JP2636546B2 - 温度信号発信装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電線などの充電部近くの
温度を検出し、各種の温度情報信号に変換して地上の受
信装置に発信して伝える装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電気機器や導体の温度は、過負荷や接触
不良あるいは絶縁抵抗の低下による漏れ電流の増加等で
異常に上昇する。この温度上昇はさらに接触抵抗の増大
や絶縁劣化を促進し、ひいては重大事故に発展するおそ
れがある。それゆえ電気機器の充電部の温度を常時測定
監視することは、事故の予知や故障点の決定など電気設
備の保守点検の上で重要である。

【０００３】従来、一般に広く使用されるような適当な
充電部の温度監視装置は開発されていなかった。充電部
の温度監視装置を製作するうえでの障害は、温度センサ
の検出した温度情報を地上に伝える部分の絶縁が大掛か
りになり、費用がかさむという点である。現在、充電部
の温度情報などをガラスファイバーを引き回して地上に
伝える方法が各種試みられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ガラスファイバーで伝
える方法よりも、電波や赤外線や超音波などで発信して
伝える方式の方が絶縁上の問題がないのでよいのではな
いかとは、だれもが考えるところである。ところが、こ
の場合の問題点はその電池にある。充電部に取り付けて
使用する場合、一般の電池を電源とした場合は電池が消
耗すれば機能を停止する。太陽電池を使用した場合に
は、暗い変電室やキュービクル内および夜間には動作し
ない。

【０００５】本発明は、これらの欠点を解決するため、
特別な電源を使用せず、活線時に充電部の近くに発生す
る電界のエネルギーを利用して電源とする温度信号発信
装置を構成したものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】電界エネルギーを利用す
るため、充電部の近くに２枚または１枚の集電板よりな
る集電部を配置し、この集電部と、温度センサの検出し
た温度を処理し各種の温度情報信号として地上の受信装
置に発信して伝える温度信号発信回路とを接続する。集
電部の形状や大きさは、活線時に充電部近くの電界によ
って集電部に誘起される電力が、温度信号発信回路を駆
動するのに必要な電力を満たすように設定しておく。以
上のように温度信号発信装置を構成する。

【０００７】

【作用】本発明の温度信号発信装置の構成とその作用を
図１を用いて説明する。図中、１０は温度信号発信装
置、１および２は２枚の集電板、３は温度信号発信回
路、４は温度センサ、５は受信装置である。集電板とは
導電性の電極板であって、一般に充電部の周囲に２層に
設ける。集電板２は大地７との間に静電容量Ｃｓを形成
させるためのものである。集電板１は充電部６との間
に、Ｃｓよりもかなり大きな静電容量Ｃｉを形成するよ
うに配置する。また、２枚の集電板１および２の間にも
静電容量Ｃｐが形成される。Ｃｓは、一般にＣｉやＣｐ
の容量より非常に小さくなる。

【０００８】活線時に、充電部６と大地７の間に交流電
圧Ｖｏが印加されると、その周辺に交流電界が発生し、
２つの集電板１および２の間には、（１）式で示す交流
電圧Ｖｐが誘起され、（２）式で示す電界エネルギーＥ
ｐが蓄えられる。 Ｖｐ＝ＣｓＶｏ／Ｃｐ （１） Ｅｐ＝ω（ＣｓＶｏ）² ／２Ｃｐ （２） ここでω＝２πｆである。

【０００９】上記の集電板１および２の間に蓄えられた
電界エネルギーが温度信号発信回路３を駆動する電力と
して供給される。温度信号発信回路３は温度センサ４の
検出した温度を処理して、温度、温度上昇、温度異常警
報などの温度情報信号に変換して受信装置５に発信して
伝える。（２）式のＥｐの大きさが温度信号発信回路３
が必要とする電力を満たすようにＣｓとＣｐを設定して
おけば、本発明の温度信号発信装置１０は安定してその
動作を継続することになる。

【００１０】

【実施例】図２は本発明を高圧絶縁電線に適用した実施
例を示す斜視図である。本実施例の温度信号発信装置１
０は赤外線のパルスを発信する方式のものである。図に
おいて、集電板１は高圧絶縁電線６１の絶縁被覆６２の
上に円筒状に構成されており、その上に絶縁層１３を介
して、集電板２がやはり円筒状に構成されている。絶縁
被覆６２の上に設けたケース８はその内部に温度信号発
信回路３（図示せず）を収めてある。

【００１１】温度情報を乗せた赤外線はケース８の送信
窓３１から発信され、受信窓５１を通して受信装置５に
送られる。２本のリード線１４および１５は、２つの集
電板１および２の間に発生した電力を温度信号発信回路
３に供給する。リード線４１はその先端の温度センサ４
の検出した温度を温度信号発信回路３に伝える。

【００１２】２枚の集電板１および２の間に常時発生す
る電力は大きなものではない。本実施例で、温度信号発
信回路３から発信を頻繁におこなわせるためには非常に
大きな集電板１および２を必要とすることになる。しか
し、２枚の集電板１および２の大きさをどの程度にすれ
ばよいかは、温度信号発信回路３の動作回数と発信動作
回数の設定との兼合いの問題である。これらの動作回数
を適切に設定し、温度信号発信回路３の動作時以外の集
電板１および２の間に発生する電力をコンデンサなどに
充電しておく方式を採れば、温度信号発信装置１０はか
なり大きな動作ピーク電流をまかなうことができる。

【００１３】図２の実施例では高圧絶縁電線６１に本発
明を適用した例を示したが、当然、断路器のブレードな
どの導体上に適用することも可能である。この場合は、
集電板１は導体に直接接触するので、集電板１を設けな
いで、直接、導体と集電板２との間に誘起されるエネル
ギーを利用することもできる。この場合は上述した静電
容量Ｃｉが無限大の場合と考えられるので、本発明の請
求範囲にはこのような特殊な構成の場合も含む。

【００１４】なお、図２の実施例ではケース８を絶縁電
線６１の上に取り付けているが、全体をコンパクトに構
成するために、ケース８を集電板２の上に取り付けて温
度信号発信装置１０を構成することもできる。

【００１５】

【発明の効果】本発明の温度信号発信装置は絶縁上の問
題は全く発生せず、電池の消耗や劣化の心配も不要であ
る。そして、充電部が活線状態であるかぎり安定して温
度情報信号を発信して地上の受信装置に伝えるので、充
電部の温度を常時監視することができ、受変電設備など
の保守点検に大いに役立つ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の温度信号発信装置の構成と作用を説明
するための図である。

【図２】本発明を高圧絶縁電線に適用した実施例を示す
図である。

【符号の説明】

１ ２枚の集電板のうちの１枚 ２ ２枚の集電板のうちの他の１枚 ３ 温度測定発信回路 ４ 温度センサ ５ 受信装置 １０ 温度信号発信装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−85739（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−16395（ＪＰ，Ａ) 特公 平７−111757（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭59−954（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭55−48351（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 充電部の近くに設けた２枚または１枚の
   集電板よりなる集電部と、温度センサの検出した温度を
   処理し各種の温度情報信号として地上の受信装置に発信
   して伝える温度信号発信回路とを接続し、上記集電部の
   形状ないし大きさを活線時に上記充電部近くの電界によ
   って上記集電部に発生する電力が上記温度信号発信回路
   を駆動するのに必要な電力を満たすように設定した温度
   信号発信装置。