JP2636577B2 - 窒化チタン膜の形成方法 - Google Patents

窒化チタン膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば基体の耐摩耗
性向上、基体の装飾性向上等に用いられる窒化チタン
(TiN)膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶性の良好な窒化チタン膜(典型的に
は薄膜)は、当該膜が硬質なことにより、金属、ガラ
ス、樹脂等の基体の耐摩耗性を改善し、また金色を呈す
ることにより、様々な装飾用として用いること等に適し
ている。
【0003】これまで、各種基体の耐摩耗性を向上させ
るため、当該基体上に硬質の窒化チタン薄膜を成膜する
手法が幾つか提案されている。例えば、チタン元素を含
む原料ガスと窒素元素を含む原料ガスを、高温度下で反
応させて窒化チタン薄膜を形成する化学的蒸着法(CV
D法)があるが、これは基体を高温の条件にさらすた
め、その種類が限定されるという欠点がある。
【0004】一方、低温下で密着強度の高い窒化チタン
薄膜を得る手法として、真空蒸着とイオン照射を併用す
る手法がある。これは、基体にチタンの真空蒸着を行う
のと同時に窒素イオンを照射する手法であり、この手法
によれば、基体を特に加熱しなくても、基体上には窒化
チタン薄膜が形成され、かつ、蒸着チタン原子が照射イ
オンと衝突することによって基体内に押し込まれ、その
結果、基体の構成原子と蒸着原子およびイオンとの混合
層が、基体と薄膜との界面付近に形成され、基体に対す
る密着強度の大きな薄膜が形成されるという利点があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記真空蒸
着とイオン照射を併用する手法においては、硬質の窒化
チタン薄膜が得られるものの、未だその理由が明確にさ
れてはいないが、薄膜が金色を呈しない場合が多いとい
う問題がある。また、イオン照射によって基体に生成さ
れる欠陥が多くなり、基体の強度が劣化したり、あるい
は基体の温度が上昇し、結果として基体に熱的な損傷を
与えることがあるという問題もある。
【0006】そこでこの発明は、硬度が高く、金色を呈
しており、かつ基体に対する密着強度の大きい窒化チタ
ン膜を、基体に熱的損傷を与えることなく形成する方法
を提供することを主たる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の窒化チタン膜の形成方法は、真空容器内
で基体に対して、チタンの蒸着と、イオン源に窒素ガス
を導入して得られる窒素イオンの照射とを行って、当該
基体の表面に窒化チタン膜を形成する方法において、前
記基体に照射する窒素イオンのエネルギーを20KeV
以下とし、前記基体に到達するチタン原子の個数と窒素
イオンの個数比(Ti/N)を0.7以上2.0以下と
し、かつ、真空容器内の基体の成膜面に入射するイオン
化されていない窒素の入射頻度Zを、当該真空容器内の
窒素ガスの圧力をPtorrとして、 Z=3.535×1022×P/√(MT) 〔個/s・cm〕 と定義した場合(Mは窒素分子の分子量、Tは基体の温
度〔K〕)、この入射頻度Zが、3.9×10 15 ≦Z
2×1016 個/s・cm になるように成膜中
の真空容器内の圧力を調整して成膜を行うことを特徴と
する。
【0008】
【作用】基体に照射する窒素イオンのエネルギーが20
KeVより大きい場合は、照射イオンによって基体にも
たらされる欠陥が多くなり、基体の強度劣化が生じ、ま
た基体に与えられる熱が過大になり、熱的な損傷が生み
出される。
【0009】基体に到達するチタン原子の個数と窒素イ
オンの個数比(Ti /N)が0.7より小さい場合に
は、イオンが膜に与えるダメージが過大になり、また、
膜内の未結合の窒素が膜の色および硬度に悪影響を及ぼ
す。また、当該個数比が2.0より大きい場合には、膜
内の窒素と結合しないチタンが過剰になり、同じく膜の
色および硬度に悪影響を及ぼす。
【0010】また、上記入射頻度Zが2×1016個/
s・cmより大きい場合は、イオン化されていない窒
素ガスと蒸発チタンとの結合が無視できなくなり、膜の
硬度および金色の発色に悪影響を及ぼす。入射頻度Zが
3.9×10 15 個/s・cm より小さい場合は、イ
オン源内に導入することのできる窒素ガスの量が少なく
なり過ぎるので、窒素イオンの照射量が少なくなり過ぎ
て成膜に要する時間が多大になったり、窒素イオンが安
定して照射されなくなったりする。
【0011】
【実施例】図1は、この発明に係る窒化チタン膜の形成
方法を実施する装置の一例を示す概略図である。
【0012】真空容器(図示省略)内に、基体4を保持
するホルダ2が設けられており、それに向けて蒸発源8
およびイオン源14が配置されている。またホルダ2の
近傍には、この例では計測・制御用に膜厚モニタ12お
よびイオン電流モニタ18が配置されている。
【0013】窒化チタン薄膜を形成するには、所望の基
体4をホルダ2に取り付け、真空容器内を図示しない真
空排気装置によって例えば5×10-6torr以下の圧
力に保持する。この際、真空容器内の圧力が5×10-6
torrより大きい場合は、真空容器内に残留する酸素
ガスが形成される薄膜内に取り込まれ、その結果、窒化
チタン薄膜の一部が酸化され、薄膜の硬度が低下するの
で好ましくない。
【0014】その後、蒸発源8内に収納したチタン元素
を含有する蒸発材料9を加熱・気化することによってチ
タン10が蒸発され、このチタン10が基体4上に真空
蒸着される。この際、チタン元素を含有する蒸発材料9
としては、高純度のチタンが好ましく、そうでない場合
は、膜内に不純物が取り込まれ、膜の色および硬度を好
ましくないものにする。また、蒸発源8としては、電子
ビームあるいは高周波等で蒸発材料を加熱する方式や、
その他の方式、例えばスパッタリングを利用する方式の
ものでも良く、その方式は特定のものに限定されない。
【0015】更に、イオン源14内に窒素ガス15が導
入され、イオン源14内においてイオン化され、それが
加速されて窒素イオン16として基体4に照射される工
程が、上記真空蒸着と同時にまたは交互に行われる。こ
のような窒素イオン16の照射と上記チタン10の真空
蒸着とを併用することにより、基体4の表面に窒化チタ
ン薄膜6が形成される。この際、イオン源14は、例え
ばプラズマ閉じ込めにカスプ磁場を用いるバケット型イ
オン源や、あるいはカウフマン型のイオン源等任意のも
のが用いられる。
【0016】上記成膜の際、基体4に照射する窒素イオ
ン16のエネルギーは、0eVより大きく20KeV以
下にするのが好ましい。窒素イオン16のエネルギーが
20KeVより大きい場合には、照射窒素イオン16に
よって基体4にもたらされる欠陥が多くなり、基体4の
強度劣化が生じ、また基体4に与えられる熱が過大にな
り、熱的な損傷が生み出されるので好ましくない。
【0017】窒素イオン16の基体4に対する入射角
は、基体4の成膜面に立てた法線に対して0°〜90°
までで任意の角度が用いられる。
【0018】そして、成膜の際に、基体4に到達する蒸
着チタン原子の個数と窒素イオンの個数比(以下、Ti
/N輸送比という)は0.7以上2.0以下にするのが
好ましい。このTi /N輸送比が0.7より小さい場合
は、窒素イオン16が膜に与えるダメージが過大にな
り、また膜内の未結合の窒素が膜の色および硬度に悪影
響を及ぼす。また、Ti /N輸送比が2.0より大きい
場合には、膜内の窒素と結合しないチタンが過剰にな
り、同じく膜の色および硬度に悪影響を及ぼす。
【0019】このTi /N輸送比の調整に関しては、例
えば、水晶振動子等から成る膜厚モニタ12を用いて蒸
発源8からのチタン10の蒸発量を制御し、かつファラ
デーカップ等から成るイオン電流モニタ18を用いてイ
オン源14から引き出される窒素イオン16のイオン電
流を制御することによって行うことができる。
【0020】この発明では、更に次の点を考慮して、従
来解明されなかった、金色を呈する窒化チタン薄膜の形
成を可能にすることを特徴とする。
【0021】即ち、イオン源14内に窒素ガス15を導
入することによって、真空容器内に、当該イオン源14
から導入窒素ガス15の一部が不可避的に流出する。そ
れによって基体4の成膜面の周りは、イオン化されてい
ない窒素ガスで満たされることになる。そして、このイ
オン化されていない窒素ガスは、蒸発源8より蒸発され
たチタン原子と結合する。本来、この発明の成膜方法
は、蒸発チタン原子とイオン化されて所定のエネルギー
に加速された窒素イオンとの結合によって基体4の表面
に窒化チタン薄膜6を形成しようとするものであり、蒸
発チタン原子と照射イオンとの衝突によってチタン原子
が励起され、励起チタン原子と窒素イオンとの結合によ
って、硬質で金色を呈する薄膜を形成するのがねらいで
ある。そのため、基体4上に蒸発チタン10が到達した
後、あるいは到達中に、それが基体4の周りにあるイオ
ン化されていない窒素ガスと結合し、窒化チタンを形成
すると、照射イオンの効果が十分表れず、膜は軟質で金
色を呈しないものとなる。
【0022】このイオン化されていない窒素ガスは、真
空容器内で熱運動によって飛び回り、基体4に衝突する
が、このようにして基体4の成膜面に入射するイオン化
されていない窒素の入射頻度Zを、当該真空容器内の窒
素ガスの圧力をPtorrとして、 Z=3.535×1022×P/√(MT) 〔個/s・cm〕 と定義した場合(Mは窒素分子の分子量、Tは、基体4
の温度〔K〕。また√(MT)は、MTの平方根を表
す。)、Zが2×1016個/s・cm以下の条件に
なるように、成膜中の真空容器内の圧力を調整して成膜
を行わなければ、前述のイオン化されていない窒素ガス
と蒸発チタンの結合が無視できなくなり、膜の硬度およ
び金色の発色に悪影響を及ぼすことが、実験の結果明ら
かになった。但し、上記Zの値は、小さ過ぎると、イオ
ン源内に導入することのできる窒素ガスの量が少なくな
り過ぎるので、イオン源14から引き出され基体4に照
射される窒素イオン16の照射量が少なくなり過ぎ、そ
の結果、Ti/N輸送比を0.7以上2.0以下に調整
した場合のチタン10の蒸発量が少なくなり、成膜に要
する時間が多大なものになったり、イオン源内での窒素
ガス圧が小さくなり過ぎてイオン源内での窒素プラズマ
の安定性が阻害されて成膜中に窒素イオン16が安定し
て照射されなかったりするので、それを考慮して、上記
値を越えないように適宜調整するのが好ましい。具体的
には、以下に述べる実施例1では入射頻度Zを3.9×
10 15 個/s・cm にしたが、その値で成膜時間が
多大になる等の不都合は生じなかったので、入射頻度Z
はこの値以上にするのが好ましい。
【0023】次に、この発明に従ったより具体的な実施
例と、従来例相当の比較例とについて説明する。
【0024】実施例1 図1に示す装置を用い、基体4として超硬合金(K10
種)を用い、これをホルダ2に取り付けた後、真空容器
内を1×10−6torrまで真空排気した。その後、
電子ビームを用いた蒸発源8により、純度3Nのチタン
ペレットを蒸発材料9として用いてそれを蒸気化して基
体4上にチタン10を蒸着させると同時に、純度5Nの
窒素ガス15をバケット型イオン源14内に導入してイ
オン化し、窒素イオン16を2KeVのエネルギーで、
かつ基体4に対する入射角0゜で、基体4に照射した。
この際の真空容器内の圧力は1×10−5torrに維
持した。また、成膜中のTi/N輸送比は1.0にし
た。また、ホルダ2を水冷することにより、成膜中の基
体4の温度は25℃に保った。この場合、イオン源14
に導入した窒素ガス15により真空容器内の圧力は1×
10−5torrになったことにより、上記入射頻度Z
の値は、3.9×10 15 個/s・cmになる。この
ような条件によって基体4上に約0.5μmの窒化チタ
ン薄膜6を形成した。
【0025】実施例2 Ti /N輸送比を1.5になるように各値を調整しなが
ら、2KeVのエネルギーで窒素イオン16を基体4に
照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際の
基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3×
10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度Z
の値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その他
の条件は、全て実施例1と同じである。
【0026】実施例3 Ti /N輸送比を1.5になるように各値を調整しなが
ら、500eVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0027】実施例4 Ti /N輸送比を0.9になるように各値を調整しなが
ら、500eVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0028】実施例5 Ti /N輸送比を1.5になるように各値を調整しなが
ら、20KeVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0029】実施例6 耐熱温度が100℃の基体(樹脂基体)4を用いて、実
施例1と同じく、Ti/N輸送比を1.0になるように
各値を調整しながら、500eVのエネルギーで窒素イ
オン16を基体4に照射して成膜した。この際の基体4
の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3×10-5
torrであった。従ってこのときの入射頻度Zの値
は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その他の条
件は、全て実施例1と同じである。
【0030】比較例1 実施例1と同じく、Ti /N輸送比を1.0になるよう
に各値を調整しながら、2KeVのエネルギーで窒素イ
オン16を基体4に照射して、実施例1と同じ基体4に
成膜した。この際の基体4の温度は25℃であり、真空
容器内の圧力は8×10-5torrであった。従ってこ
のときの入射頻度Zの値は、3.0×1016個/s・c
2 になる。その他の条件は、全て実施例1と同じであ
る。
【0031】比較例2 Ti /N輸送比を1.0になるように各値を調整しなが
ら、500eVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は8
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、3.0×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0032】比較例3 Ti /N輸送比を2.5になるように各値を調整しなが
ら、500eVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0033】比較例4 Ti /N輸送比を0.6になるように各値を調整しなが
ら、500eVのエネルギーで窒素イオン16を基体4
に照射して、実施例1と同じ基体4に成膜した。この際
の基体4の温度は25℃であり、真空容器内の圧力は3
×10-5torrであった。従ってこのときの入射頻度
Zの値は、1.2×1016個/s・cm2 になる。その
他の条件は、全て実施例1と同じである。
【0034】比較例5 実施例6と同じく、耐熱温度が100℃の基体4を用い
て、Ti /N輸送比を0.9になるように各値を調整し
ながら、30KeVのエネルギーで窒素イオン16を基
体4に照射して成膜した。この際の基体4の温度は25
℃であり、真空容器内の圧力は3×10-5torrであ
った。従ってこのときの入射頻度Zの値は、1.2×1
16個/s・cm2 になる。その他の条件は、全て実施例
1と同じである。
【0035】上記各実施例と各比較例の結果を、表1
に、窒化チタン薄膜6の硬度と色によって示す。この場
合、膜の硬度は、10gビッカース微小硬度計によって
測定した。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1〜6の膜は、いずれも高硬度でか
つ金色を示し、耐摩耗用あるいは装飾用の膜として適し
ていることが分かる。また、いずれの膜も剥離は認めら
れなかった。
【0038】それに反して、比較例1、2のものは、実
施例1、3に対応するが、入射頻度Zの値がこの発明の
範囲を越えていたために、膜の硬度が実施例1、3のも
のより劣り、膜の色も黒色を呈するようになった。ま
た、比較例3、4のものは、実施例3に対応するが、T
i /N輸送比がこの発明の範囲を越えていたため、膜の
硬度が実施例3のものより劣り、膜の色も黒色を呈する
ようになった。比較例5のものは、実施例6に対応する
が、窒素イオン16の加速エネルギーがこの発明の範囲
を越えていたため、成膜中の基体4の温度を25℃に保
ったものの、基体4の成膜面が成膜中にイオン照射によ
って与えられた物理的・熱的な損傷によって強度等が劣
化し、これが原因で、膜の硬度が実施例6のものより劣
り、更に膜の結晶性が悪化してその色も黒色を呈するよ
うになった。
【0039】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、成膜の
際に基体に到達するチタン原子と窒素イオンの個数比
(Ti/N)を上記範囲に限定し、かつ基体に入射する
イオン化されていない窒素の入射頻度Zを上記範囲に限
定することにより、硬度が高く、かつ金色を呈する窒化
チタン膜を形成することができると共に、イオン源内に
導入することのできる窒素ガスの量が少なくなり過ぎな
いので、窒素イオンの照射量が少なくなり過ぎて成膜に
要する時間が多大になったり、窒素イオンが安定して照
射されなくなったりする不都合を防止することができ
。しかも、基体に照射する窒素イオンのエネルギーを
上記範囲に限定することにより、基体に与える熱的な損
傷が少なく、そのため、基体に用いることができる材質
が限定されない。
【0040】また、真空蒸着と窒素イオン照射とを併用
することによって、基体と膜との界面付近に両者の構成
原子から成る混合層が形成され、それによって強い密着
強度を有する膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る窒化チタン膜の形成方法を実
施する装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
4 基体 6 窒化チタン薄膜 8 蒸発源 10 チタン 14 イオン源 16 窒素イオン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三上 隆司 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−314853(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器内で基体に対して、チタンの蒸
    着と、イオン源に窒素ガスを導入して得られる窒素イオ
    ンの照射とを行って、当該基体の表面に窒化チタン膜を
    形成する方法において、前記基体に照射する窒素イオン
    のエネルギーを20KeV以下とし、前記基体に到達す
    るチタン原子の個数と窒素イオンの個数比(Ti/N)
    を0.7以上2.0以下とし、かつ、真空容器内の基体
    の成膜面に入射するイオン化されていない窒素の入射頻
    度Zを、当該真空容器内の窒素ガスの圧力をPtorr
    として、 Z=3.535×1022×P/√(MT) 〔個/s・cm〕 と定義した場合(Mは窒素分子の分子量、Tは基体の温
    度〔K〕)、この入射頻度Zが、3.9×10 15 ≦Z
    2×1016 個/s・cm になるように成膜中
    の真空容器内の圧力を調整して成膜を行うことを特徴と
    する窒化チタン膜の形成方法。
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