JP2645507B2 - 回転容積形ブロワ及びその使用方法 - Google Patents

回転容積形ブロワ及びその使用方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は逆流(backblow)タイプの回転容積形(po
sitive displacement)ブロワに関する。特にこの発明
は、内燃エンジンのスーパーチャージャとして用いられ
るルーツ(ルーツ型)ブロワの空気伝達騒音の減少およ
び容積効率の改善に関する。
(従来の技術・発明が解決しようする課題) 回転ルーツブロワは長い間にわたり、騒音および非効
率的な運転を行なうことが、その特徴となっていた。騒
音源を低減させようとすると、それにより効率が低減さ
れることが一般的であった。ブロワの騒音はほぼ2つの
グループに分類され、1つは、変動負荷を受けるタイミ
ングギアおよびロータシャフト用ベアリングの回転によ
りもたらされる固体伝達される騒音と、他の1つは、流
体速度および圧力の急激変化のような流体流動特性によ
り生じる流体伝達される騒音である。物体流量および圧
力の急激変化は、固体伝達される騒音の原因にもなって
いる。
良く知られるように、ルーツブロワはギヤポンプに類
似したものであり、両者は横方向に重なった円筒室内に
かみ合い配置された有歯ロータまたはローブロータを利
用しており、また流体体積を流入(吸入)ポートから流
出(吐出)ポートへ、各ロータのかみ合っていない歯ま
たはローブ間の空間を介して、流体を機械的に圧縮する
ことなく移送するようになっている。ルーツおよびギア
装置の両者において、各ロータのかみ合っていない歯ま
たはローブの頂部ランドおよび端部はシリンダ室の内面
に近接配置されて、両者の間に協働シールをもたらすよ
うになっている。
ギアポンプは、潤滑性流体、たとえば油を給送または
移送するためにほぼ独占的に利用されるから、そのかみ
合っている歯は接触して流入ポートと流出ポートの間に
シールを形成している。他方、ルーツブロワは、非潤滑
性流体、たとえば空気を給送または移送するために独占
的に利用されるから、かみ合うローブを非接触近接配置
関係に維持して、流入および流出ポート間にシールを形
成するためにタイミングギアが用いられている。
このようなかみ合いローブ間、およびローブとシリン
ダ室壁面間のシール構成により、ルーツブロブはギアポ
ンプより内部漏れの傾向が大きい。ギアポンプの液体は
実質的にルーツブロワの空気より粘性を有し、したがっ
て、油はより高い耐漏性を有している。ギアポンプは、
ロータ当たり複数の歯を有して、非常に効果的な潤滑シ
ールを形成するのに対して、ルーツブロワは、ロータ当
りただ一つのローブがこのようなシール関係にあること
が多い。したがって、ルーツブロワは内部漏れの傾向が
大きい。総移送量のパーセンテージとしての漏出量は、
ブースト圧力または圧力比の増大と共に増大し、またロ
ータ速度の減少と共に増大する。
前述のように、各ロータのかみ合っていない隣接ロー
ブ間に捕捉された空気の移送には機械的な圧縮がなされ
ていない。もちろん、空気は圧縮性流体である。したが
って、ブーストまたは流出ポート空気圧が移送空気圧よ
り高い場合は、流出ポート空気は移送空気量内へ、それ
が流出ポートと直接連通した時に突進または逆流し、そ
の結果、流体速度および圧力に急激な変動が生じる。こ
のような逆流による変動は、主要な空気伝達される騒音
源として知られている。一般に、騒音は圧力比およびロ
ータ速度の増大と共に増大する。
別の主要な空気伝達騒音源は、ローブのかみ合い構造
によるブロワの容積移送量の周期的変動、および再かみ
合いローブ間に急激に捕捉され、かつ流入ポートへ急激
に戻される流出空気である。ルーツブロワが陸上車両た
とえば乗用車の内燃エンジンの、空気または空気/燃料
の充填量を増大するためにスーパーチャージャとして利
用される時、ブロワは広い速度および圧力範囲にわたっ
て運転されることが必要であり、たとえば2,000〜16,00
0RPMの速度および1:1〜1:8の圧力比は珍らしいものでは
ない。
この種のスーパーチャージャにおけるルーツブロワか
らコスト的に有効に空気伝達騒音を低減または除去する
ための従来の技術的な試みは、限られた成果しか上げら
れなかった。一般に、その技術によってはブロワの限ら
れた運転条件、すなわち、特定のブースト圧力およびロ
ータ速度の組合せ条件においてのみ、空気伝達騒音の低
減がなされた。
たとえば、高ロータ速度および高ブースト圧力におい
て流体速度および圧力の急激変動を減少させるという概
念により、空気伝達騒音は効果的に低減されるが、その
概念は低ロータ速度および高ブースト圧力においては非
効率的になることが多い。さらに多くの場合、これらの
技術によりブロワの内部漏出が増大し、したがって、ブ
ロワの容積効率が減少し、エネルギー効果が減少し、ブ
ーストされた空気の温度が望ましくない状態に上昇し、
かつブロワのサイズおよび/または速度を増大すること
が必要になった。
米国特許第2,014,932号(Hallet)明細書において
は、空気伝達騒音問題が扱われており、そこではかみ合
い構造による不均一移送量が直ローブの代りにヘリカル
ねじれローブを用いることにより減少されている。そこ
では、60゜のヘリカルねじれを有し円周方向に120゜の
間隔を有する3つのローブをそれぞれ有するヘリカルロ
ーブロータが、所定寸法のブロワに対する最大移送量お
よび低いマグニチュードの最大脈動周波数の要件間にお
ける妥協を最良にもたらすものであると主張されてい
る。理論的にはこのようなヘリカルねじれローブは、周
期的な逆流および再かみ合いローブ間に捕捉される空気
が無い場合は一様な移送量をもたらす。
前記米国特許明細書においては逆流問題も扱われてお
り、逆流パルスの瞬間的大きさを低減することにより、
初期逆流率を低減させることが提案されている。この点
は、それぞれロータ軸心に平行な2面を有し、したがっ
てヘリカルローブの移行頂部ランドに対して斜めの2面
を有する、非係合のまたは四角形状の流入および流出ポ
ートにより実施されている。このポートの平行な側面
は、各ロータ室の円筒面が180゜の円弧であるように位
置決めされている。このようなローブのポート形状によ
り、各移送容積の先導ローブは、移送容積の後尾ローブ
が円筒壁面とシール関係に入るように移動する時点で、
関連する流出ポート境界部(すなわち、平行側面)を移
行することになり、このような構成により、後尾ローブ
がブーストまたは増大差圧にさらされる時間が最大にな
り、かつ後尾ローブを横断する漏出時間および割合が最
大になる。
別のいくつかの特許技術においても、各移送容積の先
導ローブの頂部ランドが、流出ポートの外側境界を移行
する前に、流出ポート空気を移送容積内へ予備流入させ
ることにより、逆流問題が処理されている。
たとえば、米国特許第8,121,529号(Hubrich)明細書
に開示されるように、ローブの頂部ランドとシール協働
するハウジングの円筒壁を通過させることにより、予備
流動がもたらされている。米国特許第4,215,977号(Wea
therston)明細書においてもこれと類似の方法で予備流
動がもたらされている。そして、その第2実施態様にお
いては、ローブの頂部ランドにシール協働する円筒壁の
内面に形成された正確なチャンネルまたはスロットによ
り予備流動がもたらされている。
これら両米国特許明細書に開示される予備流動の構成
は、前述米国特許第2,014,932号明細書に開示される逆
流構成と同様、後尾ローブが円筒壁面とシール協働状態
へ移動する時点で、各移送容積の先導ローブがブースト
または増大された圧力差にさらされるようになってお
り、したがって後尾ローブを横切る漏出時間および割合
が望ましくない状態で増大する。
本発明の目的は、空気伝達騒音が比較的少なく、しか
も容積効率が高い圧縮性流体のための回転容積型ブロワ
を提供することである。
(課題を解決するための手段・作用) 上記目的を達成するために、本発明は、特許請求の範
囲第1項及び第8項に記載の構成を有し、特に、第1項
に記載の回転容積型ブロワでは、逆流ポートが、ローブ
の先導端が流出ポート側の尖端部を横切る前に、ロータ
の回転角度で前記尖端部から20〜40度の範囲内で前記ロ
ーブの頂部ランドによって横切られるように位置決めら
れていることを特徴としている。
また、特許請求の範囲第8項に記載の回転容積型ブロ
ワの使用方法では、ロータのローブのねじれを、360゜/
2n(nはロータ当たりのローブ数)の関係により決定す
るとともに、逆流ポートの長さ/幅の比を少なくとも4
とし、かつその長さの方向がポート開口を横切るロータ
のローブの頂部ランドにほぼ平行に位置決め、到達移送
容積の先導ローブが流出ポート境界部を横切る時に各到
達移送容積の圧力をほぼ流出ポートの圧力まで徐々に増
大させることができる流量面積を与えることによって、
特定のブロワ速度および圧力比において空気伝達騒音を
最小にすることを特徴としている。
このような構成により、逆流ポートは、最大限流出ポ
ートに近付けることができるため、ローブが円筒壁面と
協動してシール状態となる回転角度範囲を最大にして容
積効率を高めることになる。
また、逆流ポートの開口の長手方向に平行にローブの
頂部ランドが位置して横切るため、逆流ポートは瞬時に
開き、好ましくは、開口の長さ/幅の比を少なくとも4
になるように細長い形状にすると、所定の空気量を流出
ポート側から一定の割合で移送容積内に供給できること
になり、逆流による圧力変動を少なくしてブロワの空気
伝達騒音をなくすことができる。
(実 施 例) 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図面には、スーパーチャージャとして用いられるルー
ツブロワが示されている。ここで、先導ローブと後尾ロ
ーブは、ロータの回転方向に対して各移送容積の前後に
位置するローブのことをいう。
第1〜7図は、ルーツ型回転ポンプまたはブロワ10を
示している。前述のように、この種のブロワは圧縮性流
体、たとえば空気を流入ポートから流出ポートへ、流出
ポートにさらされる前は移送容積を圧縮することなくポ
ンプ給送または移送するために、ほぼ独占的に用いられ
ている。
ロータはギアポンプにいくらか類似した作動を行な
い、すなわちロータ歯またはローブがかみ合い状態から
移動すると、空気が各ロータ上の隣接ローブ間に形成さ
れた容積または空間内へ流入する。前記容積内の空気は
それから、各移送容積の後尾ローブの頂部ランドが関連
する室の円筒壁面とシール関係に入る時、実質的に流入
圧力において前記容積内に捕捉される。この容積空気
は、到達する容積の先導ローブの頂部ランドが流出ポー
トの境界部を移行することにより、円筒壁面とのシール
関係から移動する時、流出空気へ移送または直接さらさ
れる。
ヘリカルローブが用いられる場合は、容積空気は他方
のロータの移送容積を介して流出ポートへ間接的にさら
されるようになっており、その場合、前記他方のロータ
の先導ローブは、円筒室面の交差部により形成されると
共に、流出ポートに関連する尖端部を移行する各ヘリカ
ルローブの先導端により、流出ポート境界部を既に移行
している。このルーツブロワの間接的連通により、移送
容積の流体の機械的な圧縮は防止され、かつルーツブロ
ワと通常のスクリュー型ブロワを区別するものである。
もし各移送容積の容量が流入口から流出口まで移行す
る間、一定に維持されるならば、そこの空気は実質的に
流入圧力に維持される。すなわち、もし先導ローブの頂
部ランドが、先導ローブの再かみ合いにより容積が圧縮
される前に流出ポート境界部を移行するならば、移送容
積の空気圧は一定に維持されることになる。このことか
ら、流出ポートにおける空気圧が流入ポート圧力より高
いならば、流出ポート空気は、先導ローブの頂部ランド
が流出ポート境界部を移行する時、移送容積内へ突進す
るか、または逆流を生じる。
ブロワ10は、ハウジング12、一対のローブロータ14,1
6および入力駆動プーリ18を包含している。ハウジング1
2は、第1図に示されるように、中央セクション20と、
複数のボルト26により中央セクションの両端部に固定さ
れた左および右端部セクション22,24とを包含してい
る。ロータは第2図に矢印A1,A2で示されるように反対
方向に回転する。ハウジングおよびロータはアルミニウ
ムのような軽量材料から形成されることが好ましい。
中央セクション20と端部24は一対の総体的に円筒状の
作動室(シリンダ室)32,34を形成しており、この作動
室は、円筒壁面20a,20bと、第1図に仮想線で示す端部
壁面20cと端部壁面24aにより形成されている。中央セク
ション20の底部及び頂部の開口は、各々流入ポート36と
流出ポート38の長手方向境界部20f,20h;20m,20pと横方
向境界部20g,20i;20n,20rを形成する。作動室32,34は、
第2〜4図に示されるようにそれぞれ流入ポートおよび
流出ポートに関連する尖端部20d,20eにおいて、横方向
に重なり合うか交差している。
ロータ14,16はそれぞれ3つの円周方向に隔置された
ヘリカル歯またはローブ14a,14b,14cおよび16a,16b,16c
を包含しており、これらのローブは端部から端部まで60
゜のねじれ角度を有する修正インボリュート輪郭を有し
ている。ローブまたは歯は、かみ合い、好ましくは接触
しないで、かつ後述のように低バックラッシュ・タイミ
ングギアにより、適切な適合または位相関係に維持され
ている。ローブはさらに、頂部ランド14d,14e,14fおよ
び16d,16e,16fを包含している。このランドは円筒壁面2
0a,20bおよびかみ合っているローブの根元部分と近接非
接触シール関係をもって移動する。
ローブはヘリカル形状を有しているから、各ロータ上
の各ローブの端部14g,16gは、ロータの回転方向におい
て他端14h,16hへ導かれる。ロータ14,16はそれぞれシリ
ンダ室32,34内で、シリンダ室の長手方向に延びると共
に横方向に隔置された平行軸心に実質的に一致する軸心
の回りに回転自在に取付けられている。このような取付
け構造は当該技術分野において良く知られるものであ
る。したがって、ロータから延長されかつロータに固定
された図示しないシャフト端部が、これも図示しない、
端部壁面20cおよび端部セクション24に保持されるベア
リングに支持されていることを述べるだけで十分であろ
う。
端部セクション24内へ右方向に延長するシャフト端部
を保持するベアリングは、外方へ突出するボス24b,24c
により保持されている。ロータは、1983年6月20日出願
の米国特許出願第506,075号明細書(即ち、米国特許第
4,638,570号)に示されると共に、ここに参考のために
包含されるような状態で取付けられると共に、タイミン
グ作動がなされている。ロータ16は、シャフト39の左端
部に固定されたプーリ18により直接駆動される。シャフ
ト39は、ロータ16の左端部から延びるシャフト端部に連
結されるか、その延長部となる。ロータ14は、ロータの
左端部から延びるシャフト端部に固定された図示されな
いタイミングギアにより、通常の方法で駆動される。タ
イミングギアは実質的にバックラッシュの無いタイプの
もので、端部セクション22の部分22aにより形成される
室内に配置されている。
ロータは前述のように、端部から端部まで60゜のねじ
れ角を有し、かつ修正インボリュート輪郭を有する3つ
の円周方向に配置されたローブを備えている。3つ以外
のローブを有し、かつ異なるねじれ角度を有するロータ
が、ここに開示される発明の何らかの概念または特徴を
実施するために利用され得る。しかし、かみ合い幾何形
状および捕捉容積に基づく一様な移送容積を達成するた
めに、ローブは、360゜/2n(nはロータ当りのローブ
数)の関係に等しい端部から端部までのヘリカルねじれ
角度を設けることが好ましい。
さらに、インボリュート形状は、他の形式の外形より
容易かつ正確に形成されるので好ましく、この点は、ヘ
リカルねじれローブに関して特にそうである。さらに、
インボリュート形状のローブは、それがスーパーチャー
ジャ装置において容易かつ正確にタイミングを合わせら
れる点で好ましい。再かみ合いローブ間に捕捉される空
気の過度の圧力上昇は、1984年9月4日出願の米国特許
出願第647,074号明細書に示される方法により緩和され
る。
第2図に示されるように、ロータローブは円筒壁面に
対してシール状態で回転し、ロータローブと円筒壁面に
よって、流入受容室36a,流出受容室38a,および移送容積
32a,34aを形成している。第2図のロータ位置につい
て、流入受容室36aは、頂部ランド14f,16eおよびローブ
14b,16cのかみ合い部間に配置される円筒壁面部分によ
り形成される。同様に、流出受容室38aは、頂部ランド1
4d,16dおよびローブ14b,16cのかみ合い部間に配置され
る円筒壁面部分により形成される。流入および流出受容
室を形成する円筒壁面は、流入および流出ポート開口を
形成するために除去された面部分を包含している。
移送容積32aは、隣接ローブ14a,14cと、頂部ランド14
d,14f間に配置される円筒壁面20aの部分とにより形成さ
れる。同様に、移送容積34a隣接ローブ16a,16bと、頂部
ランド16d,16e間に配置される円筒壁面20bの部分とによ
り形成される。ロータが回転する時、移送容積32a,34a
は引続く対の隣接ローブ間に再形成される。各移送容積
は先導ローブと後尾ローブとを包含している。移送容積
32aについては、ローブ14aが先導ローブで、ローブ14c
は後尾ローブである。
流入ポート36は、ハウジングセクション20により形成
された壁面20f,20g,20h,20iにより3角形の開口が設け
られている。壁面20f,20hがポートの長手方向境界部を
形成しており、また壁面20g,20iがポートの横方向境界
部を形成している。横方向境界部20g,20iは、室と尖端
部20d,20eとの長手方向交差部を通って延びる仮想また
は図示されない平面の両側に配置されている。横方向境
界部20g,20iは、関連ローブの移行頂部ランドに適合す
る、あるいは実質的に平行であり、また長手方向境界20
fは実質的にローブの先導端14g,16gの方に配置されてい
る。
この構成により、流入ポート開口の主要部分がローブ
の先導端14g,16gおよびその頂部ランドの方にずらして
配置される。さらに、横方向境界部の配置状態は、関連
するローブのランドが、ローブの後端部14h,16hにより
流入ポートに関連する図示されない平面または尖端部20
dを移行する前に横方向境界部20g,20iを移行するように
決められている。
横方向境界部20g,20iは、流入ポートを横切る圧力降
下を防止するために追加流入ポート領域が必要な場合
は、ここに示されるものよりさらに間隔をおいて配置さ
れる。このような圧力降下状態は、ロータの回転速度が
このブロワに期待される14,000〜16,000RPM範囲を越し
て増大される場合に生じる。第3,4および6図のヘリカ
ルねじれローブは、簡単のために傾斜直線であるように
概略的に示されている。しかし、これらの図面に示され
るように、これらのランドは実際は曲率を有している。
横方向境界部20g,20iも頂部ランドのヘリカルねじれに
緊密に適合するように曲線状に形成されている。
流出ポート38は、ハウジングセクション20により形成
される壁面20m,20n,20p,20rによる3角形開口が設けら
れている。壁面20m,20pはポートの長手方向境界部を形
成しており、また壁面20n,20rはポートの横方向境界部
を形成している。横方向境界部20n,20rは室および尖端
部20d,20eの長手方向交差部を通って延びる仮想または
図示されない平面の両側に配置されている。横方向境界
または壁面20n,20rは関連するローブの移行する頂部ラ
ンドに適合するか、または実質的に平行になっており、
また長手方向境界20mはローブの後尾端14h,16hの方に配
置されている。この構成により、流出ポートの開口の大
部分はローブの後尾端14h,16hの方にずれて配置されて
いる。さらに横方向境界部20n,20rの配置状態は、関連
するローブのランドがローブの先導端14g,16gが流出ポ
ートの尖端部20eを通る垂直平面上を横切った後で、関
連するローブのランドが横方向境界部20n,20rを横切る
ように決められている。流出ポート38の面積が流入ポー
ト36に関して前に説明したように増大され得る。一般
に、流入ポートおよび流出ポートの長手方向範囲は、ロ
ーブの実質的に全長にわたって延びている。
この流入および流出ポートの配置により、流出ポート
空気圧全体が各到達する移送容積のローブにさらされる
時間が最少になると共に、各到達する移送容積の頂部ラ
ンドのシール時間、すなわち頂部ランドが関連する流入
および流出ポート境界間の円筒壁面に対してシール関係
にある間の回転角度が増大する。
一例として、第7図に示されるように、ハウジング20
の尖端部20dから尖端部20eまでの距離は260゜であり、
また関連する流入および流出ポート境界部からの弧の長
さの角度は225゜である。したがって、円周方向に120゜
に隔置されると共に、60゜のねじれを設けられたロータ
については、各到達移送容積の後尾ローブの頂部ランド
は、関連する円筒壁面に対して105゜にわたって見かけ
上のシール関係を有する。
しかし、尖端部20d,20eはロータの回転軸心に平行に
延びているから、実際の総シール時間は80゜に、頂部ラ
ンドの円周幅を加えたもので、その理由は、流入尖端部
20dがローブの後端部によりおくれて移行されること
と、流出ポート側の尖端部20eがローブの先導端によっ
て早く横切られることによる。
ここに開示されるブロワについては、頂部ランドの幅
が考慮される時、約86゜のシール時間が容易に得られ
る。流出ポート尖端部20eがローブの先導端により横切
られることにより、一方のロータの到達移送容積が、関
連する流出ポート境界部を既に横切っている先導ローブ
を備える他方のロータの移送容積を介して、流出ポート
空気に間接的に連通する。
たとえば、第4図に示されるように、到達移送容積34
aの先導ランド16dが最初に流出ポート側の尖端部20eを
横切る時、その関連する流出ポート境界部20nは移行さ
れていない。したがって、流出ポート空気に対する直接
の連通は行われない。しかし、受容室38aの空気、すな
わちロータ14の移送容積からの空気を介する間接的連通
がもたらされる。このルーツブロワにおける間接的な連
通形態により、移送容積の流体が流出ポートと直接また
は間接的に連通する前に機械的に圧縮されることが防止
され、かつルーツブロワは通常のスクリュー型ブロワと
区別され、かつそれは2つのブロワに利用されるローブ
のタイプの基本的な差異によるものである。ルーツブロ
ワのローブが実質的に等しい歯先と歯元とを有している
のに対して、スクリュー圧縮機のローブは、一方のロー
タに対するほぼすべての歯先のタケとなり、かつ他方の
ロータに対してはすべての歯元のタケとなる。
こうして説明したようにブロワは、かみ合い構造によ
る空気騒音は実質的に無く、また一般的なルーツブロワ
に比較して、ロータのあらゆるRPM範囲において、特に
高い、または優れた容積効率を有している。しかし、流
体速度および圧力変動により、流出受容室38a内および
その周囲の逆流により空気伝達騒音が発生する。受容室
38a内の圧力変化のパーセンテージに比例する騒音は、9
000RPMおよび1.68圧力比において特に高かった。
逆流ポート40,42は、関連するローブの移行頂部ラン
ドに実質的に平行に配置されると共に、ローブの先導端
14g,16gが流出ポート側の尖端部20eを横切る前に、ロー
タの回転角度で尖端部20eから20〜40度の範囲内でロー
ブの頂部ランドによって横切られるように位置決めされ
ている。
これにより、圧力変化がほぼ1/10に減少する。また、
逆流ポート40,42は長さ/幅の比率が少なくとも4を示
すと共に、丸められた入口40a,42aを有することが好ま
しい。丸められた端部;54.1mm(2.130in)の長さ、5.89
mm(0.232in)の幅、および311.6mm2(0.483in2)の流
動面積を有する開口により、特に良好な結果が得られ
た。このサイズの開口により、急速に開口する逆流領域
が与えられ、この領域は頂部ランドが完全に移行した後
でもある程度制限を受けるようになっている。
逆流ポート40,42は、到達移送容積の先導ローブが流
出ポート境界を移行する瞬間、各到達移送容積の圧力が
実質的に流出口空気の圧力に徐々に増大するように、サ
イズおよび流出ポート境界部からの距離が決められる。
したがって、開口のサイズおよび位置の決定にあたり、
ロータ速度および圧力比が重要である。後尾ローブの頂
部ランド間の空気漏れは、開口をできるだけ流出ポート
境界部に近接して配置し、かつ到達移送容積内の圧力を
徐々に増大させるように開口のサイズを決定することに
より減少される。このような開口は前述の優れた容積効
率を、1%より低い割合で減少させるにすぎないものと
考えられる。したがって、ここに説明した実施例は、ル
ーツブロワの信頼性を犠牲にすることなく、優れた容積
効率と静粛性を提供している。
(発明の効果) 本発明は、流入ポートから取り込んだ空気をシリンダ
室内でロータのローブ間に閉じ込めて移送する際に、ロ
ーブが円筒壁面と協働してシール状態となる回転角度範
囲を最大にしているので、移送される空気の移送容積を
できる限り保持して流出ポートへ排出することができ
る。
また、本発明によれば、流入ポートと流出ポートとの
圧力差に対しては、先導ローブが流出ポートの境界部を
横切る前に、所定の回転角度の範囲内で逆流ポートから
流出ポート側の高圧の空気を取り込んで、各到達移送容
積の圧力を流出ポートの圧力まで徐々に増大させること
が可能となり、流出ポートの境界部を横切る時点では、
流出ポート側との圧力差が最小限に抑えられ、流出ポー
ト側から移送容積内に空気が逆流することを防止でき
る。
これらの結果、ブロワの空気伝達騒音をなくすととも
に、シール状態を維持した移送容積の容積効率を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はルーツブロワの側立面図、第2図は第1図の2
−2線に沿うブロワの概略断面図、第3図は第1図の矢
印3方向に見ると共に流入ポート形状を示すブロワの一
部の低面図、第4図は第1図の矢印4方向に見ると共
に、流出ポート形状を示すブロワの一部の上面図、第5
図は第4図の5−5−線に沿うと共に、第2図と異なる
位置にロータを備えるブロワの概略断面図、第6図はロ
ータのランドが第5図により位置決めされている場合の
流出ポートの別の上面図、第7図は第4図の7−7線に
沿うと共に、ブロワロータを取除いたブロワハウジング
の断面図である。 10……回転ブロワ 12……ハウジング 14,16……ローブロータ 14a,14b,14c……ローブ 14d,14e,14f……ローブ頂部ランド 14g,14b……ロータ端部 16a,16b,16c……ローブ 16d,16e,16f……ローブ頂部ランド 16g,16h……ロータ端部 20a,20b……円筒壁面 20c,24a……端部壁面 20d,20e……尖端部 20f,20h,20m,20n……長手方向境界部 20g,20i,20n,20r……横方向境界部 32,34……シリンダ室 36……流入ポート 38……流出ポート 40,42……逆流ポート

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒壁面(20a,20b)および端部壁面(20
    c,24a)に囲まれた2つの平行で横方向に重なり合うシ
    リンダ室(32,34)を形成し、前記シリンダ室の各軸心
    が長手方向を規定すると共に、前記端部壁面が横方向を
    規定しており、かつ前記円筒壁面の各交差部が長手方向
    に延びる尖端部(20d,20e)を形成しているハウジング
    (12)と; 長手方向境界部(20f,20h;20m,20p)および横方向境界
    部(20g,20i;20n,20r)を有し、前記ハウジング(12)
    の対向面に開口を形成するとともに、前記横方向境界部
    が前記尖端部(20d,20e)の各々を通って長手方向に延
    びる平面の両側に配置されている、流入ポート(36)お
    よび流出ポート(38)と; 前記シリンダ室(32,34)内に回転自在に配置され、ヘ
    リカルねじれ形式の複数のローブ(14a〜14c,16a〜16
    c)を有し、ロータの端部(14g,14h,16g,16h)およびロ
    ーブが前記端部壁面(20c,24a)とシール関係にあり、
    各ローブが関連するシリンダ室の円筒壁面(20a,20b)
    に対して摺接する頂部ランド(14d〜14f,16d〜16f)を
    有しており、該頂部ランドが前記平面の両側に配置され
    たポート境界部を横切り、圧縮性を有する流入ポート流
    体の移送容積を各ロータのかみ合わない隣接ローブ間の
    空間を介して流出ポートへ移送させるようになってお
    り、かつ各移送容積の先導および後尾ローブが関連する
    流入および流出ポートの境界部間に配置されている間、
    各移送容積の容積が一定に維持されるようにした、ヘリ
    カルねじれ形式のかみ合いローブロータ(14,16)と、
    を備えており、かつ、 前記シリンダ室の各円筒壁面(20a,20b)の一部を貫通
    し、前記流出ポート側にあって、尖端部(20d,20e)を
    通る前記平面の両側に、互いに横方向に離れて配置さ
    れ、前記ヘリカルねじれ形式のローブの頂部ランド(14
    d,14e,14fおよび16d,16e,16f)にほぼ平行な方向に伸長
    しており、前記先導ローブの頂部ランドが、関連した流
    出ポートの境界部及びハウジングの流出ポート側の尖端
    部(20e)を横切る前に、各到達移送容積の中に流出ポ
    ート側の流体を逆流させるための開口を有する逆流ポー
    ト(40,42)とを備え、 逆流ポート(40,42)は、ローブの先導端(14g,16g)が
    流出ポート側の尖端部(20e)を横切る前に、ロータの
    回転角度で前記尖端部から20〜40度の範囲内で前記ロー
    ブの頂部ランドによって横切られるように位置決められ
    ていることを特徴とする回転容積型ブロワ。
  2. 【請求項2】各逆流ポート(40,42)は、ローブの頂部
    ランドにほぼ平行に横切られる時に、ポート開口が急速
    に開きかつ流出ポート側の流体を所望の流量だけ逆流さ
    せるために、ポートの長さ/幅の比率が少なくとも4と
    なる細長い開口であることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載の回転ブロワ。
  3. 【請求項3】各頂部ランドは、ロータの回転方向に先導
    端(14g,16g)および後尾端(14h,16h)を備え、各逆流
    ポート(40,42)は、シリンダ室の軸心に対して斜めに
    配置されていることを特徴とする特許請求の範囲第2項
    に記載の回転ブロワ。
  4. 【請求項4】各逆流ポート(40,42)の大きさは、ブロ
    ワが設計最大圧力およびそのほぼ60%の圧力において運
    転される時、関連する移送容積と流出ポートとの間の流
    体圧力を等しくするように決められている、特許請求の
    範囲第2項に記載の回転ブロワ。
  5. 【請求項5】各ロータの先導ローブ(14a〜14c,16a〜16
    c)の頂部ランド(14d〜14f,16d〜16f)は、関連する逆
    流ポート(40,42)と流出ポート境界部(20m,20n,20p,2
    0r)を交互にかつロータ回転角度X(ここで、X=360
    ゜/2n ただし、nはロータ当たりのローブ数)を置い
    て横切り、流出ポート境界部は、到達移送容積の先導ロ
    ーブの頂部ランドが流出ポート(38)に関連する尖端部
    (20e)を横切ることに応答して、また前記頂部ランド
    が流出ポートの関連境界部を横切る前に、一方のロータ
    の到達移送容積が他のロータによる移送容積を介して流
    出ポートに間接的に連通するように、その配置が決めら
    れていることを特徴とする特許請求の範囲第3項に記載
    の回転ブロワ。
  6. 【請求項6】流入ポート(36)の横方向境界部(20a,20
    i)が、ローブ(14a〜14c,16a〜16c)の後端部(14h,16
    h)に向ってその開口幅を狭めるように傾斜しており、
    かつ前記流出ポート(38)の横方向境界部(20n,20r)
    が、ローブの先導端(14g,16g)に向ってその開口幅を
    狭めるように傾斜しており、かつ前記逆流ポート(40,4
    2)の各々が、前記流出ポートの横方向境界部の対面側
    と平行となるようにローブの先導端に向けて傾斜してい
    る、特許請求の範囲第3項に記載の回転ブロワ。
  7. 【請求項7】ブロワがルーツブロワであり、各ロータ
    (14,16)が、60゜のヘリカルねじじれを有する3つの
    ローブ(14a〜14c,16a〜16c)を備えており、かつ各到
    達移送容積の先導ローブの頂部ランド(14d〜14f,16d〜
    16f)は、頂部ランドの先導端(14g,16g)が流出ポート
    に関連する尖端部(20e)を横切る前に、関連する逆流
    ポート(40,42)を横切るようになっている、特許請求
    の範囲第1項に記載の回転ブロワ。
  8. 【請求項8】円筒壁面(20a,20b)および端部壁面(20
    c,24a)に囲まれた2つの平行で横方向に重なり合うシ
    リンダ室(32,34)を形成するハウジングと、 前記シリンダ室が重なる領域に対向して配置され、それ
    ぞれの寸法を定める長手方向境界部及び横方向境界部に
    を有する流入ポートと流出ポートと、前記シリンダ室に
    ロータの回転方向に先導端(14g,16g)と後尾端(14h,1
    6h)を有し、これらの両端部間に延びる頂部ランドを有
    するヘリカルねじれ形式のかみ合いローブロータ(14,1
    6)と、 前記流出ポートの尖端部(20e)に対して両側にかつ前
    記ローブの頂部ランドにほぼ平行な方向に伸長し、流出
    ポート側の尖端部(20e)を横切る前に、各到達移送容
    積の中に流出ポート側の流体を逆流させる開口を有し、
    前記尖端部からロータ回転角度で20〜40度の範囲内でロ
    ーブの頂部ランドが横切るように位置決められている逆
    流ポート(40,42)とを備えて、流入ポートから流出ポ
    ートへ圧縮性流体を移送する回転容積型ブロワにおい
    て、 ロータのローブ(14a〜14c,16a〜16c)のねじれを、360
    ゜/2n(nはロータ当たりのローブ数)の関係により決
    定するとともに、逆流ポート(40,42)の長さ/幅の比
    を少なくとも4とし、かつその長さの方向がポート開口
    を横切るロータのローブの頂部ランドにほぼ平行に位置
    決め、到達移送容積の先導ローブが流出ポート境界部を
    横切る時に各到達移送容積の圧力をほぼ流出ポートの圧
    力まで徐々に増大させることができる流量面積を与える
    ことによって、特定のブロワ速度および圧力比において
    空気伝達騒音を最小にすることを特徴とする回転容積型
    ブロワの使用方法。
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