JP2630770B2 - リン脂質の改質法 - Google Patents

リン脂質の改質法

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康子 吉沢
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、リン脂質と脂肪酸または脂肪酸低級アルコ
ールエステルにトグリセリドの分解作用を有する酵素を
作用させ、リン脂質のエステル交換を行うことかなるリ
ン脂質の改質法に関する。
(従来の技術) リン脂質とは、ホスホリルコリン、ホスホリルエタノ
ールアミン、ホスホリルイノシトールの如き親水性リン
含有化合物とグリセロールおよび脂肪酸が結合して生成
されるものであり、融点や流動性等の物理特性や生理活
性等の機能特性は、結合した脂肪酸の種類に影響を受け
るところが大である。
グリセロール残基に結合した脂肪酸の種類を変えて物
理特性等を調整する手段の一つとして、エステル交換能
を有する酵素の作用を利用して脂肪酸のエステル交換を
行う方法がある。この方法による油脂(トリグリセライ
ド)の改質については多くの研究がなされており、これ
に関する特許出願は枚挙に暇がないほど多い(その一例
として特開昭61−149097があり、これには最近の主な特
許出願とその評価が記されている)。
他方、リン脂質に関しては酵素による改質は蛇毒ホリ
ホリパーゼやパンクレアチンのようにリン脂質のアシル
結合を切断する能力を有る酵素を作用させ、その一部を
分解してリゾ型リン脂質として親水性や乳化特性を改善
する方法が知られている(例えば、特願昭53−7151
7)。
しかしながら、酵素によるリン脂質の脂肪酸の反応に
ついては、ズイ・ナツールホルシュ(Z.Naturforsch)
第25巻b,第581−586頁(1970)にエイチ・ピー・フラン
ク(H.P.Franck)らが、ホリホリパーゼAがリゾ型リン
脂質に脂肪酸を結合させる能力を有することを見出した
と報告しているのみである。しかし、この報告も後の追
試により実験の不備による誤った結論であったことが明
らかにされた[ジェー・ゲールケ(J・Goerke)ら:バ
イオヒミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochimi
ca et Biophysica Acta)第248号第245〜253頁(197
1)]。
このように、リン脂質に結合した脂肪酸の種類や位置
を変化させる、エステル交換作用を有する酵素について
は、従来全く知られていない。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、酵素のリン脂質に対する反応性を調べるた
め、酵素の活性化処理や反応条件につき詳細な検討を行
った結果、適当な反応条件を設定することによってある
種の酵素がリン脂質のエステル交換作用を発揮すること
を見出し、これに基づいてエステル交換によるリン脂質
の改質に実用化の道を開こうとするものである。
(発明の構成) 本発明は、リン脂質と脂肪酸または脂肪酸低級アルコ
ールエステルの存在する系にトリグリセリドの分解作用
を有する酵素を作用させリン脂質のエステル交換を行う
ことを特徴とするリン脂質の改質法である。
本発明の酵素によるエステル交換の対象となるリン脂
質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノ
ールアミン、ホスファチジルイノシトール等のリン脂質
単体の他、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン等の動植
物起源の市販レシチン、およびこれらリン脂質から結合
脂肪酸の一部がはずれた所謂リゾ型リン脂質、植物油の
精製工程の一つである脱ガム工程で得られる。リン脂質
成分を含む所謂抽出油滓等がある。
脂肪酸としては炭素数が8〜24程度の直鎖飽和脂肪
酸、不飽和脂肪酸、高度不飽和脂肪酸が使用でき、パル
ミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸等を例示することができる。脂肪酸の低級アル
コールエステルとは、上記脂肪酸と炭素数1〜6の直鎖
飽和一価アルコールのエステル化合物をいい、例として
はパルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、リノール
酸メチル、パルミチン酸エチル、ステアリン酸エチル、
リノール酸エチル等がある。
これらリン脂質と脂肪酸または脂肪酸低級アルコール
エステルに作用してリン脂質に結合した脂肪酸の種類お
よび結合位置を変化させる酵素、すなわちエステル交換
作用を有する酵素として本発明で使用する酵素として
は、例えばアルペルギルス属、リゾプス属、ムコール
属、シュードモナス属、アリスロバクター属、キャンデ
ィダ属、クロモバクテリウム属、ペニシリウム属に属す
る微生物が生成し、あるいは膵臓に由来するトリグリセ
リドの分解作用を有する酵素があり、これらはリパーゼ
として市販されている。
上記各属に属する微生物の例としては、アスペルギル
ス属ではアスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)またはアスペルギルス・ウエンチ(Aspergillus we
nti)リゾプス属ではリゾプス・デレマー(Rhizopus d
elemar)、リゾプス・ジャバニカス(Rhizopus javani
cus)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、ム
コール属ではムコール・ミーハイ(Mucor mihei)、ム
コール・ジャバニカス(Mucor javanicus)、シュード
モナス属ではシュードモナス・フルオレッセンス(Pseu
domonus fluorescence)、シュードモナス・フレイジ
(Pseudomonus fragi)、アリスロバクター属ではアリ
スロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobaoter ur
eafaciens)、キャンディダ属ではキャンディダ・シリ
ンドラセア(Candida cylindracea)、クロモバクテリ
アム属ではクロモバクテリアム・ビスコサム(Chromoba
ctrium viscosum)、ペニシリウム属ではペニシリウム
・サイクロピウム(Penicillium cyclopium)、等を挙
げることができ、これらの生産する酵素はリパーゼ活性
を有するものとして知られ、これらは既に市販されてい
るものが多いが、本発明は、これら既知の酵素がリン脂
質のエステル交換作用を有することを新たに見出し、本
発明に好適に利用できることを見出したことによって本
発明を完成した。
これらの酵素は、トリグリセリドのエステル交換に用
いられることが知られていた。しかし、リン脂質は、ト
リグリセリドやアルコールエステルとは極性において大
きく異なるため、酵素を用いてエステル交換を行うこと
は困難であると従来考えられていたのである。
反応は、ヘキサン等の非極性溶媒にリン脂質と脂肪酸
または脂肪酸低級アルコールエステルを各1〜50重量%
の濃度に分散・溶解し、これにリン脂質1gあたり、山田
らの方法{日本農芸化学会誌36、860(1962)}により
測定したリパーゼ活性が10〜50000ユニットに相当する
量の酵素を含む水または緩衝液溶液を加え、反応液を揺
動させつつ20〜26℃、より好ましくは25〜40℃で5〜72
時間反応させる。酵素を含む水または緩衝液は、実施例
に示すように有機溶剤の飽和水分を越える量が添加され
る。反応系のリン脂質と脂肪酸または脂肪酸低級アルコ
ールエステルの比率は、1:0.2〜1:5の範囲であることが
望ましい。
本発明における反応は、有機溶剤の飽和水分を越える
量の水または緩衝液が添加されるので、原料および生成
物を含有する有機溶媒相と、酵素を含む水相との二相系
の反応として行われる。
また、酵素の活性を高めるための手段として、反応系
にセライト系の支持体、エタノール、プロパノール等の
活性化剤を適宜添加することができる。なお、酵素反応
のために種々考案されているバイオリアクターも利用す
ることができ、また加水分解を抑制するために二相系の
反応となる範囲内において反応系から水ができるだけ除
去する工夫は、収率を向上させるために有益である。
本発明で使用する酵素には、化学的修飾を必要としな
い。
所定時間を経過した反応液は、必要に応じて加熱等に
よりリパーゼを失活させ、必要に応じ適宜の濃縮機によ
る濃縮、更には噴霧乾燥、凍結乾燥等の適宜の乾燥手段
を施して、濃縮もしくは乾燥品とする。また反応生成物
を、前記の任意の段階でベンゼン、クロロホルム等の適
宜の溶剤を用いて反応系から抽出分離し、必要により溶
剤分別、カラム処理等の精製を行った後、溶剤を溜去す
れば、より純度の高い改質リン脂質を取得することも出
来る。
(実施例) 以下、本発明の実施例について述べるが、本発明では
リパーゼとして市販されている酵素を使用できるので、
以下の実施例に示された例にもとづいて、明細書記載の
他の酵素も本発明において同様に使用しうることを、当
該分野の技術者は容易に知ることができる。
実施例1 リゾプス・デレマー由来の酵素(田辺製薬(株)製、
「タリパーゼ」、)50mgをTES緩衝液(PH6.5)0.1mlに
分散し、1.6%(w/v)のジパルミトイル・ホスファチジ
ルコリンと1.6%(w/v)のオレイン酸を含むn−ヘキサ
ン溶液0.9mlを加え、密栓をしてレシプロシェーカー内
で35℃、48時間反応させた。
反応液は乾燥後クロロホルムで油分を抽出してイアト
ロスキャンでホスファチジルコリンの残量を定量すると
ともにシリカゲル薄層クロマトグラフィ(展開溶媒クロ
ロホルム:メタノール:水60:30:3)でホスファチジル
コリン画分を分取りし、その脂肪酸組成をガスクロマト
グラフィで調べた。
分析の結果、ホスファチジルコリンの残存率は62%、
その脂肪酸組成は反応前ではパルミチン酸99.7%、オレ
イン酸0.1%であったのに対し、反応後ではパルミチン
酸80.6%、オレイン酸19.4%であり、明らかにリン脂質
のエステル交換反応が認められた。
実施例2 リゾプス・デレマー由来の酵素(田辺製薬(株)「タ
リパーゼ」、)2gをTES緩衝液(PH6.5)2mlに分散さ
せ、大豆リン脂質(独スターケミー社製スターンバーP
M)2g、オレイン酸2gおよびn−ヘキサン18mlを添加し
てロータリーシェーカー中35℃で24時間反応させた。
反応液中のリン脂質成分を実施例1に準じた薄層クロ
マトグラフィによりホスファチジルコリン(PC)および
ホスファチジルエタノールアミン(PE)画分を分取し、
それぞれの脂肪酸組成をガスクロマトグラフィで分析し
た。
結果は表−1に示すように、ホスファチジルコリン、
ホスファチジルエタノールアミン共にエステル交換を受
け、オレイン酸の含有率は約13%増加し、これに伴いパ
ルミチン酸やステアリン酸の飽和脂肪酸の含有率が著し
く減少した。
実施例3 シュードモナス属由来の酵素(天野製薬(株)製「リ
パーゼP」、)を使用し、脂肪酸をオレイン酸メチルに
替えた以外は実施例2と同様に操作して、反応前後のリ
ン脂質の脂肪酸を調べた。
結果は表−2に示すとおりであり、ホスファチジルコ
リン、ホスファチジルエタノールアミン画分共にオレイ
ン酸含有率の増加がみられた。なお、本実施例では実施
例2と異って特定の脂肪酸のみが著しく減少する現象は
みられなかった。
実施例4 酵素として膵臓リパーゼ[ベーリンガーマンハイム
製、ブタ膵臓由来]1.3mgを使用した他は実施例1と同
様に操作して、反応後のホスファチジルコリンの脂肪酸
組成を調べた。
反応後のホスファチジルコリンの脂肪酸組成はパルミ
チン酸89.2%、オレイン酸10.3%であり、エステル交換
反応が認められた。
(発明の効果) 本発明は、酵素を用いたエステル交換によるリン脂質
の改質に初めての道を開いたものである。
酵素によるリン脂質のエステル交換技術の開発によ
り、リン脂質の融点や流動性等の物理特性を任意に調整
することが可能となり、食品工業や他の産業において、
その用途に最適なリン脂質の調整が可能となる。また、
リン脂質は各種の薬剤や酵素のキャリアーとして注目さ
れる。リポソーム調整の材料でもある。本発明の方法で
脂肪酸組成物を変化させたリン脂質を用いることによ
り、その生理作用を著しく増進させることが可能であ
る。
なお、本発明は酵素を用いることから、化学的な合成
法に比べ、高度不飽和脂肪酸の分解もなく、また、酵素
の特異性を利用してリン脂質の特定の部位に所望の脂肪
酸が導入できる、等の利点がある。
本発明では、安全性が確立されていない化学修飾酵素
を使用する必要がないので、酵素が生成物中に残存する
ことがあっても、安全性に問題を生じない。
また、本発明の方法は、原料および生成物を含有する
有機溶媒系と、酵素を含む水相との二相系の反応として
行われるので、生成物と酵素の分離が容易であり、した
がって生成物の精製と酵素の再利用の点でも有利であ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リン脂質と脂肪酸または脂肪酸低級アルコ
    ールエステルを基質とし、これにトリグリセリドの分解
    作用を有する酵素を作用させ、リン脂質の脂肪酸エステ
    ル交換を行うことを特徴とするリン脂質の改質法。
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JP3408958B2 (ja) 1997-10-24 2003-05-19 旭化成株式会社 魚介類由来の有用物質を含む組成物およびその有用物質の製造方法

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