JP2636966B2 - カッター付下水管用水中ポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、繊維状の異物が混入す
る汚水、汚物移送用の横型片吸込水中ポンプの改良に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、水中ポンプはポンプ全体をモータ
ごと液中につけて使用するもので、土木建設工事現場な
どにおいて、発生する泥水や砂、礫混じりの水の送排水
や、下水管内の排水を目的として横軸片吸込水中ポンプ
が使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような横
軸片吸込水中ポンプはその使用場所が、下水管内や、下
水処理場等の処理水中に繊維状の異物が混入する汚水、
汚物の移送用として使用する場合は、汚水中に繊維性固
形物、例えば、手袋、布、下着類等がしばしば混入して
おり、これらがポンプに詰まったり、インペラに噛み込
み、スムーズな排出及び回転を阻害すると共に、抵抗が
増大してポンプの回転不能や損壊、モータの焼付けを起
こす等、高価なポンプが使用不能になるケースが多々あ
るばかりでなく、少しの異物の噛み込みでも停止するな
ど、メンテナンス、作業取扱い上の面でも問題があり、
また良好な運転状態を長期に維持することができない等
の問題点があった。

【０００４】本発明は、これらの問題点を解消するた
め、繊維状の異物が混入する汚水、汚物が吸込まれると
き、その繊維性固形物が通過し易いよう大きな通路断面
積を保有せしめると共に、その繊維性固形物が切断され
スムーズに送排水できて、異物が混入する下水処理場、
し尿処理場等の汚水、汚物移送に適したカッター付下水
管用水中ポンプを提供することを目的とするものであ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、吸込力を増大させるために、インぺラ
として、駆動軸に取り付けるボスの後部に円板を固定
し、この円板の前面にボス部側から外側に向かうほど漸
次高さを低くした複数枚の渦形インペラを設けものを使
用し、このインペラとこれに対向するサクションカバー
との２位置において切断機構を設け、夾雑物などの切断
を確実に行うようにしたものである。以下、本発明を図
１ないし図６のカッター付下水管用水中ポンプの実施例
に示す符号を用いて説明すると、本発明は、ケーシング
５の前面にインペラ８に対向してサクションカバー６が
配置された横軸片吸込水中ポンプにおいて、インペラ８
は、図４ないし図６に示すごとく、駆動軸４に取り付け
るボス１８の後部に円板２５を固定し、この円板２５の
前面にボス部側から外側に向かうほど漸次高さを低くし
た複数枚の渦形インペラを設け、この渦形インペラの中
間部に段差を形成して、この段差部（段縁２１ａで示さ
れる部分）をサクションカバー６の中央吸込穴１１に嵌
合する嵌合部とし、これよりも前方側をサクションカバ
ー６の吸込穴１１よりも前方へ突出する螺旋翼２１と
し、嵌合部よりも後方側を吐出口９に揚水するための揚
水インペラ２０とし、この揚水インペラ２０及び嵌合部
２１ａの側縁に切刃（側縁刃１９及び切刃２２に相当）
を形成している。一方、サクションカバー６は、揚水イ
ンペラ２０に対向する面をその中央吸込穴１１側に向か
って円すい面１０とし、吸込穴１１の内周数箇所に円す
い面１０の外方向へ広がる円弧形の切り欠き１３を形成
し、吸込穴１１及び切り欠き１３の全内縁に、前記嵌合
部の切刃２２とで夾雑物を挟持切断するための内刃１４
を形成し、前記円すい面１０に、夾雑物介入用の凹所１
５を形成すると共に、その内周縁に前記揚水インペラ２
０の切刃１９とで凹所１５内の夾雑物を切断するための
切刃（渦形刃１６に相当）を形成したものである。さら
に、前記円弧形の切り欠き１３を吸込穴１１の内周数箇
所の各箇所で２個隣接させてＷ形に設け、そのＷ形中央
部１３ａも吸込穴１１の内縁と同一軌跡面に臨ませ、吸
込穴１１と切り欠き１３の境界部１３ｂ及びＷ形中央部
１３ａにおいても切刃１４を形成することができる。

【０００６】

【作用】この水中ポンプは、下水管内の清掃、交換敷設
や下水処理場において、その汚水中に沈めて、モータ２
を駆動させると、汚水は一体構成の切断インペラ２３
（段差部及び螺旋翼２１に相当）及び揚水インペラ２０
とからなるインペラ８の回転により、吸込口からケーシ
ング５内の渦室１２に吸込まれ、インペラ８の回転によ
り渦室１２の周囲を経て吐出口９から、これに適宜連結
した排水管を経て所定の位置に送排水される。このと
き、その汚水中に繊維性の固形物、異物が混入している
と、それらの繊維性の固形物は切断インペラ２３の螺旋
翼２１により先端から巻込みながら吸込まれる。この
際、大きな繊維性の固形物であっても、吸込穴１１に設
けた円弧形の切り欠き１３があるから、螺旋翼２１と切
り欠き１３で作る空間内に吸い込まれ、さらに、嵌合部
２１ａの切刃２２と吸込穴１１及び切り欠き１３の全内
縁の内刃１４とで挟持切断されることになる。なお、こ
の切り欠き１３が、吸込穴１１の各箇所で２個隣接させ
てＷ形に設け、そのＷ形中央部１３ａも吸込穴１１の内
縁と同一軌跡面に臨ませれば、吸込穴１１と切り欠き１
３の境界部１３ｂ及びＷ形中央部１３ａにおいても嵌合
部の切刃２２との挟持作用で切断が可能となり、より確
実に固形物の切断が促進される。さらに、サクションカ
バー６の内面の円すい面１０には、凹所１５の内周縁に
は切刃１６が形成されているから、この円すい面１０に
接して回転する揚水インペラ２０の前側の切刃１９との
噛み合いによって、更に繊維性の固形物、夾雑物が細か
く切断されて汚水と共に吐出口９に排出することができ
る。この場合、嵌合部の切刃２２と吸込穴周縁の内刃１
４とで長さ方向が駆動軸４と直交する方向の繊維性固形
物の切断が可能となり、さらに、揚水インペラ２０の側
縁刃１９と凹所１５の切刃１６とで繊維の長さ方向が駆
動軸４の軸方向の繊維性固形物の切断が可能となり、い
ずれの向きから吸い込まれた繊維性固形物であっても、
より確実に切断することができることになる。なお、３
個の凹所１５により、巴形の凹所１５を形成し、さら
に、この凹所の 吸込穴１１側に沿って凹溝１５ａを形成
すれば、大きな夾雑物であっても凹所及びその凹溝に介
入させて流線形の凹所の端部から吐出口側に容易に排出
することができることになる。また、揚水インペラ２０
の外周部の高さを大にし、かつインペラ８の外側の渦室
１２の通路断面積を大にすれば、夾雑物がこの渦室１２
で詰まることなくスムーズに排出できることになる。

【０００７】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。

【０００８】図１において、１は片吸込横型水中ポンプ
におけるモータ２を内蔵した外箱、３は軸封部３ａを備
えたメカニカルシール装填室、４は内蔵したモータ軸直
結の駆動軸、５は水中ポンプのケーシング、６はケーシ
ング５の前面に取付けた吸込口７と連結するサクション
カバー、８は駆動軸４に取付けたインペラ、９はケーシ
ング５の吐出口、１２は渦室である。２７はメカニカル
シール装填室３とインペラ８の後端部の間の駆動軸４に
取付けた、軸封水機構に向かって羽根を設けた負圧イン
ペラで、軸封水機構側への軸漏れを抑止するものであ
る。

【０００９】また、前記の吐出口９には、配管取付口２
８を設け、これにモータ軸と平行して適宜の排出管２９
を連結して汚水、汚物を所要場所に送排出するようにし
たものである。３０はモータ内蔵の外箱１及びメカニカ
ルシール装填室３の外側における下周の両側に取付けた
移動用キャスターで、管内径に合致すべく角度で取付け
狭小なる管内での移動がスムーズにできるように設け
る。

【００１０】図２〜図３において、前記サクションカバ
ー６は、インペラ８に対向する内面を吸込口７側に向っ
て中央部が凹んだ円すい面１０となし、その中央に汚
水、汚物に混入する繊維性の固形物の通過する比較的径
の大きい吸込穴１１を設け、また、サクションカバー６
の形状と合せて汚水、汚物に混入する繊維性の固形物の
通過を容易にするための通過断面積の大きい渦室１２を
形成する。吸込穴１１の内縁数箇所に半円のＷ形の切り
欠き１３を設け、それら吸込穴１１及び切り欠き１３の
全周内縁に沿う角部を内刃１４に形成すると共に、その
周囲の円すい面１０には、３方に内から外に広がる巴形
をなす流線形の凹所１５とその凹所の内周部に沿って穿
設した細い凹溝１５ａを介して周囲に鋭角な渦形刃１６
を形成する。 サクションカバー６は、その前面に取付
けられる吸込口７の取付けボルト穴１７を有してる。

【００１１】図４、図５及び図６において、前記インペ
ラ８は、駆動軸４に取付けるボス１８と一体の円板２５
の前面に、ボス１８の周囲より前記円すい面１０に接す
る側縁刃１９を有して渦形に湾曲された数枚の揚水イン
ペラ２０と、その各揚水インペラ２０の前縁中部からボ
ス１８にかけて段２１ａを介して前記吸込穴１１内に回
転可能に嵌入される螺旋翼２１と、その前記吸込孔穴１
１に密接回転する外周部に切刃２２を設けて一体形成さ
せた切断インペラ２３とからなり、吸込穴１１の周囲の
内刃１４と切刃２２とで汚水、汚物に混入して吸込まれ
てくる繊維性固形物を挟切断するように構成してある。
前記ボス１８の先端周囲には軸方向に凹凸を形成して攪
拌羽根２４を設け、挟雑物を引掛け攪拌して引き込み易
いようにしてある。円板２５の背面には、中央から３方
に薄い羽根２６をボス１８の周囲に形成してある。

【００１２】なお、この水中ポンプにおいて、管内付設
の送水管に接続してモータ２を冷却する送水、送液（ベ
ントナイト等）用の冷却箱をモータ内蔵の外箱１の斜め
上側方に設置し、送水、送液により冷却するモータ冷却
システムを採用することができる。このようにすること
によって、下水管内を適宜に移動しながら作業するモー
タ冷却機構を備えた水中ポンプを小形化できる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００１４】本発明の水中ポンプは、ポンプに混入した
繊維性の固形物を、インペラの先端から巻込みながら吸
込み、鋭利で耐久性の優れたインペラと、サクションカ
バーに構成した吸込穴周囲の内刃と渦形刃らによるカッ
ターブレードで固形物を細かに切断して、ポンプや配管
内の閉塞を確実、容易に防止し得る。

【００１５】更に、渦室は固形物が通過しやすいように
大きな通路断面積を有し、且つ汚水、汚物に混入する繊
維状の異物が簡単容易に切断されるので、ポンプ、モー
タにかかる運転負荷が著しく軽減できると共に、スムー
ズに排出し得るので、ポンプ及び配管内の詰まりや故障
の少ない高効率、耐久性に優れた強靱な水中ポンプを提
供でき、下水処理場、し尿処理場の汚水、汚物の移送や
畜産し尿の排出、移送、その他類似の用途に幅広く使用
可能であり、繊維状の異物の混入する汚水、汚物移送用
の大水量型水中ポンプとして最適であり、また、高価な
ポンプ本体に比してインペラ及びサクションカバーは取
外し、交換容易なため、メンテナンスも容易である等の
効果がある。

【００１６】この水中ポンプは、前記の使用に限定され
るものではなく、台風時の河川の異常増水、氾濫などに
よる水没現場でも使用できる水中、陸上兼用ポンプとし
て使用できることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のカッター付下水管用水中ポンプ全体を
示す正面図で一部を切欠する。

【図２】本発明に使用したサクションカバーの内側から
見た側面図。

【図３】図２の同断面図。

【図４】本発明に使用するインペラの斜視図。

【図５】インペラの側面図。

【図６】インヘラの正面図。 ２ モータ ４ 駆動軸 ５ ケーシング ６ サクションカバー ７ 吸込口 ８ インペラ ９ 吐出口 １０ 円すい面 １１ 吸込穴 １２ 渦室 １３ 切り欠き １４ 内刃 １５ 巴形の凹所 １５ 細い凹溝 １６ 渦形刃 １８ ボス １９ 側縁刃 ２０ 揚水インペラ ２１ 螺旋翼 ２２ 切刃 ２３ 切断インペラ。 ２４ 攪拌羽根 ２５ 円板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭50−122002（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭51−120504（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングの前面にインペラに対向して
   サクションカバーが配置された横軸片吸込水中ポンプに
   おいて、 前記インペラは、駆動軸に取り付けるボスの後部に円板
   を固定し、この円板の前面にボス部側から外側に向かう
   ほど漸次高さを低くした複数枚の渦形インペラを設け、
   この渦形インペラの中間部に段差を形成して、この段差
   部をサクションカバーの中央吸込穴に嵌合する嵌合部と
   し、これよりも前方側をサクションカバーの吸込穴より
   も前方へ突出する螺旋翼とし、嵌合部よりも後方側を吐
   出口に揚水するための揚水インペラとし、この揚水イン
   ペラ及び嵌合部の側縁に切刃を形成し 、前記サクションカバーは、揚水インペラに対向する面を
   その中央吸込穴側に向かって円すい面とし、吸込穴の内
   周数箇所に円すい面の外方向へ広がる円弧形の切り欠き
   を形成し、吸込穴及び切り欠きの全内縁に、前記嵌合部
   の切刃とで夾雑物を挟持切断するための内刃を形成し、
   前記円すい面に、夾雑物介入用の凹所を形成すると共
   に、その内周縁に前記揚水インペラの切刃とで凹所内の
   夾雑物を切断するための切刃を形成したこと を特徴とす
   るカッター付下水管用水中ポンプ。
2. 【請求項２】 前記円弧形の切り欠きを吸込穴の内周数
   箇所の各箇所で２個隣接させてＷ形に設け、そのＷ形中
   央部も吸込穴の内縁と同一軌跡面に臨ませ、吸込穴と切
   り欠きの境界部及びＷ形中央部においても切刃を形成し
   た請求項１記載のカッター付下水管用水中ポンプ。