JP2640577B2 - ニストース結晶およびその製造方法 - Google Patents

ニストース結晶およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ニストース結晶および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニストースはいわゆるフラクトオリゴ糖
の一種であり、シュークロースにフラクトースが2分子
結合した4糖類で、構造は、O−α−D−グルコピラノ
シル−(1→2)−O−β−D−フラクトフラノシル−
(1→2)−O−β−D−フラクトフラノシル−O−β
−D−(1→2)−フラクトフラノシルである。近年こ
のニストースを含んだフラクトオリゴ糖が、難う蝕性で
あることと、及び人体に消化されないビヒズス菌活性因
子であることにより注目されている。
【0003】従来、ニストースの結晶化については、有
機溶媒を用いた方法が提案されており、その方法は実験
室的規模でその収量も極少量にすぎないものであった。
例示すると下記のとおりである。 Agricultural Biological
Chemistry30,429〜433(1966) H.Tsuchida,S.Fujii and M.
Komoto Carbohydrate Reserch25,2
93〜297(1972) J.P.Kamerling,J.F.G.Vlieg
enthart,W.Kahl,A.Rosjkowa
ki and A.Zurowaka これらの文献には、ニストース結晶の収量は極少量しか
報告されておらず、その結晶の純度については明らかに
されていない。
【0004】一方、ニストースを含むフラクトオリゴ等
の水溶液からの粉末化については、特開昭60−149
596号公報に記載されているが、この方法はニストー
ス含有量が60%以上の、若干の1−ケストースやフラ
クトシルニストースなどのフラクトオリゴ糖が含まれる
糖液を固形分濃度75〜90%に濃縮し、結晶ニストー
スを含む種晶を添加分散させ、結晶固化、熱成を行った
のち、粉砕して粉末とするものである。このように、こ
の方法は若干の1−ケストースやフラクトシルニストー
スなどのフラクトオリゴ糖が含まれる糖液全体を固化、
粉砕するものであり、この粉末は、全体としては3〜5
糖類のフラクトオリゴ糖が混合したアモルファス粉末と
考えられるものであった。したがって、この方法は高純
度のニストース結晶を単離するものではなかった。
【0005】以上のように、従来、水溶液から直接、高
純度のニストースを結晶化する方法は未だ知られていな
かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記有
機溶媒を用いた結晶化の方法では、結晶化にメタノール
等の有機溶媒を多量に用いる必要があり、食品用途等の
工業的規模で大量生産をするためには、有機溶媒の処理
等の多大な困難が伴っていた。また、前記ニストースを
含むフラクトオリゴ糖の水溶液から製造したフラクトオ
リゴ糖混合品の粉末品は、純粋なニストース結晶を単離
したものではなく、しかも粉末であるがゆえに吸湿性が
依然としてあり、湿気を嫌う食品等、例えば、粉末甘味
料、インスタントスープ、粉末ジュース等の長期保存を
前提とする食品にそのままの形で使用することは不都合
であった。このような問題を解決するためには、吸湿性
の少ない高純度の結晶としなければならないが、前記3
〜5糖類の混合フラクトオリゴ糖溶液から結晶させるた
めには、まず、個々のフラクトオリゴ糖をカーボンセラ
イトカラム等を用いて分離せねばならないという煩わし
さがある。
【0007】そこで、本発明は、吸湿性のない高純度の
ニストース結晶を提供すること、およびニストースを含
む水溶液から高純度のニストース結晶を直接回収して製
造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のニストース結晶の製造方法は、(1)純度5
3%以上のニストースを含む水溶液(有機溶媒を含まな
い)を固形分濃度75%以上に加熱濃縮し、(2)得ら
れた濃縮液が50℃以上のときニストースの微細結晶を
添加し、(3)緩やかに攪拌し且つ温度を徐々に下降さ
せることにより結晶を成長させながら温度を20℃〜4
5℃に下げて、結晶粒径を0.1〜0.5mmとし、
(4)得られたニストース結晶を含む糖液を遠心分離に
より結晶を単離し、(5)単離された結晶を60℃〜8
0℃の温度条件下で乾燥することにより、自由流動性で
あって、純度95%〜99.9%の範囲内の任意の純度
のニストース結晶を得ることを特徴とする。 また本発明
のニストース結晶は前記製造方法により単離された結晶
粒径が0.1〜0.5mmの自由流動性の針状ニストー
ス結晶であることを特徴とする。 また本発明のニストー
ス結晶は、前記製造方法により単離された、融点125
℃〜126℃、比旋光度〔α〕d=9.4〜9.6(C
10 ,水)の純度99.8%以上の、結晶水として3分
子の水を有する、結晶粒径が0.1〜0.5mmの自由
流動性の針状ニストース結晶であることを特徴とする。
【0009】ところで、従来、糖類の結晶を得る方法と
して、有機溶媒を用いないで水溶液から直接結晶を得る
には、次に述べる、、、の方法があった。 イオン交換樹脂や活性炭セライト等によるクロマト
グラム法により、高純度に精製した糖類を調製し、その
糖の溶解度以上に濃縮し、自然に結晶核を発生させる方
法。但し、この方法では、結晶は大きく成長せず微細な
結晶になりやすく、吸湿性の少ない結晶が得られにく
い。さらに、糖液を高純度に精製しなければならないと
いう難点がある。
【0010】 一定の純度以上の糖液を、結晶化する
糖の溶解度以上に濃縮した時点で、その糖の微細結晶、
いわゆる種結晶を添加し、その後これに糖液を供給しつ
つ濃縮を続けながら、微細結晶を一定の大きさになるま
で成長させる方法。この方法を以後、煎糖法と呼ぶ。 一定の純度以上の糖液を、その糖の溶解度以上に濃
縮し、これに結晶化しようとする糖の微細結晶を添加
し、その後ゆるやかに攪拌しながら温度を除々に下げ、
温度による糖の溶解度差を利用して結晶を一定の大きさ
に成長させる方法。この方法を以後、助晶法と呼ぶ。
【0011】 とを組み合わせた方法。即ち、
の方法で結晶を成長させた後、ゆるやかに攪拌しながら
温度を除々に下げ、更に結晶を成長させる方法。この方
法は、工業的にシュークロース溶液からシュークロース
の結晶を得るのに広く採用され、助晶時間はシュークロ
ースの純度が低くなるほど長くなるのが通例である。そ
こで、本発明者等は、上記〜の結晶化の方法につい
て、ニストースを含む糖液からニストースの結晶を得る
方法を鋭意検討を進めた。その結果、上記の助晶法を
採用することにより、ニストースの含有量が40%程度
のかなり低い糖の水溶液でも、直接水溶液から、しかも
高い回収率でニストースの結晶を得ることを見出した。
【0012】次に、本発明で、ニストースの結晶化に上
記の助晶法を採用した点について述べる。ニストース
の各温度に対する溶解度を測定し、溶解度曲線を作成し
た。図1にニストースの溶解度曲線を示す。比較として
1−ケストースおよびシュークロースの溶解度曲線を併
記して示した。即ち、図1に示したとおり、シュークロ
ースや1−ケストースは、温度差による溶解度の差が比
較的小さいので、これらの糖の結晶による回収は、上記
の煎糖法か、の煎糖法と助晶法を組み合わせた方法
が有効であることがわかる。これに対し、ニストースの
場合は、図1に示したとおり、温度差による溶解度の差
がきわめて大きいことが判明した。そこで、ニストース
の結晶化には、上記の助晶法が有効な手段であること
に着目し、かかる知見に基づき効率的なニストース結晶
の回収条件について鋭意検討し、本発明を完成させた。
【0013】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
の原料となる、ニストースを含有する糖液は、公知の方
法、即ち、シュークロースに微生物から得られた酵素の
フラクトシルトランスフェラーゼを作用させて製造する
方法、を用いて製造した。この酵素反応により、シュー
クロースにフラクトースが1〜4分子結合した、いわゆ
るフラクトオリゴ糖である、1−ケストース、ニストー
スおよびフラクトシルニストースが生産されていた。こ
れらのニストースおよびその他の成分の具体的な製造方
法や分離精製法等については、例えば、特開昭58−1
62292号公報、特開昭59−95895号公報、特
開昭59−179100号公報、特開昭60−2739
5号公報、特開昭60−41497号公報、特開昭62
−14792号公報に詳しく記載されている。
【0014】上記の方法等で作られた、ニストースの含
有量が40%以上、好ましくは60%以上に調製された
糖液を濃縮し、一定の濃度に達した時点で温度を一定の
値に調整し、これにニストースの微細結晶を種結晶とし
て添加混合する。添加する微細結晶は、上記に記載し
た方法で作り、エタノールで希釈したものを使用する
か、或いは、ニストース結晶5gにエタノール100m
lの割合で混合し、これに直径5mmのガラス玉を加
え、ともに振とうさせ、粒径が0.005〜0.01m
mの微細結晶のけん濁液としたものを使用する。種結晶
として添加する量は、最終的に得る結晶の粒径により異
なるが、結晶の粒径を0.1〜0.5mmにするには、
上記のガラス玉を用いて作成したけん濁液の場合は、糖
液11に対し約10mlが好ましい。
【0015】種結晶を添加した糖液は、ゆるやかに攪拌
しながら一定の時間をかけ、一定の温度まで冷却しなが
ら結晶を成長させる。種結晶を添加するときの糖液の濃
度や温度、助晶終了時の温度や助晶時間は、作るニスト
ース結晶の大きさや糖液の純度によって異なるが、結晶
粒径を0.1〜0.5mmとする場合の好ましい結晶
化の条件の一例は、次の表1に示したとおりである。
【0016】
【表1】
【0017】助晶を終了したニストース結晶を含む糖液
を助晶終了時と同じ温度で遠心分離をする。分離された
結晶は、60〜80℃の温度条件下で乾燥し結晶ニスト
ースを得る。本法による回収率は、糖液の純度により異
なるが、糖液のニストース純度が45%のとき約50%
であり、純度が65%以上になると60〜70%であっ
た。本法によれば、結晶を分離した後のいわゆる振密の
純度が30%になるまで結晶の回収が可能であり、例え
ば、ニストースの純度が90%の組成物から結晶の回収
を始める場合は3回の回収が可能であり、その結果、総
回収率は90%以上となる。
【0018】得られる結晶の純度は、原料の糖液の純度
により異なるが、純度45%の糖液からは純度88〜9
2%の結晶が得られ、純度60〜80%の糖液からは純
度97〜99%の結晶が得られ、純度80%以上の糖液
からは98%以上の純度の結晶が得られた。上記の方法
で得られた結晶は、1分子のニストースに対し3分子の
結晶水を有する。この結晶水の存在の確認は次の実験に
よりおこなった。即ち、本法により製造した純度99%
以上の結晶をあらかじめ60〜65℃で一昼夜乾燥させ
た後、120℃で4時間乾燥させると、乾燥減量が7.
48%となった。この時のニストースの性状は、結晶表
面の光沢がなくなり、吸湿性を有するようになってい
た。更にカールフィッシャー法で水分を測定したとこ
ろ、結晶の水分が7.84%であった。以上の実験結果
から、上記の方法で得られた結晶は、3分子の結晶水を
有することを確認した。
【0019】この結晶がニストースであることは、0.
01N塩酸で加水分解した時に、フラクトーストグルコ
ースが3:1の割合で生じることと、高速液体クロマト
グラムにおける保持時間および13C−N.m.rスペク
トルで確認した。本法で製造したニストースの結晶は、
いずれの純度の結晶も、6カ月間の外気にさらしても吸
湿せず安定であった。また、不純物としては、主として
1−ケストースであり、痕跡程度のシュークロースとフ
ラクトシルニストースであるので、食品に添加使用が可
能である。さらに、高純度、例えば、純度99.5%以
上の結晶品については医薬品の増量剤として使用可能で
あり、また、4糖類の高純度標品とすることができる。
【0020】次に得られた結晶の理化学的性質を表2に
示す。
【0021】
【表2】
【0022】
【実施例】以下の各実施例及び各比較例において、糖液
およびニストース結晶の純度は高速液体クロマトグラム
により分析した。使用した分離カラムは、ウォーターズ
社製のマイクロボンダスフェア5μNHカラムで、溶
媒としてはアセトニトリル:水=75:25の混合液を
用いた。
【0023】〔比較例1〕 明治製菓(株)製の市販されているフラクトオリゴ糖
液、商品名:明治メイオリゴP(液体)をローターリー
エバポレータで固形分濃度80%に濃縮した。なお、上
記糖液の成分の固形分濃度(Bx)は76%であり、固
形分当たりの糖の含有量は以下のとおりであった。 51の容器に、前記の80%に濃縮した糖液を5kg取
り、温度を50℃とし、これにニストースの微細結晶け
ん濁液50mlを添加した。この微細結晶は、ニストー
ス結晶5gにエタノール100mlの割合で混合し、こ
れに直径5mmのガラス玉を適量加え、結晶の粒径が
0.005〜0.01mm程度になるまでよく振とうし
て作成したものを使用した。
【0024】次に、ゆるやかに攪拌しながら50℃に5
日間保ち、次に、40℃に液温を下げ5日間保ち、さら
に、30℃とし5日間保った。さらに液温を室温(20
〜25℃)とし、3日間保った。この間結晶は、0.1
〜0.2mm(長さ)に成長した。次に、これを遠心分
離で結晶と振り蜜に分離し、得られた結晶を60〜80
℃で乾燥し、ニストース結晶を得た。
【0025】これまでの操作を同時に5反復行い、得ら
れた結晶の総重量は5475gであり、純度は88〜9
2%で平均90.2%であった。また、ニストースの回
収率は48〜53%で平均50.2%であった。なお、
回収率の計算は、ニストース結晶が3分子の結晶水を有
し、結晶水の割合は理論的に7.5%であることから次
式により計算した。
【0026】回収率(%)=結晶に含まれるニストース
量÷糖液に含まれるニストース量×100 結晶に含まれるニストース量=結晶収量×0.925×
Q÷(92.5+0.075×Q) Q;結晶の純度 一方、結晶から分離された振り蜜のニストース純度は3
0%であり、1−ケストース51.9%、フラクトシル
ニストース12.6%、シュークロース他が5.5%で
あった。また、結晶に含まれている不純物の8割が1−
ケストースであり、残りはフラクトシルニストースとシ
ュークロースであった。
【0027】前記ニストース純度30%を含む振り蜜か
ら同様の操作で助晶法によるニストースの回収を行った
が結晶はできなかった。また、メタノールを用いて結晶
化を試みたができなかった。
【0028】〔実施例1〕 前記比較例1 で得られた結晶1kgを水で溶解し、ロー
タリーエバポレータを用い減圧下で固形分濃度を75〜
80%に濃縮し、次に常圧に戻し液温を80℃とした。
これに前記比較例1で用いた微細ニストース結晶けん濁
液10mlを加え、ゆるやかにロータリーエバポレータ
を回転させながら、10時間かけて経過時間に対し直線
的に温度を下げ、液温を20゜Cまで下げた。この間、
結晶は、長さでほぼ0.2〜0.5mmまで成長した。
この後、前記比較例1と同じ条件で遠心分離をし、乾燥
し、ニストース結晶661gを得た。この時のニストー
ス純度は99.7%で、ニストース回収率は71.6%
であった。
【0029】また、生成された振り蜜のニストース純度
は71.5%で、固形分濃度は68%であった。この液
400gから同様の方法でニストースの結晶を回収し
た。ただし、助晶時間は24時間とした。この時得られ
た結晶は145gであり、純度は97.7%であった。
また、ニストースの回収率は67.7%であり、振り蜜
の純度は45.5%であった。
【0030】〔実施例2〕 前記比較例1 で得た純度90.2%のニストース結晶を
水で溶解した後、ロータリーエバポレータを用い減圧下
で固形分濃度を75〜80゜に濃縮し、次に、常圧に戻
し、液温を80℃とした。この濃縮液に前記比較例1
用いた微細ニストース結晶けん濁液10mlを加え、ロ
ータリーエバポレータをゆるやかに回転させながら8時
間かけ、45℃まで経過時間に対し直線的に温度を下げ
た。成長した結晶を前記比較例1や前記実施例1と同じ
条件で遠心分離して回収し、この結晶を乾燥した。この
操作を3回行った。
【0031】得られた振り蜜の純度は77.9%であ
り、これからさらに、上記と同じ方法で2段目の結晶回
収を行った。ただし、助晶終了時の温度は40℃とし、
助晶時間は20時間とした。このとき得られた振り蜜の
純度は53.0%であった。さらに、この振り蜜から3
段目の結晶回収を同じ方法で行った。ただし、このとき
の助晶終了時の温度は室温(20〜30℃)とし、助晶
時間は48時間とした。
【0032】このようにして得られた結晶の純度、結晶
の量およびニストースの回収率について得られた結果を
次の表3に示した。結果として、純度90.2%のニス
トース糖液からの総回収率は93%で最終振り蜜の純度
は30.8%となった。
【0033】
【表3】
【0034】上記表3の純度99.8%ニストース結晶
のm.pは125〜126℃、比旋光度〔α〕D 20
9.4〜9.6(C=10,水)であった。また、13
−N.m.rを図2に、ニストース結晶の顕微鏡写真を
図3に示す。倍率を40倍で撮ったものである。この結
晶写真から分かるように、ニストース結晶は針状結晶で
ある。
【0035】〔実施例3〕 前記比較例1 で用いた明治メイオリゴP(商品名,明治
製菓(株)製)のニストース含有糖液のニストース含有
量をイオン交換クロマトグラムで高め、ニストース結晶
の回収を行った。クロマト分離剤としてイオン交換樹脂
Dowex99(DVB=6%、粒径340±20μ
m、Na型)1000mlを内径4.1cm、高さ80
cmのカラムに充填した。カラム内の温度を85℃と
し、固形分濃度50%、温度85℃に調整したメイオリ
ゴP液100mlを500ml/時間の流速で通し、引
き続き85℃の温水を500ml/時間の流速で700
mlを通し分離した。
【0036】この方法によると、糖類はフラクトシルニ
ストース、ニストース、1−ケストース、シュークロー
ス、グルコースの順に溶出してきた。温水を通し始めて
から、溶出液量が210〜220mlの時点で糖の溶出
が始まり、250ml時点で固形分濃度が2%に達し、
410〜420mlで固形分濃度が最大(24.5〜2
5.5%)となり、680mlの時点で糖の溶出が終わ
った。温水を通し始めてからの溶出液量が250mlの
時点から400mlの時点まで回収した。回収液の濃度
は14〜15%で、これを固形分濃度80%まで濃縮し
た。
【0037】得られた濃縮液の糖組成は、ニストース5
3.5%、1−ケストース29.1%、フラクトシルニ
ストース14.4%、シュークロース他が3.0%であ
り、ニストースの回収率は、クロマト分画に供した明治
メイオリゴP(商品名,明治製菓(株)製)の全ニスト
ースに対し、59%であった。上記の濃縮液1kgを用
いて実施例2と同じ方法でニストースの結晶化を行っ
た。ただし、助晶終了温度を40℃とし助晶時間は48
時間とした。得られた結晶の重量は300gで純度9
6.5%、ニストース回収率は63%であった。また、
振り蜜のニストース純度は29.9%であった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果が奏される。 (1)本発明のニストース結晶は吸湿性がないので湿気
を嫌う食品の添加物として利用可能である。 (2)純度99.5%以上の結晶品については医薬品の
増量剤として使用可能であり、また、4糖類の高純度標
品とすることができる。 (3)ニストースの含有率が53%程度の純度の低い水
溶液からも純度95%以上のニストース結晶を得ること
ができ、且つ、1回の結晶化での結晶回収率が50〜7
0%と、きわめて高いことから、効果的なニストース結
晶の回収ができる。 (4)純度95%以上の高純度のニストースの結晶の大
量生産が可能である。 (5)本発明の製造方法によって、純度95%〜99.
9%の範囲内の任意の純度のニストース結晶が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニストースの溶解度曲線を示す。
【図2】ニストースの13C−N.m.rを示す。
【図3】ニストース結晶構造を示す顕微鏡写真である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)純度53%以上のニストースを含
    む水溶液(有機溶媒を含まない)を固形分濃度75%以
    上に加熱濃縮し、 (2)得られた濃縮液が50℃以上のときニストースの
    微細結晶を添加し、 (3)緩やかに攪拌し且つ温度を徐々に下降させること
    により結晶を成長させながら温度を20℃〜45℃に下
    げて、結晶粒径を0.1〜0.5mmとし、 (4)得られたニストース結晶を含む糖液を遠心分離に
    より結晶を単離し、 (5) 単離された結晶を60℃〜80℃の温度条件下
    で乾燥することにより、自由流動性であって、純度95
    %〜99.9%の範囲内の任意の純度のニストース結晶
    を得ることを特徴とするニストース結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法により単離され
    た結晶粒径が0.1〜0.5mmの自由流動性の針状ニ
    ストース結晶。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の製造方法により単離され
    た、融点125℃〜126℃、比旋光度〔α〕 =9.
    4〜9.6(C 10 ,水)の純度99.8%以上の、結
    晶水として3分子の水を有する、結晶粒径が0.1〜
    0.5mmの自由流動性の針状ニストース結晶。
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