JP2643205B2 - 高感度比色定量法 - Google Patents

高感度比色定量法

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JP2643205B2 JP33369987A JP33369987A JP2643205B2 JP 2643205 B2 JP2643205 B2 JP 2643205B2 JP 33369987 A JP33369987 A JP 33369987A JP 33369987 A JP33369987 A JP 33369987A JP 2643205 B2 JP2643205 B2 JP 2643205B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はグリセロール−3−リン酸およびジヒドロキ
シアセトンリン酸の高感度比色定量法に関する。
さらに詳しく述べれば、グリセロール−3−リン酸お
よびジヒドロキシアセトンリン酸の高感度な定量のため
に用いられる酵素的サイクリング反応において、該酵素
的サイクリング反応により生成した過酸化水素をペルオ
キシダーゼにより色原体を酸化させ呈色体となす発色反
応をせしめ比色定量を実用可能としたものである。
「従来の技術」 酵素を用いた分析法は、その操作容易性により今なお
重要な測定法の一つとなっている。
近年、微量物質を測定したいという要望やその測定に
使用する酵素量の少量化による経済的メリット等の理由
により高感度な定量法の開発が求められており、従来よ
りNADをサイクリングする方法(NADサイクリング反
応)、NADPサイクリング反応、CoAサイクリング反応等
多くの酵素的サイクリング反応が利用されている。
臨床検査にその測定法を使用する場合には上記の通り
高い感度を求める一方、既に普及している装置等を利用
できること等簡便性、経済性などの制限をも勘案する必
要がある。これが、酵素的サイクリング反応を用いた吸
光度測定法が今なお有力な方法となっている理由と考え
られる。
グリセロール−3−リン酸およびジヒドロキシアセト
ンリン酸は、種々の酵素とその基質により生成されるも
ので、グリセロール−3−リン酸およびジヒドロキシア
セトンリン酸に変換する反応系を組み合わせることによ
りその前駆物質である基質量あるいは反応に関与する酵
素の活性を定量することができる臨床上極めて重要な測
定対象物である。
本発明者らは先にグリセロール−3−リン酸またはジ
ヒドロキシアセトンリン酸の酵素的サイクリング反応
(式Iに示す。以下、該酵素的サイクリング反応(I)
と略す。)を利用した測定法を発明した(特開昭59-140
900号公報)。
(式中、G3Pはグリセロール−3−リン酸、DHAPはジヒ
ドロキシアセトンリン酸、GPOはグリセロール−3−リ
ン酸オキシダーゼ、G3PDHはグリセロール−3−リン酸
デヒドロゲナーゼ、H2O2は過酸化水素を意味する) 特開昭59-140900号公報中、吸光度測定法による測定
として、例えば大過剰の還元型NADを用いた該酵素的サ
イクリング反応(I)の反応によって消費された還元型
NAD量をもって、グリセロール−3−リン酸またはジヒ
ドロキシアセトンリン酸を測定することを開示してい
る。該酵素的サイクリング反応(I)の反応後に残存す
る還元型NAD量の測定は、還元型NADが有する特異的吸収
波長における吸光度の変化を検出するか、あるいは還元
型NADとテトラゾリウム塩とを基質としてジアホラーゼ
などの転位酵素によりホルマザン色素を形成せしめその
特異的吸収波長における吸光度の変化を検出するもので
ある。該酵素的サイクリング反応(I)により消費され
た成分量を測定するこれらの方法は減少法であるがため
に、該酵素的サイクリング反応(I)により生成された
成分量をを直接測定する増加法に比べ低濃度の成分量を
測定する場合には不正確となりやすく、またホルマザン
色素を形成せしめる方法においては、難溶性のホルマザ
ン色素が使用機器に付着し洗浄の手間がかかるという面
倒な面を残していた。
「発明が解決しようとする問題点」 本発明者らは、上記の問題点を解決するため別の吸光
度測定法として該酵素的サイクリング反応(I)におい
て生成される過酸化水素を基質とし、ペルオキシダーゼ
の存在下各種の色原体を酸化させ呈色体となし、比色定
量することを考えた。
還元型NADは、該酵素的サイクリング反応(I)に必
須の基質である一方、水素供与体としてペルオキシダー
ゼ発色系の色原体と競合し、該酵素的サイクリング反応
(I)により生じた過酸化水素が色原体を呈色体となす
発色系に充分生かされず、この高感度比色定量法は、定
量性がない、感度が良くないあるいは測定しうる濃度の
幅が極めて狭いとの結果となり実用に耐えるものは存在
しなかった(特開昭62-14799号公報)。すなわち、高感
度を採るかペルオキシダーゼ発色系による吸光度測定法
を採るかのいずれかしかなかったのである。
「問題点を解決しようとする手段」 本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究し
た結果、高感度を得るための該酵素的サイクリング反応
(I)に必須の還元型NADが、ペルオキシダーゼ発色系
を妨害することをなくし、高感度および定量性を有する
測定法を見出し本発明を完成するに至った。
従来該酵素的サイクリング反応(I)において、その
サイクリング反応に関与する試薬すなわち酸素および還
元型NADは反応途中にそのサイクリング率を低下させな
いように過剰量添加していた(特開昭59-140900号公
報)。還元型NADを過剰量添加した場合は当然に、該酵
素的サイクリング反応(I)の反応後においても相当量
の還元型NADが残存し、かつ該酵素的サイクリング反応
(I)により生成する過酸化水素が残存還元型NADと反
応するためペルオキシダーゼ発色系をもって生成した過
酸化水素を直接に測定することができない。本発明者ら
は消費した量の還元型NADをすぐに補うという還元型NAD
の再生系を組み込むことにより常に還元型NADの量を一
定とし、該酵素的サイクリング反応(I)に必要な還元
型NADの量をペルオキシダーゼ発色系の妨害がほぼ生じ
ない濃度まで還元型NADの使用量として減ずることによ
りペルオキシダーゼ発色系をもって生成した過酸化水素
を正確に直接測定しえることを見出し本発明を完成する
に至った。
すなわち本発明は、被検液中のグリセロール−3−リ
ン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸を測定するに当
たり酵素的サイクリング反応(I) (式中、G3Pはグリセロール−3−リン酸、DHAPはジヒ
ドロキシアセトンリン酸、GPOはグリセロール−3−リ
ン酸オキシダーゼ、G3PDHはグリセロール−3−リン酸
デヒドロゲナーゼ、H2O2は過酸化水素、PODはペルオキ
シダーゼ、Aは還元性物質、Bは酸化生成物を意味す
る) を形成せしめるために、被検液中の成分と該酵素的サイ
クリング反応(I)を形成する成分とを反応せしめ、該
酵素的サイクリング反応により増幅生成される過酸化水
素をペルオキシダーゼおよび色原体により呈色体となす
ペルオキシダーゼ発色系(II)を有する高感度な比色定
量法において、該酵素的サイクリング反応により生成す
るNADを還元型NADに再生する再生系(III)を有し、か
つ還元型NADの濃度を80%以上発色強度発現濃度とする
ことを特徴とする高感度比色定量法である。
本発明の高感度比色定量法は(以下、本サイクリング
反応という)、該酵素的サイクリング反応(I)とペル
オキシダーゼ発色系(II)および還元型NADの再生系(I
II)の3者を組合わすものであり以下にそれぞれについ
て説明をする。
酵素的サイクリング反応(I)については特開昭59-1
40900号公報に示すとおりグリセロール−3−リン酸
(以下G3Pと略す)またはジヒドロキシアセトンリン酸
(以下DHAPと略す)を測定するもであり、グリセロール
−3−リン酸オキシダーゼ(以下GPOと略す)、グリセ
ロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下G3PDHと略
す)、酸素および還元型NADを組み合わせればよい。こ
の酵素的サイクリング反応(I)においてサイクリング
1回ごとに1分子の過酸化水素とNADを生ずる。なお酸
素は反応溶液中に溶けた溶存酸素で通常充分である。
次に還元型NADを一定量とするための還元型NADの再生
系を説明する。
該酵素的サイクリング反応(I)の還元型NADを一定
量とするためには、NADを還元型NADとなす第2のデヒド
ロゲナーゼとその基質(還元性物質)を用いる。基質に
関しては第2のデヒドロゲナーゼの基質となりえるもの
なら特に限定されず、過剰量を加えればよい。デヒドロ
ゲナーゼ酵素は通常正反応と逆反応の双方を触媒する
が、本発明においてはNAD→還元型NADの再生系を効率よ
く構成せしめるために、第2のデヒドロゲナーゼとして
NAD→還元型NADなる正反応に比べ還元型NAD→NADなる逆
反応が起こりにくい酵素を選択することである。
(Aは還元性物質、Bは酸化生成物を意味する) さらに具体的に示すと、第2のデヒドロゲナーゼにお
ける平衡反応において、還元型NADがNADより100倍以上
存在せしめる平衡条件を一応好ましい目安とすれば、式
1を満たすように基質濃度やpHを設定すればよい。
現実的には極端なpHや基質濃度を無限大にすることはで
きないし、コスト面からいえばできるだけ基質の使用量
を減ずることが要求されるので平衡定数(Keq)の大き
な酵素を選択することが好ましく、通常のpHと基質濃度
においてはKeqが10-9〜10-8程度以上を目安とすればよ
い。
上記条件を満たす場合に、成書(酵素分析法、p20、
講談社;清水祥一、小林猛、奥田潤、杉本悦郎)によれ
ば、 Vm=(20〜50)Km (Vmとは添加すべき第2のデヒドロゲナーゼの最低限の
酵素量(U/ml)、Kmとは第2のデヒドロゲナーゼのNAD
に対するミカエリス定数(mM)をそれぞれ意味する。)
なる式が示されている。この式からもわかるように使用
する第2のデヒドロゲナーゼの種類とG3PDHが作用する
反応(すなわち該酵素的サイクリング反応(I))は関
係なく、使用する第2のデヒドロゲナーゼごとに最適の
添加量が該酵素的サイクリング反応(I)とは独立に決
定されるものである。酵素のKm値を測定し上記式に当て
はめ添加すべき量が物理的に加えうるものなら第2のデ
ヒドロゲナーゼとして使用できる。以下に第2のデヒド
ロゲナーゼとして通常使用する酵素とそのKm値およびそ
の基質を示すがこれらに限定されるものではないことは
言うまでもない。
臨床酵素ハンドブック、講談社(1982) 次にペルオキシダーゼ発色系について述べる。
ペルオキシダーゼ発色系とは、該酵素的サイクリング
反応(I)により生成された過酸化水素をペルオキシダ
ーゼの存在下、各種の色原体を酸化縮合または酸化せし
め呈色体となす反応を示すが、ここで色原体とは 式: (式中、R1およびR4は各々水素原子、低級アルキル基ま
たは低級アルコキシル基、R2およびR3は各々水素原子、
低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、アセチル
アミドを含む低級アルキル基、スルホン酸基を含む低級
アルキル基またはスルホン酸基を含むヒドロキシ低級ア
ルキル基を示す)で表わされるアニリン類の群より選ば
れた一種と4−アミノアンチピリンを組み合わせたもの 式: (式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸基、
ニトロ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、低級
アルキルカルボニル基、カルボキシル基または低級アル
コキシカルボニル基、YおよびY′は各々水素原子、ハ
ロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基、低級アルキル
基、低級アルコキシル基、低級アルキルカルボニル基、
カルバモイル基または低級アルコキシカルボニル基、Z
およびZ′は各々水素原子、スルホン酸基、ニトロ基、
低級アルキル基、低級アルコキシル基またはカルボキシ
ル基を示す)で表わされるフェノール類の群より選ばれ
た一種と4−アミノアンチピリンを組み合わせたもの、
または 10−〔(3−メトキシカルバモイルメチル)フェニル
メチルカルバモイル〕3,7−ジメチルアミノフェノチア
ジンまたはビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチ
ル−4−ジメチルアミノフェニル〕アミンなどのロイコ
体を示すものである。
具体的に例示すれば、アニリン類としては例えばN−
エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADP
S)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン
(HDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−
スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチ
ル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,
5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−(2−ヒドロキ
シ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン
(HDAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−
スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N,N−ジ
メチルアニリン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N
−ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−m−トルイジ
ン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−m−
トルイジン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)
−N′−アセチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−
m−アニシジン、N−エチル−N−スルホプロピル−m
−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5
−ジメトキシアニリン(DAPS)、3−メチル−N−エチ
ル−N−ヒドロキシエチルアニリン、N−エチル−N−
(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリンなど
が挙げられる。
またフェノール類としては、例えばフェノール、パラ
クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,6−ジ
クロロフェノール、3,5−ジクロロ−2−ヒドロキシベ
ンゼンスルホン酸、2,4−ジブロムフェノール、2,4,6−
トリブロムフェノール、3−ヒドロキシ−2,4,6−トリ
ヨード安息香酸などが挙げられる。
還元型NADが妨害する程度は水素供与体として還元型N
ADと色原体のペルオキシダーゼに対する親和力の比およ
び還元型NADと色原体の量的関係により決まる。しかし
これらの関係は色原体とペルオキシダーゼの種類により
変化するばかりでなく、その反応自身が理論では全く推
測が困難であるため以下の実験を行った。すなわち、該
酵素的サイクリング(I)に還元型NADの再生系と各種
の色原体を用いたペルオキシダーゼ発色系を付し、低濃
度から高濃度の各濃度段階の還元型NADを添加した実験
系を組み、その実験系に一定量のG3P(またはDHAPであ
ってもよい)を添加し、該酵素的サイクリング(I)に
より生成する過酸化水素に基づく発色を行い、生ずる呈
色体の公知のλmax付近を検出波長とした吸光度を色原
体ごとにプロットした。吸光度の最大値を100%とし各
濃度の還元型NADにおける吸光度を百分率で示した。例
えばペルオキシダーゼを西洋ワサビペルオキシダーゼ
(EC1.11.1.7、シグマ社製)、色原体のカップラーとし
て4−アミノアンチピリン、水素供与体としてフェノー
ルを用いた場合の結果が第2図である。吸光度の最大値
を与える還元型NADの濃度(以下最適濃度という)は0.0
20mMであり(検出波長;500nm)、従来使用されていた過
剰量の0.3mM程度と比べはるかに低濃度であった。
カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供与
体としてN−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシ
ジン(ADPS)を用いた場合(検出波長;540nm、第3
図)、カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素
供与体としてN−スルホプロピル−3,5−ジメトキシア
ニリン(HDAPS)を用いた場合(検出波長;580nm、第4
図)、カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素
供与体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−
スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)を用いた場
合(検出波長;542nm、第5図)、カップラーとして4−
アミノアンチピリン、水素供与体としてN−(2−ヒド
ロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニ
リン(HDAOS)を用いた場合(検出波長;583nm、第7
図)の最適濃度もフェノールを用いた場合と同じいずれ
も0.020mMであった。
カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供与
体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スル
ホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)を用
いた場合の最適濃度は0.050mM(検出波長;600nm、第6
図)、カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素
供与体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−
スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)を用いた場
合の最適濃度は0.016mM(検出波長;555nm、第8図)で
あった。
色原体として10−〔(3−メトキシカルバモイルメチ
ル)フェニルメチルカルバモイル〕3,7−ジメチルアミ
ノフェノチアジン(MMX)を用いた場合の最適濃度は0.0
10mM(検出波長;660nm、第9図)と幾分低濃度であっ
た。
各色原体における最適濃度は相互にかなり近い値を示
し、しかも該酵素的サイクリング(I)において従来用
いられていた還元型NADの濃度に比べてはるかに低い濃
度であった。
本発明の比色測定を行うに際しては、上記の実験によ
り求めた還元型NADの最適濃度で実施することが望まし
い。添加する還元型NADの濃度があまり少ないと感度が
得られず、濃すぎれば定量しうる濃度範囲が狭くなるが
最適濃度の吸光度に対し約80%程度の吸光度なら充分に
本発明の効果が認められる(以下、最適濃度の吸光度に
対し80%以上の吸光度を発現しうる還元型NAD濃度を80
%以上発色強度発現濃度という。)。したがって本サイ
クリング反応は80%以上発色強度発現濃度で実施すれば
よい。ペルオキシダーゼを西洋ワサビペルオキシダーゼ
とし代表的な各種の色原体における還元型NADの80%以
上発色強度発現濃度を示すが、これらに本発明のペルオ
キシダーゼおよび色原体が限定されるものではない。
1)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてフェノールを用いた場合、80%以上発色強度
発現濃度は0.008〜0.07mM、最適濃度は0.020mM(第2
図)。
2)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−エチル−N−スルホプロピル−m−アニ
シジン(ADPS)を用いた場合、80%以上発色強度発現濃
度は0.006〜0.07mM、最適濃度は0.020mM(第3図)。
3)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニ
リン(HDAPS)を用いた場合、80%以上発色強度発現濃
度は0.006〜0.1mM、最適濃度は0.020mM(第4図)。
4)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)を用いた場
合、80%以上発色強度発現濃度は0.007〜0.05mM、最適
濃度は0.020mM(第5図)。
5)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)を
用いた場合、80%以上発色強度発現濃度は0.01〜0.13m
M、最適濃度は0.050mM(第6図)。
6)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピ
ル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)を用いた場
合、80%以上発色強度発現濃度は0.008〜0.11mM、最適
濃度は0.020mM(第7図)。
7)カップラーとして4−アミノアンチピリン、水素供
与体としてN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−ス
ルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)を用いた場
合、80%以上発色強度発現濃度は0.005〜0.06mM、最適
濃度は0.016mM(第8図)。
8)色原体として10−〔(3−メトキシカルバモイルメ
チル)フェニルメチルカルバモイル〕3,7−ジメチルア
ミノフェノチアジン(MMX)を用いた場合、80%以上発
色強度発現濃度は0.003〜0.04mM、最適濃度は0.010mM
(第9図)。
本発明においては上記の実験により80%以上発色強度
発現濃度を決定することが原則であるが、その実験に時
間が避けない場合もあるため、予め還元型NADの濃度を
0.003〜0.013程度とすれば各種の色原体において本発明
の実施は可能である。
次に本発明に用いられる一般的な使用量を例示する
と、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼは5〜50U/
ml、好ましくは8〜30U/ml、グリセロール−3−リン酸
デヒドロゲナーゼは0.3〜20U/ml、好ましくは1〜10U/m
l、ペルオキシダーゼは1〜20U/ml、好ましくは2〜10U
/ml、色原体の濃度は特に上限はないが、通常はペルオ
キシダーゼのもうひとつの基質である過酸化水素に対し
モル比で2〜100倍、好ましくは5〜20倍程度含まれて
いればよい。本サイクリング反応のpHとしては7.0〜8.2
好ましくは7.2〜8.0であり、再生系の第2のデヒドロゲ
ナーゼおよびその基質と還元型NADの好ましい量は前記
のとおりである。
本発明は、G3PおよびDHAPそのものの定量の他これら
を生成する酵素反応系を組み合わせることにより極めて
多くの化合物あるいは酵素の定量ができるものである。
G3PおよびDHAPを生成する酵素反応系は、本サイクリン
グ反応を行う前に反応を終了させる方法または本サイク
リング反応と同時に反応せしめる方法のどちらを選択し
てもよい。
また一般的には有利なエンドポイント法により測定す
ればよい。以下にその代表的な反応例を挙げる。
1)G3Pを遊離生成する酵素反応系 (1)ATP、グリセロールを基質とし、ADP、G3Pを遊離
生成するグリセロールキナーゼ(EC2.7.1.30)の酵素反
応系。遊離生成するG3Pを定量することにより、ATP、グ
リセロールまたはグリセロールキナーゼ活性のいずれか
1つを測定する。
(2)上記(1)の酵素反応系におけるグリセロールが
ホスファチジルグリセロールとホスホリパーゼD(EC3.
1.4.4)の酵素反応系由来のグリセロールであり、ホス
ファチジルグリセロールまたはホスホリパーゼD活性の
測定のための酵素反応系。
(3)上記(1)の酵素反応系におけるATPがクレアチ
ンリン酸、ADP、クレアチンキナーゼ(EC2.7.3.2)の酵
素反応系由来のATPであり、クレアチンリン酸またはク
レアチンキナーゼ活性の測定のための酵素反応系。
血清中のクレアチンキナーゼの活性測定は、例えば筋
肉疾患、神経疾患、心筋梗塞、粘液水腫、糖質や脂質の
蓄積症などの診断に用いられる。
(4)上記(1)の酵素反応系におけるATPがホスホエ
ノールピルビン酸、ADP、ピルビン酸キナーゼ(EC2.7.
1.40)の酵素反応系由来のATPであり、ホスホエノール
ピルビン酸またはピルビン酸キナーゼ活性の測定のため
の酵素反応系。
赤血球中のピルビン酸キナーゼの活性測定は、先天性
溶血性貧血についての診断に使用される。
(5)上記(1)の酵素反応系におけるATPがADPを基質
とするアデニル酸キナーゼ(EC2.7.4.3)の酵素反応系
由来のATPであり、アデニル酸キナーゼ活性の測定のた
めの酵素反応系。
アデニル酸キナーゼの活性測定は、筋肉疾患特に筋ジ
ストロフィー症やKugelberg-Welander症候群、多発性筋
炎の診断に用いられる。
(6)上記(1)の酵素反応系におけるATPがアセチル
リン酸、ADPおよび酢酸キナーゼ(EC2.7.2.1)の酵素反
応系由来のATPであり、アセチルリン酸または酢酸キナ
ーゼ活性の測定のための酵素反応系。
(7)上記(1)の酵素反応系におけるATPがD−1,3−
ビスホスホグリセリン酸、ADPおよびホスホグリセリン
酸キナーゼ(EC2.7.2.3)の酵素反応系由来のATPであ
り、D−1,3−ビスホスホグリセリン酸またはホスホグ
リセリン酸キナーゼ活性の測定のための酵素反応系。
(8)リゾグリセロリン脂質、リゾホスホリパーゼ(EC
2.7.2.3)グリセロホスホコリンジエステラーゼ(EC2.
7.2.3)の酵素反応系由来のG3Pを定量するためのもので
あり、リゾグリセロリン脂質あるいはリゾホスホリパー
ゼ活性の測定のための酵素反応系。
(9)上記(8)の酵素反応系におけるリゾグリセロリ
ン脂質がリゾレシチンであり、そのリゾレシチンがレシ
チン、コレステロール、レシチンコレステロールアシル
トランスフェラーゼ(EC2.3.1.43)の酵素反応系由来の
リゾレシチンであり、レシチン、コレステロールおよび
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性
の測定のための酵素反応系。
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ活
性の測定は、肝機能検査および脂質代謝異常、糖尿病の
診断に用いられる。
(10)上記(8)の酵素反応系におけるリゾグリセロリ
ン脂質がリゾレシチンであり、そのリゾレシチンがレシ
チン、ホスホリパーゼA(EC3.1.1.4またはEC3.1.1.3
2)の酵素反応系由来のリゾレシチンであり、レシチン
およびホスホリパーゼA活性の測定のための酵素反応
系。
2)DHAPを遊離生成する酵素反応系 (1)ケトース1−リン酸とアルドラーゼ(EC4.1.2.
7)の酵素反応系由来のDHAPを定量するためのものであ
り、ケトース1−リン酸またはアルドラーゼ活性の測定
のための酵素反応系。
(2)D−グリセロアルデヒド−3−リン酸とトリオー
スリン酸イソメラーゼ(EC5.3.1.1)の酵素反応系由来
のDHAPを定量するためのものであり、D−グリセロアル
デヒド−3−リン酸またはトリオースリン酸イソメラー
ゼ活性の測定のための酵素反応系。
「実施例」 次に実験例および実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するがこれにより本発明が限定されるものではない。
実施例1 G3Pの定量 (1)反応試薬の調製 GPO(Aerococcus viridans由来、東洋醸造社製)117
U、G3PDH(EC1.1.1.8、ウサギ骨格筋由来、ベーリンガ
ーマンハイム社製)34U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.176、Basillus sphaericus
由来、東洋醸造社製)50U、ペルオキシダーゼ(EC1.11.
1.7、西洋ワサビ由来、シグマ社製)45U、0.05mM還元型
NAD(オリエンタル酵母社製)、0.03%4−アミノアン
チピリン(和光純薬社製)、0.02%フェノール(和光純
薬社製)、0.5mMコール酸(和光純薬社製)、5mM塩化カ
ルシウム(和光純薬社製)および0.1%トリトンX-100
(シグマ社製、商品名)を50mM HEPES緩衝液(同仁化学
研究所製、商品名(pH8.0))に溶解し10mlとする。
(2)G3Pの定量 上記の反応試薬を1mlずつ分注し、37℃にて予備加温
した試験管に、0、15、30、45、60および75μMの各濃
度のG3P水溶液20μlを各々加え、さらに37℃にて15分
間反応させた後、反応停止液として0.5%SDS(ドデシル
硫酸ナトリウム、和光純薬社製)2.0mlを添加し反応を
停止した。反応液の500nmにおける吸光度を測定した
(島津自記分光光度計 UV-250)。
結果は第1図のとおり良好な直線性を示した(図中、
白丸)。
比較例1 前記の実施例1において12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼのみを添加せず、その他の成分は同一
で同様の測定を行った(第1図、図中の黒三角)。
その結果、ほとんど定量性が得られなかった。
比較例2 前記の実施例1において添加する還元型NAD濃度0.05m
Mを0.5mMとし、他の成分は同一で同様の測定を行った
(第1図、図中の黒丸)。
その結果は直線性がなく、還元型NADが過剰に存在す
ると定量性がないことがわかる。
比較例3 前記の実施例1において添加する還元型NAD濃度0.05m
Mを0とし、他の成分は同一で同様の測定を行った(第
1図、図中の黒四角)。
その結果、ほとんど感度が得られなかった。
実施例2 血清中の遊離グリセロールの測定 (1)反応試薬の調製 GPO 300U、G3PDH 34U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ 50U、ペルオキシダーゼ 50U、グリ
セロールキナーゼ(Streptomyces属由来、東洋醸造社
製)5U、0.05mM還元型NAD、0.03%4−アミノアンチピ
リン、0.02%フェノール、0.5mMコール酸、0.5mM ATP、
2mM塩化マグネシウム、0.1%トリトンX-100を50mM HEPE
S緩衝液(pH8.0)に溶解し10mlとする。
(2)血清中の遊離グリセロールの測定 上記の反応試薬を1ml分注し37℃にて予備加温した試
験管に、血清検体20μlを加え、さらに37℃にて15分間
反応させた後、反応停止液として0.5%SDS 2.0mlを添加
し反応を停止した。反応停止後、反応液の500nmにおけ
る吸光度を測定した。
正常ヒト血清検体(血清1)を用い、その原液、4/
5、3/5、2/5、1/5、0の各希釈液を蒸留水により調製し
血清検体として上記の操作に従って反応後吸光度を測定
した。その結果は第10図に示すとおり良好な直線性を示
し、定量が可能であることを確認した。
定量に際しては、同様の操作で別に血清検体20μlを
加えないブランク試験と濃度既知のグリセロール水溶液
(例えば50μM)20μlを加えた標準液試験を行った。
血清中の遊離グリセロール濃度は以下の計算式を用い
て算出できる。
Aa;血清検体を加えた試験液の吸光度 Ab;血清検体を加えなかったブランク試験の吸光度 Ac;グリセロール標準液試験の吸光度 S ;グリセロール標準液試験に用いたグリセロール水溶
液の濃度(μM) 正常ヒト血清検体1〜5を上記操作により測定した。
表1に示すとおり微量なグリセロール濃度の測定が可能
であった。
実施例3 リゾレシチンの定量 (1)反応試薬の調製 GPO 150U、G3PDH 34U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ 50U、ペルオキシダーゼ 45U、リゾ
ホスホリパーゼ(EC3.1.1.5、ビブリオ属由来、東洋醸
造社製)6U、グリセロホスホリルコリンホスホジエステ
ラーゼ(EC3.1.4.2、微生物由来、東洋醸造社製)3U、
0.05mM還元型NAD、0.03%4−アミノアンチピリン、0.0
2%DAOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−プ
ロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、同仁化学社
製)、0.5mMコール酸、5mM塩化カルシウムを50mM HEPES
緩衝液(pH8.0)に溶解し10mlとする。
(2)リゾレシチンの定量 上記の反応試薬1mlずつを分注し37℃にて予備加温し
た試験管に、各々、0、30、60、90、120、150μMのシ
ゾレシチン水溶液を10μlを添加し、さらに37℃にて10
分間反応させた後、反応停止液として0.5%SDS2.0mlを
添加し反応を停止した。反応停止後、反応液の600nmに
おける吸光度を測定した。
その結果は、第11図に示すとおり良好な直線性を有し
た。
実施例4 血清中のレシチンコレステロールアシルトランスフェラ
ーゼ活性の測定 (1)反応試薬の調製 GPO 150U、G3PDH 34U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ 40U、ペルオキシダーゼ 45U、リゾ
ホスホリパーゼ(EC3.1.1.5、ビブリオ属由来、東洋醸
造社製)5U、グリセロホスホリルコリンホスホジエステ
ラーゼ(EC3.1.4.2、微生物由来、東洋醸造社製)3U、
0.05mM還元型NAD、0.03%4−アミノアンチピリン、0.0
2%DAPS(N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメ
トキシアニリン、同仁化学社製)、0.25mMコール酸、5m
M塩化カルシウム、0.1%トリトンX-100を50mM HEPES緩
衝液(pH8.0)に溶解し10mlとする。
(2)血清中のレシチンコレステロールアシルトランス
フェラーゼ活性の測定 2本の試験管A、Bに各々血清検体0.2mlを分注し、
試験管Aにはコレステロール加水分解酵素(EC3.1.1.1
3、微生物由来、東洋醸造社製)1Uを添加した後37℃に
て15分間加温反応せしめ10%トリトンX-100を50μl加
えた。試験管Bには10%トリトンX-100を50μl加えた
後コレステロール加水分解酵素1U添加する。レシチンコ
レステロールアシルトランスフェラーゼはコレステロー
ル加水分解酵素により活性化され、10%トリトンX-100
によりその酵素反応を停止する。
別に新たな試験管を用意し、それぞれに予め37℃にて
予備加温しておいた反応試薬1mlと先に得た試験管Aま
たはBの試験液を8μlづつ分注し37℃にて10分間反応
せしめ試験管A′、B′を得た。両試験管に0.5%SDS2.
0mlを添加し反応を停止した。反応停止後、反応液の590
nmにおける吸光度を測定した。
定量に際しては、同様の操作で試験管AまたはBの試
験液8μlの代わりに蒸留水8μlを加えるブランク試
験と濃度既知のリゾレシチン水溶液(例えば150n mole/
ml)8μlを加えた標準液試験を行った。
血清中のレシチンコレステロールアシルトランスフェ
ラーゼ活性は以下の計算式を用いて算出できる。
Aa;試験管A′の試験液の吸光度 Ab;試験管B′の試験液の吸光度 Ac;リゾレシチン水溶液を用いた標準液試験の吸光度 Ad;蒸留水を用いたブランク試験の吸光度 S ;リゾレシチン標準液試験に用いたリゾレシチン水溶
液の濃度(n mole/ml) 60/15は15分間の活性値を1時間当りの活性に直すた
めの乗数である。
正常ヒト血清検体1〜3を上記操作により測定した
(表2)。
実施例5 羊水中のホスファチジルグリセロールの測定 (1)反応試薬の調製 試薬1 カタラーゼ(シグマ社製、牛肝臓由来)34Uを100mM P
IPES緩衝液(同仁化学研究所製、商品名(pH7.4))に
溶解し10mlとする。
試薬2 GPO 600U、G3PDH 68U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ 80U、ペルオキシダーゼ 90U、グリ
セロールキナーゼ(EC2.7.1.30、バチルス属由来、ベー
リンガー・マンハイム社製)10U、0.05mM還元型NAD、0.
06%4−アミノアンチピリン、0.04%ADOS(N−エチル
−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニ
シジン、同仁化学社製)、1mMコール酸、1mM ATP、4mM
塩化マグネシウム、4mM窒化ナトリウム、10mM塩化カル
シウム、0.2%トリトンX-100を50mM PIPES緩衝液(pH7.
5)に溶解し10mlとする。
試薬3 ホスホリパーゼD(ストレプトマイセス属由来、東洋
醸造社製)100Uを10mM Tris-HCl緩衝液(和光純薬社
製、(pH8.0))に溶解し2mlとする。
(2)羊水中のホスファチジルグリセロールの測定 2本の試験管A、Bに各々羊水検体50μlと試薬1を
0.5ml分注し、37℃にて予備加温する。さらにグリセロ
ール酸化酵素(アスペリギルス属由来)15Uを加え5分
間37℃にて反応せしめ内在性のグリセロールを消去し、
試薬2を0.5ml添加する。試験管Aには試薬3を20μl
添加し、試験管Bには蒸留水を20μl添加して37℃10分
間反応後0.5%SDS 2.0mlにて反応を停止する。それぞれ
の試験液の542nmにおける吸光度を測定した。
別に試薬1と試薬2をそれぞれ0.5mlずつ分注し37℃
にて予備加温した試験管を用意し、さらに濃度既知のG3
P水溶液(例えば10μM)50μlを加えた標準液試験と
蒸留水50μlを加えるブランク試験を行った。
羊水中のホスファチジルグリセロールの濃度は以下の
計算式を用いて算出できる。
Aa;試験管Aの試験液の吸光度 Ab;試験管Bの試験液の吸光度 Ac;G3P水溶液を用いた標準液試験の吸光度 Ad;蒸留水を用いたブランク試験の吸光度 S ;G3P標準液試験に用いたG3P水溶液の濃度(μM) 羊水検体1〜5を測定した結果を表3に示す。
実施例6 グリセロールキナーゼ活性の測定 (1)反応試薬の調製 GPO 200U、G3PDH 34U、12α−ヒドロキシステロイド
デヒドロゲナーゼ 50U、ペルオキシダーゼ 50U、0.05
mM還元型NAD、0.03%4−アミノアンチピリン、0.02%
フェノール、0.5mMコール酸、5mM塩化マグネシウム、2m
M ATP、1mMグリセロールを100mM PIPES緩衝液(pH7.5)
に溶解し10mlとする。
(2)グリセロールキナーゼ活性の測定 反応試薬1mlを分注した試験管を、予め37℃にて予備
加温し検体50μl加えた後37℃にて10分間(t)反応せ
しめる。0.5%SDS2.0mlを添加し反応を停止した後、反
応液の500nmにおける吸光度を測定した。
定量に際しては、同様の操作で検体50μlの代わりに
蒸留水50μlを加えるブランク試験を行った。さらに濃
度既知のG3P水溶液を用いて該酵素的サイクリング反応
のサイクリング率(kc)を測定した。本実験条件におい
ては8回/minであった。
グリセロールキナーゼ活性は以下の計算式を用いて算
出できる。なお、37℃において1分間に1μmoleのグリ
セロールをG3Pに変換せしめる酵素活性を1Uとする。
As;検体を添加した試験液の吸光度 AB;蒸留水を添加したブランク試験の試験液の吸光度 t ;反応時間(min) kc;該酵素的サイクリング反応のサイクリング率。本実
験条件においては8回/minであった。
12;4−アミノアンチピリンとフェノールを色原体として
生ずる呈色体のミリモル分子吸光係数(cm2/μmole)
(TOYO ENZYMES 1982 p10参照) 1/2;1moleの過酸化水素に対し1/2moleの上記呈色体を生
ずることを示す定数 2 ;定数 3.05/0.05は、検体原液を最終反応液となすことにお
ける検体原液の希釈倍率を示し、103はmlをlに直すた
めの乗数である。
活性の不明なグリセロールキナーゼ水溶液を蒸留水に
て原液、4/5、3/5、2/5、1/5、0と希釈し上記の方法で
測定したところ第12図に示すように良好な直線性を示し
た。
「発明の効果」 本サイクリング反応は、比色法により新たな機器を必
要とせず簡便にG3PまたはDHAPを測定できるものであ
る。酵素的サイクリング反応(I)により生成される過
酸化水素をペルオキシダーゼ発色系により定量性をもっ
て測定することは従来困難なことであったが、本発明に
よれば高感度であり、定量性も良好な測定法が得られ
た。実施例1と比較例1〜3を比較することにより本発
明の効果は証明されている。すなわち再生系を付さない
場合は、比較例1に示されるとおり、添加した還元型NA
Dの濃度を消費しつくすとそれ以上では定量性が得られ
ず、還元型NADを過剰に添加すれば、比較例2に示され
るとおり定量性が悪い。逆に還元型NADを添加しない場
合には、比較例3に示されるとおり感度が得られず、比
較例3に比べ実施例1は、数百倍の感度であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の方法により測定したグリセロール−
3−リン酸の検量線および比較例1〜3におけるグリセ
ロール−3−リン酸の検量線を示す。第2図〜第9図
は、各種色原体における還元型NADの濃度と吸光度(吸
光度の最大値を100%とした百分率)の関係を示したも
のである。第2図は、色原体が4−アミノアンチピリン
とフェノールである。第3図は、色原体が4−アミノア
ンチピリンとADPSである。第4図は、色原体が4−アミ
ノアンチピリンとHDAPSである。第5図は、色原体が4
−アミノアンチピリンとADOSである。第6図は、色原体
が4−アミノアンチピリンとDAOSである。第7図は、色
原体が4−アミノアンチピリンとHDAOSである。第8図
は、色原体が4−アミノアンチピリンとTOOSである。第
9図は、色原体がMMXである。第10図は血清中のグリセ
ロールの検量線を示す。第11図はリゾレシチンの検量線
を示す。第12図はグリセロールキナーゼにおける検量線
を示す。

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検液中のグリセロール−3−リン酸また
    はジヒドロキシアセトンリン酸を測定するに当たり酵素
    的サイクリング反応(I) (式中、G3Pはグリセロール−3−リン酸、DHAPはジヒ
    ドロキシアセトンリン酸、GPOはグリセロール−3−リ
    ン酸オキシダーゼ、G3PDHはグリセロール−3−リン酸
    デヒドロゲナーゼ、H2O2は過酸化水素、PODはペルオキ
    シダーゼ、Aは還元性物質、Bは酸化生成物を意味す
    る) を形成せしめるために、被検液中の成分と該酵素的サイ
    クリング反応(I)を形成する成分とを反応せしめ、該
    酵素的サイクリング反応により増幅生成される過酸化水
    素をペルオキシダーゼおよび色原体により呈色体となす
    ペルオキシダーゼ発色系(II)を有する高感度な比色定
    量法において、該酵素的サイクリング反応により生成す
    るNADを還元型NADに再生する再生系(III)を有し、か
    つ還元型NADの濃度を80%以上発色強度発現濃度とする
    ことを特徴とする高感度比色定量法。
  2. 【請求項2】ペルオキシダーゼが西洋ワサビペルオキシ
    ダーゼである特許請求の範囲第1項に記載の高感度比色
    定量法。
  3. 【請求項3】色原体が、 式: (式中、R1およびR4は各々水素原子、低級アルキル基ま
    たは低級アルコキシル基、R2およびR3は各々水素原子、
    低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、アセチル
    アミドを含む低級アルキル基、スルホン酸基を含む低級
    アルキル基またはスルホン酸基を含むヒドロキシ低級ア
    ルキル基を示す)で表わされるアニリン類の群より選ば
    れた一種と4−アミノアンチピリンを組み合わせたもの 式: (式中、Xは水素原子、ハロゲン原子、スルホン酸基、
    ニトロ基、低級アルキル基、低級アルコキシル基、低級
    アルキルカルボニル基、カルボキシル基または低級アル
    コキシカルボニル基、YおよびY′は各々水素原子、ハ
    ロゲン原子、スルホン酸基、ニトロ基、低級アルキル
    基、低級アルコキシル基、低級アルキルカルボニル基、
    カルバモイル基または低級アルコキシカルボニル基、Z
    およびZ′は各々水素原子、スルホン酸基、ニトロ基、
    低級アルキル基、低級アルコキシル基またはカルボキシ
    ル基を示す)で表わされるフェノール類の群より選ばれ
    た一種と4−アミノアンチピリンを組み合わせたもの、
    または 10−〔(3−メトキシカルバモイルメチル)フェニル
    メチルカルバモイル〕3,7−ジメチルアミノフェノチア
    ジンである特許請求の範囲第1項に記載の高感度比色定
    量法。
  4. 【請求項4】80%以上発色強度発現濃度が0.003〜0.13m
    Mである特許請求の範囲第1項に記載の高感度比色定量
    法。
  5. 【請求項5】アニリン類が、N−エチル−N−スルホプ
    ロピル−m−アニシジンであり、80%以上発色強度発現
    濃度が0.006〜0.07mMである特許請求の範囲第3項に記
    載の高感度比色定量法。
  6. 【請求項6】アニリン類が、N−スルホプロピル−3,5
    −ジメトキシアニリンであり、80%以上発色強度発現濃
    度が0.006〜0.1mMである特許請求の範囲第3項に記載の
    高感度比色定量法。
  7. 【請求項7】アニリン類が、N−エチル−N−(2−ヒ
    ドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジンであ
    り、80%以上発色強度発現濃度が0.007〜0.05mMである
    特許請求の範囲第3項に記載の高感度比色定量法。
  8. 【請求項8】アニリン類が、N−エチル−N−(2−ヒ
    ドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシア
    ニリンであり、80%以上発色強度発現濃度が0.01〜0.13
    mMである特許請求の範囲第3項に記載の高感度比色定量
    法。
  9. 【請求項9】アニリン類が、N−(2−ヒドロキシ−3
    −スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリンであ
    り、80%以上発色強度発現濃度が0.008〜0.11mMである
    特許請求の範囲第3項に記載の高感度比色定量法。
  10. 【請求項10】アニリン類が、N−エチル−N−(2−
    ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンで
    あり、80%以上発色強度発現濃度が0.005〜0.06mMであ
    る特許請求の範囲第3項に記載の高感度比色定量法。
  11. 【請求項11】フェノール類が、フェノールであり、80
    %以上発色強度発現濃度が0.008〜0.07mMである特許請
    求の範囲第3項に記載の高感度比色定量法。
  12. 【請求項12】色原体が10−〔(3−メトキシカルバモ
    イルメチル)フェニルメチルカルバモイル〕3,7−ジメ
    チルアミノフェノチアジンであり、80%以上発色強度発
    現濃度が0.003〜0.04mMである特許請求の範囲第1項に
    記載の高感度比色定量法。
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