JP2643633B2 - 電力合成分配装置 - Google Patents

電力合成分配装置

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JP2643633B2
JP2643633B2 JP7763191A JP7763191A JP2643633B2 JP 2643633 B2 JP2643633 B2 JP 2643633B2 JP 7763191 A JP7763191 A JP 7763191A JP 7763191 A JP7763191 A JP 7763191A JP 2643633 B2 JP2643633 B2 JP 2643633B2
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容平 石川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば極超短波帯以上
の周波数帯の互いに異なる周波数を有する2つの高周波
信号を合成し又は2つの高周波信号に分配する電力合成
分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図9に、第1の従来例のブランチライン
型ハイブリッド回路を示す(例えば、宮内ほか「通信用
マイクロ波回路」電子情報通信学会,1981年10
月,pp59参照。)。
【0003】図9に示すように、それぞれλg/4の線
路長(λgは伝送する高周波信号の伝送線路上の管内波
長である。)を有する伝送線路11乃至14が環状にか
つ電気的に直列に接続され、各隣接する伝送線路間の接
続点がそれぞれ入出力端子T1乃至T4として用いられ
る。ここで、当該ブランチライン型ハイブリッド回路を
電力合成装置として用いる場合の2つの入力端子T1,
T2間及び2つの出力端子T3,T4にそれぞれ接続さ
れる伝送線路11,13は伝送インピーダンスZ0を有
し、入出力端子T1,T3間及び入出力端子T2,T4
間にそれぞれ接続される伝送線路12,14は伝送イン
ピーダンス「数1」を有し、さらに、端子T4は伝送イ
ンピーダンスZ0に等しい抵抗RLによって終端される。
【0004】
【数1】
【0005】以上のように構成されたブランチライン型
ハイブリッド回路において、入力端子T1,T2にそれ
ぞれ例えば互いに周波数が異なる第1と第2の高周波信
号を入力したとき、各高周波信号が合成され、各高周波
信号の合成信号がそれぞれ電力が3dBだけ低減されて
2分配された後、分配後の一方の合成信号が出力端子T
3に出力されるとともに、その他方の合成信号が出力端
子T4に出力される。このブランチライン型ハイブリッ
ド回路においては、出力端子T4を抵抗RLによって終
端されているので、出力端子T4に出力される上記合成
信号は熱エネルギーとして当該抵抗RLにおいて消費さ
れ、電力が3dBだけ低減された上記合成信号が出力端
子T3に出力される。なお、この第1の従来例のブラン
チライン型ハイブリッド回路は可逆回路であって、公知
の通り電力分配回路として用いることができる。
【0006】さらに、図10に、2個のチャンネルフィ
ルタを備えアンテナ共用装置として用いられる第2の従
来例の電力合成分配装置を示す。図10において、誘電
体共振器DR6,DR7については等価回路で示してお
り、図10と同様のものについては同一の符号を付して
いる。
【0007】図10に示すように、この第2の従来例の
電力合成分配装置は、それぞれ誘電体共振器DR6,D
R7を有する帯域通過フィルタ61,62の各出力端子
をインピーダンス整合用伝送線路TL61,TL62を
介してともに電気的に出力端子T3に接続して構成して
いる。周波数f1の第1の高周波信号のみを通過させる
帯域通過フィルタ61は入出力用コイルL61,L64と誘
電体共振器DR6とから構成され、この誘電体共振器D
R6は、インダクタンスL62,L63とキャパシタC6
損失抵抗R6とが並列に接続された並列共振回路から構
成される。ここで、インダクタンスL62が入力側コイル
61に誘導結合+Mにより電磁的に結合されるととも
に、インダクタンスL63が出力側コイルL64に誘導結合
+Mにより電磁的に結合される。また、周波数f2の第
2の高周波信号のみを通過させる帯域通過フィルタ62
が誘電体共振器DR7を備えて、信号通過帯域が帯域通
過フィルタ61と異なることを除いて、帯域通過フィル
タ61と同様に構成される。なお、公知のインピーダン
ス整合の方法を用いて、出力端子T3の接続点から伝送
線路TL61とコイルL64を介してコイルL64のアース
端までの電気長、並びに出力端子T3の接続点から伝送
線路TL62とコイルL74を介してコイルL74のアース
端までの電気長がそれぞれλg/4の奇数倍に設定され
る。なお、この第2の従来例の電力合成分配装置は可逆
回路であって、公知の通り電力分配装置として用いるこ
とができる。
【0008】以上のように構成された第2の従来例の電
力合成分配器において、入力端子T1,T2にそれぞれ
第1と第2の高周波信号を各送信機から入力したとき、
第1の高周波信号は帯域通過フィルタ61を通過して出
力端子T3に出力され、第2の高周波信号は帯域通過フ
ィルタ62を通過して出力端子T3に出力される。信号
通過帯域が互いに異なる帯域通過フィルタ61,62を
用いているので、他チャンネルからの信号が信号源であ
る送信機に回り込むことを防止することができる。
【0009】本発明者のシミュレーションによれば、例
えば無負荷Q(Q0)が50,000である各誘電体共
振器DR6,DR7を用いて第2の従来例の電力合成分
配装置を構成した場合、当該電力合成分配装置における
第1と第2の高周波信号の通過損失は1.37[dB]
となり、第1の従来例のハイブリッド回路に比較し大幅
に低減される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述の第1の従来例の
ハイブリッド回路では、入力された2つの高周波信号は
その電力が3dBだけ低下して合成されて出力される。
また、第2の従来例の電力合成分配装置では、無負荷Q
(Q0)が比較的高い誘電体共振器を用いて帯域通過フ
ィルタを構成しても、高周波信号の通過損失はいまだ高
いという問題点があった。
【0011】本発明の目的は以上の問題点を解決し、従
来例に比較し低い通過損失で、互いに異なる周波数を有
する2つの高周波信号を合成し又は2つの高周波信号に
分配することができる電力合成分配装置を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1記
載の電力合成分配装置は、互いに異なる第1と第2の周
波数を有する2つの高周波信号を合成し、又は上記第1
と第2の周波数を有する2つの高周波信号に分配する電
力合成分配装置であって、それぞれ少なくとも上記第1
の周波数から上記第2の周波数までの周波数範囲で動作
し、対をなす第1と第2の端子と、対をなす第3と第4
の端子とをそれぞれ備えた第1と第2のハイブリッド回
路と、少なくとも上記周波数範囲で動作し、対をなす第
5と第6の端子と、別の第7の端子とを少なくとも有
し、上記第5と第6の端子にそれぞれ入力される2つの
高周波信号を、合成される2つの高周波信号が同相とな
るように合成した後、合成後の高周波信号を上記第7の
端子に出力する合成回路と、それぞれ入力端子を有しか
つ少なくとも上記周波数範囲で動作し、上記第1の周波
数を有する第1の高周波信号と、上記第2の周波数を有
する第2の高周波信号とが上記入力端子に入力されると
き、上記第1と第2の高周波信号を、上記入力端子にお
ける反射時の上記第1と第2の高周波信号の各位相が反
転関係になるように反射する第1と第2の共振回路とを
備え、上記第1のハイブリッド回路の第3の端子が、上
記第1の周波数と上記第2の周波数との平均周波数に対
応する管内波長の自然数倍の線路長を有する第1の伝送
線路を介して、上記第2のハイブリッド回路の第1の端
子に電気的に接続され、上記第1のハイブリッド回路の
第4の端子が、上記平均周波数に対応する管内波長の自
然数倍の線路長を有する第2の伝送線路を介して、上記
合成回路の第6の端子に電気的に接続され、上記第2の
ハイブリッド回路の第2の端子が、上記平均周波数に対
応する管内波長の自然数倍の線路長を有する第3の伝送
線路を介して、上記合成回路の第5の端子に電気的に接
続され、上記第2のハイブリッド回路の第3の端子が、
上記第2のハイブリッド回路の第3の端子から上記第1
の共振回路の入力端子を介して上記第1の共振回路の接
地端子までの線路長が上記平均周波数に対応する管内波
長の1/4である第1の線路長と、上記管内波長の0又
は自然数倍の第2の線路長との和であるような所定の線
路長を有する第4の伝送線路を介して、上記第1の共振
回路の入力端子に電気的に接続され、上記第2のハイブ
リッド回路の第4の端子が、上記第2のハイブリッド回
路の第4の端子から上記第2の共振回路の入力端子を介
して上記第2の共振回路の接地端子までの線路長が上記
平均周波数に対応する管内波長の1/4である第3の線
路長と、上記管内波長の0又は自然数倍の第4の線路長
との和であるような所定の線路長を有する第5の伝送線
路を介して、上記第2の共振回路の入力端子に電気的に
接続されたことを特徴とする。
【0013】また、請求項2記載の電力合成分配装置
は、請求項1記載の電力合成分配装置において、上記合
成回路はハイブリッド回路であることを特徴とする。
【0014】さらに、請求項3記載の電力合成分配装置
は、請求項1記載の電力合成分配装置において、上記合
成回路はY型電力合成分配回路であることを特徴とす
る。
【0015】またさらに、請求項4記載の電力合成分配
装置は、請求項2記載の電力合成分配装置において、上
記合成回路はさらに、上記第7の端子と対をなす第8の
端子を有し、上記第8の端子が抵抗によって終端された
ことを特徴とする。
【0016】
【作用】以上のように構成された請求項1記載の電力合
成分配装置において、例えば上記第1と第2の高周波信
号をそれぞれ上記第1のハイブリッド回路の第1と第2
の端子に入力したとき、上記第1のハイブリッド回路
は、上記第1と第2の高周波信号を合成した後2分配し
て、分配後の一方の高周波信号をその第3の端子及び上
記第1の伝送線路を介して上記第2のハイブリッド回路
の第1の端子に出力しかつ上記分配後の他方の高周波信
号をその第4の端子及び上記第2の伝送線路を介して上
記合成回路の第6の端子に出力する。次いで、上記第2
のハイブリッド回路は、その第1の端子に入力された高
周波信号を2分配し、分配後の一方の高周波信号をその
第3の端子及び上記第4の伝送線路を介して上記第1の
共振回路に出力するとともに、上記分配後の他方の高周
波信号をその第4の端子及び上記第5の伝送線路を介し
て上記第2の共振回路に出力する。さらに、上記第1の
共振回路は、上記入力端子に入力される第1と第2の高
周波信号を、上記入力端子における反射時の上記第1と
第2の高周波信号の各位相が反転関係になるように反射
してその入力端子及び上記第4の伝送線路を介して上記
第2のハイブリッド回路の第3の端子に出力する。ま
た、上記第2の共振回路は、上記入力端子に入力される
第1と第2の高周波信号を、上記入力端子における反射
時の上記第1と第2の高周波信号の各位相が反転関係に
なるように反射してその入力端子及び上記第5の伝送線
路を介して上記第2のハイブリッド回路の第4の端子に
出力する。
【0017】次いで、上記第2のハイブリッド回路は、
その第3と第4の端子に入力された各高周波信号を合成
した後2分配して、分配後の一方の高周波信号をその第
1の端子に出力するとともに、上記分配後の他方の高周
波信号をその第2の端子に出力する。ここで、上記第1
と第2の共振回路はそれぞれ入力された上記第1と第2
の高周波信号を、上記入力端子における反射時の上記第
1と第2の高周波信号の各位相が反転関係になるように
反射して出力する。従って、上記第1と第2の高周波信
号が上記第2のハイブリッド回路の第1の端子に入力さ
れとき、その第3と第4の端子を介して上記第1と第2
の共振回路に入力された後反射されてその第3と第4の
端子を介してその第1の端子に戻る上記第1と第2の高
周波信号の各2つの高周波信号はそれぞれ逆相となり、
上記第2のハイブリッド回路の第1の端子に高周波信号
が現れない。また、このとき、上記第2のハイブリッド
回路の第3と第4の端子を介して上記第1と第2の共振
回路に入力された後反射されてその第3と第4の端子を
介してその第2の端子に戻る上記第1と第2の高周波信
号の各2つの高周波信号はそれぞれ同相となり、当該上
記第1と第2の高周波信号の各2つの高周波信号はそれ
ぞれ合成されて上記第2のハイブリッド回路の第2の端
子から上記合成回路の第5の端子に出力される。
【0018】さらに、上記合成回路は、上記第5と第6
の端子にそれぞれ入力される2つの高周波信号を、合成
される2つの高周波信号が同相となるように合成した
後、合成後の高周波信号を上記第7の端子に出力する。
【0019】従って、上記第1と第2の高周波信号をそ
れぞれ上記第1のハイブリッド回路の第1と第2の端子
に入力したとき、上記第2のハイブリッド回路及び上記
合成回路はそれぞれ、合成される上記第1と第2の高周
波信号の各2つの高周波信号がそれぞれ同相となるよう
に上記各2つの高周波信号を合成するので、当該電力合
成分配装置の合成処理時の通過損失は実質的に上記第1
と第2の共振回路の各反射損失のみとなり、従来例に比
較して大幅に低減された通過損失で、互いに異なる2つ
の周波数の各高周波信号を合成する電力合成分配装置を
実現することができる。
【0020】また、上記第1と第2のハイブリッド回路
と、上記合成回路とを、それぞれ可逆回路で構成した場
合、上記合成回路の第7の端子に上記第1と第2の高周
波信号の合成信号を入力したとき、上記第1のハイブリ
ッド回路の第1と第2の端子にそれぞれ第1の高周波信
号、第2の高周波信号、又は第2の高周波信号、第1の
高周波信号を分波して出力することができ、従来例に比
較して大幅に低減された通過損失で、互いに異なる2つ
の周波数の各高周波信号に分配する電力合成分配装置を
実現することができる。
【0021】また、請求項2記載の電力合成分配装置に
おいては、請求項1記載の電力合成分配装置において、
好ましくは、上記合成回路はハイブリッド回路である。
【0022】さらに、請求項3記載の電力合成分配装置
においては、請求項1記載の電力合成分配装置におい
て、好ましくは、上記合成回路はY型電力合成分配回路
である。
【0023】またさらに、請求項4記載の電力合成分配
装置においては、請求項2記載の電力合成分配装置にお
いて、好ましくは、上記合成回路はさらに、上記第7の
端子と対をなす第8の端子を有し、上記第8の端子が抵
抗によって終端される。当該抵抗によって当該電力合成
装置の上記第1と第2の共振回路の各反射損失と各回路
の移相量の製造上のバラツキによって上記第8の端子に
生じる電力を吸収することができる。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照して本発明による実施例に
ついて説明する。なお、以下の各実施例においては、各
ハイブリッド回路及び各伝送線路における損失を無視し
て説明を行なう。
【0025】<第1の実施例>図1に、本発明に係る第
1の実施例である電力合成分配装置を示す。図1におい
て、図9及び図10と同様のものについては同一の符号
を付している。
【0026】この第1の実施例の電力合成分配装置は、
互いに異なる周波数f1,f2を有する2つの高周波信号
を合成し又は2つの高周波信号に分配する電力合成分配
装置であって、いわゆる3dB方向性結合器と呼ばれ同
一の構成を有する3個のハイブリッド回路1,2,3を
備え、ハイブリッド回路1,2の各1つの端子P14,
P22間を電気的に接続するとともに、上記接続した端
子の対の他方の各端子P13,P21にそれぞれハイブ
リッド回路3の対をなす2つの端子P31,P32を接
続し、さらに、ハイブリッド回路3の対をなす2つの端
子P33,P34にそれぞれ、入力端に入力した周波数
1,f2の各高周波信号を、絶対値が比較的小さい所定
の入力端反射係数で、かつ反射される周波数f1の高周
波信号の位相(当該入力端への入力時の各高周波信号の
位相を基準位相0°としたときの位相であって、以下、
反射位相という。)が90°であって反射される周波数
2の高周波信号の反射位相が−90°であるように、
すなわち反射時の周波数f1,f2の各高周波信号の各位
相が反転関係となるように反射する位相反転型共振回路
4,5を電気的に接続したことを特徴としている。
【0027】以下、この第1の実施例の電力合成分配装
置を電力合成装置として用いたときについて説明する。
【0028】図1に示すように、当該電力合成分配装置
の入力端子T1,T2がそれぞれハイブリッド回路1の
入力端子P11,P12に接続される。ハイブリッド回
路1は、各入力端子P11,P12に入力された周波数
1,f2の各高周波信号を合成し、各高周波信号の合成
信号をそれぞれ電力が3dBだけ低下させて2分配した
後、分配後の一方の合成信号を出力端子P13に出力す
るとともに、分配後の他方の合成信号を出力端子P14
に出力する。ここで、出力端子P14に出力される周波
数f1の高周波信号は出力端子P13に出力される周波
数f1の高周波信号よりも90°だけ遅い位相を有し、
出力端子P13に出力される周波数f2の高周波信号は
出力端子P14に出力される周波数f2の高周波信号よ
りも90°だけ遅い位相を有する。詳細後述するハイブ
リッド回路2,3もハイブリッド1と同様の位相関係で
入力される各高周波信号を合成かつ分配して出力する。
【0029】ハイブリッド回路1の出力端子P13は、
ハイブリッド回路3の端子P31に接続され、その出力
端子P14はハイブリッド回路2の入力端子P22に接
続される。さらに、ハイブリッド回路3の各端子P3
3,P34はそれぞれ、位相反転型共振回路4,5の入
力端に接続される。
【0030】各位相反転型共振回路4,5の入力端に周
波数f1,f2の各高周波信号を入力したとき、各共振回
路4,5は、入力される各高周波信号を、所定の入力端
反射係数で、かつ反射される周波数f1の高周波信号の
反射位相が90°であって反射される周波数f2の高周
波信号の反射位相が−90°であるように反射して入力
端に出力する。ハイブリッド回路3の端子P32はハイ
ブリッド回路2の入力端子P21に接続される。ハイブ
リッド回路3は可逆回路であって、ハイブリッド回路1
と同様に動作する。
【0031】ハイブリッド回路2は、ハイブリッド回路
1と同様に、各入力端子P21,P22に入力された各
高周波信号を合成した後2分配し、電力が3dBだけ低
下した各高周波信号の合成信号を出力端子P23,P2
4に出力する。さらに、ハイブリッド回路2の出力端子
P23は当該電力合成分配装置の出力端子T3に接続さ
れ、ハイブリッド回路2の出力端子P24は出力端子T
4に接続され、当該出力端子T4が伝送インピーダンス
0に等しい終端抵抗RLによって終端される。
【0032】以上のように構成された電力合成分配装置
において、周波数f1の高周波信号を入力端子T1を介
してハイブリッド回路1の入力端子P11に入力しかつ
周波数f2の高周波信号を入力端子T2を介してハイブ
リッド回路1の入力端子P12に入力したとき、ハイブ
リッド回路1は、各入力端子P11,P12に入力され
た各高周波信号を合成した後2分配し、電力が3dBだ
け低下した各高周波信号の一方の合成信号を出力端子P
13を介してハイブリッド回路3の端子P31に出力す
るとともに、その他方の合成信号を出力端子P14を介
してハイブリッド回路2の入力端子P22に出力する。
【0033】ハイブリッド回路3は端子P31に入力さ
れた高周波信号を2分配した後、ハイブリッド回路1の
上述した位相関係と同様の位相関係で、分配後の一方の
高周波信号を端子P33を介して位相反転型共振回路4
に出力するとともに、その他方の高周波信号を端子P3
4を介して位相反転型共振回路5に出力する。ここで、
各位相反転型共振回路4,5に入力された高周波信号に
は、周波数f1,f2の各高周波信号が含まれ、位相反転
型共振回路4は、入力端に入力された各高周波信号を、
所定の入力端反射係数で、かつ反射される周波数f1
高周波信号の反射位相が90°であって反射される周波
数f2の高周波信号の反射位相が−90°であるように
反射して当該入力端を介してハイブリッド回路3の端子
P33に出力し、また、位相反転型共振回路5は位相反
転型共振回路4と同様に、入力端に入力された各高周波
信号を反射して当該入力端を介してハイブリッド回路3
の端子P34に出力する。
【0034】ハイブリッド回路3は、各端子P33,P
34に入力された各高周波信号を合成した後2分配し、
電力が3dBだけ低下した各高周波信号の一方の合成信
号を出力端子P31に出力するとともに、その他方の合
成信号を出力端子P32を介してハイブリッド回路2の
入力端子P21に出力する。さらに、ハイブリッド回路
2は、各入力端子P21,P22に入力された各高周波
信号を合成した後2分配し、電力が3dBだけ低下した
各高周波信号の一方の合成信号を出力端子P23を介し
て出力端子T3に出力するとともに、その他方の合成信
号を出力端子P24及び出力端子T4を介して終端抵抗
Lに出力する。
【0035】この第1の実施例の電力合成分配装置を電
力合成回路として用いたときの各設定点における周波数
1,f2の各高周波信号の位相を、表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1においては、入力端子T1及びT2に
入力される各高周波信号の位相を基準位相0°としたと
きの周波数f1,f2の各高周波信号の位相θを0°≦θ
<360°の範囲で示している。
【0038】表1から明らかなように、ハイブリッド回
路3の端子P31に入力された各高周波信号は、ハイブ
リッド回路3によってTB1に示すように上述の位相関
係で2分配されて各端子P33,P34を介して各位相
反転型共振回路4,5に出力される。次いで、TB2に
示すように、位相反転型共振回路4は、入力端に入力さ
れた各高周波信号を、周波数f1の高周波信号をその位
相を90°だけ遅延させて反射し、かつ周波数f2の高
周波信号をその位相を−90°だけ遅延させて反射し
て、各高周波信号を当該入力端子を介してハイブリッド
回路3の端子P33に出力し、位相反転型共振回路5
は、位相反転型共振回路4と同様に、入力端に入力され
た各高周波信号を反射して当該入力端を介してハイブリ
ッド回路3の端子P34に出力する。
【0039】次いで、ハイブリッド回路3は、各端子P
33,P34に入力された各高周波信号を上述の位相関
係で合成しかつ分配して端子P31,P32に出力す
る。すなわち、表1のTB3に示すように、ハイブリッ
ド回路3の端子P33から当該ハイブリッド回路3を介
して端子P32に出力される周波数f1,f2の各高周波
信号はそれぞれ、ハイブリッド回路3の端子P34から
当該ハイブリッド回路3を介して端子P32に出力され
る周波数f1,f2の各高周波信号と同相となり、一方、
TB4に示すように、ハイブリッド回路3の端子P33
から当該ハイブリッド回路3を介して端子P31に出力
される周波数f1,f2の各高周波信号はそれぞれ、ハイ
ブリッド回路3の端子P34から当該ハイブリッド回路
3を介して端子P31に出力される周波数f1,f2の各
高周波信号と逆相となる。従って、ハイブリッド回路3
の端子P32において、各位相反転型共振回路4,5か
ら反射してきた周波数f1,f2の各高周波信号がともに
同相となって合成されてハイブリッド回路2の入力端子
P21に出力され、一方、端子P31において、上記反
射してきた周波数f1,f2の各高周波信号がともに逆相
となって打ち消し合って出力されず、ハイブリッド回路
1側に高周波信号が反射することはない。
【0040】さらに、ハイブリッド回路2は、各端子P
21,P22に入力された各高周波信号を上述の位相関
係で合成しかつ分配して端子P23,P24に出力す
る。すなわち、表1のTB5に示すように、ハイブリッ
ド回路2の入力端子P21から当該ハイブリッド回路2
を介して出力端子T3に出力される周波数f1,f2の各
高周波信号はそれぞれ、ハイブリッド回路2の入力端子
P22から当該ハイブリッド回路2を介して出力端子T
3に出力される周波数f1,f2の各高周波信号と同相と
なり、一方、TB6に示すように、ハイブリッド回路2
の入力端子P21から当該ハイブリッド回路2を介して
出力端子T4に出力される周波数f1,f2の各高周波信
号はそれぞれ、ハイブリッド回路2の入力端子P22か
ら当該ハイブリッド回路2を介して出力端子T4に出力
される周波数f1,f2の各高周波信号と逆相となる。従
って、出力端子T3において、周波数f1,f2の各高周
波信号がともに同相となって合成されて出力され、一
方、出力端子T4において、周波数f1,f2の各高周波
信号がともに逆相となって打ち消し合ってほとんど出力
されない。従って、以上のように構成された電力合成分
配装置の通過損失は、実質的に、位相反転型共振回路
4,5の反射損失のみとなり、従来例に比較し大幅に低
減された通過損失を有する電力合成分配装置を実現する
ことができる。
【0041】なお、各位相反転型共振回路4,5の各反
射損失と各回路の移相量の製造上のバラツキにより出力
端子T4に高周波信号が生じることがあるため、本実施
例の装置では、その高周波信号の電力を吸収するため、
出力端子T4を抵抗RLで終端している。
【0042】本実施例の電力合成分配装置においては、
位相θ1,θ2を有する2つの高周波信号をそれぞれハイ
ブリッド回路2又は3の入力端子P21,P22、又は
端子P34,P33に入力するときに、θ2−θ1=2n
π+π/2(ただし、nは自然数である。)の関係で各
高周波信号を入力すると、ハイブリッド回路2又は3の
出力端子P23又は端子P32には各高周波信号の合成
信号が出力されるが、出力端子P24又はP31に合成
信号が出力されないというハイブリッド回路2,3の特
徴を利用している。すなわち、このハイブリッド回路3
の特徴を利用するとともに、ハイブリッド回路3と位相
反転型共振回路4,5を組み合わせることによって、ハ
イブリッド回路1の出力端子P13から出力される周波
数f1,f2の各高周波信号をともに通過させるととも
に、表1から明らかなように、周波数f1の高周波信号
のみの位相を反転させる位相反転型帯域通過フィルタを
構成している。また、上記位相反転型帯域通過フィルタ
を通過させたハイブリッド回路1による分配後の一方の
合成信号と、上記位相反転型帯域通過フィルタを通過さ
せない上記分配後の他方の合成信号とを、ハイブリッド
回路2によってその上記特徴を利用して合成することに
よって、上述のように、大幅に通過損失が低減された電
力合成分配装置を実現している。
【0043】以上の第1の実施例の説明においては、当
該電力合成分配装置を電力合成装置として用いたときに
ついて説明しているが、当該電力合成装置の各回路はそ
れぞれ可逆回路であるので、電力分配装置として用いる
ことができる。すなわち、当該装置の端子T3に、周波
数f1,f2の各高周波信号の合成信号を入力したとき、
端子T1に周波数f1の高周波信号が出力されるととも
に、端子T2に周波数f2の高周波信号が出力される。
【0044】以上の第1の実施例における各伝送線路
は、例えば導波管、マイクロストリップ線路、トリプレ
ート線路、同軸線路などのマイクロ波線路、準ミリ波線
路、又はミリ波線路で公知のように実現することができ
る。
【0045】以上の第1の実施例において、各位相反転
型共振回路4,5の反射損失のため、ハイブリッド回路
2の入力端子P21に入力される合成信号のレベルは、
入力端子P22に入力される合成信号のレベルに比較し
低くなるが、このレベル差を無くするため、ハイブリッ
ド回路1の出力端子P14とハイブリッド回路2の入力
端子P22との間に、ハイブリッド回路3と各位相反転
型共振回路4,5を透過するときの損失(実質的には、
各位相反転型共振回路4,5による損失)に等しい減衰
器を挿入してもよい。
【0046】以上の第1の実施例において、ハイブリッ
ド回路2を用いているが、本発明はこれに限らず、図3
に示すように、ハイブリッド回路2に代えてY型電力合
成分配回路7を用いてもよい。この変形例におけるY型
電力合成分配回路7は、3個の伝送線路TL71乃至T
L73からなり、入力端子P21は、λg/4の線路長
を有する伝送インピーダンス「数2」の伝送線路TL7
3を介して出力端子T3に電気的に接続され、入力端子
P22は、λg/4の線路長を有する伝送インピーダン
スZ0の伝送線路TL71と、λg/4の線路長を有す
る伝送インピーダンス「数2」の伝送線路TL72とを
介して出力端子T3に電気的に接続される。ここで、λ
gは次の「数3」で定義される中心周波数f0における
各伝送線路上の管内波長であり、以下の実施例において
も同様である。
【0047】
【数2】
【数3】
【0048】さらに、図5に図示したY型電力合成分配
回路に代わりに、例えばWilkinson同軸型合成
分配器などの電力合成分配器を用いてもよい。
【0049】<第2の実施例>図2に、本発明に係る第
2の実施例である電力合成分配装置を示す。図2におい
て、誘電体共振器DR1,DR2については等価回路で
図示しており、図1と同様のものについては同一の符号
を付している。
【0050】この第2の実施例の電力合成分配装置は、
第1の実施例の電力合成分配装置におけるハイブリッド
回路1,2,3としてそれぞれブランチライン型ハイブ
リッド回路を用い、位相反転型共振回路4,5としてそ
れぞれ誘電体共振器DR1,DR2からなる各並列共振
回路を用いたことを特徴としている。
【0051】以下、この第2の実施例の電力合成分配装
置を電力合成装置として用いたときについて説明する。
【0052】図2に示すように、ハイブリッド回路1
は、環状にかつ電気的に直列に接続されそれぞれλg/
4の線路長を有する伝送線路11乃至14から構成さ
れ、伝送線路11の両端に入力端子P11,P12を有
し、伝送線路13の両端に出力端子P13,P14を有
する。ここで、各伝送線路11,13はそれぞれ伝送イ
ンピーダンスZ0を有し、また、各伝送線路12,14
はそれぞれ伝送インピーダンス「数1」を有する。各入
力端子P11,P12はそれぞれ、入力端子T1,T2
に接続される。また、出力端子P13は、λgの線路長
を有する伝送インピーダンスZ0の伝送線路TL2を介
してハイブリッド回路3の端子P31に接続され、出力
端子P14はλgの線路長を有する伝送インピーダンス
0の伝送線路TL1を介してハイブリッド回路2の入
力端子P22に接続される。
【0053】ハイブリッド回路3は、ハイブリッド回路
1と同様に、環状にかつ電気的に直列に接続されそれぞ
れλg/4の線路長を有する伝送線路31乃至34から
構成され、伝送線路31の両端に端子P31,P32を
有し、伝送線路33の両端に端子P33,P34を有す
る。ここで、端子P33は、伝送インピーダンスZ0
インピーダンス整合及び移相量調整用伝送線路TL11
及び位相反転型共振回路4の入出力用コイルL11を介し
てコイルL11のアース端に接続され、端子P34は、伝
送インピーダンスZ0のインピーダンス整合及び移相量
調整用伝送線路TL12及び位相反転型共振回路5の入
出力用コイルL21を介してコイルL21のアース端に接続
される。また、端子P32はλgの線路長を有する伝送
インピーダンスZ0の伝送線路TL3を介してハイブリ
ッド回路2の入力端子P21に接続される。
【0054】位相反転型共振回路4は、伝送線路TL1
1と入出力用コイルL11と誘電体共振器DR1とから構
成され、この誘電体共振器DR1は、インダクタンスL
12,L13とキャパシタC1と損失抵抗R1とが並列に接続
されかつ各素子の一端がアースに接続された並列共振回
路から構成される。ここで、インダクタンスL12が入出
力用コイルL11に誘導結合+Mにより電磁的に結合さ
れ、入出力用コイルL11の一端は伝送線路TL11に接
続され、その他端はアースに接続される。また、位相反
転型共振回路5は、位相反転型共振回路4と同様に、伝
送線路TL12と入出力用コイルL21と誘電体共振器D
R2とから構成され、この誘電体共振器DR2は、イン
ダクタンスL22,L23とキャパシタC2と損失抵抗R2
が並列に接続されかつ各素子の一端がアースに接続され
た並列共振回路から構成される。ここで、インダクタン
スL22が入出力用コイルL21に誘導結合+Mにより電磁
的に結合され、入出力用コイルL21の一端は伝送線路T
L12に接続され、その他端はアースに接続される。本
実施例においては、ハイブリッド回路3の端子P33か
ら伝送線路TL11及びコイルL11を介してコイルL11
のアース端までの電気長と、ハイブリッド回路3の端子
P34から伝送線路TL12及びコイルL21を介してコ
イルL21のアース端までの電気長とがそれぞれ、λg/
2に設定されている。この電気長の設定によって、各端
子P33,P34から出力された高周波信号がそれぞれ
各位相反転型共振回路4,5に入力された後、反射して
再び各端子P33,P34に入力するときの当該伝送線
路TL11又はTL12とコイルL11又はL12による各
高周波信号の移相量が0°となるように設定されてい
る。
【0055】ハイブリッド回路2は、ハイブリッド回路
1と同様に、環状にかつ電気的に直列に接続されそれぞ
れλg/4の線路長を有する伝送線路21乃至24から
構成され、伝送線路21の両端に入力端子P21,P2
2を有し、伝送線路23の両端に出力端子P23,P2
4を有する。ここで、出力端子P23は当該電力合成分
配装置の出力端子T3に接続され、出力端子P24は出
力端子T4に接続され、その出力端子T4は伝送インピ
ーダンスZ0に等しい抵抗RLによって終端される。
【0056】以上のように構成された第2の実施例の電
力合成分配装置は、第1の実施例と同様に動作し、当該
電力合成分配装置を構成する各回路はそれぞれ可逆回路
であるので、第1の実施例と同様に、電力分配装置とし
て用いることができる。
【0057】誘電体共振器DR1又はDR2と伝送線路
TL11又はTL12とを備えた位相反転型共振回路
4,5についてシミュレーションを行い、そのシミュレ
ーションの結果得られた入力端反射係数と入力端反射信
号の位相の各周波数特性を図4に示す。ここで、入力端
反射信号の位相は、上述のように入力端に入力された高
周波信号の位相を基準位相0°としたときに各位相反転
型共振回路4,5から出力される反射信号の反射位相で
あって、各位相反転型共振回路4,5内の各誘電体共振
器DR1,DR2の無負荷Q(Q0)を50,000と
設定し、また、図中の周波数差Δfは次の「数4」で定
義される。
【0058】
【数4】
【0059】なお、このシミュレーションにおいては、
1<f2,及びΔf/f1≒1.76×10-4≪1,Δ
f/f2≒1.74×10-4≪1と設定し、すなわち周
波数f1と周波数f2は互いに近傍した周波数となるよう
に設定している。
【0060】図4から明らかなように、各位相反転型共
振回路4,5は、周波数f1の高周波信号を約1.0
[dB]の反射損失でかつ約90°の反射位相で反射
し、周波数f2の高周波信号を約0.8[dB]の反射
損失でかつ約−90°の反射位相で反射することがわか
る。
【0061】さらに、図4に図示した周波数特性を有す
る各位相反転型共振回路4,5を備えた第2の実施例の
電力合成分配装置と第2の従来例の電力合成分配装置に
ついてシミュレーションを行い、当該シミュレーション
において正方向透過係数S31,S32の各周波数特性と、
入力端間透過係数S21の周波数特性と、出力端反射係数
33の周波数特性とを測定した。このシミュレーション
の結果得られた正方向透過係数S31,S32の各周波数特
性を図5及び図6に示す。ここで、正方向透過係数S31
は入力端子T1から出力端子T3への正方向の透過係数
であり、正方向透過係数S32は入力端子T2から出力端
子T3への正方向の透過係数である。
【0062】図5と図6から明らかなように、第2の実
施例の電力合成分配装置の正方向透過係数S31,S32
それぞれ周波数f1,f2において最大となる。ここで、
第2の実施例の正方向透過係数S31は周波数f1におい
て約−0.58[dB]であり、第2の従来例の約−
1.37[dB]に比較し大幅に増大し、また、第2の
実施例の正方向透過係数S32は周波数f2において約−
0.52[dB]であり、第2の従来例の約−1.37
[dB]に比較し大幅に増大している。すなわち、周波
数f1,f2における通過損失が第2の従来例に比較し大
幅に低減されていることがわかる。
【0063】また、上記シミュレーションの結果得られ
た入力端間透過係数S21の周波数特性を図7に示す。こ
の入力端間透過係数S21は、出力端子T3を伝送インピ
ーダンスZ0に等しい抵抗によって終端したときの入力
端子T1から入力端子T2への透過係数、すなわち入力
端子T1,T2間のアイソレーションを示す係数であ
る。
【0064】図7から明らかなように、第2の従来例の
入力端子T1,T2間のアイソレーションは、周波数f
1,f2において約10[dB]であるが、第2の実施例
の入力端子T1,T2間のアイソレーションは、周波数
1において約63[dB]であり、周波数f2において
約70[dB]であるので、第2の実施例の電力合成分
配装置は大幅に増大されたアイソレーションを有する。
従って、各入力端子T1,T2において、周波数f1
高周波信号と周波数f2の高周波信号との結合がほとん
どないといえる。
【0065】さらに、各入力端子T1,T2をそれぞれ
伝送インピーダンスZ0に等しい抵抗によって終端した
ときの出力端子T3における出力端反射係数S33の周波
数特性を図8に示す。
【0066】図8から明らかなように、第2の従来例の
出力端反射係数S33は、周波数f1において約−20
[dB]であり、周波数f2において約−13[dB]
であるが、第2の実施例の出力端反射係数S33は、周波
数f1において約−65[dB]であり、周波数f2にお
いて約−60[dB]であるので、第2の実施例の電力
合成分配装置は大幅に低減された出力端反射係数S33
有する。従って、出力端子T3に接続される回路とのイ
ンピーダンス整合を第2の従来例に比較し良好に行うこ
とができる。
【0067】以上の第2の実施例において、ブランチラ
イン型ハイブリッド回路1,2,3を用いているが、本
発明はこれに限らず、1/4波長分布結合型ハイブリッ
ド回路、ラットレース型ハイブリッド回路、位相反転型
ハイブリッドリング回路などの他の種類のハイブリッド
回路又は3dB方向性結合器を用いてもよい。
【0068】以上の第2の実施例において、それぞれ誘
電体共振器DR1,DR2を備えた各位相反転型共振回
路4,5を用いているが、本発明はこれに限らず、共振
器としては空洞共振器等で構成してもよく、また、分布
定数回路又は集中定数回路で構成された直列共振回路又
は並列共振回路を用いて上記各位相反転型共振回路4,
5を構成してもよい。
【0069】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る電力合
成分配装置においては、互いに異なる第1と第2の周波
数を有する2つの高周波信号を合成し、又は上記第1と
第2の周波数を有する2つの高周波信号に分配する電力
合成分配装置であって、それぞれ少なくとも上記第1の
周波数から上記第2の周波数までの周波数範囲で動作
し、対をなす第1と第2の端子と、対をなす第3と第4
の端子とをそれぞれ備えた第1と第2のハイブリッド回
路と、少なくとも上記周波数範囲で動作し、対をなす第
5と第6の端子と、別の第7の端子とを少なくとも有
し、上記第5と第6の端子にそれぞれ入力される2つの
高周波信号を、合成される2つの高周波信号が同相とな
るように合成した後、合成後の高周波信号を上記第7の
端子に出力する合成回路と、それぞれ入力端子を有しか
つ少なくとも上記周波数範囲で動作し、上記第1の周波
数を有する第1の高周波信号と、上記第2の周波数を有
する第2の高周波信号とが上記入力端子に入力されると
き、上記第1と第2の高周波信号を、上記入力端子にお
ける反射時の上記第1と第2の高周波信号の各位相が反
転関係になるように反射する第1と第2の共振回路とを
備え、上記第1のハイブリッド回路の第3の端子が、上
記第1の周波数と上記第2の周波数との平均周波数に対
応する管内波長の自然数倍の線路長を有する第1の伝送
線路を介して、上記第2のハイブリッド回路の第1の端
子に電気的に接続され、上記第1のハイブリッド回路の
第4の端子が、上記平均周波数に対応する管内波長の自
然数倍の線路長を有する第2の伝送線路を介して、上記
合成回路の第6の端子に電気的に接続され、上記第2の
ハイブリッド回路の第2の端子が、上記平均周波数に対
応する管内波長の自然数倍の線路長を有する第3の伝送
線路を介して、上記合成回路の第5の端子に電気的に接
続され、上記第2のハイブリッド回路の第3の端子が、
上記第2のハイブリッド回路の第3の端子から上記第1
の共振回路の入力端子を介して上記第1の共振回路の接
地端子までの線路長が上記平均周波数に対応する管内波
長の1/4である第1の線路長と、上記管内波長の0又
は自然数倍の第2の線路長との和であるような所定の線
路長を有する第4の伝送線路を介して、上記第1の共振
回路の入力端子に電気的に接続され、上記第2のハイブ
リッド回路の第4の端子が、上記第2のハイブリッド回
路の第4の端子から上記第2の共振回路の入力端子を介
して上記第2の共振回路の接地端子までの線路長が上記
平均周波数に対応する管内波長の1/4である第3の線
路長と、上記管内波長の0又は自然数倍の第4の線路長
との和であるような所定の線路長を有する第5の伝送線
路を介して、上記第2の共振回路の入力端子に電気的に
接続されている。
【0070】従って、上記第2のハイブリッド回路及び
上記合成回路はそれぞれ、合成される上記第1と第2の
高周波信号の各2つの高周波信号が同相となるように上
記各2つの高周波信号を合成するので、当該電力合成分
配装置の合成処理時の通過損失は実質的に上記第1と第
2の共振回路の各反射損失のみとなり、従来例に比較し
て大幅に低減された通過損失で、互いに異なる2つの周
波数の各高周波信号を合成する電力合成分配装置を実現
することができる。
【0071】また、上記第1と第2のハイブリッド回路
と、上記合成回路とを、それぞれ可逆回路で構成した場
合、上記合成回路の第7の端子に上記第1と第2の高周
波信号の合成信号を入力したとき、上記第1のハイブリ
ッド回路の第1と第2の端子にそれぞれ第1の高周波信
号、第2の高周波信号、又は第2の高周波信号、第1の
高周波信号を分波して出力することができ、従来例に比
較して大幅に低減された通過損失で、互いに異なる2つ
の周波数の各高周波信号に分配する電力合成分配装置を
実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施例である電力合成分
配装置のブロック図である。
【図2】 本発明に係る第2の実施例である電力合成分
配装置のブロック図である。
【図3】 本発明に係る第1の実施例の変形例である電
力合成分配装置のブロック図である。
【図4】 図2に図示した電力合成分配装置において用
いる位相反転型共振回路の入力端反射係数と入力端反射
信号の位相の各周波数特性を示すグラフである。
【図5】 図2に図示した電力合成分配装置と第2の従
来例の電力合成分配装置の正方向透過係数S31,S32
各周波数特性を示すグラフである。
【図6】 図7に図示した周波数特性の一部を拡大した
グラフである。
【図7】 図2に図示した電力合成分配装置と第2の従
来例の電力合成分配装置の入力端間透過係数S21の周波
数特性を示すグラフである。
【図8】 図2に図示した電力合成分配装置と第2の従
来例の電力合成分配装置の出力端反射係数S33の周波数
特性を示すグラフである。
【図9】 第1の従来例のブランチライン型ハイブリッ
ド回路のブロック図である。
【図10】 2個のチャンネルフィルタを備えアンテナ
共用装置として用いられる第2の従来例の電力合成分配
装置のブロック図である。
【符号の説明】
1,2,3…ハイブリッド回路、 4,5…位相反転型共振回路、 7…Y型電力合成分配回路、 P11,P12,P21,P22…入力端子、 P13,P14,P23,P24…出力端子、 P31,P32,P33,P34…端子、 RL…抵抗。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに異なる第1と第2の周波数を有す
    る2つの高周波信号を合成し、又は上記第1と第2の周
    波数を有する2つの高周波信号に分配する電力合成分配
    装置であって、 それぞれ少なくとも上記第1の周波数から上記第2の周
    波数までの周波数範囲で動作し、対をなす第1と第2の
    端子と、対をなす第3と第4の端子とをそれぞれ備えた
    第1と第2のハイブリッド回路と、 少なくとも上記周波数範囲で動作し、対をなす第5と第
    6の端子と、別の第7の端子とを少なくとも有し、上記
    第5と第6の端子にそれぞれ入力される2つの高周波信
    号を、合成される2つの高周波信号が同相となるように
    合成した後、合成後の高周波信号を上記第7の端子に出
    力する合成回路と、 それぞれ入力端子を有しかつ少なくとも上記周波数範囲
    で動作し、上記第1の周波数を有する第1の高周波信号
    と、上記第2の周波数を有する第2の高周波信号とが上
    記入力端子に入力されるとき、上記第1と第2の高周波
    信号を、上記入力端子における反射時の上記第1と第2
    の高周波信号の各位相が反転関係になるように反射する
    第1と第2の共振回路とを備え、 上記第1のハイブリッド回路の第3の端子が、上記第1
    の周波数と上記第2の周波数との平均周波数に対応する
    管内波長の自然数倍の線路長を有する第1の伝送線路を
    介して、上記第2のハイブリッド回路の第1の端子に電
    気的に接続され、 上記第1のハイブリッド回路の第4の端子が、上記平均
    周波数に対応する管内波長の自然数倍の線路長を有する
    第2の伝送線路を介して、上記合成回路の第6の端子に
    電気的に接続され、 上記第2のハイブリッド回路の第2の端子が、上記平均
    周波数に対応する管内波長の自然数倍の線路長を有する
    第3の伝送線路を介して、上記合成回路の第5の端子に
    電気的に接続され、 上記第2のハイブリッド回路の第3の端子が、上記第2
    のハイブリッド回路の第3の端子から上記第1の共振回
    路の入力端子を介して上記第1の共振回路の接地端子ま
    での線路長が上記平均周波数に対応する管内波長の1/
    4である第1の線路長と、上記管内波長の0又は自然数
    倍の第2の線路長との和であるような所定の線路長を有
    する第4の伝送線路を介して、上記第1の共振回路の入
    力端子に電気的に接続され、 上記第2のハイブリッド回路の第4の端子が、上記第2
    のハイブリッド回路の第4の端子から上記第2の共振回
    路の入力端子を介して上記第2の共振回路の接地端子ま
    での線路長が上記平均周波数に対応する管内波長の1/
    4である第3の線路長と、上記管内波長の0又は自然数
    倍の第4の線路長との和であるような所定の線路長を有
    する第5の伝送線路を介して、上記第2の共振回路の入
    力端子に電気的に接続されたことを特徴とする電力合成
    分配装置。
  2. 【請求項2】 上記合成回路はハイブリッド回路である
    ことを特徴とする請求項1記載の電力合成分配装置。
  3. 【請求項3】 上記合成回路はY型電力合成分配回路で
    あることを特徴とする請求項1記載の電力合成分配装
    置。
  4. 【請求項4】 上記合成回路はさらに、上記第7の端子
    と対をなす第8の端子を有し、上記第8の端子が抵抗に
    よって終端されたことを特徴とする請求項2記載の電力
    合成分配装置。
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