JP2622799B2 - 廃棄物からの有用物質の生産方法 - Google Patents

廃棄物からの有用物質の生産方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品製造、加工廃棄物
を素材として微生物による有用物質の生産方法、即ち廃
棄物の再資源化方法に係わり、特にビール工場から排出
されるビール酵母等の微生物、コーヒー粕、ふすま、お
から等、食品工場から大量に発生する有機性廃棄物を対
象にして、廃棄物中に含まれる微生物資化性物質を特定
の手段で固形状あるいは液体状でとりだし、これを培養
基として有用微生物により特定の有用物質を生産する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビール粕、ビール酵母、コーヒー
粕、ふすま、および、おからなどの食品製造工場、加工
場からの有機性廃棄物は、そのままか、あるいは乾燥あ
るいは若干の微生物による改質を行って肥料および/ま
たは飼料として外部のユーザーに販売する方法が採られ
てきていた。
【0003】しかしながら、現実には農業に利用される
肥料、家畜、家禽の多頭羽飼育に使われている飼料は、
国内、国外において均質で、かつ安価な肥料、飼料が生
産され、あるいは輸入されているために、このような廃
棄物を原料として生産される付加価値の低い肥料、飼料
などは所謂1次産品を原料として生産される肥料、飼料
に対してコスト的に競合できない。
【0004】例えば、現在、余剰のビール酵母はその一
部が家畜の飼料(添加物)として販売されているが、乾
燥に要する費用が120円/kgかかるのに対して、ユ
ーザーの販売価格は60円/kgであり、完全な赤字生
産を余儀無くされている。このような現実に対して、食
品業界から有機性廃棄物を原料として、付加価値の高い
有用物質を抽出あるいは生産する技術の出現が強く要望
されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記で詳細に述べたよ
うに、従来技術としての有機性廃棄物を直接原料として
の再資源化法および/または技術、すなわち肥料、飼料
などの生産は、付加価値が低く、本質的に利益を確保で
きる事業としては成り立たない。本発明は、前記のよう
な従来技術の問題点を解決したものであり、発酵、その
他の目的に使用した1次原料の残渣は、有機性廃棄物で
はなく、1次原料が質的に転換した新たな原料(2次原
料)であると評価し、主として微生物機能を利用して高
付加価値物質を生産し、最終処分すべき物質を最小限に
止めるように配慮した自己完結型の微生物による有用物
質の生産方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、主に微生物体
よりなる有機性廃棄物を溶菌酵素または溶菌酵素を生産
し体外に放出する機能を持つ第1の微生物により可溶化
して得られた培養基で有用物質を体内に生産蓄積する第
2の微生物(有用微生物ともいう)を培養することを特
徴とする廃棄物からの有用物質の生産方法であり、これ
により上記課題を解決できる。本発明は、従来技術とは
技術思想が本質的に異なる新規の有用物質の生産技術に
関するものであり、主として食品工場から排出される各
種の有機性廃棄物を、低次元の方法で、有効利用あるい
は処理、処分するまえに2次資源としてとらえ、これか
ら調製されるものを有用微生物の培養基として利用して
有用物質を生産あるいは質的に転換する所謂自己完結型
の工場および/または物質生産と同時に廃棄物の処理を
も同時に達成できる処理技術を確立することを目的とし
た革新的な微生物による有用物質生産技術を提供するも
のである。
【0007】本発明に使用される培養基は、主に微生物
体からなる有機性廃棄物から調製される。本発明に使用
される有機性廃棄物において、微生物としてはビール酵
母等のような生菌体が好ましいが、死菌体でもかまわな
。本発明において、有機性廃棄物に含み得る成分とし
ては、有機質溶液、有機質固形物(例えば、ビール粕、
おから等)等が包含される。 調製される有機性廃棄物の
形態は任意であり、液状でも固体状でもよく、培養基の
抽出、分離法により適宜選定すればよい。例えば、固体
状のものは、そのまま圧搾等により培養基を抽出しても
かまわない。また、固体状のものを液状にしてあるいは
液状のものを固体状にして培養基を分離、抽出してもか
まわない。液状の有機性廃棄物を得るための溶媒として
は、通常、水が用いられるが、所望により他の適当な溶
媒を併用してもよい。
【0008】培養基を調製する好ましい方法としては、
例えば、下記が挙げられる。 有機性廃棄物の成分が菌体等の微生物体である場合
は、微生物体を溶菌酵素、例えばリゾチーム等により処
理し、その細胞壁、細胞膜を分解(溶解)すると共に菌
体内成分を溶解もしくは分散させる。 の溶菌酵素に代えて、該酵素を生産する微生物、
例えば、ミクソコッカス(Myxococcus)、ミ
クソバクター(Myxobacter)、シストバクタ
ー(Cystobacter)、スティグマテラ(St
igmatella)等によりと同様の原理により処
理する方法。
【0009】 有機性廃棄物の成分として、コーヒー
粕、ビール粕のような固形物を含む場合、そのまま圧搾
により処理するか、または水に分散させて抽出した成
分を、、のものと混合する方法。この場合、固形分
は所望の粒度に粉砕されてもよく、また使用する水の温
度を選択して所望の培養基成分を得ることもできる。培
養基は、有用微生物により分解できない水に不溶の物質
が十分に除去されたものであることが微生物の培養を効
果的にするため、及び有用物質の精製を容易にするため
に有効であり(ここで、不溶物には溶菌酵素を生産する
微生物も含まれる)、このような不溶物を除去し、培養
基を抽出する手段としては従来公知の分離手段、例え
ば、濾別(膜、スクリーン、布等)、遠心分離、自然沈
降等が挙げられる。
【0010】また、前記培養基は、その成分が所望の微
生物培養に不足する成分がある場合は、適宜その不足成
分を補充するようにすればよい。本発明に使用される有
用微生物の種類は特に制限なく目的有用物質に応じて種
々選定できる。微生物体内外に生産された有用物質につ
いて、微生物体内に蓄積される有用物質を利用する。
【0011】また、調製された培養基により有用物質を
生産する有用微生物を培養した後に新たに生じた該微生
物を含む有機性廃棄物は、本発明における培養基の原料
の有機性廃棄物として使用(リサイクルも含む)するこ
とができる。
【0012】本発明により生産された有用物質は、微生
物から分別された後、従来公知の種々の分離精製手段、
例えば、沈殿法、溶媒抽出法、各種クロマトグラフィ
ー、限外濾過等により精製することができる。以下、本
発明を更に詳細に説明する。本発明では、食品製造、加
工場から排出される有機性廃棄物から各種の有用物質、
例えば生理活性物質、化学薬品、酵素、ビタミンなどの
ファインケミカルスを生産、製造するに際して、廃棄微
生物体は、特定の溶菌酵素および/または溶菌酵素を生
産する微生物の機能によって、廃棄微生物内容物中の有
効成分を取り出し、主として固形廃棄物中に含まれてい
る、微生物が増殖するに必要な各種の有効成分は常温
水、温水あるいは熱水で抽出し、これらを有用微生物の
培養基として、特定の微生物を培養し、極めて付加価値
の高い特定の有用物質を安価なコストで生産することが
できる。この点が本願の骨旨である。
【0013】従来、この種の有機性廃棄物は、そのまま
か、あるいは若干の乾燥により、あるいは微生物の機能
を利用して肥料および/または飼料に変換するのが、常
套手段であるが、通常、質的にもまたコスト的にも競
合、採算もとれず、地球環境問題解決の一つの方法とし
ての有機性廃棄物の再資源化(リサイクル)を阻害して
いた。
【0014】本発明による新規の微生物による有用物質
の生産方法は、この再資源化法の宿命的な欠陥を根本的
に解決する革新的な再資源化法であり、高付加価値の物
質を生産することにより、経済的に十分に成り立つとと
もに、廃棄物の処理も同時的に可能であり、本発明はト
ータルプロセスとして、これまでに類をみない多機能な
優れた有機性廃棄物の再資源化法である。
【0015】本発明は、発酵工場あるいは食品製造およ
び/または加工場等から排出される余剰微生物あるいは
主として固形状廃棄物、例えばビール酵母、ビール粕、
コーヒー粕、ふすま、おからなどの所謂有機性廃棄物中
に含まれる、有用微生物の増殖源となりうる物質、微量
元素、微量成長因子等からなる成分を特定の手段、方法
で液中に取り出し、これを有用微生物の培養基として該
微生物を増殖せしめ、生理活性物質、酵素、あるいは各
種のファイン・ケミカルスを生産することを目的とした
革新的な有用物質の生産法である。
【0016】現在、わが国には、この種の有機性廃棄物
を排出する食品製造工場は、数限りないが、例えばビー
ル製造工場を例にとると、生産工場が約40ヵ所、これ
らの工場から排出されるビール粕は、あくまでも推定で
はあるが、乾燥状態で約30,000トン/年、余剰の
ビール酵母は、140,000トン/年の莫大な量に達
する。
【0017】これらの有機性廃棄物は、現在その一部が
肥料および/または飼料として外部に販売されている
が、生産物の付加価値が低いために、実質的に採算が合
わず、工場の経済的負担となっており、また残余のビー
ル粕および/またはビール酵母は焼却処分している。こ
のことに鑑み、これらの有機性廃棄物の再資源化に本発
明を適用することにより、これらの工場は、測り知れな
い利益を受けることは必然である。
【0018】次に本発明の優れた機能および作用効果を
ビール製造工場からの有機性廃棄物を例に、図1によっ
て、説明する。図1は、有機性廃棄物を本発明の方法に
従って処理するフローを示したものである。まず、図1
において有効利用の対象となる有機性固形廃棄物である
ビール粕を貯留したビール粕貯槽1からスクリーン2に
移動し、一定の目開きのスクリーンで有用微生物によっ
て資化できない所謂大麦の表皮粕を除去する。スクリー
ンを通過したビール粕を粉砕機3によって、適度に粉砕
してから、所望により篩いにかけて篩渣を除き、重量比
で5〜10倍の常温水4を加えて抽出槽5に導入し、2
〜4時間、緩慢な攪拌を行い、ビール粕中の水溶液成分
を水側に抽出する。この抽出液に必要ならば適量の栄養
剤、微量元素等の補完成分19を加え、一旦、培養液貯
槽6に貯留する。
【0019】一方、ビール製造工程からの余剰酵母を貯
留した余剰酵母貯槽7から酵母溶解槽8に移送し、適量
(5〜10倍)の水4を加える。この酵母液に例えば市
販の溶菌酵素9例えばリゾチームを適量加えて約1日
間、緩慢に攪拌しながら酵母とリゾチームを接触させて
酵母の細胞壁、細胞膜を溶解し、酵母内容液を液側に移
行させる。
【0020】また、この酵母溶解槽8での酵母の溶解に
は市販の高価な酵素、例えばリゾチーム等を使用しなく
ても、自然界に広く分布しており、誰でも容易に入手で
きる酵素を生産する粘液細菌等の微生物10を別個に濃
厚培養し、これを酵母溶解槽8に添加し、滅菌空気を通
気しながら2〜3日間混合培養すると、酵母の細胞壁、
細胞膜はほぼ完全に溶解され、酵母内成分は、液側に移
行する。
【0021】粘液細胞の溶菌作用、機能を確保するため
にミクソコッカス・キサンサス(Myxococcus
xanthus,ATCC 25232)、シストバ
クター・フスクス(Cystobacter fusc
us,ATCC 25194)、スティグマテラ・エレ
クタ(Stigmatella erecta,ATC
C 25191)によるビール酵母 サッカロマイセス
・セレビシエ(Saccharomyces cere
visiae)の溶解試験を実施した結果、それぞれの
粘液細菌によって若干能力に差異があったが、培養温度
25℃(常温)、培養時間2.0日〜5.0日で酵母の
細胞壁および膜はほぼ完全に溶解された。粘液細菌によ
る酵母の溶菌工程、すなわち本発明における培養基の調
製工程は、本発明の中枢部分であり、この調製法を適用
することによって、高付加価値の有用物質を極めて安価
に生産、製造することができる。
【0022】酵母溶解槽8で溶解された混合液は、次の
スクリーン11によって不溶性残渣を除去した後、培養
液貯槽6に一旦貯留され、ビール粕の抽出液と混合され
る。ビール製造工場から排出されるビール粕は大凡4k
g絶乾物/kLビール、余剰酵母の排出量は約20kg
絶乾物/kLビールであり、両者の排出比はほぼ1:5
になる。
【0023】ビール製造工場からビール粕および余剰酵
母を入手し、分析した結果を次表に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】上表の分析結果からも容易に理解できるよ
うにビール粕(抽出液)、ビール酵母(溶解液)とも有
機栄養源、ビタミン類および無機塩類を十分に含んでお
り、各種の有用微生物の培養基として、ほぼ完全な組成
を有し、栄養補正および/または栄養強化のための栄養
剤等の補完成分19は、通常ほとんど必要としない。本
例において、ビール製造工場の有機性廃棄物の再資源化
に限定すれば、ビール粕からの培養基抽出工程は、その
排出量が少ないことも併せ考えると省略することもでき
る。
【0027】ビール粕の抽出液および/または余剰菌体
(酵母)の溶解液の混合液は、各種の有用微生物12を
接種したのち培養液貯槽6から培養槽13に移送され、
各種の有用微生物の増殖特性、生物特性に培養条件を設
定して培養される。培養槽13は当然ながら無菌状態と
する。この培養槽は、有用微生物が嫌気性の場合には、
外部からの空気の混入を遮断する構造とし、好気性の場
合には、微生物に酸素を供給するために滅菌空気14を
導入する。
【0028】本発明において、培養槽で有用物質を生産
させる有用微生物は、特定される必要はなく、例えば
アルロン酸生産では、ストレプトコッカス・ズーエピ
デミクス(Streptococcus zooepi
demicus)(文献Current Microb
iology,Vol,16,pp.1〜8〔1987
年〕)、γ−リノレン酸の生産においては、モルティエ
レラ・エロンガータ(Mortierella elo
ngata)(TTCC 16271),エイコサペン
タエン酸生産ではアルテロモナス・プトレファシエンス
(Alteromonas putrifacient
s)(ATCC 8073)、モルティエレラ・スピノ
ーサ(Mortierella spinosa)(A
TCC16272)が選定される。
【0029】また、デオキシリボ核酸(DNA)やアデ
ノシントリフォスフェート(ATP)を産生する場合に
は、野性酵母として、自然界に広く分布しており、誰で
も容易に入手できるロドトルラ(Rhodotorul
a sp.)、トルラ(Torula sp.)、ミコ
トルラ(Mycotorula sp.)、ピチア(P
ichia sp.)、キャンディダ(Candida
sp.)あるいはトリコスポロン(Trichosp
oron sp.)のいずれかを選択してもよい。
【0030】以上、いずれかの有用微生物を培養槽13
で大量培養して微生物体に有用物質を生産させた後
微生物から有用物質を抽出し、通常の微生物分離装置1
5で微生物を分離し、抽出した液から目的とする有用物
質を純粋に取り出すために分離精製装置17を経由せし
め、有用物質18を得る
【0031】微生物分離装置15によって、分離された
2次的な余剰微生物は、本発明方法における有機性廃棄
物として新たに利用してもよいし、通常の乾燥手段によ
って水分をある一定値以下まで脱水し、肥料および/ま
たは飼料16とすることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明するが、本
発明はこれに限定されない。 実施例1 再資源化すべき有機性廃棄物として、ビール製造工場か
ら排出されるビール粕(大麦粕)と余剰酵母サッカロマ
イセス・セレビシエ(Saccharomyces c
erevisiae)を選択した。
【0033】まづ、粉末状にした乾燥ビール粕約100
gに10倍の水道水を加え、常温にて5時間、緩慢に攪
拌しながらビール粕中に含まれている有用微生物の栄養
源となりうる成分を抽出した(不溶性成分は濾別し
た)。一方、脱水機で脱水した生菌状態にある酵母約5
00gに約10倍量(約5リットル(L))の水道水を
加え、別個に増量培養した粘液細菌ミクソコッカス・キ
サンサス(Myxococcus xanthus)
(ATCC 25232)の培養液300ccを加え、
水温25℃で3日間培養し、生菌体の酵母の細胞壁、細
胞膜をほぼ完全に溶解し、菌体内容液を液側に溶出させ
た(未分解残渣は篩別した。)。
【0034】ビール粕からの抽出液約1Lに対してビー
ル酵母溶解液約5Lを混合し、この混合液を有用微生物
の培養に供したが、この液の組成は表3の通りであっ
た。
【0035】
【表3】
【0036】この混合液を有効容積が2Lの標準タイプ
のジャーファーメンターに張り込み、オートクレブによ
り滅菌処理する。この混合液に対して、別個に滅菌条件
下で純粋に培養した有用微生物、乳酸菌ストレプトコッ
カス・ズーエピデミクス(Streptococcus
zooepidemicus)の濃厚培養液を5cc
/L−混合液の割合で接種し、培養温度30℃、回分式
に48時間培養した。この培養液を取り出し、アルコー
ルを添加して沈殿し、沈殿物に水を加えて溶解し、再度
アルコールを添加して沈殿の操作を4回繰り返し、ヒア
ルロン酸を白色粉末状で回収した。
【0037】前記の混合液を培養基としてストレプトコ
ッカス・ズーエピデミクス(Streptococcu
s zooepidemicus)を培養した場合のヒ
アルロン酸の生産量は、4〜5g/Lであり、通常、本
微生物の培養に用いられる標準培地を使用した場合のヒ
アルロン酸生産量に比肩する好結果が得られた。実施例
1に使用した培養基は、ビール粕とビール酵母をベース
にして作成したものであるが、培養基成分の質と量とも
ビール酵母由来のものが支配的であるために、ビール粕
の培養基としての不備を補完するのに著しい効果が期待
できる。
【0038】比較例 実施例1に対して比較例では、粉末状のビール粕中の有
効成分を水で抽出する工程は全く同じであるが、生菌体
としてのビール酵母に関しては粘液細菌による菌体の溶
解は行わず、水にて希釈した後、抽出液とほぼ1:5の
比率で混合し、これを培養基として、実施例1と全く同
じ条件でストレプトコッカス・ズーエピデミクス(St
reptococcus zooepidemicu
s)を培養したが、ヒアルロン酸の生産量は実施例1に
対して極端に少なく、わずかに0.2〜0.3g/Lに
過ぎなかった。
【0039】さらに、比較例においては、ヒアルロン酸
の生産量が少ないだけでなく、酵母菌体が溶解されない
ので、菌体の分離工程15に負担がかかり、さらに分離
精製工程17にも不純物としての菌体外ポリマーが過剰
に流入して完全な分離精製が出来なかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができる。 (1)食品製造工場から排出される有機性廃棄物を、固
体状廃棄物に関してはその水溶性抽出物を、菌体状廃棄
物に関しては菌体を粘液細菌により溶解して菌体内容液
を取り出し、両者の混合液を培養基として種々の有用物
質を生産する微生物を培養することにより付加価値の高
い物質を生産することができ、有機性廃棄物の完全な再
資源化が達成できる。 (2)本発明の採用により、付加価値の低い有機性廃棄
物から高付加価値の有用物質を生産することが可能であ
るため、従来経済的に採算のあわない廃棄物の再資源化
法が可能となり、自己完結型の工場の実現が十分に期待
できる。 (3)本発明は有機性廃棄物の生産が可能であると同時
にその処理も可能であり、地球環境保全に著しく貢献す
る。 (4)有用物質を生産した後の所謂最終的な残渣は、肥
料および/または飼料として有効に利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビール製造工場からの有機性廃棄物を本発明の
方法に従って処理するフローを示したものである。
【符号の説明】
1 ビール粕貯留槽 2 スクリーン 3 粉砕機 4 水 5 抽出槽 6 培養貯留槽 7 余剰酵母貯槽 8 酵母溶解槽 9 溶菌酵素 10 微生物 11 スクリーン 12 有用微生物 13 培養槽 14 滅菌空気 15 微生物分解装置 16 肥料および/または飼料 17 分離精製装置 18 有用物質

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主に微生物体よりなる有機性廃棄物を溶
    菌酵素または溶菌酵素を生産し体外に放出する機能を持
    つ第1の微生物により可溶化して得られた培養基で有用
    物質を体内に生産蓄積する第2の微生物を培養すること
    を特徴とする廃棄物からの有用物質の生産方法。
  2. 【請求項2】 前記培養基は、第2の微生物により分解
    できない水に不溶な物質および/または第1の微生物が
    十分に除去されたものであることを特徴とする請求項1
    記載の廃棄物からの有用物質の生産方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の微生物を有機性廃棄物として
    第1の微生物により可溶化することを特徴とする請求項
    1記載の廃棄物からの有用物質の生産方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の微生物が、ミクソコッカス、
    ミクソバクター、シストバクターおよびスティグマテラ
    からなる群から選択される粘液細菌であることを特徴と
    する請求項1記載の廃棄物からの有用物質の生産方法。
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WO2024105308A1 (fr) 2022-11-14 2024-05-23 Universite De Technologie De Compiegne Jus de dreches de brasserie et son utilisation pour la production de molecules d'interet

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