左旋円
偏波の電磁波であるので、コネクタ23aから出力され
る受信信号は、コネクタ23bから出力される受信信号
に比べて90度だけ位相が進んでいる。また、90度ハ
イブリッド回路15は公知のように、入力端子96から
入力される信号を自ら受信周波数において90度だけ移
相した信号と入力端子95から入力される信号とを合成
して出力端子97から出力し、入力端子95から入力さ
れる信号を自ら受信周波数において90度だけ移相した
信号と入力端子96から入力される信号とを合成して出
力端子98から出力する。従って、90度ハイブリッド
回路15の入力端子95に入力される受信信号は、90
度だけ移相されると90度ハイブリッド回路15の入力
端子96に入力される受信信号と同相になるので、90
度ハイブリッド回路15は上記入力される2つの受信信
号を同相で合成して出力端子98から端子T2を介して
低雑音増幅器47に出力する。低雑音増幅器47は入力
された受信信号を増幅した後、ダウンコンバータ41に
出力する。ダウンコンバータ41は、入力された受信信
号を所定の周波数を有する中間周波数信号に周波数変換
して、さらに当該中間周波数信号をアナログの受信ベー
スバンド信号に復調処理した後、A/D変換器42に出
力する。A/D変換器はアナログの受信ベースバンド信
号を受信デジタル信号Rmに変換して、マルチビーム形
成回路110に出力する。
【0038】マルチビーム形成回路110には各送受信
モジュールRM−mのA/D変換器42からの受信デジ
タル信号Rmが入力され、以下のようにして、複数N個
のビームからなるマルチビームの各ビーム電界値En
演算してビーム選択回路111に出力する。希望波の到
来方向に対応し、形成すべきマルチビームの各ビームの
複数N個の方向が予め決められ、これらの方向は所定の
原点から見たときの方向ベクトルd1,d2,…,d
N(以下、代表して符号dnを付す。)で表される。ここ
で、Nは、アレーアンテナ100を用いて希望波を受信
することができるように設定される方向ベクトルdn
数であって、好ましくは4以上であってかつアンテナ素
子50の個数である19以下の数である。アレーアンテ
ナ100のアンテナ素子50が図6に示すようにX−Y
平面上で互いに半波長だけ離れて上述のように構成され
ているときの、放射方向の中心はZ軸であって、本実施
例において、放射角度とは、ビーム方向のZ軸からの角
度をいう。また、アレーアンテナ100の各アンテナ素
子50の位置ベクトルr1,r2,…,r19(以下、代表
して符号rmを付す。)が上記所定の原点から見たとき
の方向ベクトルとして予め決められる。そして、マルチ
ビーム形成回路110は次の数1を用いて、それぞれ合
成電界で表された上記各方向ベクトルdnに対応する複
数N個のビーム電界値Enを演算してビーム選択回路1
11に出力する。
【0039】
【数1】
【数2】anm=−(2π・fr/c)・(dn・rm) ここで、cは光速であり、(dn・rm)は方向ベクトル
nと位置ベクトルrmとの内積である。従って、位相a
nmはスカラー量である。
【0040】次いで、ビーム選択回路111は、マルチ
ビーム形成回路110から出力される複数N個のビーム
電界値Enを、アレーアンテナ100のサイドローブの
レベルと適応制御プロセッサ113の処置速度などから
決定されるしきい値と比較して、当該しきい値以上のビ
ーム電界値SEn(n=1,2,…,N;ただし、しき
い値未満のビーム電界値についてはデータとして出力さ
れない。)のみを同相分配回路112に出力する。な
お、ビーム選択回路111は、受信信号のレベルが極め
て低くS/Nの劣悪な受信信号を除去するために設けら
れる。
【0041】さらに、同相分配回路112は、ビーム選
択回路111から出力されるビーム電界値SEn(n=
1,2,…,N)をそれぞれ同相で分配して、一方のビ
ーム電界値SEAn(n=1,2,…,N)を適応制御
プロセッサ113に出力するとともに、他方のビーム電
界値SEBn(n=1,2,…,N)をそれぞれ、適応
制御プロセッサ113によって演算される受信信号のウ
エイトwnに対応した利得で入力される受信信号を増幅
する可変増幅増幅器120−1乃至120−N(以下、
代表して符号120を付す。)を介して同相合成器12
1に出力する。次いで、同相合成器121は入力される
複数N個の受信信号を同相で合成して、合成した受信信
号を受信ベースバンド信号として出力する。
【0042】次いで、適応制御プロセッサ113は、例
えば従来のCMアルゴリズム(例えば、詳しくは、大鐘
武雄ほか「陸上移動通信におけるCMAアダプティブア
レーの選択性フェージング補償特性」電子情報通信学会
論文誌,Vol.J73−B−II,No.10,pp4
89−497参照。)を用いて、同相分配回路112か
ら出力される一方のビーム電界値SEAn(n=1,
2,…,N)に基づいてアレーアンテナ100の主ビー
ムを希望波の所望の方向に向けかつ干渉波などの不要波
の到来方向の受信レベルを零にするような各ビームに対
応する受信信号に対する複数N個のウエイトwn(n=
1,2,…,N)を以下のようにして演算する。すなわ
ち、このCMアルゴリズムは、以下に述べるように、包
絡線が既知である希望波の信号波を用いた通信方式にお
いて、干渉波などの不要波の影響によって変化した包絡
線の波形を所望の形に変換することによって不要波の到
来方向の当該アレーアンテナ100の放射パターンにお
ける受信レベルを零にするものである。
【0043】いま、n番目のビームの時刻tにおける受
信信号をXn t(n=1,2,…,N)とすると、受信信
号Xn tに印加すべき複素ウエイトwn tとする。ここで、
アレーアンテナ100を用いて合成した合成電界Yは、
次の数3で表すことができる。
【数3】
【0044】ここで、簡単のために信号波の所望の包絡
線の形状を予め決められた一定値P0であるとすると、
合成電界の信号の包絡線を一定値P0とするための複素
ウエイトwn tを求めることは、公知の通り、次の数4と
数5とに示す評価関数Fを最小にする複素ウエイトwn t
を求めることと等価である。
【数4】F=(|Y|2−P02 ここで、数4に数3で表された合成電界Yを代入する
と、次の数5を得る。
【数5】
【0045】従って、複素ウエイトwn tを次の数6に従
って、次の時刻の複素ウエイトwn (t+1)に更新して次の
時刻の受信信号Xn (t+1)を演算することによって、信号
波の包絡線を所望の形にして不要波の到来方向の放射パ
ターンにおける受信レベルを零にすることができる。
【数6】 wn (t+1)=wn t−μXn*・(|Y|2−P0)・Y ここで、μはシステムによって決定される定数であり、
n*は複素数で表された受信信号Xnの共役複素数であ
る。
【0046】なお、CMアルゴリズムを用いた場合、公
知の通り、マルチビームのビーム数から1を引いた数の
零点を放射パターンにおいて形成することができる。
【0047】以上述べたように、適応制御プロセッサ1
13は、CMアルゴリズムを用いて、同相分配回路11
2から出力されるビーム電界値SEAn(n=1,2,
…,N)に基づいてアレーアンテナ100の主ビームを
希望波の所望の方向に向けかつ干渉波などの不要波の到
来方向の受信レベルを零にするような各ビームに対応す
る受信信号に対する複数N個のウエイトwn(n=1,
2,…,N)を演算して、位相演算プロセッサ114と
各可変利得増幅器120とに出力する。
【0048】さらに、位相演算プロセッサ114は、適
応制御プロセッサ113から出力される複数N個のウエ
イトwn(n=1,2,…,N)に基づいてアレーアン
テナ100の主ビームを希望波の所望の方向に向けかつ
干渉波などの不要波の到来方向の送信レベルを零にする
ような各アンテナ素子50に対応する送信信号に対する
移相量DPmを以下のようにして演算して各送受信モジ
ュールRM−mの移相器5に出力する一方、主ビームの
到来方向に対応する方向データDBを演算して各送受信
モジュールRM−mに出力する。すなわち、次の数7を
用いて、受信信号に対するウエイトに対して、マルチビ
ームを形成するための各方向ベクトルdnに対応するウ
エイトを乗算してすべての方向ベクトルについての和を
計算することによって、アレーアンテナ100の各アン
テナ素子50で受信した受信信号に与えるべきウエイト
wbmを演算することができる。
【数7】
【0049】数7において、受信周波数frを送信周波
数ftに置き換えれば、送信時においても希望波の放射
方向に主ビームを向けることができかつ不要波の到来方
向に零点が形成された放射パターンを得ることができ
る。この原理についてさらに詳細に以下に説明する。
【0050】図12の(a)は受信時において希望波の
放射方向に主ビームが向けられたときの適応制御前の初
期の放射パターンであり、この初期の放射パターンは、
図12の(b)に示す複数のビームE1,E2,…,EN
に対してそれぞれ受信信号に対するウエイトw1,w2
…,wNを掛けてそれらの和を演算することによって重
ね合わせして得ることができる。さらに、図12の
(a)の初期の放射パターンに対して適応制御プロセッ
サ113によって演算された受信信号に対するウエイト
nを各ビーム電界値En毎に掛けることによって、すな
わち可変利得増幅器120によってウエイトwnに比例
する利得で増幅することによって主ビームを希望波の到
来方向に向けかつ干渉波などの不要波を抑圧したときの
所望の受信信号を得ることができる。
【0051】また、本実施例のセルフダイプレクシング
アンテナにおいて、送信ベースバンド信号は同相分配器
130に入力され、同相分配器130は入力された送信
ベースバンド信号を19個の送信信号F1乃至F19(以
下、代表して符号Fmを付す。)に同相で分配してそれ
ぞれ各送受信モジュールRM−mのD/A変換器44に
出力する。D/A変換器44は、送信信号Fmをアナロ
グの送信ベースバンド信号に変換した後アップコンバー
タ43に出力する。アップコンバータ43は、所定の中
間周波数を有する中間周波数信号を当該送信ベースバン
ド信号によって変調処理をした後、当該中間周波数信号
を送信周波数ftを有する送信信号に周波数変換して、
移相器45に出力する。移相器45は、詳細後述する位
相演算プロセッサ114によって演算された移相量DP
mだけ移相した後、電力増幅器48の入力端子に出力す
る。電力増幅器48は入力された送信信号を電力増幅し
た後、端子T1を介して90度ハイブリッド回路14の
一方の入力端子93に出力する。90度ハイブリッド回
路14は、互いに90度の位相差を有する2つの送信信
号をそれぞれ出力端子91,92からアレーアンテナ1
00のアンテナ素子50のコネクタ22a,22bに出力
する。
【0052】アンテナ素子50において、コネクタ22
a,22bに入力された上記2つの送信信号は、それぞれ
給電ピン5a,5bを介して給電点3a,3bに給電される。
これによって、円形パッチアンテナが励振されて、上記
放射導体1上に上記2つの送信信号に対応する2つの直
交する電磁波を発生することにより、円形パッチアンテ
ナは、上記2つの送信信号に対応し上記2つの電磁波が
合成された円偏波の電磁波である送信波を受信波の到来
方向に放射する一方、放射導体1から放射導体2への方
向にも円偏波の電磁波である送信波が漏洩放射される。
このとき上述のように、上記放射導体1上に発生する2
つの電磁波の位相差は、給電ピン5aと給電ピン5bの
相互結合やアンテナ素子50の加工時のバラツキまたさ
らに他のアンテナ素子50との相互結合等によって90
度からずれた値になっている。ここでコネクタ22aに
入力される送信信号はコネクタ22bに入力される送信
信号に比べて位相が90度だけ進んでいるので、自由空
間中に放射される送信波は、左旋円偏波の電磁波にな
り、放射導体1から放射導体2の方向に漏洩放射される
送信波は、自由空間中に放射される送信波とは放射方向
が反対になるので、右旋円偏波の電磁波になる。この漏
洩放射される右旋円偏波の送信波は、左旋円偏波の電磁
波である受信波と互いに同一の放射方向を有しかつ互い
に旋回方向が逆となる状態で上記受信波とともに円環パ
ッチアンテナによって受信される。
【0053】ところで、希望波の到来方向である相手方
の無線局の方向は送信信号の放射方向であり、干渉波な
どの不要波の到来方向に対して送信信号を送信しないよ
うに制御する必要があるので、送信信号の放射パターン
は受信信号の放射パターンの相似形状となる。受信周波
数frと送信周波数ftとが互いに異なる場合であって
も、受信信号と同一の方向に主ビームを有するビームを
受信信号に対するウエイトwnを掛けて重ね合わせする
ことによって、送信信号の主ビームを希望波の到来方向
に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向に送信信号の
放射パターンの零点を形成するような、送信信号のため
の放射パターンを得ることができる。従って、数7にお
ける受信周波数frを送信周波数ftを置き換えた後、
その位相を計算することによって次の数8を得ることが
でき、本実施例においては、特に、詳細後述する理由
で、送信信号に対して位相のみを制御することによっ
て、送信信号の放射パターンを得るように構成してい
る。
【0054】
【数8】DPm=tan-1[Im(Zm)/Re
(Zm)],m=1,2,…,M ここで、複素数Zmは、
【数9】 であり、Re(Zm)は複素数Zmの実数成分であり、I
m(Zm)は複素数Zmの純虚数成分である。
【0055】上記位相演算プロセッサ114は、適応制
御プロセッサ113によって演算された受信信号に対す
るウエイトwbmに基づいて、上記数8を用いて送信信
号の移相量DPmを演算して各送受信モジュールRM−
mの移相器45に出力する一方、受信波の主ビームの到
来方向に対応する方向データDBを演算して位相制御器
20に出力する。これに応答して、移相器45は、位相
演算プロセッサ114によって演算された移相量DPm
だけ移相した後、電力増幅器48と90度ハイブリッド
14を介してアレーアンテナ100内のアンテナ素子5
0に出力して当該送信信号を放射する。このとき放射さ
れる送信信号の放射パターンは、送信信号の主ビームを
希望波の到来方向に向けかつ干渉波などの不要波の到来
方向に送信信号の放射パターンの零点を形成するような
放射パターンである。
【0056】さらに、送信信号に対して位相のみを制御
することによって、送信信号の主ビームを希望波の到来
方向に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向に送信信
号の放射パターンの零点を形成するような送信信号の放
射パターンを得ることができる理由について以下に説明
する。
【0057】まず、送信信号Fmの放射パターンにおけ
る適応制御前の初期の合成電界E0を次の数10で表す
ことができる。
【数10】
【0058】次いで、送信信号Fmの放射パターンにお
いて零点を形成するための複素励振値Amを、複素励振
値Amの振幅変位(実数値)をΔa0mとしかつその位相
変位(実数値)をΔφmとして次の数11で表すと、
【数11】Am=(1+Δa0m)exp(jΔφm)・F
m,m=1,2,…,M 送信信号の放射パターンにおいて零点を形成したときの
合成電界は次の数12で表される。
【数12】
【0059】上記数12から送信信号の励振位相のみを
Δφmに設定したときの初期合成電界からの誤差合成電
界Eepは次の数13で表される。
【数13】
【0060】ここで、送信信号の放射パターンにおける
サイドローブ領域に零点を形成するためには、次の数1
4と数15が成立する。
【数14】exp(jΔφm)=1+jΔφm
【数15】Δa0m・Δφm<<1
【0061】上記数14と数15の条件を数13に代入
すると、次の数16を得る。
【数16】
【0062】さらに、一般に、複素励振値の振幅変位Δ
0m<<1であるので、数16に適用すると、誤差合成
電界Eep<<1となる。このことは、送信信号に対し
て位相のみを制御することによって、送信信号の主ビー
ムを希望波の到来方向に向けかつ干渉波などの不要波の
到来方向に送信信号の放射パターンの零点を形成するよ
うな送信信号の放射パターンを得ることができることを
意味する。以上のようにして、アレーアンテナ100
は、希望波の到来方向である所定の送信方向に送信波を
放射する。
【0063】一方、アンテナ素子50の円形パッチアン
テナから放射導体2の方向に漏洩放射される右旋円偏波
の電磁波である漏洩送信波は、円環パッチアンテナによ
って受信され、上記漏洩送信波に対応しかつ互いに上述
のように90度からずれた位相差を有する2つの漏洩送
信信号として、給電点4a,4bと給電ピン6a,6bを
介してコネクタ23a,23bから出力される。アンテナ
素子50のコネクタ23aから出力された一方の漏洩送
信信号は、送受信モジュールRM−mの90度ハイブリ
ッド回路15の一方の入力端子95に入力され、アンテ
ナ素子50のコネクタ23bから出力された他方の漏洩
送信信号は、送受信モジュールRM−mの移相器10に
入力される。
【0064】このとき、送受信モジュールRM−mにお
いて、位相制御器20は、入力される方向データDBに
対応する位相補正量CPm(s)をROM30から読み
出して、移相器10に送信周波数において位相補正量C
Pm(s)だけ位相補正するように制御信号を出力す
る。これによって、移相器10は、入力された漏洩送信
信号を位相補正量CPm(s)だけ移相して90度ハイ
ブリッド回路15の入力端子96に出力する。90度ハ
イブリッド回路15は、移相器10から入力端子96に
入力される漏洩送信信号を自ら送信周波数ftと受信周
波数frの差に応じた移相量だけ90度からずれた送信
周波数ftにおける移相量を移相した漏洩送信信号と入
力端子95に入力される漏洩送信信号と合成して出力端
子97から出力する。ここで、「発明が解決しようとす
る課題」の項において上述したようにアンテナ素子50
のコネクタ23a,23bから出力される2つの漏洩送
信信号の位相差は、90度からずれた値になっている。
一方上記90度ハイブリッド回路15は、入力端子95
から入力される信号を受信周波数frにおいて90度だ
け移相するように構成されていて送信周波数ftにおけ
る移相量は90度にはならない。しかしながら、位相補
正器10が90度ハイブリッド回路15の出力端子98
から出力される漏洩送信信号の電力が最小になるような
位相補正量CPm(s)だけ移相しているので、漏洩送
信信号は逆相で合成されて出力端子98からほとんど出
力されない。以上のようにして、本実施例の円偏波セル
フダイプレクシングアンテナは、90度ハイブリッド回
路15の出力端子98から漏洩送信信号をほとんど出力
することなく受信信号を取り出すことができる。尚ここ
で、上記位相補正器10は、受信信号の位相も位相補正
量CPm(s)に対応した受信周波数での移相量だけ移
相するので、90度ハイブリッド回路15の出力端子9
8から出力される合成受信信号の電力も若干下がるが、
低雑音増幅器47の増幅度を上げる等によって簡単に所
定の電力を得ることができる。
【0065】図7は、本実施例のセルフダイプレクシン
グアンテナの各アンテナ素子50における、送受信アン
テナ間の相互結合量の周波数特性を示すグラフである。
上記送受信アンテナ間の相互結合量は、1.04GHz
から2.04GHzにおける各送受信モジュールRM−
mの端子T1から端子T2への伝送係数(透過係数)を
測定することにより求めた。またこのとき、移相器10
は、被測定アンテナ素子50の伝送係数すなわち送受信
モジュールRM−mの端子T1から端子T2への伝送係
数が最も小さくなるように設定した。又このとき、被測
定アンテナ素子50以外のアンテナ素子50のコネクタ
22a,22b,23a,23bは全て公知の無反射終端回路
によって終端した。図7において、2本の特性のうち上
側の特性は、19個のアンテナ素子中の送受信間相互結
合量の最大値を示すものであり、下側の特性は19個の
アンテナ素子中の送受間相互結合量の最小値を示すもの
である。図7から明らかなように、送信周波数である
1.64GHzの周波数における送受信間相互結合量の
最小値は−75dBであり、送受信間相互結合量の最大
値は−40dBである。これは、図10の従来例のセル
フダイプレクシングアンテナの1.64GHzにおけ
る、最大値である−35dBと最小値である−55dBに
比べると最大値及び最小値とも小さくなっている。すな
わち、受信アンテナである円環パッチアンテナのコネク
タ23bと90度ハイブリッド回路15の入力端子96
の間に移相器10を備えて、所定の位相補正を行うこと
によって、送受信間相互結合量を小さくすることができ
る。
【0066】図8は、図7の測定値のうち、1.64G
Hzの周波数における各アンテナ素子50の送受信間相
互結合量を示すグラフである。図8において、実線で示
した折れ線は、実施例における19個のアンテナ素子の
送受信間相互結合量を示す点を結んだものであり、点線
で示した折れ線は従来例における19個のアンテナ素子
の送受間相互結合量を示す点を結んだものである。図8
から明らかなように、19アンテナ素子中18個のアン
テナ素子において、従来例のアンテナ素子に比べて実施
例のアンテナ素子の方が送受信間相互結合量が小さくな
っていることが解る。すなわち、受信アンテナである円
環パッチアンテナのコネクタ23bと90度ハイブリッ
ド回路15の入力端子96の間に移相器10を備えて、
所定の位相補正を行うことによって、送受信間相互結合
量を小さくすることができる。
【0067】以上のように、本発明に係る実施例のセル
フダイプレクシングアンテナは、送受信モジュールRM
−mに90度ハイブリッド回路15の出力端子98から
出力される漏洩送信信号が最小になるように移相する移
相器10を備えているので、従来例のセルフダイプレク
シングアンテナに比較して送受信アンテナ間のアイソレ
ーションが良くなる。また本発明に係る実施例のセルフ
ダイプレクシングアンテナは、上記移相器10とともに
ビーム方向に対応する位相補正量CPm(s)を記録し
たROM30と、上記ROM30からビーム方向に対応
した位相補正量CPm(s)を読み出して上記移相器1
0を制御する位相制御器20を備えているので、ビーム
方向に対応した位相補正をすることができ、ビーム走査
をしたときにおいても、従来例のセルフダイプレクシン
グアンテナに比較して送受信アンテナ間のアイソレーシ
ョンを良くすることができる。
【0068】<変形例>図11は、本発明に係る第一の
変形例のセルフダイプレクシングアンテナである。図1
1において図1と同一のものについては同一の符号を付
している。この第一の変形例のセルフダイプレクシング
アンテナのビーム形成部は、図11に示すように、図1
の実施例に比較して、以下の点が異なる。 (a)位相演算プロセッサ114に代えて振幅及び位相
演算プロセッサ114aを設ける。 (b)各送受信モジュールRM−mにおいて、電力増幅
器48に代えて、振幅変更可能型電力増幅器48aを用
いる。以下、上記相違点について詳細に説明する。
【0069】この第3の実施例においては、送信信号の
主ビームを希望波の到来方向に向けかつ干渉波などの不
要波の到来方向に送信信号の放射パターンの零点を形成
するような、送信信号のための放射パターンを得るため
に、数9の右辺の振幅量DAm(次の数17参照。)及
び数8の位相量DPmを用いて送信信号に対して振幅及
び位相を制御することによって、送信信号の放射パター
ンを得るように構成している。
【数17】DAm=|Zm|,m=1,2,…,M
【0070】さらに、送信信号に対して振幅を制御する
ことによって、送信信号の主ビームを希望波の到来方向
に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向に送信信号の
放射パターンの零点を形成するような送信信号の放射パ
ターンを得ることができる理由について以下に説明す
る。
【0071】まず、送信信号Fmの放射パターンにおけ
る適応制御前の初期の合成電界E0を上記数10で表す
ことができる。次いで、送信信号Fmの放射パターンに
おいて零点を形成するための複素励振値Amを、複素励
振値Amの振幅変位(実数値)をΔa0mとしかつその位
相変位(実数値)をΔφmとして上記数11で表すと、
送信信号の放射パターンにおいて零点を形成したときの
合成電界は上記数12で表される。そして、上記数12
から送信信号の励振振幅のみを(1+Δa0m)に設定し
たときの初期合成電界からの誤差合成電界Eeaは次の
数18で表される。
【数18】
【0072】ここで、上記数15が成立すると仮定し、
上記数15の条件(Δa0m・Δφm<<1)を数18に
代入すると、次の数19を得る。
【数19】
【0073】さらに、一般に、複素励振値の位相変位Δ
φm<<1であるので、数19に適用すると、誤差合成
電界Eea<<1となる。このことは、送信信号に対し
て振幅のみを制御することによって、送信信号の主ビー
ムを希望波の到来方向に向けかつ干渉波などの不要波の
到来方向に送信信号の放射パターンの零点を形成するよ
うな送信信号の放射パターンを得ることができることを
意味する。
【0074】上記振幅及び位相演算プロセッサ114a
は、適応制御プロセッサ113によって演算された受信
信号に対するウエイトwbmに基づいて、上記数17を
用いて送信信号の振幅量DAmを演算して各送受信モジ
ュールRM−mの振幅変更可能型電力増幅器48aに出
力するとともに、上記数8を用いて送信信号の位相量D
Pmを演算して各送受信モジュールRM−mの移相器4
5に出力する一方、受信波の主ビームの到来方向に対応
する方向データDBを演算して位相制御器20に出力す
る。これに応答して、電力増幅器48aは、各送信信号
F1至F19の振幅量が上記振幅量DAmとなるように
変更して電力増幅した後、90度ハイブリッド回路14
の入力端子93に出力する。また移相器45は第1の実
施例と同様に動作する。従って、各送信信号F1乃至FM
は、移相器45と電力増幅器48aと90度ハイブリッ
ド回路14を介してアレーアンテナ100内のアンテナ
素子50に入力されて、アレーアンテナ100は、当該
送信信号を放射する。このとき放射される送信信号の放
射パターンは、送信信号の主ビームを希望波の到来方向
に向けかつ干渉波などの不要波の到来方向に送信信号の
放射パターンの零点を形成するような放射パターンであ
る。また、誤差合成電界Eep,Eeaに対応する第3
の実施例における誤差合成電界Eeはゼロとなる。
【0075】以上説明したように、第一の変形例におい
ては、送信信号に対して振幅及び位相をともに制御する
ので、実施例と比較して構成は若干複雑となるが、実施
例と同様の90度ハイブリッド回路15の出力端子98
から出力される漏洩送信信号の電力を最小にする効果を
有する一方、上述のように、誤差合成電界Eeはゼロと
なり、完全に干渉波の影響を除去することができる。
【0076】以上の第一の変形例において、振幅変更可
能型電力増幅器48aを用いているが、本発明は、これ
に限らず、少なくとも送信信号の振幅量を各アンテナ素
子100に対応して変更する振幅変更手段を備えればよ
い。当該振幅変更手段は、例えば、減衰器、又は減衰器
と増幅器の組み合わせ回路などである。
【0077】また、本発明に係るセルフダイプレクシン
グアンテナは、1つのアンテナ素子50と1つの送受信
モジュールRM−mによって構成しても良い。この場合
送受信モジュールRM−mは位相制御器20とROM3
0を除いて構成され、移相器10の位相補正量はアンテ
ナ素子50の円形パッチアンテナに送信信号を与えて励
振したときに、円環パッチアンテナを介してT2から出
力される漏洩送信信号が最小になるように初期設定され
る。以上のように構成した第二の変形例の円偏波セルフ
ダイプレクシングアンテナにおいても、送受信アンテナ
間のアイソレーションが従来例のセルフダイプレクシン
グアンテナに比較して良くなる。
【0078】以上の実施例と変形例のセルフダイプレク
シングアンテナにおいては、移相器10は、受信用円環
パッチアンテナのコネクタ23bと90度ハイブリッド
回路15の入力端子96の間に接続したが、本発明はこ
れに限らずコネクタ23aと90度ハイブリッド回路1
5の入力端子95の間に接続しても良い。また、送信用
円形パッチアンテナのコネクタ22a,22bと90度
ハイブリッド回路14の出力端子91,92の間に接続
しても良い。この場合、上記移相器10は、送信用円形
パッチアンテナのコネクタ22a,22bに入力される
2つの送信信号のうち少なくとも一方を上記90度ハイ
ブリッド回路15がその出力端子98から出力される漏
洩送信信号の電力が最小になるような位相補正量だけ移
相して上記コネクタ22a又はコネクタ22bに出力す
る。上記送信用円形パッチアンテナは、互いに所定の位
相差を有する2つの送信信号が給電されて円偏波の送信
波を自由空間中に放射すると同時に上記送信用円形パッ
チアンテナから上記受信用円環パッチアンテナの方向に
円偏波の漏洩送信波を放射する。一方、上記受信用円環
パッチアンテナは、上記受信波とともに上記漏洩送信波
も受信する。上記受信用円環パッチアンテナに受信され
た上記受信波は、互いに90度の位相差を有する2つの
受信信号として上記受信用円環パッチアンテナから上記
90度ハイブリッド回路15の入力端子95,96に出
力される一方、上記漏洩送信波は、所定の位相差を有す
る2つの漏洩送信信号として上記受信用円環パッチアン
テナから上記90度ハイブリッド回路15の入力端子9
5,96に出力される。ここで、上記移相器10によっ
て、上記送信用円形パッチアンテナに給電される2つの
送信信号のうち少なくとも一方の送信信号は上記90度
ハイブリッド回路15の出力端子98から出力される漏
洩送信信号の電力が最小になるような位相補正量だけ移
相されて上記送信用円形パッチアンテナに入力されてい
るので、上記90度ハイブリッド回路15の入力端子9
5,96に入力される上記2つの漏洩送信信号は、上記
90度ハイブリッド回路15の出力端子98から出力さ
れる合成後の漏洩送信信号の電力が最小になるような位
相差を有する。これによって、上記2つの受信信号は上
記90度ハイブリッド回路15によって同相で合成され
て上記90度ハイブリッド回路15の出力端子98から
出力される一方、上記2つの漏洩送信信号は上記90度
ハイブリッド回路15によって逆相で合成されることに
より上記90度ハイブリッド回路15の出力端子98か
らは出力されない。
【0079】またさらに、コネクタ22a,22bと9
0度ハイブリッド回路14の出力端子91,92の間
と、コネクタ23a,23bと90度ハイブリッド回路
15の入力端子95,96の間の4カ所のうちの2カ所
以上の場所に移相器10を接続しても良い。以上のよう
に構成されたセルフダイプレクシングアンテナにおい
て、移相器10は入力される信号を、90度ハイブリッ
ド回路15の出力端子98から出力される漏洩送信信号
の電力が最小になるような位相補正量だけ移相して出力
する。以上のようにして、上記90度ハイブリッド回路
15の出力端子98から出力される漏洩送信信号の電力
を最小にすることができ、本実施例のセルフダイプレク
シングアンテナと同様の効果を有する。
【0080】以上の実施例と変形例のセルフダイプレク
シングアンテナにおいては、送信用円形パッチアンテナ
と受信用円環パッチアンテナともそれぞれ2本の給電ピ
ン4a,4b,5a,5bを用いて放射導体1と放射導
体2に直接給電する方法を用いたが、本発明はこれに限
らずそれぞれ2つの給電線路を備え、それぞれ接地導体
13に形成される2つのスロットを用いて給電するスロ
ット給電方法を用いてもよい。また送信用円形パッチア
ンテナと受信用円形パッチアンテナのどちらか一方に給
電ピンによる直接給電を用いて、他方を2つの給電線路
と2つのスロットによるスロット給電を用いて構成して
も良い。以上のように構成しても、本実施例のセルフダ
イプレクシングアンテナと同様の効果を有する。
【0081】以上の実施例と変形例のセルフダイプレク
シングアンテナにおいては、送信用円形パッチアンテナ
と受信用円環パッチアンテナは共に、放射導体1と放射
導体2の所定の2点に給電することによって円偏波を励
振するように構成したが、本発明はこれに限らず、送信
用円形パッチアンテナを、1つの給電線路を用いてかつ
例えば放射導体1に設けた切り欠き等の公知の縮退分離
手段を用いて円偏波を励振するように構成しても良い。
この場合、移相器10は受信用円環パッチアンテナのコ
ネクタ23bと90度ハイブリッド回路15の入力端子
96の間と、コネクタ23aと90度ハイブリッド回路
15の入力端子95の間のどちらか一方又は双方に構成
される。以上のように構成しても、本実施例のセルフダ
イプレクシングアンテナと同様の効果を有する。
【0082】以上の実施例と変形例のセルフダイプレク
シングアンテナにおいては、送信用円形パッチアンテナ
は左旋円偏波の電磁波を放射するように構成し、受信用
円環パッチアンテナは左旋円偏波の電磁波を受信するよ
うに構成したが、本発明はこれに限らず、送信用円形パ
ッチアンテナを右旋円偏波の電磁波を放射するように構
成し、受信用円環パッチアンテナを右旋円偏波の電磁波
を受信するように構成してもよい。以上のように構成し
ても、本実施例のセルフダイプレクシングアンテナと同
様の効果を有する。
【0083】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る円偏波セル
フダイプレクシングアンテナにおいては、上記位相補正
手段によって、上記受信アンテナから出力される2つの
受信信号と上記送信アンテナに給電される2つの送信信
号のうち少なくとも1つの信号が、上記合成手段から出
力される第一の共振周波数を有する信号の電力が最小に
なるような位相補正量だけ移相されるので、上記第一の
共振周波数を有する信号は上記合成手段からはほとんど
出力されない。これによって、上記送信アンテナと上記
受信アンテナ間のアイソレーションを従来例に比較して
大きくでき、しかも帯域通過フィルタや帯域阻止フィル
タを備えることのない小型・軽量の円偏波セルフダイプ
レクシングアンテナを提供することができる。
【0084】また、本発明に係るアレー状の円偏波セル
フダイプレクシングアンテナは、上記送信アンテナと上
記受信アンテナ間のアイソレーションが従来例のアレー
状の円偏波セルフダイプレクシングアンテナに比較して
良く、しかもビーム走査を行った場合においても、上記
送信アンテナと上記受信アンテナ間のアイソレーション
悪化しない小型・軽量のアレー状の円偏波セルフダイプ
レクシングアンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施例の円偏波セルフダイプレ
クシングアンテナの全体の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】 図1の円偏波セルフダイプレクシングアンテ
ナのアンテナ素子50の分解斜視図である。
【図3】 図1のアンテナ素子50を図2の放射導体1
の上から見た平面図である。
【図4】 図1のアンテナ素子50の図2及び図3にお
けるA−A′面の断面図である。
【図5】 図1のアンテナ素子50の図2及び図3にお
けるB−B′面の断面図である。
【図6】 図1のアレーアンテナ100における各アン
テナ素子50の配置を示す平面図である。
【図7】 図1のアレーアンテナ100の各アンテナ素
子50における送受信間相互結合量の周波数特性を示す
グラフである。
【図8】 図7の測定値のうち、1.64GHzの周波
数における各アンテナ素子50の送受信間相互結合量を
示すグラフである。
【図9】 従来例のセルフダイプレクシングアンテナの
構成を示す分解斜視図である。
【図10】 図9の従来例のセルフダイプレクシングア
ンテナを図6の実施例と同様の配列にしてアレーアンテ
ナを構成したときの各アンテナ素子における送受信結合
量の周波数特性を示すグラフである。
【図11】 本発明に係る第一の変形例のセルフダイプ
レクシングアンテナの全体の構成を示すブロック図であ
る。
【図12】 図1のセルフダイプレクシングアンテナに
おけるビームの重ね合わせの原理を説明するための
(a)初期パターンと(b)重畳パターンと(c)零点
形成パターンとを示す放射パターン図である。
【図13】 図1のセルフダイプレクシングアンテナの
主ビームの方向を定義するための座標を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…放射導体、 2…放射導体、 3a,3b,4a,4b…給電点、 5a,5b,6a,6b…給電ピン、 10…移相器、 11,12…誘電体基板、 13…接地導体、 14,15…90度ハイブリッド回路、 20…位相制御器、 22a,22b,23a,23b…コネクタ、 30…ROM、 41…ダウンコンバータ、 42…A/D変換器、 43…アップコンバータ、 44…D/A変換器、 45…移相器、 47…低雑音増幅器、 48…電力増幅器、 50,50−1及至50−19…アンテナ素子、 100…アレーアンテナ、 RM−1及至RM−19…送受信モジュール、 110…マルチビーム形成回路、 111…ビーム選択回路、 112…同相分配回路、 113…適応制御プロセッサ、 114…位相演算プロセッサ、 114a…振幅及び位相演算プロセッサ、 120−1及至120−N…可変利得増幅器、 121…同相合成器、 130…同相分配器。
フロントページの続き (72)発明者 唐沢 好男 京都府相楽郡精華町大字乾谷小字三平谷 5番地 株式会社エイ・ティ・アール光 電波通信研究所内 (56)参考文献 1991年電子情報通信学会秋季大会講演 論文集[分冊2]P.2−64

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一の共振周波数を有しかつ円偏波の電
    磁波を放射する円偏波送信アンテナと、 上記第一の共振周波数と異なる第二の共振周波数を有し
    かつ上記送信アンテナが放射する円偏波の電磁波と同一
    の旋回方向を有する円偏波の電磁波を上記第二の共振周
    波数において互いに90度の位相差で2つの給電点にお
    いて受信する2点給電型円偏波受信アンテナと、 上記受信アンテナの2つの給電点から出力される2つの
    受信信号のうちの一方の受信信号を上記第二の共振周波
    数において90度だけ移相した後、当該移相した受信信
    号と、上記2つの受信信号のうちの他方の受信信号とを
    合成して受信信号として出力する合成手段とを備えた円
    偏波セルフダイプレクシングアンテナにおいて、 上記受信アンテナの2つの給電点と上記合成手段との間
    に設けられ、上記受信アンテナから出力される2つの受
    信信号のうち少なくとも一方の受信信号を、上記合成手
    段から出力される上記第一の共振周波数を有する信号の
    電力が最小になるような位相補正量だけ移相して上記合
    成手段に出力する位相補正手段を備えたことを特徴とす
    る円偏波セルフダイプレクシングアンテナ。
  2. 【請求項2】 2つの給電点を備え、第一の共振周波数
    を有し、かつ互いに90度の位相差を有する上記第一の
    共振周波数の2つの送信信号が上記2つの給電点に給電
    されたときに円偏波の電磁波を放射する2点給電型円偏
    波送信アンテナと、 上記第一の共振周波数と異なる第二の共振周波数を有し
    かつ上記送信アンテナが放射する円偏波の電磁波と同一
    の旋回方向を有する円偏波の電磁波を上記第二の共振周
    波数において互いに90度の位相差で2つの給電点にお
    いて受信する2点給電型円偏波受信アンテナと、 上記受信アンテナの2つの給電点から出力される2つの
    受信信号のうちの一方の受信信号を上記第二の共振周波
    数において90度だけ移相した後、当該移相した受信信
    号と、上記2つの受信信号のうちの他方の受信信号とを
    合成して受信信号として出力する合成手段とを備えた円
    偏波セルフダイプレクシングアンテナにおいて、 上記送信アンテナの2つの給電点に給電される2つの送
    信信号のうち少なくとも一方の送信信号を、上記合成手
    段から出力される上記第一の共振周波数を有する信号の
    電力が最小になるような位相補正量だけ移相して上記送
    信アンテナに出力する位相補正手段を備えたことを特徴
    とする円偏波セルフダイプレクシングアンテナ。
  3. 【請求項3】 複数の請求項1又は2記載の円偏波セル
    フダイプレクシングアンテナを、所定の配列になるよう
    にかつ近接して設けたことを特徴とする円偏波セルフダ
    イプレクシングアンテナ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の上記円偏波セルフダイプ
    レクシングアンテナと、 上記円偏波セルフダイプレクシングアンテナのビームを
    所定のビーム方向に向けるように制御するとともに当該
    ビーム方向のデータを出力するビーム形成手段と、 上記円偏波セルフダイプレクシングアンテナのビーム方
    向に対応した上記位相補正量を記憶するための記憶手段
    と、 上記ビーム形成手段から出力されるビーム方向のデータ
    に基づいて、当該ビーム方向のデータに対応した位相補
    正量を上記記憶手段から読み出して、上記読み出した位
    相補正量だけ移相するように上記位相補正手段を制御す
    るための位相制御手段とを備えたことを特徴とする円偏
    波セルフダイプレクシングアンテナ。
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1991年電子情報通信学会秋季大会講演論文集[分冊2]P.2−64

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